4183 三井化学 2021-11-25 09:30:00
長期経営計画「VISION2030」個別戦略策定について [pdf]
2021 年 11 月 25 日
各 位
会社名 三井化学株式会社
代表者名 代表取締役社長 橋本 修
(コード番号 4183 )
問合せ先 コーポレートコミュニケーション部長
井上 純一
(TEL 03-6253-2100)
長期経営計画「VISION2030」個別戦略策定について
三井化学グループは、長期経営計画 VISION2030 を策定し、6 月にその骨格となる基本戦略・経営目標
等を発表致しました。この度、VISION2030 を具体的に遂行するため、各事業ポートフォリオ戦略や機能別
戦略を策定しましたのでお知らせ致します。
1. 2030 年に向けた長期経営計画:VISION2030 の概要
三井化学グループは、「地球環境との調和の中で、材料・物質の革新と創出を通して高品質の製品とサー
ビスを顧客に提供し、もって広く社会に貢献する」ことを企業グループ理念として掲げ、経済軸、環境軸、社
会軸から成る3軸経営を実践し、事業活動を通じた社会課題解決に取り組んでおります。
VISION2030 では、「2030 年のありたい姿」を定義し、5つの基本戦略を策定、新たな 4 つの事業ポートフ
ォリオを設定いたしました。社会課題解決に向けた貢献と当社グループの持続的成長を実現するため、従
来型の素材提供ビジネスからのビジネスモデル転換を図り、「社会課題視点」、「ソリューション型ビジネスモ
デル」、「サーキュラーエコノミー型ビジネスモデル」、「デジタル・トランスフォーメーション(DX)」を全社・全事
業に展開してまいります。さらに、強靭な「経営基盤・事業基盤」を構築致します。
以上の VISION2030 の基本戦略を遂行し目標を達成していくため、以下に示す個別戦略を策定、各戦略の
遂行により VISION2030 の実現を目指してまいります。
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2.事業ポートフォリオ戦略
ライフ&ヘルスケア・ソリューション、モビリティソリューション、ICT ソリューション、ベーシック&グリーン・マテ
リアルズの4つの事業ポートフォリオにおいて、事業を通じて社会課題の解決に貢献する姿を演繹的に設定、
ビジネスモデル転換の重要性に着目し、成長戦略と目標を以下の通り策定しました。
① ライフ&ヘルスケア・ソリューション
2030 年の いのちと健康、豊かな暮らしに貢献するソリューションを提供し、第一の収益の柱とする
ありたい姿
事業領域
全体戦略 ・ ウェルネスソリューションとメディカルソリューションに積極的に資源投入
・ ファインケミカルズ技術を基盤とした新製品・新事業創出と M&A・社外提携による新規参
入領域の事業基盤獲得
主要事業の ・ ライフケアソリューションでは、ビジョンケア事業を主力とし、着実に市場を獲得するととも
成長戦略 に、新素材・新技術の開発や、健康に貢献するアイウエア製品の提案などにより、さらな
る拡大を目指す。さらにビジョンケア以外の分野として、生活環境・水環境などの領域で
の新たな柱を育成。
・ ウェルネスソリューションでは、農業化学品について、既存農薬の成長市場展開を加速
するとともに、新規原体の投入、環境配慮型農薬や非農薬分野の拡充等により、事業拡
大を目指す。さらに、健康・バイオ技術関連領域として、ニュートリションや検査・診断分
野での拡大を図る。
・ メディカルソリューションでは、デンタル事業のグループ連携を強化、デジタル化を推進
するとともに、人工歯、修復材、歯周病等の検査・予防領域へ拡大。さらに、これまでに
培った技術を生かして、整形外科領域などの医療機器・医薬関連領域での拡大を図る。
② モビリティソリューション
2030 年の 特徴ある材料・機能・サービスの提供・提案により社会課題解決に貢献し、持続的な事業成
ありたい姿 長を実現する
事業領域
全体戦略 投資案件の着実な利益貢献と「成長市場×差別化領域」へのスピード感あるアプローチ
獲得・強化してきたソリューション機能をフル活用した顧客への価値提案
主要事業の 素材提供型ビジネスは、成長市場での差別化領域に注力。エラストマーの主力のタフマ
成長戦略 ー 🄬では、太陽電池封止材等の成長需要を獲得し、その拡大に応じて生産能力を増強。
複合材料製品の PP コンパウンドは CASE に対応した高付加価値領域で競争力を強化。
アドマー 🄬は包材のモノマテリアル化やバイオマス活用などの成長需要を獲得し地産地
消をベースとした適切な生産能力の増強。さらに機能付与した複合材料を開発・育成。
ソリューション型ビジネスでは、開発で求められる機能・技術・素材パッケージを顧客に価
値提案するコンセプトプッシュ型のビジネスを推進。
全事業を通じて、社会と共存する未来のモビリティに対応したソリューションの提案と、モ
ビリティと関連が深まる社会課題を視野に入れた事業機会の拡大を図る。
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③ ICT ソリューション
2030 年の 『ユニーク』な ICT ソリューション事業を創造・拡大し、第3の柱への成長を図る
ありたい姿
事業領域
全体戦略 ・半導体・実装、イメージングソリューション事業に集中的に資源投入
・製品開発における川上から川下までのコア技術の結集により、新事業・新製品を創出
主要事業の ・半導体・実装ソリューションでは、半導体プロセス材料であるイクロステープ 🄬の新規銘柄を
成長戦略 継続投入、三井ペリクル™の EUV 向け需要の先行獲得等により、それぞれシェア No1 を
維持するとともに、半導体・実装プロセスの革新に貢献する次世代製品を順次投入、ライ
ンナップを拡充し、次世代パッケージングでデファクトスタンダード化を目指す。
・イメージングソリューションでは、光学材料である COC 事業において、カメラレンズ材料ア
ペル 🄬の新製品を継続的に投入していくとともに、「撮る」から「見る」「センシング」への市
場拡大に対応した新たな光学材料を開発・提供。
・電池材料ソリューションでは、リチウムイオン電池領域の拡大を図り、次世代電池材料の開
発を強化。
・コンバーティングソリューションでは、食品包装材料の高機能化や環境負荷低減を強化。
④ ベーシック&グリーン・マテリアルズ
2030 年の 再構築を完遂すると共に、全社のサーキュラーエコノミー変革をリードする
ありたい姿
全体戦略 ・ フェノール・PTA・ウレタン事業の再構築の加速
・ ダウンフロー強化による収益安定化
・ グリーンケミカルの拡大による環境対応強化
事業の
方向性
・ フェノール・PTA・ウレタン事業においては、徹底したコストダウン、各拠点での製品チェ
ーン最適化、提携拡大等のライトアセット化などの再構築施策により安定収益を確保す
るとともに、さらなる構造改革を推進。
・ 高機能・ニッチ製品は、特徴ある技術・製品でダウンフローを強化・拡大し、収益力の強
化を図る。
・ グリーンケミカル事業推進室を設置し、全社のサーキュラーエコノミー型ビジネスモデル
への転換をリード。バイオ誘導品への転換、リサイクル化等を推進。
⑤ 計数目標
2025 年度近傍 2030 年度近傍
コア営業利益 ROIC コア営業利益 ROIC
ライフ&ヘルスケア 650 億円 11% 900 億円 13%
モビリティ 600 億円 11% 800 億円 15%
ICT 470 億円 10% 700 億円 13%
ベーシック&グリーン 400 億円 7% 500 億円 8%
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3. 次世代事業戦略および研究開発戦略
次世代事業の創出にあたっては、当社における成長ポテンシャルのある重点領域を定めて経営資源を集
中し、将来における当社の柱となる事業を育成します。また、事業デザイン等当社に不足しがちな視点を付
加し、オープン・イノベーションを更に活用しつつ、新規領域にチャレンジしていきます。
研究開発戦略では、予測困難な 2030 年以降の世界を見据え、我々自身が「創りたい未来」を描き、バッ
クキャストする事により課題を設定し、長期視点で研究開発を進めるアプローチを加えます。未来技術創生
センターを設置し、インテリジェンス機能を果たすと共に、新たな価値を創造する未来技術の開発に取り組
みます。
4. デジタル・トランスフォーメーション戦略
VISION2030 の達成には、DX の取り組み加速と、DX を通じたコーポレートトランスフォーメーション(CX)
の実現が不可欠です。事業・開発・製造・コーポレート部門の全領域で DX を進めるとともに、全社員のデジ
タルリテラシーの向上に取り組みます。また、取り組みを強化し、組織能力等を更に高度化させるため、デジ
タル・トランスフォーメーション推進本部を設置し、「MCI DX VISION」の早期実現を目指します。
5. カーボンニュートラル戦略
2050 年カーボンニュートラル達成に向け、「自社における GHG 排出削減」と「製品提供を通じた社会への
貢献」の 2 本の柱からなるロードマップを 6 月に発表致しました。事業成長投資によって生じる GHG 排出
量の増加も加味した上で、GHG 排出量の 2013 年度比 40%減を目指すため、具体策を各部門で遂行しま
す。さらに 2050 年のカーボンニュートラルを目指す取り組みとして、新技術開発も着実に進めてまいります。
また同時に、プラスチック資源循環の推進等を通じて、製品提供を通じた環境貢献価値の最大化を目指し
ます。
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6.Blue Value🄬・Rose Value🄬の拡大
気候変動・サーキュラーエコノミーへの対応、健康とくらし・住みよいまち・食の安心に貢献する価値ある製
品・サービスの提供を推進し、事業を通じて社会貢献価値を拡大させます。
各事業ポートフォリオにて目標を設定し、2030 年で Blue Value 🄬・Rose Value 🄬の各売上収益比率 40%以上
を目指します。
7. 投資資源配分
2021〜2030 年度の 10 年間での成長投資を 1.8 兆円(戦略投資:自力成長投資=1:1)としました。そのう
ち、DX による CX の実現に向け 1,000 億円、2050 年カーボンニュートラル達成に向け 1,400 億円を投入し
戦略実行を進めます。
8. 経営計画システムの見直し
「VISION2030」の実現には、経済・社会・環境を一体化させた 3 軸経営の深化が不可欠です。この方向に
合わせ、経営計画システムの見直しを図ります。
① 「VISION2030」実現を加速させるため、各部門の戦略と整合した財務・非財務の目標及び KPI を設定し、
実行を強化します。
② 各事業・製品の位置づけを明確化するため、ROIC とコア営業利益の成長性の 2 軸で事業評価を実施。
さらに、環境貢献/負荷を勘案した戦略の討議を行い、資源投入を決定して参ります。
9. VISION2030 経営目標
以上に示す戦略の遂行により、VISION2030 経営目標の達成を目指します。
2025 年度近傍 2030 年度
財務指標 コア営業利益 2,000 億円 2,500 億円
親会社の所有者に帰属する当期利益 1,100 億円 1,400 億円
ROIC 8.0%以上 8.0%以上
Net D/E 0.8 以下 0.8 以下
ROE 10%以上 10%以上
🄬
非財務指標 Blue Value 売上収益比率 30%以上 40%以上
🄬
Rose Value 売上収益比率 30%以上 40%以上
GHG 排出削減 25.4%減 40%減
(05 年度比 30 年度) (13 年度比)
以上
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ご参考) 『VISION2030』資料につきましては、当社ホームページより参照頂けます。
■VISION2030 個別戦略
・説明資料:
URL:https://jp.mitsuichemicals.com/sites/default/files/media/document/2021/event_211125.pdf
■VISON2030 基本戦略 (6 月発表)
・適時開示:
URL: https://jp.mitsuichemicals.com/jp/release/2021/2021_0602_01.htm
・説明資料:
URL:https://jp.mitsuichemicals.com/sites/default/files/media/document/2021/event_210602.pdf
本資料に記載されている計画、目標等の将来に関する記述は、現時点で入手可能な情報に基づき判断
した予想であり、リスクや不確実性を含んでおります。従いまして、実際の業績は今後様々な要因によって大
きく異なる結果となる可能性があります。
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