4088 エア・ウォーター 2019-05-16 14:00:00
新中期経営計画「NEXT-2020 Final」の策定について [pdf]

                                                       2019 年 5 月 16 日
各   位
                                      会 社 名     エア・ウォーター株式会社
                                      代表者名      代表取締役会長    豊田    昌洋
                                            (コード 4088 東証第一部 札証)
                                                :          ・
                                      問合せ先      執行役員 社長室 広報・IR部長
                                                          井上     喜久栄
                                            (TEL 06-6252-3966)


             新中期経営計画「NEXT-2020 Final」の策定について
                      ( 2019 年 度 ~ 2021 年 度 )


    当社は、2010 年度から取り組みを進めてきた「2020 年度 1 兆円企業ビジョン」の総仕上げとして、
2019 年度から 2021 年度までの 3 カ年を実行期間とする中期経営計画「NEXT-2020 Final」を策定
しましたので、お知らせします。


1.中期経営計画「NEXT-2020 Final」の位置付け
     当社は、2010 年度を初年度とし、2020 年度までに売上高1兆円を目指す長期成長ビジョン「2020
    年度 1 兆円企業ビジョン」を掲げ、その実現に向けて取り組みを進めてきました。
     NEXT-2020 の歩みを振り返りますと、2010 年度~2012 年度の中期経営計画「NEXT-2020
    Ver.1」では 1 兆円企業ビジョン実現のための地盤固めを、また、2013 年度~2015 年度の中期経営
    計画「NEXT-2020 Ver.2」では、1 兆円企業ビジョンに向けての成長・飛躍のための取り組みを進
    めました。そして、2016 年度~2018 年度の前中期経営計画「NEXT-2020 Ver.3」では、
                                                       「構造改
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    革と持続成長へのさらなる挑戦」をキーワードに、 兆円企業ビジョン実現に向けての体質づくりに
    取り組みました。また、この 9 年間、これら中期経営計画の実行を通じて、医療や農業・食品など人
    のくらしに関わる事業領域を拡大しながら、産業ガスやケミカルなど産業系事業の収益力を強化す
    ることで、常に安定した収益を目指す「全天候型経営」の構築を図りました。
     その結果、長期成長ビジョン開始時の 2009 年度業績と比較すると、2018 年度の当社グループの
    売上高は 4,264 億円から約 1.9 倍となる 8,015 億円に拡大するとともに、経常利益は 290 億円から
    約 1.6 倍となる 470 億円に拡大し、着実な企業成長を実現することができました。
     今回の中期経営計画「NEXT-2020 Final」は、
                                「2020 年度 1 兆円企業ビジョン」の総仕上げを行
    うための期間として位置付け、その実現を目指します。なお、ケミカル関連の構造改革のためにコー
    ルケミカル事業を譲渡した影響などがあることから、2021 年度における実現を計画しています。
     当社グループの最大の強みは、事業ポートフォリオにおける産業系事業と生活系事業の最適バラ
    ンスを志向しながら常に安定した収益を目指す「全天候型経営」と、環境変化に俊敏に適応する中堅
    企業群が持続的な成長を果たす「ねずみの集団経営」の2つの経営モデルがもたらす、多彩なコング
    ロマリット(複合企業)であることです。この独自の経営モデルにさらなる磨きをかけながら、
    過去にとらわれずイノベーションに挑戦し続け、各事業分野において具体的な戦略を着実に実行す
    ることで、本中期経営計画「NEXT-2020 Final」の達成に取り組んでまいります。



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2.基本方針
 <コンセプト>



             革新=イノベーションの実行
        エア・ウォーター創業の原点に立ち返り、持続的成長を可能とする強い会社を作り上げる。


 本中期経営計画の基本コンセプトは、「革新=イノベーションの実行」です。売上高 1 兆円の達成と
 2022 年度以降の持続的成長を可能とする強い会社を作り上げるため、環境変化を見据えたビジネス
 モデルの「革新」を促進する基本方針とそれに連動する経営施策を実行します。


 <基本方針および経営施策>
        -6つの「革新」を生み出す経営施策-                 -連動施策-
              基本方針         具体的な取り組み        M&Aの推進と
                         海水カンパニーの新設       新たなシナジーの発現
 成長機会    ①ポートフォリオの革新
                         海外への展開
         ②カンパニー事業構造の革新   大黒柱となる事業の明確化    グループ会社再編による
 成長基盤
         ③地域事業政策の革新      画一的事業の見直し       収益力向上・ガバナンス強化

         ④本社管理部門の革新
 成長の                     イノベーションを実現する
         ⑤人材育成の革新                        マーケット・インによる
 原動力                     組織力の強化など
         ⑥社会的価値創造の革新                      製品開発力の強化


■成長機会:新たな事業の柱を構築し、事業の創出を実現する
 ①ポートフォリオの革新・・・海水カンパニーの新設と海外展開の推進
  本年 4 月に実施した組織変更により、国内製塩トップの㈱日本海水と工業用マグネシア製品メーカ
 ーのタテホ化学工業㈱の2社を傘下に置く海水カンパニーを新設しました。海水技術の研究開発を強
 化するとともに、M&A の推進により環境事業をはじめとした既存事業の拡大と新規事業の育成を図
 り、海水に由来するビジネスの拡大を進めます。
  また、海外展開では、引き続き北米・アジアの2地域において、競争力のある事業基盤の構築を進
 めてまいります。北米では、エンジニアリング分野を基軸としてガス供給事業への参入も見据えた事
 業展開を行います。アジアでは、東南アジアやインドを重点地域として事業拡大に取り組みます。


 ■成長基盤:「全天候型経営」と「ねずみの集団経営」を徹底して追求する
 ②カンパニー事業構造の革新・・・大黒柱となる事業の明確化
  各カンパニーの大黒柱となる事業の明確化を図ります。また、大黒柱となる事業を支える新たな事
 業群を M&A 等で充実化することで、全社のみならず各カンパニーにおいても、事業環境に左右され
 ず、着実に収益を積み重ねることができる事業体を目指します。




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 ③地域事業政策の革新・・・画一的事業の見直し
  北海道から九州までの全国 8 地域に展開する地域事業会社は、これまでの産業ガス・医療・エネル
 ギーに関する事業領域に留まらず、当社グループが有する多彩な技術・製品・サービスを活用しなが
 ら新たな市場開拓に取り組みます。これにより、その地域ならではのビジネス創造と事業間シナジー
 を創出し、国内における強固な収益基盤を構築してまいります。


 ■成長の原動力:イノベーションを実現する組織力の強化
 ④本社管理部門の革新
  様々な事業領域に広がった当社グループの事業上の課題を先取りし、事前に対処することができる
 本社管理部門を目指します。特に、拡大する海外事業への対応が急務であり、法務や経営管理機能を
 強化します。また、既に導入した基幹業務システムを活用し、管理業務の標準化・効率化をより一層
 進めます。
 ⑤人材育成の革新
  人材を資源として捉え、教育と育成に重点を置いた人事施策の改革を行います。グループ全体にお
 ける人材の流動性を高め、最適な人材配置を行うほか、女性活躍推進、積極的な若手の登用、定年延
 長等の施策を推進し、多様な発想や能力をもった社員がより一層活躍できる環境をさらに整備し、経
 営環境の変化に的確に対応できる企業体を目指します。
 ⑥社会的価値創造の革新
  ESG に関するマテリアリティと KPI(重要業績評価指標)を明確化するとともに、社員一人ひとり
 が地球環境や様々な社会の課題に真摯に向き合う風土作りを実践します。


 上記に掲げた「6つの革新」を生み出す経営施策を実行しながら、持続的成長に資する連動施策を推
進し、1 兆円企業ビジョンの達成と次世代の成長を生み出してまいります。


 ■連動施策:1 兆円企業ビジョンの達成と 2022 年以降の成長を目指して
 (1)M&A の推進と新たなシナジーの発現
  当社グループは、これまで M&A を中核とした成長戦略を推進することで、飛躍的な事業規模の拡
 大と事業の多様化を実現してきました。これまでに培った M&A とその後のシナジー発揮に関するノ
 ウハウを最大限に活用しながら、今後も引き続き M&A を積極的に推進することで、既存事業とのシ
 ナジー効果が見込める成長分野での事業拡大を図ります。
  なお、M&A については、3 ヵ年で総額 700 億円の投資を計画しています。実行にあたっては、新
 たに設置した投資委員会により案件の厳選を行うとともに、資本効率を追求した戦略投資を行います。
 (2)グループ会社再編による収益力向上・ガバナンス強化
  収益力向上とガバナンス強化を主な目的に、現状のグループ会社数(263 社)が約 6 割となるよう
 に再編します。
 (3)マーケット・インによる製品開発力の強化
  研究開発体制の強化と技術開発を促進し、メーカーとしての色合いが強い企業体質への転換を目指
 します。本年 4 月にはエンジニアリング体制を再整備するとともに、医療・ヘルスケア、農業・食品
 分野の研究開発に特化したエア・ウォーター・バイオデザイン㈱を設立しました。さらに 2020 年度
 には、海水総合研究所の開設を計画しています。


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3.経営目標
  業績目標と経営指標は次のとおりです。本中期経営計画の最終年度となる 2021 年度に売上収益
 1 兆円、営業利益 600 億円、親会社の所有者に帰属する当期利益 370 億円を目標として設定しまし
 た。
 (注)当社グループは、2019 年度より IFRS を任意適用したため、本中期経営計画はすべて IFRS に準拠して算
    出した数値を記載しています。また、2018 年度の業績数値も、IFRS に準拠して算出した数値を記載してい
    ます。


 <業績目標>                                                                        (単位:億円)
                 「NEXT-2020
                                    中期経営計画「NEXT-2020 Final」
                   Ver.3」                                                      3 ヵ年成長率
                  2018 年度         2019 年度          2020 年度         2021 年度
  売上収益                  7,416         8,300                9,000      10,000      134.8%
  営業利益                      427         480                 530          600      140.6%
  営業利益率                 5.8%           5.8%                5.9%         6.0%          -
  当期利益       ※              283         300                 330          370      130.7%
 ※親会社の所有者に帰属する当期利益


 <経営指標>
                                  2018 年度          2021 年度
  ROE   ※1                            10.3%               10.8%
  ROA   ※2                            5.7%                6.2%
  海外売上収益比率        ※3                    5%                 10%
 ※1 「親会社の所有者に帰属する当期利益」÷「親会社の所有者に帰属する持分」
 ※2 「税引前利益」÷「資産合計」
 ※3 エンジニアリングをはじめとした事業領域でグローバル化を加速するため、新たに「海外売上収益比率」を
    経営指標として設定


 <財務指標>
                                      「NEXT-2020 Final」
                                              2021 年度
      親会社所有者帰属持分比率                                37%
        ネット D/E レシオ※1                             0.9 倍


 ※1 「ネット有利子負債」÷「親会社の所有者に帰属する持分」


なお、積極的な成長投資により、最終年度の 2021 年度では一時的に、親会社所有者帰属持分比率が 37%、ネット
D/E レシオが 0.9 倍となりますが、2022 年度以降の次期中期経営計画では、より収益性・効率性を重視した成長戦
略に取り組み、親会社所有者帰属持分比率 40%、ネット D/E レシオ 0.75 倍の財務指標を維持する方針です。


 <株主還元>
  配当方針は、配当性向 30%を目標とし、将来にわたって業績に見合った安定的な配当を行いま
 す。



                                              4
4.投資計画
  本中期経営計画では、事業の成長や収益力の改善、発電事業の立ち上げや海外展開のさらなる強
 化を目指し、引き続き積極的な投資を行います。3 ヵ年の投資額は、M&A と設備投資を合わせて、
 2,400 億円を計画しています。


 <投資計画>
                            「NEXT-2020 Final」
          投資区分
                              2019~2021 年度
          M&A 投資                  700 億円
          戦略投資(新規・増設)            1,300 億円
 設備投資
          通常投資(維持・更新)             400 億円
           合 計                   2,400 億円


5.事業による社会課題解決への貢献
  当社グループは、空気や水といった地球資源を活用し、暮らしや産業にとって必要不可欠となる
 価値ある製品やサービスを持続可能な形で安定的に提供しています。また、多彩な事業の複合体と
 いうメリットを最大限に発揮して、様々な社会課題の解決に事業活動を通じて貢献できると考えて
 います。
  本中期経営計画では、当社グループが社会課題の解決に向けて特に貢献できる分野として、「安
 全・安心・防災」「ヘルスケア」「クリーンエネルギー」「水・環境」の 4 分野を定めました。
         、      、          、
  また、当社グループは、2018 年に「地球の恵みを、社会の望みに。」というブランドステートメ
 ントを発表しました。現在、社員一人ひとりが、社会に目を向け、耳を傾けながら、様々な社会課
 題の解決に果敢に挑戦する風土を醸成しています。引き続き、社会から信頼され、なくてはならな
 い存在であり続けるため、新たな価値創造に努めてまいります。


                                                以   上




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