4004 昭電工 2020-05-15 17:30:00
2020年第1四半期 決算説明資料 [pdf]
こころと社会を“動かす”企業
昭和電工株式会社
2020年第1四半期 決算説明資料
2020年5月15日発表
代表取締役 常務執行役員 CFO
竹内 元浩
本資料に掲載されている業績予想等の将来に関する記述は、本資料の発表日現在において入手可能な情報及び将来の業績に影響を与える
不確実な要因に係る本資料発表日現在における仮定を前提としています。なお、法令に定めのある場合を除き、当社はこれらの将来予測に基づく
記述を更新する義務を負いません。実際の業績は、今後様々な要因によって大きく異なる結果となる可能性があります。業績に影響を与える要素
には、新型コロナウィルス感染症拡大が世界経済に与える影響、経済情勢、ナフサ等原材料価格、黒鉛電極等製品の需要動向及び市況、為替
レートなどが含まれますが、これらに限定されるものではありません。
連結対象会社(前期末対比)
連結子会社: 61社 (増減なし)
持分法適用会社: 11社(増減なし)
主要諸元 (期中平均)
2019年1-3月 2020年1-3月 増減
為替レート
(円/US$) 110.2 108.9 1.3円高
(円/€) 125.2 120.1 5.0円高
国産ナフサ (円/KL) 41,200 44,800 3,600
アルミ地金
LME (US$/T) 1,881 1,713 △168
国内市況 (千円/T) 258 236 △22
(国内市況価格は日本経済新聞掲載値)
※2019年12月期末レート109.6 円/US$ 2020年3月期末レート108.8 円/US$ ⇒0.7円円高
昭和電工㈱2020年第1四半期決算説明資料 2
連結業績の概要 (億円)
2019年 2020年
増減
1-3月 1-3月
売上高 2,347 1,717 △630
営業利益 454 25 △429
営業外損益 △12 8 19
金融収支 0 1 0
持分法投資損益 △5 4 9
為替差損益 2 6 3
その他 △9 △3 6
経常利益 442 32 △410
特別利益 3 17 14
特別損失 △7 △15 △8
税金等調整前四半期純利益 438 35 △403
法人税等 △95 3 98
四半期純利益 343 38 △305
非支配株主に帰属する四半期純利益 △12 △11 1
親会社株主に帰属する四半期純利益 331 27 △304
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特別損益の内訳
(億円)
2019年1-3月 2020年1-3月 増減
特別利益 3 17 14
固定資産売却益 0 15 15
その他 3 2 △1
特別損失 △7 △15 △8
固定資産除売却損 △5 △8 △4
その他 △2 △7 △5
特別損益 △4 2 6
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セグメント別売上高・営業利益差異内訳(1)
(億円)
2019年 2020年
増減 項目
1-3月 1-3月
オレフィン:減収 (数量減、市況低下)
売上高 627 550 △77 有機:減収(酢ビ・酢エチ:定修に伴う数量減、市況低下)
サンアロマー:減収(市況低下)
石油化学 オレフィン:減益(数量減、スプレッド圧縮)
営業利益 40 △2 △41 有機:減益(酢ビ・酢エチ:定修に伴う数量減)
サンアロマー:減益(市況と原料価格低下のタイムラグ)
基礎化学品:減収
(クロロプレンゴム:減収(輸出数量減)、
アンモニア・AN:前年同期並み)
売上高 360 363 3 情報電子化学品:増収(半導体業界向け回復し数量増)
産業ガス:前年同期並み
化学品 機能性化学品:減収(中国向け数量減)
コーティング材料:前年下期新規連結
基礎化学品:減益(クロロプレンゴム:輸出数量減)
営業利益 24 23 △1 情報電子化学品:増益(半導体業界向け回復し数量増)
産業ガス:小幅減益
機能性化学品:減益(中国向け数量減)
HD:増収(数量増)
売上高 206 236 30 化合物半導体:増収(輸出向け数量増)
リチウムイオン電池材料:前年同期並み
SiCエピタキシャルウェハー:小幅減収 (国内堅調も輸出数量減)
エレクトロ
ニクス HD:増益(データセンター向け数量増)
営業利益 △3 10 13 化合物半導体:前年同期並み
リチウムイオン電池材料:増益(負極材構造改革)
SiCエピタキシャルウェハー:減益(数量減、開発費増)
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セグメント別売上高・営業利益差異内訳(2) (億円)
2019年 2020年
増減 項目
1-3月 1-3月
セラミックス:減収(研削材・電子材料用ファインセラミックス:
売上高 724 214 △510 数量減)
電極:大幅減収(減産強化による数量減、市況低下)
無機
営業利益 395 8 △387 セラミックス:減益
電極:大幅減益(減産強化による数量減、スプレッド圧縮)
圧延品:減収(コンデンサー用高純度箔:数量減)
売上高 238 192 △46 機能部材:減収(自動車向け部材数量減)
アルミ アルミ缶:減収(国内・ベトナム:数量減)
ニウム 圧延品:前年同期並み
営業利益 3 0 △2 機能部材:小幅増益(前期減損計上による償却費減)
アルミ缶:減益(国内・ベトナム:数量減)
売上高 324 286 △38 昭光通商:減収(製品市況の下落)
その他
営業利益 3 2 △1
売上高 △131 △123 8
調整額
営業利益 △8 △17 △9
売上高 2,347 1,717 △630
合計
営業利益 454 25 △429
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連結貸借対照表 (億円)
2019年 2020年 2019年 2020年
資産 増減 負債・純資産 増減
12月末 3月末 12月末 3月末
現預金 1,221 1,155 △66 営業債務 1,175 1,030 △145
営業債権 1,703 1,528 △175 有利子負債 2,985 3,251 266
たな卸資産 1,737 1,874 137 退職給付に係る負債 100 94 △5
その他 310 294 △16 その他 1,309 1,204 △106
流動資産計 4,971 4,851 △119 負債計 5,569 5,579 10
建物・構築物 798 773 △25 資本金 1,406 1,406 0
機械装置・運搬具 1,407 1,368 △39 資本剰余金 789 789 △0
土地 2,264 2,253 △11 利益剰余金 2,492 2,407 △85
その他有形固定資産 263 328 65 自己株式 △117 △117 △0
有形固定資産計 4,732 4,722 △10 株主資本計 4,571 4,485 △85
無形固定資産 226 227 1 その他有価証券評価差額金 98 1 △97
投資その他の資産 835 715 △120 繰延ヘッジ損益 4 △9 △14
(内、投資有価証券) 718 573 △144 土地再評価差額金 331 328 △2
為替換算調整勘定 41 △12 △53
退職給付に係る調整累計額 △51 △53 △2
その他の包括利益累計額計 423 255 △168
非支配株主持分 201 196 △5
固定資産計 5,793 5,665 △129 純資産計 5,194 4,936 △258
資産合計 10,764 10,516 △248 負債・純資産合計 10,764 10,516 △248
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総資産・有利子負債・D/Eレシオ・自己資本比率
2019年12月末 2020年3月末 増減
総資産 10,764億円 10,516億円 248億円減
有利子負債 2,985億円 3,251億円 266億円増
D/Eレシオ 0.60倍 0.69倍 0.09p増
自己資本比率 46.4% 45.1% 1.3p減
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(ご参考)四半期別連結営業利益推移
全 社
(億円) 2020年推移
2019年推移
700
600
500
454
401
400
300
238
200
115
100
25
0
1Q 2Q 3Q 4Q
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(ご参考)セグメント別営業利益推移
石油化学セグメント 化学品セグメント
(億円) 2020年推移 (億円)
2020年推移
80 2019年推移 90 2019年推移
60
50 48
45
40
39 41
40
31
30
24 23
20
0
1Q△ 2 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q
△ 10
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(ご参考)セグメント別営業利益推移
エレクトロニクスセグメント 無機セグメント
(億円) 2020年推移 (億円) 2020年推移
90 2019年推移 500 2019年推移
80
395
70 400
60 323
300
50
40
200
30
131
20 19
20 100
10 12
10 44
8
0 0
1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q
△ 10 △3
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(ご参考)セグメント別営業利益推移
アルミニウムセグメント その他セグメント
2020年推移 2020年推移
(億円) (億円)
2019年推移 2019年推移
30 30
25 25
20 20
15 15
10 9 10 9
5 5
3 3 3 3 3
2 2
0
0 0
1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q
昭和電工㈱2020年第1四半期決算説明資料 12
セグメント別トピックス
【全社施策】
●日立化成㈱株式に対する公開買付けの結果及び子会社(孫会社)の異動に関するお知らせ
●資金調達、連結子会社の減資及び特定子会社の異動に関するお知らせ
詳細につきましては、2020年4月21日に開示いたしましたリリース文をご参照ください。
●使用済プラスチックのケミカルリサイクル事業が「第29回地球環境大賞」にて「日本経済団体連合会会
長賞」を受賞
2020年2月、フジサンケイグループ主催の「第29回地球環境大賞(注)」において「日本経済団体連合会会長賞」を
受賞した。
使用済プラスチックのケミカルリサイクル事業を2003年から展開しており、川崎事業所において、回収された使用
済プラスチックを熱分解によりガス化し、水素や一酸化炭素を取り出し、一酸化炭素は炭酸製品、水素はアンモニア
と化学品原料として利用している。また、燃料電池車やホテルに設置された燃料電池での発電用として供給するな
ど、低炭素社会実現に向けた取り組みにも貢献している。使用済プラスチックを焼却処理しないことによるCO2排出
削減だけでなく、陸上での資源循環を推進し、海洋流出するプラスチックの削減に寄与する取り組みであることを高く
評価頂き、今回の受賞に至った。
本ケミカルリサイクル事業を始め、鉄のリサイクルに必ず使われる黒鉛電極の世界各地への供給や、回収済アル
ミ缶を新たなアルミ缶として製造するアルミ缶リサイクル活動(can-to-can)に日本で初めて取り組むなど、環境に
配慮した事業活動を積極的に推進している。
(注)1992年に産業界を対象とする顕彰制度として、フジサンケイグループが公益財団法人世界自然保護基金(WWF)ジャパンの
特別協力を得て創設した賞。本制度は地球温暖化防止や循環型社会の実現に寄与する新技術・新製品の開発、環境保全活動・
事業の促進や、地球環境に対する保全意識の一段の向上を目的としており、これらに関して顕著な功績が認められる企業などに
贈られる。
昭和電工㈱2020年第1四半期決算説明資料 13
セグメント別トピックス
【全社施策】
●人工知能(AI)を用いた設備投資審査知見活用システムを導入
生産設備等投資の社内審査において、これまでの審査で蓄積された設備の安全・安定稼働に関わる知見をより
有効的、効率的に活用するため、人工知能(AI)を用いたデータベース検索システム「KIBIT(注)」を導入し、2020年1月
末より運用を開始した。
KIBITは、専門家や業務熟練者が備える“暗黙知”を再現した人工知能で、添付ファイルを含む文書情報から、キー
ワードだけでなく文脈も捉え文章の特徴量を抽出し、類似性の判断が可能で、審査員の経験に依存することなく過去
の類似案件を抽出できる。社内の導入テストでは、類似案件の検索から類似性判断までの時間が従来の1/10近くに
まで短縮できる効率性の高さを確認した。また、複数の類似案件を同時に抽出でき、設備安全対策に関わる知見を
最大限活用することが可能となる。
今後、本システムを設備投資時審査で本格運用するとともに、生産現場の事故・異常情報にも応用展開する検討
を進めていく。
(注)㈱FRONTEOが開発した、同社独自の機械学習アルゴリズムを用いた人工知能。高い自然言語処理技術を持ち、少量の教師デー
タで短時間での高精度な解析が可能なことを特長とする。
●球状アルミナの生産性および品質安定化に寄与するAI画像解析システムを開発
BLUE TAG㈱と共同で、AIを用いた球状アルミナの画像解析システムを開発し、2020年上期から生産ラインでの
活用を開始する。
当社の球状アルミナは、形状が均一で品質が安定しており、また流動性や充填性に優れていることから、電子部
品の放熱シート等の充填材やブラスト材等に使用されている。
今回開発したAIによる画像解析システムは、熟練運転員の判断を教師データとする過程において同社の持つ
ミクロ画像処理における高い技術を応用したもので、従来型の画像解析ソフトで困難だった熟練運転員の経験知を
可視化し、数値化したデータを迅速に生産工程へフィードバックして品質安定化につなげることを目的としている。
導入テストでは約20秒で熟練運転員と同等レベルの判定を行い、充分な判定能力を備えていることを確認した。
本システムは再学習に向けたデータ構築機能を併せ持ち、生産ラインでの運用を通じた精度向上が可能であり、
これにより品質・生産性のさらなる向上を図っていく。
昭和電工㈱2020年第1四半期決算説明資料 14
セグメント別トピックス
【全社施策】
●AIの活用によりフレキシブル透明フィルム開発の迅速化を実証
当社、国立研究開発法人産業技術総合研究所、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、先端
素材高速開発技術研究組合は、2020年4月、モバイル機器などの開発に欠かせないフレキシブル透明フィルム(注1)
の設計にAIを活用し、要求特性を満たすフィルムの開発の実験回数を25分の1以下に低減できることを実証した。
本開発は、経験知をもとにした従来の材料開発からの脱却を目指し、AIやマルチスケールシミュレーション(注2)を
積極的に活用して従来の材料開発に比べ実験回数を削減し、開発期間の大幅な短縮を目指す、国立研究開発法人
新エネルギー・産業技術総合開発機構の「超先端材料超高速開発基盤技術プロジェクト」の委託事業として実施して
いる。
今回の実験により、AIが予測した配合により作成した3種類のフィルムが、熟練研究員が作成した25種類のフィル
ムに比べていずれも優れた物性値を得られたことから、研究員による開発に比べて25分の1以下と開発期間の大幅
な短縮が可能となることが実証できただけでなく、研究員の経験知に基づいた製品を超える製品開発の可能性も
実証した。
今後は、本技術をさらに高度化させ、要求特性を満たしながらより良い物性値となる配合比をAIが提案できるよう
開発を進めていく。
(注1)自由に歪曲できる透明なフィルムで、タッチパネル用透明伝導性基材、フレキシブル回路用基材、フレキシブルディスプレイ用
基材など幅広い分野への利用が考えられる。
(注2)ミクロ領域では、原子、分子、マクロ領域で流体や連続体までの幅広い範囲を密度、流速密度、エネルギー密度を共通言語として
双方向につなげたシミュレーションのこと。
昭和電工㈱2020年第1四半期決算説明資料 15
セグメント別トピックス
【化学品セグメント】
●電子材料用高純度ガス事業 上海第2工場建設を決定
2020年1月に連結子会社「上海昭和電子化学材料有限公司(SSE)」の隣接地に第2工場用地を取得(注)し、高純度
N2O(亜酸化窒素、年産能力1,000トン)および高純度C4F8(オクタフルオロシクロブタン、年産能力600トン)の生産設備
と、高圧ガス危険物倉庫を建設することを決定した。本第2工場は2021年下半期より稼働予定。
高純度N2Oは半導体やディスプレイ生産時の酸化膜の酸素源として、高純度C4F8はその酸化膜の微細加工(エッチ
ング)などに使用される特殊ガス。高純度N2Oを日本(川崎事業所)と韓国で、高純度C4F8を川崎とSSEで生産してい
る。第5世代移動通信(5G)など情報通信分野の発展と中国政府による産業育成政策により、中国市場はさらなる拡
大が見込まれている。SSE第2工場新設により中国市場での安定供給対応力を高める“地産地消”施策を進めていく。
中国において年々化学品への規制強化が進んでいることから、同国内に自社所有の高圧ガス危険物倉庫を保有
することは、サプライチェーンの強化、競争力向上に大きく寄与する。当社の持つ生産・品質管理技術を組み合わせ、
お客様に最適な供給体制の整備を通じて本事業を強化していく。
また、台湾においても半導体の生産拡大に対応し、連結子会社「台湾昭和化学品製造股份有限公司」において
高純度C4F8の生産設備を新設する(年産能力150トン、2020年春稼働予定)。
(注) 50年間の土地使用権の取得
●不飽和ポリエステル樹脂およびビニルエステル樹脂事業の生産体制を最適化
2020年1月、不飽和ポリエステル樹脂(UP)およびビニルエステル樹脂(VE)事業の収益性向上を図るため、両事
業の国内生産について2021年6月末を目途に伊勢崎事業所の生産ラインの一部を停止し、龍野事業所に集約する
ことを決定した。
機能性高分子事業は、国内2拠点、中国2拠点、タイ1拠点の生産ラインを有し、UPは主に住宅・建設資材用途や
自動車関連用成形材料、VEは主に耐食・耐薬品や電子材料用途を中心に展開している。UP・VE市場は、海外では
中国・ASEANを中心として住宅建築やインフラ投資、自動車産業の成長を背景に需要が拡大しているが、国内は
主用途である住宅資材向けが新規住宅着工件数の減少等により市場規模が縮小している。このため、国内における
UP・VEの生産を龍野事業所に集約して生産体制を最適化するとともに、高付加価値で需要が拡大しているインフラ
分野等に注力し、海外は中国・ASEANを含め高収益が期待できる分野を対象とすることで収益性向上を図ることと
した。なお、伊勢崎事業所は引き続き電子材料向け高機能性樹脂の開発・製造に注力していく。
昭和電工㈱2020年第1四半期決算説明資料 16
セグメント別トピックス
【エレクトロニクスセグメント】
●HDDの次世代記録技術HAMR対応のHDメディアの製造技術を開発
ハードディスクドライブ(HDD)の次世代記録技術である熱アシスト磁気記録(HAMR)(注)に対応する次世代HDメディ
アの製造技術を開発した。
クラウドサービスの普及や動画コンテンツの急拡大により世界のデータ量は急拡大しており、大量のデータを保管
するデータセンターではより大容量のHDDが求められている。HDメディアは磁性体粒子の極性により情報を記録する
が、従来の磁気記録方式はデータ記録密度の向上スピードが鈍化しており、HAMR等の新しい記録方式と、それらに
対応する次世代HDメディアが求められている。
HAMR対応HDDの製品化に貢献するため、現在の最先端HDメディアの数倍もの高い保磁力を有しながら、結晶粒
径の微細化と最適な分散制御により低ノイズを実現し、電磁変換特性・耐久性ともに業界最高レベルに達するHDメ
ディアの製造に成功した。
世界最大のHDメディア専業メーカーとして、“ベスト・イン・クラス”をモットーに、HDDの記録容量を左右するキー
パーツであるHDメディアにおいて世界最高クラスの製品をいち早く市場に投入し、HDDのさらなる高容量化に貢献し
ていく。
(注)HAMR(Heat Assisted Magnetic Recording):微細な粒子構造、耐熱揺らぎ性能、磁化のしやすさの3要素を同時に満足させること
が困難な状態を指す「磁気記録のトリレンマ」を解決するために、記録時に磁性膜を局所的に加熱して記録する方法。従来の磁気
記録方法を用いたHDメディアの記録密度が約1.14Tb/in2であるのに対し、HAMR技術を使用した場合、将来には5~6Tb/in2を実現
できると言われており、同じディスク枚数であれば、3.5インチHDD1台当たり70~80TB程度の記録容量が実現可能と想定されて
いる。
昭和電工㈱2020年第1四半期決算説明資料 17
セグメント別トピックス
【エレクトロニクスセグメント】
●リチウムイオン電池向け包材「SPALF®」、車載大型製品向け量産設備導入を決定
連結子会社「昭和電工パッケージング㈱」は、リチウムイオン電池(LIB)の包材であるアルミラミネートフィルム
「SPALF®」について、車載向けなど大型用途向けに特化した新製品を開発し、量産化設備の導入を決定した。新設備
は2021年3月に稼働の予定。
SPALF®は、樹脂とアルミ箔をラミネートしたフィルムで、パウチ型LIBの包材として使用される。パウチ型LIBは形状
の自由度が高く軽量で、近年は品質の高さが認められて安全性の評価が進んでいることから、電気自動車(EV)向け
を始めとした大型用途でも採用が拡大している。
中国に続き欧州でもEV開発が進み、パウチ型LIB包材の需要は高まっており、LIB全体の世界需要(容量ベース)
は、2025年まで年率30%の成長が予想(注)されている。
SPALF®をはじめ、正負極材添加剤VGCF®、水系バインダー樹脂ポリゾール®をLIB部材として取り揃え、これらの
製品の拡販を通じて、LIB市場の成長や高機能化に貢献するとともに、先端電池材料分野における個性派事業の
確立を目指す。
(注)当社推定
昭和電工㈱2020年第1四半期決算説明資料 18
セグメント別トピックス
【無機セグメント】
●黒鉛電極事業欧州生産拠点見直しについて労使協議開始
2020年2月、連結子会社「SHOWA DENKO CARBON Products Germany GmbH & Co. KG」および「SHOWA DENKO
CARBON Germany GmbH」のドイツ・マイティンゲンにある黒鉛電極の継手(注)の生産拠点閉鎖について、労使協議を
開始した。当該拠点閉鎖後、継手の生産は大町事業所に集約する。本拠点閉鎖により、当社全体の生産能力は、年
産4万t減少の同21万tになる。
黒鉛電極事業は、高品質UHP市場においてグローバルトップのシェアを有する事業だが、2019年下半期より、顧客
である電炉鋼メーカーにおける黒鉛電極の在庫調整が続いており、特に景気減速が目立つ欧州市場において稼働率
の低下が生じている。
さらに、同じく連結子会社のオーストリア・スティーグの生産拠点において、既に期間を限定した一時帰休に向けて
の労使協議も開始しており、本件と併せ欧州での稼働調整を図る。
今後もお客様にとっての“Value in Use No.1”の達成を目指し、これまで以上に競争力と収益性を高めるための施策
を実行していく。
(注)継手:黒鉛電極の本体部分(ロッド)同士を継ぎ足す際の接合部
昭和電工㈱2020年第1四半期決算説明資料 19