4004 昭電工 2020-03-23 15:00:00
日立化成株式会社株式(証券コード 4217)に対する公開買付けの開始に関するお知らせ [pdf]

                                                       2020 年3月 23 日
各    位

                           上場会社名   昭   和   電   工   株     式   会   社
                           コード番号   4004                東証第一部
                           代表者     代表取締役社長         森川 宏平
                           問合せ先    CSR・総務部 広報室長    結城 久美子
                                               TEL(03)-5470-3235


                           会 社 名   HC ホールディングス株式会社
                           代表者名    代表取締役           和久津 英史
                           問合せ先                同上



            日立化成株式会社株式(証券コード 4217)に対する
                 公開買付けの開始に関するお知らせ



 昭和電工株式会社(以下「昭和電工」といいます。        )の完全子会社である HC ホールディングス株式会社
(以下「公開買付者」といい、公開買付者と昭和電工を総称して、以下「公開買付者ら」といいます。           )は、
公開買付者らが 2019 年 12 月 18 日付「日立化成株式会社株式(証券コード 4217)に対する公開買付けの開
始予定に関するお知らせ」にて公表しておりましたとおり、同日、公開買付者の代表取締役において、公開
買付者が、日立化成株式会社(コード番号 4217、株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」とい
います。)市場第一部上場、以下「対象者」といいます。        )の普通株式(以下「対象者株式」といいます。  )
を金融商品取引法(昭和 23 年法律第 25 号。その後の改正を含みます。以下「法」といいます。      )による公
開買付け(以下「本公開買付け」といいます。        )により取得することを決定しておりました。
 本公開買付けは、国内外(日本、中国、韓国、米国、欧州連合及び台湾)の競争法に基づく必要な手続及
び対応が完了すること等一定の事項が充足されること(又は公開買付者により放棄されること)を本公開買
付け開始の前提条件(詳細は、下記「1.買付け等の目的等」の「      (1)本公開買付けの概要の(注1)
                                                    」を
ご参照ください。  )としており、公開買付者らは、当該前提条件が充足された場合(又は公開買付者により
放棄された場合)  、速やかに本公開買付けを開始することを予定し、2020 年2月頃には本公開買付けを開始
することを目指しておりましたが、公開買付者らが 2020 年2月 28 日付「日立化成株式会社株式(証券コー
ド 4217)に対する公開買付け実施に向けた進捗状況のお知らせ」にて公表しておりましたとおり、各国に
おける競争法に基づく手続及び対応のうち、一部の国における競争法に基づく手続及び対応に時間を要して
おり、本公開買付けの開始時期は、2020 年3月以後となることが見込まれておりました。今般、公開買付
者らは、当該前提条件が全て充足されたことを確認したため、本日、昭和電工の取締役会及び公開買付者の
代表取締役において、本公開買付けを 2020 年3月 24 日より開始することを決定いたしました。

                            記

1.買付け等の目的等

(1)本公開買付けの概要
     公開買付者は、昭和電工が、その発行済株式の全てを所有する昭和電工の完全子会社であり、株式又
    は持分を所有することにより、対象者の事業活動の支配及び管理を行うことを主たる目的として、2019
    年 12 月9日に設立された株式会社で、本日現在、公開買付者らは対象者株式を所有しておりません。
    なお、公開買付者の概要は以下のとおりです。

                            -1-
公開買付者の概要
 ① 所在地             東京都港区芝大門一丁目 13 番9号
 ② 代表者の役職・氏名       代表取締役 和久津 英史
 ③ 会社の目的及び事業の      【会社の目的】
   内容              以下の事業を営むこと、並びに、以下の事業を営む会社の株式又は
                   持分を所有することにより、当該会社の事業活動の支配及び管理を
                   行うことを目的とする。
                   1.電気絶縁材料及び電気機械器具の製造及び販売
                   2.電子材料及び電子部品の製造及び販売
                   3.電池、キャパシタ並びにそれらの応用製品の製造及び販売
                   4.合成樹脂、その他有機化学製品及びそれらの応用加工製品、環
                      境設備機器の製造及び販売
                   5.住宅機器及び建築材料の製造及び販売
                   6.窯業製品、炭素製品、その他無機化学製品及びそれらの応用製
                      品の製造及び販売
                   7.医薬品及び医療機器の製造及び販売
                   8.粉末冶金、特殊金属及びそれらの応用製品の製造及び販売
                   9.電気工事、電気通信工事、機械器具設置工事、土木工事、鋼構
                      造物工事、その他建設工事の設計、施工、監理及び請負
                   10.前各号に関連する一切の事業
                   【事業の内容】
                   公開買付者は、株式又は持分を所有することにより、対象者の事業
                   活動の支配及び管理を行うことを主たる目的としています。
 ④ 資本金             1円(2020 年3月 23 日現在(注)
                                       )
(注)公開買付者は、本公開買付けに係る決済の開始日(以下「本決済開始日」といいます。           )の前営
   業日までに、①前提条件書類の提出、②払込不能事由の不存在、③一定の銀行口座の開設・維
   持、④関連契約の締結、維持、⑤重要な表明保証違反の不存在、⑥重要な義務違反の不存在、
   ⑦一定の請求買取事由の不存在、⑧本公開買付けの成立その他本公開買付けに関する一定の事
   項についての確認、⑨昭和電工が公開買付者の完全親会社であること、⑩投資者に提出した事
   業計画の不変更、⑪対象者を公開買付者の完全子会社とするための取引のストラクチャーの不
   変更、⑫一定の期日までに昭和電工による出資が行われていること、⑬本銀行融資(以下に定
   義します。    )の実行の確実性、⑭一定のもの以外の対象者グループ(下記「       (2)本公開買付け
   の実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程、並びに本公開買付け後の経営方針」
   の「① 公開買付者らが本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」
   において定義されます。以下同じとします。        )における既存借入金、既存融資枠及び既存担保
   権・保証等の不存在並びに返済・解消の確実性、⑮優先株式の発行のために必要な公開買付者
   の定款変更その他の内部手続の実施、⑯その他優先株式に係る投資契約で特定する事項を条件
   として、株式会社みずほ銀行(以下「みずほ銀行」といいます。         )から A 種優先株式の引受によ
   り 1,850 億円及び株式会社日本政策投資銀行から A 種優先株式の引受により 900 億円を限度とし
   て出資を受ける予定であり、また、本決済開始日の前営業日までに、みずほ銀行から昭和電工
   に対する 2,950 億円を限度とする融資(以下「本昭和電工宛融資」といいます。       )の実行及び本
   公開買付けの成立を条件として、昭和電工から普通株式の引受により 2,950 億円を限度として、
   最大で総額 5,700 億円の出資を受ける予定であり、これらにより公開買付者の資本金の額は
   2,850 億円増加する予定です。

 公開買付者らが 2019 年 12 月 18 日付「日立化成株式会社株式(証券コード 4217)に対する公開買付
けの開始予定に関するお知らせ」にて公表しておりましたとおり、公開買付者は、本公開買付け開始の
前提条件(注1)(以下「本前提条件」といいます。        )が充足された場合(又は公開買付者により放棄さ

                          -2-
れた場合)に、対象者株式を本公開買付けにより取得することを予定しておりました。公開買付者らは、
2020 年2月頃には本公開買付けを開始することを目指しておりましたが、公開買付者らが 2020 年2月
28 日付「日立化成株式会社株式(証券コード 4217)に対する公開買付け実施に向けた進捗状況のお知
らせ」にて公表しておりましたとおり、各国における競争法に基づく手続及び対応のうち、一部の国に
おける競争法に基づく手続及び対応に時間を要しており、本公開買付けの開始時期は、2020 年3月以
後となることが見込まれておりました。今般、公開買付者らは、本前提条件が全て充足されたことを確
認したため(注2)  、2020 年3月 23 日、昭和電工の取締役会及び公開買付者の代表取締役において、
公開買付者が東京証券取引所市場第一部に上場している対象者株式の全て(ただし、対象者が所有する
自己株式を除きます。  )を取得し、対象者を公開買付者の完全子会社とするための取引(以下「本取引」
といいます。  )の一環として本公開買付けを実施することを決定いたしました。

  (注1)①対象者の取締役会により、本公開買付けに賛同する旨の意見表明に係る決議がなさ
      れ、これが法令等に従って公表されており、かつ、かかる意見表明を撤回する又はこれ
      と矛盾する内容の決議が行われていないこと、②本応募契約(以下に定義します。以下
      (注1)で同じです。  )締結日以降、(i)対象者及びその子会社において、金融商品取引
      法施行令(昭和 40 年政令第 321 号。その後の改正を含みます。以下「令」といいます。    )
      第 14 条第1項第1号イ乃至リ及びヲ乃至ソに掲げる事項が決定されておらず、また、
      (ii)対象者において、同項第3号イ乃至チ、第4号及び第5号に掲げる事項が発生して
      いないこと(ただし、上記(i)及び(ii)のいずれについても、発行者以外の者による株券
      等の公開買付けの開示に関する内閣府令(平成2年大蔵省令第 38 号。その後の改正を含
      みます。以下「府令」といいます。     )第 26 条において軽微なものとして定められるものを
      除きます(ただし、同条第4項の適用にあたっては、同項括弧書は適用されないものと
      します。 。 、③本公開買付け又は株式会社日立製作所(以下「日立製作所」といいま
            ))
      す。 )が本応募株式(以下に定義します。       )全てを本公開買付けに応募すること(以下
      「本応募」といいます。  )を制限又は禁止する司法・行政機関等の判断等がなされておら
      ず、かつ、そのおそれもないこと、④本応募契約に基づき日立製作所が履行又は遵守す
      べき義務が重要な点において全て履行又は遵守されていること、⑤本応募契約における
      日立製作所の表明及び保証がいずれも重要な点において真実かつ正確であること、⑥国
      内外(日本、中国、韓国、米国、欧州連合及び台湾)の競争法に基づく各必要許認可等
      について、クリアランスの取得が完了していること、⑦対象者から、公表(法第 166 条第
      4項に定める意味を有します。    )していない対象者に関する法第 166 条第2項各号に定め
      る重要事実並びに対象者の株券等の公開買付け等の実施に関する事実及び中止に関する
      事実(法第 167 条第2項に定めるものをいいます。       )が存在しない旨の書面による確認が
      得られていることを本公開買付け開始の前提条件としております。
        なお、本応募契約において、   「クリアランスの取得」とは、必要許認可等を取得又は履
      践することをいい、(i)かかる許認可等に関して法令等上の待機期間(不作為期間その他
      これに類するものを含む。以下同じ。     )が存在する場合は当該待機期間が経過しており、
      かつ、(ii)本公開買付けによる対象者株式の取得(以下「本株式取得」といいます。        )に
      対する禁止命令、排除措置命令その他これらに類する措置又は当該措置の実施に係る手
      続が講じられていないこと(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和 22
      年法律第 54 号。その後の改正を含みます。     )第 10 条第2項に基づく届出につき、法定の
      待機期間が経過しており、かつ、公正取引委員会により9条通知を受けていること、並
      びに諸外国の競争法その他の法令等に基づき必要な承認手続が存在する場合には当該承
      認を取得していることを含む。     )を含むものとされております。この点、韓国について
      は、韓国の独占規制及び公正取引に関する法律上、公開買付けを行う際に、法令等上の
      待機期間が存在しないため、本株式取得について競争制限性に問題がない旨の任意的事
      前審査の結果通知をもってクリアランスの取得が完了していることとなります。

  (注2)国内外(日本、中国、韓国、米国、欧州連合及び台湾)の競争法に基づく各必要許認可
      等については、2020 年3月 16 日(現地時間)付で、台湾公平交易委員会から本株式取得
                         -3-
        を承認する文書が発出され、公開買付者が同月 17 日付で当該通知を受領したことをもっ
        て、クリアランスの取得が全て完了しております。

  公開買付者らは、本公開買付けの実施に際して、2019 年 12 月 18 日付で、対象者の親会社である日立
製作所との間で、日立製作所が所有する対象者株式の全て(106,699,955 株、所有割合(注3):
51.24%、以下「本応募株式」といいます。
                     )を本公開買付けに応募する旨の公開買付応募契約書(以下
「本応募契約」といいます。  )を締結しております。
  本応募契約の詳細については、下記「(6)本公開買付けに係る重要な合意」をご参照ください。

  (注3)
     「所有割合」とは、対象者が 2020 年2月 12 日に提出した第 71 期第3四半期報告書(以下
      「対象者第3四半期報告書」といいます。         )に記載された 2019 年 12 月 31 日現在の発行済
      株式総数(208,364,913 株)から、対象者が 2020 年1月 28 日に公表した「2020 年3月期
      第3四半期決算短信〔IFRS〕       (連結)(以下「対象者決算短信」といいます。
                                」                          )に記載さ
      れた 2019 年 12 月 31 日現在の対象者が所有する自己株式数(146,683 株)を控除した株式
      数(208,218,230 株)に対する割合(小数点以下第三位を四捨五入しております。            )をい
      います。以下同じです。

  本公開買付けにおいては、買付予定数の下限を、対象者第3四半期報告書に記載された 2019 年 12 月
31 日現在の発行済株式総数(208,364,913 株)から、対象者決算短信に記載された 2019 年 12 月 31 日
現在の対象者が所有する自己株式数(146,683 株)を控除した株式数(208,218,230 株)に係る議決権
の数(2,082,182 個)の3分の2(1,388,122 個)
                                (小数点以下切上げ)に、対象者の単元株式数である
100 株を乗じた数(138,812,200 株)に設定し、本公開買付けに応じて応募された株券等(以下「応募
株券等」といいます。      )の数の合計が買付予定数の下限に満たない場合には、公開買付者は、応募株券
等の全部の買付け等を行いません。一方、本公開買付けにおいては、対象者を完全子会社化することを
目的としているため、買付予定数に上限は設けておらず、応募株券等の数の合計が買付予定数の下限
(138,812,200 株)以上の場合は、応募株券等の全部の買付け等を行います。
  公開買付者は、本公開買付けが成立したものの、本公開買付けにより、対象者株式の全て(ただし、
対象者が所有する自己株式を除きます。        )を取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後、下記
「(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)         」に記載の各手続(以
下「本完全子会社化手続」といいます。        )を実施することにより、公開買付者が対象者株式の全て(た
だし、対象者が所有する自己株式を除きます。          )を取得し、対象者を完全子会社化することを予定して
おります。
  なお、本公開買付けが成立した場合には、本決済開始日付で、対象者は日立製作所の子会社ではなく
なり、昭和電工の連結子会社(孫会社)となる予定です。また、本公開買付けが成立した場合には、公
開買付者は、本決済開始日付で、新たに対象者の親会社及び主要株主である筆頭株主に該当する見込み
です。さらに、昭和電工は、本公開買付けが成立した場合には、公開買付者の総議決権の 50%超の議決
権を所有しているため、本決済開始日付で、新たに対象者の親会社に該当する見込みです。

 公開買付者らは、本公開買付けに係る決済に要する資金について、昭和電工における株式希薄化によ
る資本効率性低下の回避と財務健全性の維持を考慮した調達を行う方針です。
 具体的には、公開買付者は、本公開買付けに係る決済に要する資金を、みずほ銀行からの最大 4,000
億円の借入れ(以下「本銀行融資」といいます。、みずほ銀行及び株式会社日本政策投資銀行からの公
                             )
開買付者の A 種優先株式の引受による最大 2,750 億円の出資(以下「本優先株式出資」といいます。、)
並びに昭和電工からの公開買付者の普通株式の引受による最大 2,950 億円の出資(以下「本普通株式出
資」といいます。    )により賄うことを予定しております。本優先株式出資及び本普通株式出資により、
公開買付者は、合計で総額 5,700 億円の出資を受ける予定であり、これらにより公開買付者の資本金の
額は 2,850 億円増加する予定です。
 本銀行融資については、公開買付者は、本決済開始日の前営業日までに、①前提条件書類の提出、②
借入申込書の提出、③貸付不能事由及び民法(明治 29 年法律第 89 号。その後の改正を含みます。以下
「民法」といいます。    )第 587 条の2第2項前段に基づく解除の不存在、④一定の口座の開設・維持、
                             -4-
⑤関連契約の締結、維持、⑥一定の担保契約の設定・対抗要件具備、⑦重要な表明保証違反の不存在、
⑧重要な義務違反の不存在、⑨一定の期限の利益喪失事由の不存在、⑩本公開買付けの成立その他本公
開買付けに関する一定の事項についての確認、⑪昭和電工が公開買付者の完全親会社であること、⑫み
ずほ銀行に提出した事業計画の不変更、⑬対象者を公開買付者の完全子会社とするための取引のストラ
クチャーの不変更、⑭一定の期日までに昭和電工による出資が行われていること、⑮一定の期日までに
本優先株式出資がなされていること、⑯一定のもの以外の対象者グループにおける既存借入金、既存融
資枠及び既存担保権・保証等の不存在並びに返済・解消の確実性、⑰その他貸付契約で特定する事項を
条件として、本銀行融資を受けることを予定しております。なお、本銀行融資に係る融資条件の詳細は、
みずほ銀行と別途協議の上、本銀行融資に係る融資契約において定めることとされておりますが、本銀
行融資に係る融資契約では、公開買付者が所有する対象者株式等について担保権が設定されることが予
定されているほか、本完全子会社化手続により対象者の株主が公開買付者のみとなった後は、対象者が
公開買付者の連帯保証人となり、かつ、対象者の一定の資産等について担保権が設定されることが予定
されております。
 また、公開買付者は、本決済開始日の前営業日までに一定の事項を条件(注4)として、本優先株式
出資を受けることを予定しております。なお、A 種優先株式については、出資額の一定割合に対して格
付機関から資本性の認定を受けることを予定しております。
 さらに、公開買付者は、本決済開始日の前営業日までに本昭和電工宛融資の実行及び本公開買付けの
成立を条件として、本普通株式出資を受けることを予定しております。なお、昭和電工は、本普通株式
出資に必要となる資金を、本決済開始日の前営業日までに、①前提条件書類の提出、②貸付不能事由及
び民法第 587 条の2第2項前段に基づく解除の不存在、③関連契約の締結、維持、④表明保証違反の不
存在、⑤義務違反の不存在、⑥期限の利益喪失事由の不存在、⑦本公開買付けの成立その他本公開買付
けに関する一定の事項についての確認、⑧みずほ銀行に提出した事業計画の不変更、⑨対象者を公開買
付者の完全子会社とするための取引のストラクチャーの不変更、⑩その他貸付契約で特定する事項を条
件として、本昭和電工宛融資により調達する予定であり、昭和電工においては、新株発行を伴う資金調
達は予定しておりません。

 (注4)公開買付者は、本決済開始日の前営業日までに、①前提条件書類の提出、②払込不能事由の
     不存在、③一定の銀行口座の開設・維持、④関連契約の締結、維持、⑤重要な表明保証違反
     の不存在、⑥重要な義務違反の不存在、⑦一定の請求買取事由の不存在、⑧本公開買付けの
     成立その他本公開買付けに関する一定の事項についての確認、⑨昭和電工が公開買付者の完
     全親会社であること、⑩投資者に提出した事業計画の不変更、⑪対象者を公開買付者の完全
     子会社とするための取引のストラクチャーの不変更、⑫一定の期日までに昭和電工による出
     資が行われていること、⑬本銀行融資の実行の確実性、⑭一定のもの以外の対象者グループ
     における既存借入金、既存融資枠及び既存担保権・保証等の不存在並びに返済・解消の確実
     性、⑮優先株式の発行のために必要な公開買付者の定款変更その他の内部手続の実施、⑯そ
     の他優先株式に係る投資契約で特定する事項を条件として、みずほ銀行から A 種優先株式の引
     受により 1,850 億円及び株式会社日本政策投資銀行から A 種優先株式の引受により 900 億円を
     限度として出資を受けることを予定しております。


 なお、対象者が 2019 年 12 月 18 日に公表した「HC ホールディングス株式会社による当社株式に対す
る公開買付けの開始予定に関する意見表明のお知らせ」          (以下「2019 年 12 月 18 日付対象者プレスリ
リース」といいます。   )によれば、対象者は、同日開催の取締役会において、同日時点における対象者
の意見として、本公開買付けが開始された場合には、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、
対象者の株主の皆様に対して、本公開買付けに応募することを推奨する旨の決議をしたとのことです。
また、対象者が 2020 年3月 23 日に公表した「HC ホールディングス株式会社による当社株式に対する公
開買付けに関する意見表明のお知らせ」        (以下、2019 年 12 月 18 日付対象者プレスリリースと併せて
「対象者プレスリリース」といいます。        )によれば、対象者は、2020 年3月 23 日、会社法(平成 17 年
法律第 86 号。その後の改正を含みます。以下「会社法」といいます。            )第 370 条による決議(取締役会
の決議にかわる書面決議)によって、改めて、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、対象者
                             -5-
 の株主の皆様に対して、本公開買付けに応募することを推奨する旨の決議をしたとのことです。
  上記対象者の両取締役会決議の詳細については、対象者プレスリリース及び下記「(3)本公開買付価
 格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等本公開買付けの公正性を担保す
 るための措置」の「⑥ 対象者における利害関係を有しない取締役全員の承認」をご参照ください。
  また、対象者は、2020 年1月 28 日に公表した「会社分割および株式譲渡によるコンデンサ事業(小
 型フィルムコンデンサ事業を除く)等の譲渡に関するお知らせ」     (以下「本事業譲渡プレスリリース」
 といいます。)のとおり、対象者及び対象者の子会社である日立エーアイシー株式会社のコンデンサ事
 業(小型フィルムコンデンサ事業を除きます。)及び蒸着フィルム事業を、南通江海电容器股份有限公司
 に対して、2020 年4月1日に譲渡することを予定しているとのことです。譲渡する事業部門の 2019 年
 3月期の売上実績は 8,841 百万円であり、対象者の 2019 年3月期の連結売上実績の 1.3%に過ぎないこ
 とから、当該事業の譲渡が対象者の 2020 年3月期連結業績に与える影響は軽微であると考えていると
 のことです。また、同様の理由で、対象者の本件事業計画(下記「        (3)本公開買付価格の公正性を担
 保するための措置及び利益相反を回避するための措置等本公開買付けの公正性を担保するための措置」
 の「③ 対象者における財務アドバイザーからの株式価値算定書の取得」に定義します。以下同じで
 す。)に与える影響も軽微であると考えていることから、対象者は本件事業計画の数値を変更していな
 いとのことです。加えて、当該事業は対象者の他の事業から独立した事業であるため、当該事業の譲渡
 が対象者の今後の事業運営に与える影響はないと考えているとのことです。当該事業の譲渡の詳細につ
 いては、本事業譲渡プレスリリースをご参照ください。

(2)本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程、並びに本公開買付け後の経
   営方針
  公開買付者らが本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程、並びに本公
 開買付け後の経営方針は、以下のとおりです。なお、以下の記載のうち対象者に関する記述は、対象者
 から受けた説明及び対象者が公表した情報に基づくものです。

 ① 公開買付者らが本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程
    公開買付者は、昭和電工が、その発行済株式の全てを所有する昭和電工の完全子会社であり、株
  式又は持分を所有することにより、対象者の事業活動の支配及び管理を行うことを主たる目的として、
  2019 年 12 月9日に設立された株式会社です。公開買付者の親会社である昭和電工は、1939 年6月1
  日、日本電気工業株式会社と昭和肥料株式会社との合併により発足し、1949 年5月に東京、大阪、
  名古屋、札幌及び福岡の各証券取引所に株式を上場しました。その後、大阪、名古屋、札幌、福岡の
  各証券取引所における取引高が少なく、上場廃止による株主、投資家の皆様に及ぼす影響がほとんど
  ないと考え、2003 年6月に大阪、名古屋、札幌、福岡の各証券取引所において上場廃止申請を行い、
  2003 年7月に上場廃止となり、東京証券取引所市場第一部に上場を一本化しております。昭和電工
  は、昭和電工並びにその連結子会社 61 社及び持分法適用関連会社 11 社(2019 年 12 月 31 日現在)か
  らなる企業グループ(以下「昭和電工グループ」といいます。              )を構成しており、昭和電工グループ
  は国内外において石油化学事業、化学品事業、エレクトロニクス事業、無機事業(注1)              、アルミニ
  ウム事業等を営んでおります。
    昭和電工グループは、    「社会的に有用かつ安全でお客様の期待に応える製品・サービスの提供によ
  り企業価値を高め、株主にご満足いただくと共に、国際社会の一員としての責任を果たし、その健全
  な発展に貢献すること」を経営理念に掲げております。かかる経営理念を実現するため、              「すべての
  ステークホルダーを満足させる」ことを Mission(使命・存在意義)とし、Vision(目指す姿)を
  「個性派企業」と定めました。そして、デジタル化社会の進展、自動車の軽量化・複合素材の普及、
  生活の質の向上、特殊半導体(注2)の拡大など、昭和電工グループのお客様が対面する市場や社会
  構造といった外部環境の大きな変化を自ら先読みしていくことが今後の成長には必要不可欠であるこ
  とから、"顧客体験=CUSTOMER Experience の最大化"を Value(
                                            「個性派企業」実現に向けた手段)と
  定義することで、     「製造業を超えたソリューション提供カンパニー」へとビジネスモデルの革新を追
  求しております。
    昭和電工が目指す「個性派企業」とは「収益性と安定性を高レベルで維持できる個性派事業の連

                            -6-
合体」であり、     「個性派事業」は適正な市場規模でグローバルトップシェアを獲得できる事業と定義
しております。適正な市場規模は個別事業分野の特性や事業環境によりますが、一つの目安として
500 億~5,000 億円の市場を有力な対象として考えております。
  昭和電工は、電子材料用高純度ガス(注3)やハードディスク、さらには黒鉛電極など、既に特
色ある個性派事業を有していると考えており、また、アルミニウム事業やセラミックスを含めた非有
機、無機化学品事業が、売上高の半数超(2018 年 12 月期においては約 53%、2019 年 12 月期におい
ては約 51%(注4)   )となっております。この点、有機化学の事業が太宗を占める企業が多く存在す
る化学業界において、化学メーカーでありながら売上高の半数超(2018 年 12 月期においては約 53%、
2019 年 12 月期においては約 51%)が非有機、無機化学品事業で占められる昭和電工の事業ポート
フォリオは、世界的にもユニークな事業ポートフォリオとなっております。2018 年 12 月に公表し
2019 年から開始した3ヶ年の中期経営計画"The TOP 2021"(以下「昭和電工中計」といいます。(注)
5)においては、既存の個性派事業に続く新たな個性派事業群の確立に取り組み、2025 年には少な
くとも既存事業の半数以上を「個性派事業」とすることを中長期的な経営目標としており、かかる経
営戦略を実現すべく、1,500 億円の M&A 枠を含む総額 4,000 億円の投資枠を打ち出し、個性派企業と
して競争力を高める手段としての他社との提携、アライアンスの方策の検討を進めてきました。

 (注1)「無機事業」とは、具体的には、研磨材、研削材、耐火材等のセラミックス製品、電気製
     鋼炉用の黒鉛電極、高機能カーボン製品等の事業のことをいいます。
 (注2)「特殊半導体」とは、省エネ、再生エネルギー、センサー、IoT 等への活用に向けた半導
     体で、パワー半導体 SiC エピウェハーや光半導体製品のことをいいます。
 (注3)「電子材料用高純度ガス」とは、エッチングガス、クリーニングガス等の半導体材料製造
     プロセス等に使用されるガスのことをいいます。
 (注4)その他セグメントを除く全社売上高合計に対して、エレクトロニクス、無機、アルミニ
     ウムセグメントの売上高合計が占める比率をいいます。
 (注5)昭和電工中計における3ヶ年業績目標(3年累計)に対して、1年目(2019 年)経過時
     点における進捗率は約 2.5 割です。

  一方、対象者は、1912 年8月に日立製作所においてモーター用絶縁ワニスの研究を始め、1962 年
10 月に日立製作所から分離独立し、日立化成工業株式会社として設立されたとのことです。独立当
初の対象者事業は、電気絶縁材料や合成樹脂等化学工業に基礎を置くものが主でしたが、徐々にエレ
クトロニクス関連事業の比重が増し、さらには自動車部品、ライフサイエンス、産業用電池等多岐に
わたる分野に事業内容が広がったことから、対象者の事業内容と商号中の「工業」が持つイメージに
乖離が生じた等の理由により、2013 年1月に商号を「日立化成株式会社」に変更したとのことです。
  対象者は、対象者並びに子会社 90 社及び持分法適用会社2社(2019 年 12 月 31 日現在)からなる
企業グループ(以下「対象者グループ」といいます。      )を構成しており、機能材料(注6)及び先端
部品・システムの製造・加工及び販売を主たる事業としているとのことです。また、対象者株式は、
1970 年 10 月に東京・大阪両証券取引所市場第二部に上場し、1971 年8月に東京・大阪両証券取引所
市場第一部への上場を果たしているとのことです。なお、2013 年7月に東京証券取引所と大阪証券
取引所の現物市場が統合され、これに伴い、現在は東京証券取引所市場第一部に上場しているとのこ
とです。
  1963 年4月の営業開始以来、対象者は、4つの源流製品(絶縁ワニス(注7)      、積層板(注8) 、
絶縁ガイシ(注9)     、カーボンブラシ(注 10)
                           )から発展した広範な基盤技術を製品開発の支えとし、
これらの技術を複合、融合させるとともに、市場動向、顧客ニーズを踏まえ、幅広い事業を展開して
きたとのことです。
  対象者は、現在は「時代を拓く優れた技術と製品の開発を通して社会に貢献すること」を企業理
念とし、今後も成長が見込まれ、対象者の技術的な強みが発揮できる4つの注力事業領域(情報通信、
モビリティ、エネルギー、ライフサイエンス)において、顧客への最適なソリューションの提供を推
進しているとのことです。
  各注力事業領域の内容は次のとおりとのことです。

                        -7-
 情報通信            半導体材料、ディスプレイ材料、配線板材料、配線板
                 等、高度情報化社会を支えるインターフェースデバイ
                 ス・システム向け材料の製造・販売

 モビリティ           樹脂成形品、摩擦材、粉末冶金製品、負極材等、自動
                 車・交通インフラに関わる材料、部材の製造・販売

 エネルギー           産業用・自動車用鉛蓄電池及びコンデンサ(※)等、新
                 エネルギー・環境対応に貢献する製品の製造・販売

 ライフサイエンス        材料技術を活用した診断薬の開発・製造・販売及び再生
                 医療等製品の受託製造サービス

 (※)上記「(1)本公開買付けの概要」に記載のとおり、対象者は、対象者及び対象者
    の子会社である日立エーアイシー株式会社のコンデンサ事業(小型フィルムコンデ
   ンサ事業を除きます。
            )及び蒸着フィルム事業を、南通江海电容器股份有限公司に対
   して、2020 年4月1日に譲渡することを予定しており、コンデンサ事業は注力事業
   領域から除外される見込みとのことです。詳細は本事業譲渡プレスリリースをご参
   照ください。

 (注6) 「機能材料」とは、電子材料、配線板材料、電子部品等、対象者の情報通信関連分野を中
      心とした製品をいいます。一方、「高機能材料」とは、対象者の幅広い有機・無機の材料
      技術を組み合わせ、顧客の課題を解決する高い「機能」を創出する製品(機能材料、先
      端部品・システム)のことをいいます。
 (注7) 「絶縁ワニス」とは、電気の流れを遮るための樹脂で、エナメル線を作る際の、銅線を
      コートする用途等で使われる製品のことをいいます。
 (注8) 「積層板」とは、銅張積層板用の、電気絶縁用フェノール樹脂積層板のことをいいます。
 (注9) 「絶縁ガイシ」とは、電線その他の導体を絶縁し固定するために使われる製品のことをい
      います。
 (注 10)「カーボンブラシ」とは、モーターや発電機の中に使われる部品で、回転子に接しながら
      電気を伝える製品のことをいいます。

 対象者を取り巻く高機能製品市場では、半導体の微細化・多層化に伴う工程の複雑化等に伴い、
封止材等の材料に求められる熱伝導性が2倍、3倍となる等顧客より要求される機能が短時間の間に
変化するとともに、既存製品・技術の競争は一段と激化しているとのことです。
 このような状況の中、対象者は、有機・無機(注 11、注 12)化学双方に関する材料技術のほか、
プロセス技術、評価技術をベースとし、顧客の課題を解決する「機能」を創出し、市場の変化に応じ
ながら成長領域へ挑み、ソリューションを提供することを通じて「グローバルトップクラスの高機能
材料メーカー」へと変革を図ろうとしているとのことです。
 各事業部門の現状及び今後の施策の検討状況は以下のとおりとのことです。

  情報通信        半導体の微細化・多層化に伴う工程の複雑化や、5G(注13)
              高速通信・ディスプレイ技術の進化により、高度な技術を要
              する領域で需要が拡大しております。対象者は、ニッチ戦略
              と、「パッケージングソリューションセンタ」(注 14)を活用
              したクラスター戦略の双方から施策を展開することにより、
              継続的な成長を目指していくとのことです。

  モビリティ       自動車販売台数は伸び悩んでおりますが、環境規制による
              xEV(Electrified Vehicle)化の進展及び軽量・小型化、コネ
              クテッド化(注 15)等の車両の性能向上に伴い、高機能材料
                       -8-
                は堅調に需要が拡大しているとのことです。対象者は、広範
                な材料技術のほかモジュール技術を強みとし、成長領域にお
                ける新材料等の開発により継続的な成長を目指していくとの
                ことです。

  エネルギー         自動車用電池は、ISS(Idling Stop and Start)車に加え、環
                境対応車用の需要が堅調に推移しているほか、産業用電池は
                データセンタ・再生エネルギーの普及に伴い、需要が拡大し
                ております。対象者は、事業の効率性を改善させながら、成
                長領域での事業展開を推進していくとのことです。

  ライフサイエンス      診断薬は、予防医療や迅速診断に関するニーズ拡大に伴い、
                市場が拡大しております。対象者は、新製品開発・拡販と海
                外販路の拡充に取り組んでまいります。また、再生医療等製
                品は、中長期的に大幅な市場成長が見込まれております。対
                象者は、再生医療等製品の受託製造に加え、培地(注 16)や
                消耗品等関連事業の立ち上げを推進していくとのことです。
                これらにより、ライフサイエンス事業を将来の基盤事業へと
                育成していくとのことです。

 (注 11)「有機」とは、石油化学製品を代表とする、炭素を主要元素として、酸素、水素、窒素原
       子等で構成される物質の総称をいいます。
 (注12)「無機」とは、主成分が無機非金属物質から構成される個体の総称をいいます。
 (注13)「5G」とは、4G に続く次世代の通信規格のことをいいます。
 (注14)「パッケージングソリューションセンタ」とは、顧客、装置メーカー、材料メーカー等と
      連携し、半導体実装材料・プロセスのオープン・イノベーションを促進する、神奈川県
      川崎市設置のオープン・ラボのことをいいます。
 (注15)「コネクテッド化」とは、自動車が、ICT 端末としての機能を有することで、車両の状態
      や周囲の道路状況等の様々なデータをセンサーにより取得し、ネットワークを介して集
      積・分析することをいい、新たな価値を生み出すことが期待されていることを指します。
 (注16)「培地」とは、細胞等の培養のために必要な栄養分等を含んだ液状や固形の物質のことを
      いいます。

 昭和電工としては、対象者は、企業スローガンである「Working On Wonders」に象徴されるように、
歴史的に"技術革新型企業"の DNA を一貫して持ちながら成長領域にチャレンジし、材料技術、プロセ
ス技術、評価技術から成る基盤技術をベースに高付加価値な「機能製品」を創出することで、持続的
成長を実現していると考えております。また、対象者の目指す姿は、幅広い有機・無機の材料技術を
組み合わせ、顧客の課題を解決する「機能」を創出すると共に、市場の変化に応じて成長領域へ挑み、
「ソリューション」を提供することができる、    「存在感のあるグローバルトップクラスの高機能材料
メーカー」であると考えております。そして、目指す姿の実現に向けては、CMP スラリー(注 17)や
銅張積層板(注 18)といった高シェアを有する半導体関連製品を中心とした情報通信事業本部を成
長の屋台骨とし、エネルギー事業本部については、過去数年で獲得した海外拠点を橋頭堡として高収
益・高成長領域を中心とした事業成長と効率性改善を目指すほか、中長期的には電池監視システム
サービスを国内外に展開することにより、安定的な収益源を多角化しつつ、また、対象者の強みを活
かしOEM時のブラックボックス化対応(注19)を実現している樹脂製バックドアモジュール(注20)
や高品質セグメントで強みを持つリチウムイオン電池用カーボン負極材を中心としたモビリティ事業
本部と、市場成長が期待できる再生医療・診断薬領域の中でも対象者の材料技術を用いたビジネスの
確立を狙うライフサイエンス事業本部を中期・長期的な成長の柱とすることで、継続的な成長を支え
る補完性の高い事業ポートフォリオ構築が企図されていると考えております。
 近年、中国の素材メーカーが母国市場の大きさを背景として規模の経済性を活かした事業を展開

                         -9-
し、また、中東の素材メーカーも川上の資源調達からの一貫したバリューチェーンを構築することに
よりコスト競争力を高めております。このように世界市場での競争力を高める動きが加速する中、今
後、我が国の素材メーカーがグローバルトップとして勝ち残るためには「適正な市場規模において
トップシェアを有するグローバルリーダーとして事業成長を加速させる」こと、そして、多様化かつ
高度化する顧客ニーズに柔軟に応えるために「幅広い素材や技術を組み合わせたソリューション提供」
を行うことが重要と考えておりました。
  このように、昭和電工は、対象者及び素材メーカーの情勢について上記のように考えていた中で、
上記のとおり昭和電工中計において、2019 年から開始した3ヶ年における 1,500 億円の M&A 枠を含む
総額 4,000 億円の投資枠を打ち出し、個性派企業として競争力を高める手段としての他社との提携、
アライアンスの方策の検討を進めていたところ、2018 年 12 月上旬に日立製作所による対象者の売却
に関する観測報道が出たため、2019 年2月上旬より、対象者株式の取得に関する検討を開始いたし
ました。その後、昭和電工は、公開情報に基づき事業面及び財務面から本取引の意義や実現可能性に
ついて検討した結果、2019 年7月上旬に、     「機能創出・ソリューション提供を通じた存在感のあるグ
ローバルトップクラスの高機能材料メーカー」を目指す対象者と、        「製造業を超えたソリューション
提供カンパニー」を目指す昭和電工は、目指す姿が一致していることに加え、対象者の「ニッチ&ク
ラスター戦略」      (注 21)は、昭和電工の「個性派事業戦略」と、ソリューション志向である点や多く
のグローバルトップシェア事業を対象とした成長戦略であるといった意味において共通性があるため、
昭和電工が対象者を子会社化することは、両社の経営方針にも合致すると考えるに至りました。
  そして、グローバル競争の激化や市場構造の変化によって今後も変化することが予想される次世
代素材産業において、共に産業構造を変えるような新しい事業体を作ることができるとの考えに至り、
対象者株式の売却に係る入札プロセスに参加して事業計画を含む非公表の情報を取得し、それらの情
報を踏まえて、本取引の意義、買収ストラクチャー、本取引の実現可能性、買収後のガバナンスや経
営方針について更なる検討を実施することを企図して、2019 年7月上旬に日立製作所及び対象者か
ら打診された第一次入札に参加することとしました。昭和電工は、第一次入札プロセスにおいて、対
象者から開示を受けた情報や公開情報に基づき分析、検討を行った結果、昭和電工が対象者を完全子
会社化することにより、最終顧客の高度かつ多様な要求(注 22)に対して迅速かつ柔軟なソリュー
ション提案を行うことが可能になるであろうと考え、2019 年8月上旬に第一次意向表明書を提出し
ました。
  その後、昭和電工は、2019 年9月下旬に、第二次入札プロセスへの参加が認められる旨の通知を
受け、第二次入札プロセスに参加することとなりました。昭和電工は、第二次入札プロセスにおいて、
2019 年 10 月上旬より同年 11 月中旬まで、約7週間にわたって対象者グループに対する事業、財務・
税務及び法務等に関するデュー・ディリジェンスや対象者の経営陣との面談を実施し、それらの情報
を踏まえて、本取引の意義、買収ストラクチャー、本取引の実現可能性、買収後のガバナンスや経営
方針について更なる分析、検討を進めました。
  (注17)   「CMP スラリー」とは、半導体回路形成工程で生じた凹凸を、研磨、平坦化するための砥
          粒と液体で構成される材料のことをいいます。
  (注18)   「銅張積層板」とは、電気を通さない基材の表面に銅箔を貼り、積層した材料のことをい
          い、プリント配線板や半導体パッケージ基板に使われています。
  (注19)   「ブラックボックス化対応」とは、OEM(他社ブランドの製品を製造すること)がコスト
          査定できない製品開発技術により顧客の細かな技術要求に応えることで、市場価格の下
          落に対する抵抗力を確保する対応のことをいいます。
  (注20)   「樹脂製バックドアモジュール」とは、自動車用の樹脂製バックドアとバックドアの各種
          部品を合わせて組み上げた製品のことをいいます。
  (注21)   「ニッチ&クラスター戦略」とは、高い利益率を目指す高付加価値製品(ニッチ)と、
          個々の製品や事業及び技術・サービスをグループ化することで、顧客及びマーケットに
          トータルソリューションを提供し、市場でグローバルトップポジションを目指す製品や
          事業グループ(クラスター)から成る事業戦略のことをいいます。
  (注22)   「最終顧客の高度かつ多様な要求」とは、テクノロジー企業である最終顧客がその製品の
          高度な性能を満たすべく、素材メーカーに対しても高度かつ多様な素材の性能を要求す
          ることをいいます。具体的には、5G 通信分野における5G 高速高周波対応や銅張積層板
                       -10-
      の微細化、半導体分野における耐熱性・低誘電性向上やパッケージの小型化、自動車電
      動化分野における異種軽量材の活用や熱マネジメント等をいいます。

 第二次入札プロセスにおけるデュー・ディリジェンスや対象者の経営陣との面談を通して得られ
た情報に基づく分析、検討の結果、2019 年 11 月中旬、昭和電工は、対象者を完全子会社化すること
により、以下に記載する事業シナジーが期待され、また、以下に記載する昭和電工の考える対象者の
事業領域別の戦略的意義及びアクションプランを実現できると考えるに至りました。なお、以下のよ
うな事業シナジーを最大化し戦略的意義及びアクションプランを実現するためには、対象者における
迅速な意思決定が必要であるところ、そのためには対象者の上場を維持し、上場会社としての独立性
を前提とする業務提携や資本提携ではなく、少数株主との利益相反のおそれを排して、対象者を完全
子会社化することが不可欠であると考えました。
 昭和電工が対象者を完全子会社化することにより期待することのできると考えるに至った事業シ
ナジーは以下のとおりです。

 従来の産業バリューチェーンは最終顧客からバリューチェーンの上流に向けて情報が順次伝達さ
れていく構造でありましたが、現在では、エンドマーケットの在り方に強い影響を与えている GAFA
(注 23)をはじめとするテクノロジー企業の存在感が増しており、従来型のバリューチェーンの階
層の川下から川上に向かって最終顧客の要求が伝えられる構造から、各階層に要求特性を直接伝達し
ていく動きを見せていると認識しております。特に、今後大きな成長が見込まれるデジタル、5G、
次世代モビリティ領域(注 24)においては、これらテクノロジー企業が端末(ハード)設計に加え、
部材・素材レベルの技術要件や生産技術への要求特性の実現に向け直接的な関与を深め、素材メー
カーを含めた各バリューチェーン企業へ直接アクセスを図る構図になってくるものと考えております。
これからの素材メーカーは、最終顧客のニーズを段階的・間接的に受け取っている部材サプライヤー
の要求に応えていくこれまでのビジネスモデルから、最終顧客の直接的な要求に柔軟に応えていくビ
ジネスモデルに変化し、より一層エンドマーケットの要求特性を満たすトータルソリューション提案
能力が求められてくるものと考えております。
 対象者の強みは、材料の基本となる機能を生み出す「材料技術」 、製品を無駄なく効率的に製造し
最適な特性を導き出す「プロセス技術」 、的確なデータ分析をはじめとする顧客の潜在需要深耕等に
必要不可欠な「評価技術」の各領域で高度な技術基盤を有している点と考えております。このような
有機・無機材料関連領域における広範な知見や材料技術及び高い評価技術を有していることに加え、
パッケージングソリューションセンタでの、顧客と共に最先端のニーズに対応した製品を開発する
オープン・イノベーションの活用により、非常に優れたソリューション提案が可能となっているもの
と考えております。
 昭和電工が強みとする樹脂等の有機素材からアルミニウムやカーボン等の無機素材にまでわたる
幅広い「素材設計技術」及び「素材解析技術」 、そして保有する複数の素材を繋ぎ合せる「異素材接
着技術」と、対象者が強みとする「素材特性を活かした材料設計技術」 、顧客マーケティングに必要
な「機能評価力」及び顧客から求められる機能を実現する「モジュール部品化を含むプロセス技術に
至る機能設計力」が一体となることによって、素材開発から製品モジュールの設計・評価までのバ
リューチェーンの垂直的統合が実現できるものと考えております。本取引によって、最終顧客の高度
かつ多様な要求に対して迅速かつ柔軟なソリューション提案を行うことが可能となり、 「ワンストッ
プ型先端材料パートナー」の地位を確固たるものにできると考えております。

 (注23)「GAFA」とは、米国の IT 企業である Google(グーグル)
                                       、Apple(アップル)、Facebook
      (フェイスブック)  、Amazon(アマゾン)のことをいいます。
 (注24)
     「次世代モビリティ領域」とは、車両の電動・軽量・コネクテッド化に対応した技術領域
      のことをいいます。

 また、公開買付者らが対象者の事業領域別に考えている事業シナジー、戦略的意義及び買収後の
位置付けは以下のとおりです。

                          -11-
(a)情報通信事業本部
  情報通信事業本部は、ニッチ戦略とクラスター戦略の組み合わせによる成長を追求し、中長期
 的に高い業界プレゼンスを持つ総合材料メーカーを志向しているものと考えております。昭和電
 工は対象者のニッチ&クラスター戦略を実現するために、    「半導体微細化」や「5G 高速通信」と
 いった成長機会を捉え、昭和電工と対象者が一体となってシナジーを追求し重点投資を行うべき
 事業領域と考えております。想定されるシナジーとして、    「半導体微細化」領域では、高性能分野
 に強い対象者の CMP スラリー事業と昭和電工の電子材料用高純度ガス事業の強固な事業基盤を組み
 合わせることで、独自性のある強みを持つことが重要となる半導体製造プロセスにおける前工程
 材料(注 25)における競争力をより強化することが可能と考えております。具体的には、昭和電
 工が有する半導体業界における有力なグローバル顧客との関係性を活かし、CMP スラリーの拡販に
 貢献するとともに、最先端の開発情報を入手して次世代製品の開発を加速させることが可能にな
 ると考えております。これは半導体プロセスにおいて微細化のカギを握る前工程材料の強化を検
 討する対象者の戦略にも合致するものです。また、   「5G 高速通信」領域においても、対象者が持
 つ樹脂素材やコア技術となる設計・解析技術と、昭和電工が持つ SiC 基板(注 26)やアルミニウ
 ム素材、接合技術を組み合わせることで、5G 用 RF(高周波)デバイスにおいて品質及び数量でグ
 ローバル No1の地位を目指していくこと、また、対象者が持つ銅張積層板事業及び PCB(注 27)
 の検証技術と、昭和電工が持つ金属箔加工技術や接着技術を組み合わせることで高速・高周波領
 域のソリューション化を加速させることなどがあげられます。対象者は5G 向け配線板材料への投
 資を強化することを志向しており、上記のような昭和電工とのシナジーが同領域での成長をより
 加速させるものと考えております。

 (注25)「前工程材料」とは、半導体製造工程のうちの一つであり設計した電子回路を半導体ウェ
      ハー表面に形成する工程(前工程)における材料のことをいいます。
 (注26)
     「SiC 基板」とは、パワー半導体 SiC 等を構成する材料のことをいいます。
 (注27)
     「PCB」とは、プリント配線板のことをいいます。

(b)モビリティ事業本部
   モビリティ事業本部は、EV(電気自動車)市場の拡大並びに環境規制で高まる技術ニーズに対
 して、有機・無機の幅広い材料ソリューションで中長期的成長を志向しているものと考えており
 ます。これは昭和電工が考える対象者と共に目指していく、バリューチェーンの垂直的統合によ
 り最終顧客のニーズに柔軟に応えていく「ワンストップ型先端材料パートナー」の地位確立とい
 う姿とも戦略上親和性が高いものと考えており、モビリティ事業本部のシナジーを最大化するこ
 とで共に成長を追求できる事業と位置付けております。具体的なシナジーとしては、対象者が持
 つ樹脂製品や部材設計・解析・生産技術と、昭和電工が持つアルミニウム、ポリプロピレン(注
 28)等の異素材との組み合わせや接合技術を組み合わせることで、自動車構造部材において要求
 される軽量化や強度特性に応える、幅広いマルチマテリアルソリューション(注 29)を実現して
 いきたいと考えております。これは対象者が目指す「高機能材料ならでは」の製品展開でモビリ
 ティ領域における顧客に向けて優位なポジションを確立するという方向性や、新たな技術ニーズ
 に対応すべく OEM の知見がない素材レベルからシステム設計を実施することで高収益化を実現する
 戦略とも合致しているものと考えております。

 (注28)
     「ポリプロピレン」とは、プロピレンが規則正しく配列した結晶性の高分子化合物のこと
      をいいます。
 (注29)「マルチマテリアルソリューション」とは、複数の素材・技術を組み合わせたソリュー
      ションのことをいいます。

(c)エネルギー事業本部
  エネルギー事業本部は、高収益・高成長の一部の鉛蓄電池を中心とした事業成長と効率性・収
 益性の改善を目指し、選択的投資や製品ポートフォリオの見直しを図っていく事業領域と考えて
 おります。産業用鉛蓄電池のように高付加価値を背景とした安定した収益性を誇る事業がある一
                      -12-
 方、従来型の自動車用鉛蓄電池についてはグローバル大手との競争が激化しており、市場シェ
 ア・スケール面で事業基盤を強化していく必要のある事業もあるものと考えております。昭和電
 工としては、各事業の状況・特性を踏まえ、特定の地域や事業領域において、グローバルスケー
 ル獲得を前提とした事業価値の最大化を実現しうる戦略を追求していきたいと考えております。

(d)ライフサイエンス事業本部
  ライフサイエンス事業本部は、再生医療・診断薬等、今後高い成長性が期待される領域として
 対象者が M&A 等で積極的な事業拡大を図ってきた領域と考えております。診断薬はやみくもな拡大
 戦略ではなく、酵素・抗体のバイオ技術や試薬・機器の一体開発によるソリューション提供力と
 いった対象者の強みが活かせる分野・市場をターゲットとする戦略のもと、免疫の POCT(注 30)
 分野でグローバルな存在感を有する事業体となること、再生医療の分野においては、他の企業に
 先んじて市場参入した優位なポジショニングを活かしつつ化学メーカーとしての材料開発・生産
 分析技術で差別化する戦略のもと、2025 年までに再生医療 CDMO(注 31)で世界シェア No.1 になる
 ことを志向しており、長期の持続的な成長に向けて積極投資を図っていく方針と考えております。
 足許は先行投資が嵩む状況となっていますが、昭和電工としては長期的な市場醸成と自社の強
 み・コア技術による差別化を前提とした事業拡大という対象者の方針は合理的と理解しており、
 かつ昭和電工の「個性派事業」戦略にも合致することから、ライフサイエンス事業は昭和電工に
 よる対象者の完全子会社化後も中長期的な成長ドライバーであると考えており、資金面含め最大
 限サポートしていきたいと考えております。加えて、昭和電工は当事業領域を昭和電工と対象者
 の R&D(注 32)やイノベーションを担っていく分野と位置付けております。昭和電工は顧客ニーズ
 と昭和電工の有する技術の融合による新たな価値の創出をミッションとする融合製品開発研究所
 を有しておりますが、今後高い成長性が期待される対象者の再生医療事業を含めて様々なテーマ
 において長期的な観点から昭和電工と対象者での R&D 融合を目指していきたいと考えております。
  また、対象者を含む買収後の昭和電工グループにおいて、昭和電工グループが高機能材料にお
 けるグローバルトップになるためのアクションプランとして、公開買付者らが考えていることは
 以下のとおりです。
  昭和電工は、「顧客体験=CUSTOMER Experience の最大化」に向けたソリューションの一つとして、
 自社のアルミニウム製品や合成樹脂を組み合わせた自動車部品など、顧客が求める要求特性を高
 いレベルで実現する素材の新たな用途の提案、開発を強化しております。具体的には、戦略企画
 部内に約 20 人で構成するマーケティングチームを設置し、例えば自動車分野においては「CASE
 (注 33)」で必要となることが確実視される自動車部品のうち、自社の材料の用途が見込める10 程
 度を技術テーマとして絞り込み、研究開発部門等社内の連携を密に図りながら、部品設計と最適
 な材料の組み合わせを検証、実用化・量産に向けた活動を推進しております。自動車の電動化・
 電装化・軽量化により、求められる性能はさらに高度化していきますが、昭和電工が長年蓄積し
 てきた有機化学、アルミニウム製品設計技術、無機化学といった幅広い素材・技術、及び基礎研
 究である計算科学、物性分析を組み合わせて高度化する市場ニーズに応える製品を開発していき
 ます。その実績の一つとしてアルミラミネート(注 34)と熱交換器(注 35)の設計技術を組み合
 わせた次世代の冷却器を発表しております。今後は自動車だけではなく、5G に対応した基地局や
 携帯端末などでも同様の提案を増やしていく方針です。
  昭和電工と対象者が一体となることで、高機能材料分野において、樹脂等の有機素材からアル
 ミニウムやカーボン等の無機素材にまでわたって幅広い素材を取り扱い、素材から設計・評価ま
 でを一貫して内部で実現可能な能力を揃える会社として、ワンストップ型先端材料パートナーの
 ポジションを確立できるものと考えております。素材、配合・成形、設計評価という一連のプロ
 セス検証を自社内でスピーディーに繰り返すことで OEM 等のニーズに迅速なソリューションで対応
 することが可能となり、また、アルミニウムや樹脂など複数素材の利用や配合・設計等において
 顧客の要求する機能性を高めることによって、更なる高付加価値化の実現を図ることができるも
 のと考えております。対象者にとっても、昭和電工グループの有機や無機、アルミニウムといっ
 た多様な製品群・材料技術の活用により、これまで以上に幅広い素材の知見を活かしたソリュー
 ション提案力向上につながっていくものと考えております。
  特に対象者が 2019 年4月から開始した3ヶ年の中期経営計画で注力領域としている「情報通信」
                        -13-
 分野においては、昭和電工の電子材料用高純度ガスやパワー半導体 SiC(注 36)、及び MLCC(注 37)
 向高純度酸化チタンといった素材の品揃えを拡充させることにより、半導体・電子材料分野にお
 けるワンストップソリューションの提案力の強化を目指してまいります。また、事業規模の拡大
 と収益性の向上により、これまで以上に成長分野に経営資源を投入することができるようになる
 と考えております。
  半導体実装材料においては、例えば対象者のダイボンディングフィルム(注 38)   、エポキシ樹脂
 封止材(注 39、注 40)等と、昭和電工の設計の自由度が高いイソシアネート(注 41)及び高耐熱
 封止樹脂(注 42)を組み合わせることで、EV や5G 対応の最適接着剤の開発を加速させ、また銅
 張積層板においては昭和電工が開発推進している金属と樹脂の結合等に用いる異素材結合技術を
 対象者の銅張積層板製造プロセスに導入することで、銅張積層板の更なる低誘電(注 43)     、薄型化、
 及びハイスループット(注 44)といった今後必要とされる性能の実現、生産性向上を図っていく
 ことを考えております。
  その他、昭和電工が手掛ける安定高品質の正負極用導電助剤(注 45)やアルミラミネートフィ
 ルムといったリチウムイオン電池向けの先端材料と対象者が強みとする高性能・高品質なリチウ
 ムイオン電池用負極材(注 46) ・産業用リチウムイオン電池の技術的知見の融合によって、昭和電
 工による対象者の完全子会社化後の先端材料 R&D テーマを進化・拡充させていきたいと考えており
 ます。

 (注30)「POCT」とは、「Point of Care Testing」の略で、大きな病院以外に自宅や近隣のクリ
      ニック等でも実施でき、その場で結果が得られる検査のことをいいます。
 (注31)
     「CDMO」とは、「Contract Development and Manufacturing Organization」の略で、再生
      医療等製品の製法開発や受託製造を行う機関のことをいいます。
 (注32)
     「R&D」とは、 「Research & Development」の略称であり、研究開発のことをいいます。
 (注33)「CASE」とは、Connectivity(つながる)     、Autonomous(自律走行)      、Shared & Service
      (共有及びサービス)     、Electric(電動)を意味します。
 (注34)
     「アルミラミネート」とは、アルミ箔と樹脂から成るラミネートのことをいいます。
 (注35)「熱交換器」とは、温度の高い流体から低い流体へ熱を移動させる機器のことをいいます。
 (注36)「パワー半導体 SiC」とは、電力制御に用いるモジュールの軽量・小型化と高効率化の実
      現、省エネルギー化が期待できる次世代のパワー半導体材料のことをいいます。
 (注37)
     「MLCC」とは、「Multi-Layer Ceramic Capacitor」の略で、積層セラミックコンデンサー
      (セラミック誘導体と内部電極を交互に多層積層したもの。                    )のことをいいます。
 (注38)
     「ダイボンディングフィルム」とは、IC チップと回路基板又は IC チップ同士を貼り付け
      るフィルム状接着剤のことをいいます。
 (注39)
     「エポキシ樹脂」とは、半導体材料の原料の一種のことをいいます。
 (注40)「封止材」とは、半導体チップを覆うことで、光、熱、湿気、ほこり、物理的衝撃などか
      ら保護するための材料のことをいいます。
 (注41)「イソシアネート」とは、シアン酸の塩若しくはエステルのことであり、電子材料、医療、
      自動車等幅広く利用される原料のことをいいます。
 (注42)
     「高耐熱封止樹脂」とは、半導体チップを保護する耐熱性の高い樹脂のことをいいます。
 (注43)
     「低誘電」とは、誘電率を低くすることをいいます。
 (注44)
     「ハイスループット」とは、高生産性のことをいいます。
 (注45)「正負極用導電助剤」とは、リチウムイオン電池の正極、負極いずれにも添加される導電
      助剤であり、導電助剤とは、リチウムイオン電池の電極を形成する際に、電極の抵抗を
      低減するために使用する材料のことをいいます。
 (注46)「リチウムイオン電池用負極材」とは、安全性、特性の安定性、要求特性対応力が高く高
      付加価値であるリチウムイオン電池用の負極材のことをいいます。

  上記の分析、検討の結果を踏まえ、昭和電工は、2019 年 11 月 12 日付の取締役会決議を経て、同月
15 日付で日立製作所及び対象者に対して、日立製作所が所有する対象者株式の全てを取得すること
及び本公開買付けを実施した場合における買付けの価格(以下「本公開買付価格」といいます。         )等
                                 -14-
 を含む諸条件についての最終意向表明書を提出しました。なお、昭和電工は、最終意向表明書におけ
 る本公開買付価格を 4,534 円で提案いたしました。
  その後、昭和電工は、みずほ証券株式会社(以下「みずほ証券」といいます。        )による対象者の株
 式価値の算定結果を参考にしつつ、企業価値向上施策の具体的な内容、株式取得後の経営方針、株式
 取得後の保有方針、対象者の足元の業績や将来の事業計画、2019 年 10 月上旬から同年 11 月中旬まで
 の間に昭和電工が行った対象者グループに対するデュー・ディリジェンスの結果、対象者株式の市場
 株価の動向、経済情勢や株式市場の動向、株式価値算定根拠等を勘案し、また対象者取締役会による
 本公開買付けへの賛同の有無及び本公開買付けに対する応募の見通し等を総合的に勘案して、2019
 年 11 月下旬に、優先交渉権の取得を企図して、本公開買付価格を1株当たり 4,630 円とする旨の追
 加最終提案を行いました。そして、昭和電工は、2019 年 11 月下旬に、昭和電工を優先交渉先として
 選定した旨の通知を受けました。その後、対象者、日立製作所及び昭和電工は、本取引の諸条件につ
 いて協議・交渉を進め、2019 年 12 月中旬、当該諸条件について合意に至ったことから、公開買付者
 らは、2019 年 12 月 18 日、日立製作所との間で本応募契約を締結し、本前提条件が充足された場合
 (又は公開買付者により放棄された場合)に、日立製作所が所有する本応募株式の全部を取得し、対
 象者を公開買付者の完全子会社とすることを目的として、2019 年 12 月 18 日付で、昭和電工の取締役
 会及び公開買付者の代表取締役において、本公開買付けを実施することを決定し、併せて、本公開買
 付価格を 4,630 円と決定しました。
  そして、今般、公開買付者らは、国内外(日本、中国、韓国、米国、欧州連合及び台湾)の競争
 法に基づく各必要許認可等についてクリアランスの取得が完了したことから、その他の本前提条件が
 充足されていることを前提として、2020 年3月 24 日を公開買付開始日として本公開買付けを開始す
 ることを予定している旨の連絡を 2020 年3月 16 日に対象者に対して行いました。その後、2020 年3
 月 23 日に、本前提条件が全て充足されたことを確認したため、同日、昭和電工の取締役会及び公開
 買付者の代表取締役において、公開買付者が東京証券取引所市場第一部に上場している対象者株式の
 全て(ただし、対象者が所有する自己株式を除きます。       )を取得し、本取引の一環として本公開買付
 けを実施することを決定いたしました。

② 対象者における意思決定の過程及び理由
  対象者プレスリリースによれば、対象者が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び
 理由は、以下のとおりとのことです。
  対象者は、2018 年9月上旬、日立製作所から、対象者の競争力の強化及び企業価値の向上のため
 に、現在の資本構成に制限されることなく様々な選択肢を対象者として検討すべきという旨を伝達さ
 れたとのことです。これを踏まえて対象者は、2019 年1月中旬よりゴールドマン・サックス証券株
 式会社(以下「ゴールドマン・サックス」といいます。     )を財務アドバイザーに、同年3月中旬より
 潮見坂綜合法律事務所をリーガル・アドバイザーにそれぞれ選定し、株主構成の変更及び再編を通じ
 て、将来的な業界再編をリードするポジションの確立を目指した検討に着手し、日立製作所の意向も
 確認しつつ、組織再編の方法による事業会社との経営統合や公開買付けによる日立製作所の所有株式
 の売却を含む様々な選択肢について慎重に検討を行ったとのことです。なお、日立製作所は、2019
 年3月上旬よりメリルリンチ日本証券株式会社を財務アドバイザーに起用しているとのことです。そ
 の結果、対象者は、グローバルトップクラスの高機能材料メーカーを目指すためには対象者事業に強
 い関心を示している複数の候補者を対象とする入札手続の実施が望ましいと同年5月下旬に判断し、
 対象者及び日立製作所は、2019 年7月上旬より、昭和電工を含む候補者である国内外の約 20 社の事
 業会社及びファンドに打診し、第一次入札プロセスを開始したとのことです。2019 年8月上旬、昭
 和電工を含む 10 数社の候補者が第一次意向表明書を提出したことから、対象者及び日立製作所は、
 各候補者に対するヒアリング等を実施した上、第一次意向表明書の内容について慎重に比較検討を行
 い、2019 年9月下旬、第二次入札プロセスへの参加を認める昭和電工を含む数社の候補者を選定し
 たとのことです。
  その後、2019 年 10 月上旬より、対象者及び日立製作所は、第二次入札プロセスを開始したとのこ
 とです。対象者及び日立製作所により選定された数社の候補者は、当該第二次入札プロセスにおいて、
 同年 10 月上旬から同年 11 月中旬まで、約7週間にわたって対象者グループに対する事業、財務・税
 務及び法務等に関するデュー・ディリジェンスを実施したとのことであり、当該期間の中で、対象者
                        -15-
は各候補者と面談を行い、対象者の企業価値向上の可能性や各候補者の検討している施策について意
見聴取を行ったとのことです。対象者及び日立製作所は、2019 年 11 月中旬に昭和電工を含む各候補
者から最終意向表明書の提出を受け、その後に各候補者との最終意向表明書の内容を確認するための
インタビューセッションを実施したとのことです。
 対象者は、各候補者からの最終意向表明書、及びその後に実施した各候補者とのインタビュー
セッションの結果を踏まえて、株式価値評価額、取引のストラクチャー、資金調達力・資金調達の前
提条件、本取引実施後における事業戦略の方向性、シナジー効果・ディスシナジー効果、追加投資余
力、グローバル経営、事業開発及び事業管理に関する実行能力、従業員の処遇及びガバナンス体制等
の本取引実施後における経営方針、成長を阻害するリスク要因、M&A に関するグローバルな PMI の能
力、競争法その他の適用法令に基づく手続及び対応の要否及び必要期間等の観点、並びに少数株主の
皆様の利益の最大化の観点から総合的に検討を行い、日立製作所と協議の上、2019 年 11 月下旬、昭
和電工を優先交渉先として選定したとのことです(以上の 2019 年7月上旬より対象者及び日立製作
所により実施された入札プロセスを、以下「本入札プロセス」と総称します。。その後、対象者、日
                                           )
立製作所及び昭和電工は、対象者の足元の業績や将来の事業計画、昭和電工が行った対象者グループ
に対する上記デュー・ディリジェンスの結果、対象者株式の市場株価の動向、経済情勢や株式市場の
動向等を勘案しながら協議及び交渉を行った結果、2019 年 12 月中旬、本公開買付開始条件が充足さ
れた場合(又は公開買付者により放棄された場合)に、本公開買付価格を 4,630 円として本公開買付
けを開始することにつき合意に至りました。
 対象者は、最終的に買手として選定されるいずれかの候補者と対象者の支配株主(親会社)であ
る日立製作所が日立製作所の所有する対象者株式を公開買付けに応募すること等を内容とする公開買
付応募契約を締結する予定であり、日立製作所と対象者の少数株主の利害が必ずしも一致しない可能
性もあること等を踏まえ、下記「    (3)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反
を回避するための措置等本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載のとおり、本取引に関
する対象者の意思決定の恣意性を排除し、意思決定過程の公正性、透明性及び客観性を確保すること
を目的として、第一次入札プロセス中の 2019 年7月 25 日に独立委員会を設置し、本入札プロセスを
含む本取引における手続の公正性・妥当性等について諮問しているとのことです(委員の構成その他
具体的な諮問事項等については、下記「     (3)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利
益相反を回避するための措置等本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑤ 対象者におけ
る独立委員会の設置及び意見の入手」をご参照ください。。これに加えて対象者は、下記「
                                )                (3)本
公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等本公開買付けの公
正性を担保するための措置」に記載の各措置を講じた上で、財務アドバイザーであるゴールドマン・
サックスから取得した株式価値算定書の内容、リーガル・アドバイザーである潮見坂綜合法律事務所
から受けた法的助言を踏まえ、独立委員会から 2019 年 12 月 18 日に提出された答申書(以下「2019
年 12 月 18 日付答申書」といいます。
                     )の内容を最大限に尊重しながら、本取引における候補者の選
定及び諸条件について慎重に協議及び検討を行ったとのことです。
 対象者は、企業価値向上施策の面において、株式価値評価額、取引のストラクチャー、資金調達
力・資金調達の前提条件、本取引実施後における事業戦略の方向性、シナジー効果・ディスシナジー
効果、追加投資余力、グローバル経営、事業開発及び事業管理に関する実行能力、従業員の処遇及び
ガバナンス体制などの本取引実施後における経営方針、成長を阻害するリスク要因、M&A に関するグ
ローバルな PMI の能力、競争法その他の適用法令に基づくクリアランス取得等の手続の要否及び必要
期間等の観点、並びに少数株主の皆様の利益の最大化の観点から総合的に検討を行った結果、対象者
がグローバルトップクラスの高機能材料メーカーを目指すためのパートナーとして昭和電工が最善で
あり、今後の対象者の更なる成長及び企業価値の向上に資するとの結論に至ったとのことです。より
具体的には、昭和電工の提示した対象者の株式価値評価額が第二次入札プロセスに参加した各候補者
から提示された株式価値評価額との比較において最も高額であったこと、資金調達の前提条件が第二
次入札プロセスに参加した各候補者から提示された資金調達の前提条件との比較において有利なもの
であったこと、本取引実施後における事業戦略の方向性が対象者の志向する方向性と一致したこと、
昭和電工と対象者とのシナジー効果が短期的な効果・中長期に及ぶ効果の両面から見て第二次入札プ
ロセスに参加した各候補者との比較において優位なものであると判断したこと、競争法その他の適用
法令に基づくクリアランス取得等の手続においてより具体的な対応策を示すことにより取引実行の確
                        -16-
実性の面において優位なものであったことから、昭和電工が提示した提案が、対象者の株主の皆様に
とって最善のものであると判断したとのことです。
  また、本公開買付価格について、(a)上記のとおり、昭和電工の提示した株式価値評価額が、第二
次入札プロセスに参加した各候補者から提示された株式価値評価額との比較において最も高額であっ
たこと、(b)下記「      (3)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するため
の措置等本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 対象者における財務アドバイザーか
らの株式価値算定書の取得」に記載のゴールドマン・サックスによる対象者株式の価値の算定結果の
うち、本公開買付価格は、市場株価法による算定結果の上限を上回っており、かつ、ディスカウン
テッド・キャッシュ・フロー法(以下「DCF 法」といいます。           )の算定結果のレンジの中央値を上回
ること、(c)本公開買付けの公表日(2019 年 12 月 18 日)の前営業日である 2019 年 12 月 17 日の東京
証券取引所における対象者株式の終値 4,080 円に対して 13.48%(小数点以下第三位を四捨五入。以
下、プレミアム率の計算において同じとします。、直近1ヶ月間の終値単純平均値 3,878 円(小数点
                                   )
以下を四捨五入。以下、終値単純平均値の計算において同じとします。                )に対して 19.39%、直近
3ヶ月の終値単純平均値 3,640 円に対して 27.20%、直近6ヶ月の終値単純平均値 3,368 円に対して
37.47%のプレミアムをそれぞれ加えた金額となっており、過去に行われた完全子会社化を目的とし
た発行者以外の者による公開買付けの事例との比較においても相応のプレミアムが付されていると考
えられること、(d)下記「      (3)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避す
るための措置等本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載の本公開買付けの公正性を担保
するための各措置が講じられており、少数株主の利益への配慮等がなされていると認められること等
を踏まえ、本公開買付けは、対象者の株主の皆様に対して、合理的な株式の売却の機会を提供するも
のであると判断したとのことです。
  以上より、対象者は、2019 年 12 月 18 日開催の取締役会において、同日時点における対象者の意見
として、本公開買付けが実施された場合には、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、対象
者の株主の皆様に対して、本公開買付けに応募することを推奨する旨の決議をしたとのことです。
  また、対象者は、上記取締役会において、本公開買付けが開始される際に、対象者が設置した独
立委員会に対して、独立委員会が 2019 年 12 月 18 日付で対象者の取締役会に対して表明した意見に
変更がないか否かを検討し、対象者の取締役会に対し、変更がない場合にはその旨、変更がある場合
には変更後の意見を述べるよう諮問すること、及びかかる意見を踏まえ、本公開買付けが開始される
時点で、改めて本公開買付けに関する意見表明を行うことを併せて決議したとのことです。
  その後、対象者は、2020 年2月 20 日に開催された第 10 回の独立委員会において、各委員に対し
て、対象者及び公開買付者らの状況等の情報を共有したとのことです。
  そして、今般、対象者は、公開買付者らから、国内外(日本、中国、韓国、米国、欧州連合及び
台湾)の競争法に基づく各必要許認可等についてクリアランスの取得が完了したことから、その他の
本前提条件が充足されていることを前提として、2020 年3月 24 日を公開買付開始日として本公開買
付けを開始することを予定している旨の連絡を 2020 年3月 16 日に受けたため、下記「               (3)本公開
買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等本公開買付けの公正性
を担保するための措置」の「⑤ 対象者における独立委員会の設置及び意見の入手」に記載のとおり、
同日、対象者が設置した独立委員会に対して、2019 年 12 月 18 日付答申書の意見に変更がないか否か
を検討し、対象者の取締役会に対し、変更がない場合にはその旨、変更がある場合には変更後の意見
を述べるよう諮問したとのことです。独立委員会は、当該諮問事項について慎重に検討した結果、
2019 年 12 月 18 日以降、2020 年3月 18 日までの事情を勘案しても、2019 年 12 月 18 日付答申書の答
申の内容について、いずれも変更すべき事情は見当たらないことを確認し、2020 年3月 18 日付で、
対象者の取締役会に対し、2019 年 12 月 18 日付答申書における意見に変更がない旨の追加答申書(以
下「2020 年3月 18 日付答申書」といいます。        )を提出したとのことです。対象者は、独立委員会か
ら提出された 2020 年3月 18 日付答申書の内容を最大限に尊重しながら、本公開買付けに関する諸条
件について改めて慎重に協議及び検討を行った結果、2020 年3月 23 日、会社法第 370 条による決議
(取締役会の決議にかわる書面決議)によって、利害関係を有しない取締役全員の一致で、改めて、
本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、対象者の株主の皆様に対して、本公開買付けに応募
することを推奨する旨の決議をしたとのことです。
  対象者の両取締役会決議の詳細については、下記「            (3)本公開買付価格の公正性を担保するため
                            -17-
  の措置及び利益相反を回避するための措置等本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑥
  対象者における利害関係を有しない取締役全員の承認」をご参照ください。
   なお、上記「(1)本公開買付けの概要」のとおり、対象者は、対象者及び対象者の子会社である
  日立エーアイシー株式会社のコンデンサ事業(小型フィルムコンデンサ事業を除きます。)及び蒸着
  フィルム事業を、南通江海电容器股份有限公司に対して、2020 年4月1日に譲渡することを予定し
  ているとのことです。譲渡する事業部門の 2019 年3月期の売上実績は 8,841 百万円であり、対象者
  の 2019 年3月期の連結売上実績の 1.3%に過ぎないことから、当該事業の譲渡が対象者の 2020 年3
  月期連結業績に与える影響は軽微であると考えているとのことです。また、同様の理由で、対象者の
  本件事業計画に与える影響も軽微であると考えていることから、対象者は本件事業計画の数値を変更
  していないとのことです。加えて、当該事業は対象者の他の事業から独立した事業であるため、当該
  事業の譲渡が対象者の今後の事業運営に与える影響はないと考えているとのことです。当該事業の譲
  渡の詳細については、本事業譲渡プレスリリースをご参照ください。

 ③ 本公開買付け実施後の経営方針等
   公開買付者らは、本公開買付け後の経営方針について、次のとおり考えております。
   上記「① 公開買付者らが本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」
  に記載の事業シナジー、戦略的意義、アクションプラン等を着実に実現させるべく、対象者の経営陣
  の方々には引き続き、事業運営に際して主導的な役割を果たしていただくとともに、対象者の執行役
  社長である丸山寿氏他一部の方々には、昭和電工の取締役や執行役員に就任していただき経営を担っ
  ていただくことを予定しております。同時に、グループとしての円滑な統合を目的として、昭和電工
  から対象者の取締役として経営経験が豊富な人材を派遣することを想定しております。最終的には、
  出身母体に関係なく、昭和電工及び対象者の役職員を適材適所に配置して、対象者を含む買収後の昭
  和電工グループにおいて最善のガバナンス体制を構築していきたいと考えております。また、事業
  ポートフォリオ・マネジメント、投資計画及び予算並びに資金調達に係る意思決定、さらに統合作業
  の進捗管理・監督を目的として、ステアリング・コミッティーを組織することも検討しておりますが、
  詳細について対象者と今後協議させていただく予定であり、現時点において決定している事実はあり
  ません。


(3)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等本公開買付けの
   公正性を担保するための措置
 公開買付者ら及び対象者は、公開買付者らが日立製作所との間で、本応募契約を締結しており、日立製
作所と対象者の少数株主の利害が必ずしも一致しない可能性があることを踏まえ、本公開買付価格の公正
性を担保し利益相反を回避する観点から、以下の措置を実施しました。
 なお、公開買付者は、本公開買付けにおいて、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」
(Majority of Minority)の応募を本公開買付け成立の条件とすると、本公開買付けの成立を不安定なも
のとし、かえって本公開買付けに応募することを希望する少数株主の利益に資さない可能性もあるものと
考え、 「マジョリティ・オブ・マイノリティ」        (Majority of Minority)の応募を本公開買付けの成立の条
件とはしておりません。もっとも、公開買付者ら及び対象者において、本公開買付価格の公正性を担保す
るための措置及び利益相反を回避するための措置として、以下の措置を実施していることから、対象者の
少数株主の利益には十分な配慮がなされていると考えております。

 ① 公開買付者らにおける独立した第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオ
   ンの取得
   公開買付者らは、本公開買付価格を決定するにあたり、公開買付者ら及び対象者から独立した第
  三者算定機関としてのフィナンシャル・アドバイザーであるみずほ証券に対して、対象者の株式価値
  の算定を依頼し、2019 年 12 月 18 日付で株式価値算定書を取得して参考にしました。なお、みずほ証
  券は、公開買付者ら、対象者及び日立製作所の関連当事者には該当せず、本取引に関して重要な利害
  関係を有しておりません。また、みずほ証券のグループ企業であるみずほ銀行は、公開買付者らに対

                               -18-
 する融資取引等を行っておりますが、本取引に関して公開買付者らとの利益相反に係る重要な利害関
 係を有しません。また、みずほ証券は金融商品取引法(第 36 条第2項)及び金融商品取引業等に関
 する内閣府令(第 70 条の4)の適用法令に従い、利益相反が生じる可能性がある場合には、公開買
 付者らに対し、利益相反状況の説明と同意取得を行うなど適切な利益相反管理体制を構築し、かつ実
 施しており、みずほ銀行の貸付人の地位とは独立した立場で、対象者の株式価値の算定を行っており
 ます。公開買付者らは、対象者の株式価値算定にあたり適切な利益相反管理体制が構築され、かつ実
 施されていると判断し、みずほ証券を第三者算定機関に選定いたしました。なお、公開買付者らは、
 みずほ証券から本公開買付価格が公開買付者らにとって財務的見地から公正である旨の意見書(フェ
 アネス・オピニオン)を取得しておりません。
  一方、公開買付者らは、公開買付者ら及び対象者から独立した第三者算定機関であるデロイト
 トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社(以下「デロイト トーマツ」といいます。         )に
 対しては、本公開買付価格が昭和電工にとって財務的見地から公正である旨の意見書(フェアネス・
 オピニオン)(以下「本フェアネス・オピニオン」といいます。 )の提出を求め、2019 年 12 月 17 日付
 で取得しました。なお、デロイト トーマツは、公開買付者ら、対象者及び日立製作所の関連当事者
 には該当せず、本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。また、公開買付者らは、デロイ
 ト トーマツに対して、対象者の株式価値の算定を依頼しておらず、株式価値算定書を取得しており
 ません。
  詳細につきましては、下記「2.買付け等の概要」の「(5)買付け等の価格の算定根拠等」の
 「① 算定の基礎」及び同「② 算定の経緯」をご参照ください。

② 入札手続の実施
  対象者プレスリリースによれば、上記「   (2)本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的
 及び意思決定の過程、並びに本公開買付け後の経営方針」の「② 対象者における意思決定の過程及
 び理由」に記載のとおり、2019 年7月上旬より、複数の候補者を対象とする本入札プロセスを実施
 し、昭和電工を含む複数の候補者に 2019 年 10 月上旬から同年 11 月中旬までデュー・ディリジェン
 スの機会を付与した上で、複数の候補者から最終意向表明書を受領したとのことです。また、対象者
 プレスリリースによれば、昭和電工の提示した株式価値評価額が、第二次入札プロセスに参加した各
 候補者から提示された株式価値評価額との比較において最も高額であったことに加え、競争法その他
 の適用法令に基づく必要な手続及び対応においてより具体的な対応策を示す等、取引実行の確実性の
 面でも昭和電工の提案は優れており、さらに昭和電工の資金調達の条件が他の候補者と比較して有利
 である等、本取引の諸条件の面においても最も好条件であったことから、昭和電工が提示した提案と
 比べて、対象者の株主の皆様にとってより有利な条件を提示する候補先は存在しなかったとのことで
 す。

③ 対象者における財務アドバイザーからの株式価値算定書の取得

   対象者プレスリリースによれば、対象者は、本公開買付けに関する意見表明を行うにあたり、対
 象者の財務アドバイザーであるゴールドマン・サックスに対し、対象者株式価値の財務分析を依頼し、
 2019 年 12 月 17 日付で株式価値算定書(以下「対象者株式価値算定書」といいます。
                                              )を取得してい
 るとのことです。なお、ゴールドマン・サックスは、対象者、日立製作所及び公開買付者らの関連当
 事者には該当せず、本取引に関して、重要な利害関係を有していないとのことです。また、対象者は、
 ゴールドマン・サックスから本公開買付価格又は本公開買付けの公正性に関する意見(フェアネス・
 オピニオン)を取得しておらず、ゴールドマン・サックスはかかる意見を一切表明していないとのこ
 とです。
   ゴールドマン・サックスは、対象者株式価値算定書を作成する過程の一環として、対象者株式が
 東京証券取引所市場第一部に上場しており市場株価が存在することから市場株価法を、また、対象者
 による将来のキャッシュ・フロー予測に基づく株式価値を算定するため、DCF 法を用いて財務分析を
 行ったとのことです。なお、DCF 法は、対象者経営陣が作成し、ゴールドマン・サックスによる使用
 が了承された対象者の事業計画(以下「本件事業計画」といいます。       )及び公開情報に基づいて行わ
 れたとのことです。各手法における分析結果として、対象者株式の1株当たりの株式価値の範囲とし

                         -19-
て下記が示されているとのことです。

        市場株価法        3,368 円     ~   3,878 円
        DCF 法        2,978 円     ~   5,417 円

  市場株価法では、ゴールドマン・サックスは、2019 年 12 月 17 日を基準日とし、公開情報に基づ
き、東京証券取引所における対象者株式の直近1ヶ月間の終値単純平均値 3,878 円、直近3ヶ月間の
終値単純平均値 3,640 円及び直近6ヶ月間の終値単純平均値 3,368 円と確認しているとのことです。
かかる確認に基づき、ゴールドマン・サックスは、対象者株式の1株当たりの株式価値の範囲を
3,368 円から 3,878 円までと算定しているとのことです。
  DCF 法では、ゴールドマン・サックスは、本件事業計画及び対象者が 2019 年 10 月 28 日に公表した
「2020 年3月期第2四半期決算短信〔IFRS〕  (連結)」に記載された対象者の 2019 年9月 30 日付連結
貸借対照表に基づいて算定を行ったとのことです。ゴールドマン・サックスは、対象者株式の1株当
たりの想定株式価値の範囲を計算するにあたり、対象者の推定加重平均資本コストを踏まえ、5.5%
から 7.5%までのレンジの割引率を用いて、本件事業計画で定められた今後6年間(2020 年3月 31
日に終了する会計年度から 2025 年3月 31 日に終了する会計年度)における対象者の将来アンレバー
ドフリーキャッシュフローを割り引いているとのことです。また、ターミナル・バリューの算出にあ
たっては、0.0%から 2.0%までのレンジの永久成長率をかかる本件事業計画における事業計画期間
の最終年度に対して用いているとのことです。その上で、対象者の株式価値の現在価値を算出するに
あたり、当該ターミナル・バリューを同一のレンジの割引率を用いて割り引いているとのことです。
対象者の企業価値の範囲の算出にあたっては、上記で算出した現在価値の範囲を合計しているとのこ
とです。その上で、対象者の当該企業価値の範囲から、対象者経営陣が提供した 2019 年9月 30 日時
点の対象者の純負債の金額を控除しているとのことです。さらに、当該企業価値の範囲を、対象者経
営陣が提供した対象者の発行済株式総数(自己株式を除きます。        )で除することにより対象者株式の
1株当たり現在価値の範囲を 2,978 円から 5,417 円までと算定しているとのことです。
  なお、対象者経営陣の了承のもとでゴールドマン・サックスが DCF 法に基づく対象者株式の1株当
たり価値の範囲の算定に用いた本件事業計画においては、大幅な増減益を見込んでいる事業年度が含
まれているとのことです。具体的には、対象者経営陣は、2021 年3月期及び 2022 年3月期において、
半導体市況の回復に係る対象者経営陣の見立て、モビリティ分野において新たに創出される受注機会
の獲得、エネルギー分野における収益性改善、再生医療ビジネスの立ち上がり等により、2021 年3
月期の営業利益が前期比で約 70%の増益、2022 年3月期の営業利益が前期比で約 30%の増益となる
ことを見込んでいるとのことです。なお、2020 年3月期においては、2019 年 10 月 28 日に対象者が
公表した「連結業績予想の修正に関するお知らせ」に記載の修正値を採用しておりますが、2020 年
3月期の計画値の修正後も、2021 年3月期以降の各年度における計画値の修正は行っていないとの
ことです。なお、本件事業計画は対象者単独のものであり、また、本取引の実行により実現すること
が期待されるシナジー効果を現時点において見積もることが困難であることから、本取引の実施を前
提として作成されたものではないとのことです。


(注)ゴールドマン・サックスのアドバイザリー・サービス及び対象者株式価値算定書は、対象者の
   取締役会及び独立委員会が本取引を検討するにあたっての情報提供及びかかる検討の補佐の
   みを目的として提供されたものとのことです。対象者株式価値算定書は、対象者株式の保有
   者が本公開買付けにおいて対象者株式の買付けに応じるべきか否か又はその他のいかなる事
   項についても何らの推奨を行うものではないとのことです。また、ゴールドマン・サックス
   は、特定の公開買付価格を対象者に対して推奨したことはなく、また、特定の公開買付価格
   を唯一適切なものとして推奨したこともないとのことです。
    対象者株式価値算定書は、必然的に、2019 年 12 月 17 日における経済環境、金融環境、市場
   環境及びその他の状況、並びに当該日時点においてゴールドマン・サックスに提供された情
   報のみに基づいており、ゴールドマン・サックスは、当該日以降に発生するいかなる事情、
   変化又は事由に基づいても、対象者株式価値算定書を更新し、改訂し又は再確認する責任を

                          -20-
 負うものではないとのことです。また、そのような更新、改訂又は再確認はこれまで行われ
 てないとのことです。したがって、対象者株式価値算定書は 2019 年 12 月 17 日時点までの事
 情及び市場環境のみを踏まえて考慮されるべきものとなるとのことです。また、ゴールドマ
 ン・サックスは、本件事業計画について、対象者の経営陣において現時点で得られる最善の
 予測及び判断を反映して合理的に準備されたものであることを、対象者の同意に基づき前提
 としているとのことです。なお、特に明記されている場合を除き、対象者株式価値算定書に
 おいて使用されている定量的情報のうち市場データに基づくものは、2019 年 12 月 17 日以前の
 市場データに基づいており、必ずしも現在の市場の状況を示すものではないとのことです。


 ゴールドマン・サックスが、対象者株式価値算定書の作成を行うにあたっての前提条件、手
続、考慮事項及び制約事項の詳細に関する追加情報は以下のとおりとのことです。


 ゴールドマン・サックス及びその関連会社(以下「ゴールドマン・サックス・グループ」と
総称します。)は、様々な個人及び法人顧客のために、アドバイザリー、証券引受及びファイナ
ンス、自己勘定投資、セールス・トレーディング、リサーチ、投資顧問その他の金融及び非金
融の業務及びサービスに従事しています。ゴールドマン・サックス・グループ及びその従業員、
並びにこれらが管理する又は(共同若しくは単独で)投資若しくはその他の経済的利益を有す
るファンドその他の事業体が、対象者、公開買付者ら及びそのいずれかの関係会社並びに第三
者の証券、デリバティブ、ローン、コモディティ、通貨、クレジット・デフォルト・スワップ
その他の金融商品、又は本取引に係るいずれかの通貨及びコモディティにつき、常時、売買し、
買い持ち若しくは売り持ちのポジションを取り、これらのポジションに対する議決権を行使し、
又は投資する場合があります。ゴールドマン・サックスは、本取引に関し対象者の財務アドバ
イザーを務め、本取引の交渉に一定の関与をしました。ゴールドマン・サックスは、本取引に
関するゴールドマン・サックスのサービスに対して報酬を受領する予定であるほか(報酬の大
半は本取引の実施を条件としています。、対象者は、ゴールドマン・サックスが要した一定の
                    )
実費を負担すること、及び財務アドバイザー業務に起因する一定の債務を補償することに同意
しています。また、ゴールドマン・サックス・グループは、対象者、公開買付者ら及びそれら
の関係会社に対して、財務アドバイザリー及び/又は証券引受業務を提供しており、また、現
在もそのようなサービスを提供し又は将来においても提供する可能性があり、ゴールドマン・
サックスの投資銀行部門はそれらのサービスに関して報酬を受領しており、また、今後も受領
する可能性があります。
 対象者株式価値算定書を作成するにあたり、ゴールドマン・サックスは、2019 年3月 31 日に
終了した会計年度までの5会計年度の対象者の有価証券報告書、2019 年3月 31 日に終了した会
計年度までの 10 会計年度の財務諸表、その他の対象者による株主に対する一定のコミュニケー
ション及び本件事業計画等について検討しました。また、ゴールドマン・サックスは、対象者
の過去及び現在の事業・財務状況並びに将来の見通しに関する評価について、対象者の経営陣
と協議をしました。さらに、ゴールドマン・サックスは、対象者の一定の財務情報及び株式市
場に関する情報を他の公開会社の類似の情報と比較し、グローバルの化学業界における最近の
買収案件の事例の財務条件を検討したほか、ゴールドマン・サックスが適切と思料するその他
の調査と分析を実施し、その他の要因を考慮しました。


 財務分析の実施並びに対象者株式価値算定書の作成にあたり、ゴールドマン・サックスは、
ゴールドマン・サックスに対して提供され、ゴールドマン・サックスが聴取し又はゴールドマ
ン・サックスが検討した財務、法務、規制、税務、会計その他の情報全ての正確性及び完全性
について、対象者の同意に基づき、これに依拠し、また、これを前提としており、これらにつ
いて何ら独自の検証を行う責任を負うものではありません。ゴールドマン・サックスは、対象
者の同意に基づき、本件事業計画が、対象者の経営陣による現時点で得られる最善の予測及び
判断に基づき合理的に作成されたものであることを前提としています。ゴールドマン・サック
スは