3814 J-アルファクスFS 2020-06-26 16:00:00
東京証券取引所への「改善報告書」の提出に関するお知らせ [pdf]

                                                         2020 年       6 月 26 日
各    位
                           会   社   名 株式会社アルファクス・フード・システム
                           代 表 者 名 代表取締役社長               田        村   隆    盛
                                     (コード番号:3814        東証 JASDAQ)
                           問 合 わ せ 先 取締役      IR・広報室室長        菊   本    健   司
                           電 話 番 号 0836-39-5151
                           U   R   L https://www.afs.co.jp/




           東京証券取引所への「改善報告書」の提出に関するお知らせ

    当社は、過年度決算短信等を訂正した件につきまして、2020 年 5 月 29 日付で株式会社東京証券取引
所より、有価証券上場規程第 502 条第 1 項第 1 号に基づき、その経緯及び改善措置を記載した「改善
報告書」の提出を求められておりましたが、本日別添のとおり提出いたしましたので、お知らせいたし
ます。


別添書類:改善報告書
                         改善報告書


                                           2020 年6月 26 日


株式会社東京証券取引所
代表取締役社長   宮原   幸一郎   殿


                             株式会社アルファクス・フード・システム
                            代表取締役社長   田村   隆盛




 この度、過年度決算短信及び四半期決算短信、並びに有価証券報告書及び四半期報告書(以下
「過年度決算短信等」といいます。 の訂正の件について、有価証券上場規程第 502 条3項の規
               )
定に基づき、その経緯及び改善措置を記載した改善報告書をここに提出いたします。
                                                                目次


1.経緯 ......................................................................................................................... 1
   (1)過年度決算訂正の内容 ..................................................................................... 1
   (2)過年度決算短信等を訂正するに至った経緯・原因 .......................................... 4
      a.ボイラー関連取引に関する売上計上時期の適切性 ............................................ 7
      b.関連取引に関する補助金申請売上取り消し ...................................................... 8
      c.販売先への資金提供を売掛金とする処理 .......................................................... 9
      d.長期未回収販売先の売上取り消し ..................................................................... 9
      e.売上取り消し時期の適切性.............................................................................. 10
      f.販売手数料未計上 ............................................................................................ 11
      g.製造委託先への貸倒引当金の計上不足 ............................................................ 11
      h.返還請求予定修理費用の会計処理 ................................................................... 13
      i.シンジケートローンの会計処理 ...................................................................... 13
      j.商品評価損の損益計算書科目について ............................................................ 14
      k.賞与引当金の計上不足 ..................................................................................... 15
      l.期末滞留品の商品評価損計上不足 ................................................................... 15
      m.廃棄見込商品評価損の計上時期の適切性 ........................................................ 16
      n.遊休固定資産の減損処理 ................................................................................. 16
      o.開発中止ソフトウェアの費用処理 ................................................................... 17
      p.ソフトウェア仮勘定精査 ................................................................................. 17
      q.ホテルの減損検討について.............................................................................. 18
      r.その他(注記情報の不備等) .......................................................................... 18

2. 改善措置 .............................................................................................................. 19
   (1)不適正開示の発生原因の分析 ........................................................................ 19
   (2)再発防止に向けた改善措置 ............................................................................ 23
   (3)改善措置の実施スケジュール ........................................................................ 31

3.不適切な情報開示等が投資家及び証券市場に与えた影響についての認識 ........... 31
1.経緯
(1)過年度決算訂正の内容
    当社は、当社のエネルギーコスト削減事業に関する売上計上時期の適切性(以下「本件会
  計処理」といいます。)について外部からの指摘を受けたことから、事実経緯の調査及び本
  件会計処理の妥当性等に関する調査・検証を実施し、原因の究明及び再発防止策に関する提
  言等を求める必要があると判断したため、2020 年2月7日に当社とは利害関係を有しない
  外部の専門家を委員長として、外部の専門家及び当社独立社外監査役で構成される特別調査
  委員会を設置して調査を実施しました。
    その結果、2020 年3月 16 日付「特別調査委員会の調査報告書の受領及び調査結果に関す
  るお知らせについて」において公表いたしましたとおり、特別調査委員会より調査結果の報
  告を受領し、ボイラー工事案件に係る売上早期計上及び保有不動産に係る減損損失未計上な
  ど、不適切な会計処理を認識するに至りました。この結果、当社は同日付で過年度決算短信
  等の訂正を行いました。訂正した過年度決算短信等及び業績に及ぼす影響額については、以
  下のとおりです。


【訂正した有価証券報告書】
 第 24 期   有価証券報告書(自 2016 年 10 月1日 至 2017 年9月 30 日)
 第 25 期   有価証券報告書(自 2017 年 10 月1日 至 2018 年9月 30 日)
 第 26 期   有価証券報告書(自 2018 年 10 月1日 至 2019 年9月 30 日)


【訂正した四半期報告書】
 第 24 期   第1四半期報告書(自 2016 年 10 月1日 至 2016 年 12 月 31 日)
 第 24 期   第2四半期報告書(自 2017 年 1月1日 至 2017 年 3月 31 日)
 第 24 期   第3四半期報告書(自 2017 年 4月1日 至 2017 年 6月 30 日)
 第 25 期   第1四半期報告書(自 2017 年 10 月1日 至 2017 年 12 月 31 日)
 第 25 期   第2四半期報告書(自 2018 年 1月1日 至 2018 年 3月 31 日)
 第 25 期   第3四半期報告書(自 2018 年 4月1日 至 2018 年 6月 30 日)
 第 26 期   第1四半期報告書(自 2018 年 10 月1日 至 2018 年 12 月 31 日)
 第 26 期   第2四半期報告書(自 2019 年 1月1日 至 2019 年 3月 31 日)
 第 26 期   第3四半期報告書(自 2019 年 4月1日 至 2019 年 6月 30 日)


【訂正した決算短信】
 平成 29 年9月期 決算短信〔日本基準〕(非連結)
 平成 30 年9月期 決算短信〔日本基準〕(非連結)
   2019 年9月期    決算短信〔日本基準〕(非連結)




                                 1
  【訂正した四半期決算短信】
    平成 29 年9月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(非連結)
    平成 29 年9月期 第2四半期決算短信〔日本基準〕(非連結)
    平成 29 年9月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(非連結)
    平成 30 年9月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(非連結)
    平成 30 年9月期 第2四半期決算短信〔日本基準〕(非連結)
    平成 30 年9月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(非連結)
         2019 年9月期   第1四半期決算短信〔日本基準〕(非連結)
         2019 年9月期   第2四半期決算短信〔日本基準〕(非連結)
         2019 年9月期   第3四半期決算短信〔日本基準〕(非連結)


  【過年度決算短信等の訂正による業績への影響額】                                         (単位:千円)
                              訂正前          訂正後          影響額        影響率
         期間            項目
                              (A)          (B)         (B-A)       (%)
第 24 期               売上高         561,607     561,607          -          -
(2017 年9月期           営業利益        41,095      33,729      △7,366      △17.9
第1四半期)               経常利益        39,885      △4,435     △44,231     △111.1
                     当期純利益       26,813    △14,981      △41,795     △155.9
                     純資産         595,571     553,776    △41,795      △7.0
                     総資産       1,876,812   1,835,017    △41,795      △2.2
第 24 期               売上高       1,049,659   1,049,659          -          -
(2017 年9月期           営業利益        80,594      71,641      △8,952      △11.1
第2四半期)               経常利益        74,087      29,515     △44,571      △60.2
                     当期純利益       47,483        5,631    △41,852      △88.1
                     純資産         616,186     574,334    △41,852      △6.8
                     総資産       2,090,555   2,048,703    △41,852      △2.0
第 24 期               売上高       1,542,952   1,542,952          -          -
(2017 年9月期           営業利益        104,267     92,716     △11,550      △11.1
第3四半期)               経常利益        95,034      49,201     △45,833      △48.2
                     当期純利益       61,797      18,884     △42,913      △69.4
                     純資産         630,505     587,592    △42,913      △6.8
                     総資産       2,132,393   2,089,480    △42,913      △2.0
第 24 期               売上高       2,087,116   2,087,116          -          -
(2017 年9月期           営業利益        136,122     73,885     △62,237      △45.7
通期)                  経常利益        125,089     29,903     △95,185      △76.1
                     当期純利益       133,277     77,674     △55,603      △41.7
                     純資産       1,096,895   1,041,292    △55,603      △5.1
                     総資産       2,595,243   2,539,640    △55,603      △2.1

                                   2
                      訂正前         訂正後          影響額         影響率
         期間     項目
                      (A)         (B)         (B-A)        (%)
第 25 期        売上高       525,185     525,185          -           -
(2018 年9月期    営業利益      30,071      28,679      △1,391       △4.6
第1四半期)        経常利益      26,174      26,119         △55       △0.2
              当期純利益     16,869      17,002           133         0.8
              純資産     1,064,534   1,009,065    △55,469       △5.2
              総資産     2,512,864   2,457,395    △55,469       △2.2
第 25 期        売上高       954,816     931,416    △23,400       △2.5
(2018 年9月期    営業利益      45,847      19,825     △26,022      △56.8
第2四半期)        経常利益      37,048      13,697     △23,350      △63.0
              当期純利益     23,206        7,323    △15,883      △68.4
              純資産     1,070,818     999,332    △71,486       △6.7
              総資産     2,580,025   2,508,538    △71,486       △2.8
第 25 期        売上高     1,450,845   1,424,745    △26,100       △1.8
(2018 年9月期    営業利益      78,094      49,552     △28,541      △36.5
第3四半期)        経常利益      64,420      39,886     △24,534      △38.1
              当期純利益     42,601      26,072     △16,528      △38.8
              純資産     1,090,105   1,017,973    △72,132       △6.6
              総資産     2,563,853   2,499,521    △64,332       △2.5
第 25 期        売上高     2,038,911   1,921,461    △117,450      △5.8
(2018 年9月期    営業利益      148,127     47,931     △100,195     △67.6
通期)           経常利益      129,865     35,012     △94,852      △73.0
              当期純利益     85,890    △333,670     △419,560     △488.5
              純資産     1,133,380     658,216    △475,163     △41.9
              総資産     2,602,228   2,209,864    △392,363     △15.1
第 26 期        売上高       383,889     383,889          -           -
(2019 年9月期    営業利益    △69,074     △65,533         3,513          5.1
第1四半期)        経常利益    △69,656     △64,806         4,849          7.0
              当期純利益   △49,056     △44,212         4,843          9.9
              純資産     1,059,560     589,240    △470,320     △44.4
              総資産     2,507,083   2,119,563    △387,520     △15.5
第 26 期        売上高       861,831     825,821    △36,010       △4.2
(2019 年9月期    営業利益      22,056      △6,473     △28,529      △129.3
第2四半期)        経常利益      15,761    △10,097      △25,858      △164.1
              当期純利益       9,622     △5,301     △14,924      △155.1
              純資産     1,118,153     628,065    △490,088     △43.8
              総資産     2,662,673   2,255,385    △407,288     △15.3

                          3
                           訂正前          訂正後          影響額        影響率
         期間         項目
                           (A)          (B)         (B-A)       (%)
第 26 期         売上高          1,440,595   1,389,585    △51,010      △3.5
(2019 年9月期     営業利益           151,902     107,499    △44,402     △29.2
第3四半期)         経常利益           140,855     100,459    △40,395     △28.7
               当期純利益          93,864      68,894     △24,969     △26.6
               純資産          1,202,406     702,273    △500,133    △41.6
               総資産          2,818,245   2,400,912    △417,333    △14.8
第 26 期         売上高          2,252,734   2,218,381    △34,353      △1.5
(2019 年9月期     営業利益           416,662     335,163    △81,498     △19.6
通期)            経常利益           440,542     267,747    △132,794    △33.2
               当期純利益          261,953     126,401    △135,552    △51.7
               純資産          1,370,496     759,780    △610,716    △44.6
               総資産          2,969,147   2,477,282    △491,865    △16.6


  (2)過年度決算短信等を訂正するに至った経緯・原因
         ① 発覚した経緯
          当社は、エネルギーコスト削減事業に関する売上計上時期の適切性について外部からの
         指摘を受け、事実経緯の確認のために専門家を交えた社内調査をし、検討を進めた結果、
         一部について不適切な会計処理が行われた疑念があることを認識しました。
          具体的には、ASP 事業セグメントのシステム機器事業の一部の取引について 2018 年9
         月期の売上高 75,000 千円の売上計上時期の適切性に疑念があることを認識しました。
          上記の疑念を認識したこと及び外部からのその他の指摘事項も踏まえ、これらの事実経
         緯の調査及び会計処理の適切性の検証には相応の時間を要する事態となったことを受け、
         当社は、過年度の決算に関しても検討すべき事態が生じたものと判断し、また、より詳細
         かつ正確に事実経緯を把握し、本件会計処理の妥当性等に関する深度ある調査、検証を実
         施するためには、独立性・中立性・専門性の高い調査委員会を設置する必要があると判断
         したため、当社とは利害関係を有しない外部の専門家を委員長とし、外部の専門家及び当
         社独立社外監査役で構成される特別調査委員会を設置することを決定しました(以下「本
         調査」といいます。。
                 )
          その後、調査結果として 2020 年3月 16 日付で調査報告書を受領し、前記「(1)」のと
         おり過年度決算短信等の訂正を行ったものです。




                                4
② 特別調査委員会の構成、調査の目的、対象期間、範囲・方法等
 a. 特別調査委員会の構成
 委員長     奥津泰彦(公認会計士・奥津泰彦公認会計士事務所)
 委   員   塩野治夫(公認会計士・塩野治夫公認会計士事務所)
 委   員   後藤   登(当社独立社外監査役・公認会計士・弁護士)


 b. 調査の目的
 ・不適切会計処理に関する事実関係の調査
 ・不適切会計処理以外の外部からの指摘事項に関する事実関係の調査
 ・上記につき不適切な会計処理が判明した場合における当社財務諸表への影響額の確定
 ・不適切な会計処理が判明した場合には、その原因の究明と再発防止策の提言
 ・上記のほか、特別調査委員会が必要と認める事項


 c. 調査期間
 2020 年2月7日から 2020 年3月 13 日まで


 d. 調査範囲・方法等
 ・関係書類の調査
     当社の会計証憑類、議事録、規程等(有価証券報告書、総勘定元帳、補助元帳、貸
  借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、仕訳データ、残高試算表、固定資産
  台帳、取締役会議事録、株主総会議事録、株主総会招集通知、取締役会議事録、各種
  規程等)の調査を実施しました。


 ・パーソナルコンピュータ(以下「PC」といいます。)データの調査
     当社の役員及び従業員合計9名が使用していた PC9台、外付けハードディスク1
  台及びスマートフォン1台から 374,809 件のメールデータを抽出しました。これらの
  データに対し、調査事項に関連するキーワードごとに条件検索をかけてメールに対す
  る検討を実施しました。


  ・役員、従業員等のヒアリング
     2020 年2月7日から 2020 年3月 12 日までの間に、社長以下の役員、経理担当者
  その他従業員等に対してヒアリングを実施しました。


  ・本社及びデータセンター等の見分
     当社の本社及びデータセンターの見分を実施し、在庫管理状況等を調査しました。


  ・役員及び従業員に対するアンケート調査
     当社の役員及び従業員合計 10 名に対してアンケートを実施し、9名から回答を得ました。

                         5
   これに加え当社の社員から広く関連情報を収集するため、2020 年3月2日から同年
  3月4日までの間、特別の情報提供窓口を設け、従業員5名から情報提供を受けまし
  た。情報提供の事実、内容及び提供者名が当社に知られることがないように、後藤委
  員が窓口となり実施しました。


  ・関係外部機関へのヒアリング
   第 24 期から第 26 期の会計監査人であった監査法人大手門会計事務所の業務執行社
  員へのヒアリング及び関係書類の閲覧を行いました。


③ 調査により判明した事実の概要等
 特別調査委員会の本調査により判明した事実を踏まえて当社として認識した不適切な会
計処理の内容等は以下のとおりです。


 a. ボイラー関連取引に関する売上計上時期の適切性
 b. ボイラー関連取引に関する補助金申請売上取り消し
 c. 販売先への資金提供を売掛金とする処理
 d. 長期未回収販売先の売上取り消し
 e. 売上取り消し時期の適切性
 f.販売手数料未計上
 g.製造委託先への貸倒引当金の計上不足
 h.返還請求予定修理費用の会計処理
 i.シンジケートローンの会計処理
 j.商品評価損の損益計算書科目
 k.賞与引当金の計上不足
 l.長期滞留品の商品評価損計上不足
 m.廃棄見込商品評価損の計上時期の適切性
 n.遊休固定資産の減損処理
 o.開発中止ソフトウェアの費用処理
 p.ソフトウェア仮勘定精査
 q.セグメント情報
 r.その他(注記情報の不備等)




                      6
a.ボイラー関連取引に関する売上計上時期の適切性
 ア.概要
  当社は、2018 年9月 30 日にA社に対するボイラー導入工事に係るコンサルティング業
 務の売上として 75,000 千円を計上するとともに、対応する売上原価 15,450 千円を計上し
 ましたが、契約上、業務の内訳が明確でなかったことに加え、売上計上後も、当社が工事
 に継続的に関与するなど、役務提供が完了していなかったものと判断したことから、当該
 売上の取消しを行いました。


 イ.事実関係
  当社は、自社ホテルで利用する電気ボイラーを新規に導入したことを契機として、電気
 ボイラー導入事業を行うこととし、当社得意先であるB社に対して営業活動を行った結
 果、2018 年7月 20 日にB社の兄弟会社(温泉施設を所有)であるA社(社長はB社と同
 一人物であり、株式もA社・B社ともに当該社長及び同族で保有している)に「業務用電
 気給湯設備によるボイラー周辺コスト大幅改善&削減(以下「本件」といいます。」を提
                                      )
 案し、当社の試算結果に基づき導入を進めることで合意しました。本件は、新規事業1号
 案件であったため、代表取締役社長主導により事業が取り進められました。
  当社は以前からA社と注文書及び請書を交わして取引を実施していたため、契約書は作
 成せず、当社のパッケージシステム等の販売時に利用している注文書のフォームのみを利
 用して契約を行いました。2018 年7月 20 日付の当初の注文書上は「電気給湯システム」
 とのみ記載され工事の内訳の記載はしておらず、その後、2019 年6月 23 日付で、工事費
 の増額に伴って注文書を取り直した際に、品名を「電気ボイラーシステム導入」に改め、
 内訳として設計費関連・設備費関連・工事費関連・補助金申請費用関連を追加で記載しま
 した。
  当社は、本件における自社の役割を導入コンサルティング(概要設計、コスト分析等の
 提案業務)であると認識しており、導入コンサルティング後の設計、工事施工及び機器の
 手配等は工事業者が担当したため、導入コンサルティング完了後、同年9月 20 日にA社
 から 75,000 千円の入金をうけて、当該コンサルティングフィーに相当する分の売上を計
 上しました。
  しかしながら、契約書を取り交わしておらず、注文書にコンサルティングの定めは無
 く、業務内容が曖昧なままであったこともあり、A社としてはボイラー工事完了まで当社
 の業務が継続しているものと考えていたと推察され、実際、当社はA社からの検収確認回
 答書の受領及び売上代金の入金を受けた後も、仕様変更やボイラー機器の制作・設置業者
 である工事業者への導入工事等に関わる指示を行っていました。
  本件においては、工事開始後に生じた工事業者による大幅な機器変更に伴う納品の遅延
 等によって工事の遅延が生じましたが、当社は当該遅延に対する工事業者への指示につい
 ても継続して行うとともに、A社との協議も金融機関等も交えた形で行われており、当社
 の本件への関与は継続していましたが、当該事実が代表取締役社長から取締役会及び管理
 部に伝達されることはありませんでした。

                       7
  なお、当社は工事進行基準を採用しておりません。


b.関連取引に関する補助金申請売上取り消し
 ア.概要
  当社は、2019 年9月 30 日にA社に対するボイラー工事関連の補助金申請代行業務の売
 上として 15,000 千円を計上しましたが、当該業務は上記 a の工事の一部として行われた
 ものであると判断したことから当該売上の取消しを行いました。


 イ.事実関係
  上記 a の工事に関して、当初、補助金の申請を想定していませんでしたが、工事の遅延
 やボイラー工事の仕様変更に伴う工事代金の増加を受けて、「平成 31 年度省エネルギー投
 資促進に向けた支援補助金」の申請が可能となったと考えたことから、当社はA社に対し
 て補助金の申請を提案し、2019 年3月上旬に「平成 31 年度省エネルギー投資促進に向け
 た支援補助金」の申請業務を任せられる会社選定及び申請に必要な資料の入手・作成等の
 補助金申請代行業務を当社が請け負うことについて、ボイラー工事関連業務の一部とし
 て、A社と合意しました。
  当社は申請代行業務の経験が豊富なC社の支援を受けて、A社に代わり、申請に必要な
 資料の入手・作成を行いましたが、当該業務に係る契約は、A社とC社が直接締結してい
 たことから、当社はA社とC社の補助金申請代行業務の仲介者として申請代行業務を行っ
 ていたものになります。
  他方、当社はA社と契約書や覚書を交わすことはありませんでしたが、本件補助金申請
 代行業務についての 2019 年6月 28 日付納品書に注文番号欄にボイラー工事を意味する
 「2018 年7月 23 日付注文書の一部」と記載して、同日 15,000 千円を請求しました。こ
 れは補助金申請の期限が6月末であり、期限までに申請が完了したこと受けて請求を行っ
 たものであり、当社としては、本件補助金申請代行業務はボイラー工事と一括ではなく別
 の売上取引として取り扱えると考え、かつ、成功報酬型では無く、例え補助金が支給され
 なくても代金を受け取ることが出来るものと認識していたため、当該業務分の金額を売上
 として計上したものになります。
  なお、実際に、補助金の交付は認められませんでした。特別調査委員会の調査によれ
 ば、A社が債務超過であるために補助金交付の要件に該当せず、当該補助金の交付は望め
 ないものであったことが判明しています。A社が債務超過であることは申請書類から判明
 していたはずですが、C社がそれを見落としていたものと思われます(C社が、補助金申
 請主体がA社ではなくA社と同一オーナーの地元では著名な「B社」であると思い込んで
 いたためなのか、あるいは補助金申請の諸条件は確認済の案件の依頼を受けていると考え
 ていたのかは不明です)
           。当社はC社の助言に従い書類作成を行いましたが、補助金申請
 の制限事項については注意を払っていなかったため、支給されることのない補助金申請を
 行う結果となりました。



                       8
c.販売先への資金提供を売掛金とする処理
 ア.概要
  当社は、2019 年9月 30 日にB社グループ3社に対して合計 48,600 千円の現金売上を
 計上するとともに、同日にB社グループ3社に対する 48,600 千円の売掛金の計上を行い
 ましたが、当該売掛金はB社グループに対する貸付金に当たると判断し、勘定科目を売掛
 金から短期貸付金に訂正しました。
  また、既存の他社に対する短期貸付金とともに「金融商品の時価等に関する事項」への
 注記が漏れていたため短期貸付金の時価に関する項目を追加することが適切であると判断
 しました。


イ.事実関係
  B社グループ3社は当社の EDI システム(飲食店経営システム)の導入にあたり、軽減
 税率対策補助金の申請を行うこととしていましたが、2019 年9月末までに支払を完了し
 ていることが補助金交付の要件となっていたところ、B社グループから当社に対して9月
 末までの資金調達が難しい旨の申し出があったことから、当社がB社グループに対して資
 金融通を行うことになりました。
  その際、B社側の事情で金銭消費貸借契約の締結を断られたため、一旦、当社が 2019
 年9月 30 日にB社グループ3社から EDI システムの導入に係る費用として 48,600 千円
 の入金を受けることで支払いを完了させ、当社からB社に対して合計 48,600 千円の振込
 を行い、これを当社側が売掛金で処理することとしたものです。


d.長期未回収販売先の売上取り消し
 ア.概要
  当社は、製品の納品と受領書の取得に合わせて売上計上を行っていましたが、売上計上
 後、回収処理を除き、売上取消し、貸倒引当金計上等の会計処理をしていなかったことから、調
 査日現在まで、長期に渡り回収されていないものがありました。
  その中には、取引完了について、取引先との間の認識が一致せず、役務提供が完了した
 とは判断できないものがあったことから、一旦、当該売上の取り消しを行い、入金後に売
 上計上することが適切であると判断しました。


 イ.事実関係
  当社は、取引先4社に対する売上取引について、売上計上後、通常の入金期日を大幅に
 超えたまま未回収となっております。
     取引先    未回収額(税込)                 売上計上月              入金予定日
     E社          16,848 千円       2018 年 2 月         2020 年 5 月末
     F社          32,400 千円       2019 年 3 月         2020 年 3 月末入金済
     G社          5,932 千円        2019 年 3 月及び 9 月   値引済み
     H社          3,142 千円        2019 年 3 月         交渉中

                             9
  これらの取引は、いずれも当社の製品を納品し受領書も取得しているものですが、納品
 だけで当社の役務提供が完了するものではなく、追加的な役務提供等を行うことが含まれ
 ていると解すべきであり、少なくとも顧客側はそのように理解していました。
  なお、売上計上時点においては、当社による追加的な役務提供は完了しておらず、各社
 に対して、下表のとおり、追加的な役務提供が必要な状況となっていました。
      取引先                    追加的な役務提供
      E社     飲食店経営管理システム(R)のマスタ登録運用
      F社     追加要望による追加要件定義と対応
      G社     軽減税率補助金の振込確認後の値引き交渉
      H社     セントラルキッチン導入を受けたマスタ再整備及び再登録


e.売上取り消し時期の適切性
 ア.概要
  当社は、I社に対する 2018 年9月の売上 15,000 千円及びJ社に対する 2018 年6月及
 び9月の売上 4,050 千円について、2019 年9月開催の当社取締役会においてI社及びJ
 社からの返品を承認したことを受けて、2019 年9月に取り消しました。
  しかしながら、実際にはI社から納品後にキャンセルを示唆する連絡を受けていたこ
 と、J社がキャンセルを表明した時期が客観的に把握できないことから、売上の取り消し
 時期を 2019 年9月期から 2018 年9月期に変更することが適切な処理であると判断しまし
 た。


イ.事実関係
  I社は既存顧客の経営者が保有する別会社です。当社はI社に対して 2018 年9月に役
 務提供(製品の納品、ライセンスキー発行等)を完了しており、I社から 2018 年9月 20
 日付けで「受領書」の発行を受けています(受領書上の納品日は 2018 年9月 28 日。受領
 印欄にはサインがなく、担当の欄にI社担当者名のサインがあるもの)。
  他方、当社からI社に対する「請求書」は 2018 年9月末から現在まで発行していませ
 ん。
  当社は、2018 年 10 月1日にI社からキャンセルを示唆するメールを受けて、I社との
 取引成立に向けた交渉を開始しました。この交渉過程において、紹介料や値引き等の当初
 の契約にはなかった要求を受けています。当社は既存顧客から紹介案件ということもあ
 り、慎重に交渉しましたが、最終的には取締役会でキャンセルを承認し 2019 年9月に売
 上の取消処理を行いました。
  また、J社に対しても下表の取引について、一旦、売上計上をしたものの、後に売上の取り
 消しをしています。




                        10
     受注日            納品日           請求書日付       金額(税抜)              入金日
    2018/6/11      2018/6/29      2018/6/30        2,700 千円      2019/9 取消
    2018/6/11      2018/9/18      2018/9/30        1,200 千円      2019/9 取消
    2018/9/3       2018/9/28      2018/9/30          150 千円      2019/9 取消
                     合計                            4,050 千円
  J社については、2018 年9月期末における残高確認において差異が発生していました
 が、管理部(現 経理部)では「差異の原因は当社売上と相手先(J社)仕入の認識時期
 のズレによるもの」と認識していました。他方、営業の現場では、「売上が一旦保留にな
 っている」と認識していたため、2019 年9月 13 日開催の当社取締役会において返品を承
 認し、2019 年9月に売上取消処理を行いました。


f.販売手数料未計上
 ア.概要
  当社は、2019 年9月期において計上するべき販売手数料を計上していませんでした
 が、当該販売手数料は、2019 年9月期に発生主義により未払費用として計上する処理が
 適切であると判断しました。


 イ.事実関係
  2019 年 10 月 30 日付け社内メールで、決算に関する最終調整内容として検討すべき項
 目として報告された内容のうち、販売代理店2社に対する販売手数料が未計上となってい
 ました。販売手数料については9月までの売上が対象ですが、下表のとおり、実際の支払
 が先になるため、費用計上をしていませんでした。
   支払先            金額                             理由
    K社          7,800 千円   販売先で補助金がおりなかった場合、販売手数料を減額す
                           る可能性があるため
    L社          1,000 千円   先方の請求書の消費税不備があり、請求書を差し戻している
                           ため
  また、特別調査委員会が類似案件の調査を行った結果、以下の販売手数料についても未
 計上であることが判明しました。
      支払先                       金額                       支払日
        M社                     972 千円         2019 年 10 月 31 日


g.製造委託先への貸倒引当金の計上不足
 ア.概要
  当社は、顧客に販売した主力製品の器具(主にキッチンショット)の不具合に対応する
 ために支出した保守稼働費のうち、製造委託先であるN社が製品補償費用として負担すべ
 き部分を未収入金に計上し、また、当該未収入金に対する個別の貸倒引当金は計上してい
 ませんでした。

                                     11
 しかしながら、当該未収入金の回収原資は賠償責任保険と取引を通じた回収を想定して
いましたが、賠償責任保険から支払われる保険金は、不具合全体を対象とするものでは無
く、十分な回収原資を保証するものではありませんでした。また、N社との取引を継続す
ることによって未収入金を回収することも予定していましたが、当社が汎用品比率を高
め、N社への発注を絞る傾向にあることを考えると、十分に機能するとは言えませんでし
た。
 この結果、N社の支払意思は認められるものの、実際の支払能力が十分であるとは言え
ず、未収入金の回収可能性に疑義が生じていたことを踏まえると、N社に対する未収入金
に係る貸倒引当金の追加計上を行うとともに、未収入金の追加計上(11,751 千円)を取
り消す処理が適切であると判断しました。


イ.事実関係
 2018 年6月 30 日に当社とN社の間で「製品補償に関する確認書」が締結され、N社
は、不具合に対応するための費用を当社に補償することで合意していますが、その支払方
法等については、「今後の取引内容・金額を考慮して協議し、決定するものとする」とさ
れ、取引関係から相殺等により回収原資を捻出することを期待した曖昧なものであり、不
具合発生が解消し、かつ、両社の取引が拡大することを前提としたものでした。
 2018 年9月 30 日に当社とN社との間で「製品補償支払いに関する確認書」を締結し、
5年間に渡って 15,000 千円(5年目は 14,452 千円)の支払いを受けることを合意しまし
たが、「但し、その支払方法については、今後の取引内容・金額からを前提とし、支払い
のタイミング等については、協議の上、決定するものとする」としており、取引の継続、
拡大を前提とする曖昧なものでした。
 こうした曖昧さの原因の一つとして、N社が保険(動産保険)に加入していないことが
ありました。このため、当社はN社に保険に加入するように指導を行い、2018 年 10 月1
日以降の不具合は保険対象となりました。
 しかしながら、当社が汎用品の採用比率を高めたことにより、今後はN社との取引金額
の増加を見込むことが難しくなり、一方で製品の不具合の継続的発生により新たな製品補
償費が生じ、毎月発生する製品保証費が保険分も含めた回収額を超過する月も見られまし
た。
 このような状況において、当社は 2019 年9月期にN社に対する未収入金 11,751 千円を
追加計上し、結果的に未収入金が滞留する形になりました。しかし当社は、N社が支払い
の意思があることから支払能力については十分であると判断し、当該未収入金に対する個
別の貸倒引当金は計上していませんでした。
     製造委託先に対する未収入金の推移
         2017 年9月末   2018 年9月末   2019 年9月末
 未収入金    22,800 千円   80,869 千円   68,390 千円




                         12
h.返還請求予定修理費用の会計処理
 ア.概要
  当社は、製造委託先に支払済みの修理代金のうち将来返還見積額を、2017 年9月に仮
 払金から長期前払費用に振り替えており、2019 年9月末の長期前払費用残高として 4,800
 千円が計上されていました。
  しかしながら、回収可能性は見込めず、返還請求の争い等も確認できないことから、
 2017 年9月期の仮払金から長期前払費用への振替を取り消し、仕入原価に振り替える処
 理が適切であると判断しました。


 イ.事実関係
  当社が製造委託先であるO社に支払済みの修理代金のうち、当社としては根拠が無いと
 判断しているものの、同社が大口顧客先と結びつきが強いことから、取引継続中は返還請
 求せず、将来取引が無くなった時点で返還を求める意向である支払済代金 11,980 千円に
 ついて、当社は弁護士に意見を求めたうえで回収見込みがあると判断し、仮払金としてい
 ました。
  しかしながら、訴訟等による具体的な回収行為を行わないまま時間が経過し、監査法人
 からも複数回指摘を受けたこともあり、2017 年9月に長期前払費用に振替を行い、以後
 5年間で費用化を行うことにしました。当社としては弁護士の意見から裁判を起こした場
 合には勝訴できると考えていますが、O社と係争状態になった場合には大口得意先(P
 社)の失注に結びつくことを危惧して提訴しないだけであると考えており、訴訟をするこ
 とを前提に監査法人の助言に従い、当該支出を取引関係維持のための支出であり、税務上
 の繰延資産、会計上の長期前払費用に計上処理して問題ないと考えていました。
  しかしながら、本調査において、取引関係維持のための支出とする当社の主張は後付け
 に過ぎず、長期前払費用に計上する根拠としては不十分であり、また、当該支出の回収に
 向けた具体的な取組みも行われておらず、回収可能性が認められないことから、2017 年 9
 月期に当該支出全額を費用処理すべきとの指摘を受けたものです。


i.シンジケートローンの会計処理
 ア.概要
  当社は、2016 年 12 月に締結されたシンジケートローンに関するフィーを借入期間(最
 長 2023 年 12 月末まで)に応じて期間案分していました。
  借入金関連の手数料には、借入期間に応じて費用処理すべき項目と、借入契約成立時に
 費用処理すべき項目があり、アレンジメントフィー及びその他のフィーは初期費用のた
 め、借入契約成立時に費用処理すべきでしたが、当社は借入期間に応じて期間配分してい
 たため、アレンジメントフィー及びその他のフィーを 2017 年9月期に一括で費用処理し
 ました。




                       13
 イ.事実関係
   当社は、2016 年 12 月に締結されたシンジケートローンに関するフィーを借入期間
  (最長 2023 年 12 月末まで)に応じて期間按分していました。
   関連するフィーは下記のとおりです。
 フィーの種類/金融機関 金額(千円) 支払日
 1) アレンジメントフィー
 (シンジケート団を組成するための手数料等で初期費用です。)
                      Q銀行    30,400    2016 年 12 月 28 日
 2) エージェントフィー
 (連絡取次などのシンジケート団との連絡を代行する手数料等で借入期間にわたって発
 生する費用です。)
                      Q銀行    8,000     2016 年 12 月 28 日
                                      以降毎年 12 月 28 日
3)その他のフィー
  コ・アレンジメントフィー
 (シンジケート団を組成するための手数料等による初期費用です。)
                     (R銀行) 4,000       2016 年 12 月 28 日
  パーティシペーションフィー
 (シンジケート団に参加するための手数料等による初期費用です。)
                     (S銀行) 1,500       2016 年 12 月 28 日
  パーティシペーションフィー      (T銀行) 1,000       2016 年 12 月 28 日
  パーティシペーションフィー      (U銀行)    500      2016 年 12 月 28 日


j.商品評価損の損益計算書科目について
 ア.概要
  当社は、販売見込みのなくなった棚卸資産に係る評価損について、簿価切り下げ額を固
 定資産に振り替えた後除却して固定資産除却損として計上していました。
  しかしながら、本来的には棚卸資産であるので収益性の低下による簿価切り下げ額を
 2017 年9月期の売上原価の内訳として修正する必要があり、2017 年9月期の売上原価の
 内訳の棚卸資産評価損として修正を行いました。


 イ.事実関係
  当社は、販売見込みのなくなった棚卸資産(メインコントローラー(3,812 千円)やク
 レードル等(30,422 千円))を、交換部品又は補修部品として利用できると判断し、交換
 部品や補修部品は棚卸資産であるにもかかわらず、2017 年9月期に工具器具備品に振り
 替え、その後特別損失の固定資産除却損として 34,235 千円を計上していました。



                      14
k.賞与引当金の計上不足
 ア.概要
  当社の 2019 年9月期末の賞与引当金は 20,299 千円であったところ、2019 年 12 月での
 実際支給額 61,363 千円と乖離しておりました。
  実際支給額から推定される賞与引当金額と比べると 23,3000 千円の引当不足が生じてい
 たことから、2019 年9月期の賞与引当金に追加計上を行いました。


 イ.事実関係
  当社の 2019 年9月期末の賞与引当金は、12 月支給予定賞与対象期間の基本給 1.5ヶ
 月分(年で3ヶ月分)相当を基準として、担当部署長が考課査定を実施し、その後代表取
 締役社長が業績査定分を算出して最終金額を決定しています。当社の業績査定には賞与に
 関する制度として、「賞与基準倍率の評価基準規定」があり、その内容は全社売上営業利
 益達成に応じて賞与を増加させ、好業績を従業員へ還元するものです。 2019 年9月期は
 過去最高水準の好業績となり、同制度の適用により賞与が大幅に増加する状況でした。
  しかしながら、2019 年9月決算作業の段階で代表取締役社長が業績査定分の算出に用
 いる計算シートに誤入力があることを気付かないまま計算を行い、賞与引当金を 20,299
 千円と算出しました。決算短信はこの数字に基づき公表されました。
  その後、代表取締役社長は 11 月下旬に担当部署長の賞与考課査定の提出を受けて、業
 績査定分の数値を確認した結果、計算が誤っていたことを把握しました。
  代表取締役社長は、2019 年 12 月の賞与支給について、計算誤り訂正後の 61,363 千円
 を支給することを決定しましたが、栃木取締役(社外)や監査法人等に相談の上、2019
 年9月末の賞与引当金 20,299 千円との差額は、2019 年 10 月以降の軽減税率対応業務に
 関する評価に対応する特別賞与であるとの整理を行い、2019 年9月末の賞与引当金につ
 いて必要な修正を行いませんでした。


l.期末滞留品の商品評価損計上不足
 ア.概要
  当社は、一部の商品在庫が長期間滞留していましたが、販売可能性がないわけではな
 く、今後の動向を見極める必要があると考え、商品評価損を計上していませんでした。
  しかしながら、今後の販売可能性が乏しいと判断される在庫については、当社経理規程
 に基づき商品評価損の計上が必要となるため、2019 年9月期に商品評価損を計上しまし
 た。


 イ.事実関係
  本調査により、2019 年9月末時点の棚卸資産一覧と、2016 年 10 月から 2019 年9月ま
 での売上記録を照合した結果、出荷の事実がなく、今後の販売可能性が乏しいと判断され
 る在庫が 2,941 千円あることが判明しました。



                        15
m.廃棄見込商品評価損の計上時期の適切性
 ア.概要
  当社は、2017 年9月期に棚卸資産について廃棄処分の意思決定がされていましたが、
 同期において評価損の計上を行っていませんでした。
  当該商品は、2017 年9月期には廃棄処分を予定していたことから、廃棄損の計上時期
 の修正の必要を行いました。


 イ.事実関係
  2018 年9月期に販売の見込めない商品として棚卸資産廃棄損(5,026 千円)を計上して
 いましたが、当該商品は、2017 年9月期に廃棄処分を予定していたことを踏まえると、
 その時点において販売は見込めないものと判断するべきでした。


n.遊休固定資産の減損処理
 ア.概要
  当社は、集配信技術センターが 2019 年9月以降に遊休状態になることが見込まれてい
 たにも関わらず、減損の兆候に該当しないと判断していました。
  しかしながら、当該事象は減損の兆候に該当し、減損損失を認識するかどうかの検討を
 行った結果、集配信技術センターの建物及び土地について減損損失の計上を行う必要があ
 ると判断しました。


 イ.事実関係
  集配信技術センターは、主に ASP 事業におけるデータセンターとして利用されてきまし
 たが、2019 年7月からデータセンター機能を本社に移転を開始し、2019 年9月末以降、
 集配信技術センターは遊休状態となることが見込まれていましたが、2019 年9月末時点
 では集配信技術センターが稼働していたことから、減損の兆候に該当しないと判断してい
 ました。
  しかしながら、資産グループが遊休状態となることが見込まれる場合には、減損の兆候
 に該当し(企業会計基準適用指針第6号「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」第
 13 項)、減損損失を認識するかどうかの検討が必要となります。したがって、集配信技術
 センターが遊休状態となる事象は減損の兆候に該当しており、減損損失の認識の要否につ
 いて特別調査委員会が調査を行いました。集配信技術センターの正味売却価額と帳簿価額
 を比較し、減損損失の認識の要否を検討した結果、集配信技術センターの土地の正味売却
 価格は、2019 年度の固定資産税評価額をもとに 11,640 千円と評価し、建物の正味売却価
 格は築 40 年以上経過していることからゼロと評価しました。
  その結果、集配信技術センターの正味売却価格(11,640 千円)は帳簿価額(22,700 千
 円)を 11,060 千円下回っていることから、同額の減損損失を計上する必要があるとの指
 摘を受けたものです。



                      16
o.開発中止ソフトウェアの費用処理
 ア.概要
  当社は、開発中止された個別受注案件のコスト 14,074 千円をソフトウェア仮勘定に計
 上していました。
  しかしながら、販売の可能性を検討した結果、2019 年9月期に除却処理を行う処理が
 適切であると判断しました。


 イ.事実関係
  本件は大口顧客(P社)向け新型テーブルショット(オーダーエントリー入力端末)の
 開発を、N社に 2016 年に開発委託したものです。その後、価格面及び委託先の技術力の
 問題から金型の開発に入る前に中止しています。
  当社は開発中であったソフトウェアが専用機を必要とする他のユーザー案件に転用でき
 ると判断し、資産計上していましたが、当社において開発中止・転用の検討を定期的に行
 う業務フローは存在しておらず、その判断が代表取締役社長個人の判断に依存しているこ
 とが判明しました。また、特別調査委員会は、転用見込みを代表取締役社長、開発部長及
 びその他従業員に個別に確認しましたが、他のユーザーに転用が可能との裏付けとなるも
 のは調査時点では確認できなかったことから、当該資産計上は認められないとの指摘を受
 けました。


p.ソフトウェア仮勘定精査
 ア.概要
  当社では、ソフトウェア仮勘定の処理に関して明確な振替基準がなかったことから、一
 部のソフトウェア仮勘定について資産計上するべきでないもの及びソフトウェア本勘定へ
 の振替を実施するべきものが含まれていました。


 イ.事実関係
  特別調査委員会がソフトウェア仮勘定について「資産計上の妥当性」及び「ソフトウェア本勘
 定への振替の有無の適切性」に関する検討を行った結果、すでにサービス提供のために利用
 されていると判断されたもの(74,933 千円)については各年度において本勘定に振替、
 償却を行う必要があり、販売計画の中断等により収益性が認められないと判断したもの
 (360 千円(o.の開発中止分 14,074 千円は除外))は除却処理を行う必要があるとの指
 摘を受けました。
  さらに、既計上のソフトウェアに係る償却年数の妥当性について検証したところ、当社
 ではウェブサービス等で利用するためのソフトウェアの償却期間を5年としていました
 が、当社がサービス提供に利用しているソフトウェアは、販売用のソフトウェアと同様に
 収益との関連性が高いことから、自社利用のソフトウェアに適用される原則5年の償却期
 間ではなく、販売用ソフトウェアに許容されている3年間で保守的に償却することが適切
 であるとの指摘を受けました。

                      17
  なお、当該変更は会計上の見積りの変更ではなく、過去の誤謬の訂正に該当することに
 なります。


q.ホテルの減損検討について
 ア.概要
  当社では、減損会計に関する定めが明確にされておらず、2017 年9月にナチュラルグ
 リーンパークホテル(以下「ホテル」といいます。)の固定資産に関して、2018 年9月期
 において減損検討を実施していませんでした。
  後任の会計監査人(監査法人アリア)と協議した結果、取得後に実績が計画から乖離し
 ており、2018 年9月期に減損の兆候を把握し、減損損失を認識、測定する必要があるた
 め、2018 年9月期に建物、工具器具備品及びのれんについて減損(359,680 千円)を計上
 する必要があると判断しました。


 イ.事実関係
  本調査の結果、当社が 2017 年9月に取得したホテルは、取得後の事業実績がホテル取
 得時の計画から乖離していましたが、当社に減損会計に関する明確な基準、特に資産のグ
 ルーピング及び本社費の配賦に関する基準が整備されておらず、本来実施が必要な減損の
 検討を行っていないとの指摘を受けました。当社は、後任の会計監査人と協議の上、ホテ
 ルの 2018 年 9 月期の事業実績がホテル取得時の事業計画から乖離している状況が減損の
 兆候に該当すると判断し、減損損失の認識の要否を検討した結果、ホテルの建物、工具器
 具備品及びのれんについて、359,680 千円の減損損失を計上いたしました。


r.その他(注記情報の不備等)
 ア.概要
  本調査の過程において、会計処理の修正以外に、有価証券報告書等における開示の不備
 及び社内での検討不足もしくは各種記録の保管不備があるとの指摘を受けました。主な項
 目は下記のとおりです。
   1. 子会社評価(投資損失引当金)検討プロセスの確立
   2. 連結判定及び関連当事者取引の注記の修正
   3. 資産除去債務の検討及び注記文言の再検討
   4. セグメント情報
   5. 兼務の状況注記の整合性
   6. 事業系統図への子会社の記載
   7. 設備の状況の固定資産の検証
   8. 研究開発活動の記載(研究開発費金額の記載)
   9. 金融商品の時価等に関する注記
  上記項目については、注記の修正を行いました。



                      18
2. 改善措置
(1)不適正開示の発生原因の分析
  a.規程やルールの曖昧さや不備に起因する恣意的会計処理の発生
    管理部門において、会計処理のルールとなる経理規程等が長年にわたり更新されず放置
   され、条項の定めはあっても、曖昧であったり、不備がある等の理由から、恣意的な会計
   処理や場当たり的対応を許す結果になっていました。
    また、会計処理を行う上で、作成すべき管理書類(評価損検討過程、減損検討過程、ソ
   フトウェアの会計処理検討過程、資産除去債務計算過程等)の作成が徹底されておらず、
   不適切な会計処理が発生する原因となっていました。


  b.管理部の脆弱性
    適切な会計処理及び財務報告を行う上で、組織上、実務的に重要な役割を果たすべき管
   理部の責任者は、上場会社に求められる管理レベルに対する認識が不十分であり、その結
   果、管理部の脆弱性を放置し、改善のための是正を積極的に図ることがありませんでした。
    管理部(部長を含めて6名)における経理業務担当者は3名(次長及び非管理職2名)
   であり、恒常的に人員が不足している状況ではありませんでしたが、他方で管理部の責任
   者は、管理部固有の業務のうち、人事・総務系の業務に注力し、会計・決算業務について
   は下位の者に委ねる一方、管理部の業務ではない営業サポートを行っていました。このた
   め、部門内でのチェックや部門間の相互牽制を期待できない状態にありました。
    一連の不適切な会計処理のうち、売上の早期計上については、売上計上の根拠となる証
   憑がないにも関わらず、管理部が売上計上を容認した取引であり、管理部における内部統
   制が十分に機能していませんでした。
    また、棚卸資産の評価や固定資産の減損等会計基準に準拠しない会計処理が行われてい
   ましたが、管理部には、適切な会計処理を行う上で必要な専門知識を有した人材が不足してい
   ました。


  c.取締役・取締役会による代表取締役社長の職務執行に対する監視監督機能の不全
    当社では、実質的な創業者である代表取締役社長が強いリーダーシップを発揮し、組織
   を牽引する原動力となっていた一方で、代表取締役社長の独断により事業が取り進めら
   れ、管理部や取締役会への情報連携が十分に行われていなかった結果、取締役・取締役会
   による代表取締役社長の職務執行に対する監視監督が十分に機能せず、不適切な会計処理
   が未然に防止されることがありませんでした。
    社内取締役は、取締役の責務(他の取締役の職執行を監視監督し、内部統制システムを
   整備構築する。)に対する理解を欠き、代表取締役社長の強いリーダーシップに服し、代
   表取締役社長の職務執行に対し異を唱えることなく盲目的に是認し、これを監視監督する
   という意識が希薄でした。




                       19
  また、取締役会は毎月開催されているものの、今回の不適切な会計処理の一部分は、取
締役会における報告事項として上程されていませんでした。このため、社外取締役を中心
とする議論を介した監視監督機能を発揮するには至りませんでした。
  ただし、売掛金残高の回収・滞留状況は、毎月、取締役も出席する執行役員会議におい
て報告されており、新規のエネルギーコスト削減事業へ参入することやその概ねの事業規
模等については、代表取締役社長から説明が行われていたため、社外取締役であったとし
ても、不適切な会計処理発生の牽制につながる議論を提起することが全く不可能であった
わけではありません。
  なお、取締役会に上程される議案や報告事項について、説明資料が十分に準備されてお
らず、口頭での説明で済ますことがありました(新規のエネルギーコスト削減事業が、こ
れに該当します。。また、説明資料がある場合でも、配布は、通常前日であり、当日直前
        )
に配布されることもありました。このような取締役会の運営が、取締役会で議案及び報告
事項について、十分に検討・議論することを困難とし、取締役・取締役会の監視監督機能
発揮の障害の遠因になったと考えられます。


d.代表取締役社長ら経営陣による適切な会計処理を行うことの重要性に対する不十分な認
 識と会計処理ルールの理解不足
  今回の不適切な会計処理の大部分において、代表取締役社長ら経営陣の関与が認められま
 した。
  代表取締役社長ら経営陣は、株主その他のステークホルダーから経営を受託した者とし
 て、適切な会計処理に基づく適正な財務報告を行うとともに、その基盤となる内部統制を
 整備・運用し、それを実効ならしめる組織風土を醸成する責務を有しております。
  しかしながら、代表取締役社長ら経営陣は、適切な会計処理を行うことの重要性に対す
 る認識を欠き、かつ、会計処理に関するルールを十分に理解しておりませんでした。かか
 る代表取締役社長ら経営陣の誤った判断と指示により、今回の不適切な会計処理が引き起
 こされました。
  会計処理の誤りを是正、回避する機会である会計監査の場においては、会計監査人から
 の資料要求に対して、管理部では急遽証憑を揃える等の場当たり的な対応を行い、会計監
 査人からの疑義や指摘に対しても当座を取り繕う説明を行なっていました。
  また、代表取締役社長ら経営陣は、適切な会計処理を行うための内部統制の整備及び運
 用状況について改善・強化に向けた具体的な取組みを行っておりませんでした。
  後述のとおり、他にも原因があるとしても、一連の不適切な会計処理が発生した根本的
 原因は、代表取締役社長ら経営陣の適切な会計処理を行うことの重要性に対する認識の欠
 如と会計処理ルールの不理解にあります。


e.不十分な監査役監査
  監査役は、年度初めに監査計画を作成し、会計監査人とも情報交換を行いながら、監査
 を行っていました。しかしながら、一連の不適切な会計処理の存在について、監査役に明

                   20
確な認識はなかったとしても、広く情報収集を行い、リスク評価に応じた実効性ある監査
の実施に努め、不適切な会計処理を発見しあるいは、それを防止しようとする積極的姿勢
に欠けていたことは認めざるを得ません。
  監査役は、会計監査人との情報交換により、期中は期末に向けての会計上の課題を、期
末は監査終了後の次年度の会計上の課題(これらの課題には、今回の不適切な会計処理に
関わるものがある。)を提示されていながら、当該課題処理の経過につき独自に監査する
ことや、代表取締役社長ら経営陣に対する質問や取締役会における問題提起を行っていま
せんでした。
  その理由の一つは、会計監査人の監査を過大に信頼し、その監査結果に依拠しすぎてい
たことにあります。会計監査人は、会計基準、財務報告の高度の専門家とはいえ、その判
断が絶対的に正しいわけではありません。会計監査人から、提示を受けた課題を含め会計
処理について、代表取締役社長ら経営陣との間で調整が難航している等の報告はなく、最
終的に、会計監査人が、適正意見を出しているのだから、会計上問題なく適正に処理され
たものと安易に考えていました。
  例えば、新規のエネルギーコスト削減事業について、監査役は、当該事業の存在の認識
があったにもかかわらず、事業スキームや契約形態、売上計上基準等の最終確認を行って
いません。仮に、監査役が、取締役会において、質問等問題提起を行っていれば、売上計
上基準が審理の対象となり、不適切な会計処理の発生に対する牽制が機能したと思われます。
  一連の不適切な会計処理は、最終的には、監査役の関与なしに、代表取締役社長ら経営
 陣と会計監査人との間で調整を了したものでありますが、監査役が、事後的に会計監査人
 から報告を受けるにとどまらず、積極的に代表取締役社長ら経営陣と会計監査人との間で
 の調整過程に関与し、疑問を呈するなどしていれば、回避できた可能性がないとはいえませ
 ん。
  なお、監査役会は、取締役会に先立ち開催されていましたが、取締役会資料に議案に係
 る資料の添付がないといった不備により、監査役会において、取締役会の議案及び報告事
 項を検討することが困難な状況が生じていました。この点は、監査役による牽制機能発揮
 の障害になったと考えられます。


f.内部監査の形骸化
  内部監査には、金融商品取引法に基づく財務報告に係る内部統制の有効性評価のための
 監査(内部統制報告に係る監査)と会社法に基づく、会社業務等の適正を確保するための
 体制の整備及び運用状況の監査(内部統制システムに係る監査)があります。
  内部監査が有効に行われていたならば、一部の不適切な会計処理の発生を牽制できた可
 能性を否定できません。しかしながら、内部監査室の担当者の変更が毎年行われ、しか
 も、内部監査記録の保管や引き継ぎが行われておらず、その上、内部監査室員3名(室長
 含む)のうち、担当者2名が他部門を兼務するなど、内部監査が有効に機能するだけの知
 見や経験が蓄積されていませんでした。



                      21
  内部監査室は、大まかなスケジュールを定めるのみで内部監査計画を作成することもな
 く,監査役及び会計監査人との連携も十分には行っていませんでした。
  確かに、内部監査室は、内部統制報告に係る監査として、内部統制の整備及び運用状況
 の評価手続を行っていましたが,内部統制のチェック表をつぶす形式的作業に終始し、リ
 スクを意識した実効性ある内部統制監査は行われていませんでした。
  また、内部統制システムに係る監査を実施した状況は伺えませんでした。
  かかる内部監査の形骸化のため、業務プロセスを逸脱した処理の存在や重要な取引の契
 約書の欠如といった不適切な会計処理につながる兆候がありながら、それらを検出するに
 は至りませんでした。


g.情報伝達、情報共有の不足
  代表取締役社長が取引先と交渉を行い、会計処理や財務報告に重要な影響を及ぼす情報
 を把握しているにも関わらず、会計処理や財務報告の関係者に適時に必要な情報を反映せ
 ず、不適切な会計処理が実行されました。代表取締役社長から管理部に必要な情報が適時
 に伝達されなかったことや、管理部から取締役会に提出すべき月次の財務報告資料の作成
 が間に合わず、資料を用いた月次報告を実施できていなかったことが、不適切な会計処理
 が牽制されず発生した原因です。
  担当者レベルでは、各業務の文書化・マニュアル化が不徹底のため退職等により担当者
 が交代するとそれまで蓄積された業務遂行の業務知識やノウハウが後任担当者に引き継が
 れていないケースがありました。
  また、管理部の担当者は、各々が適切と思う業務を行っていましたが、その情報を管理
 部内や他部門と共有して活用することが行われていない状況が見受けられました。業務横
 断的に情報が適切に活用されていれば会計処理の誤りを適時に発見できた可能性がありま
 す。
  経営陣と下位者との間の情報伝達(縦の情報伝達)や、部門内及び部門間の情報伝達
 (横の情報伝達)に関して、決して風通しの良い組織風土とは言えず、そのため会計処理
 の誤りが発生しやすく、また、それが発見されにくい状況にあったと考えられます。


h.新事業参入時の準備不足
  当社では、2017 年以降、新たにホテル事業やエネルギーコスト削減事業に参入しまし
 た。これにより、これら新規事業に対応するリスクの評価、内部統制の構築、会計処理や
 業務プロセスに関する社内規程の整備等が必要になったにも関わらず、それを怠ったま
 ま、新規事業が開始されました。エネルギーコスト削減事業に係る売上の不適切な計上
 は、これに対応した売上計上基準を整備しなかったことが原因の一つです。
  ホテル事業に対する本社費用の配賦漏れも、ホテル事業を開始した際、注記記載に必要
 な情報の検討がなされなかったため生じ、結果として、セグメント注記の修正が必要となりました。




                     22
    このように、新規事業に参入する際に、リスクの評価、内部統制の構築、会計処理や業
   務プロセスに関する社内規程の整備等がなおざりにされたことが、不適切な会計処理が発
   生した原因の一つです。


  i.内部通報制度に関する不備
    当社は内部通報制度を設けておりましたが、社会保険労務士を通報窓口として、労務関
   連の問題を通報するための窓口として設けたものであり、過去3年間で3件のハラスメン
   ト関連の通報実績はあったものの、役員及び従業員がコンプライアンスやガバナンス上で
   問題となる行為等を発見した場合に通報を受付ける体制とはなっていませんでした。
    また、社内のイントラネットに内部通報制度を紹介するファイルは掲示していたもの
   の、役員及び従業員に対して、定期的に当該制度の紹介を行うといった対応も行っていま
   せんでした。
    なお、今回の調査において明らかとなった不適切な会計処理について、これまでに内部
   通報窓口に通報を受けた実績はありませんでした。


(2)再発防止に向けた改善措置
  a.適切な会計処理を実施するための体制整備((1)a.b.d.に対応)
    当社は、これまで管理部において IR・広報業務、人事・総務業務及び経理業務を行っ
   ていましたが、今回、不適切な会計処理が発覚したことを踏まえて、経理業務に関する責
   任を明確化及び経理業務に対するリソースの確保を目的として、2020 年4月1日付で組
   織変更を行い、経理業務を専門に行う部門として経理部を新設しました。経理部には、専
   任の執行役員経理部長(2020 年7月3日臨時株主総会にて監査役を退任し就任予定)を
   任命し、経理業務に関する責任を明確化するとともに、人員5名(部長1名、次長1名、
   非管理職3名)を配置(部長及び非管理職1名増員)することでリソースを確保し、個々
   の担当者が実施した事務手続きについて、部長及び次長がレビューを実施できる体制とし
   ます。なお、7月3日の臨時株主総会後の執行役員経理部長の就任までは、専務取締役が
   経理部長の業務を対応します。今般の不適切な会計処理が担当者の会計知識の不足にも起
   因するものであることを踏まえ、2020 年 9 月までに会計知識を有する人材の採用を行う
   とともに、外部リソースを活用し専門的スキルを持った人材の育成を進めていきます。
    また、業務を推進する上で必要となる会計知識の取得・向上、コンプライアンスに対す
   る役職員の意識向上及び不正等の発生を抑止するための体制構築にあたり、コンプライア
   ンスに対する教育・研修の強化施策を講じます。具体的には、会計知識の向上を目的とし
   た会計基準等に関する研修及び不正等の発生抑止を目的とした研修を実施します。また、
   公益財団法人財務会計基準機構(FASF)へ加入を検討いたします。
    具体的なスケジュールは、第1回のコンプライアンス研修を7月中に実施予定です。研
   修については、公認会計士や顧問弁護士である TMI 総合法律事務所および OMM 法律事務所
   に講師を依頼し、会計知識の向上を目的とした会計基準等に関する研修(減損会計を中心
   とした会計上の見積りに関する研修)、不正等の発生抑止を目的とした研修(過去の不正

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 事例に関する研修、内部統制に関する研修)を年4回程度実施します。第1回の研修の対
 象者は、役員、管理職(部長及び次長)、経理部員及び人事・総務部員としますが、研修
 の開催実績や研修内容等を踏まえて、対象者の範囲を広げていく予定です。


b.経理部門の強化((1)b.に対応)
  再発防止策として、経理部の人材として適切な会計処理及び財務報告業務の遂行に必要
 な専門知識を持った人材を配置するとともに、そのような人材を育成するまでの期間に対
 応する施策として外部の専門家を選任し、経理部の業務をモニタリングさせることによ
 り、経理部機能の強化を行ってまいります。
  外部の専門家については、2020 年4月 10 日付で公認会計士能勢元氏(能勢氏は公認会
 計士の佐々木洋平氏他1名を補助者に選任)、公認会計士神久治郎氏及び税理士法人
 ADVANCETAC を選定しました。外部の専門家に対しては、売上の計上時期、会計上の見積
 りの処理等について指導・助言、月次、四半期、決算時の会計処理、見積り項目の検討な
 どの内容の確認、内容に問題がある場合には必要な提言を依頼し、適切な経理業務の遂行
 に努めてまいります。
  なお、能勢元氏及び佐々木洋平氏は、四半期の売上・経費計上の時期の妥当性や減損会
 計等の見積りに係る事項に関する経理部長の承認業務のサポート、神久治郎氏には経理業
 務の補助及び経理部員のオン・ザ・ジョブ・トレーニングの実施、税理士法人
 ADVANCETAC には決算短信、四半期報告書及び有価証券報告書に関する開示関連のサポー
 ト及びオン・ザ・ジョブ・トレーニングをお願いしています。


c.取締役・取締役会による代表取締役社長の職務執行に対する監視・監督機能の強化
((1)c.に対応)
  再発防止策として、以下の施策を講じることを決定いたしました。
   ① 監査等委員会設置会社への移行
   ② 社外取締役の機能の強化
   ③ 会計監査人との連携の強化及び取締役会決議事項の拡充


① 及び②について
  監査等委員会設置会社への移行により、業務執行と監督の分離を図り、より実効的な監
 視・監督が可能となると考えております。監査等委員会設置会社への移行は、2020 年7月
 3日に開催する臨時株主総会において株主の皆様に承認をいただく予定です。
  また、同臨時株主総会において選任予定の監査等委員以外の業務執行取締役は、当社代
 表取締役社長である田村隆盛及び田村の配偶者である専務を含む3名を予定しています
 が、以下の監査等委員である社外取締役4名を選任し、取締役会の過半数を社外取締役と
 することで、監査等委員による業務執行取締役への監督機能が実効性を有する体制である
 と判断しています。監査等委員の業務執行取締役への独立性を担保する観点から、監査等
 委員についてはその全員を社外としています。

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          氏名              候補者(予定)           現役職
      田   村   隆   盛       代表取締役社長           同左
      藤   井   由実子          専務取締役            同左
      井   手   修   一        常務取締役            同左
      栃   木   伸二郎       社外取締役    監査等委員     社外取締役
      佐   藤   久   典     社外取締役    監査等委員     社外監査役
      高   山   行   紀   社外取締役    監査等委員(新任)     -
      木   下   輝   彦   社外取締役    監査等委員(新任)     -


 監査等委員である社外取締役には当社の事業について理解があり、公認会計士又は弁護
士等の専門知識を有する方や他社における役員経験者を社外取締役として提案します。監
査等委員である社外取締役には、会計処理に関する適切な判断や代表取締役社長等の業務
執行に関する監視・監督を期待しています。
 新任監査等委員就任予定の高山行紀氏は、当社所在地である山口県において公認会計士
として業務を行っていることから適時・適切に取締役会への参加等の管理監督が実施でき
る立場であり、適切な会計処理の遂行を含めた財務面の監視を遂行するのに適任であると
判断しています。
 木下輝彦氏は、当社本社所在地山口県の企業の取締役であることから、取締役の業務執
行に関する監視・監督の経験を有していることに加え、銀行出身者でもあることから様々
な業種に精通しており、当社の業務執行について適切な意見が期待できることから適任で
あると判断しています。
 栃木伸二郎氏は、これまで当社の社外取締役であったことから、当社の業務の理解が深
く、同じく公認会計士で新任の高山行紀氏とともに、監査等委員による財務面の監視の遂
行に資すると判断しています。なお、社外取締役として前回の不適切な会計を看過した事
実はありますが、今回の不適切な会計処理が発覚した後、経理部門の立て直しなど、再発
防止に向けた当社の内部管理体制の改善に関して積極的な指導をいただいています。
 佐藤久典氏は、山口県在住の弁護士であり、当社の社外監査役であったことから当社の
業務の理解が深く、これまでも監査役会や取締役会においてコンプライアンス遵守の観点
から発言を行ったり、取締役会において議案に関する資料提示されない状況を指摘するな
ど、当社の業務執行に関する適切な監視監督に資すると判断しています。
 今後は、当社の会計処理全般について栃木伸二郎氏のみならず、高山行紀氏も監視監督
(会計処理の基礎となる資料の作成等への助言を含む)を行うことで、適切な会計処理が
行われているかについて、より強固な監視監督体制を構築することが出来ると判断してい
ます。


③について
 これまで会計監査人と経営者との実質的なミーティングは実施されておりませんでした
が、今後は経営者ミーティングを四半期毎に開催することで、会計監査人との連携を強化

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いたします。当該ミーティングでは、代表取締役社長、専務取締役、常務取締役、経理部
長が参加し、会計監査人と四半期での見積りや収益及び費用の期間帰属など会計処理の妥
当性、開示の適切性等についてディスカッションを実施します。また、定期的な経営者ミ
ーティングだけでなく、通例でない取引が発生した場合などには適時にディスカッション
を実施するようにいたします。
 また、取締役決議事項については、下記 d.において実施する社内規程の見直しと同時
に実りのある討論が実施できるように決議事項の見直しを行い、取締役会決議事項の範囲
を拡充いたします。
  なお、従来取締役会への説明資料である財務報告未提出、他資料の提出が遅く適切なデ
 ィスカッションが実施できていませんでしたが、現在は、取締役会へ提出すべき資料につ
 いては、新しい体制となった経理部、総務部から最低3日以上前に配布すること、取締役
 会日程を従来の第2金曜日から毎月 15 日への見直しを行い、資料準備に必要な時間の確
 保を図っています。


d.社内規程等の再整備等による恣意的な事務処理を防止するための体制整備((1)a.に
対応)
  属人的・恣意的な事務処理を防止し、適切な処理が実施される風土を醸成することを目
 的として、売上、売上原価、棚卸資産、ソフトウェア仮勘定等の無形固定資産、固定資産
 の減損損失及び貸倒引当金等の会計上の見積り項目の認識・測定・計上時期・期末評価等
 に関する業務プロセスの規程化又はマニュアル化を実施いたします。業務フローには、経
 理担当者は会計処理根拠となる証憑を確認するとともに、重要な取引に関しては役務提供
 の実態把握を確認する業務フローを構築する予定です。これらの業務プロセスについては
 2020 年7月中に整備を完了する予定です。
  さらに、注記等の開示についての不備が多数発生していることから、決算・財務報告プ
 ロセスについては以下の見直しを実施いたします。
  1. 子会社評価(投資損失引当金)検討プロセス
      当社はこれまで子会社評価(投資損失引当金)の検討を行っておりませんでした
   が、2020 年7月末までに子会社評価(投資損失引当金)の検討プロセスを確立し
   (社内規程等を作成し)
             、2020 年9月期本決算より運用を開始します。
  2. 連結の範囲及び持分法の適用範囲の判定プロセス
      当社はこれまで明確な連結及び持分法の適用範囲についての判定のプロセスが明確
   でなかったため、2020 年7月末までに判定プロセスを確立し、2020 年9月期決算よ
   り運用を開始します。
  3. 関連当事者取引の検討プロセス
      当社はこれまで関連当事者に関する検討が不十分であったため、関連当事者取引の
   注記に関しては、2020 年7月末までに、取引の網羅的な確認、法人間取引の重要性
   判定等を含めた検討プロセスを確立し 2020 年9月期決算より運用を開始します。



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    なお、関連当事者注記に関しては、2019 年9月期の注記訂正は行わず、2020 年9
   月期より適切な注記を実施いたします。
  4. セグメント情報における本社共通費配賦の検討プロセス
    当社はこれまでセグメント情報における本社共通費の配賦の検討が不十分であった
   ため、本社共通費の配賦基準等の検討プロセスを 2020 年7月末までに確立し、2020
   年9月期より運用を開始します。
  5. その他開示項目に関する検討プロセス
    その他有価証券報告書等の開示項目について網羅的かつ適切な記載を行う体制が不
    十分であったため、チェックリストを用いた検討プロセスを 2020 年7月末までに
    確立し、2020 年9月期より運用を開始します。なお、特別調査委員会の調査の結
    果等で明らかになった下記事項について、2020 年9月期の有価証券報告書では適
    切な開示を実施します。
      ・資産除去債務の注記文言
      ・役員の兼務の状況の記載
      ・事業系統図への子会社の記載
      ・研究開発費金額の記載
  加えて、内部監査、内部統制、職務権限などの社内規程全般についても更新されていな
 いものが多いため7月中に見直しを行い、運用を開始してまいります。外部の専門家の助
 力を得て実施し、監査等委員会及び監査法人との協議を実施したうえで、取締役会におい
 て承認を受けます。また、社内規程、業務マニュアル等については、年に1度は見直しの
 要否について経理部、監査等委員会及び監査法人との協議によって判断いたします。


e.監査等委員会監査の着実な実施((1)e.に対応)
  上記「c.取締役・取締役会による代表取締役社長の職務執行に対する監視・監督機能
 の強化」に記載のとおり、当社は監査等委員会設置会社への移行により、業務執行と監督
 の分離、業務執行を行う代表取締役社長等に対する監視・監督の強化を行います。また、
 監査等委員が会計監査人と四半期毎に売上・費用の計上時期の適切性、見積り項目につい
 ての会計処理の妥当性などについてのディスカッションを実施し連携を強化します。
  具体的な監査等委員の業務としては、従来、代表取締役社長に適正な取締役会の運営等
 を指摘するにとどまっていましたが、組織変更により取締役監査等委員とするだけでな
 く、人員も従来の3名から4名に増加すること、山口県在住者の取締役が3名となり取締
 役会を本社所在地で実施することにより、問題点があった際にはその部署や人員に質問な
 どすることにより、現状を把握し発言権が増大し、代表取締役社長に対する実効性のある
 監査監督がなされると考えております。
  なお、監査等委員選任予定の木下輝彦氏に関しては、経営監視委員を兼務しており、経
 営監視委員会の活動上検出された問題点等を監査等委員会で共有することができ、より実
 効性のある監査業務の遂行ができるものと判断しております。また、上記に記載している
 とおり、会計監査人と監査等委員会のミーティングを年4回実施することによってコミュ

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 ニケーションの機会を増やすとともに、三様監査の観点から、会計監査人と監査等委員会
 のミーティングに内部監査室も参加するようにいたします。


f.内部監査体制の整備と着実な実施((1)f.に対応)
  再発防止策として、内部監査室の人員の見直しを実施し、監査等委員及び会計監査人と
 も上記「e.監査等委員会監査の着実な実施」に記載のとおり、会計監査人及び監査等委
 員会とのミーティングの機会を増加することにより緊密に連携を取った上で、実効性のあ
 る内部監査を実施する体制を整備します。
  新たな内部監査室の人員としては、適切な能力及び経験を有する専任の担当者を起用する予
 定です。
  具体的スケジュールは、内部監査業務の経験者や公認内部監査人の資格を有する者など
 適格性を有する内部監査室の人員は現在採用活動中でありますが、新型コロナウィルスの
 影響もあり、現時点で採用に至っておりません。2020 年9月までに2名の雇用を予定し
 ておりますが、新しい内部監査室員を雇用し、実効性のある内部監査体制の構築が行われ
 るまでの間は、外部の専門家に内部監査室長の補助を依頼して指導・助言等をいただき、
 実効性のある内部監査を実施してまいります。
  具体的には、従来内部監査室は金融商品取引法上の内部統制報告制度における財務報告
 の信頼性を確保するための内部統制の評価及び報告に関する業務(J-SOX 対応業務)しか
 しておらず、経営管理全般を対象にした内部監査を実施していませんでした。
  今後は、J-SOX 対応業務のみならず、業務監査についても実施していきます。内部監査
 計画については、監査対象部署及び監査対象を決定したうえで、監査等委員会と連携し、
 業務監査を実施していきます。具体的には、内部監査対象の部署及び取引を特定し、根拠
 となるエビデンスの確認及び担当者へのヒアリングを実施し、規程やマニュアルに従った
 業務が実施されているかを確認し、不備がある場合には改善を該当部署に求めるとともに
 経営者及び監査等委員への適時な報告を実施します。
  なお、内部監査担当者の頻繁な交代を避けるため、内部監査担当者に対する適切な評価
 を実施するとともに、上記した適格性を有する内部監査室人員の雇用ができるまでは、当
 社業務を広く把握している従業員を配置し、外部の専門家による内部監査担当者に対する
 研修の実施によって担当者のスキルアップなどの施策を講じます。


g.役職員間において情報連携・情報共有を円滑に実施するための施策((1)g.に対応)
  再発防止策として、社長単独で取引先と交渉等は行わず、必ず担当者も同席し、担当者
 から適切な会計系処理を行うための情報が適時に経理部に提供される体制の確立及び上記
 d. に記載の規程等の再整備での対応に加え、担当者交代時に業務に関連する規程、マニ
 ュアルについて確実な引き継ぎが行われる体制の確立をします。
  具体的には、社長には必ず担当者が同行すること及び経理部に対する情報提供や業務引
 継ぎに関する規程・マニュアルを改訂し、取締役会での承認のもと実施します(上記 d.
 と合わせて実施します。。
           )

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h.新規事業の検討から開始までの手続きに係る業務プロセスの確立((1)h.に対応)
  再発防止策として、新規事業の概要を新規事業に関連する部署長より取締役会に報告す
 るとともに、新規事業に関連する社内規程の新設・改訂、並びに会計処理方法を事前に取
 締役会で検討するとともに、監査法人とも業務プロセス及び会計処理の方法等について協
 議いたします。
  具体的スケジュールは、上記 d.と合わせて規程・マニュアルの整備を実施する予定で
 す。


i.内部通報制度の改善((1)i.に対応)
  これまで、内部通報窓口が社会保険労務士のみであったのを不正等の抑止のための制
 度として改善するため、人事面だけでなく広くコンプライアンスに対する見識を有する
 弁護士佐藤久典氏の事務所を窓口として通報ルートを確立し、匿名性を高めるとともに
 通報者に不利益とならない配慮を施して、不正等の早期発見に努めてまいります。通報
 を受けた場合、佐藤久典氏が通報事実を監査等委員会と連携して調査を行い、調査結果
 を取締役会に報告します。
  弁護士佐藤久典氏の事務所を通報窓口とする内部通報窓口を 2020 年7月3日開催の臨
 時株主総会後に発足させ、適時に社内のイントラネットにおいて公表し、周知徹底を図
 ってまいります。また、a.で実施する研修においても内部通報制度の説明を行います。


j.経営監視委員会の設立((1)a.~i.に対応)
  (2)a. ~i. の改善措置を適切に履行して、迅速に内部管理体制の再整備を行うた
 め、2020 年4月 10 日に経営監視委員2名(木下輝彦氏及び能勢元氏)を選任しまし
 た。両氏には 2020 年5月以降の取締役会に出席を依頼し、適切な助言・指導をいただい
 ています。
  経営監視委員会の権限は、本件の再発防止策及びその具体的な施策の整備及び運用状
 況が適正かを監視し、それを監査等委員に報告することになります。業務範囲は会社全
 般的な事項(適切な取締役会の運営等)から、個別業務(重要な契約、売上等)に及び
 ます。なお、経営監視委員会の報告を元に監査等委員は代表取締役社長の解任等検討す
 ることになりますが、経営監視委員である木下輝彦については監査等委員を兼務してお
 り、経営監視委員会の活動の結果検出された経営上の問題点等は監査等委員会及び取締
 役会で共有され、議論し、適切な対策を講じてまいります。また、経営監視委員会につ
 いては、適切な業務の遂行のため、補助者を選定し、使用することで実効性のある経営
 のモニタリングを行ってまいります。


k.役員の処分等
  当社の社内取締役及び常勤監査役は、特別調査委員会の本調査結果を踏まえ、当社の役
 員としての責任をとるため、以下のとおり役員報酬の自主返納をいたします。

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 代表取締役社長   田村隆盛    役員月額報酬の 50%4か月分 (2020 年 3 月~6 月)
 専務取締役     藤井由実子   役員月額報酬の 20%4か月分 (2020 年 4 月~7 月)
 常務取締役     井手修一    役員月額報酬の 20%4か月分 (2020 年 4 月~7 月)
 取締役管理部長   菊本健司    役員月額報酬の 10%4か月分 (2020 年 4 月~7 月)
 常勤監査役     出島淳浩    役員月額報酬の 10%4か月分 (2020 年 4 月~7 月)


 なお、取締役管理部長の菊本健司及び常勤監査役の出島淳浩は、2020 年7月3日開催
予定の臨時株主総会をもって退任を予定していますが、7月においても役員月額報酬の
10%に相当する額(2020 年4月~6月に自主返納した額と同額)を返納いたします。




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