3808 オウケイウェイヴ 2020-05-20 16:00:00
(開示事項の経過)当社元代表取締役による当社株式の取引における意見書取得のお知らせ [pdf]

                                                  2020 年5月 20 日
各 位
                                       株式会社オウケイウェイヴ
                                       代表取締役社長       福田       道夫
                                       (コード番号:3808 名証セントレックス)
                                       問い合わせ先 取締役 野 崎 正 徳
                                       電話番号 03-6841-7672

      (開示事項の経過)当社元代表取締役による当社株式の取引における
                意見書取得のお知らせ

 当社は、2020 年4月 14 日付開示「当社代表取締役による当社株式の取引に関するお知らせ」
でお知らせの通り、当社元代表取締役である松田氏の売却及び社内における当該売却の承認に至
った経緯の把握と原因の究明を目的として、社外専門家からの意見書を取得することとしており
ましたが、2020 年5月 15 日付で同意見書を取得したことをお知らせいたします。


                               記


1.意見書の内容
 (1) 松田氏の当社株式の売却の経緯
 (a)売却の内容
       松田氏は以下のとおり、当社株式 359,300 株(売却代金合計2億 6,585 万 7,700 円)
      を売却しております。
                                                売却株数の発行済み
                        市場内外
              売却時期                 売却株数(株)      株式数に対する割合
                        取引の別
                                                   (%)
        2020 年2月 17 日   市場外            91,000          1.00
        2020 年2月 21 日   市場外            38,300          0.42
        2020 年3月9日      市場内             4,300          0.05
        2020 年3月 10 日   市場内            43,400          0.48
        2020 年3月 10 日   市場外            60,000          0.66
        2020 年3月 11 日   市場内            27,000          0.30
        2020 年3月 12 日   市場内            35,500          0.39
        2020 年3月 13 日   市場内            59,800          0.65


 (b)売却の理由
       松田氏は、2019 年 7 月 25 日に当社の取締役会長である兼元謙任から当社株式 130 万
      株を取得しておりますが、取得資金を借入れるため、2019 年7月、8月、9月に当社株
      式合わせて 90 万株について担保設定をしており、当該金銭消費貸借契約の返済資金の一
      部を捻出するためでありました。
(2) 松田氏の当社株式の売却に係る社内手続きと法定開示等
(a)2020 年2月 17 日、2月 21 日の相対取引
    松田氏は 2020 年2月 13 日、役職員の自社株式売買行為の承認権者である取締役に対
  し、電話により第2四半期決算短信の開示直後から自己が保有する自社株 13 万株を
  2020 年2月 17 日から 21 日までの間に売り付けることについて、承認を求めました。当
  該売却承認要請に対し、承認権者は、①2019 年 12 月末から交渉が開始されていたファ
  イナンスの検討においては、既存株式の希薄化の懸念があるので保留されることが、
  2020 年2月 10 日付取締役会において賛同されたこと、②ファイナンス交渉先から提示
  されている Term Sheet に未だにサインをしておらず、本件ファイナンスが決定するかど
  うか分からない状態であったこと、を理由として、未公表の重要事実はなくなったもの
  と考えました。加えて、松田氏自身に対し、未公表の重要事実の保有を尋ねたところ、
  これを否定したので、2020 年2月 13 日、売却を承認しました。
    松田氏は、2020 年2月 10 日、2月 17 日の取引について口座振替手続きの過程で OK
  プレミア証券から、株式売買について法令上の報告義務がある旨の注意喚起を受け、
  2020 年3月 11 日、管理担当取締役を通じて、その取引に関する変更報告書を提出しま
  した。


(b)2020 年3月9日~3月 13 日にかけての市場取引および3月 10 日の相対取引
    2020 年3月5日、松田氏は、承認権者に対し、電話により保有する自社株の「市場取
  引」で 30 万株を 2020 年3月9日から 13 日に売り付けることの承認を求めました。前掲
  の本件相対取引で述べた理由①②に加えて、③当社はファイナンス交渉先から資金調達
  に関する条件を記載した Term Sheet 改訂版を受領したものの、2020 年2月 25 日にその
  条件について既存株式の希薄化の懸念があること等を理由に上記 2020 年2月 21 日付
  Term Sheet に対する反論を返信しており、その当時においては Term Sheet を締結でき
  る見込みはたっておらず、交渉の先行きは不透明であり、仮に交渉が進展したとしても
  当社取締役会で異論が出ることも予想されたこと、を追加の理由として、2020 年3月5
  日、承認し、社外監査役に口頭で連絡しました。その後、承認権者は、法的拘束力がな
  いとはいえ、2020 年3月 11 日に Term Sheet を締結したことから、改めて3月5日の上
  記承認を見直す必要を感じたため、2020 年3月 11 日に社外監査役に相談したところ、
  社外監査役は、売却の理由、売却により得た利益について確認のうえ、社内の未公表の
  重要事実と関連性なく、自社株の売却により借入金の返済をする場合、金融庁のインサ
  イダー取引のガイドラインによると、課徴金は課されないように思われることを回答し
  たので、承認を維持することとしました。また、松田氏は、2020 年3月9日~13 日の市
  場取引と並行して、承認を受けた株数の範囲内で 2020 年3月 10 日に相対取引による売
  却を行い、3月 17 日に変更報告書を2件提出しました。


(3) 松田氏の当社株式の売却に係る法令適合性の検討
(a)インサイダー取引規制の抵触性の検討
  ①2020 年2月 17 日、21 日での相対取引について
    2020 年2月4日にファイナンス交渉先から当社に対し、Term Sheet が提示されました
  が、既存株式の希薄化が強まる懸念があり、協議が難航し、条件が折り合いませんでし
  た。当社は、2020 年2月 10 日付臨時取締役会において、当該ファイナンスの検討及び
交渉状況について報告しましたが、取締役及び監査役から、既存株式の希薄化が懸念さ
れるという意見が出されたため、いったん交渉を保留することとしました。2020 年2月
14 日付定時取締役会でも、当社はファイナンス交渉状況について報告事項のなかで議論
しましたが、取締役及び監査役から、既存株式の希薄化が懸念されるという意見が出さ
れ、慎重な議論が続いていました。また、当社は、2020 年2月 14 日、市場引け後の 16
時に第2四半期決算短信を開示し、これに先立ち2月 13 日に松田氏より承認権者に対し
社内申請が提出されました。本件につき、インサイダー取引規定の抵触性の検討による
と(1)金融商品取引法(以下「金商法」
                  )上、(ア)上場会社の役員等は、
                                 (イ)その職
務に関し、
    (ウ)上場会社の業務に関する「重要事実」を、(エ)知ったときは、(オ)重
要事実の公表された後でなければ、
               (カ)当該上場会社の特定有価証券を、
                                (キ)売買等
してはならない(金商法 166 条 1 項 1 号)とされており、その「重要事実」とは、(ク)
上場会社の業務執行を決定する機関が、
                 (ケ)金商法 166 条 1 項や 167 条 1 項に列挙され
ている事項を「行うことについての決定をしたこと」である(金商法 166 条 2 項)とさ
れています。当社の検討中であったファイナンスについては、金商法 166 条 2 項 1 号
イ、4 号に該当する事実が認められるが、「行うことについての決定をしたこと」の該当
性については、当社は、ファイナンス交渉先から提示されている、2020 年2月4日付
Term Sheet 及び 2020 年2月 21 日付 Term Sheet にサインをしておらず、本件ファイナ
ンスが決定及び実行されるかどうかが不明な状態であったため、松田氏が相対取引を実
行した 2020 年2月 17 日及び 21 日においては、松田氏又はその他の役員において、「フ
ァイナンス」を「行うことについての決定をした」
                      、という要件には該当していなかった
ものと解されるため、2020 年2月 17 日及び 21 日においては、「決定事実」
                                         (金商法 166
条 2 項 1 号)としての「重要事実」
                   (金商法 166 条 1 項本文、2 項本文)は、発生してい
なかったと解されるとの意見をいただきました。


②2020 年3月9日、10 日での市場取引及び 2020 年3月 10 日での相対取引について
 2020 月3月9日及び 10 日の時点では、当社はファイナンス交渉先から提示されてい
る Term Sheet にサインをしておらず、本件ファイナンスが決定及び実行されるかどうか
が不明な状態でした。したがって、松田氏が、相対取引及び市場取引を実行した 2020 年
3月9日及び 10 日においては、松田氏又はその他の役員において、「ファイナンス」を
「行うことについての決定をした」
               、という要件には該当していなかったものと解された
め、2020 年3月9日及び 10 日においては、「決定事実」
                              (金商法 166 条 2 項 1 号)とし
ての「重要事実」(金商法 166 条 1 項本文、2 項本文)は、発生していなかったと解され
るとの意見をいただきました。


③2020 年3月 11 日~13 日での市場取引について
 2020 年3月 11 日、法的拘束力はないにせよ、2020 年3月 11 日付 Term Sheet に松田
氏がサインをして締結しました。この事実は、内部的に(主観的に)
                              、実質的に会社の意
思決定と同視されるような意思決定のできる機関(=松田代表取締役(当時))におい
て、それ相応の根拠をもって実現可能性があるものと判断していたものと考えられま
す。第三者の目から見ても(客観的にも)、実現可能性があるといえるか否かについても
検討しなければならないところ、法的拘束力がないとはいえ、Term Sheet は、いわば、
基本合意書と類似の機能を有しているのであるから、客観的にも、それ相応の根拠をも
 ってその実現可能性があるといえると解され、その証左として、2020 年3月 16 日、担
 当取締役と当社代理人弁護士らが、ファイナンスに関連する資料を持参して関東財務局
 に赴き事前相談をしており、実現に向けて具体的行動が開始されていました。これによ
 り 2020 年3月 11 日及びそれ以降においては、「決定事実」(金商法 166 条 2 項 1 号)と
 しての「重要事実」
         (金商法 166 条 1 項本文、2 項本文)が、当社に発生しており、当該
 重要事実は、未公表でありました。そこで、松田代表取締役(当時)による 2020 年3月
 11 日~13 日における市場取引は、インサイダー取引規制(金商法 166 条 1 項 2 項 1 号イ
 4 号)に抵触することとなるかが問題となりますが、金融庁の「インサイダー取引規制
 に関するQ&A」によると、
             「投資家の信頼の確保という観点からは、
                               「会社関係者」
 が、未公表の「重要事実」を知った後に売買等を行ったとしても、当該売買等が、「重要
 事実」を知ったことと無関係に行われたことが明らかであれば、それにより証券市場の
 公正性・健全性に対する投資家の信頼を損なうおそれは乏しく、インサイダー取引規制
 によって抑止を図ろうとする売買等には該当しないものと考えられます。このため、自
 社や取引先の未公表の「重要事実」を知っている上場会社の役職員が、それらの会社の
 株式を売買した場合であったとしても、
                  (中略)取引の経緯等から「重要事実」を知った
 ことと無関係に行われたことが明らかであれば、インサイダー取引規制違反として、課
 徴金納付命令等の対象とされることにはならないものと考えられます。」とのことであ
 り、このため、これを本件についてみると、2020 年3月 11 日おける Term Sheet へのサ
 インという未公表の重要事実が発生したとき、当該重要事実を決定した松田代表取締役
 自身が、2020 年3月 11 日~13 日の3日間、自社株売付け行為をしていたが、これは金
 銭消費貸借契約に基づく返済資金をねん出するためのものであり、その契約の発生時
 期・期限、社内承認の状況、売却損失の状況から未公表の重要事実を知ったことと売却
 の間に主観的因果関係が認められず、松田氏の売却は「重要事実」を知ったことと無関
 係に行われたことが明らかであるといえ、それにより証券市場の公正性・健全性に対す
 る信頼を損なうおそれは乏しく、インサイダー取引規制によって抑止を図ろうとする売
 買等には該当しないものと考えられ、また、インサイダー取引規制の適用除外として定
 められている金商法 166 条6項 12 号第3文「その他これに準ずる特別の事情に基づく売
 買等であることが明らかな売買等をする場合」とは重要事実を知ったことと無関係に行
 われる売買等であることが明らかな売買等を意味すると解釈されており、松田氏の 2020
 年 3 月 11 日~13 日における市場取引は、インサイダー取引規制違反として、課徴金命
 令の対象とされることにはならないものと考えられるとの意見をいただきました。


 ※なお、本意見書の内容はあくまで社外専門家によって、松田氏の自社株売付け行為に
   関する法令適合性を検討していただいたものであり、インサイダー取引規制への非該
   当及び課徴金命令の対象への非該当が確定されたものではありません。


(b)開示規制の適合性の検討
   松田氏の金銭消費貸借契約に設定された担保設定について、本来は担保設定日に変更
 報告書を提出する必要がありましたが、同氏はこれを認識しておらず、2020 年5月 14
 日に遅れて担保設定4件について変更報告書を提出いたしました。本意見書において
 も、担保設定後速やかに変更報告書を提出すべきであったとされております。一方、当
   該担保にかかる変更報告書以外の法定開示書面の提出は遵守されているとされておりま
   す。


2.当社の課題
 (1) 意見書における指摘された事項
   松田氏による当社株式の売却については、形式的には当社が定めているインサイダー取引
  規程に定める社内承認手続が遵守されていたといえるが、そもそも、売買を申請している者
  が、上場会社の代表取締役(当時)であり、かつ、売付けの申請株式数が大量であったこと
  に照らすと、当時の売買承認体制が、管理担当取締役 1 名による承認体制であったこと、
  及び、監査役に対する届出に係る方式が定められていなかったことは、上場会社のガバナン
  スの実効性上、疑いが残るものとされております。
 (2) 変更報告書の提出遅延
 (a)松田氏の当社株式売却の変更報告書の提出遅延
     本来5営業日以内の提出が求められている変更報告書を松田氏が遅れて提出している
   ことについては、提出者の認識不足があったことと思われますが、当社側にて上場会社
   として売却に関する報告が必要であるという旨をアラートする体制が必要であったと考
   えております。
 (b)松田氏の当社株式の担保設定
     担保設定に係る変更報告書について 2020 年5月 14 日まで提出されなかったことにつ
   いては、提出者の認識不足があったことと思われますが、上場会社として、当社にとっ
   て重要な契約である担保設定に関する報告が必要であるという意識を役員に醸成するべ
   きであったと考えております。また、そもそも当社株式の保有が「経営にコミットする
   こと」や「代表かつ安定株主として長期保有すること」を目的としている中での売却に
   ついては、上場会社として慎重な検討が必要だったことと考えております。さらに、当
   社側がこれまで松田氏により当社株式が担保に供されている事実を把握していなかった
   ことについては、債務不履行により 10%超の当社株式の移動となる可能性を生じさせた
   ことは問題であり、今後はさらに厳格な社内承認・報告体制を整備していくことが必要
   であると考えております。


3.今後の当社の対応
  今後の更なるガバナンス強化を実現するため、2020 年4月 22 日開催の取締役会ではガバナ
 ンス強化のための施策を取締役会において協議し、同年5月 15 日開催の取締役会において役
 職員の自社株式取引のプロセスに対する統制を強化した社内規程の改訂について決議しまし
 た。今後は役員の自社株式取引においては経営管理業務担当取締役から取締役会に付議され取
 締役会において承認することとし、並行して申請の内容を経営管理業務担当取締役から監査役
 会にも報告することで監査役会からの差し止めが行なえ、取締役会において社外取締役を含め
 た承認者の合意により承認されることとしました。
  また、上記以外についても、当社は 2020 年4月 27 日付で代表取締役に就任した福田を中心
 に、さらなるコーポレート・ガバナンス体制強化を掲げており、上場企業として果たすべき透
 明性の高いガバナンスの実現に向けて取り組んでまいります。


                                              以   上