3807 J-フィスコ 2020-02-28 18:00:00
中期経営計画の提出等について [pdf]

                                                    2020 年2月 28 日

     各   位
                                株  式  会 社   フ    ィ   ス コ
                                代表取締役社長         狩野 仁志
                                (JASDAQ・コード3807)
                                問い合わせ先:
                                取締役管理本部長        松崎 祐之
                                電 話 番 号 03(5774)2440(代表)


               2020 年 12 月期~2022 年 12 月期中期経営計画

I.  今後3ヶ年の中期経営計画
 1.    当中期経営計画提出時点における前事業年度の総括
  前連結会計年度におけるわが国経済は、米中貿易摩擦の悪化や中東情勢の混乱や海外経済の
 減速懸念、   不安定な政治動向や地政学リスクが与える影響などから、               製造業を中心に輸出と生産
 面で弱めの動きが続いています。        一方で、   非製造業を中心に設備投資が堅調に拡大を続けており、
 加えて、雇用・所得環境の改善を背景に個人消費は底堅く推移し、公共投資も拡大に転じつつあ
 り、 内需は緩やかに拡大を続けています。           当社の事業である情報サービスと関連性の高い国内株
 式市場におきましては、日経平均株価は年初 19,000 円台まで落ち込む場面もありましたが、前
 年の年末終値と比較して 3,641 円上昇し 23,656 円 62 銭で年内の取引を終えました。一方、外
 国為替市場におきましても、年初に一時、対米ドルで 105 円を上回る展開となりましたが、そ
 の後は 107 円~109 円で円安方向に推移しました。
    仮想通貨交換業業界では、     2019 年 6 月に現行の資金決済法の改正案と仮想通貨デリバティブ
 や STO 等に関する金融商品取引法の改正が公布されました。また、日本市場は一昨年初頭の事
 件より低迷が続いておりますが、昨年も世界を見ればブロックチェーン・仮想通貨の熱量は高
 まり続けており、今後の一層の発展を疑う余地はないと思料しております。                     (一般社団法人日本
 仮想通貨交換業協会「年頭所感」 https://jvcea.or.jp/news/main-info/20200101-001/)
    当社の持分法適用関連会社である株式会社フィスコ仮想通貨取引所(以下、                    「FCCE」といい
 ます。  )は、2019 年6月 21 日に、金融庁より資金決済法に基づく業務改善命令を受けておりま
 すが、当社グループとしては FCCE に対し、お客様が安心して利用することができる社会的に
 有用な仮想通貨交換業者として、今後とも持続的に成長できるようサポートするとともに、
 FCCE におきましても FCCE「Zaif Exchange」で停止している一部サービスの早期再開を目
 指し、更なる組織的、システム的な安全性を確保した暗号資産(仮想通貨)サービスの提供に
 努めております。
    また、当社は、2019 年 7 月に早期の自己資本の充実と、財務基盤の安定化を図るため、連結
 子会社であった株式会社フィスコダイヤモンドエージェンシー及び株式会社フィスコ IR を吸
 収合併し、さらには 2018 年9月に当社発行の第1回無担保転換社債型新株予約権付社債の買
 入消却の対価として、当社が保有する株式会社ネクスグループ(以下「ネクスグループ」とい
 います。  )株式を投資事業有限責任組合デジタルアセットファ ンド及び株式会社実業之日本社
 (以下、  「実業之日本社」といいます。         )へ譲渡いたしました。これに伴い、ネクスグループは
 2019 年 12 月期第 3 四半期以降、当社の連結子会社から 持分法適用関連会社に変更されてお
 ります。加えて、ネクスグループを割当先とする第三者割当による普通株式の発行(現物出資
 (デット・エクイティ・スワップ)         )を行ったことにより、当社単体において、2018 年 12 月期


                                   1
     に比べ有利子負債の大幅な圧縮(2018 年 12 月期 2,450 百万円、2019 年 12 月期 261 百万円)
     および自己資本比率の大幅な改善(2018 年 12 月期 5.9%、2019 年 12 月期 80.3%)を実現い
     たしました。なお、ネクスグループが持分法適用関連会社に変更されたことに伴い、2019 年 2
     月 28 日策定の中期経営計画につき、2019 年 8 月 30 日に同計画の見直しを行っております。
       このような状況のもと、引き続き当社グループでは、主力事業である情報サービス事業の安
     定的な収益の確保、暗号資産(仮想通貨)にかかるサービス提供に特化し、成長に向けての新
     たな戦略展開を行い、経営の合理化および意思決定の迅速化を図り、業績の早期回復に努めて
     おります。
       なお、当社単体の前事業年度の売上高は 845 百万円、営業損失は 148 百万円、経常損失は
     136 百万円、当期純利益は 429 百万円となりました。

2. 前事業年度の計画の達成状況
 各事業セグメントの前事業年度の状況                                   単位:百万円
           2019 年 12 月期         2019 年 12 月期
                                                     差異
               見込※                   実績
                     営業                   営業              営業
           売上                   売上              売上
                     利益                   利益              利益
 情報サービス事
            1,277     144       1,082     194   △195       50
 業
 広告代理業              83     △4      81     △11    △2        △7
 仮想通貨・ブロッ
                     11    11      10     △1     △1       △12
 クチェーン事業
 インターネット
                  1,141    12   1,141      12     -        -
 旅行事業
 IoT 関連事業           511    31     511      31     -        -
 ブランドリテールプラット
                 2,977 △320 2,977 △320        -    -
 フォーム事業
 その他(調整額)
                  △16  △299  △15  △492         1 △193
 ※
 連結計算書営業
                 5,980 △443 5,789 △586      △191 △143
 利益計上額
  ※ 「その他」には、コンサルティング事業および各セグメントに帰属していない全社費用の
    一般管理費ならびに連結計算書営業利益の調整額が含まれます。
  ※ 2019 年 12 月期見込数値につきましては、2019 年 11 月 14 日に公表しました通期業績予
    想修正数値を用いております。

  売上高につきましては、情報サービス事業において、コンテンツの見直しによるサービスを
2019 年 12 月に再開したものの、当初の予定から大幅に遅れたことが影響し、個人向けサービス
のレポート販売本数が見込みを下回って推移しました。               また、企業 IR 支援サービス分野におきま
しては、企業調査レポートサービスの受注が堅調に推移しているものの、一部のクライアント企
業における IR 予算圧縮等が原因で、前回予想を 195 百万円下回りました。また、広告代理業に
おきましては、1件当たりの獲得単価アップや大型化を図っておりましたが、小規模なスポット
案件が依然として多かったことから、前回予想を 5 百万円下回り、売上高は 191 百万円下回る
5,789 百万円となりました。
  営業利益につきましては、      情報サービス事業におけるセグメント利益は、          前回予想を 50 百万円
上回り、2018 年 12 月期に比べ大幅にセグメント利益が大幅に改善しました(2018 年 12 月期△
173 百万円、2019 年 12 月期 194 百万円)。2019 年 7 月に連結子会社であった株式会社フィスコ



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ダイヤモンドエージェンシーおよび株式会社フィスコ IR の吸収合併に伴い、営業体制の見直し
や利益率の高い案件の獲得等の施策が寄与しました。しかしながら、各セグメントに帰属してい
ない全社費用に、情報サービス事業の費用として見込んでいた費用の一部の振替え、当社の内部
管理体制構築にかかる弁護士費用等、吸収合併後の合理化に向けてのシステム等の見直しによる
一時的な費用の増加などがあったことから、営業利益は前回予想を 143 百万円下回る 586 百万円
の営業損失となりました。

3. 中期経営計画の概要及び策定の前提
① 情報サービス事業
  2020 年 12 月期におきましては、既存事業の復調、翌期以降は既存事業と関連のある周辺事業
への新たな取組みが、業績に寄与する状況を想定しております。
  既存事業の復調をけん引するのは、個人投資家向けサービスになります。個人投資家向け販売
サイト「クラブフィスコ」においては、販売サービスおよび体制の見直しのためにサービスを一
時休止しておりましたが、今期より本格的に販売を再開しております(サービス休止前 2017 年
12 月期 125 百万円、2019 年 12 月期 1 百万円)
                                。また、従前からの金融機関向け、上場企業向け
リアルタイムサービスは大きく伸びないながらも底堅い推移を見込んでおります。アウトソーシ
ングサービスは、昨年度と同水準以上の売上増(2019 年 12 月期前期比 3.2%増)を目標に、新規契
約の獲得等による取引増加を図り、安定的な収益の確保を目指します。
  既存事業と関連のある周辺事業においては、投資教育、機関投資家、暗号資産(仮想通貨)な
どがキーワードと考えております。少子高齢化による自主運用の増加が見込まれることから投資
教育のニーズが増しております。動画も多用されている投資教育講座、アナリスト養成講座など
が既に立ち上っており、サービスメニューのラインナップを増強することで、販売の拡大につな
げて参ります。機関投資家には、従前より情報端末を通じて金融・経済情報を提供してまいりま
したが、個別に金融・経済情報を提供するサービスも稼働させております。また、個人投資家に
は、ソーシャルレポーターと呼ぶ、ブロガー兼個人投資家として活躍するインフルエンサー層を
組織化し、情報提供の多様化についても強化しております。このように直接的な機関投資家や個
人投資家とのネットワークの構築を背景に、企業 IR 支援サービスに投資家ネットワークを組み
合わせることで、新規収益の増加と企業 IR 支援サービスの底上げが可能になると考えておりま
す。企業 IR 支援サービス分野において現在約 600 社あるクライアントネットワークを、2021 年
12 月期には 1,000 社に拡大することを目標にしており、業界トップシェアを獲得するまでに成長
したスポンサー型アナリストレポート(企業調査レポート)を起点とし、ESG に特化したアナリス
トレポートの開発や、企業の非財務情報を適時配信するソリューション提供サービスも稼働させ
ております。また、大企業向け統合レポートやアニュアルレポートの受注や、翻訳業務のニーズ
についても取り込んでいき、企業の IR に関する課題をワンストップで解決できる体制構築と事
業拡大を目指します。
  また、上場企業から機関投資家への情報発信の過程で発生する膨大なコンテンツは、AI による
文字解析を駆使して効果的に投資へ役立てるものへ転換させることも視野に入れております。暗
号資産(仮想通貨)コンテンツにおいては、FCCE との連携が重要になり、投資に役立つ暗号資
産(仮想通貨)コンテンツをフィスコが発信することで、FCCE への集客をサポートし、直接的
には当社のコンテンツ収入に、更には FCCE の収益を通して持分法投資損益に寄与する方向性を
考えております。また、これまでの暗号資産(仮想通貨)における運用ノウハウ(自社 AI、協業
先 AI 含む)を FCCE 用の自動売買 API として提供することも、同様の収益拡大に寄与するもの
と想定しております。
  利益面につきましては、個人投資家向けのサービスの大幅な復調が見込まれる他、継続的に取
り組んでいる費用削減や取引先の見直し等の施策が通期寄与する結果、大幅な回復、黒字幅拡大
を見込んでおります。

② 広告代理業



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 重点強化分野と位置付けているパラスポーツマガジンの広告およびタイアップ記事掲載、関連
事業での新規広告獲得が進んでおり、オリンピックイヤーを迎え、これまで以上の需要が見込め
ることから、引き続き新規案件の獲得と1件当たりの受注金額の大型化に向けての販売強化を図
っております。また、ウェブサイトのリニューアルや運営、ならびにバナー広告、ネット動画制
作等の広告における技術トレンド等や媒体特性のノウハウ蓄積も進めながら、提案力の強化や制
作プロセス改善による収益性の向上および業績回復につなげてまいります。

③   仮想通貨・ブロックチェーン事業
  ヴァルカン・クリプト・カレンシー・フィナンシャル・プロダクツにおいて、引き続き暗号資
産(仮想通貨)に対する自己勘定投資を予定しておりますが、ビットコインを中心とした暗号資
産(仮想通貨)の価格の推移を見極め、慎重にトレーディングを行ってまいります。
  当社の持分法適用関連会社の FCCE においては、2019 年6月 21 日に、金融庁より資金決済法
に基づく、業務改善命令を受けており、早期の是正を目指し改善に取り組んでおります。2020 年
2 月 12 日には、FCCE が運営する「フィスコ仮想通貨取引所」と仮想通貨取引所「Zaif」を統合
し、「Zaif Exchange」といたしました。この統合により、昨年に比べ、統合に要した一時費用の
大幅な削減および、今後の取引所運営の効率化による経常費用削減に加え、直近の手数料増収な
どから業績の改善が見込まれます。引き続き、FCCE では資金決済法に基づく、業務改善命令の
早期解除と「Zaif Exchange」で停止している一部サービスの早期再開を目指し、システム的な安
全性(セキュリティ)を確保し、使いやすい暗号資産(仮想通貨)サービスの提供に努めており
ます。

II. 2020 年 12 月期業績予想
1. 2020 年 12 月期業績予想                                      単位:百万円
                                                        親会社株主に帰属
                  売上高          営業利益         経常利益
                                                         する当期純利益

 情報サービス事業              1,138          391          -            -

 広告代理業                  108            33          -            -
 仮想通貨・ブロッ
                          0            0           -            -
 クチェーン事業
 その他                      0       △268             39           12

 連結計算書計上額              1,246          156          39           12
     ※ 「その他」には、コンサルティング事業および各セグメントに帰属していない全社費用の
       一般管理費ならびに営業利益、  経常利益、   親会社株主に帰属する当期純利益の調整額が含
       まれます。
     ※ 当該業績予想の予想の詳細につきましては、2020 年 2 月 13 日公表の「2019 年 12 月期
       通期業績予想の修正および 2020 年 12 月期業績予想に関するお知らせ」をご確認くださ
       い。

2.   業績予想の実現に向けた諸施策
     ① 個人投資家向けコンテンツ拡販の推進、投資教育・金融経済コンテンツサービス強化
     ② 暗号資産(仮想通貨)の情報配信、機関投資家向けコンテンツの新規販売
     ③ スポンサー型アナリストレポート(企業調査レポート)営業推進強化
     ④ 広告媒体提案力の強化や制作プロセス改善
     ⑤ 管理体制のさらなる強化(組織横断的な体制強化を推進)

                                                            以   上


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