3751 JAG 2020-05-21 17:00:00
株主提案に対する当社取締役会意見に関するお知らせ [pdf]
2020 年5月 21 日
各 位
会 社 名 日 本 ア ジ ア グ ル ー プ 株 式 会 社
代表者名 代表取締役会長兼社長 山下 哲生
(コード番号 3751 東証第1部)
問合せ先 取 締 役 渕田 隆記
TEL(03)4476-8000(代表)
株主提案に対する当社取締役会意見に関するお知らせ
当社は、当社の個人株主1名(以下「提案株主」といいます。)より、2020 年6月 25 日開催予定の
第 33 期定時株主総会における議題および議案について株主提案(以下「本株主提案」といいます。)
を行う旨の書面(以下「本株主提案書」といいます。)を 2020 年4月 14 日付で受領しておりました
が、本日開催の当社取締役会において、本株主提案について反対することを決議いたしましたので、
下記のとおり、お知らせいたします。
記
Ⅰ.提案株主ならびに提案された議題の概要
1.提案株主:個人株主1名
2.提案株主が提案する議題
(1)剰余金の処分等にかかる定款変更の件
(2)剰余金の処分の件
(3)資産鑑定評価を含む決算説明会資料の公表にかかる定款変更の件
Ⅱ.本株主提案の内容および本株主提案に対する当社取締役会の意見
本株主提案の内容は、提案株主から提出された本株主提案書の項目番号を除き原文のまま掲載し、
各々に対し当社取締役会の意見を記載しております。
「議題1.剰余金の処分等にかかる定款変更の件」について
(1)議案の要領および提案の理由
① 議案の要領
本議案による定款変更は、本議案が本定時株主総会において承認可決された時点で、
その効力を生じるものとする。
(ア)自己株式の取得に関する規定の新設
以下の条文を新設する。
第51条(自己株式の取得)
-1-
取締役会は、当会社の株価が株価純資産倍率1倍を回復するまで、期末自己資本
の1%相当額を取得価額の総額として、配当可能額の範囲内において、毎期自社
株式の取得を行う。
(イ)剰余金の処分に関する規定の新設
現行定款の第48条を、第48条第1項とし、第2項を以下のとおり新設する。
2.当会社は、毎期末において、配当可能額の範囲内において、当期純利益の30%相
当額または純資産の3%相当額のいずれか大きい額を期末配当金として第1項に定
める株主または登録株式質権者に支払うことを目標とするものとする。
② 提案の理由
当社の株価純資産倍率は約0.3倍(2020年3月10日時点)で、東証1部平均の1.00 倍に
対して著しく低く評価されています。20OMW以上の再生可能工ネルギー発電設備を保有
する優良会社にも関わらず、低い評価に至った原因は、近年の度重なる投資失敗に起因
する低収益状況にあります。デジタルカメラのピークアウト時期における製造会社ザク
ティへの投資及び、マンション事業が利益の主体で当社とのシナジーが薄いサンヨーホ
ームズへの敵対的買収、という経営判断ミスが重なり、2019年3月期の赤字転落(25億円
弱の最終赤字)につながりました。このような安易な投資は、資本コストに対する経営陣
の意識の低さに起因すると考えられます。
剰余金の配当による株主還元の目標を定めることにより、経営陣に対して株主資本の
コストを明確に意識させるとともに、自己株式の取得によって、株価の過小評価を看過
しないという株式市場への強い意思表示をすることを求めます。
(2)当社取締役会の意見
上記提案に反対いたします。
(3)反対の理由
当社は、“グリーン・コミュニティ創造会社”として SDGs 行動の強化を通じて企業価値向上
と社会課題の解決を実現するために、
「空間情報事業」
「グリーン・エネルギー事業」
「森林活性
化事業」において、長期的な企業存続と発展を基本方針とし事業活動を進めております。その方
針の下、資本収益性に関しては、短期的な利益追求にとらわれず、継続的な事業拡大と財務の健
全性をバランスよく両立させ、中長期的に社会経済的価値を生み出すことが重要であると考え
ております。
また、当社は、株主の皆様への利益還元を重要な課題の一つとして考えており、剰余金の処
分のうち配当については、業績に対応した水準であること、ならびに中長期的な視点から安定
的に継続することを基本としつつ、競争力、事業環境、財務体質等を勘案し総合的に決定するこ
とを基本方針としております。
こうした当社の方針と、事業環境等を考慮せずに算出される自己株式取得を定款に一律に規
定して固定化し実施し続けることは両立せず、当社の財務規律を毀損し、持続可能な事業遂行
能力を弱めることになるだけでなく、成長の機会をも喪失するリスクを招きかねないと考えま
す。その結果として、企業価値を毀損し、株主の皆様の利益を毀損することになると考えます。
純資産額に基づき一律に算出される配当の継続実施を規定する上記提案は、将来における経
営環境の変化や継続的な事業投資等を考慮しない短期的な視点に立脚したものであり、結果と
-2-
して、株主の皆様の利益を毀損するおそれがあると考えます。
したがいまして、定款に本議案のような規定を設けることは適切ではないと判断いたします。
「議題2.剰余金の処分の件」について
(1)議案の要領および提案の理由
① 議案の要領
2020年3月期の期末剰余金の配当として、純資産の3%相当額から本株主総会に当社
取締役会が提案し同総会で承認された剰余金配当額の総額(以下「会社提案配当金額」
といいます。)を控除した額を(会社提案配当金額に加えて)その他利益剰余金を配当
原資として以下のとおり配当する。
(ア) 配当財産の種類
金銭
(イ) 株主に対する配当財産の割当てに関する事項
当社普通株式1株につき 金21円(以下「1株あたり基準配当額」といいます。)から
当社普通株式1株当たりの会社提案配当金額を控除した金額。
配当総額 576,548,805円(以下「基準配当総額」といいます。)から会社提案配当金額
を控除した額
ただし、上記「1株あたり基準配当額」及び「基準配当総額」は、当社の発行済株式
総数が27,763,880 株、そのうち自己株式の数が309,175 株であること(以下、ある時点
における発行済株式総数から自己株式の数を控除した数を「基準株式数」といいま
す。)、及び2019年3月期末の純資産額を前提に算出されている。
そのため、「1株あたり基準配当額」は、剰余金の配当にかかる基準日である2020年
3月31日時点における純資産額が2019年3月期末の純資産額と異なる場合及び/又は
2020年3月31日時点における基準株式数が上記基準株式数と異なる場合、同時点の純資
産額に100分の3を乗じた額(小数点以下切り捨て)を、2020年3月31日時点の基準株式
数にて除した金額(小数点以下切り捨て)が21円と異なる場合、当該金額に変更されるも
のとする。また、かかる場合、「基準配当総額」については、上記算式に基づき確定さ
れた「1株あたり基準配当額」に、2020年3月31日時点の基準株式数を乗じた額とす
る。
(ウ) 剰余金の配当が効力を生ずる日
2020年6月26日
但し、上記は本株主総会の開催日が2020年6月25日であることを前提としており、開
催日が変更される場合には、当該開催日の翌日に変更されるものとする。
(エ) 配当金支払開始日
2020年7月16日
但し、上記は本株主総会の開催日が2020年6月25日であることを前提としており、開
催日が変更される場合には、当該開催日後14営業日を経過した日に変更されるものとす
る。
② 提案の理由
-3-
議題1の「②提案の理由」でも述べたとおり、当社経営陣において、株主資本のコス
トを明確に認識していることを市場に示す必要があると考えられます。したがって、純
資産の3%相当額程度の配当を実施することを目指すものです。
(2)当社取締役会の意見
上記提案に反対いたします。
(3)反対の理由
先に述べました通り、当社は、株主の皆様への利益還元を重要な課題の一つとして考えてお
ります。持続的成長に向けた経営基盤の強化及び収益力の維持・向上を図るためにも、配当につ
いては、業績に対応した水準であること、ならびに中長期的な視点から安定的に継続すること
を基本としつつ、競争力、事業環境、財務体質等を勘案し総合的に決定することを基本方針とし
ております。
また、当期純利益額または純資産額にもとづく一律的な配当の実施を規定する上記提案につ
いては、当期の業績や将来における経営環境の変化等を顧慮しない、短期的な視点に立脚した
ものであり、結果として、株主の皆様の利益を毀損するおそれもあるものと考えております。
したがいまして、当社の健全な存続と持続可能な成長を通して中長期的に企業価値の一層の
拡大と共に株主価値の拡大を目指していくという観点から、上記提案にかかる剰余金の処分を
行うことは適切ではないと判断いたします。
「議題3.資産鑑定評価を含む決算説明会資料の公表にかかる定款変更の件」について
(1)議案の要領および提案の理由
① 議案の要領
議題1が原案どおり承認可決されたことを前提に、以下の条文を新設する。議題1が
否決された場合、第51条とする。なお、本議案による定款変更は、本議案が本定時株主
総会において承認可決された時点で、その効力を生じるものとする。
第52条(資産鑑定評価を含む決算説明会資料の公表)
当会社は、資産鑑定評価を含む決算説明会資料を毎期公表し、当該決算説明会資
料は本条各号に定める内容をすべて含むものとする。
(1)業績及び財務状況
(2)企業価値向上の基本方針及び施策
(3)中期経営計画及びその進捗状況
(4)主要な不動産及び再生可能エネルギー発電設備の鑑定評価
(5)株主還元の方針
② 提案の理由
株主に重大な影響を与えうる重要事項についての配慮・説明として、コーポレート・
ガバナンス・コードの原則5-2では、経営戦略や会社計画の策定・公表にあたっては基
本的な方針とともに収益力・資本効率等に関する目標を提示し、その実現のために経営
資源の配分等に関し、具体的に何を実行するのかについて、株主に分かりやすい言葉と
論理で明確に説明を行うべきとされています。
議題1の提案の理由でも述べたように、当社においては、発電事業の大きな成功に伴
-4-
い、かえって資本コストに対する経営陣の意識が低下し、安易な経営を助長してきまし
た。昨年以降、ザクティの経営改革、および本年1月のサンヨーホームズ株式の売却で
今後の収益改善が期待されますが、経営陣の意識の更なる変革のためには、株主還元に
よる資本コストの意識付けと併せ、大切な経営資源である保有資産の鑑定評価を含む中
期経営計画の公表を通じ、株主による外部チェック機能を働かせることが重要と考えま
す。
議題1及び2において提案する株主還元に関する施策と、本議題における定款変更に
よる中期経営計画の公表は、当社の企業価値の向上につながると考えられ、その実行を
強く期待いたします。
(2)当社取締役会の意見
上記提案に反対いたします。
(3)反対の理由
当社は、コーポレートガバナンス・コードの原則5-2を勘案のうえ、経営情報の開示を行っ
ており、収益計画や配当政策の基本的な方針を決算説明会資料や決算短信、有価証券報告書に
おいて開示しています。更に、収益力・資本効率等に関する目標や業績および財務状況、企業
価値向上の基本方針および施策、中期経営計画およびその進捗状況、ならびに株主還元の方針
の説明については、前述した各種資料における記載だけではなく、統合報告書ならびに株主通
信、加えて決算説明会の実施などを通じて行っています。
当社の決算説明会資料は、事業年度または四半期毎の決算期における開示の内容を、株主や
投資家の皆様に、よりご理解いただき易くするための補足説明資料という位置付けで作成され
ています。そのため、株価に著しく影響することがないよう作成されるべきものであると考え
ます。このことから、その内容に関して定款で一律かつ固定的に定めるものではなく、株主や
投資家の皆様との対話なども踏まえつつ、公表の内容、時期や方法等を含め、取締役会におい
て慎重に検討したうえで、柔軟かつ機動的にそれらを決定すべきであると考えます。
したがいまして、定款に本議案のような規定を設けることは適切ではないと判断いたします。
(ご参考)
コーポレートガバナンス・コード
【原則5-2.経営戦略や経営計画の策定・公表】
経営戦略や経営計画の策定・公表に当たっては、自社の資本コストを的確に把握した上で、収
益計画や資本政策の基本的な方針を示すとともに、収益力・資本効率等に関する目標を提示し、
その実現のために、事業ポートフォリオの見直しや、設備投資・研究開発投資・人材投資等を含
む経営資源の配分等に関し具体的に何を実行するのかについて、株主に分かりやすい言葉・論理
で明確に説明を行うべきである。
以 上
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