3751 JAG 2021-05-31 16:00:00
株主提案に対する当社取締役会意見に関するお知らせ [pdf]
2021 年5月 31 日
各 位
会 社 名 日本アジアグループ株式会社
代表者名 代表取締役会長兼社長 山下 哲生
(コード番号:3751 東証第一部)
問合せ先 総務人事部長 渕田 隆記
TEL(03)4476-8000(代表)
株主提案に対する当社取締役会意見に関するお知らせ
日本アジアグループ株式会社(以下「当社」といいます。)は、当社の個人株主1名(以下「提案株
主」といいます。
)より、2021 年6月 30 日に開催予定の第 34 回定時株主総会における議題及び議案に
ついて株主提案(以下「本株主提案」といいます。)を行う旨の 2021 年4月 23 日付株主提案書(その
後の修正を含み、以下「本株主提案書」といいます。
)を受領しておりましたが、2021 年5月 31 日開
催の取締役会において、本株主提案について反対することを決議いたしましたので、以下のとおりお
知らせいたします。
1.提案株主及び提案された議題の概要
(1)提案株主 個人株主1名
(2)提案株主が提案する議題 剰余金の処分の件
2.提案株主が提案する議案の内容
※提案株主が提案する議案の内容は、本株主提案書の内容を転記する方法により記載しております。
(1)議案の要領
① 議案の要領
2021年3月期の期末剰余金の配当として、普通株式1株当たり10円(前年度と同額)を、その
他利益剰余金を配当原資として以下の通り配当する。
(ア)配当財産の種類
金銭
(イ)株主に対する配当財産の割当てに関する事項
当社普通株式1株につき 金10円
配当総額 274,475,680円
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ただし、上記の配当総額については、当社の発行済株式総数が27,763,880株、そのう
ち自己株式の数が316,312株であること(以下、ある時点における発行済株式総数か
ら自己株式の数を控除した数を「基準株式数」といいます。)を前提としており、剰
余金の配当にかかる基準日である2021年3月31日時点における基準株式数が変動した
場合には、配当総額は、1株当たり配当金10円に当該基準株式数を乗じた額とする。
(ウ)剰余金の配当が効力を生ずる日
2021年6月30日
但し、上記は本株主総会の開催日が2021年6月30日であることを前提としており、開催
日が変更される場合には、当該開催日の翌日に変更されるものとする。
(エ)配当金支払開始日
2021年7月21日
但し、上記は本株主総会の開催日が2021年6月30日であることを前提としており、開催
日が変更される場合には、当該開催日後14営業日を経過した日に変更されるものとす
る。
② 提案の理由
当社は、稼働出力約250メガの再生可能発電設備を保有するエネルギー関連子会社を中
核とした、優良会社です。その一方で、場当たり的ともいえる、デジタルカメラ製造会社
ザクティへの投資の失敗、及びサンヨーホームズへの敵対的買収の失敗から業績は低迷し
ていましたが、多額の損失を計上し、処理を進めてきたことで、業績は回復途上にありま
す。一連の投資失敗は資本コストに対する経営陣の意識の低さに起因しており、その是正
のために、昨年の定時総会において、株主還元の目標設定を目的とした自己株式取得及び
剰余金処分にかかる定款規定や、保有資産の鑑定評価の開示を含む中期経営計画の策定に
関する定款規定の追加を株主提案させていただきました。しかし、いずれの提案も当社取
締役会は反対しました。特に、株主還元にかかる剰余金の処分にかかる提案については、
「業績に対応した水準であること、ならびに中長期的な視点から安定的に継続することを
基本としつつ、競争力、事業環境、財務体質等を勘案し総合的に決定することを基本方針
としております。」との理由で反対(昨年度定時総会招集通知48頁)されました。
2020年度第3四半期時点における業績は、前年同期の営業赤字1.26億円から営業利益
14.91億円へと大きく改善しており、業績面からも安定性の観点からも2021年3月期末の
配当を無配にする理由は見当たりません。
他方、以下に述べる通り、当社取締役会は過去1年間にわたり不合理な意思決定を繰り
返しており、2021年3月期末の無配の決定も不合理な意思決定である可能性が否定できま
せん。
① 低額のMBO価格に対する応募の推奨
昨年11月、当社代表取締役である山下哲生氏(以下「山下氏」といいます。)
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及び山下氏がその発行済み株式全てを所有するグリーンプロジェクト株式会社
(以下「グリーンプロジェクト社」といいます。)、並びにカーライルグループ
による当社の非公開化取引等を含む一連の取引(以下「本件MBO取引」といいま
す。)が公表されました。本件MBO取引にかかる一連の取引のファーストステップ
としてカーライルグループにより、当社に対する公開買付け(以下「本件公開買
付け」といいます。)が開始されましたが、本件公開買付けにおける買付価格
(以下「本件公開買付け価格」といいます。)は、当初600円と設定されておりま
した。当社取締役会は、本件公開買付け価格が2020年9月30日時点の当社
1株あたり純資産額を下回っているにもかかわらず、本件公開買付けに対して賛
同する意見を表明するとともに、株主に対して応募を推奨しました(2020年
11月6日付意見表明報告書15頁)。
しかしながら、当社の財務状況に特段の変化がないにも関わらず、後に本件公
開買付価格が1,200円に引き上げられたことに照らすと、当初の本件公開買付価格
は不当に低い価格であり、特別委員会を設置したことや、ファイナンシャル・ア
ドバイザー及びリーガル・アドバイザーの意見を取得したことを踏まえても、当
社取締役会による当初の条件による本件公開買付けに対する賛同の意見表明及び
株主に対する応募の推奨は、不合理なものであったといえます。
② 非公開化の必要性に対する意見の変遷
加えて、当社取締役会は、本件MBO取引後に当社が継続して行う事業について、
「リスクの伴う戦略的な意思決定を柔軟かつスピード感をもって行っていくため
に、本取引を通じて当社株式を非公開化するとともに(中略)山下氏が当社の経
営により注力できる状況を作り出すことが、当社の経営改革の実現に向けて有効
かつ不可欠な手段であることとの結論に至りました。」(2020年11月6日
付意見表明報告書15頁)として、当社の非公開化が当社の経営改革の実現に不
可欠な手段であると主張して、当社株主に対して本件公開買付けに応募すること
を推奨しました。
しかし、本件公開買付けが不成立となったのちに公表された「当社の企業価値
の向上及び株主還元に係る施策等に関するお知らせ」において、上場を維持する
ことの評価として「当社の経営方針及びこれを前提とする事業計画の内容は、マ
ネジメント・バイアウト(MBO)により非公開化するのでなければ実現が不可能で
あるとまでは言えず」「上場を維持することは、上場維持に伴うコストが発生す
る一方、当社の経営陣が上場により形成される株価を上昇させるように努めるな
ど、メリットが認められること。」と述べ、非公開化を目指した本件公開買付け
に対する応募の推奨のわずか4カ月後に、合理的な理由もなく非公開化に対する
評価を変遷させており、意思決定の合理性を強く疑わせます。
③ 買収防衛策の発動に対する裁判所の評価
当社取締役会は、株式会社シティインデックスイレブンス(以下「シティ社」
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といいます。)による当社株式の買付けに対して、いわゆる買収防衛策を株主の
意思を確認することなく導入し、発動しました。コーポレートガバナンス・コー
ド原則1-5は、買収防衛策の導入・運用については、適正な手続を確保するとと
もに、株主に十分な説明を行うべきと定めています。これは必ずしも株主総会の
決議を要すると解されているわけではないものの、本件においては2021年3
月1日に特別配当に関して臨時株主総会を開催することが取締役会により決定さ
れており、買収防衛策の導入を決定した3月9日の時点では、臨時株主総会の基
準日も決められていたのですから、導入または発動について臨時株主総会で株主
の意思を確認することもできたと思われるところ、現在に至るまで株主の意思確
認に向けた手続きは行われておりません。このような取締役会の行動に対して、
本株主提案を発送する時点では最終的な結論は明らかではないものの、シティ社
による買収防衛策の発動として決定された新株予約権の無償割当てについて差止
めを求める仮処分が申立てられていたところ、東京地方裁判所により差止めの仮
処分の決定がなされ、当社が申立てた保全異議の申立てについては東京地方裁判
所により仮処分決定を認可する決定がなされ、現時点では裁判所により当社取締
役会の行為の正当性が否定されている状況にあるといえます。
以上、当社取締役会は過去1年間にわたり不合理な意思決定を繰り返している以上、
2021年3月期末の無配の決定についても、株主にその是非を問うべきと考えます。
加えて、上記の通り、2020年度第3四半期時点における業績は、前年同期の営業赤字
1.26億円から営業利益14.91億円へと大きく改善しており、業績面からも安定性の観点か
らも普通配当を無配にする理由は見当たりません。
累進配当制度を導入する企業も珍しくなく、安定的かつ配当性向の引き上げによる株主
還元は経営に対する信頼性を高め、長期安定的な株主の形成につながります。普通配無配
を取りやめ、前年度と同額の10円を普通配当することで株主の信頼回復に努めることを求
めます。
3.本株主提案に対する当社取締役会の意見
(1)当社取締役会の意見
取締役会としては、本株主提案に反対いたします。
(2)反対の理由
当社は、2021 年3月1日付「当社の企業価値の向上及び株主還元に係る施策等に関するお知ら
せ」及び同日付「剰余金の配当(特別配当)、剰余金の配当(特別配当)及び臨時株主総会招集に係
る基準日設定並びに株主還元方針に関するお知らせ」にて公表いたしましたとおり、子会社である
国際航業株式会社及び JAG 国際エナジー株式会社(両社を総称して、以下「対象子会社」といいま
す。)の株式の大部分を戦略的に売却した後、対象子会社以外の当社グループの事業(以下「JAG 継
続事業」といいます。)をコア事業とする「第二の創業」にチャレンジし、当社の企業価値の向上を
目指すとともに、「第二の創業」に取り組むにあたり、当社のミッション及びビジョンをご支援い
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ただいてきた株主の皆様に対する大幅な株主還元を実施していく方針を策定いたしました。
当社は、配当については業績に適応した水準であること、及び中長期的な視点から安定的に継続
することを基本としつつ、競争力、事業環境、財務体質等を勘案し総合的に決定することを基本方
針としておりましたが、上記各プレスリリースにて公表いたしましたとおり、現時点では、手元資
金に加え、対象子会社の株式の売却による対価等を原資とし、企業価値向上の施策の実行に必要な
JAG 継続事業の再建・成長資金、一部の有利子負債の弁済資金等を除き、その全てを株主の皆様へ
還元させていただくことを考えております。
その施策の一つとして、当社は1株当たり 300 円の特別配当を実施することを決定し、かかる議
案を 2021 年4月 28 日開催の臨時株主総会に付議いたしました結果、当該議案は賛成多数で可決さ
れ、同月 30 日を効力発生日として、特別配当が実施されております。
当社としては、このような株主還元方針に基づき、期間損益も踏まえたうえで株主還元を行って
いく予定であり、2021 年3月 22 日付「2021 年3月期配当予想の修正(無配)及び株主優待制度の
継続に関するお知らせ」にて公表いたしましたとおり、同方針に基づき今後も十分な株主還元が実
現できると考えたことから、同日開催の当社取締役会において、2021 年3月期の期末配当について
は行わないことを決議いたしました。
このように、株主還元の具体的な内容や実施の時期については、当社の企業価値の向上及び大幅
な株主還元の実施という株主還元方針に基づき期間損益も踏まえて検討のうえ決定する必要があ
ると考えており、本株主提案に係る 2021 年3月期の期末配当を実施することは適切ではないと判
断いたします。
以 上
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