3751 JAG 2021-03-01 16:30:00
当社の企業価値の向上及び株主還元に係る施策等に関するお知らせ [pdf]
2021 年3月1日
各 位
会 社 名 日本アジアグループ株式会社
代表者名 代表取締役会長兼社長 山下 哲生
(コード番号:3751 東証第一部)
問合せ先 総務人事部長 渕田 隆記
TEL(03)4476-8000(代表)
当社の企業価値の向上及び株主還元に係る施策等に関するお知らせ
日本アジアグループ株式会社(以下「当社」といいます。)は、2021 年3月1日開催の当社取締役会
において、当社の企業価値の向上及び株主還元に係る施策等として、当社グループの新たな経営方針
を含む以下の事項について決議いたしました。
① 国際航業株式会社(以下「国際航業」といいます。
)及び JAG 国際エナジー株式会社(以下「JAG
国際エナジー」といい、国際航業及び JAG 国際エナジーを併せて「対象子会社」といいます。)
の株式の大部分の売却に係る方針
② 対象子会社の株式の大部分の売却後の当社グループの経営方針
③ 剰余金の配当(特別配当)並びに剰余金の配当(特別配当)及び臨時株主総会招集に係る基準日
設定
④ これまで当社のミッション及びビジョンをご支援いただいてきた株主の皆様に対する今後の大
幅な株主還元の実施に係る方針
当社は、上記①のとおり、対象子会社の株式の大部分を戦略的に売却した後、対象子会社以外の当社
グループの事業(以下「JAG 継続事業」といいます。
)をコア事業とする「第二の創業」にチャレンジ
し、当社の株主、顧客、取引先及び役職員その他の全てのステークホルダーの皆様にとっての価値の総
和(以下「ステークホルダー価値」といいます。
)を企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益と位置
づけ、その向上に取り組んでまいります。また、かかる「第二の創業」に取り組むにあたり、これまで
当社のミッション及びビジョン(下記「1.当社のミッション及びビジョン並びに当社の事業の基本方
針について」をご参照ください。
)をご支援いただいてきた株主の皆様に対する大幅な株主還元を実施
していく方針です。
本プレスリリースは、当社の企業価値の向上及び株主還元を実施するための各施策の背景にある、
当社のミッション及びビジョン並びに当社の基本的な経営方針に関する考え方を、株主を含む全ての
ステークホルダーの皆様に対して改めてお示しし、各施策の趣旨・内容をよりよくご理解いただくこ
とを目的としております。
1
1.当社のミッション及びビジョン並びに当社の事業の基本方針について
当社は、当社のウェブサイト(https://www.japanasiagroup.jp/company/philosophy.html)及び
当社が 2020 年6月 23 日付で公表したコーポレート・ガバナンスに関する報告書に記載し、当社の
株主、顧客、取引先及び役職員その他のステークホルダーの皆様にもご理解及びご支援いただいて
いるとおり、
「安心で安全、そして持続可能なまちづくりで社会に貢献」とのミッション及び「技術
革新を先取りし金融との融合を通じて成長する社会企業グループ」とのビジョンの実現を通じ、技
術革新が開く新たな社会、市場を先見し、その革新を支援、加速することによって、地球と地域の持
続性を高めることを当社グループの責務と位置づけ、安心・安全で持続可能なまちづくり「グリー
ン・コミュニティの創造」を基本方針として事業を進めています。
また、当社は、上記基本方針の下、
「世界規模の“グリーン・コミュニティ創造会社”として SDGs
行動の強化を通じて企業価値向上と社会課題の解決を実現」を中期的な経営目標と定め、その実現
に向けて収益性とともに、経営理念に沿った社会問題解決能力の向上に努めております。また、ROE
(Return on Equity、自己資本当期純利益率)や EPS(Earnings Per Share、1株当たり当期純利
益)等の従来の経営指標のみに留まることなく、ステークホルダーの皆様との対話を通じ、例えば
二酸化炭素の削減量等をはじめとした社会価値の向上への貢献度についても測定・報告するなど、
より幅広く、ステークホルダー価値としての企業価値の最大化を目指す経営を心掛けてまいります。
2.当社グループが直面する経営課題について
(1)当社グループ全体の経営課題
当社グループ(当社、その子会社及び関連会社をいいます。以下同じです。)を取り巻く環境は、
公共事業関係の順調な予算確保及び 2018 年7月3日に閣議決定された第5次エネルギー基本計画
においても主力電源化に向けた取組みの対象となることが明記された再生可能エネルギーの更なる
開発の期待に加え、政府が 2020 年 10 月に表明した「2050 年までに、温室効果ガスの排出を全 体 と
し て ゼ ロ に す る 脱 炭 素 社 会・カ ー ボ ン ニ ュ ー ト ラ ル の 実 現 を 目 指 す 」と の い わ ゆ る「 脱 炭
素 2050 政 府 計 画 」 等、今後の当社グループの事業展開にとって好ましい要素も存在します。
他方、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響による、我が国における一般消費者の消費マ
インドの低下に伴い、民間企業からの OEM/ODM 製品等の大幅な需要減少や出荷停滞及び部材不足に
よる納品の遅れ、国内外の各事業への投資の先送りなど、関連事業が受ける影響は今後も拡大する
ことが予想されます。
このように先行き不透明な状況の中、当社グループは、各事業について、成長可能性に対して正
面から取り組み、成果を上げるために必要な経営資源(ヒト・モノ・カネ)の投入が必要であると認
識しております。特にグリーン・エネルギー事業を中心に旺盛な資金需要がある中、当社グループ
が健全な存続と持続的成長を達成し、中長期的な企業価値の向上を図るためには、継続的な成長投
資及び収益力の確保・財務健全性の確保が不可欠であると認識しております。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による一般消費者の消費マインドの低下に
伴う上記事象が当社グループの収益にインパクトを与えた結果、直接金融及び間接金融を通じた資
金調達による成長分野への円滑な資金供給に影響が生じてきており、経営資源の分散による各事業
の停滞を認識しております。
2
このような状況を打破し、各事業のステークホルダー価値としての企業価値を最大化するために
は、当社グループの経営資源を集中して育成・成長を目指すべき事業と外部リソースの活用による
成長を目指すべき事業とを選別する必要があるとの課題認識を有するに至っております。
(2)各事業における経営課題
① 空間情報事業
空間情報事業のうち、国際航業においては、激甚災害が増加等する中、被害を最小限にとどめ、
迅速に回復させるために 2018 年 12 月 14 日に閣議決定された国土強靭化計画に基づく公共投資の
増加により堅調に収益を積み増す一方、建設関連業界における将来の担い手不足に加え、前述の
激甚災害対策等、日々変容を遂げる社会課題への対応策として、省人化/デジタル化といったニー
ズが日本国内において求められており、測量に加え、空間情報に紐づいた事業領域分野でもデジ
タル化の重要性が増してくると予想しております。このようなニーズに対し付加価値の高いソリ
ューションを提供するべく、その強みの源泉である自らの技術力を高めつつも、DX(デジタル・ト
ランスフォーメーション)化が深化する中での AI、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーシ
ョン)、IoT 等の至らぬ領域での協業や水平・垂直のオープンな取組みを推進する必要性を認識し
ております。国際航業は、顧客要望に応える形で、公共事業における建設コンサルタントや防災・
環境保全事業等の様々な事業に複合的に取り組んできたことから、事業が複雑化し、部門間に跛
行性が生じております。そのため、収益管理を含めた経営の見える化やそれを実現/管理する経営
人財の育成、また、同社の強みの源泉である技術力及び人財力をさらに磨き上げることで、中長
期的な成長のための事業基盤を整える必要性があると認識しております。さらに、国土強靭化計
画に基づく公共投資の増加等により、国際航業が属する業界全体が堅調な成長を遂げている中、
先行投資に加え、人材の流動性の高まりに伴う十分な従業員への還元等が必要になっている一方
で、当社グループは、その資本構成上、全体最適の観点から、収益性の高いグループ会社で得た利
益を、グループ内の様々な成長分野への投資に活用し、グループ全体の競争力を高めていく必要
があります。当社グループが「グリーン・コミュニティの創造」を軸として複数の事業分野を持つ
がゆえに、国際航業のみに関する先行投資及び従業員還元等を行うことができず、結果として、
国際航業の競争力が相対的に低下している現状を認識しております。
空間情報事業のうち、株式会社ザクティホールディングス(以下「ザクティ」といいます。
)に
おいては、当社グループへの参画以降、空間情報事業の技術職の人材の交流、事業の垂直連携へ
の可能性や道路等のインフラ構造物の維持点検をはじめ、測量、計測における川上でのデータ取
得・解析、さらには国際航業のコンサルティング能力との組合せで、三次元データのクラウドサ
ービス事業構築といったビジネスモデルの変革の可能性を模索してまいりました。しかしながら、
ザクティにおいて従来コア事業であった消費者向けデジタルカメラの需要は、スマートフォンの
普及により需要が減退していることに加え、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により
下落が加速され、事業変容による業績の回復はさらに遅れる見込みとなり、現時点では協業や補
完作業の成果は得られておりません。その一方、IoT 時代のセンサーとしてのデジタルカメラ技術
は、マシン・アイ等の「社会の眼」を実現する技術として、ますますその存在価値を増していくこ
とが見込まれます。これまでカメラ製造業として培ってきた ASIC(特定用途向け集積回路)開発
技術や、ジンバル(安定化)技術等の独自の技術を活用した自社ブランドの業務用イメージ・セン
3
シング製品や、製造業や現場での映像ソリューションの提供を通じた新たな市場開拓が急務であ
ると認識しております。
② グリーン・エネルギー事業
JAG 国際エナジーを中心とするグリーン・エネルギー事業においては、主力の太陽光発電事業で
FIT(固定価格買取り)制度開始当初ほどの高い採算性が期待しにくい市場環境ではあるものの、
今後成長が見込まれるバイオマス発電、陸上・洋上風力発電等の新たな再生可能エネルギーへの
積極的な投資の必要性を認識しています。また、FIT 制度終了を見据え、将来的には建設した発電
事業所の活用検討も必要であり、当社グループの電力小売事業はその活用方法の一つとなり得る
と考えており、電力小売事業の早期拡大の重要性を認識しております。
しかしながら、当社は近年負債比率が高止まりしている状態が続き、また、過去の企業買収、先
行投資等を通じて有利子負債残高が増加傾向にある中で、旺盛でタイムリーな資金需要に対応す
ることが困難となっており、当社グループの資本構成の下での成長投資の実行に課題を認識して
おります。
③ 森林活性化事業
JAG フォレスト株式会社や株式会社 KHC を中心とする森林活性化事業では、低い労働生産性や
高い労働災害率といった日本の森林事業特有の課題があります。日本の森林事業における生産性
は、オーストリア、ドイツ等の日本と同様に急峻な森林資源を持つ国々における生産性の4分の
1以下であり、かかる現状を打破するためには、今しばらく時間も経営資源も必要であると認識
しております。当社グループの森林活性化事業においても、国際航業を中心とした空間情報事業
で培ってきた技術を生かしたスマート林業の事業化の促進や、森林経営管理法の施行に伴う事業
環境の変化への対応とともに、森林不動産市場への対応や地方自治体が進める森林管理事業の支
援等に幅を広げ、収益化を実現する必要性を認識しております。また、積極的な森林整備による
二酸化炭素吸収拡大など気候変動対策の「緩和策」に取り組み、社会的課題への貢献に向けた事
業整備やグループ内企業の連携による製材・プレカット加工、木造建築までの一貫したバリュー
チェーン戦略に基づくソリューションビジネスの規模拡大といった課題を認識しております。
3.当社グループが直面する経営課題の克服及び当社の企業価値向上のために実施されたグリーン社
公開買付けの不成立について
上記「2.当社グループが直面する経営課題について」のとおり、当社グループの各事業は、多岐
に亘り異なる経営課題に直面しているところ、2020 年 11 月5日付で公表いたしました「MBO の実施
及び応募の推奨並びに子会社の異動を伴う株式譲渡に関するお知らせ」
(その後に訂正及び変更され
た事項を含みます。以下「2020 年 11 月5日付プレスリリース」といいます。
)のとおり、当社の代
表取締役会長兼社長である山下哲生氏(以下「山下氏」といいます。
)は、かかる経営課題の克服及
び当社の企業価値向上のために、カーライル・グループ(以下「カーライル」といいます。)と協議
の上、カーライルをスポンサーとして当社のマネジメント・バイアウト(MBO)
(グリーン ホールデ
ィングス エルピー(以下「グリーン社」といいます。)による当社の普通株式(以下「当社株式」と
いいます。)の全てに対する公開買付け(以下「グリーン社公開買付け」といいます。)及びその後の
4
非公開化取引並びにその後の後続取引を指します。
)を実施することを決定いたしました。具体的に
は、山下氏は、カーライルをスポンサーとして当社のマネジメント・バイアウト(MBO)を行い、当
社の非公開化を実現しつつ、非公開化取引によりカーライルが取得した当社株式の全て及び現金を
対価として、対象子会社の株式の一部をグリーン社が取得することにより対象子会社を当社グルー
プの連結から外して独立した会社とした上で、カーライルが対象子会社の事業に注力してその経営
課題の解決等による企業価値の向上を目指すとともに、グリーン社が対象子会社の株式の一部を取
得することにより対象子会社を当社グループの連結から外す際に当社が当該取得の対価として受け
取る資金をもって、山下氏が JAG 継続事業の抜本的改革に注力する環境を整備するという方策が合
理性を有するという認識の下、グリーン社提案取引(2020 年 11 月5日付プレスリリースにおいて、
「本取引」として定義されたものを指します。以下同じです。
)を実行することにより、山下氏とカ
ーライルのパートナーシップの下、各事業におけるベストな経営体制及び経営資源を獲得し、各事
業ひいては当社の持続的成長を目指すことが最良の選択であると考えたとのことです。
これに対し、当社としても、2020 年 11 月5日付プレスリリースに記載のとおり、当社グループ全
体としての中長期的かつ持続的な発展のためには、グリーン社提案取引を通じて当社株式を非公開
化しつつ国際航業及び JAG 国際エナジーの独立性を高め、山下氏及びカーライルが相互の協力関係
の下で、各々の専門性や経営資源を最大限に活用して JAG 継続事業及び対象子会社の事業に注力す
るというパートナーシップ関係の構築が、
「安心で安全、そして持続可能なまちづくりで社会に貢献」
とのミッション及び「技術革新を先取りし金融との融合を通じて成長する社会企業グループ」との
ビジョンの実現、そして、それらを通じた安心・安全で持続可能なまちづくり「グリーン・コミュニ
ティの創造」との基本方針にとって最善であると考え、グリーン社公開買付けに賛同する意見を表
明するとともに、当社の株主の皆様に対して、グリーン社公開買付けへの応募を推奨しておりまし
た。
しかしながら、当社が 2021 年2月 10 日付で公表いたしました「グリーン ホールディングス エ
ルピーによる当社株式に対する公開買付けの結果及び子会社の異動を伴う株式譲渡の中止に関する
お知らせ」
(以下「グリーン社公開買付け結果プレスリリース」といいます。)に記載のとおり、グリ
ーン社公開買付けは 2021 年2月9日に不成立となりました。しかし、当社といたしましては、シテ
ィ社公開買付届出書(下記「5.シティ社公開買付けに対する意見表明(反対)について」において
定義されます。以下同じです。 に記載のとおり、
) 株式会社シティインデックスイレブンス(以下「シ
ティ社」といいます。
)が、グリーン社公開買付けの公開買付期間中に、グリーン社公開買付けにお
ける公開買付価格(1株当たり 1,200 円)を上回る公開買付価格(1株当たり 1,210 円)でシティ
社公開買付け(下記「5.シティ社公開買付けに対する意見表明(反対)について」において定義さ
れます。以下同じです。
)を開始し、グリーン社公開買付けが不成立となった 2021 年2月9日時点
においてシティ社公開買付けが継続されていたにもかかわらず、グリーン社公開買付け結果プレス
リリースに添付した「日本アジアグループ株式会社株式(証券コード:3751)に対する公開買付けの
結果に関するお知らせ」に記載のとおり、割合にして 37.87%(注)の株主の皆様がグリーン社公開
買付けに応募された事実から、当社のミッション及びビジョン並びに当社の経営課題の克服及び当
社の企業価値向上に向けた方針自体につきましては、引き続き当社の株主の皆様から広くご理解、
5
ご賛同いただけているものと考えております。
(注)グリーン社公開買付けにおける、①買付予定数(27,454,480 株)に対する、②応募株券等
の総数(10,398,045 株)の割合(小数点以下第三位を四捨五入。以下割合の計算において同じで
す。
)です。なお、グリーン社公開買付けにおける、①買付予定数から、山下氏、山下氏が支配す
る会社である JAPAN ASIA HOLDINGS LIMITED(以下「JA Holdings」といいます。)及び JA PARTNERS
LTD(以下、山下氏及び JA Holdings と併せて「山下氏等」といいます。)が所有している当社株式
の数並びにシティ社、シティ社の特別関係者である野村幸弘氏(以下「野村氏」といいます。)及
び同じく株式会社エスグラントコーポレーション(以下、シティ社及び野村氏と併せて「シティ社
ら」といいます。)が所有している当社株式の数を控除した総数(18,043,450 株)に対する、②応
募株券等の総数から、山下氏等が所有している当社株式の数を控除した総数(6,607,615 株)の割
合は 37.62%です。
4.今後の当社グループの経営方針及び当社グループが直面する経営課題に対する対応方針について
(1)当社の企業価値の向上に関する考え方及び各施策実施のための検討体制の構築について
① 当社の企業価値の向上に関する施策が求められる背景
上記「3.当社グループが直面する経営課題の克服及び当社の企業価値向上のために実施され
たグリーン社公開買付けの不成立について」のとおり、グリーン社公開買付けは不成立となった
ものの、当社グループの各事業が、多岐に亘り異なる経営課題に直面している状況に変わりはな
く、経営課題の克服及び当社の企業価値向上を実現するための施策の実施は、当社グループにと
って喫緊の課題となっております。
当社は、当社のミッション及びビジョンの実現に係る当社経営陣に対する当社の株主その他の
ステークホルダーの皆様のご支持及びご期待の下、引き続き、株主その他のステークホルダーの
皆様に対して、(i)当社のミッション及びビジョンを達成し、(ii)中長期での当社の企業価値の最
大化を図るとともに、(iii)上記「1.当社のミッション及びビジョン並びに当社の事業の基本方
針について」のとおり、世界規模の“グリーン・コミュニティ創造会社”として当社の有する重要
な社会的意義に応え、社会的利益を実現していく責務を負っていると考えております。当社は、
今後も、当社の株主その他のステークホルダーの皆様のご支持及びご期待に応えるべく、引き続
き当社のミッション及びビジョンの実現を追求する所存です。
以上の経緯から、当社は、マネジメント・バイアウト(MBO)以外の方法により、①当社グルー
プの各事業が、多岐に亘り異なる経営課題に直面している状況に対応し、上記ミッション及びビ
ジョンの実現、中長期での当社の企業価値の向上並びに社会的利益の実現を達成するとともに、
②当社のミッション及びビジョンをご支援いただいている当社の株主の皆様に対しても、可能な
限り早期に十分な株主還元を実施できるよう、当社の企業価値向上及び株主還元のための適切な
施策の検討を開始いたしました。
② 当社の企業価値の向上に関する基本的な考え方について
当社グループの企業理念は、
「社会資本の充実や地球環境を取り巻く問題の解決に携わる仕事を
6
したい」という想いを原点としております。この企業理念の実現に向けて、当社グループ各社が
有機的な事業連携を行うことで、当社グループならではの「技術と金融の融合力」を可能とし、事
業活動を通じた社会課題の解決によって、当社グループの持続的な成長を支えてきました。この
ような企業理念に基づく当社グループ各社の有機的な連携こそが、当社グループの競争力の源泉
であり、当社グループの社会的価値を基礎づける不可欠の要素であると考えております。当社グ
ループは、今後も長きにわたり、当社グループの株主、顧客、取引先及び従業員その他のステーク
ホルダーの皆様とともに、継続的に人々の暮らし・地域社会への貢献を推し進めることこそ、当
社グループの果たすべき社会的責務であり、ひいては当社グループの中長期的な企業価値向上に
つながるものであると確信しております。
上記の考えに基づき、当社は、
「安心で安全、そして持続可能なまちづくりで社会に貢献」との
ミッション及び「技術革新を先取りし金融との融合を通じて成長する社会企業グループ」とのビ
ジョンの実現を通じ、技術革新が開く新たな社会、市場を先見し、その革新を支援、加速すること
によって、地球と地域の持続性を高めることを当社グループの責務と位置づけ、安心・安全で持
続可能なまちづくり「グリーン・コミュニティの創造」を基本方針として事業を進め、
「世界規模
の“グリーン・コミュニティ創造会社”として SDGs 行動の強化を通じて企業価値向上と社会課題
の解決を実現」を中期的な経営目標と定めております。さらに、今日では、気候変動対策が叫ば
れ、SDGs 達成への貢献が企業の社会的意義となり、企業価値の大きな要素を占めると広く言われ
ております。当社は、国連グローバル・コンパクトを通じ、民間企業としてその策定段階から関わ
ってきた大変稀有な日本企業です。このような SDGs 行動に率先して取り組むことが、社会的信頼
の獲得と将来の事業拡大につながると考え、
「気候変動対策と SDGs 行動に向けた中長期目標」を
定め取り組んでまいりました。
当社は、上記経営目標の実現に向け、収益性(ROE
(Return on Equity、自己資本当期純利益率))
の向上、中長期的な EPS(Earnings Per Share、1株当たり当期純利益)の成長を目指すのみでな
く、当社のミッション及びビジョンに沿った社会問題解決能力の向上にも努め、当社の株主の皆
様に加え、顧客、取引先及び従業員や地域社会の方々も含む全てのステークホルダーの皆様の利
益に資するべく、企業価値の最大化に努める経営を引き続き心掛けてまいります。
「社会資本の充実や地球環境を取り巻く問題の解決に携わる仕事をしたい」との当初の想いに
立ち戻ると、当社グループの企業価値の向上においては、広く人々・地域社会から信頼される企
業として永続的な成長と発展を目指すことが必要です。そのためには、今後も長きにわたり、当
社グループの株主、顧客、取引先及び従業員並びに金融機関、地域社会等の多くのステークホル
ダーの皆様からのご理解と信頼を継続して得ていくことこそが、当社の企業価値の向上にとって
も不可欠な要素であると認識しております。
③ 当社の企業価値の向上に関する具体的な施策
当社は、当社のステークホルダー価値としての企業価値の向上を実現するためには、当社グル
ープの各事業の継続的な成長により、上記「2.当社グループが直面する経営課題について」の経
営課題を解決することが必須と考えております。しかし、当社グループの経営資源が限られてい
る中、これまでどおりのグループ体制の下で、これらの経営課題に正面から取り組むのは困難で
7
あると判断せざるを得ません。特に、JAG 国際エナジー及び国際航業においては、事業成長の機会
が豊富に存在し、成長機会の獲得には継続的な資金投入の必要があるにもかかわらず、当社の財
務状況に鑑みると、金融機関から更なる資金調達を受けることは困難です。また、JAG 継続事業の
抜本的構造改革のためにも一定の資金確保が必要な状況です。
このような経営課題を踏まえ、当社は、第三者とのパートナーシップを含め、各事業における
最適な資本構成・経営体制及び経営資源の獲得の可能性を追求し、事業の持続的成長を目指して
いく方針です。
具体的には、対象子会社の株式の大部分を新たなパートナーへ売却することで、対象子会社の
企業価値を最大化し、当社としても、対象子会社の潜在価値を最大限顕在化した上で享受するこ
とを目指します。一方で、対象子会社と JAG 継続事業との有機的な連携は継続し、対象子会社と
当社グループの各事業の双方の更なる事業成長に繋げていくことを考えております。また、対象
子会社の株式の売却により得られた資金によって、ザクティを含む JAG 継続事業の構造改革及び
発展に必要な財務基盤を確保した上で、これまで当社のミッション及びビジョンをご支援いただ
いてきた株主の皆様に対して、大幅な株主還元を実施することを予定しております。当該株主還
元に係る具体的な方針については、対象子会社の株式の売却が決定した時点で、速やかに開示す
る予定です。
上記のとおり、当社は、対象子会社の売却を、単なる現金化を目的とした事業売却ではなく、対
象子会社及び JAG 継続事業の双方の事業成長並びに株主の皆様への還元の実施を目的とした、戦
略的な売却と位置づけております。当社は、対象子会社の株式の戦略的売却とその後の新たなパ
ートナーシップの構築、JAG 継続事業の構造改革に向けた基盤の強化、株主の皆様への大幅な株主
還元の実施を、 継続事業の飛躍的な成長に向けた
JAG 「第二の創業」の開始と位置づけております。
当社は、引き続き現経営陣のリーダーシップの下、かかる「第二の創業」に取り組み、当社グルー
プのステークホルダー価値としての企業価値の向上を目指していく方針です。
④ 企業価値特別委員会の設置について
当社は、2021 年2月 19 日開催の当社取締役会において、当社の企業価値の向上及び最大化並び
に株主還元に向けた施策の本格的な検討をするにあたり、当社の意思決定の公正性を担保するこ
とを目的として、企業価値特別委員会(企業価値特別委員会は、当社、シティ社ら及び山下氏等並
びに企業価値諮問事項(以下に定義されます。)に係る各施策の成否から独立した、外部の有識者
である西田章氏(西田法律事務所 弁護士)、田辺孝二氏(当社社外取締役、独立役員)、八杉哲氏
(当社社外取締役、独立役員)
、小林一男氏(当社社外監査役、独立役員)及び吉本清志氏(当社
社外監査役、独立役員)の5名から構成されます。なお、企業価値特別委員会の委員の報酬は固定
金額であり、成功報酬は採用しておりません。)を設置し、企業価値特別委員会に対して、当社の
企業価値の向上に資するかどうかの見地からの、対象子会社の株式の大部分の売却の是非、対象
子会社の株式の大部分の売却後の JAG 継続事業の経営方針及び株主還元の是非(以下、総称して
「企業価値諮問事項」といいます。なお、企業価値特別委員会による企業価値諮問事項に関する
答申の概要については、下記「(5)企業価値特別委員会による審議及び答申の概要について」を
ご参照ください。
)についての検討を諮問し、これらの点についての答申を当社取締役会に提出す
8
ることを嘱託いたしました。また、併せて、当社取締役会は、企業価値諮問事項に関する当社取締
役会の意思決定は、上記嘱託に基づく企業価値特別委員会の判断内容を最大限尊重して行われる
こと(企業価値特別委員会が、企業価値諮問事項に関して実施すべきではない又は実施すること
を推奨しない旨の答申した場合には、それに反する取締役会決議を行わないことを含みます。
)を
決議するとともに、企業価値特別委員会に対し、企業価値諮問事項に関する答申を行うに際し、
必要に応じ、自らのファイナンシャル・アドバイザー及びリーガル・アドバイザー等を選任する
こと(この場合の費用は当社が負担するものとされています。
)を決議いたしました。
これを受け、企業価値特別委員会は、企業価値諮問事項について検討するにあたり、当社のフ
ァイナンシャル・アドバイザーである株式会社プルータス・コンサルティング及び GCA アドバイ
ザーズ株式会社並びにリーガル・アドバイザーであるアンダーソン・毛利・友常法律事務所外国
法共同事業とは別に、独自に、当社、シティ社ら及び山下氏等並びに企業価値諮問事項に係る各
施策の成否から独立したリーガル・アドバイザーである柴田・鈴木・中田法律事務所を選任し、そ
の助言を受けております。なお、柴田・鈴木・中田法律事務所の報酬は、企業価値諮問事項に係る
各施策の成否にかかわらず、固定報酬又は稼働時間に時間単位を乗じて算出するものとされてお
り、成功報酬は含まれておりません。
(2)今後の当社グループの経営方針について
当社は、
「安心で安全、そして持続可能なまちづくりで社会に貢献」とのミッション及び「技術革
新を先取りし金融との融合を通じて成長する社会企業グループ」とのビジョンの実現を通じ、技術
革新が開く新たな社会、市場を先見し、その革新を支援、加速することによって、地球と地域の持続
性を高めることを当社グループの責務と位置づけ、安心・安全で持続可能なまちづくり「グリーン・
コミュニティの創造」との基本方針を堅持し、活動してまいります。
その上で、対象子会社の株式の大部分を売却した後の当社を「第二創業期」と捉え、現経営陣のリ
ーダーシップの下、当社の株主の皆様に加え、顧客、取引先及び従業員や地域社会の方々も含む全
てのステークホルダーの皆様の利益に資するべく、ステークホルダー価値としての企業価値の最大
化を図りつつ、地球的課題に挑む「グリーン・コミュニティ創造」会社を目指します。従来から掲げ
ていた当社の3つのセグメント(森林活性化事業、空間情報事業及びグリーン・エネルギー事業)に
ついては、さらに一歩進めて、
「森林活性化事業」を「スマート・フォレスト事業」として当社のコ
ア事業と位置づけた上で、
「空間情報事業」を「イメージ・センシング事業」とし、
「スマート・フォ
レスト事業」とともに育成、成長させる社会価値追求型の新たなベンチャー事業と位置づけます。
具体的には、「スマート・フォレスト事業」においては、徳島県の社有林(約 1,000 ヘクタール)
を活用し、地元での施業・製材会社と提携しながら、スマート林業施業と木材製品サプライチェー
ン形成を急ぐとともに、自伐林業及び地域での川中/川下でのネットワーキングの強化を通じて、地
域創生及び永続林業の在り方を追求、推進し、日本における持続可能な新たな森林業ビジネス創り
に挑戦してまいります。
また、
「イメージ・センシング事業」においては、長年培ったザクティの先進技術を活用し、Society
5.0(サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、
経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会を指し、内閣府の策定した「第5期科学技
術基本計画」において定義されています。
)におけるデジタルトランスフォーメンション社会の早期
9
実現のため、社会インフラ及び産業基盤向けイメージセンシングソリューションサービスの提供を
目指します。また、国際航業とは、インフラ点検機器・エンジニアリングサービス分野での製品サー
ビスの共同開発に引き続き取り組んでまいります。
「グリーン・エネルギー事業」においては、小水力、小型バイオマス発電 IPP 事業に特化し、案件
獲得とそのビジネス化及び小水力発電設備機器の販売に努めます。500KW を超える大型案件につき
ましては、JAG 国際エナジーの知見を活用して進めていく予定です。
また、株式の大部分を新たなパートナーへ売却することを想定している JAG 国際エナジー及び国
際航業についても、両社が JAG 継続事業と事業上のシナジーを有していることに鑑み、当社が持分
の一部を維持し、新パートナーとの協業を追求することで、JAG 国際エナジー及び国際航業の事業価
値をともに高めていく方針です。また、当社が JAG 国際エナジー及び国際航業の持分の一部を所有
することで、両社と JAG 継続事業とのシナジーが継続的に創出され、対象子会社の企業価値向上及
び当社持分の価値向上だけでなく、JAG 継続事業のステークホルダー価値としての企業価値も高ま
ると考えております。
これらは、当社が、マネジメント・バイアウト(MBO)以外の方法により、①当社のミッション及
びビジョンの実現、中長期での当社の企業価値の向上並びに当社グループ事業の重要な社会的意義
に応えた社会的利益の実現を達成するとともに、②当社のミッション及びビジョンをご支援いただ
いている当社の株主の皆様に対し、十分な株主還元の実施を実現できるとの検討結果から導かれた、
当社の新たな経営方針でございます。
(3)対象子会社の株式の大部分の売却について
① JAG 国際エナジーについて
ア JAG 国際エナジーの株式を早期に売却することの意義
当社は、上記「2.当社グループが直面する経営課題について」のとおり、JAG 国際エナジー
については、再生可能エネルギー需要の高まりとともに、今後成長が見込まれるバイオマス発
電、陸上・洋上風力発電等、成長資金を投下できる数多くの事業機会が存在しており、積極的
な投資の必要性を認識しています。しかしながら、当社は近年負債比率が高止まりしている状
態が続き、また、過去の企業買収等を通じて有利子負債残高が増加傾向にある中で、旺盛な資
金需要に対応することが困難となっており、当社の下での JAG 国際エナジーの適切な企業価値
の向上に課題を認識しております。
グリーン社公開買付けは不成立となったものの、当社は、 国際エナジーの株式について、
JAG
その成長資金の旺盛な需要を満たせる資金力があり、案件と人材のソーシングに資する者に売
却することが、JAG 国際エナジーにおける当該課題の解決、ひいては JAG 国際エナジーの事業
価値の向上及び最大化に資すると考えております。
また、上記のとおり再生可能エネルギー事業については、成長資金を投下できる数多くの事
業機会が存在しているものの、グリーン社公開買付けが不成立となったことにより、グリーン
社に対する早期の株式売却が実現できず、その案件獲得、開発に支障が既に生じています(グ
リーン社提案取引において想定されていたスケジュールでは、JAG 国際エナジーの株式のグリ
ーン社への譲渡は、早ければ 2021 年1月下旬には完了する予定でした。。すなわち、JAG 国際
)
10
エナジーは、その成長資金の旺盛な需要を満たせる資金力のある者の下で企業価値の向上に向
けた活動を適時に実施することが阻害されており、多大な機会損失に直面している状況にある
といえます。したがいまして、当社は、可能な限り速やかに、JAG 国際エナジーの経営課題に対
処でき、かつ、当社の企業理念に賛同いただけ、当社とパートナーシップを築いていただける
者を選定し、入札形式にて、JAG 国際エナジーの株式の大部分の売却を実行し、売却先の下で十
分な成長資金が投下される状況を実現することが望ましいと考えています。
イ 当社が JAG 国際エナジーの株主として残ることの意義
当社は、国内の事業会社としては初めて、2009 年に、FIT 制度の開始に先駆け、大規模太陽
光発電(メガソーラー)事業に参入し、さらに 2011 年には宮崎県都農町に国内初のメガソーラ
ー発電所「宮崎ソーラーウェイ(1MW)」を竣工するなど、再生可能エネルギー業界におけるパ
イオニアとして、欧州4ヶ国及び国内における全国各地の多数のメガソーラー発電所の開発に
より蓄積したノウハウを活かし、トータルなサービスを提供してきました。また、官公庁・都
道府県・市区町村とのネットワーク等の活用等が、当社グループの他事業(ザクティ等の JAG 継
続事業や国際航業)の成長に貢献してきた実績もあります。
このように、JAG 国際エナジーにおいては、これまでと同様に、日本国内を中心に、先見性を
もって、再生可能エネルギーに取り組んできた当社の知見・ノウハウを活かした更なる事業展
開が可能であることや、当社グループの各事業とも有機的な連携を継続することが、 国際エ
JAG
ナジーの更なる事業成長につながるものと確信しております。このようなパートナーシップを
効果的に発揮していくためには、当社が JAG 国際エナジーの株主としてその株式の一部を継続
所有することで、新パートナーとの協働をさらに加速していくことが必要であると考えており
ます。
② 国際航業について
ア 国際航業の株式を早期に売却することの意義
当社は、上記「2.当社グループが直面する経営課題について」のとおり、国際航業について
は、現状は堅調に収益を積み増す一方で、日々変容を遂げる社会課題に対して、より付加価値
の高いソリューションを提供するべく、その強みの源泉である技術力や人財力をさらに磨き上
げることで、中長期的な成長のための事業基盤を整える必要性を認識しております。そのため
に、まずは足元の収益性の向上により新たな経営資源を獲得し、それらを技術力の向上や人財
の育成・採用等に循環させていくことが必要である一方、当社グループが様々な経営課題に直
面している中、当社グループの経営課題を全方位的に解決するためには経営資源が足りず、国
際航業が抱えている課題解決に対しても、十分なガバナンスや改革の推進力、潤沢な資本力が
不足しており、現状の経営体制及び資本構成の下での国際航業の適切な企業価値の向上は困難
であると認識しております。また、国土強靭化計画に基づく公共投資の増加等により、国際航
業が属する業界全体が堅調な成長を遂げている中、先行投資に加え、人材の流動性の高まりに
伴う十分な従業員への還元等が必要になっている一方で、当社グループは、その構成上、全体
最適の観点から、収益性の高いグループ会社で得た利益を、グループ内の様々な成長分野への
11
投資に活用し、グループ全体の競争力を高めていく必要があります。当社グループが「グリー
ン・コミュニティの創造」を軸として複数の事業分野を持つがゆえに、国際航業のみに関する
先行投資及び従業員還元等を行うことができず、結果として、国際航業の競争力が相対的に低
下している現状を認識しております。
グリーン社公開買付けが不成立となったことにより、グリーン社に対する早期の国際航業の
株式売却が実現できなかったことから、国際航業の課題解決に支障が生じています(グリーン
社提案取引において想定されていたスケジュールでは、国際航業の株式のグリーン社への譲渡
は、早ければ 2021 年1月下旬には完了する予定でした。。すなわち、国際航業も、JAG 国際エ
)
ナジーと同様に、新たな資本構成の下で企業価値の向上に向けた活動を実施することが阻害さ
れており、業界全体の人材の流動性が高まっている状況において、企業としての方向性が見え
ない中での従業員の流出も懸念され、多大な機会損失に直面している状況にあるといえます。
さらに、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の深化の下、国際航業が中長期的に成長
していくためには、従来の公共事業中心の顧客基盤への注力だけでなく、民間事業への進出を
強化する必要があり、そのためには、技術革新を積極的に取り込むための事業基盤を整備する
必要がある中、当社グループの経営資源の分散に起因して、空間情報事業への投資等が停滞を
していることもあり、新しいパートナーの下、企業価値の向上を目指す必要があると判断いた
しました。
以上のとおり、グリーン社公開買付けは不成立となったものの、当社は、国際航業の株式の
大部分について、その中長期的な成長のための事業基盤を整えることが可能な者、かつ、当社
の企業理念に賛同いただけ、当社とパートナーシップを築いていただける者を選定し、入札形
式にて売却することが、国際航業における当該課題の解決ひいては国際航業の事業価値の向上
及び最大化に資すると考えており、国際航業の株式の大部分の売却を行うことが望ましいと考
えています。
イ 当社が国際航業の株主として残ることの意義
国際航業については、社会的課題として、省人化やそれに応える DX(デジタル・トランスフ
ォーメーション)化が進展する中、空間情報事業に対する社会の要請として、従来の測量をベ
ースとした事業に加え、国際航業に蓄積されたデータやその解析を通じたソリューションの提
供が求められてきております。そのような事業環境の下、JAG 継続事業においては、ザクティに
関しては、国土強靭化や社会インフラの老朽化問題への対応につき、機械の目を活用した遠隔
リアルタイム監視の導入等やザクティが取り組んでいる最先端のドローン技術を活用した測量
事業の進化、JAG 継続事業の森林活性化事業でも国際航業の持つ測量を中心とした空間情報技
術を必要としています。
このように、国際航業は、JAG 継続事業と事業上の関連性が強く、当社グループの各事業とも
有機的な連携を継続することが、JAG 継続事業及び国際航業の更なる事業成長につながるもの
と確信しております。このようなパートナーシップを効果的に発揮していくためには、当社が
国際航業の株主としてその株式の一部を継続所有することで、新パートナーとの協働をさらに
加速していくことが必要であると考えております。
12
(4)剰余金の配当(特別配当)の実施及び当社の今後の株主還元方針について
① 剰余金の配当(特別配当)について
当社は、2021 年3月1日開催の当社取締役会において、2021 年4月下旬を目途に開催される予
定の臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といいます。
)において株主の皆様のご承認をいただ
くことを条件として、基準日(2021 年3月 18 日)時点の当社の株主の皆様に対し当社株式1株当
たり 300 円の剰余金の配当(以下「本特別配当」といいます。
)を行うことを決定するとともに、
本特別配当に係る基準日設定及び本臨時株主総会招集のための基準日設定について決議いたしま
した。また、これに併せて、当該取締役会において、これまで当社のミッション及びビジョンをご
支援いただいてきた株主の皆様に対する今後の大幅な株主還元の実施に係る方針についても決議
いたしました。詳細につきましては、当社が 2021 年3月1日付で公表いたしました「剰余金の配
当(特別配当)
、剰余金の配当(特別配当)及び臨時株主総会招集に係る基準日設定並びに株主還
元方針に関するお知らせ」をご参照ください。
② 本特別配当の理由及び今後の株主還元方針について
上記「3.当社グループが直面する経営課題の克服及び当社の企業価値向上のために実施され
たグリーン社公開買付けの不成立について」のとおり、グリーン社公開買付けは不成立となった
ものの、当社は、引き続き、株主を含む当社の全てのステークホルダーの皆様に対して、上記ミッ
ション及びビジョンの実現を果たす責務があるものと考えています。
その一方、下記「5.シティ社公開買付けに対する意見表明(反対)について」のとおり、当社
は、現在継続中であるシティ社公開買付けについて、当社の企業価値を向上させるものではなく、
当社の株主、顧客、取引先及び従業員その他のステークホルダーの皆様に対しても悪影響を及ぼ
す可能性が高いものと考え、反対意見を表明しております。
上記のとおりグリーン社公開買付けが不成立となったこと、そして、シティ社公開買付けが当
社の企業価値を向上させるものではなく、当社の株主、顧客、取引先及び従業員その他のステー
クホルダーの皆様に対しても悪影響を及ぼす可能性が高いものと考えられることを受け、当社は、
当社株式の上場を維持したまま、JAG 継続事業の構造改革を通じた飛躍的な成長に取り組み、上記
ミッション及びビジョンの実現に向けた取組みを進めることにより、当社のステークホルダー価
値としての企業価値の向上を図ることを「第二の創業」と位置づけ、かかる「第二の創業」に際
し、大幅な株主還元を実現していくことを基本方針として再認識し、そのための適切な施策の実
施についての検討を開始いたしました。
本特別配当は、その施策のうちの一つであり、当社のミッション及びビジョンの実現に向けた
取組みを従前よりご支援いただいている当社の株主の皆様に対して、当社グループの事業の成長
に必要な経営資源についても考慮の上、当社グループの企業価値向上と両立する範囲において最
大限の株主還元を実施するとともに、今後も引き続きご支援をお願いさせていただくことを目的
としたものであります。
また、上記「
(3)対象子会社の株式の大部分の売却について」のとおり、グリーン社公開買付
けが不成立となったことを受け、当社は、当社株式の上場を維持したまま、入札形式により現金
を対価として対象子会社の株式の大部分を第三者に売却する予定です。当該対象子会社の株式の
大部分の売却が実行されれば、当社グループにおいてこれまで適正な評価がなされていなかった
13
事業価値の一部が顕在化されることとなる見込みです。本特別配当は、当該見込みも踏まえ、可
能な限り早期に、当社グループの企業価値向上と両立する範囲において最大限の株主還元を実施
することをも目的としております。
具体的には、現時点では、手元資金に加え、対象子会社の株式の売却による対価等を原資とし、
企業価値向上の施策の実行に必要な JAG 継続事業の再建・成長資金、一部の有利子負債の弁済資
金等を除き、その全てを株主の皆様へ還元させていただくことを考えております。かかる株主還
元は、対象子会社の株式の売却後における当社の経営方針に対する、当社の取引金融機関のご理
解及びご支援によって可能となるものであり、シティ社公開買付けが成立した場合において、同
様の株主還元が実施できるとは限りません。
当社の「第二の創業」にあたっての大幅な株主還元を実施した後においては、短期的には、ステ
ークホルダー価値としての企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益の向上に向けた JAG 継続事
業の構造改革及び成長のための投資を優先させていただく方針ですが、現経営陣のリーダーシッ
プの下、可能な限り早期に、上場会社として安定的な株主還元を継続していけるよう取り組んで
まいります。
当社は、今後も適正な金額の自己資本と不採算事業の再生を含む継続企業としての責任を持っ
た経営資本を保持した上で、負債と資本のベストミックスを用いた資本構成の見直しを行い、財
務戦略の観点からステークホルダー価値としての企業価値を向上させるべく、中長期にわたり、
株主還元を継続的に実行していく方針です。
(5)企業価値特別委員会による審議及び答申の概要について
企業価値特別委員会は、2021 年2月 23 日から 2021 年3月1日までの間に合計6回、合計9時間
にわたって開催され、企業価値諮問事項についての協議及び検討を慎重に行いました(加えて、会
合の間においても、電子メールを通じた協議及び検討が断続的に行われました。。また、具体的な
)
審議内容として、企業価値特別委員会は、山下氏、当社の取締役である呉文繍氏及び当社の取締役
である西田信一氏との間で、企業価値諮問事項に係る各施策の内容についてインタビュー形式によ
り質疑応答を実施いたしました。そして、企業価値特別委員会は、当社取締役会に対し、2021 年3
月1日付で、(i)対象子会社の株式の大部分の売却(以下「対象子会社売却」といいます。)の方針
は、当社グループの企業価値の向上の観点から相当である、(ii)JAG 継続事業の経営方針は、当社グ
ループの企業価値の向上の観点から相当である、(iii)特別配当を含む株主還元(以下「本株主還元」
といいます。 の方針は、
) 当社グループの企業価値の向上の観点から相当である旨の答申書(以下「本
答申書」といいます。
)を提出いたしました。本答申書の概要は以下のとおりです。
(i)対象子会社売却の是非について
ア 対象子会社売却の必要性
以下のとおり、対象子会社売却は当社グループの企業価値の向上に資するものであり、対象
子会社売却は必要性が認められる。
① 当社グループの経営資源に限界があること、対象子会社に豊富な事業成長の機会が存在
するものの、成長機会の獲得には継続的な経営資源・資金の投入の必要があり、当社に
14
は対象子会社の更なる成長に必要な経営資源を投入する十分な余力を有していないこ
と、JAG 継続事業の成長のためにも一定の資金確保が必要であることといった事情は、
対象子会社売却の必要性を基礎付けるものとして合理的である。
② 当社グループの足元の状況に鑑みれば、成長余力と資金需要の大きい対象子会社にとっ
て、当社は経済産業省が 2020 年 7 月 31 日に公開した「事業再編実務指針~事業ポート
フォリオと組織の変革に向けて~(事業再編ガイドライン)」のいう「ベストオーナー」
とは言えず、適切なパートナーにこれらを売却することが、当社にとっては限定された
経営資源を JAG 継続事業に集中することができ、対象子会社にとっても成長資金を得る
ことが期待でき、適切な事業ポートフォリオの観点から望ましい。
イ 対象子会社売却の許容性
対象子会社売却により、対象子会社と JAG 継続事業のシナジーが喪失又は減少することにな
ると、かえって当社グループの企業価値が低下するおそれがあるが、当社としては、対象子会
社売却後も対象子会社の株主としてその株式の一部を継続所有することにより、新パートナー
との協働を行うことを予定しており、現在のシナジーが損なわれることは可及的に防止される
ことになるものといえ、対象子会社売却には許容性が認められる。
ウ 対象子会社売却の相当性
入札形式による対象子会社売却により当社は複数の買い手候補者を競わせることができ、売
却対価の最大化を目指すことが可能となり、JAG 継続事業の成長に必要な財務基盤を確保する
とともに、当社の財務体質の健全化に使用する資金を確保することも可能となるため、対象子
会社売却は相当性を有するものである。
エ 結論
以上、アからウの諸要素を総合的に考慮すると、対象子会社売却の方針は相当であり、その
判断に係る手続の公正性を疑わせる事情も認められない。
(ii)対象子会社売却後の JAG 継続事業の経営方針について
ア 企業価値の基本的な考え方の評価
当社が、当社の株主、顧客、取引先及び役職員その他の全てのステークホルダーにとっての
価値の総和である「ステークホルダー価値」を企業価値と位置づけていることについては、株
主のみならず顧客、取引先及び従業員等のステークホルダーの利益を重視すること、また、他
社に例を見ない当社による SDGs 行動の率先した取組みを実践することを通じて、中長期的な当
社グループの企業価値ひいては株主価値の向上に資するものであると考えており、特に不合理
な点は認められない。
イ 経営方針及び上場を維持することの評価
グリーン社公開買付けによるマネジメント・バイアウト(MBO)が不成立となった結果、当社
株式の上場を維持した状態で各施策を遂行することが相当であるか問題となる。しかし、以下
の事情から、当社株式の上場を維持した上で各施策を遂行することは不合理ではなく、当社グ
ループ企業価値の向上に資するものと考える。
① 上記アのとおり、
「ステークホルダー価値」は、中長期的には、企業価値ひいては株主価
値の向上に資するものと認められること
15
② 当社の経営方針及びこれを前提とする事業計画の内容は、マネジメント バイアウト
・ (MBO)
により非公開化するのでなければ実現が不可能であるとまでは言えず、株主の理解、支
持を得た上で、上場を維持して株主とともに企業価値のさらなる向上を目指すことは不
合理であるとは言えないこと。
③ 株主に対し、特別配当を含む株主還元を実施し、株主の投下資本回収手段を確保するの
であれば、株主が今後の当社グループの経営方針に反対であっても、本株主還元により
適切に投下資本を回収した上で、株式を売却することが可能であるから、上場維持は、
当社の株主の保護の観点からも相当性を有するものであること。
④ 上場を維持することは、上場維持に伴うコストが発生する一方、当社の経営陣が上場に
より形成される株価を上昇させるように努めるなど、メリットが認められること。
ウ 結論
以上、ア及びイの諸要素を総合的に考慮すると、JAG 継続事業の経営方針は相当であり、その
判断に係る手続の公正性を疑わせる事情も認められない。
(iii)株主還元の是非について
ア 本株主還元の必要性
企業価値特別委員会としては、次の理由から、本特別配当を含む本株主還元を行う必要性が
あるものと考える。
① グリーン社公開買付けが不成立となったことにより、グリーン社公開買付けへの応募に
より投下資本回収を期待していた株主は、当社株式の売却益を得られなくなっており、
当社としてはこれらの株主の売却への合理的な期待を保護する必要性が高い。
② 企業価値特別委員会としては、当社の株主には、対象子会社の事業に着目して当社株式
に投資した者が少なくないものと認識している。当社は当社グループの大きな割合を占
める対象子会社の売却を予定していることから、このような対象子会社の事業に着目し
ていた株主にとっては、出資の際に着目した事業の内容・株式取得の前提が大幅に変化
することになるため、当該株主の今後の当社株式の保有方針にかかわらず、当該株主に
対し、従来の事業構造に着目して投下した資本を回収する機会を提供する必要性がある。
③ 当社が、上場を維持しつつ、今後の JAG 継続事業の経営方針を着実に実現するためには、
当社株主が、当社のミッション・ビジョンに共感し、経営方針を理解し、支援している
ことが望ましい。そこで、本株主還元を実施すること、また、その前提として本特別配
当の承認決議等によって株主の意思を確認することによって、当社株主の JAG 継続事業
遂行への理解、支援を求める必要がある。
イ 本株主還元の相当性
本株主還元は以下のような配慮のもとに実施することが予定されており、本株主還元は相当
性が認められる。
① 当社は、対象子会社売却を予定しているため、手元資金に加え、対象子会社売却による
対価等を原資とすることができる。
② 本株主還元は、企業価値向上施策の実行に必要な JAG 継続事業の再建・成長資金、一部
の有利子負債の弁済資金を除いた上で行うことを予定している。
16
③ 本株主還元は、取引金融機関の理解及び支援を得ることを前提として行うことが予定さ
れている。
④ 本特別配当の実施は株主総会において株主の承認を得て行うことが前提とされているな
ど、本株主還元は株主の意思確認の下で実施する予定である。
⑤ 対象子会社売却が実行されれば、当社グループにおいてこれまで適正な評価がなされて
いなかった事業価値の一部が顕在化されることが見込まれる。配当額を当社株式1株当
たり 300 円とする本特別配当は、当該見込みも踏まえ、対象子会社売却に先立ち、可能
な限り早期に行うものである。
ウ 結論
以上、ア及びイの各要素を総合的に考慮すると、本株主還元の方針は相当であり、その判断
に係る手続の公正性を疑わせる事情も認められない。
(6)取締役全員の承認及び監査役全員の異議がない旨の意見について
当社は、2021 年3月1日開催の当社取締役会において、本答申書の内容も検討した上で、慎重に
審議及び検討を行い、審議及び決議に参加した当社の取締役の全員一致で、当社の企業価値の向上
及び株主還元に係る施策等として、当社グループの新たな経営方針を含む以下の事項について決議
いたしました。なお、当該取締役会には、当社の全ての監査役である監査役3名が出席し、出席した
監査役はいずれも上記決議を行うことに異議がない旨の意見を述べております。
i 対象子会社の株式の大部分の売却に係る方針
ii 対象子会社の株式の大部分の売却後の当社グループの経営方針
iii 剰余金の配当(特別配当)並びに剰余金の配当(特別配当)及び臨時株主総会招集に係る
基準日設定
iv これまで当社のミッション及びビジョンをご支援いただいてきた株主の皆様に対する今
後の大幅な株主還元の実施に係る方針
5.シティ社公開買付けに対する意見表明(反対)について
当社が 2021 年2月 19 日付で公表いたしました「株式会社シティインデックスイレブンスによる
当社株式に対する公開買付けに関する意見表明(反対)のお知らせ」
(その後に訂正及び追加された
事項を含みます。以下「当社意見表明プレスリリース(反対)」といいます。)に記載のとおり、当社
は 2021 年2月 19 日開催の当社取締役会において、2021 年2月5日より開始されたシティ社による
当社株式に対する公開買付け(以下「シティ社公開買付け」といいます。
)に対して反対の意見を表
明することを決議いたしました。当社がシティ社公開買付けに反対した主な理由は以下のとおりで
す(詳細につきましては、当社意見表明プレスリリース(反対)をご参照ください。。
)
① シティ社は、他社による公開買付けを阻止するためにシティ社公開買付けを開始しており、
当社グループの事業内容及び当社のステークホルダーの皆様の利益に対して関心がないこ
と
② シティ社からシティ社公開買付け後の当社グループの具体的な経営方針が一切示されてお
17
らず、むしろ、シティ社公開買付け後、シティ社が当社の経営権を取得した場合には、当社
の企業価値ないし株主の皆様の共同の利益を毀損する可能性が否定できないこと
③ シティ社が当社の経営権を取得することで既存の取引先との関係が悪化し、また、当社従業
員の離職や労働意欲の低下により、当社の経営に重大な支障をきたす可能性があること
④ 当社の少数株主はシティ社公開買付けに応募することが事実上強制される懸念があること、
及び、シティ社公開買付届出書記載のスクイーズ・アウト手続に係るシティ社の姿勢は、少
数株主の利益に対する配慮を欠くものであること
上記シティ社公開買付けに対して反対する理由のうち、
「①シティ社は、他社による公開買付けを
阻止するためにシティ社公開買付けを開始しており、当社グループの事業内容及び当社のステーク
ホルダーの皆様の利益に対して関心がないこと」に関し、当社の顧客、取引先及び従業員をはじめ
とする全てのステークホルダーの皆様には、当社のミッション及びビジョンの実現に向けて日々ご
協力、ご尽力いただいているところ、シティ社は、シティ社公開買付けに関してシティ社が 2021 年
2月5日に提出した公開買付届出書(以下「シティ社公開買付届出書」といいます。
)に記載のとお
り、グリーン社公開買付けの成立を阻止するという特異な目的の下に公開買付けを予告及び開始し
たこと、並びに、シティ社からシティ社公開買付け成立後における当社グループの具体的な経営方
針が全く示されていないことからすると、シティ社が、当社の事業内容ひいては当社のミッション
及びビジョンに一切関心を有しておらず、理解もしていないことは明らかです。
当社の事業内容ひいては当社のミッション及びビジョンに関心・理解を全く有していない者が当
社の経営権を取得した場合、当該ミッション及びビジョンがないがしろにされることが容易に想定
されます。そのような事態は、当社グループの顧客、取引先及び従業員をはじめとする全てのステ
ークホルダーの皆様、さらには当社の実現してきた社会的利益に対する重大な悪影響を与える可能
性があります。
また、上記シティ社公開買付けに対して反対する理由のうち、
「②シティ社からシティ社公開買付
け後の当社グループの具体的な経営方針が一切示されておらず、むしろ、シティ社公開買付け後、
シティ社が当社の経営権を取得した場合には、当社の企業価値ないし株主の皆様の共同の利益を毀
損する可能性が否定できないこと」に関し、シティ社は、シティ社公開買付け後において、当社の経
営権を取得することを目指している(少なくとも当社の経営権を取得する可能性がある)にもかか
わらず、シティ社公開買付け後における当社グループの具体的な経営方針を一切示しておらず、当
社の企業価値の向上に向けた意思を有していないことは明らかです(詳細につきましては、当社意
見表明プレスリリース(反対)をご参照ください。。そのため、シティ社が当社の経営権を取得した
)
場合には、当社の企業価値の向上に向けた適切な施策がなされることは到底期待できず、かえって、
当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を毀損する可能性は否定できないと考えられます。
以 上
18