3686 DLE 2019-05-10 16:00:00
改善計画・状況報告について [pdf]

                                           令和元年5月 10 日

各 位
                       会 社 名     株式会社ディー・エル・イー
                       代 表 者 名   代表取締役        椎木 隆太
                                 (コード番号:3686 東証第一部)
                       問 合 せ 先   執行役員         松本 博数
                                      (TEL.03-3221-3980)

               改善計画・状況報告について


Ⅰ.はじめに

 当社は、平成 30 年 12 月 27 日付「特設注意市場銘柄の指定及び上場契約違約金の徴求につ
いてのお知らせ」において開示しましたとおり、株式会社東京証券取引所より、当社の内部管
理体制について改善の必要性が高いと認められたため、平成 30 年 12 月 28 日付で「特設注意
市場銘柄」に指定されました。
 当社は、この事態を深く反省し、平成 30 年 11 月 27 日付「第三者委員会の調査報告書受領
及び調査結果に関するお知らせ」において開示した、第三者委員会の調査結果及び再発防止の
ための提言を受け、今般の不適切会計に対する当社としての原因分析を行い、再発防止策を取
り纏めましたのでお知らせいたします。
 当社としては、東京証券取引所マザーズへの新規上場(平成 26 年3月 26 日)及び市場第一
部への変更(平成 28 年4月 15 日)にかかる審査において、当社が申請書類に売上、利益及び
純資産を過大に計上するといった虚偽の内容を記載し、上場審査・変更審査の過程においても
虚偽の回答を行っていたことで、実態としては市場変更基準上の利益及び純資産の額を充足し
ていないにもかかわらず、利益及び純資産の額を過大に算出し、市場第一部への変更にかかる
申請を行って承認を得ていたことを重く受け止め、改善計画の履行に努めてまいります。
 株主の皆様をはじめ、関係者の皆様に多大なご迷惑とご心配をお掛けしておりますが、引き
続き格別のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。


Ⅱ.不適切な会計処理の発覚から平成 30 年 12 月3日付「過年度の有価証券報告書等及び決算
  短信等の訂正に関するお知らせ」を開示するまでの経緯(平成 30 年6月期の有価証券報
  告書及び令和元年6月期第1四半期報告書の提出遅延の経緯も含む)

 平成 30 年9月 14 日付「第三者委員会の設置及び第 17 期定時株主総会の延期のお知らせ」
において開示しましたとおり、当社は、平成 30 年9月3日に過去の映像制作事業の一部の案
件において売上計上の妥当性等に懸念がある旨の外部の第三者による指摘を受けました。当社
は、社内で改めて当該売上計上処理に関して検証を進めた結果、過年度に売上計上した案件の



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うち1件について、根拠資料が不十分のまま売上計上処理がなされており、平成 27 年6月期
第3四半期会計期間に計上されていた企画売上(※1)84,000 千円が、平成 27 年6月期第4四
半期会計期間以降に計上すべきものであった可能性及び平成 29 年6月期第3四半期会計期間
に、映像制作事業からの一部撤退に伴い計上した事業構造改善引当金 379,167 千円の計上時期
の妥当性に対する懸念等が判明いたしました。
 当社は、上記案件を含む類似的な案件の有無を調査するためには、過去5年間(平成 25 年
6月期~平成 29 年6月期)及び平成 30 年6月期の売上計上及び事業構造改善引当金の計上時
期の妥当性等について調査の必要性を認識し、当該調査に当たっては、より独立した立場から、
事実関係の解明、これらの会計処理の妥当性に関する検証、再発防止策に関する提言等が必要
であると判断し、外部の専門家による第三者委員会を平成 30 年9月 14 日に設置いたしました。
 また、第三者委員会の調査及び第三者委員会の調査結果に基づいた影響額を確定するための
当社における作業に相応の時間が必要であり、かつ、これらの結果を踏まえて過年度の決算の
訂正作業を行う必要があること及び有限責任あずさ監査法人による追加的な監査手続について
も相当な時間が必要であることから、監査報告書の受領は、法定提出期限に間に合わず、当該
有価証券報告書を提出期限までに提出することができないと判断し、平成 30 年6月期の有価
証券報告書の提出期限延長に関する申請を行いました。

 第三者委員会による調査対象期間内の調査対象者の電子メールを網羅的に調査している過程
で、上記の企画売上及び事業構造引当金に係る会計処理に加え、新たに以下の不適切な会計処
理が一部の案件において行われたことが窺われる電子メールが発見されました。

    平成 26 年6月期において、2,106 千円の費用を翌期に繰り延べ、また、9,000 千円の制作
     売上(※2)を前倒しして計上したことを疑わせる事実
    平成 28 年6月期において、外注先から受領した外注費用 3,230 千円の請求書には、当社
     が映像制作を受注していた案件の案件名が記載されていたにもかかわらず、当該外注費用
     を当社が別途映像制作を受注していた案件の外注費用に付け替えたことを疑わせる事実

    (※1) 企画売上
         企画とは、アニメーションや映画等の映像を制作するか否かを判断するため、原作者
       や監督等との交渉権獲得やビジネスモデル構築等を実施し、企画業務を実施する会社以
       外の他社が、当該アニメーションや映画等の映像を制作することに出資合意するまでの
       一連の行為をいいます。当社は、アニメーションや映画等の映像の企画業務が完了した
       時点で、当該業務に対する対価を企画売上として計上しております。

    (※2) 制作売上
         制作とは、アニメーションや映画等の映像を制作する行為をいいます。当社は、アニ
       メーションや映画等の映像制作が完了し、これを受注先に納品した時点で、当該業務に
       対する対価を制作売上として計上しております。

 第三者委員会の調査の過程で、それらの電子メールが発見されたことにより、新たに不適切
な会計処理の疑義が発覚したため、当初の調査範囲に追加して、当該不適切な会計処理の疑義
についての事実関係の解明及びその原因分析、並びにそれに類似する取引の有無の調査を行う
必要が生じ、以下について調査範囲を追加的に設定いたしました。




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   映像制作事業における制作売上の計上時期の妥当性の検証
   外注費を含む営業費用の計上の妥当性の検証
   映像制作事業以外のその他の事業における類似取引の有無の調査
   連結子会社における類似取引の有無の調査

 なお、調査範囲を追加的に設定したため、第三者委員会による調査、当社における決算作業、
有限責任あずさ監査法人の監査にさらなる時間を要することが見込まれたことから、延長申請
を行っていた平成 30 年6月期有価証券報告書の提出期限の再延長申請を行うとともに令和元
年6月期第1四半期報告書についても提出期限の延長申請を行いました。

 その後、第三者委員会による調査が終了したことから、当社は平成 30 年 11 月 27 日付で第
三者委員会から調査結果の報告を受けました。
 当社は、第三者委員会による調査結果を踏まえ、当社の映像制作事業における売上高の取消
し等の訂正を行うこととし、平成 30 年 12 月3日、平成 26 年6月期第3四半期から平成 29 年
6月期までの決算短信等の訂正を開示し、平成 30 年6月期決算短信及び令和元年6月期第1
四半期決算短信を開示(同期間に係る有価証券報告書及び四半期報告書を提出)いたしました。


Ⅲ.原因分析

 当社の映像制作事業における一部の案件において、会計監査人を誤認させるように虚偽の説
明や証憑の隠匿を行い、役務提供の実績やその合意があるかのような状況を作出して売上及び
利益を過大に計上するなどの不適切な会計処理が継続的に行われていたことが明らかになった
結果、当社が東京証券取引所マザーズへの新規上場直後に開示した平成 26 年6月期第3四半
期から平成 30 年6月期までの決算が虚偽であり、当社の内部管理体制について改善の必要性
が高いと株式会社東京証券取引所より認められたため、当社株式は、平成 30 年 12 月 28 日付
で「特設注意市場銘柄」に指定されました。
 当社は、この事態を深く反省し、第三者委員会の調査の結果判明した事実関係や問題点を踏
まえつつ、第三者委員会の調査結果のみに依拠することなく、これまでの経緯や背景を振り返
り、当社として改めて特設注意市場銘柄指定となった具体的な原因を以下のとおり分析いたし
ました。

1.職責意識及びコンプライアンス意識の欠如

(1) 代表取締役における適格性の欠如

     代表取締役は、プロデューサーとしての気質が強く、経営管理能力が上場企業の代表取締
    役として最低限備えるべき水準になく、経営管理の重要性についての認識も希薄であったた
    め、事業環境の変化及び上場というステージの変化に合わせて、より適切な経営管理体制を
    整備し、代表取締役として自らの経営管理能力を随時向上させていくという姿勢が欠如して
    おりました。
     このような代表取締役の姿勢は、上場企業の代表取締役として適格性が欠如していたと言
    わざるを得ないと認識しております。




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(2) 取締役・監査役における責任感の欠如

 ① 取締役における責任感の欠如
   CFO は、会計処理方針を見直すことはそれまでの当社の決算を否定することに繋がりか
 ねず、会計監査人から会計処理方針を見直すよう指導がない限り、過去からの会計処理方
 針を踏襲しようとする意識が過剰となっておりました。このため、CFO は、取引実態に応
 じた会計処理方針の適用に向けて企画売上の定義や計上要件を本質的に検討しようとして
 おらず、CFO に適正な会計報告を行うことに対する責任感が欠如していたと考えておりま
 す。
   このことが、経営管理部内において、過去からの会計処理方針を踏襲し、会計監査人が
 要請する取引証憑が揃っていれば適切な会計処理を行えているという意識の蔓延につなが
 ったものと考えております。
   さらに、代表取締役を含む CFO 以外の取締役は、適正な会計報告を行うことの責任は
 CFO だけにあると当事者意識を持つに至らず、自らの専門性を発揮しつつ、CFO の職務執行
 の状況を監督することによって適正な会計報告を実現していくという責任感が欠如してお
 りました。
   このため、過去からの会計方針を踏襲することをはじめとして、当社が策定した事業計
 画の内容、当社の事業計画達成に寄与した取引の内容について詳細を把握しようとせず、
 CFO の職務執行に対する牽制が機能しておりませんでした。

 ② 監査役における職責意識の欠如
   監査役の本来の機能は、取締役の職務執行の監査であり、監査役の職責の一つとして執
 行側によるリスク評価やリスク対応が適切に行われているかを監査することが考えられる
 ところ、当社の監査役には、その職責についての認識が不足しておりました。特に、公認
 会計士資格を有する監査役は、会計監査人の判断を過大に信頼していた結果、会計専門家
 として期待された役割を積極的に全うしようとする意欲が欠如しておりました。

(3) 従業員における不明確な使命・職責・能力要件

  当社グループの業容拡大に伴い、事業が複雑化するとともに人員が増加し組織が拡大する
 中で、当社は、従業員の使命・職責を明確にしきれておらず、また、従業員においても、
 各々が社内において課せられ、又は期待された使命・職責を理解できておりませんでした。
  加えて、役員・幹部管理職が備えるべき管理能力の判断基準や教育研修制度が整えられて
 おらず、また、社内の評価制度も明確に整えられていなかった結果、資質に欠ける役員・幹
 部管理職が登用され、管理・監督・監査といった各々の使命・職責を果たす上での緊張感が
 欠如していたと考えております。
  特に、経営管理部長は、会計処理方針を見直すことはそれまでの当社の決算を否定するこ
 とに繋がりかねず、会計監査人から会計処理方針を見直すよう指導がない限り、過去からの
 会計処理方針を踏襲しようとする意識から、企画売上の定義や計上要件を本質的に検討しよ
 うとせず、取引実態に応じた会計処理方針を適用できておりませんでした。また、その後任
 の経営管理部長も、一部取引に関する会計処理が不適切であると認識していたにもかかわら
 ず、上長である CFO の判断を優先したため 、これを是正しませんでした。
  このように経営管理部長に適正な会計報告を行うことに対する責任感が欠如していたこと
 が、経営管理部内において、過去からの会計処理方針を踏襲し、会計監査人が要請する取引



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 証憑が揃っていれば適切な会計処理を行えているという意識の蔓延につながったものと考え
 ております。

(4) コンプライアンス意識の欠如

 ① 代表取締役のコンプライアンス意識の欠如
   代表取締役は、コンプライアンスの重要性についての認識が希薄であったことから、会
 社の規模拡大や株式上場などによる経営環境、ステークホルダーの変化に応じて、上場企
 業を経営する立場としての社会的責任を明確に認識できておりませんでした。
   また、代表取締役は、社内のコンプライアンス意識の涵養を重視すべきであったにもか
 かわらず、そのような姿勢を社内に対して打ち出すことがなく、役職員各々の立場に応じ
 たコンプライアンス教育についても特段これを実施せず、積極的な役職員のコンプライア
 ンス醸成活動や社内のコンプライアンス意識の浸透状況の確認を行ってきませんでした。
   加えて、不定期にせよ従来開催していたコンプライアンス委員会も次第に開催されなく
 なったにもかかわらず、これを放置し、同委員会を再開する、もしくは、その機能を担う
 部門を新たに設置するなどといった措置を講じてきませんでした。

 ② CFO、事業(副)本部長、経営管理部長、経営管理部員のコンプライアンス意識の欠如
   CFO、事業(副)本部長、経営管理部長、経営管理部員を中心として、適正な会計報告より
 も事業計画の達成を優先することを許容する意識が広まっており、その背景として各人に
 コンプライアンス意識の欠如があったものと考えられます。
   特に、事業(副)本部長が、売上計上基準を拡大解釈し、当該スキームを用いて売上高を
 計上する等の不適切な行為に至ったことは、コンプライアンス意識が著しく欠如していた
 ことの現れであると認識しております。

 ③ その他役員及び幹部管理職のコンプライアンス意識の欠如
   その他役員及び幹部管理職は、コンプライアンス意識が欠如した社風に対して、代表取
 締役への提言や率先した改善活動を行なうことがなく、コンプライアンス意識が欠如した
 社風を改善するための積極的な措置を行ってきませんでした。

 ④ 従業員のコンプライアンス意識の欠如
   上記 1.(4)①から 1.(4)③に記載のとおり、役員、幹部管理職のコンプライアンス意識
 が欠如していた結果、当社ではコンプライアンス意識が欠如した社風が形成されていたも
 のと考えております。

(5) 事業部における会計リテラシーの欠如

 ① 事業部における会計リテラシーを備えることの重要性についての認識不足
   事業部の現場プロデューサーは、会計リテラシーを備えることの重要性についての認識
 が希薄であり、会計リテラシーが欠如していた結果、会計上は不適切と判断され得る取引
 においても、その問題点に気付くことができませんでした。
   その背景としては、事業部において、最低限把握しておくべき会計知識を明確化してお
 らず、会計リテラシーを備えることの重要性について認識する機会を提供しなかったこと
 が要因としてあったと認識しております。



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 ② 会計リテラシーの涵養に資する業務マニュアルの未整備
   当社では、案件ごとに役務提供完了の時点が異なり、画一的に売上計上の基準を定める
 ことが困難であったため、売上計上基準を定めた業務マニュアルを整備しておりませんで
 した。
   この結果、個々の担当者によって、売上計上基準の理解・解釈が異なる状況を招くとと
 もに、不適切な会計処理の疑いのある売上処理についても批判的に検討することができる
 環境を整備できておりませんでした。

2.未熟な経営管理体制と内部牽制機能の形骸化

(1) 未熟な経営管理体制

  当社の役員には、事業環境の変化及び上場というステージの変化に合わせて、経営管理体
 制を構築し、かつ、経営管理体制の運用状況を検証する必要があるという意識が希薄であっ
 たため、市場第一部の上場企業として最低限求められる水準の経営管理体制を構築するには
 至りませんでした。

(2) 取締役会における監督機能の不全

 ① 代表取締役の選定・解職基準、評価プロセスの不備
   当社は、創業者である椎木を代表取締役に選定することを慣例としており、取締役会で
 の代表取締役の選定・解職の基準及びプロセスを社内規程等で明確にしておりませんでし
 た。加えて、代表取締役の適格性を定期的に評価し、必要な場合には解職するためのプロ
 セスも整備されておらず、このことが、代表取締役による緊張感を持たない経営につなが
 ったものと認識しております。

 ② 取締役会の構成の問題
   当社は、会社の規模や実態を踏まえた取締役会の人員構成を検討できておらず、当社に
 必要な人材の選任ができておりませんでした。

 ③ 身の丈に合わない予算の策定
  当社は、予算策定にあたり、社内に意欲を促す目的で、当社の実力を超えた高い目標を
 予算として設定し、これを業績予想として開示していたことで、CFO 及び経営管理部が業
 績予想の下方修正を回避したいという誘因が生じ、不適切な会計処理を行う一因になった
 ものと認識しております。
  また、事業(副)本部長は、予算達成が難しいと見込まれる場合に、予算達成意識の希薄
 な事業部員による予算達成に向けた営業強化が難しい中で、経営管理部とともに安易な不
 適切な会計処理による予算達成に傾倒していったと考えております。
  これに対し、上記 1.(2)①のとおり、CFO 以外の取締役は、当社が策定した事業計画の
 内容、当社の事業計画達成に寄与した取引の内容について詳細を把握しようとせず、CFO
 の職務執行に対する牽制が機能しておりませんでした。

 ④ 取締役会への情報提供不足



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 ⅰ.不十分な付議基準・報告基準の検討
   当社においては、取締役会への付議基準・報告基準を取締役会規程、決裁権限表で規
  定するに当たって、当社の事業上の具体的なリスクを踏まえた検討が不十分でありまし
  た。
   このため、取締役会において、当社の事業にとっての具体的なリスクを踏まえた十分
  な審議がなされないケースが発生し、結果として、取締役会が十分に牽制機能を発揮で
  きておりませんでした。

 ⅱ.事前の情報提供の不足
   当社では、取締役会の開催までに、役員(特に社外役員)に対して事前検討を行うた
  めの十分な時間や情報が提供されていなかったと考えております。その結果、社外役員
  が、取締役会の場において、自らの専門性を発揮した確認を行い、意見を述べるなど、
  当社として期待した牽制機能を果たすことができませんでした。

(3) 監査役会における監査機能の不全

 ① 監査役会の構成の問題
   当社は、会社の規模や実態を踏まえた監査役会の人員構成を検討できておらず、当社に
 必要な人材の選任ができておりませんでした。

 ② 不適切な会計処理に対する希薄なリスク認識
   監査役会は、当社の取引において適時適切に契約書等を取り交わさない異常な実態を
 「業界慣行」として受容してしまい、そのような取引が常態的に行われていることによっ
 て生じ得るリスク(例えば、取引先との明確な合意がないまま企画売上を計上するリスク)
 を踏まえた監査役監査を行っておりませんでした。

 ③ 情報収集機能の不全
   監査役会は、業務上の課題や問題の検出を内部監査室との連携により補完することとし
 ながらも、内部監査の実施状況や実施結果について十分な評価を行っていなかったために、
 内部監査が計画どおり実施されていない状況を看過することとなり、結果として、業務上
 の問題や課題を適時かつ十分に収集できておりませんでした。

 ④ 会計監査人との連携不足
   監査役会は、会計監査人との情報共有を行っており、監査計画策定時や各決算期終了後
 に会計監査人との間で会計監査人からの報告を受けておりました。報告会においては、問
 題となった企画売上、制作売上等の売掛金の回収の遅れといった指摘と、かかる案件につ
 いて検討の結果今回は見送るが今後貸倒引当金の計上も検討する必要があるかもしれない
 といった見解が示されておりました。
   このような状況において、監査役会は、前提となる事業環境や取引実態を十分に理解し
 ないまま、会計監査人が各取引の売上計上を含む会計処理について適切であると判断して
 いるのだから問題ないだろうと会計監査人の判断を過大に信頼し、会計監査人との間で深
 度ある連携ができていなかったものと考えております。

(4) 内部監査機能の不全



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  代表取締役は、本来、業容拡大に伴い、事業が複雑化するとともに人員が増加し組織が拡
 大する中で、当社の内部管理体制が適切に整備・運用されているか直接検証することができ
 ない部分について、内部監査室をしてこれを検証することができるよう、内部監査室の体
 制・機能をより充実化させていく必要があったにもかかわらず、上記 1.(1)のとおり、適
 切な経営管理体制を構築することに対する責任感が欠如していたことから、これができてお
 りませんでした。
  また、内部監査室長は、経営管理部員が兼任しており、また、経営管理部に対する内部監
 査については、名目上は事業部員が内部監査担当者を兼務し実施していたものの、実態は内
 部監査室長が実施しており、内部監査の独立性が不十分となっておりました。
  さらに、内部監査室長は内部監査としての実務経験が少なく、内部監査制度及び実務に対
 する知識・経験が十分ではなく、内部監査室側から監査役会との連携に向けて働きかけるこ
 ともありませんでした。また、内部監査を担う人員を十分に確保していなかったこともあっ
 て、内部監査の実施頻度は組織変更時に実施する程度となり、深度ある内部監査も実施され
 ておりませんでした。

(5) 経営管理部への権限の集中

 ① 経営管理部及び事業部における業務分掌の理解不足
   経営管理部では、予実管理資料を作成する中で、事業部員の希薄な予算達成意識に危機
 感を抱き、売上計上漏れがないかといった事業部員へのフォローを進めるうちに、事業部
 員に代わって予算達成のために売上計上を推し進めるようになっておりました。
   他方、事業部員、特に制作を担う部署の従業員は、制作物の品質向上に注力するだけで、
 このような経営管理部が予算達成のために売上計上を推し進める状況に対して、何ら疑問
 を持つことがありませんでした。
   このようになったのは、それぞれが自らの所属する部門の職責定義及び業務分掌につい
 ての理解が不足していたことが要因と考えております。

 ② 経営管理部に対する監督・牽制機能の不全
   CFO は、経営管理部の業務執行状況を十分に監督しておりませんでした。
   また、上記 2.(3)③、2.(4)のとおり、監査役会の会計監査人に対する過大な信頼及び
 内部監査の機能不全があったことで、経営管理部の業務執行に対する十分な牽制が行えて
 おりませんでした。

 ③ スーパーユーザー権限(※3)の無秩序な付与と濫用
   当社は、限られた人員による迅速な決算作業を可能とするため、経営管理部員5名及び
 事業(副)本部長1名に対し、基幹システムにおける「スーパーユーザー権限」という広汎
 な権限を付与しており(事業(副)本部長は、事業(副)本部長就任以前、経営戦略統括本部
 部長として経営管理部を管掌していたため、スーパーユーザー権限を付与されておりまし
 た)、経営管理部員及び事業(副)本部長はスーパーユーザー権限の行使により、事業部側
 で行うべき業務を代行できる状況にありました。
   スーパーユーザー権限の濫用は適切な業務分掌による相互牽制機能を形骸化させ、ひい
 ては会計報告の適正性に疑義をもたらす要素となります。しかし、当社では、そのような
 スーパーユーザー権限の濫用に伴うリスクを理解せず、かつ、スーパーユーザー権限の利



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 用状況・履歴の記録ができず、事後的な検証ができない仕様となっているにもかかわらず、
 必要以上の人員に対してスーパーユーザー権限を付与していました。加えて、スーパーユ
 ーザー権限の行使に当たっての適切な運用ルールを定めていなかったことから、スーパー
 ユーザー権限を利用した基幹システムの操作が常態化しておりました。

 (※3) スーパーユーザー権限
      スーパーユーザー権限とは、基幹システム内において、本来の申請者に代わって入
    力・修正・申請を行える「代理申請権限」、本来の承認者に代わって承認を行える「代
    理承認権限」、他ユーザーのアクセス権限や申請・承認権限の自由な変更が行える「権
    限変更権限」の全ての権限を有するユーザー権限のことをいいます。)

(6) 内部通報制度の形骸化
    当社では、内部通報制度の存在自体は社内周知していたものの、不適切な会計処理の発覚
  までの間に内部通報が行われた実績はなかったことから、具体的にどのようなケースにおい
  て内部通報が求められるかが従業員の間で十分に理解されていなかったものと考えており、
  その周知方法や制度理解の深度は不十分であったと認識しております。
    このため、従業員に不適切行為への疑念を持った者がいたとしても、内部通報制度を利用
  して通報することに意識が向かわなかった可能性があると思われます。

3.業務プロセス及び決算・財務報告プロセスの不備

 当社では、曖昧な売上計上基準の下で売上を計上しており、業務を受注した後も合意書等
の契約書類が取り交わされない取引や、納品後に受領書を取引先から回収できない取引の存
在を「業界慣行」として受容してきたことから、販売プロセスを構成する一部のサブプロセ
スにおける業務手順及び内部統制を整備しておらず、本件で問題となった売上の計上を未然
に防止、又は、適時に発見できる体制となっておりませんでした。
 また、主としてリスク評価が十分でなかったことから、購買プロセスを構成する一部のサ
ブプロセスにおける業務手順及び内部統制を整備しておらず、本件で問題となった原価の付
替えや費用の繰延べを未然に防止、又は、適時に発見できる体制となっておりませんでした。
 その他、当社が意思決定権限を持つ製作委員会の会計処理に関するルール、製作委員会へ
拠出した出資金の計上及び評価に関するルールについても整備されておらず、また、子会社
決算の適正性を確保するための取組みや連結範囲の適正性を確保するための取組みにも不備
があったものと考えております。


Ⅳ.再発防止に向けた改善措置

 当社は、上記Ⅲ.にて記載した原因がこの度の事態を招いたことへの反省を踏まえて、改め
て本件問題に対する責任の所在を明確化し、全社的な意識と行動の改革に取り組むべく、経営
管理体制の強化や各種業務プロセスの不備の解消に向けた改善計画を策定し、順次施策の実行
に着手しております。
 なお、当社は、令和元年5月 10 日付「朝日放送グループホールディングス株式会社との資
本業務提携、第三者割当による新株式の発行並びに主要株主、主要株主である筆頭株主及び親
会社の異動に関するお知らせ」において開示しましたとおり、朝日放送グループホールディン



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グス株式会社(以下「朝日放送グループ HD」といいます。)と資本業務提携契約を締結し、
朝日放送グループ HD に対して第三者割当による新株式を発行することで、令和元年5月 29 日
をもって朝日放送グループ HD の子会社となる予定です。今後は、親会社となる朝日放送グル
ープ HD からのサポートを受けつつ、引き続き改善計画に則して各施策を実行に移してまいり
ます。また、各施策を継続的に実践しているか定期的に検証し、新たな問題点が認められれば
都度これを是正していけるよう、全社一丸となって、再発防止と更なる改善に取り組んでまい
ります。

1.責任の明確化

(1) 役員の辞任等

  当社取締役であった川島崇は、第三者委員会の調査結果を踏まえ、本件の不適切な会計処
 理が当社グループに与えた影響や経営責任を重く受け止め、辞任を申し出たため、当社は、
 平成 30 年 11 月 27 日付でこれを受理いたしました。
  加えて、今般の原因究明に向けた分析結果を踏まえ、代表取締役 椎木隆太は、本件が当
 社グループに与えた影響や経営責任を重く受け止め、再発防止に向けた各施策が着実に運用
 されるまでの道筋が立ち、後任の目処が立ったタイミングで代表権を返上する意向を示して
 おります。後任については、親会社となる朝日放送グループ HD より派遣を受ける取締役か
 ら選定する予定です。なお、椎木は代表権返上後も引き続き社内には留まり、当社の強みで
 あるプロデュース力の源泉として事業の立て直しに注力してまいります。
  また、常勤監査役 若林博史についても後任の目処が立ったタイミングで辞任する意向を
 示しております。後任については、親会社となる朝日放送グループ HD と協力の上、人選を
 進めていく予定です。
  それぞれの後任につきましては、その人選が完了次第、就任予定時期とともに速やかに公
 表いたします。

(2) 報酬の減額又は一部返上

  当社は、第三者委員会の調査結果を踏まえ、一連の事態を厳粛に受け止め、本件問題に対
 する経営責任を明確にするため、以下のとおり、平成 30 年 11 月 27 日開催の取締役会にお
 いて取締役報酬の減額を決議するとともに、各監査役から一部報酬の自主返上の申し出を受
 理いたしました。

   代表取締役   椎木 隆太  月額報酬の 100%を減額
   取締役     小野 亮   月額報酬の 10%を減額
   取締役     夏野 剛   月額報酬の 10%を減額
   監査役     若林 博史  月額報酬の 10%を自主返上
   監査役     並木 安生  月額報酬の 10%を自主返上
   監査役     砂田 有紀  月額報酬の 10%を自主返上
    報酬減額及び一部返上は、平成 30 年 12 月から平成 31 年2月までの3ヶ月間となって
   おります。
    なお、取締役 ダンカン・ビリングは、無報酬であるため、対象外としております。




                        10
(3) その他の処分

  第三者委員会の調査結果及び今般の原因究明に向けた分析結果を踏まえ、平成 31 年3月
 1日付で幹部管理職ら4名(退職者を含む。)に対して、相応の懲戒処分又は厳重注意(退
 職者については懲戒処分相当又は厳重注意相当)を実施いたしました。


2.職責意識及びコンプライアンス意識の醸成(「1.職責意識及びコンプライアンス意識の欠
  如」に対する改善策)

 当社は、第三者委員会の調査結果を受け、当社としての再発防止策の策定方針等の決定に
先立つ平成 30 年 11 月 27 日に、全役職員を対象とした社内説明会を実施いたしました。社内
説明会では、代表取締役自らが、第三者委員会から指摘された内容を真摯に受け止め、当社
全体のコンプライアンス意識の徹底的な向上、及びそれに向けた研修等の重要性を伝えまし
た。その上で、今般の原因究明に向けた分析結果を踏まえ、以下の諸施策を実施いたします。

(1) 役員に求められる資質を備えた人材の選定・選任

 当社は、令和元年5月 10 日付「朝日放送グループホールディングス株式会社との資本業務
提携、第三者割当による新株式の発行並びに主要株主、主要株主である筆頭株主及び親会社
の異動に関するお知らせ」において開示しましたとおり、朝日放送グループ HD と資本業務提
携契約を締結し、朝日放送グループ HD に対して第三者割当による新株式を発行することで、
令和元年5月 29 日をもって朝日放送グループ HD の子会社となる予定です。今後は、親会社
となる朝日放送グループ HD より派遣を受ける取締役及び監査役を含め、新たに取締役及び監
査役を選任する上で、下記①~③のとおり資質を規定し、人選を進めてまいります。

 ① 当社代表取締役として必要な資質を備えた人材の選定
   当社は、今般策定した改善計画を確実に履行し、現在の当社が置かれた危機的状況から
 の脱却、今後の持続的成長及び中長期的な企業価値向上を目指すため、以下の資質を有す
 る人材を当社の代表取締役に選定する必要があると考えております。今後、当該資質を有
 する候補者を選定してまいります。
 ⅰ.自己に与えられた使命・職責を理解していること
 ⅱ.高いコンプライアンス意識・倫理観を有していること
 ⅲ.戦略的な思考力、判断力に優れていること
 ⅳ.責任感をもって公正・的確な意思決定と経営の監督を実行できること
 ⅴ.業界や過去の慣行に縛られない視座を持ち、あるべき姿に向けて組織を変革できる力
    を有していること
 ⅵ.内部管理体制の抜本的な改善を優先し、経営管理体制確立を実行できること

 ② 当社取締役として必要な資質を備えた人材の選任
   当社は、代表取締役とともに、当社の危機的状況からの脱却、今後の持続的成長及び中
 長期的な企業価値向上を目指すため、以下の資質を有する人材を当社の取締役に選任する
 必要があると考えております。今後、当該資質を有する候補者を選任してまいります。
 ⅰ.自己に与えられた使命・職責を理解していること



                      11
 ⅱ.高いコンプライアンス意識・倫理観を有していること
 ⅲ.戦略的な思考力、判断力に優れていること
 ⅳ.責任感をもって公正・的確な意思決定と経営の監督を実行できること

 ③ 当社監査役として必要な資質を備えた人材の選任
   当社は、監査役についても、今後の再発防止に向け、以下の資質を有する人材を当社の
 監査役に選任する必要があると考えております。今後、当該資質を有する候補者を選任し
 てまいります。
 ⅰ.自己に与えられた使命・職責を理解していること
 ⅱ.高いコンプライアンス意識・倫理観を有していること
 ⅲ.責任感をもって自律的かつ積極的な監査を行い、経営管理体制強化に貢献できること
 ⅳ.(常勤監査役) 職責を適切に果たすうえで必要な時間・労力を確保できること
 ⅴ.(社外監査役) 企業経営、会計、法律その他分野に高い専門的知見を有すること

(2) 従業員の使命・職責・能力要件の明確化
    令和元年6月末を期限に、人事マニュアルにおいて、従業員における階層別の使命・職
  責・能力要件を明確化いたします。その上で、幹部管理職としての使命・職責・能力要件に
  見合った人材を幹部管理職として、社内から登用又は社外から採用してまいります。
    また、各人が、自らに期待された使命・職責・能力要件を十分に理解し、これを意識して
  平時の業務にあたるようにするため、明確化した使命・職責・能力要件についての説明会を
  実施するとともに、半期に1度、幹部管理職が部下の従業員における期待した使命・職責の
  理解度、能力要件の充足度を評価してフィードバックする制度の導入を検討しております。
  なお、そこでの評価は、従業員の人事考課において考慮することを想定しております。

(3) 全社にわたるコンプライアンス意識の醸成・徹底

 ① コンプライアンス研修の実施
   役員及び従業員一人一人のコンプライアンス意識の涵養及びコンプライアンス意識の浸
 透状況を確認するとともに、業務に関連して遵守すべき法令等に関する基礎知識の習得を
 図るべく、後述の「再発防止プロジェクト」と人事総務部が連携して役職員向け研修を継
 続的に実施いたします。具体的な研修内容及びスケジュールは、以下の内容を予定してお
 ります。

 ⅰ.役員及び幹部管理職向けコンプライアンス研修の実施
   役員及び幹部管理職に対しては、上場企業を経営する立場としての社会的責任をより
  明確に認識することを目的として、外部有識者を講師として招き、以下をテーマとする
  コンプライアンス研修を実施する予定です。この研修は、令和元年6月を初回として、
  年2回を目安に実施いたします。
   - 取締役・監査役に求められる法律知識(会社法、金融商品取引法等)
   - 当社グループの事業に関連する重要法令の知識
   - 全社的リスクマネジメントの知識
   - 内部監査や内部通報制度等の重要な社内制度の知識

 ⅱ.全役職員向けコンプライアンス研修の実施



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   上場企業の役職員に求められるコンプライアンス意識の涵養を目的として、上記ⅰ.
  の研修を受講した役員又は幹部管理職もしくは外部有識者が講師となり、関連法令や上
  場規則に対する知識の習得を含むコンプライアンス研修を実施いたします。この研修で
  は、本件問題を実例として取り上げるなど、コンプライアンス違反の具体的な事例から
  コンプライアンスについて考える研修内容となるよう設計し、令和元年6月を初回とし
  て、年2回を目安に実施いたします。

 ⅲ.全役職員向け e ラーニング研修の実施
   上記ⅰ.ⅱ.の研修に加え、全役職員のコンプライアンス意識の定着・高揚を目的と
  して、e ラーニング研修を導入いたします。この e ラーニング研修では、毎回、コンプ
  ライアンス意識の浸透状況を確認するためのテストも行うことを想定しており、令和元
  年6月を初回として、年2回を目安に実施いたします。

 ② 代表取締役からのメッセージの発信
   代表取締役は、特設注意市場銘柄に指定された当社の危機的な状況についての認識を共
 有すること、及びコンプライアンス意識を徹底的に向上することについてのメッセージを
 社内メールで定期的に発信してまいります。

(4) 事業部における会計リテラシーの涵養

 ① 事業部における会計処理に関する研修の実施
   社内外の有識者を講師として、事業部を所管する取締役及び事業部員(特に、事業部の
 現場プロデューサーをはじめとするスタッフ)向け会計リテラシー研修を実施いたします。
 この研修においては、事業部で必要となる会計処理の基礎知識を習得できる内容となるよ
 う設計し、令和元年5月を初回として、年1回を目安に実施いたします。
   なお、平成 30 年 12 月 17 日及び 12 月 19 日に、クリエイターを除く全従業員を対象に、
 当時の執行役員コミュニケーションプロデュース事業部長を講師として、本件で問題とな
 った不適切な会計処理に関する具体的案件を取り上げて解説し、今後に向けて策定した売
 上計上基準を周知する研修を実施しております。今後においても、売上計上基準の更新等
 があった際には、研修等を通じて都度周知を行ってまいります。

 ② 会計リテラシーの涵養に資する業務マニュアルの作成及び周知・徹底
   令和元年6月末を期限に、事業部における業務について、取引の形態ごとに売上計上基
 準を明確にした「販売管理マニュアル」を新設し、周知及び運用の徹底を図ってまいりま
 す。なお、当該マニュアルは、経営管理部にて原案を作成し、後述の「再発防止プロジェ
 クト」にて事前精査の上、取締役会決議を経て制定する予定であり、事業環境の変化等が
 あった場合には「販売管理マニュアル」を見直すよう経営管理部門から取締役会に提言す
 ることとしております。

3.経営管理体制と内部牽制機能の強化及び活性化(「2.未熟な経営管理体制と内部牽制機能
  の形骸化」に対する改善策)

(1) 適切な経営管理体制の構築・推進を目的とする再発防止プロジェクトの設置




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   当社は、平成 31 年1月1日付で、再発防止策の推進及び適切な経営管理体制構築の推進
 を目的に、取締役 COO をオーナーとして、内部監査室長、経営管理部長、外部の公認会計
 士がメンバー、社外監査役がオブザーバーとして参加する「再発防止プロジェクト」を発
 足いたしました。
   再発防止プロジェクトでは、これまでに、取締役会の指示の下で、本件問題の再整理、
 原因究明に向けた分析、再発防止策の検討を含む改善計画の策定を行ってまいりました。
 今後は、改善計画に則して各施策の具体化を進め、改善計画の進捗管理も行い、その活動
 状況について定時取締役会に報告を行ってまいります。
   また、再発防止プロジェクトは、監査役による監査、内部監査室による業務監査や J-
 SOX 評価で発見した問題等を収集し、それらの是正・解消を促すべく、取締役会に対して
 更なる改善策の提言を行います。
   なお、再発防止プロジェクトは、コンプライアンスの徹底・強化に向けた活動を主導す
 るコンプライアンス委員会としての機能も備え、内部管理体制確認書を提出し、内部管理
 体制の改善が完了したタイミングでコンプライアンス委員会へ改組し、継続的なコンプラ
 イアンス意識の醸成に向けた活動に取り組んでいく方針です。

(2) 取締役会の監督機能の強化

 ① 代表取締役の選定・解職基準、評価プロセスの整備
   令和元年6月末を期限に、代表取締役に対する評価制度の導入及び代表取締役の選定・
 解職に係るプロセスの見直しを実施いたします。
   代表取締役の選定・解職プロセスについては、年2回実施する選定基準への適合状況の
 評価結果及び解職基準への抵触状況を取締役会へ提示し、取締役会ではそれらを踏まえた
 選定・解職議案が審議されることを想定しております。

 ② 取締役会の構成の見直し
   上記 2.(1)②に記載の当社取締役として必要な資質を有する候補者を選任するに際し、
 取締役会の構成を見直し、当社として必要な専門性を有する候補者で取締役会が構成され
 るように選任してまいります。
   現時点では、令和元年9月に開催予定の第 18 回定時株主総会もしくはそれ以前に株主総
 会を開催することがあれば当該臨時株主総会において、親会社となる朝日放送グループ HD
 が指名する候補者を取締役に選任する議案を付議する予定です。なお、代表取締役及び取
 締役 CFO は朝日放送グループ HD が指名する候補者から選定する予定であり、取締役会の構
 成については具体的な人選等が完了次第、速やかに公表いたします。

 ③ 予算策定方針の見直し
   当社は、予算策定方針として、当社の実力に即した合理的で実行可能な予算をボトムア
 ップで策定することを掲げ、これに対してアップサイドケースとダウンサイドケースを想
 定し、幅を持たせたレンジ形式での予算を策定することといたします。具体的には、各事
 業部が自ら設定する KPI を基礎としてアップサイドケース、ベースケース、ダウンサイド
 ケースとなるシナリオを作成し、経営管理部が実行可能性等を評価した上でレンジ形式の
 予算案を策定して取締役会に付議することを想定しております。これらにより、達成要因
 又は阻害要因を分析しやすい予算の策定を目指してまいります。
   なお、事業部が設定する KPI については、収益・貢献利益をベースとするのではなく、



                      14
 企画する案件数やその想定受注金額をベースに設定する方向で検討しております。

 ④ 取締役会への付議基準・報告基準の見直し
   取締役会において当社の事業上のリスクを踏まえた十分な審議が行われるように、取締
 役会への付議基準・報告基準を改定し、取締役会・監査役会が牽制機能を十分に発揮でき
 るようにするための体制を確保いたします。

 ⑤ 取締役会参加者への十分な情報提供
   上記 3.(2)④の取締役会への付議基準・報告基準の見直しに加え、それぞれの取締役・
 監査役に対して提供する情報の充実化、提供する時期の早期化を行い、取締役会での審議
 の充実に向けた取り組みを実施いたします。
   また、非常勤である社外取締役及び社外監査役に対しては、経営会議の議事録を送付す
 るようにいたします。

(3) 監査役会の監査機能の強化

 ① 監査役会の構成の見直し
   上記 2.(1)③に記載の当社監査役として必要な資質を有する候補者を選任するに際し、
 監査役会の構成を見直し、当社として必要な専門性を有する候補者で監査役会が構成され
 るように選任してまいります。
   現時点では、令和元年9月に開催予定の第 18 回定時株主総会もしくはそれ以前に株主総
 会を開催することがあれば当該臨時株主総会において、監査役を選任する議案を付議する
 予定です。なお、常勤監査役は朝日放送グループ HD と協力して人選を進める予定であり、
 監査役会の構成については具体的な人選等が完了次第、速やかに公表いたします。

 ② 不適切な会計処理に対するリスク認識の醸成
   今後の監査役監査におきましては、当社における事業の特徴と業界慣行に対する理解を
 深め、これに基づき、不適切な会計処理が行われるリスクを適切に評価し、識別したリス
 クに応じた監査計画を策定・実行してまいります。なお、監査役監査において認識した課
 題や懸念点については、経営陣と協議を行う体制を構築することが必要と考えております。

 ③ 情報収集機能の強化
   令和元年5月以降、常勤監査役と内部監査室との間で定期的に実施しているミーティン
 グを内部監査の実施状況や実施結果について取りまとめた資料をもとに報告を受ける場と
 定義し、常勤監査役が報告内容についての詳細な議事録を作成して月次の監査役会で報告
 することといたします。監査役会は、内部監査の実施状況等に関して懸念が生じた場合に
 は、代表取締役に対して追加の内部監査を要請するとともに、取締役会及び会計監査人に
 対して当該状況を報告することといたします。
   また、監査役会の情報収集体制を強化するために、令和元年5月以降、代表取締役、経
 営管理部、内部監査室、会計監査人との面談頻度を増やし、社外監査役が再発防止プロジ
 ェクトの会議にオブザーバーとして参加して再発防止プロジェクトの取組み状況を監査役
 会で報告するようにいたします。
   なお、常勤監査役が経営会議など重要な会議体にオブザーバーとして参加したことに関
 する監査役会での報告は、当該会議体で決定があった旨の報告にとどまっていたところ、



                     15
 今後は、重要な会議体における具体的な協議の状況を記載した議事録を会議体の主管部署
 が作成し、これをもとに報告することで、監査役会が会議の状況を詳細に確認できるよう
 にいたします。

 ④ 会計監査人との深度ある協議
   監査役会は、令和元年6月末までに、上記 3.(3)③の情報収集機能の強化によって得ら
 れた情報をもとに事業環境や取引実態の理解を進め、当社が採用する会計処理方針につい
 て、採用することの適切性や採用することから生じる不正リスクや誤謬リスクを改めて検
 討いたします。
   それらの検討結果については、会計監査人との間で十分に協議し、監査役会が認識した
 不正リスクや誤謬リスクへの対応が十分であるか取締役会へ問題提起いたします。その後、
 認識した不正リスクや誤謬リスクへの対応については、令和2年6月期の監査役監査計画
 において重点監査項目とし、その進捗及び結果は四半期ごとに実施する会計監査人とのコ
 ミュニケーションにおいて議題として取り上げ、当社における対応の十分性について協議
 するようにいたします。

(4) 実効性のある内部監査体制の整備

 ① 内部監査室の独立性確保
   内部監査室の独立性を確保するため、平成 31 年2月 14 日付で内部監査経験の豊富な人
 物を新たに外部より採用し、同日付で専任の内部監査室長に就任いたしました。なお、前
 任の内部監査室長は、現在、新任の内部監査室長への業務引継ぎのみを残して経営管理部
 の担当業務に専念しております。

 ② 内部監査室長の知識・経験不足の解消
   上記 3.(4)①のとおり、新たに内部監査経験の豊富な人物を採用したことで、内部監査
 室長の内部監査制度及び実務に対する知識・経験の不足を解消しております。今後は、新
 任の内部監査室長が主導して、内部監査室員に対する教育を行ってまいります。

 ③ 内部監査室の情報収集機能の強化
   平成 31 年2月以降、内部監査室長は経営会議及び取締役会に出席することにいたします。
 これらの会議体への出席に加え、監査役や会計監査人との連携、上記 3.(1)の再発防止プ
 ロジェクトへの参加により、内部監査室の情報収集機能を強化し、そこから得られる情報
 を基にした深度ある内部監査を実施してまいります。

 ④ 取締役会及び監査役会による内部監査実施状況の確認
   内部監査が適時に行われ、必要な改善提案を含む内部監査結果が経営層に提供されてい
 るかどうかを確認するために、取締役会及び監査役会が内部監査の実施状況を確認いたし
 ます。
   具体的には、各々の監査役が、内部監査室から提出のあった内部監査調書を基に監査計
 画に沿って内部監査を実施していることを確認し、その結果を監査役会で取りまとめ、監
 査役から取締役会へ報告するようにいたします。なお、監査役による確認において内部監
 査の実効性に疑義が認められた場合には、監査役会から内部監査室及び取締役会に対して
 フィードバックしていくことを想定しています。



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(5) 経営管理部に対する監督・牽制機能の構築

 ① 経営管理部と事業部における業務分掌の徹底
   令和元年6月末を期限に、職務権限に関する規程において、経営管理部と事業部の職責
 定義及び業務分掌を明確化いたします。
   また、各人が、所属する部門の職責定義・業務分掌を十分に理解し、これを意識して平
 時の業務にあたるようにするため、明確化した職責定義・業務分掌についての説明会を実
 施するとともに、半期に 1 度、幹部管理職から部下の従業員に対して所属する部門の職責
 定義・業務分掌について説明することを検討しております。
   これらに加えて、後述する「スーパーユーザー権限の廃止」や「業務プロセス・決算財
 務報告プロセスの不備の是正」を行うことによって、それぞれの部門における業務分掌の
 徹底を図ってまいります。

 ② 経営管理部に対する監督・牽制の実施
   CFO の職責は、取締役会による指揮及び CEO による統括の下で当社の財務に関する業務
 執行を統括し、経営管理部の業務執行状況を監督することにあると定義し、職務分掌規程
 に明文化いたします。その上で、経営管理部に対する監督内容について、毎月の取締役会
 における月次決算報告にあわせて報告するようにいたします。
   加えて、内部監査の評価項目に「経営管理部の業務執行状況」を追加し、内部監査室に
 おいて、経営管理部による与信や会計処理に関する判断の根拠が文書化されていることを
 確認いたします。また、経営管理部と会計監査人との協議については、経営管理部から内
 部監査室へ議事録を提出し、内部監査室が経営会議・取締役会にて協議された財務報告に
 重要な影響を与える事項が漏れなく協議されているか確認いたします。

 ③ スーパーユーザー権限の廃止
   当社として、本件の不適切な会計処理を招いた一因である基幹販売システムのスーパー
 ユーザー権限について、その必要性及びリスクを勘案した結果、本権限を廃止するという
 結論に至りました。そのうえで、令和元年5月末までに、スーパーユーザー権限を用いる
 ことで実施可能であった「代理申請」「代理承認」「承認権限変更」の権限を分離し、特
 定のユーザーが単独で申請及び承認を行うことによる内部統制の逸脱ができないように設
 定変更・システム改修を行います。具体的には、以下のとおりであり、内部監査室は、四
 半期に1度、各権限の付与・運用状況を監査するようにいたします。

 ⅰ.スーパーユーザー権限
   スーパーユーザー権限については、アカウントを廃止いたします。

 ⅱ.代理申請権限
   代理申請権限は、正規の申請者が出張や欠勤等のやむを得ない理由により基幹販売シ
  ステムを操作できないことで決算作業が遅延することを回避する目的で利用する予定で
  す。そのため、代理申請権限は、幹部管理職を除く経営管理部員全員に付与し、経営管
  理部員が事業部員に代わって申請する権限となる予定です。
   代理申請権限は、以下のフローによる運用を予定しております。




                      17
   a.代理申請は、正規の申請者より代理申請依頼がある場合、又は、経営管理部員が発
     見した基幹販売システムに入力された情報の形式上の不備を修正する場合に実施し
     ます。
     正規の申請者が代理申請依頼を行う場合には、代理申請者へ代理申請依頼の電子メ
     ールを送付します。
     また、経営管理部員が発見した基幹販売システムに入力された情報の形式上の不備
     を修正する場合には、代理申請者が修正し、その内容を代理申請した上で、正規の
     申請者に対して修正内容を電子メールにて報告します。

   b.正規の承認者は、申請内容を確認の上、承認します。

 ⅲ.代理承認権限
    代理承認権限は、正規の承認者が出張や欠勤等のやむを得ない理由により基幹販売シ
  ステムを操作できないことで業務が遅延することを回避する目的で利用する予定です。
  そのため、代理承認権限は、執行役員経営管理部長と取締役 COO に付与し、執行役員経
  営管理部長が事業部長に代わって承認する権限となる予定です。取締役 COO については、
  執行役員経営管理部長が出張や欠勤等のやむを得ない理由により基幹販売システムを操
  作できないときに限り、代理承認します。
    代理承認権限は、以下のフローによる運用を予定しております。
   a.代理承認は、正規の承認者より代理承認依頼がある場合に実施いたします。正規の
     承認者が代理承認依頼を行う場合には、申請内容を確認の上、代理承認者へ代理承
     認依頼の電子メールを送付します。

   b.代理承認者は、電子メールを確認の上、代理承認を実施します。

 ⅳ.承認権限変更権限
   承認権限変更権限は、役職員の入退社及び役職変更など人事異動の際に権限を変更す
  る目的で利用します。そのため、承認権限変更権限は、事業部及び経営管理部から独立
  したシステム管理担当者が管理します。
   承認権限変更権限は、以下のフローによる運用を予定しております。

   a.人事異動があった際に、人事総務部よりその内容をシステム管理担当者へ電子メー
     ルにて共有し、承認権限変更を要請します。
   b.その要請を受けたシステム管理担当者は、あらかじめ定められた役職ごとの承認権
     限設定に従い、権限を変更します。

(6) 内部通報制度を実効的に機能させる仕組みの整備
    人事総務部が主導して、内部通報制度に関する説明会の定期的な開催、外部の通報窓口の
  案内の配付を行います。
    内部通報制度に関する説明会は、平成 31 年4月に、具体的に通報が必要なケースについ
  て、実例を交えて説明しており、その後は、毎回のコンプライアンス研修において内部通報
  制度を紹介するほか、毎月の社内メールにおいて、具体的な内部通報の活用事例を配信する
  など、関心が薄れないための対策を講じつつ、恒常的な周知活動を継続してまいります。




                      18
4.業務プロセス及び決算・財務報告プロセスの不備の是正(「3.業務プロセス及び決算・財
  務報告プロセスの不備」に対する改善策)

 本件問題の再発を防止し、適正な会計報告を確保する一環で、令和元年5月末を期限に、
販売プロセスをはじめとした業務プロセス及び決算財務報告プロセスの不備を洗い出し、ア
スカ監査法人とも協議しつつ、業務手順及び内部統制の見直しを進めてまいります。また、
令和元年6月末を期限に、見直し後のプロセスについての内部統制評価のための文書(フロ
ーチャート、業務記述書、リスクコントロールマトリクス、チェックリスト)を整備する予
定です。
 なお、平成 29 年6月期第2四半期以降、企画売上を計上するような企画業務に対して対価
が支払われる取引は行っておりませんが、平成 30 年 12 月 15 日付で企画売上に係る売上計上
基準を改めており、今後の企画売上については当該基準に則して会計処理を行うことにより、
客観性と検証可能性の確保に努めてまいる所存です。


                                            以   上




                       19