3446 JTECCORP 2021-08-12 15:30:00
中期経営計画策定に関するお知らせ [pdf]
2021 年 8 月 12 日
各 位
会 社 名 株式会社ジェイテックコーポレーション
代表者名 代 表 取 締 役 社 長 津 村 尚 史
(コード番号:3446 東証第一部)
問合せ先 取 締 役 管 理 部 長 平 井 靖 人
(TEL. 072-655-2785)
中期経営計画策定に関するお知らせ
当社は、2022 年6月期を初年度とした3ヶ年(2022 年6月期~2024 年6月期)の中期経営計画を策
定しましたので、下記のとおりお知らせいたします。
記
1. 中期経営計画策定の背景
当社は、
「オンリーワンの技術により、広く社会に貢献する」ことを経営理念に掲げ、
「科学技術
イノベーションの創出に貢献する製品開発を推進する」ことを経営方針に定めております。また、
当社事業を通して全てのステークホルダーの皆様の期待に応え、人々の QOL の向上を目指し、広
く社会に貢献したいと考えております。
事業環境としましては、2021 年6月期も前年度と同様に新型コロナウイルス感染症拡大の影響
により業績目標数値は未達となりましたが、オプティカル事業においては世界中の放射光施設の
投資計画が進んでおり、特に欧米各国でコロナ禍により遅れていた投資計画が進み、研究活動が
復調してきている状況であり、当社としましても、世界の科学技術の発展に寄与できる大きな可
能性を感じております。
また、既存事業の伸長を図るとともに、既存事業のコア技術をもとにした新規事業においても、
いくつかの具体的な成果が表れてきております。
一方で、これら新規事業を取り巻く環境が目まぐるしく変化しているものもあり、特に最近の
半導体ビジネスの激しい環境の変化により、当社における次世代半導体関連分野の新規事業のス
ケジュール変更が余儀なくされ、中期経営計画に大きく影響している現状であります。
しかしながら、現在においても半導体関連企業との共同開発は継続しており、またその他の新
しい引き合いも増えているため、従来通り半導体分野への参入を積極的に進めてまいりますが、
今回新たに策定した中期経営計画においては半導体分野の売上は敢えて組み入れず、事業環境が
好転している当社の既存事業や半導体分野以外の新規事業を中心に新しく計画を策定いたしまし
た。
また、半導体関連分野の開発環境が好転し、売上に寄与する見通しが立てば、毎期改定を行う
ローリング方式の中期経営計画に組み入れることといたします。
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2. 中期連結業績目標
(単位:百万円)
2022 年6月期 2023 年6月期 2024 年6月期
オプティカル事業 1,107 1,500 1,900
ライフサイエンス・機器開発事業 308 579 700
電子科学株式会社 285 400 600
売上高 1,700 2,479 3,200
営業利益 194 498 862
経常利益 232 550 875
(経常利益率) 13.7% 22.2% 27.4%
当期純利益 150 366 591
(注)1.2022 年6月期における電子科学株式会社の業績につきましては、2021 年7月~2022 年3
月の9か月分を計上しております。
2.各年度におけるのれん償却額は 2022 年6月期:31 百万円、2023 年6月期:42 百万円、2024
年6月期:42 百万円となっております。
(参考)中期個別業績目標
(単位:百万円)
2022 年6月期 2023 年6月期 2024 年6月期
アジア(豪州含む) 573 850 1,000
アメリカ(北米、南米) 328 250 350
EU 124 250 300
新規技術開発 80 150 250
放射光施設関連 1,107 1,500 1,900
オプティカル事業 1,107 1,500 1,900
各種培養装置 128 199 190
新規製品開発及び海外拡販 40 80 110
ライフサイエンス事業 168 279 300
各種特注対応装置 20 75 135
新規技術開発 120 225 265
機器開発事業 140 300 400
ライフサイエンス・機器開発事業 308 579 700
売上高 1,415 2,079 2,600
営業利益 166 462 759
経常利益 205 514 773
(経常利益率) 14.5% 24.7% 29.7%
当期純利益 141 354 533
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3. 中期経営計画の概要
オプティカル事業、ライフサイエンス・機器開発事業に次ぐ第3の事業を育成するため、昨年
度策定した中期経営計画においては、オプティカル事業における独自のナノ加工技術(EEM)や
ナノ計測技術(RASDI/MSI)を用いた新規事業、及びライフサイエンス・機器開発事業における
再生医療関連や独自の加工技術(PCVM)を用いた装置開発による新規事業等を提案し、5つの新
たな計画を中心に一定の実績を上げつつあります。しかしながら、特に最近の半導体ビジネスの
激しい環境の変化により、当社における次世代半導関連分野の共同研究スケジュールの変更が余
儀なくされている状況であります。
そこで、前回の中期経営計画の新規事業のうち「次世代半導体製造装置関連のX線光学素子」
及び「高精度マスク基板における当社ナノ加工・計測技術への適用」においては、引き続き大手
半導体製造装置メーカー等との研究開発を推進し事業化を目指しておりますが、開発スケジュー
ルが不透明なため今回の中期経営計画には敢えて組み入れておりません。一方、
「走査型X線顕
微鏡、衛星搭載型X線望遠鏡用X線光学素子」はオプティカル事業に、「水晶振動子ウエハ加工
システム」は機器開発事業に、また「再生医療に関する支援事業の創出、医療機器事業への展
開」はライフサイエンス事業にそれぞれ組み入れ、事業化を進めてまいります。
従いまして、今回策定した中期経営計画においては、市場規模の拡大を背景とした既存事業の
伸長を図るとともに、引き続き新規事業への注力を図ってまいります。なお、各事業の概要は、
オプティカル事業、ライフサイエンス・機器開発事業、子会社の電子科学の3つに区分し下記に
説明いたします。
【オプティカル事業】
世界の放射光施設及びⅩ線自由電子レーザー施設は、各国の多様な地域発研究開発・実証拠点
(リサーチコンプレックス)において現在もコアな機関として位置づけられ、イノベーションを強
力に推進しております。しかしながら約1年半に及ぶコロナ禍の影響により、世界の放射光施設
の研究者は研究意欲があるものの、特に欧米各国の放射光施設での計画が遅れたことにより研究
自体の遅れも散見されましたが、最近では計画も進み、コロナの基礎研究や治療薬などの研究開
発も積極的に行われるなど研究活動が復調してきております。
例えば、2021 年6月3日に PR 情報にて情報開示しました、米国シカゴのアルゴンヌ国立研究所
(Argonne National Laboratory:ANL)にある、世界有数の大型放射光施設 APS(Advanced Photon
Source)から、第4世代へのアップグレードに伴う新設ビームラインの各種超高精度ミラーの一括
受注がありました。加えて、フランスの ESRF(European Synchrotron Radiation Facility)、カ
リフォルニア大学のローレンスバークレー国立研究所(Lawrence Berkeley National Laboratory:
LBNL)の ALS(Advanced Light Source)のみならず、ドイツ、イギリス、スイス、イタリアなど
欧州各地にて第4世代へのアップグレードの計画が明らかになり、受注活動が活発になってまい
りました。
さらに、中国においても同様であり、北京では世界最大のビームライン数を有する第4世代の
大型放射光施設の建設、上海では2施設目となるX線自由電子レーザー施設の建設が始まってお
り、中国全土で 10 か所以上ある放射光施設やX線自由電子レーザー施設からの受注及び引合いが
活発になってまいりました。
国内においても、大型放射光施設 SPring-8 や自由電子レーザー施設 SACLA だけでなく、2023 年
完成予定の東北放射光施設(SLiT-J)からの引合いも増え、受注も順調に推移しております。
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当社は、このように世界規模で拡大している放射光施設及びX線自由電子レーザー施設向けの
高精度X線ミラーの需要に応えるため、生産施設の増強、生産工程の効率化を図り、更なる高精度
化を進めていくことが、引続き重要課題であると認識しております。
このため、独自の EEM ナノ加工装置や RADSI 及び MSI ナノ計測装置等の生産設備の増設を積極
的に進め、また海外の競合他社に対する技術的優位性を維持するため、現在のナノ加工技術の効
率化、ナノ計測技術の高精度化を図るための研究開発を進めております。さらに、新しい製造技術
の実用化開発を推進し、前加工協力会社との技術提携や連携強化を図り、生産工程全体の効率化
を目指しております。
また、世界各地で第4世代放射光施設の新設や第3世代放射光施設からのバージョンアップに
より光源の強化が図られ、それに対応するために当社の主力製品である高精度KB型集光ミラー
や新しい光学系の構築が求められているため、回転楕円ミラー、形状可変ミラー、各種ウォルター
ミラー等の次世代放射光施設向けの新しい集光系のX線ミラーの開発・販売を推進しております。
これら各種X線ミラー(光学素子)は、従来技術では到底不可能であった表面形状の超高精度化
を実現することができ、さまざまな産業分野においてビジネスを展開するための技術的ポテンシ
ャルを有しております。
例えば、半導体及び宇宙分野などの成長産業分野で用いられる光学素子において、従来の加工
技術では不可能なナノメートルレベルの表面形状精度が望まれているため、当社では販路を拡大
するための足掛かりとして今年度新たな競争的資金を獲得し、大阪大学、名古屋大学及び JAXA
(宇
宙航空研究開発機構)と共同で新しいX線計測・分析技術の開発を推進し、新しい高精度2次元集
光X線ミラーの製造法の確立を目指しております。
また、当社では現在のナノ加工技術 EEM 以外にも大阪大学の表面加工技術であるプラズマ CVM
や CARE(触媒基準エッチング法)加工を技術導入して実用化開発を進めており、総合的な加工技
術のポテンシャルを上げて選択肢を広げることにより、今後も様々な産業分野への参入を図って
まいります。
【ライフサイエンス・機器開発事業】
・ライフサイエンス事業
新型コロナウイルス感染症拡大の影響が続く中、コロナ治療薬の探索のために、当社設立当初
より開発・販売してまいりました自動細胞培養装置「CellMeister®」のカスタム製品の引合いが増
え、受注を獲得しました。
さらに、2013 年日本で初めて上市した汎用型の iPS 細胞向けの簡易型自動細胞培養装置
「CellPet®」をもとに、多様化するユーザーニーズに応えるために後継機種として「MakCell®」を
開発してまいりましたが、現在テレワークが推進され就業時間の短縮化が求められる中、手軽な
自動細胞培養装置として引き合いが活発になってきております。
一方、再生医療分野は依然黎明期ではありますが、将来の再生医療市場の拡大に伴いその周辺
産業の市場も拡大すると想定しており、その中で当社の対象市場となる自動細胞培養装置及び培
養容器(消耗品)分野での製品開発を今後も積極的に進めてまいります。
また、当社は自動細胞培養装置メーカーでありますが、単なる装置メーカーではなく、大阪大学
内に当社独自の細胞培養センターを設け、自ら開発した装置を用いて培養手法の有効性を実証す
ることにより、効率よく製品開発・販売を実施しております。
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さらに、長年にわたり産業技術総合研究所と共同開発してまいりました独自の3次元浮遊培養
技術「CELLFLOAT®」を用いた再生医療向けの自動細胞培養装置「CellMeister®3D」を開発しました。
当社の細胞培養センターでは再生医療の実現に向けて研究開発を推進しており、昨年度より横浜
市立大学医学部らと新たに競争的資金(日本医療研究開発機構:AMED)を獲得し、世界で初めての
「弾性軟骨デバイス」を用いた再生医療の普及を目標として、医師主導の治験(鼻咽腔機能閉鎖不
全症)を目指して共同研究を進めており、さらに大阪大学医学部心臓血管外科らとも iPS 細胞を
用いた心筋シートの臨床研究を目指して共同研究を進めております。
今年度はさらに、公益財団法人神戸医療産業都市推進機構(神戸)及び日本光電工業と競争的資
金(AMED)を獲得し、脳梗塞治療用の幹細胞分離機器(医療機器)の共同開発を進めております。
また、2017 年1月に上市した iPS 細胞用の回転浮遊培養装置「CellPet 3D-iPS®」や小片化装
「CellPetFT®」をはじめとして、近年急速に進歩しつつあるオルガノイド培養向けの回転浮遊培
養装置「CellPet®CUBE」や酸素透過型培養容器などの関連機器を積極的に製品開発し、国内だけで
なく海外展開も図ってまいります。
・機器開発事業
当社設立当初より各種自動細胞培養装置を開発してまいりましたが、その自動化設計技術を活
かし、当社の高精度KB型集光ミラーを用いたKB集光装置や各種 OEM 製品の製品開発も手掛け
てまいりました。
また、新規事業として実用化開発を進めてきた独自のプラズマ CVM 加工技術を水晶振動子ウエ
ハの厚みの均一加工に適用し、その量産化システムの実用化にも成功しパイロットユーザーに納
品しました。今後は国内外の水晶振動子メ―カー等を中心に本格販売を行ってまいります。
これら以外にも、様々な産業分野の自動化製品の開発を手掛けてまいります。
【電子科学】
当社は、2021 年5月に電子科学株式会社の全株式を取得し子会社化いたしました。電子科学は
昇温脱離分析装置(TDS)のメーカーであります。本装置は、超高真空環境に設置した試料を独自
の加熱方式(赤外線)によって加熱することにより、試料から微量に放出される成分(特に水素、
水)を四重極質量分析装置(QMS)にて分析し、独自の分析ソフトウェアにより高感度でリアルタ
イム検出する装置であります。現在、本装置は半導体や液晶業界を中心に材料の研究や、製造工程
の評価、品質管理に用いられており高い評価を得ております。しかしながら、本装置は鉄鋼、電
機、自動車、水晶振動子等の様々な産業分野にも用いられるポテンシャルがあり、最近では海外か
らの引合いもあるものの、営業体制等の問題で積極的に拡販ができていない現状であります。
そのため、当社のオプティカル事業の海外チャンネルを用いた、営業体制の強化による拡販が
急務であると考えております。また、電子科学における装置作りはファブレス方式であり当社の
ライフサイエンス・機器開発事業と同じであることから、生産管理強化により、製造面でもシナジ
ー効果が見込めると考えております。また電子科学の分析技術と当社の自動化技術を融合し、特
に半導体分野において、共同で新しい製品の企画、開発を進めてまいります。
(注)
本中期経営計画につきましては、当社が現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づ
いており、その達成を当社として約束する趣旨のものではありません。また、実際の業績等は様々な要因により大
きく異なる可能性があります。
以 上
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