3445 RSTECH 2019-11-08 16:30:00
東京証券取引所への「改善状況報告書」の提出に関するお知らせ [pdf]
令和元年 11 月 8 日
各 位
会 社 名 株式会社RS Technologies
代表者名 代 表 取 締 役 社 長 方 永 義
(コ ー ド 番 号 :3445 東証一部)
問合せ先 取 締 役 管 理 本 部 長 鈴木 正行
電 話 03-5709-7685
東京証券取引所への「改善状況報告書」の提出に関するお知らせ
当社は、平成31年4月26日提出の「改善報告書」につきまして、有価証券上場規程第503条第1項の規
程に基づき、改善措置の実施状況及び運用状況を記載した「改善状況報告書」を本日添付のとおり提出
いたしましたので、お知らせいたします。
添付書類:改善状況報告書
以上
改 善 状 況 報 告 書
令和元年 11 月 8 日
株式会社東京証券取引所
代表取締役社長 宮原 幸一郎 殿
株式会社 RS Technologies
代表取締役社長 方 永義
平成 31 年 4 月 26 日提出の改善報告書について、有価証券上場規程第 503 条第 1 項の規定に基
づき、改善措置の実施状況及び運用状況を記載した改善状況報告書をここに提出いたします。
1
目 次
I. 改善報告書の提出経緯 .............................................................................................................. 3
1. 過年度決算訂正の内容 .......................................................................................................... 3
2. 過年度決算を訂正するに至った経緯 .................................................................................... 6
(1) 本件取引が行われた経緯等について .............................................................................. 6
(2) 本件取引を行った動機 .................................................................................................... 7
(3) 本件取引開始時の手続きとリスク管理の状況 ................................................................ 8
(4) 本件取引の実態 ............................................................................................................... 8
(5) 不適切な会計処理の概要と訂正処理について ................................................................ 8
3. 原因分析 ................................................................................................................................ 9
(1) 本件取引に関する個別的な確認不足 .............................................................................. 9
(2) 本件取引に関する確認不足を生んだ背景的な要因 ........................................................ 9
(3) 本件取引の実施段階において早期に問題を発見できなかった原因 ............................. 10
II. 改善措置並びにその実施状況及び運用状況等 .................................................................... 12
1. 改善報告書記載の改善措置並びにその実施状況及び運用状況等 ...................................... 12
(1) 商社的取引に関する検討事項の明文化......................................................................... 12
(2) 各種稟議等の記載内容の充実化.................................................................................... 12
(3) 社長案件に対する牽制 .................................................................................................. 14
(4) 内部監査室の新設及び人員増強.................................................................................... 15
(5) 債権管理に関する規程の見直し.................................................................................... 15
(6) 債権管理に関する業務の整備 ....................................................................................... 16
(7) コンプライアンス教育の実施 ....................................................................................... 17
(8) 管理部門の人員増強 ...................................................................................................... 18
(9) 通報窓口の拡充 ............................................................................................................. 19
(10) 再発防止対策委員会の設置 ........................................................................................... 19
2. 改善措置の実施スケジュール ............................................................................................. 21
3. 改善措置の実施状況及び運用状況に対する上場会社の評価 .............................................. 21
2
I. 改善報告書の提出経緯
1. 過年度決算訂正の内容
当社は平成 27 年 8 月から開始した一部の取引において実在性に疑義があるという外部からの指
摘を受け、その事実経緯を把握し、事実認定に基づく対応を目的として、平成 30 年 12 月 14 日に
当社とは利害関係を有しない外部の弁護士及び公認会計士から成る特別調査委員会を設置し、専
門的かつ客観的な視点から事実関係の把握及び再発防止策の検討を含め、調査を進めました。
平成 31 年 2 月 1 日に特別調査委員会による調査報告書を受領し、当社が過去に特定顧客と行っ
ていた一部の取引は対象商材が存在しない架空取引であり、当社による資金負担を目的とした資
金循環取引であるとの報告を受けました。当社は、報告内容の検討の結果、当該取引は実態を欠
いた取引として、関連する売上高、売上原価及びその差額として計上された利益、並びに売掛金
を消去することとし、当社における資金の支払・回収に関する資金決済差額も通常の商取引にお
ける債権ではないため、長期未収入金として計上を行いました。併せて当該長期未収入金に対し
ては、各期末における回収可能性を検討の上、貸倒引当金の設定を行いました(以下、
「本件訂正」
という。。
)
これらの訂正に伴い、当社は平成 31 年 3 月 5 日に過年度の決算短信等の訂正及び有価証券報告
書等の訂正報告書の提出を行いました。訂正した過年度決算短信等及び本件訂正が業績に及ぼす
影響額については、以下の通りです。
【訂正した過年度決算短信】
第 6 期(平成 27 年 12 月期)
第 3 四半期決算短信 (自 平成 27 年 7 月 1 日 至 平成 27 年 9 月 30 日)
決算短信 (自 平成 27 年 1 月 1 日 至 平成 27 年 12 月 31 日)
第 7 期(平成 28 年 12 月期)
第 1 四半期決算短信 (自 平成 28 年 1 月 1 日 至 平成 28 年 3 月 31 日)
第 2 四半期決算短信 (自 平成 28 年 4 月 1 日 至 平成 28 年 6 月 30 日)
第 3 四半期決算短信 (自 平成 28 年 7 月 1 日 至 平成 28 年 9 月 30 日)
決算短信 (自 平成 28 年 1 月 1 日 至 平成 28 年 12 月 31 日)
第 8 期(平成 29 年 12 月期)
第 1 四半期決算短信 (自 平成 29 年 1 月 1 日 至 平成 29 年 3 月 31 日)
第 2 四半期決算短信 (自 平成 29 年 4 月 1 日 至 平成 29 年 6 月 30 日)
第 3 四半期決算短信 (自 平成 29 年 7 月 1 日 至 平成 29 年 9 月 30 日)
決算短信 (自 平成 29 年 1 月 1 日 至 平成 29 年 12 月 31 日)
第 9 期(平成 30 年 12 月期)
第 1 四半期決算短信 (自 平成 30 年 1 月 1 日 至 平成 30 年 3 月 31 日)
第 2 四半期決算短信 (自 平成 30 年 4 月 1 日 至 平成 30 年 6 月 30 日)
第 3 四半期決算短信 (自 平成 30 年 7 月 1 日 至 平成 30 年 9 月 30 日)
3
【訂正した過年度有価証券報告書等】
第 6 期(平成 27 年 12 月期)
第 3 四半期報告書 (自 平成 27 年 7 月 1 日 至 平成 27 年 9 月 30 日)
有価証券報告書 (自 平成 27 年 1 月 1 日 至 平成 27 年 12 月 31 日)
第 7 期(平成 28 年 12 月期)
第 1 四半期報告書 (自 平成 28 年 1 月 1 日 至 平成 28 年 3 月 31 日)
第 2 四半期報告書 (自 平成 28 年 4 月 1 日 至 平成 28 年 6 月 30 日)
第 3 四半期報告書 (自 平成 28 年 7 月 1 日 至 平成 28 年 9 月 30 日)
有価証券報告書 (自 平成 28 年 1 月 1 日 至 平成 28 年 12 月 31 日)
第 8 期(平成 29 年 12 月期)
第 1 四半期報告書 (自 平成 29 年 1 月 1 日 至 平成 29 年 3 月 31 日)
第 2 四半期報告書 (自 平成 29 年 4 月 1 日 至 平成 29 年 6 月 30 日)
第 3 四半期報告書 (自 平成 29 年 7 月 1 日 至 平成 29 年 9 月 30 日)
有価証券報告書 (自 平成 29 年 1 月 1 日 至 平成 29 年 12 月 31 日)
第 9 期(平成 30 年 12 月期)
第 1 四半期報告書 (自 平成 30 年 1 月 1 日 至 平成 30 年 3 月 31 日)
第 2 四半期報告書 (自 平成 30 年 4 月 1 日 至 平成 30 年 6 月 30 日)
第 3 四半期報告書 (自 平成 30 年 7 月 1 日 至 平成 30 年 9 月 30 日)
【過年度決算短信等の訂正による連結業績への影響額】
過年度決算の本件訂正による連結財務諸表への影響額及び影響率は以下の通りです。なお、
本件訂正に合わせて過年度において重要性の観点から修正を行わなかった事項や、追加的な確
認手続きの実施等で検出された要修正事項の修正も併せて行っておりますが、下記の訂正額は
本件訂正による部分のみを集計しております。
単位:千円(千円未満切捨表示)
期 間 項 目 訂 正 前 本件影響額 訂 正 後 影響率
売上高 3,913,079 △ 95,634 3,817,445 △2.4%
営業利益 848,047 △ 2,772 845,275 △0.3%
第6期 経常利益 720,159 △ 103,062 617,097 △14.3%
(平成 27 年 12 月期)
第 3 四半期 四半期純利益 212,477 △ 102,146 110,331 △48.1%
総資産 8,738,680 △ 102,146 8,636,534 △1.2%
純資産 2,544,246 △ 102,146 2,442,100 △4.0%
売上高 5,545,500 △ 239,085 5,306,415 △4.3%
営業利益 1,081,308 △ 6,930 1,074,378 △0.6%
第6期 経常利益 937,865 △ 154,372 783,493 △16.5%
(平成 27 年 12 月期)
通期 当期純利益 304,248 △ 152,081 152,167 △50.0%
総資産 9,737,737 △ 152,081 9,585,656 △1.6%
純資産 2,644,121 △ 152,081 2,492,040 △5.8%
売上高 1,713,292 △ 6,849 1,706,443 △0.4%
営業利益 150,365 △ 6,849 143,516 △4.6%
第7期 経常利益 25,620 △ 63,250 △37,630 △246.9%
(平成 28 年 12 月期)
第 1 四半期 当期純利益 △ 37,819 △ 61,138 △98,957 161.7%
総資産 9,416,879 △ 215,484 9,201,395 △2.3%
純資産 2,579,391 △ 213,219 2,366,172 △8.3%
4
期 間 項 目 訂 正 前 本件影響額 訂 正 後 影響率
売上高 3,877,720 △ 13,699 3,864,021 △0.4%
営業利益 506,716 △ 13,699 493,017 △2.7%
第7期 経常利益 156,192 △ 62,702 93,490 △40.1%
(平成 28 年 12 月期)
第 2 四半期 四半期純利益 65,687 △ 58,325 7,362 △88.8%
総資産 9,728,960 △ 214,936 9,514,024 △2.2%
純資産 2,639,735 △ 210,407 2,429,328 △8.0%
売上高 6,271,203 △ 20,549 6,250,654 △0.3%
営業利益 890,751 △ 20,549 870,202 △2.3%
第7期 経常利益 491,870 △ 62,154 429,716 △12.6%
(平成 28 年 12 月期)
第 3 四半期 四半期純利益 242,280 △ 55,512 186,768 △22.9%
総資産 10,243,484 △ 216,401 10,027,083 △2.1%
純資産 2,820,123 △ 207,594 2,612,529 △7.4%
売上高 8,849,546 △ 27,399 8,822,147 △0.3%
営業利益 1,557,630 △ 27,399 1,530,231 △1.8%
第7期 経常利益 1,450,696 △ 61,606 1,389,090 △4.2%
(平成 28 年 12 月期)
通期 当期純利益 869,652 △ 52,547 817,105 △6.0%
総資産 10,859,200 △ 218,725 10,640,475 △2.0%
純資産 3,541,290 △ 204,629 3,336,661 △5.8%
売上高 2,552,630 △ 6,849 2,545,781 △0.3%
営業利益 733,063 △ 6,849 726,214 △0.9%
第8期 経常利益 919,765 547 920,312 0.1%
(平成 29 年 12 月期)
第 1 四半期 当期純利益 605,756 2,661 608,417 0.4%
総資産 10,969,899 △ 215,430 10,754,469 △2.0%
純資産 4,118,078 △ 201,967 3,916,111 △4.9%
売上高 4,971,650 △ 13,699 4,957,951 △0.3%
営業利益 1,404,652 △ 13,699 1,390,953 △1.0%
第8期 経常利益 1,598,959 1,095 1,600,054 0.1%
(平成 29 年 12 月期)
第 2 四半期 四半期純利益 1,069,894 5,323 1,075,217 0.5%
総資産 11,514,153 △ 214,882 11,299,271 △1.9%
純資産 4,598,241 △ 199,305 4,398,936 △4.3%
売上高 7,874,146 △ 20,549 7,853,597 △0.3%
営業利益 2,069,634 △ 20,549 2,049,085 △1.0%
第8期 経常利益 2,251,462 1,643 2,253,105 0.1%
(平成 29 年 12 月期)
第 3 四半期 四半期純利益 1,501,584 7,985 1,509,569 0.5%
総資産 11,362,062 △ 214,334 11,147,728 △1.9%
純資産 5,041,353 △ 196,643 4,844,710 △3.9%
売上高 10,988,295 △ 27,399 10,960,896 △0.2%
営業利益 3,075,431 △ 27,399 3,048,032 △0.9%
第8期 経常利益 3,223,377 2,191 3,225,568 0.1%
(平成 29 年 12 月期)
通期 当期純利益 2,210,111 10,647 2,220,758 0.5%
総資産 12,468,645 △ 213,786 12,254,859 △1.7%
純資産 5,792,499 △ 193,982 5,598,517 △3.3%
売上高 5,204,953 △ 6,743 5,198,210 △0.1%
営業利益 1,189,101 △ 6,743 1,182,358 △0.6%
第9期 経常利益 934,593 △ 31,040 903,553 △3.3%
(平成 30 年 12 月期)
第 1 四半期 四半期純利益 471,244 △ 28,959 442,285 △6.1%
総資産 35,371,193 △ 244,827 35,126,366 △0.7%
純資産 21,618,813 △ 222,941 21,395,872 △1.0%
売上高 11,544,881 △ 13,487 11,531,394 △0.1%
営業利益 2,262,137 △ 13,487 2,248,650 △0.6%
第9期 経常利益 2,424,125 △ 30,500 2,393,625 △1.3%
(平成 30 年 12 月期)
第 2 四半期 四半期純利益 1,369,611 △ 26,338 1,343,273 △1.9%
総資産 34,834,478 △ 244,287 34,590,191 △0.7%
純資産 24,819,539 △ 220,320 24,599,219 △0.9%
5
期 間 項 目 訂 正 前 本件影響額 訂 正 後 影響率
売上高 18,623,191 △ 20,231 18,602,960 △0.1%
営業利益 3,972,259 △ 20,231 3,952,028 △0.5%
第9期 経常利益 4,286,191 △ 29,961 4,256,230 △0.7%
(平成 30 年 12 月期)
第 3 四半期 四半期純利益 2,383,538 △ 23,717 2,359,821 △1.0%
総資産 35,903,676 △ 243,748 35,659,928 △0.7%
純資産 26,402,730 △ 217,699 26,185,031 △0.8%
2. 過年度決算を訂正するに至った経緯
多結晶ダイヤモンドパウダー(以下、
「本件商材」という。)を対象商材とし、A 社を売主、当
社を買主及び転売主、転売先を B 社とする取引(以下、
「本件取引」という。)に関する疑義の判
明後、当社は平成 30 年 12 月 14 日に特別調査委員会を設置し、平成 31 年 2 月 1 日に調査報告書
(以下、「調査報告書」という。)を受領いたしました。特別調査委員会の報告を踏まえた本件取
引に関する当社の事実認識は以下の通りです。
(1) 本件取引が行われた経緯等について
① 本件取引紹介先である A 社と当社の関係について
当社の代表取締役社長である方社長は、 A
過去に別会社を経営していた際、 社の代表取締
役である a 氏に対し、 社が取り扱っているシリコンの端材を販売してくれるように要請し
A
ました。これを契機として方社長と a 氏の交流が始まりました。なお、a 氏は当社設立時の
出資者の一人でもあります。また、当社は、A 社からシリコンウエーハを購入し、それを加
工してダミーウエーハとして販売するなどの取引で、A 社と関係がありました。
② a 氏による b 氏の紹介について
a 氏と B 社の代表取締役社長である b 氏とは十数年の取引があり、a 氏は、b 氏から、本
件商材が今後伸びるとして、本件商材の取引において、B 社とその関連会社である B’社と
の間に入ることによって、実質的に資金提供をしてくれる会社を探してほしい旨の依頼を
受けました。そこで、a 氏は方社長が新たな事業領域を見つけて事業を拡大していきたいと
いう希望があることを耳にしていたことから、当社が間に入るのがいいのではないかと考
えました。
平成 27 年 2 月~3 月頃(以下、日付は平成 27 年であるため省略しています。、
) 方社長は、
a 氏から、レアメタルや金属シリコン等の商材にたけている B 社という会社があること、同
社が本件商材の取引を行う取引先を探していること、本件商材は研磨剤として利用される
ものであり、シリコンウエーハの延長線上ともいえる商材であること等から、当社の新た
な事業にすればいいのではないかなどと説明を受けて、一度 b 氏と面会してみないかと打
診されました。5 月 21 日、a 氏は、b 氏から送信されてきたメールを、方社長に対して転送
しました。この転送メールでは、本件取引の商流として「販売先←B 社←資金提供会社←B’
社←仕入先」と記載されており、当社が B 社とその関係会社である B’社との間に入り、資
金提供するための会社であるという位置付けでした。
③ 三者間での面談について
6 月 5 日、方社長は、a 氏及び b 氏と面談をし、両氏から、今後本件商材を含む各種商材
6
に関するビジネスにおいて提携していきたいと話を受けました。
この時、方社長は、当社が単に B 社と B’社の間に入って資金提供をするのではなく、入
口又は出口に入る商流として欲しい旨を伝えました。ここでいう「入口」とは、当社が中
「出口」とは、当社が B 社ではなくエ
国企業から直接輸入をするという意味であり、また、
ンドユーザーに対して直接販売をするという意味でした。
なお、方社長は、鈴木正行取締役管理本部長(以下「鈴木管理本部長」という。
)に対し、
a 氏及び b 氏から本件商材の商流に加わって欲しいと依頼を受けたことを相談していました。
この相談に対して、鈴木管理本部長は、当社の今後の事業拡大を踏まえ、仕入先のルー
ト確立や販売先との関係構築を見据えて入口又は出口に当社が関与しなければならず、単
に商流の間に入るだけの取引は行うべきではないこと、また、単なる金融取引は定款の事
業目的に記載がないことからできないと忠告していました。
④ 本件取引に関する b 氏からの更なる要請について
7 月 15 日、a 氏は、b 氏から送信されてきたメールを、方社長に対して転送しました。こ
の転送メールでは、本件取引参加への更なる要請がなされ、新たな商流として「B’社→A
社→当社→B 社」(当社は単に間に入る商流)と記載されておりました。
⑤ 方社長と a 氏の間の面談について
7 月 22 日、方社長は出張先において a 氏と会食し、a 氏に対して、改めて、当社が入口又
は出口に入る商流でなければ取引を開始することはできないため、少なくとも以前より信
頼関係が構築されていた A 社が当社の代わりに入口に入る商流にして欲しい旨を伝えまし
た。この時、a 氏が方社長の提案を否定せず、本件取引を進めていきたいという趣旨の返答
をしたことから、方社長は、A 社が入口に入り、中国企業から対象商材を輸入するという商
流になると認識しました。
⑥ 取引のスタート
当社は、 社が中国から対象商材を直接輸入することを信じて疑うことなく A 社及び B 社
A
とそれぞれ基本取引契約書を交わしました。さらに、方社長は、本件取引を開始するにあた
って本件商材の現物や B 社の本社を確認する必要があるため、8 月 5 日に a 氏と B 社本社を
訪問し、本件商材の瓶が複数本保管されていることを確認し、当社役職員に見せるためのサ
ンプルとして、B 社から本件商材が入った瓶の現物を借り受けました。
同月、本件取引がスタートいたしました。
⑦ 当社が認識していた本件取引の具体的スキーム
中国企業 → A 社 → 当社 → B 社 → X 社・Y 社
・当社は、A 社が中国企業から仕入れた対象商材を B 社に販売(対象商材は A 社から B
社に直送し、当社を経由しない)
・当社は、A 社からの仕入れと同時に B 社に売上
・当社は、A 社に対して仕入れと同時に代金を支払い、3 ヵ月後に B 社から売上を回収
(2) 本件取引を行った動機
取引に至った経緯は前述の通りですが、その動機としては、当社として更なる成長のため
7
に新たな事業領域を開拓したいという意思があったこと、さらに、本件商材は拡販の可能性
が非常に高く、当時取引関係になかった大手企業に対して営業活動が可能になると考えてい
たことが挙げられます。
一方、当社の各関係者が本件取引を容認した主な理由(背景)は以下の通りです。
・本件取引が以前より取引があった信頼できる A 社代表者であり、また当社設立時の株主
であった a 氏から方社長への紹介であったこと
・商流が変更され、当社が B 社グループの間に入るのではなく、入口は A 社が中国企業か
ら輸入することになったと認識したこと(ただし誤認だった。)
(3) 本件取引開始時の手続きとリスク管理の状況
本件取引に係る基本契約書は、標準書式とは別の書式を使用したため、当社の債権管理規
程に基づき、社長決裁が必要となっていました。しかし、本件は社長が取引基本契約書の内
容を認識していたために、この手続きが適正に実施されませんでした。
また、B 社の与信調査としては、A4 サイズ 1 枚の信用調査表を取り寄せ確認したのみでし
た。
その後は、取引の都度、稟議書を作成していましたが、記載内容は品名、数量、金額、支
払日のみで内容的に乏しいものでありました。
リスク管理として、エンドユーザーからの注文書等の写しを取得していましたが、マスキ
ングが多く施されているにもかかわらず、そこに偽造又は変造されたものではないかという
疑いを持つことができませんでした。
また、本件取引は、方社長の指示によって、管理部門に所属し内部監査担当を兼務してい
た経営企画室長が実務を担当しており、実質的に内部監査対象となっておらず、監査対象外
となっていました。
(4) 本件取引の実態
今回の調査によって、本件取引は対象商材が存在せず、当社が、B 社と B’社の間に入って
資金提供をしていたことが判明しました。
(5) 不適切な会計処理の概要と訂正処理について
調査報告書の内容とそれを受けた当社内での検討を踏まえ、当社は平成 27 年 8 月から行わ
れた本件取引は実際には商材の移動を伴わない架空取引であり、支払いサイトと回収サイト
との差を用いた当社での資金負担を目的とした資金循環取引であるため、通常の商取引とし
ての会計処理は適切ではないと判断いたしました。
その結果、過去の売上高及び仕入高は実態を欠くものとし遡及的に取り消すこととし、当
社における資金の支払・回収に関する資金決済差額も通常の商取引における債権ではないた
め、長期未収入金として計上を行いました。併せて当該長期未収入金に対しては、各期末に
おける回収可能性を検討の上、貸倒引当金の設定を行いました。
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3. 原因分析
(1) 本件取引に関する個別的な確認不足
本件取引開始前後において、本件取引が取扱商材の実在しない架空取引であることを検知
できなかった個別的な原因としては、以下の商流・実在性・証票書類の各種確認不足にあっ
たものと認識しております。
① 商流の確認不足【A-1】
本件取引は、取引毎に商材の確認ができない直送取引であったことから、当社は、仕入
先である A 社に対し、本件商材を中国企業から直接輸入していることを証明できる事項を
確認すべきでした。これによって、取引商材の実在性の有無も確認できました。しかし、
当社は、それらの事実確認を特段行うことなく本件取引を開始してしまいました。
② 実在性等の確認不足【A-2】
取引開始前に本件商材のサンプルを確認したにとどまり、仕入先の倉庫など在庫保管場
所で実際の本件商材の保管状況を確認しておらず、エンドユーザーにも直接確認していま
せんでした。
B 社は非上場の新規取引先であり、その実態及び信用力は当社にとって全く未知数であ
ったため、B 社からの債権の回収可能性の検証という観点からも本件商材の実在性並びに
物流及び在庫の所在の把握・確認や、B 社の当社に対する支払原資となる B 社とエンドユ
ーザーとの間の取引の実在性の確認を努めるべきでありました。しかし、当社は、B 社に
対する通り一遍の信用調査(企業概要、代表者の出身校等の情報、直近 2 期の売上高及び
利益などの情報が記載された A4・1 頁程度の信用調査会社提供の基本データの確認)をし
たにとどまりました。
③ 証憑書類の確認不足【A-3】
当社は、本件取引の開始後、ほぼ毎月、エンドユーザーからの B 社宛の注文書を B 社か
ら取得していました。しかし、この注文書は、品名、数量、単価等がことごとく黒塗りに
されており、本件商材を含めて取引内容をおよそ推知できない、証憑としての価値が認め
られないものでした。また、当該注文書は、複製物の痕跡や字体の不一致などから一見し
て異様・不審な体裁が認められるものでもありました。しかし、当社は、売掛金の回収が
問題なく行われていたため、当該注文書の内容に疑義を抱くことがなく、A 社や B 社に対
しても特段の確認をしていませんでした。
(2) 本件取引に関する確認不足を生んだ背景的な要因
次に、これらの確認不足を生んだ背景事情としては、以下の要因を認識しております。
① 紹介先の過度の信用【B-1】
当社は、本件取引の紹介先である A 社代表者である a 氏を過度に信用した結果、社内で
十分な検討を経ることなく商談を進め、また、a 氏との商談のなかで A 社が中国から直接
輸入するということも信じて疑いませんでした。
a 氏は、当社の元出資者であり、当社の本業の原料となる中古のウエーハを当社に対し
供給した点において、当社の創業期を支えた立役者といえる側面があり、a 氏の紹介であ
9
るという事情だけで B 社ないし b 氏を信用したという事情は否定できません。
その結果、当社は、本件取引が新規取引かつ輸入商材の直送取引というリスクが高い取
引であるため慎重を期するべきであったにもかかわらず、取引の開始前後における確認・
検証を十分に行っていませんでした。
② 情報の共有化不足【B-2】
役職員間での情報共有が口頭でなされることが多く、本件取引においても、その検討の
ための必要な情報が書面等の客観性のある媒体で十分に共有されていませんでした。
特に本件取引開始当時の旧本社ビルでは、方社長と鈴木管理本部長をはじめとする管理
部門に所属する職員が、ワンフロア内の至近距離におり、口頭での相談を多用していまし
た。そのため、情報が書面やメール等の客観性のある媒体で共有化される機会が少なく、
また、その場にいない役職員との正確かつ明確な情報共有も不十分となっていました。
本件取引に関しても、当社における管理面の要ともいえる鈴木管理本部長の知る情報が、
方社長から断片的に受ける相談や報告にとどまり、適切な対応を取るために必要となる情
報が十分に共有されていませんでした。また、取引における検討内容や結果がわかる証憑
も残っておらず、取引の妥当性や責任の所在等の事後的な検証も難しい状況でありました。
③ リスクに応じた取引の検討方針の未整備【B-3】
本件取引は、新規取引であり、さらに輸入商材の直送取引というリスクが高い取引でし
たが、当社が大手半導体メーカーを主要な取引先とした取引を行っていたことから直送取
引が潜在的に有するリスクに対する認識が乏しかったため、このようなリスクの高い取引
に対して、どのような視点・観点で検討していくかの方針が未整備でありました。
(3) 本件取引の実施段階において早期に問題を発見できなかった原因
次に、本件取引の実施段階において、早期に問題を発見できなかった原因としては、以下
の内部統制の整備・運用上の問題を認識しております。
① 内部統制の脆弱性【C-1】
本件取引の特徴に、方社長が全面的に取引先等との交渉や案件を具体化させるまでの案
件形成プロセスに関与したという点があります。当社の役職員は、方社長が案件形成を進
めたという意識から、稟議・承認プロセス等の個別的な手続きをなおざりにしてしまいま
した。
具体的には当社の職務権限規程では、取引先との契約の締結については稟議が必要とさ
れ、担当取締役の決裁による承認を経るべきとされていますが、A 社及び B 社との間の取
引基本契約書の締結を行う際の稟議を行っていませんでした。
本件取引の毎月の実行に際しては、稟議が行われていましたが、当該稟議書において、
品名、数量、取引金額、支払日以外の記述がほぼ皆無であり、添付資料も存在せず、稟議
の情報としては不十分なものでした。また、平成 28 年 1 月及び平成 30 年 1 月の取引金額
の増額時においても、当社の役職員間において必ずしも十分な検討も行われておりません
でした。
また、本件取引の営業事務は、当社の業務分掌規程上、本来営業部職員が従事するとこ
10
ろ、方社長の指示により当初は法務の窓口である経営企画室長が担当し、本件取引におけ
る取引基本契約書の作成・取り交わし、注文書や注文請書等の帳票の授受・確認を行うと
ともに、取引当事者間の連絡窓口でもありました。この経営企画室長は、内部監査も担当
していたため、本件取引が内部監査の対象外となっていました。
② 監査機能の脆弱性【C-2】
本来であれば経営陣の補佐を業務とする経営企画室が内部監査も担当し、また、本件取
引当時、内部監査の担当者が経営企画室長の 1 名のみでマンパワーが不足しており、監査
機能が適切に発揮されていませんでした。
③ リスクに応じた債権管理の欠落【C-3】
当社は大手半導体メーカーを主要な取引先としていたことから、債権管理に対する意識
が全社的に乏しく、債権残高ベースでの管理ができておりませんでした。そのため、本件
取引のように回収期間が長い取引についても、毎月の代金回収に問題がない限り、特段の
注意が払われない状況となっていました。
本件取引が、輸入商材の直送取引というリスクが高い取引であるにも関わらず、平成 28
年 1 月及び平成 30 年 1 月にそれぞれ B 社から増額要請があった際、当社はその増額理由の
真偽及び妥当性について十分な確認・検証をすることなく、B 社に求められるがまま増額
に応じてしまいました。本件取引に疑義を持ち、架空の資金循環取引であることを検知す
る貴重な機会を生かせませんでした。
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II. 改善措置並びにその実施状況及び運用状況等
1. 改善報告書記載の改善措置並びにその実施状況及び運用状況等
(1) 商社的取引に関する検討事項の明文化(
【B-3】【A-1】~【A-3】【B-1】に対応)
、 、
【改善報告書に記載した改善策】
新規の商社的取引の取引開始時には、以下のとおり、商談の経緯、商流の確認及びリ
スク把握を徹底します。
ⅰ)新規に商社的取引を行う際は、取引開始に係る稟議書において、後述する(2)の内
容を記載するとともに、営業部が商流、仕入先、商材内容、在庫リスク、直送取引の
有無及び営業部の打ち合わせメモ等を記載した書類(売上判断シート)及び商流スキ
ーム図を添付することにします。これにより、当該稟議が回付される総務人事部、財
務経理部及び決裁者において、商流の確認やリスクを把握することができるようにな
ります。
ⅱ)非上場企業と取引を行うときは、原則として決算書又は信用調査報告書を取得しま
す。決算書又は信用調査報告書が取得できない先については、前金・担保等の保全を
行うことを含めて検討します。
ⅲ)現物が確認できない直送取引は原則行いません(現物が確認できない直送取引とは、
当社が仕入先もしくは販売先と直接取引を行わない取引、当社が商材の物流に関わら
ない取引を指します。。営業施策等の都合上、直送取引を行う必要がある場合には取
)
締役会決議事項とします。
ⅳ)上記の内容を、職務権限基準表、販売業務マニュアルに明記します。
→ 令和元年 7 月実施。
(主管部署 営業部 財務経理部)
(2) 各種稟議等の記載内容の充実化(【B-2】【B-1】【C-1】に対応)
、 、
【改善報告書に記載した改善策】
稟議及び取締役会で審議が十分に行われるようにするため、稟議書に記載する内容及
び取締役会附議内容の充実化を図ります。具体的には、取引区分(仕入・売上)
、初回取
引日、取引先情報(社名、代表者、資本金等)、取引条件、与信額等の記載内容を定めた
稟議書等の書式を作成し、また、外部の信用調査報告書等を稟議に添付することにしま
す。加えて、取引を行うにあたって必要となる社内手続き(反社チェック、信用情報の
取得、稟議手続き等)を記載したフロー図も作成します。
これにより、取引先、契約内容の精査や内包するリスクを把握することができ、十分
な審議が行われるようになります。
→ 令和元年 5 月実施。
(主管部署 営業部、総務人事部)
【実施・運用状況】
ⅰ)商社的取引の現状
商社的取引とは、商品を仕入れた後、当社で加工を行うことなく、仕入れたままの状
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態で得意先へ転売を行う取引のことを指します。例えば、当社では、半導体製造関連装
置である超音波検査装置などを手がけています。商社的取引は、平成 28 年度に売上金額
約 15 億円であったところ、平成 30 年度には約 24 億円に増加し、当社の連結売上全体の
約 9 パーセントを占めるようになりました。
当社では、商社的取引を扱う半導体関連装置・部材等のセグメントを、再生ウェーハ
事業及びプライムウェーハ製造販売事業に次ぐ第 3 の柱に育てたいと考えております。
改善報告書を提出した平成 31 年 4 月から令和元年 11 月までの間、当社は、新規取引
先との商社的取引を 3 件、過去に取引をしたことがあった会社との新しい商社的取引を
2 件、それぞれ行いました。
ⅱ) 稟議書内容充実化、売上判断シート及び商流スキーム図の添付
当社では、従来、稟議書式の記載内容が定まっていなかったことから、稟議書へ記載
する情報が十分ではない状況でした。そこで、令和元年 5 月、稟議書に必要項目が漏れ
なく記載されるように稟議書式を改め、取引区分(仕入・売上)
、初回取引日、取引先情
報(社名、代表者、資本金等) 取引条件、
、 与信額等の記載項目を新設しました。さらに、
新規の商社的取引を行う際には、当該稟議書へ、物流、販売先の属性(エンドユーザー
か商社か) 直送取引か在庫取引か、
、 取引に至る経緯と商流への参加理由等を記載した「売
上判断シート」及び商流・物流等を図式で示した「商流スキーム図」を添付することと
しました。また、これらの手続きを行うにあたって必要となる社内手続き(反社チェッ
ク、信用情報の取得、稟議手続き等)を記載したフロー図を含め、与信マニュアルに定
めました。
改善報告書提出後に新たに行った商社的取引 5 件では、記載内容を充実化させた稟議
書を使用し、取引の実施可否の判断に必要な情報が記載されるようにしました。
この稟議書式の改訂、新設の与信マニュアルに則った実務を行った結果、稟議書が回
付される部署である財務経理部、総務人事部及び決裁者において、商流の確認やリスク
等の情報を把握することができ、深い検討及び議論をし、適切なリスク管理をすること
ができるようになりました。
ⅲ)非上場企業との新規取引開始時の取り扱い
令和元年 7 月、非上場会社との新規取引を検討する際には、原則として決算書又は信
用調査報告書を取得すること、また、上記のいずれも取得できない場合には、前金・担
保等の保全を行うことを含めて検討するというルールを、与信マニュアルに定めました。
上記運用を開始した令和元年 5 月以降、非上場会社と新規商流にて取引を開始した案
件は、上記 5 件が該当します。このうち、2 件は既存販売先で予め設定していた与信限
度額を超えない取引であったため、決算書及び信用調査報告書の取得は行いませんでし
たが、3 件は新規販売先のため、うち 1 件は決算書を取得、うち 2 件は決算書または信
用調査報告書を取得しつつも前金で保全する対応を行いました。
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ⅳ)現物が確認できない直送取引の取り扱い
当社は、商社的取引を行う場合、営業担当者による現物の確認、もしくは、仕入先と
販売先との間の物流を請け負うことで商材の実在性を確認の上、実施していたことから、
改善報告書提出日(令和元年 11 月)までに現物が確認できない直送取引の実績はありま
せんでした。
当社は、現物が確認できない取引を原則行いませんが、営業施策等の都合上、当該取
引を実施する場合には、全て取締役会決議とすることとし、令和元年 8 月、その旨を職
務権限基準表に定めました。
上記の新規の商社的取引の取引開始時に関する取り扱いにつきましては、適切なリス
ク管理を早期に実施するため、規程の制定に先立って、いずれも令和元年 5 月より運用
を開始しております。上記対応を行うことにより、商談の経緯や取引の商流を踏まえた
リスク評価と取引実施可否に関する十分な検討を行うことができたと考えております。
(3) 社長案件に対する牽制(
【C-1】に対応)
【改善報告書に記載した改善策】
社長が関与する案件については、以下により対応することにしました。
・取引先との面談に社長が同席する場合を社長案件とします。この場合、社長のほか 1
名以上の営業担当者が面談に同席し、当該営業担当者が事務手続を行います。
(なお、
取引先との面談に至る前に、社長より営業担当者へ取引案件を引き継いだ場合は、社
長案件としません。
)
・社長案件の取引開始は、取引金額基準により取締役会報告事項又は決議事項とします。
なお、取引金額基準は職務権限基準表に定めることとします。
・上記内容を、職務権限基準表、販売業務マニュアルに明記します。
→ 令和元年 5 月実施(規程・マニュアル化は 7 月実施)(主管部署 営業部 財務経
。
理部)
【実施・運用状況】
これまで社長が関与する案件に対し、牽制機能が発揮される体制の整備が十分ではな
かった点を踏まえ、以下のとおりとしました。
社長が新規商談(取引内容・数量・条件を交渉)に出席した案件を社長案件としまし
た。上記の定義とした理由は、当社の商社的取引の販売先は主に中国の半導体メーカー
であり信用情報等の入手が難しく、そのような場合に、社長自ら取引先と面談して入手
する主観的な情報や恣意的な判断により、決裁者の下す取引開始の判断が歪められる可
能性があるためです。
社長案件の場合は、社長のほか 1 名以上の営業員が同席すること、当該営業員が、商
談の議事録を作成し、案件が固まれば金額・内容にかかわらず稟議書を作成するといっ
た事務手続を行うこと、及び職務権限基準表に基づいた決裁手続きを行うこととしまし
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た。併せて、社長案件の稟議書には、件名欄の最初に「社長案件」と朱書きすることと
し、他の稟議と明確に区別できるようにしました。これらの手続きについて、令和元年
7 月に、社長案件取組マニュアルに定めました。
なお、職務権限基準表の取引金額基準により、社長案件は取締役会で報告(原則とし
て取引実施前の事前報告)又は決議をすることとしました。
社長案件に関する実際の運用は、適切なリスク管理を早期に実施するため、規程・マ
ニュアル化に先立ち、令和元年 5 月より運用を開始しております。令和元年 5 月から令
和元年 11 月までの間、社長を通じて取引先の紹介を受けたことはありましたが、具体的
な商談(取引内容・数量・条件を交渉)は営業部がすべて対応していたことから、社長
案件の取り扱い実績はありませんでした。
上記再発防止策の実施により、社長案件について牽制機能が発揮される体制を整備で
きたものと考えております。
(4) 内部監査室の新設及び人員増強(【C-1】【C-2】に対応)
、
【改善報告書に記載した改善策】
平成 31 年 4 月に内部監査室を新設し、これまで 1 名体制であったところ、 名体制
2 (専
任者1名)としました。
(主管部署 内部監査室)
【実施・運用状況】
平成 31 年 4 月に内部監査室を新設し、専任者を 1 名追加(新規採用)の上、2 名体制
で運用することにしました。当該専任者は、公認内部監査人及び公認不正検査士の有資
格者であり、また、上場会社における内部統制及び内部監査の実務経験を 10 年間有して
いることから、適格な人材であると判断しております。
平成 31 年 4 月以降、毎月 1 部署もしくは海外子会社 1 社を選定し内部監査を実施しま
した。また、内部監査終了後に各被監査部署より改善計画書の提出を受け、改善状況の
モニタリングも行い、これら内部監査の結果について、1 部署もしくは海外子会社の内
部監査が終了するごとに、取締役会へ報告しました。
上記専任者の追加により、内部統制監査及び業務監査に集中でき、内部監査体制を強
化できたものと考えております。
なお、内部監査室において 1 名が経営企画室との兼務となっていますが、来年下期を
目途に兼務者をなくし内部監査室を専任者 2 名体制とすることで、内部監査室の独立性
がさらに担保される体制を構築する予定です。
(5) 債権管理に関する規程の見直し(【C-3】に対応)
【改善報告書に記載した改善策】
与信管理が不十分であったことから、与信管理の責任主体を明確化するために、平成
31 年 3 月に債権管理規程を見直し、
与信管理を営業部が実施することを明確にしました。
また、営業部が実施する与信管理への牽制を強化するため、正当な理由がなく売掛債権
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に滞留があった場合には、営業部長が財務経理部長に報告することとしました。
さらに、債権管理に関するシステム化を行い、各取引先の与信額を基幹業務システム
(ERP)に登録し、与信額以上の受注を受け付けない仕組みにする対応も行います。
→ 債権管理規程の見直しは平成 31 年 3 月実施済み、ERP 債権管理機能導入は令和元年
6 月実施(主管部署 営業部、財務経理部)
【実施・運用状況】
当社は、大手半導体メーカーを主要な取引先としており、回収に対する懸念が少なか
ったことから、債権管理に対する意識が全社的に乏しく、管理が不十分な状況でした。
そのため、営業部において売掛債権の請求処理を実施し、また、財務経理部において売
掛債権の消込処理を行っていましたが、責任主体が曖昧で、取引先ごとの債権管理が不
十分な状況でした。そこで、平成 31 年 3 月に、債権管理規程の見直しを行い、与信管理
の責任主体を明確化するために与信管理の主体(営業部が与信管理を実施すること)を
定めるとともに、売掛債権に滞留があった場合には営業部長が財務経理部長に報告する
といった牽制体制についても定めました。
さらに、これまで各取引先の与信限度額を設定していませんでしたが、取引先が拡大
していることを踏まえ、与信限度額の設定を行いました。また、基幹業務システム(ERP)
への受注入力時点において予め登録した与信枠を上回る場合には受注を受け付けないシ
ステムの導入・運用を開始しました。
何れも改善報告書において報告していた令和元年 6 月実施より遅れ、8 月※より暫定
運用を開始し、9 月より本格運用を開始しました。
上記より、債権管理規程の整備及び責任の明確化に加え、基幹業務システム活用によ
る実効性を確保したことから、与信管理体制を整備することができたものと考えており
ます。
※遅延の理由は、与信限度額の設定に当たってのルール作り、及び、各取引先の与信
限度額設定に関して財務情報収集に想定以上の時間を要したためです。
(6) 債権管理に関する業務の整備(
【C-3】に対応)
【改善報告書に記載した改善策】
これまで、取引先からの入金に対して該当する売掛金を個別に対応させて消込む手続
及び売掛債権の回収遅延時の手続については、財務経理部が担当していましたが、営業
部内に新設した営業管理担当者が当該手続を行うことにします。その上で、財務経理部
がこれらの手続が適切に行われているかの状況を確認することにします。
これにより、営業部が債権回収に対し責任を持つことになることに加え、運用の適切
性を財務経理部が確認することで、牽制強化が図られると考えます。
→ 令和元年 6 月実施(主管部署 営業部)
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【実施・運用状況】
(5)に記載のとおり、営業部へ債権管理に対する責任を持たせ、さらに債権管理業務
の適切性を財務経理部が確認することで、牽制強化を行う体制としました。具体的な対
応内容は以下のとおりです。
売掛金を消し込む手続きについては、平成 31 年 1 月に営業部内に新設した営業管理グ
ループの営業管理担当者が、財務経理部からの銀行入金情報の報告をもとに、入金情報
がどの売掛金明細(請求書単位)に該当するかを確認した上で売掛金の消込作業を行う
こと及び財務経理部がその消込が適切であるかを確認することにしました。
また、営業管理グループは基幹業務システム(ERP)にて、毎月、滞留債権の有無を確
認し、滞留債権がある場合には営業担当者へ確認すること、営業担当者は滞留理由及び
回収時期等を確認した上で営業管理グループ及び財務経理部へ報告すること、財務経理
部は、毎月、基幹業務システム(ERP)の債権状況と営業部による売掛債権状況報告とを
突合させてチェックすることにより牽制を効かせることにしました。これらの手続きは、
令和元年 8 月※より実施しております。
令和元年 8 月以降、入金が遅延している売掛債権がありましたが、当該債権について
は、営業担当者が遅延理由及び回収時期等の確認を行い、再設定した回収期日までに入
金してもらえるよう営業部と財務経理部が連携してモニタリングを実施するなどの対応
を行っております。
※改善報告書に記載した時期である令和元年 6 月実施より遅延した理由は、現在使用
している基幹業務システム(ERP)へ業務を移行する際のデータに情報不足があり、当該
債権の再整理に当初想定以上に時間を要したためです。
(7) コンプライアンス教育の実施(その他追加対応)
【改善報告書に記載した改善策】
役職員のコンプライアンス意識を高めるため、継続的にコンプライアンス教育を行い
ます。
ⅰ) 役員に対しては、上場会社役員として常にコンプライアンス及びガバナンスに対
する意識を高く保つため、年 2 回程度、顧問弁護士等によるコンプライアンス、ガバナ
ンス研修を継続的に実施します。
→ 令和元年 5 月の役員会終了後に第 1 回目を実施し、以降定期的に実施
ⅱ) 職員に対しては、まずはコンプライアンスの重要性を認識してもらうため顧問弁
護士による勉強会を実施し、その後は 1 年ごとに継続的にeラーニング等を利用したコ
ンプライアンス教育を実施します。
→ 令和元年 6 月実施(主管部署 総務人事部)
【実施・運用状況】
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下表の通り、役員及び職員を対象としたコンプライアンス研修を実施しました。やむ
を得ない理由により参加できなかった者に対しては、後日研修会の資料やビデオファイ
ルを配布しフォローを実施しました。
今後も、役員に対してはコンプライアンスについて顧問弁護士による研修を、また、
職員についてもコンプライアンスについての e ラーニング学習を、それぞれ少なくとも
年 1 回実施し、コンプライアンス教育への取り組みを継続いたします。
実施日時 対象者 参加人数 研修内容
令和元年 役員及び 16 人 コーポレートガバナンス及び取締役の義務
5 月 15 日 部長 の再確認、不祥事事例の紹介や予防策及び発
生時対応についての説明(講師:当社顧問弁
護士)
令和元年 本社職員 31 人 コンプライアンスの再認識や実践に向けて
6 月 26 日 の意識向上、社内規程の理解及び遵守の重要
及び 性についての説明。併せて、社内規程の保管
6 月 28 日 場所(社内イントラ)を再確認し、業務に必
(2 回開催) 要な規程を熟読するよう呼びかけを実施(講
師:当社顧問弁護士)
令和元年 工場職員 334 人 主任・作業長以上については本社職員向け研
7 月 26 日~8 修の内容をビデオにて受講。それ以外の職員
月 19 日 は製造現場におけるコンプライアンスに関
(10 回開催) する内容を DVD 教材にて受講
(8) 管理部門の人員増強(その他追加対応)
【改善報告書に記載した改善策】
管理各部において以下のとおり、人員増強を行います。
ⅰ)財務経理部
平成 31 年 3 月時点で 4 名体制のところ、専門性及び体制面での強化を図るため、財務
経理部長職及び監査法人経験者を含め 3 名増員しました。また、1 名の採用を確定済み
で、8 名の体制となる予定です。
ⅱ)総務人事部
平成 31 年 3 月時点で 2 名体制のところ、1 名を増員し、3 名体制としました。
ⅲ)営業管理グループ(営業部内に新設)
平成 31 年 1 月に営業部におけるバックオフィス業務を行う部署として新設しました。
現時点で課長代理 1 名体制ですが、1 名の採用を確定済みで 2 名体制となる予定です。
上記に記載の通り現時点で必要な人員については確保済みですが、今後のビジネスの
成長に合わせ、必要な人員増強を適宜行って参ります。
(主管部署 総務人事部)
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【実施・運用状況】
ⅰ)財務経理部
平成 31 年 3 月時点で 4 名体制のところ、令和元年 5 月までに上場企業財務経理経験者
及び公認会計士の有資格者等 5 名を増員しました。一方、既存の 1 名が令和元年 10 月に
総務人事部へ異動したため改善状況報告書提出日(令和元年 11 月)現在は 8 名体制とな
っております。増員後の新たな体制の下で、売掛金消込作業や売掛債権状況報告等の新
たな業務への実務対応を行いました。また、再発防止策の実施に関連した規程・ルール
等の見直し等についても関与しました。
ⅱ)総務人事部
平成 31 年 3 月時点で 2 名体制のところ、令和元年 10 月までに、財務経理部からの異
動を合わせて 3 名増員し、5 名体制としました。増員したことにより、組織運営、人事・
労務管理、IT 化推進等に係る事項について、よりきめ細かな対応が可能となり、再発防
止に向けた社内体制の強化及び社内の意識向上に対して積極的に関与することが可能と
なりました。
ⅲ)営業管理グループ(営業部内に新設)
平成 31 年 1 月に営業部内に営業管理グループを新設し、課長代理 1 名を配置しており
ました。令和元年 5 月に 1 名増員し 2 名体制としましたがその後退職したため、改善状
況報告書提出日(令和元年 11 月)現在は 1 名体制となっております。
なお、改善報告書では 2 名体制とする旨記載しておりましたが、基幹業務システム(ERP)
の導入により、売上や仕入等に関する入力・承認業務の効率化が図られたことを考慮し、
現時点では 1 名体制が妥当であると判断しております。
(9) 通報窓口の拡充(その他追加対応)
【改善報告書に記載した改善策】
通報窓口はこれまで社内のみであったところ、平成 31 年 3 月に当社顧問弁護士事務所
にも窓口を設けました。平成 31 年 4 月に通報窓口の追加について、当社役職員に対して
メール及び掲示によって、周知しました。
→ 平成 31 年 4 月に実施済み(主管部署 内部監査室)
【実施・運用状況】
平成 31 年 3 月に当社顧問弁護士事務所にも窓口を設けるとともに、平成 31 年 4 月に
通報窓口の追加について、当社役職員に対してメール及び掲示によって周知しました。
なお、改善状況報告書提出日(令和元年 11 月)までに 1 件の通報を受け、必要な対応
をとりました。
(10) 再発防止対策委員会の設置(その他追加対応)
【改善報告書に記載した改善策】
再発防止策を確実に実行するために、取締役管理本部長を委員長とし、経営企画室を
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中心として内部監査室もメンバーに加えた再発防止対策委員会を設置しました。当初の
1 年は、毎月、再発防止対策委員会を開催し、上記(1)~(9)の再発防止策の実施状
況を確認し、その有用性についても検討を行い、必要に応じて対策を追加し、再発防止
策の達成を図ります。また、再発防止策の実施状況を取締役会等においても報告します。
1 年後は内部監査室が再発防止策の実施状況を継続的に確認及び報告等を行う体制とし
ます。
→ 平成 31 年 4 月に設置済み(主管部署 経営企画室)
【実施・運用状況】
平成 31 年 4 月に再発防止対策委員会を設置し、月 1 回~2 回の頻度で計 15 回、再発防
止対策委員会を開催し、再発防止策の対応方針の協議、進捗状況及び再発防止策の内容確
認・検討等を行いました。
(再発防止対策委員会メンバー)
委員長 取締役管理本部長
委員 内部監査室室長代理、総務人事部部長、営業部部長、営業部課長代理、
財務経理部部長、財務経理部課長
事務局 経営企画室室長
なお、各回の検討・協議の状況については、令和元年 8 月 9 日及び 10 月 11 日開催の取
締役会へ報告を行いました。また、再発防止策の大枠につき整備の目処がついたこと、及
び、前記のとおり、内部監査室の体制が強化されたことから、再発防止対策委員会の設置
後 1 年を経過した令和 2 年 4 月以降、再発防止対策委員会は解散の上、内部監査室にて引
き続き再発防止策の運用状況の継続的な確認を実施していく予定であります。
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2. 改善措置の実施スケジュール
平成31年(令和元年)
2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月
(1)商社的取引に関する検討事項の明文化
(2)各種稟議等の記載内容の充実化
(3)社長案件に対する牽制
(4)内部監査室の新設及び人員増強
(5)債権管理に関する規程の見直し
(6)債権管理に関する業務の整備
(7)コンプライアンス教育の実施
・役員向け
・職員向け
(8)管理部門の人員増強
(9)通報窓口の拡充
(10)再発防止対策委員会の設置
:検討・準備
:実施・運用
3. 改善措置の実施状況及び運用状況に対する上場会社の評価
この度の当社における不適切な会計処理に対する改善措置につきましては、前述の通り各
種再発防止の取り組みを進めるとともに、役員及び職員の意識改革も並行して進めてまいり
ました。その結果、取引開始時の審査強化、取締役会の実効性向上、コンプライアンス意識
の向上、内部監査室及び管理部門の機能強化等、成果が着実に現れてきていると認識してお
ります。
過年度決算の訂正により、関係者の皆様には多大なるご迷惑とご心配をおかけしてしたこ
とを改めて深くお詫び申し上げるとともに、今後、上場会社としての責任を深く認識し、こ
のような事案を二度と起こさないように今後とも改善措置を継続的に実行し、コンプライア
ンスを遵守し内部管理体制を強化するとともに、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値
の向上に励み、株主・投資家の皆様をはじめ関係者の皆様の信頼回復に鋭意、努めてまいり
ます。
以 上
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