3288 オープンハウス 2021-11-12 15:30:00
TCFD 提言に基づく情報開示に関するお知らせ [pdf]

                                                               2021 年 11 月 12 日
各 位


                            会 社 名 株 式 会 社 オ ー プ ン ハ ウ ス
                            住     所 東京都千代田区丸の内二丁目4番1号
                            代 表 者 名 代表取締役社長     荒 井 正 昭
                                      (コード番号:3288 東証第一部)
                                          取締役 常務執行役員
                            問合わせ先 経 営 企 画 本 部 長                若旅     孝太郎
                                                             TEL. 03-6213-0776


               TCFD 提言に基づく情報開示に関するお知らせ

  当社は、この度「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)
                                」提言に基づく気候変
動に関する情報開示を行いましたので、下記のとおりお知らせいたします。


                                      記


 当社は、持続可能な社会の実現に事業活動を通じて貢献するとともに、企業の持続的成長
を目指す「サステナビリティ」を推進しており、重点課題(マテリアリティ)に掲げる環境
保全において、気候変動への対応が急務であると認識し、2021 年1月に「TCFD」
                                        (*1)提言
への賛同を表明し、
        「TCFD コンソーシアム」(*2)に参加して以降、気候変動が当社グルー
プの主力事業である戸建関連事業(*3)に及ぼす影響についてシナリオ分析を実施しました。
この度、TCFD が推奨する「ガバナンス」
                    「戦略」
                       「リスク管理」
                             「指標と目標」に基づき別紙
のとおり開示するともに、GHG(温室効果ガス)排出削減目標を設定いたしました。

  <GHG(温室効果ガス)排出削減目標>
      2030 年 Scope1,2(*4) 46%削減(原単位、2018 年度比)
      2050 年   Scope1,2         ネットゼロ

(*1)「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)
   Task Force on Climate-related Financial Disclosures」: G20 財務大臣及び中央銀行総裁の意向を受け、
     金融安定理事会(FSB)により設立されたイニシアチブ。気候変動によるリスク及び機会が及ぼす財
     務的影響を評価、開示することを推奨。
(*2)「TCFD コンソーシアム」
     TCFD 提言に賛同を表明する企業、金融機関等が一体となって取り組みを推進し、企業の効果的な情
     報開示、開示された情報を金融機関等の適切な投資判断につなげるための取り組みを議論する目的
     で設立された組織。
(*3)戸建関連事業
     株式会社オープンハウス及び株式会社オープンハウス ディベロップメントにおいて展開する戸建関
                                ・
     連事業を対象としてシナリオ分析を実施。
(*4)Scope1,2
     Scope1 対象会社の事業活動における排出(直接排出)
     Scope2 他社より供給されたエネルギーの使用に伴う排出(間接排出)
                                                                         以   上



                                     1 / 5
【別紙】TCFD 提言に基づく気候変動に関する情報開示




1. ガバナンス
 当社は、気候変動を経営に重要な影響を与える課題の一つと認識し、取締役 経営企画本
 部長を委員長、各部門長をメンバーとするサステナビリティ委員会を、気候変動関連課
 題を検討する機関と位置付け、気候変動に係る様々な課題に対する対応について定期的
 に検討しています。また、取締役会はサステナビリティ委員会を監督しており、重要な方
 針並びに事項については、報告及び審議を実施しています。


 <運営体制>
                   取締役会

                報告         審議


              サステナビリティ委員会



                報告         指示

                                   【事務局】経営企画部
                           サポート


              グループ各社・各事業部
2. 戦略
 当社グループは、主力事業である戸建関連事業を対象として、2030 年を想定した気候変
 動によるリスクと機会の抽出、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が想定した二つの
 シナリオに基づく財務影響の分析、並びに今後の対応策について以下のとおり検討しま
 した。


 (1)シナリオ分析の前提(定義)
                       ①1.5℃シナリオ         ②4℃シナリオ

 移   低炭素社会への移行期にお 世界中で気候変動に対する 温暖化に関する様々な注意
 行   いて、政策、規制、技術、市 厳格な対策が徹底され、地球 喚起にも関わらず、各国の足
 リ
 ス   場及び顧客の嗜好等の変化 温暖化を抑えることに成功 並みが揃わず、厳格な対策は
 ク   に伴うリスク及び機会。     する。              導入されない。

 物   気候変動に伴う自然災害の その結果、  2050 年の平均気温 その結果、温暖化はさらに進
 理   頻発、激甚化等の急性的なリ は、 世紀の産業革命前に比 行し、平均気温は 4℃上昇、
                     18
 的
 リ   スク、平均気温の上昇、異常 べて、1.5℃上昇にとどまる。 自然災害が激甚化、頻発化す
 ス   気象等の慢性的なリスク。                    る。
 ク


                           2 / 5
(2)シナリオ分析結果
① 1.5℃シナリオ
 1.5℃シナリオにおいて、移行リスクとして炭素税導入及び太陽光パネル義務化が、主
 な収益圧迫要因と推定されます。一方で、環境負荷の低い住宅の提供による新たな顧
 客の獲得が収益機会となります。物理的リスクについても、自然災害等によるリスク
 は軽微です。総じて、本シナリオにおける財務影響は限定的であることが把握できま
 した。


② 4℃シナリオ
 4℃シナリオにおいて、大きな移行リスクはなく、物理的リスクも、当社グループが展
 開する戸建関連事業は事業期間の短いフローのビジネスであることから、自然災害の
 激甚化等の外部環境変化に対する感応度を高めることで低減可能であり、大きな財務
 影響を与えるものではないことが把握できました。


<リスクと機会及び財務影響の一覧>
                                            財務影響
 リスクと機会/項目                    影響経路
                                           1.5℃   4℃

               炭素税導入に基づく資材等の調達価格上昇
               (建設委託費の増加)                  ↓      -
    【リスク】
移   炭素税の導入     炭素税導入に基づく営業車両の燃料コスト上昇        ↓     -
行
リ              炭素税導入に基づく電気使用コスト上昇           ↓     -
ス
ク   【リスク】
・              太陽光パネルの設置義務化(60%)への対応コ
機   太陽光パネルの
               スト上昇(販売価格への転嫁率 0%)
                                           ↓      -
会   設置義務化
    【機会】
             環境負荷の低い住宅(ZEH Oriented)の提供に
    環境負荷の低い
             よる収益増加                        ↑      -
    住宅需要の高まり
           台風や洪水の激甚化による作業停止期間の発生
  【リスク】                                     -     -
           によるコスト増加
物 台風や洪水の
理 激甚化による影響 台風や洪水の激甚化による建設中住宅の値引き            ↓     ↓
的          による収益減少
リ
ス 【リスク】    酷暑による建設技能者の作業効率低下によるコ
                                            ↓     ↓
ク 酷暑による    スト上昇
  健康被害の増大  酷暑による営業社員の営業効率低下による収益
                                            ↓     ↓
  (熱中症等)   減少

【財務影響の凡例】
 ↑/↓:絶対値 10 億円以上 50 億円未満
 該当なし:絶対値1億円以上 10 億円未満
 ↑ / ↓ :絶対値 10 百万円以上1億円未満
 -     :財務影響なし、または絶対値 10 百万円未満



                           3 / 5
 (3)今後の対応
 上記分析の結果、GHG 排出量の削減及び太陽光パネル設置義務化への対応コストを引き
 下げることがリスクの低減に有効であり、環境負荷の低い住宅の提供が収益機会となる
 ことが確認できました。
 更に、GHG 排出量削減において、Scope1,2(*)に関しては、営業車両の環境負荷の低い車
 両への順次切り替え、省エネ及び中長期的には再生可能エネルギー電力の活用等により、
 目標の達成を見込んでいます。ただし、当社グループは Scope3(*)の全排出量に占める
 割合が高く、Scope3 への対応が重要であると認識しています。Scope3 の排出は、主に
 販売後の住宅使用に伴う GHG 排出及び資材調達にかかるサプライチェーンにおける排
 出です。今後は Scope3 排出削減に向け、関係する皆様へ理解と協力を呼びかけていく
 ことが必要となります。
 一方、太陽光パネル設置については、当社グループの戸建関連事業が提供する好立地で
 手頃な価格の戸建住宅において、限られた敷地面積の住宅に太陽光パネルを設置したと
 しても、現状の太陽光パネルの発電能力では、平均的な家庭で必要とされる発電量を賄
 うことは難しい状況です。
 また、環境負荷の低い住宅の提供については、所定の条件(北側斜線制限の対象となる
 用途地域(第一種及び第二種低層住居専用地域並びに第一種及び第二種中高層住居専用
 地域)等で、敷地面積が 85 ㎡未満)に合致する立地の場合、太陽光パネルの設置を必
 要としない環境負荷の低い住宅「ZEH Oriented」
                            (ZEH を指向した先進的な住宅として、
 外皮の高断熱化及び高効率な省エネルギー設備を備えた住宅)のカテゴリーが設定され
 ており、当社グループの戸建関連事業が展開する地域の一定程度は上記の条件に該当し
 ているところ、現段階では高効率な省エネルギー設備の設置にかかるスペース及びコス
 ト並びに一部暖房設備の割愛等、商品化に向けて解決すべき課題が残っている状況です。
 したがって、これらの課題については政府の規制、顧客の脱炭素への意識の高まり、太
 陽光発電設備の技術革新の動向等を踏まえつつ、経済合理性にも鑑み、ステークホルダ
 ーの皆様にとって最良の方法を選択するべく引き続き検討を進めてまいります。


3.リスク管理(体制)
 当社は、サステナビリティ委員会において、環境問題に関する基本的な方針の策定及び
 気候変動に伴うリスク管理を行っています。サステナビリティ委員会では、社外有識者
 との情報交換を行う等気候変動対応の日本及び世界の動向等を通じて当社グループにと
 っての課題を把握するととともに、必要な施策についてグループ会社や各事業部と協議
 し、その進捗を定期的にモニタリングしています。このたび設定した GHG 排出削減目標
 についても、サステナビリティ委員会において、進捗を管理するとともに、更なる目標の
 引き上げに向けての検討を継続いたします。当社は、サステナビリティ委員会より気候
 変動に関する課題並びに取り組みの進捗状況を定期的に取締役会に報告し、今後多様化・
 広域化・激甚化する気候変動に伴うリスク及び機会に適切に対処する体制を整備してい
 ます。



                      4 / 5
4.指標と目標
 当社は、シナリオ分析結果を踏まえ、気候変動に伴うリスクの低減のため、中長期の GHG
 排出削減目標を設定いたしました。今後は Scope1,2 の目標の早期達成に向け取り組むと
 ともに Scope3 の目標設定については引き続き検討してまいります。


         <GHG(温室効果ガス)排出削減目標>
               2030 年   Scope1,2(*)    46%削減(原単位、2018 年度比)
               2050 年   Scope1,2       ネットゼロ


 (*)Scope1,2,3
      Scope1   対象会社の事業活動における排出(直接排出)
                                   、
      Scope2   他社より供給されたエネルギーの使用に伴う排出(間接排出)
      Scope3   その他の事業活動に伴う排出(資材調達、販売後の住宅使用時の排出等の間接排出)


 GHG 排出状況等の詳細は、当社のサステナビリティサイトをご参照ください。
 https://openhouse-group.co.jp/company/sustainability/environment/
                                                                     以   上




                                      5 / 5