3254 プレサンス 2020-07-08 16:00:00
東京証券取引所への「改善報告書」の提出について [pdf]

                                           2020 年7月8日
各   位
                      大 阪 市 中 央 区 城 見 一 丁 目 2 番 27 号
                      会 社 名 株式会社プレサンスコーポレーション
                      代表者名 代 表 取 締 役 社 長 土 井        豊
                           (コード番号:3254     東証第一部)
                      問合せ先 執 行 役 員 管 理 本 部
                                              市 川 京 助
                              副本部長兼経理部長
                      電 話 番 号 06-4793-1650


         東京証券取引所への「改善報告書」の提出について

 当社は、企業行動規範の遵守すべき事項に違反した件について、2020年6月24日付で、株式会社
東京証券取引所より、有価証券上場規程第502条第1項第2号に基づき、その経緯及び改善措置を記
載した「改善報告書」を提出するよう求められておりましたが、本日、別添のとおり提出いたしま
したので、お知らせいたします。

別添書類:改善報告書
                                                 以   上
                                       目       次


1. 事案の経緯、不備の概要、原因分析 ..................................................... 2
 (1) 事案の経緯 ......................................................................... 2
   ① 明浄学院が保有する土地に係る取引の開始から、前社長及び元従業員の逮捕までの経緯及び
      その直後の当社の対応 ............................................................. 2
   ② 当社による調査の体制及び範囲 ..................................................... 4
   ③ 委員会からの調査報告書の受領 ..................................................... 5
 (2) 当社における原因分析等 ............................................................. 6
   ① 前社長からティー・ワイエフへの 18 億円の貸付について .............................. 6
   ② 当社が拠出した 21 億円の手付金について ............................................ 6
   A. 前社長への過度な権限集中 ......................................................... 7
   B. 各取締役や執行役員間での、業務執行に対する相互の牽制・チェック機能の不全 ......... 7
   C. 土地仕入に係るリスクに対する認識の甘さ ........................................... 7
   D. 上記を背景とした内部統制の整備・運用不足 ......................................... 8
   E. 監査体制の脆弱さ ................................................................. 8
2. 再発防止に向けた改善措置 ............................................................. 8
 (1) 取締役会を含む重要な会議体のあり方及び意思決定方法の見直し ......................... 8
   ① 取締役会の決議事項、報告事項の明確化、開催頻度等の運営方法の変更(取締役による相互牽
      制体制の強化) ................................................................... 8
   ② 重要な会議体(経営会議や業務執行に関係する各種委員会など、業務執行取締役や執行役員を
      中心とする合議による意思決定の場等)の新設 ....................................... 9
 (2) 社外取締役の職務執行の実効性を確保するための環境整備 .............................. 10
   ① 監査等委員会をサポートする事務局機能の拡充 ...................................... 10
   ② 代表取締役に対する監督強化 ...................................................... 10
 (3) 利益相反取引に関するルールの設計と教育 ............................................ 10
   ① 利益相反取引の定義とルールの整備 ................................................ 10
 (4) 土地仕入プロセスにおける統制活動の再設計 .......................................... 11
 (5) 内部監査の見直し .................................................................. 11
   ① 内部監査体制の強化 .............................................................. 12
   ② 監査等委員との連携強化、及び業務監査の高度化 .................................... 12
 (6) 前社長との関係の見直し ............................................................ 12
 (7) 改善措置の実施スケジュール ........................................................ 13
3. 内部管理体制の不備が投資家および証券市場に与えた影響についての認識 .................. 15




                                           1
1. 事案の経緯、不備の概要、原因分析
  (1) 事案の経緯
     2019 年 12 月に学校法人明浄学院(以下「明浄学院」といいます。)の土地売買代金に関す
    る業務上横領事件について、当社の前代表取締役社長(以下「前社長」といいます。)及び元
    従業員が、明浄学院の元理事長他と共謀した疑いで大阪地検特捜部に逮捕、起訴されました
    (以下「本横領事件」といいます。)。本横領事件の経緯は以下の通りです。
     なお、以下に記載の経緯には、当社が当事者として把握している事実のほか、報道及び 2019
    年 12 月 30 日付で提出された明浄学院の第三者委員会による調査報告書(以下「報道等」と
    いいます。
        )により公表されている内容を含みます。
    ① 明浄学院が保有する土地に係る取引の開始から、前社長及び元従業員の逮捕までの経緯
       及びその直後の当社の対応
              年月日                        概要
       2015 年8月頃          元従業員とは別の仕入担当者が、明浄学院が保有する土地の情
                          報を得て仕入を検討したが、条件が折り合わず、売買契約締結
                          には至らなかった。
       2015 年 8 月 頃 以 降   元従業員が新たに担当となり、明浄学院との取引の検討が再開
       12 月頃までの期間         される。
       (正確な年月は不明)
       2016 年 12 月 20 日   当社と明浄学院との間で、明浄学院が保有する土地の売買に係
                          る「協定書」を締結。
                          「協定書」には、明浄学院が、本件土地上に建てられている明
                          浄学院高等学校の校舎を解体し更地にした上で、当社に本件土
                          地を売却することを、当社と明浄学院との間で合意したこと及
                          び売却についての諸条件が記載されている。
       2017 年7月6日         明浄学院と株式会社ピア・グレース(以下「ピア・グレース」
                          といいます。)との間で、明浄学院が保有する土地(以下「本件
                          土地」といいます。
                                  )の売買契約を締結。
                          ピア・グレースと当社との間で、本件土地の売買契約を締結。
                          当社からピア・グレースに対し、本契約に係る手付金 21 億 26
                          百万円を支払う。(※1)
       2019 年1月 23 日      明浄学院高等学校の校舎建替工事は、当初 2018 年8月の着工予
                          定だったが、元従業員から着工及び竣工が大幅に遅れるとの報
                          告が前社長にあり、その後、開発事業本部、建築事業本部内で
                          も情報共有され、本件土地の引渡しが大幅に遅れるという認識
                          が社内で共有される。
       2019 年7月 20 日      明浄学院が受領した手付金 21 億円が所在不明となっているこ
                          とが報道される。
       2019 年 10 月 29 日   大阪地検特捜部が明浄学院に捜索を実施
                                 2
     年月日                           概要
2019 年 10 月 30 日   大阪地検特捜部が当社に捜索を実施
2019 年 11 月1日      副社長(当時。現社長)の土井豊(以下「土井」といいます。)
                   が、前社長と本件土地仕入の担当者であった元従業員にヒアリ
                   ングを実施。
                   前社長及び元従業員は、明浄学院にて手付金 21 億円が所在不明
                   となっていることへの関与を否定(※2)
2019 年 12 月5日      元従業員逮捕
2019 年 12 月6日      土井が、前社長に対して二度目のヒアリングを実施。
                   前社長は、明浄学院にて手付金 21 億円が所在不明となっている
                   ことへの関与を否定(※2)
2019 年 12 月 16 日   前社長逮捕
2019 年 12 月 17 日   取締役会にて、土井を代表取締役副社長に選定。
2019 年 12 月 23 日   前社長辞任。
                   取締役会にて、土井を代表取締役社長に選定。
                   当社におけるガバナンス上の問題点についての調査・検証を行
                   うため、外部経営改革委員会(以下「委員会」といいます。
                                             )を
                   設置。
2020 年3月 31 日      委員会による調査の概要、調査によって判明した当社のガバナ
                   ンス上の問題点について記載した調査報告書(以下「調査報告
                   書」といいます。)を受領。
2020 年4月7日         2017 年7月6日付で締結された土地売買契約を当社、明浄学
                   院、ピア・グレースの三者間で合意解除。
2020 年4月9日         土地売買契約の合意解除に伴い、当社がピア・グレースに支払
                   った手付金 21 億 26 百万円のうち、21 億円が明浄学院から返金
                   される。
※1 この手付金 21 億円は、
               民法第 557 条に定める解約手付の性質を有するものでなく、
   将来当社がピア・グレースに売買代金の残代金を支払う際に充当することを企図し
   たものであり、締結した売買契約書にもその旨明記しております。
   「協定書」では、明浄学院高等学校が立地する土地の全部を売買の対象としており
   ましたが、売買契約書では、売買の対象をその約半分に変更し、残る土地に明浄学
   院高等学校の校舎を建て替えた上で引渡しを行うよう定められました。
   なお、当社と明浄学院との直接取引としなかった理由は以下の通りです。
   ・当社が支払う手付金が高額となるため、保全のために手付金に対して本件土地に
   抵当権を設定することを予定しておりました。
   ・本件土地の引渡し期日は 2020 年6月 30 日で、売買契約締結日以降、長期間を要
   する中、当社が抵当権者として本件土地の登記事項証明書上に現れることは、当社
   が存続中の学校そのものを取得したかのようなあらぬ誤解を生む可能性があるた
                           3
    め、元従業員の提案で、従来から接触があったピア・グレースを介在させ、ピア・
    グレースが明浄学院から本件土地を取得した後、ピア・グレースから当社が取得す
    るという取引といたしました。
  ※2 前社長からは、以下の内容を確認しております。
    ・明浄学院は、2017 年7月6日の当社との土地売買契約締結前に、既存の校舎を解
    体し更地にする工事代金及び別の場所に新しい校舎を建設する工事代金として 18
    億円を必要としていたこと。
    ・当初は当社からの貸付を模索したが、外部の企業・法人に対して貸付を実施する
    ことはできないため、前社長個人の貸付として、大阪市内に本社を置く不動産会社
    の株式会社ティー・ワイエフ(以下「ティー・ワイエフ」といいます。なお、当時、
    ピア・グレースとティー・ワイエフは、同じ人物が代表取締役を務めていました。
                                        )
    に 18 億円の振り込みを行ったこと。
    ・前社長は、ティー・ワイエフが、前社長から借り入れた資金をもって、明浄学院
    に貸付を行う前提であり、明浄学院元理事長個人への貸付を行うという認識がなか
    ったこと。
    ・明浄学院は、土地売買代金の一部で 18 億円をティー・ワイエフへ返済し、ティ
    ー・ワイエフは明浄学院からの返済金を原資として前社長へ返済する予定であり、
    前社長としては、当社からピア・グレースを介して明浄学院に支払われる手付金の
    一部を原資として、明浄学院からティー・ワイエフを通して返済されるものと想定
    していたこと。
    ・前社長は、貸し付けた 18 億円の返金を既に受けていること。
                                  (返金があったこと
    の確認のみで、その詳細については確認ができておりません。)


② 当社による調査の体制及び範囲
   前社長及び元従業員の逮捕を受け、当社は、外部専門家を起用の上、当社におけるガバ
 ナンス上の問題点についての調査・検証を行う必要があると判断し、外部経営改革委員
 会(以下「委員会」といいます。)を、2019 年 12 月 23 日に設置いたしました。委員会に
 て行った調査・検証(以下「本件調査・検証」といいます。)の概要は以下の通りです。
 a. 本件調査・検証の期間
     2019 年 12 月 23 日から 2020 年3月 31 日まで
 b. 本件調査・検証の体制
     委員会は以下の3名で構成されております。
     委員長 松山       遙 (日比谷パーク法律事務所          弁護士)
     委員    木目田 裕 (西村あさひ法律事務所              弁護士)
     委員    平尾     覚 (西村あさひ法律事務所           弁護士)
     委員及びその所属する法律事務所は、本件調査・検証以前に当社から法律事務の
    委任を受けたことがなく、当社との間に利害関係はありません。
     委員会は、本件調査・検証を実施するに当たり、日比谷パーク法律事務所に所属す

                           4
    る弁護士1名及び西村あさひ法律事務所に所属する弁護士7名を調査補助者として
    任命しました。また、委員会は、フォレンジック調査を行うため、フォレンジックベ
    ンダーを調査補助者として起用しました。
 c. 本件調査・検証の方法
     委員会により、当社取締役会等の会議体の議事録、当社の各種社内規程類、本件土
    地の売買取引に関係する契約書や稟議書等の関係資料の精査、関係者(当社及び当
    社子会社の役職員)27 名が保有するメールデータ等のデジタル・フォレンジック調
    査、関係者(当社及び当社子会社の役職員及び元役員)42 名に対するヒアリング、
    当社及び当社子会社役職員 689 名に対するアンケートによる調査、委員会設置時点
    (2019 年 12 月 23 日)における当社取締役・執行役員についての反社会的勢力等に
    関する風評情報の有無に関する調査・検証を実施しました。
 d. 本件調査・検証の限界
     本横領事件が刑事事件として捜査されているため、本件土地の売買取引(以下「本
    件取引」といいます。
             )に係る多数の証拠資料が当社から押収されています。委員会
    は、大阪地方検察庁から証拠品の一部の仮還付を受け、確認を行いましたが、全ての
    証拠品を確認することはできておりません。
     また、委員会は、本件調査・検証期間中、勾留状態にあった前社長に対し、接見禁
    止命令の一部解除を受けた上で、複数回にわたり接見を行い、ヒアリングを実施し
    ておりますが、1回当たりの接見時間は 20 分に制限されており、資料等を提示した
    上でのヒアリングを実施することはできず、十分な事実確認には至っておりません。
     元従業員については、保釈後に元従業員の刑事事件の弁護人を通じてヒアリング
    を打診したものの、ヒアリングを実施することはできず、委員会が送付した質問書
    に対する簡易な回答を得るにとどまっております。
     こうした調査・検証の限界がある中、当社は、当社の内部管理体制・ガバナンス体
    制を検証するために実施できた手続きの範囲で、当社のガバナンス上の問題点が指
    摘された調査報告書を受領することとなりました。


③ 委員会からの調査報告書の受領
   当社は、2020 年3月 31 日に、本件調査・検証の結果を記載した調査報告書を受領いた
 しました。なお、調査報告書に記載された当社の問題点に係る評価について、当社として
 異議はありません。
   調査報告書に記載があった当社ガバナンス上の問題点の要点は以下の通りと当社は考
 えております。詳しくは、2020 年3月 31 日付で公表しております「外部経営改革委員会
 からの調査報告書の受領について」をご確認お願いいたします。
   ・前社長が個別案件を直接把握し、判断を行う業務遂行体制
   ・相互牽制・チェック体制の不備
   ・極端な縦割り体制と競争を助長する風土
   ・経営課題を議論する場の不存在

                     5
     ・取締役会等の形骸化
     ・監査体制の脆弱さ
     ・社内ルールの不備
     ・取締役のリスク感度の低さ
     ・利益相反・競業取引に関するルールの不備


(2) 当社における原因分析等
   当社は、調査報告書を踏まえ、本事案の内容及び関係者の関与状況は以下の通りであると
  認識しております。
  ① 前社長からティー・ワイエフへの 18 億円の貸付について
     上記の通り、前社長は、明浄学院が当社との土地売買契約締結の前に、校舎の建て替え
    等を行うための資金として 18 億円を必要としていることを認識しておりました。前社長
    は、ティー・ワイエフに 2016 年3月 22 日及び同年4月 25 日の2度に分けて計 18 億円
    を振り込み、個人的に貸付を行いました。前社長へのヒアリングによると、売買契約締結
    前の取引先に対し、当社が貸付を行うことが可能かを具体的な案件指定のない一般論と
    して当時の管理本部長に確認したところ、不可能であるとの回答であったためとのこと
    です。また、前社長は、ティー・ワイエフが、前社長から借り入れた資金をもって、明浄
    学院に貸付を行うという認識だったとのことです。
  ② 当社が拠出した 21 億円の手付金について
     当社は、2017 年7月6日に約 21 億円の手付金を拠出しました。その際、社内では稟議
    決裁を行いましたが、前社長や元従業員から、前社長が個人的に明浄学院側に 18 億円を
    貸し付けているという事実の報告はありませんでした。
     報道等によると、当社が 2017 年7月6日に拠出した約 21 億円の手付金は、その日の
    うちに、ピア・グレースから明浄学院を経由して明浄学院の元理事長に渡り、その後、株
    式会社サン企画(以下「サン企画」といいます。)等を経由してティー・ワイエフに送金
    され、うち 18 億円がティー・ワイエフから前社長に送金されたとされています。
     なお、18 億円の返金があったという事実は当社も前社長へのヒアリングによって確認
    しておりますが、その日付や返金元等の具体的な内容までは確認ができておりません。


   上記の通り、当社では、前社長が個人として取引先に貸付を行っていた事実を、前社長が逮
  捕される直前まで把握できておりませんでした。この前社長の行為は、当社が 21 億円という
  高額の手付金を支払おうとする相手方が、前社長自身の債務者であり、前社長自身と当社の
  利益相反を内在する関係にさせるものでした。当社は、このような事実を前社長から報告さ
  れず、把握しないままに稟議決裁を終えて高額の手付金を支払ったもので、適正な牽制をす
  る機会を失ったことは非常に問題であったと考えております。
   当社は、調査報告書の内容を踏まえ、このたび認識いたしました体制不備の原因について
  改めて検討を行いました。検討の結果、当社の業務の適正を確保するために必要な体制上の
  主な問題点は、以下の5点に集約されると考えております。

                        6
A. 前社長への過度な権限集中
   当社では、前社長個人の能力に依存した業務遂行体制となっておりました。例えば仕
  入業務においては、仕入担当者が当該物件仕入の可否について直接前社長に内諾を取っ
  た後に稟議決裁を行うことが創業以来、常態化しており、適正な牽制が働き難い状況が
  生じておりました。
   本件土地の売買契約締結においても、他の一般的な土地売買取引と比べると、手付金
  の金額が約 21 億円と高額な上に一括で支払わなければならない、土地の引渡し期日が約
  3年後と長期であるといった特徴が見られましたが、稟議回覧時には既に前社長の内諾
  が得られていたこともあり、各稟議決裁者は、前社長の内諾があることを確認するにと
  どまり、明浄学院側から校舎建替に伴い発生する費用の具体的な見積や支出スケジュー
  ルを取り寄せるなどのより入念な調査や、当社のリスクを低減するために関係者間の協
  議を行うことはありませんでした。
   こうした体制は、仕入業務だけでなく、想定販売価格の設定、さらには当社の経営方針
  の決定等においても同様でした。全社的に前社長へ依存し、前社長に過度な権限集中が
  生じておりました。
B. 各取締役や執行役員間での、業務執行に対する相互の牽制・チェック機能の不全
   前社長が個別案件を直接把握し、判断を行う業務遂行体制となっていたため、各取締
  役や執行役員間での、業務執行に対する相互牽制・チェック体制が十分ではありません
  でした。
   本件土地取引でいえば、その進捗状況については、前社長及び開発部門や建築部門の
  主な役職員が参加して月1回開催される「部会」にて、元従業員から報告がされていまし
  たが、他事案の報告案件が多岐にわたり、それらを前社長に報告し判断を仰ぐことに時
  間が割かれていたことから、本件土地取引に関し、売買契約締結前からの十分なリスク
  情報の共有や他の仕入担当者も交えた複数の視点からの報告内容に対する確認やリスク
  低減策の検討がおろそかになり、牽制機能を働かせることができませんでした。
   また、取締役会においても、時間的制約や多数の報告事項があったことから、前社長を
  はじめ、各業務執行取締役や執行役員の業務執行に対して十分な相互監督機能を果たす
  前提となる情報共有、相互理解がなされず、有意義な議論がなされていませんでした。社
  外取締役でもある監査等委員には、そもそも本件取引に関する情報の共有がなされてお
  らず、社外の視点から意見を述べることが難しい状況でした。
C. 土地仕入に係るリスクに対する認識の甘さ
   上記 A にも記載の通り、本件取引は、他の一般的な土地売買取引と比べると、手付金
  の金額が約 21 億円と高額な上に一括で支払わなければならない、土地の引渡し期日が約
  3年後と長期であるといった特徴が見られましたが、稟議決裁を行うまでの時点におい
  て、校舎建替に伴い発生する費用の具体的な見積や支出スケジュールを取り寄せるなど
  のより入念な調査や、例えば、支出スケジュールと実際の工事の進捗に応じて分割して
  約 21 億円を払う対応とする等のリスク低減策を関係者間で協議することはありませんで
  した。

                     7
       また、本件取引開始前に、明浄学院関係者に逮捕歴がある等のネガティブな風評があ
      ることを前社長、管理本部長及び建築事業本部長は把握しておりましたが、信用調査の
      結果、不審な記事が見当たらなかったため、元従業員への口頭での確認を除き、それ以上
      の踏み込んだ調査は実施しませんでした。本来であれば、一部の役員及び担当者以外の
      関係者にも情報を共有し、取引を進めるか否かの協議を行い、複数の視点からリスクを
      検討した上での判断が必要でした。
    D. 上記を背景とした内部統制の整備・運用不足
       土地仕入業務においては、稟議決裁を行うことを除き、相互牽制に必要となるルール
      を策定していませんでした。また、取締役が利益相反取引や競業取引を行うことは取締
      役会規則にて制限しておりましたが、例えば、当社取引先と取締役個人が取引を行う等、
      利益相反・競業取引のリスクを内在する行為までを制限対象とすることの検討、明確化
      及び周知が不十分であるなど、運用が徹底されておりませんでした。
    E. 監査体制の脆弱さ
       当社の内部監査部門は1名のみで構成されておりました。当社の事業規模を考慮する
      と、人員は不足しており、また、監査等委員会との連携に必要な体制も構築されていませ
      んでした。そのため、内部監査機能が十分に発揮できておらず、監査等委員が十分な監査
      機能を発揮するのに必要な情報を十分に提供できておりませんでした。


2. 再発防止に向けた改善措置
   当社では、前社長が取引先に対して貸付を行っていた事実を、前社長が逮捕される直前まで把
  握できていませんでした。本来であれば、取締役は当社の潜在的な取引先への貸付はより慎重な
  判断を行うべきであり、また、当社としてもそのような事実を早期に把握し、取締役や監査等委員
  による相互のチェック・監督をより働かせることができていれば、利益相反を内在する行為とし
  て取締役会で協議し、手付金の支払いを否決することなどによって、本事件が発生した可能性を
  低減できたのではないかと考えております。
   上記の趣旨及び原因分析に基づき、以下の再発防止策を策定しました。


  (1) 取締役会を含む重要な会議体のあり方及び意思決定方法の見直し
     当社の事業運営が、創業者でもあった前社長の能力に依存する部分が大きく、経営判断の
    スピードに強みがあった反面、組織として適正な事業遂行を担保する体制への移行が十分で
    はなかったことを省み、取締役会を含めた当社の重要な会議体のありかた、及び意思決定の
    方法について見直し、代表取締役社長の一存ではなく、議論、協議を重ねた上での合議を重視
    する運用をしていくことにしました。
    ① 取締役会の決議事項、報告事項の明確化、開催頻度等の運営方法の変更(取締役による相
      互牽制体制の強化)
      a. 取締役会での議論の充実・検討を行う時間を確保するため、2020 年1月より、取締
        役会の開催頻度を従来の月1回から2回としました。取締役会の資料は3営業日前
        までに事前配布しております。

                         8
 b. また、上記開催頻度の変更を踏まえて、取締役会で議論・検討すべき事項を明確にす
   るため、取締役会における決議 報告 協議事項を再設計いたしました。
                 ・  ・               具体的には、
   2020 年5月 26 日開催の取締役会にて取締役会規則を改定し、「総合的な経営内容」
   といった抽象的な表現になっていた取締役会での報告事項に関する規定の項目を明
   確に規定し、また、取締役会における決議・報告・協議事項(例えば、規程の改定、
   制度導入や運用方法の決定、当社の販売状況の報告、各取締役の目標に対する進捗
   報告、当社内の課題や情報共有、中長期的な成長戦略に関する議論、人材の確保・育
   成等の重要な経営課題に関する議論など)の年間計画を策定・決議し、議論すべき内
   容と時期を明確にしており、本年は法定の決議事項に加え、再発防止策の完遂とと
   もに中長期的な経営課題に関する協議、それに基づく経営計画の立案を中心とした
   年間計画として、運用を開始しております。
② 重要な会議体(経営会議や業務執行に関係する各種委員会など、業務執行取締役や執行
 役員を中心とする合議による意思決定の場等)の新設
 a. 業務執行取締役を含む当社グループの経営幹部が集まり、当社グループ共通の重要
   事項の共有・徹底や、当社グループ子会社の業務執行の報告を行う「グループ経営会
   議」を 2020 年4月に設置し、本年は取締役会を上記2(1)①b のとおり議論、協議の
   場としていくため、従来の取締役会で多くの時間を要していたグループ会社の業務
   の執行状況報告を本会議体に移管し、グループ会社の業務の執行状況報告を行う場
   として運用を開始し、毎月1回開催しております。 グループ経営会議の資料は、開
   催の3営業日前までに事前配布しております。
 b. 従来の土地仕入業務においては、同業他社との競争を勝ち抜くために意思決定のス
   ピードを重視する一方、社内での情報共有が不十分でした。すなわち、本件でいえ
   ば、前社長と元従業員の行動を会社として情報共有できていなったことが、本事件
   の大きな要因となったと考えております。また、当社事業においては、土地仕入れ段
   階における検討が、物件の収益性やトラブルの発生防止の観点からも重要であるた
   め、土地仕入・想定販売価格等の意思決定に関する審議(代表取締役社長、第一開発
   事業部長、第二開発事業部長、建築事業本部長、管理本部長を議決権者としてその半
   数以上の反対により、案件を却下する権限を有します)および土地仕入の進捗報告
   を行う場として、代表取締役、開発事業本部、建築事業本部など関連する部署の責任
   者・担当者からなる土地仕入業務のプロジェクト会議として「物件仕入会議」 2020
                                      を
   年5月 12 日に設置いたしました。なお、本会議を経て、最終的な意思決定は、取締
   役会(20 億円以上の物件)もしくは代表取締役社長(20 億円未満)となっておりま
   す。その後、2020 年5月 21 日には第1回目となる本会議を開催し、過去に仕入れた
   物件(1件)を事例としてリスク評価チェック表によるリスク分析を行い、判断に必
   要な資料や審議における判断基準の擦り合わせを行っており、対象物件があればす
   ぐに本会議を開催できる体制を整備しております。物件仕入会議の資料については、
   開発事業本部内に設置された物件仕入会議運営事務局が2営業日前までに作成、配
   布し、会議で補足説明を行い、各出席者で質疑応答を行います。

                   9
(2) 社外取締役の職務執行の実効性を確保するための環境整備
   社外取締役(監査等委員を含む)に対して、事業活動に関する十分な情報・知識提供が実施
  されておらず、取締役の職務執行や会社経営に対する監督が十分に発揮できなかったことを
  省み、社外取締役が職務執行の監督を行うに必要十分な体制を構築いたします。
  ① 監査等委員会をサポートする事務局機能の拡充
     監査等委員への十分な情報提供や内部監査との連携強化のため、監査等委員会をサポ
    ートする事務局機能を内部監査課に持たせ、内部監査結果をはじめとする社内情報を適
    時に監査等委員でもある社外取締役に提供する仕組みを構築いたします。2020 年5月以
    降、監査等委員会と内部監査課との協議の場を毎月1回設け、実施しております。また、
    常勤の監査等委員と内部監査課は隣接した座席の配置となっており、すぐサポートでき
    る体制としております。
  ② 代表取締役に対する監督強化
    a. 監査等委員の情報収集及び取締役の職務執行の監督強化のため、監査等委員会は代
      表取締役との面談を毎月実施することとし、2020 年5月以降、継続して実施してお
      ります。また、監査等委員会の監査計画では、2021 年3月期の重点監査ポイントと
      して、再発防止策の実行状況の監査が挙げられており、代表取締役を含む取締役全
      員に対する職務執行監査を実施しております。
    b. 上記の面談以外に、2020 年4月に新設したグループ経営会議、同年5月に新設した
      「物件仕入会議」にも監査等委員が参加し、情報収集とともに事業運営における監
      査等委員による監督を強化しています。
    c. 2020 年6月 26 日開催の株主総会において、若旅孝太郎氏を社外取締役として選任し
      ております。若旅氏は当社の株式 31.91%(議決権所有割合)を所有する株式会社オ
      ープンハウスの企画本部及び管理本部の責任者として豊富な経験と幅広い見識を有
      しており、当社の経営及びコーポレートガバナンスの強化に活かします。


(3) 利益相反取引に関するルールの設計と教育
   当社前社長が、当社の取引先に対して個人的に多額の金銭を貸付けた行為については、利
  益相反状況を内在する蓋然性が高かったと調査報告書で指摘されております。当社としても、
  取引先に対し個人的に多額の金銭を貸付ける行為が、利益相反を内在するという認識をすべ
  ての役職員が持ち、それを回避するための適切なルールを策定していれば、金銭を貸付ける
  行為自体を抑制し、貸付け行為に対するリスク認識を持ってルールに基づく相互チェックが
  実施できた可能性があり、ひいては本事件の発生可能性を低減できたと考えております。
   改めてコンプライアンス重視に向けた取り組みを実施してまいります。
  ① 利益相反取引の定義とルールの整備
     利益相反取引に該当する可能性のある取引を改めて明確化し、当該取引を実施する場
    合の申請・承認プロセスの策定と運用を厳格化します。
    a. 取締役及び執行役員については、2020 年5月 26 日に取締役会規則及び執行役員規程
      を改定し、役員就任時及び半年に1回の頻度で利益相反に関する誓約書の提出、利

                       10
       益相反取引の有無を把握・モニタリングをするための確認書の提出を義務化し、2020
       年6月までに第1回目の誓約書及び確認書の提出を実施、完了しております。次回
       の提出は 2020 年 10 月を予定しております。
    b. 上記施策を実施する上での理解・周知のため、利益相反取引に関する取締役会への
       申請・承認するための新規申請書、申請フロー、提出を求める誓約書、確認書につい
       て、2020 年5月 26 日開催の利益相反取引に関する研修にて周知済みであります。な
       お、新規申請書には利益相反取引に該当する取引を例示し、明確にしており、抜け漏
       れを防止する書式としております。今後、当該研修は毎年5月に実施します。


(4) 土地仕入プロセスにおける統制活動の再設計
   当社事業において、同業他社との競争を勝ち抜くために好条件の土地を仕入れることは極
  めて重要な要素となります。土地仕入れは、物件ごとの事情により条件や価格が大きく異な
  るため、経営判断が非常に難しく、一般的には時間を要します。当社では土地の仕入につい
  て、スピードを重視する観点から担当者と前社長とで直接報告・相談しながら業務を進めて
  おりました。その結果、業務面において縦割りの組織となり、仕入業務に関し、社内で十分な
  情報共有がなされず、相互牽制・チェック体制が整えられていなかったことが、本事件の大き
  な要因となったと考えております。そのため、仕入時の合議体を設置し、特定の役職者による
  裁量の範囲を限定し、一定の手順、基準に従った運用を行うため、会議体の運用に係る要領の
  作成や規程の改定などを行うこととしました。一方で、土地仕入れ後のマンション建設にお
  いては測量調査などの事前準備を担当する開発事業部と建設の工程管理を行う建築事業部、
  販売においては、お客様への販売を担当する営業本部と契約を担当する業務課のように複数
  の部署、それに付随して多くの担当者が関わること、また、過去の他物件との比較などから、
  異常な取引があれば容易に発覚できるという業務体制であり、特に土地仕入プロセスにおけ
  る相互牽制・チェック体制を整備することで、事業全体の業務の適正性が確保できるように
  なると考えています。
  ① 上記2(1)②に記載の通り、2020 年5月 12 日に新たに設置されたプロジェクト会議「物
    件仕入会議」において、想定収支や物件仕入に係るリスクの有無、程度について複数部署
    でのチェックを行う体制を構築しております。同時に、当該プロジェクト会議が適切に
    運営されるための運営要領「物件仕入会議要領」の策定、購買管理規程の改定、購買業務
    フロー図の改定、物件仕入に係るリスクの有無、程度を客観的に評価するためのチェッ
    クリストの作成等を行い、土地仕入に係る統制を見直しております。
  ② 「物件仕入会議」のスムーズな運用開始を確保するため、2020 年5月 21 日には会議の運
    営方法、及び改定された規程やフロー図の内容・運用ルールについて関係する従業員を
    対象とした説明会を開催し、周知徹底を行っております。


(5) 内部監査の見直し
   会社事業が拡大する中、1名で内部監査を実施しており、当該人員にかかる業務量の多さ
  から効果的な内部監査が実施できていませんでした。これは前社長が事業全体の管理、監督

                         11
  を行ない、把握できているとの認識から、会社として内部監査の充実化を軽視してしまった
  結果だと考えております。本事件に関わる土地取引については、手付金の大きさ、土地引き渡
  しまでの旧校舎の解体が当初計画から大幅に遅れていたことなどその異常性について内部監
  査でチェックできたポイントがあったにも関わらず指摘できていなかったことから、客観的
  視点での監査の必要性を再認識し、監査等委員による監督強化の観点とあわせ、内部監査の
  体制・監査等委員との連携強化、及び手続き・手法の高度化が重要と考え推進しております。
  ① 内部監査体制の強化
    a. 内部監査体制強化のため、従来1名であった内部監査人員を増強することとし、2020
      年3月末までに新たに2名の人員を採用し、現在合計3名体制にしております。
    b. 内部監査計画について複数の視点からその妥当性を検証し内部監査の独立性を強化
      するために、内部監査計画を従前の社長承認から取締役会決議に変更するよう、2020
      年5月 26 日の取締役会にて取締役会規則の改定を行っております。
  ② 監査等委員との連携強化、及び業務監査の高度化
    a. 上記2(2)①に記載の通り、内部監査担当に監査等委員会の事務局機能を持たせると
      ともに、監査等委員会と内部監査課との協議の場を月に1回設けることで監査等委
      員との連携を強化しております。
    b. 今後、監査等委員との協議を行うとともに、より多くの情報を収集して監査手続き
      に反映させるため、会計監査人と監査等委員会と内部監査課との三者による面談を
      新たに年4回実施します。内部監査の実施項目・手法についても、想定されるリスク
      に応じたテーマ監査を行うなど、より実効性ある手続きの実施に向けて改善を進め
      てまいります。なお、2020 年6月 26 日開催の取締役会にて、三者協議を経た 2020
      年度の内部監査計画が承認可決され、実行に着手しております。


(6) 前社長との関係の見直し
   当社と前社長との関係については、2019 年 12 月 23 日付で当社の取締役を辞任したことに
  より、前社長による当社の業務執行への関与はなくなりました。加えて、2020 年5月8日付
  で公表した「株式会社オープンハウスによる当社普通株式の取得完了並びに主要株主及び主
  要株主である筆頭株主並びにその他の関係会社の異動に関するお知らせ」に記載の通り、前
  社長及び前社長の財産保全会社である株式会社パシフィックと株式会社オープンハウスとの
  間で、株式譲渡契約が締結され、譲渡が完了しております。この結果、前社長及び株式会社パ
  シフィックは、4,621,700 株(議決権所有割合 7.15%)となり当社の筆頭株主に該当しなく
  なりました。なお、当該譲渡完了後、前社長から事業運営に関する要請はありません。また、
  今後前社長から事業運営に関する要請があった場合には他の株主様と同様のコミュニケーシ
  ョン、ご説明は行うものの、それ以外の対応は予定していません。




                       12
(7) 改善措置の実施スケジュール
  → 施策検討・準備    ⇒ 実施・運用開始及び継続的改善
                                           2020 年
              改善措置             4   5   6   7   8   9   10   11   12
                               月   月   月   月   月   月   月    月    月
取締役会を含   取締役会での議論の充実・検討を行
む重要な会議   う時間を確保するため、2020 年1月
                               ⇒   ⇒   ⇒   ⇒   ⇒   ⇒   ⇒    ⇒    ⇒
体のあり方及   より、取締役会の開催頻度を従来の
び意思決定方   月1回から2回に変更
法の見直し    取締役会で議論・検討すべき事項を
         明確にするため、取締役会における
                               →   ⇒   ⇒   ⇒   ⇒   ⇒   ⇒    ⇒    ⇒
         決議・報告事項を再設計


         業務執行取締役を含む当社グループ
         の経営幹部が集まり、当社グループ
         における業務上の重要事項や課題に      ⇒   ⇒   ⇒   ⇒   ⇒   ⇒   ⇒    ⇒    ⇒
         ついて共有・議論をする「グループ
         経営会議」を設置
         土地仕入・販売価格等の意思決定に
         関する審議および土地仕入の進捗報
         告を行う場として、代表取締役、開
                               →   ⇒   ⇒   ⇒   ⇒   ⇒   ⇒    ⇒    ⇒
         発事業本部、建築事業本部など関連
         する部署の責任者・担当者からなる
         「物件仕入会議」を設置
社外取締役の   監査等委員への十分な情報提供や内
職務執行の実   部監査との連携強化のため監査等委
効性を確保す   員会をサポートする事務局機能を内
         部監査課に持たせ、内部監査結果を      →   ⇒   ⇒   ⇒   ⇒   ⇒   ⇒    ⇒    ⇒
るための環境
         はじめとする社内情報を適時に監査
整備
         等委員でもある社外取締役に提供す
         る仕組みを構築
         監査等委員の情報収集及び取締役の
         職務執行の監督強化のため、代表取
                               →   ⇒   ⇒   ⇒   ⇒   ⇒   ⇒    ⇒    ⇒
         締役との面談を毎月実施


         グループ経営会議、
                 「物件仕入会議」
         に監査等委員が参加し、情報収集と
         ともに事業運営における監査等委員      ⇒   ⇒   ⇒   ⇒   ⇒   ⇒   ⇒    ⇒    ⇒
         による監督を強化



                       13
                                           2020 年
             改善措置              4   5   6   7   8   9   10   11   12
                               月   月   月   月   月   月   月    月    月
利益相反取引   取締役及び執行役員については、役
及び競業取引   員就任時及び半年に1回の頻度で利
                               →   ⇒   ⇒               ⇒
に関するルー   益相反取引及び競業取引に関する誓
ルの設計と教   約書の提出を義務化
育        取締役及び執行役員に関する利益相
         反取引及び競業取引の有無を把握・
                               →   ⇒   ⇒               ⇒
         モニタリングするための確認書提出
         を義務化
         取締役及び執行役員に対する利益相
         反取引及び競業取引に関する研修を
         毎年5月に実施               →   ⇒
         同様の研修を、同時期に従業員に対
         しても実施
土地仕入プロ   新設の「物件仕入会議」において、複
セスにおける   数部署でのチェックを行う体制を構
統制活動の再   築
設計       当該会議が適切運営されるための運
                               →   ⇒   ⇒   ⇒   ⇒   ⇒   ⇒    ⇒    ⇒
         営要領の策定、購買管理規程の改定、
         購買業務フロー図の改定、物件仕入
         に係るチェックリストの作成等、土
         地仕入に係る統制の見直しを実施
内部監査の見   内部監査体制強化のため、従来1名
直し       であった内部監査人員を、2020 年3
         月末時点で新たに2名の人員を採用      ⇒   ⇒   ⇒   ⇒   ⇒   ⇒   ⇒    ⇒    ⇒
         して増強


         内部監査計画について複数の視点か
         らその妥当性を検証し内部監査の独
         立性を強化するために、内部監査計      →   ⇒
         画を取締役会決議事項に追加


         監査等委員会と内部監査課との協議
         の場を月に1回設けることで監査等
                               →   ⇒   ⇒   ⇒   ⇒   ⇒   ⇒    ⇒    ⇒
         委員との連携を強化


                      14
                                          2020 年
             改善措置             4   5   6   7   8   9   10   11   12
                              月   月   月   月   月   月   月    月    月
           今後の内部監査の計画は、監査等委
           員会との協議を行うとともに、より
           多くの情報を収集して監査手続きに
                              →   ⇒           ⇒            ⇒
           反映させるため、会計監査人と監査
           等委員会と内部監査課との三者によ
           る面談を年4回実施
  前社長との関   保有株式の処分
                              ⇒   ⇒
  係見直し


3. 内部管理体制の不備が投資家および証券市場に与えた影響についての認識
   当社は、前社長による利益相反取引を内在する土地売買取引があったことから、財務報告に係
  る内部統制の開示すべき重要な不備を公表する事態となったことを、重く受け止めております。
  当該取引の発覚後、速やかに、原因究明、ガバナンス体制の再構築および土地仕入れ業務の統制活
  動の再設計ならびにそれらの運用を実施しております。一部の施策について、運用期間を十分に
  確保できなかったことから、2020 年3月期末の時点では是正を完了することができませんでした。
  引き続き、再発防止に向けた改善策の運用の徹底および必要な改善を確実に実行し、ガバナンス
  の強化に努めていく所存です。




                       15