3071 ストリーム 2019-01-09 18:30:00
社内調査委員会の調査報告書(最終報告書)の受領に関するお知らせ [pdf]
平成 31 年1月9日
各 位
会社名 株式会社ストリーム
代表者名 代表取締役社長 松井 敏
(コード番号:3071 東証第二部)
問合せ先 執行役員管理本部長 髙瀬 宏平
(TEL.03-6858-8190)
社内調査委員会の調査報告書(最終報告書)の受領に関するお知らせ
当社は、平成 30 年 11 月9日付「社内調査委員会の設置に関するお知らせ」、同年 12 月 11 日付「社内調
査委員会の調査について途中経過に関するお知らせ」及び同月 19 日付「社内調査委員会の設置に関する当社
の対応方針等について」においてお知らせしたとおり、平成 26 年1月 30 日に当社が Licheng (H.K.)
Technology Holdings Limited(以下「Licheng 社」といいます。)を割当先として発行した新株予約権(以
下「本件新株予約権」といいます。)に係る有価証券届出書等における割当先等の記載につき訂正を要する
可能性が高いことが判明したことから、社内調査委員会を設置して調査を進め、同委員会より平成 30 年 11
月 27 日付で中間報告書を受領しております。
本日、当社は、社内調査委員会から「最終報告書」(以下、中間報告書と併せて「本件調査報告書」といい
ます。)を受領しましたので、お知らせいたします。最終報告書の内容は別紙のとおりですが、本件調査報
告書の公表に当たっては、同書に記載されている法人及び個人等に対する社会的評価や私生活に与える影響
等に鑑み、法人名及び個人名等の一部は匿名とさせていただきます。
当社は、本件調査報告書で指摘を受けた、本件新株予約権に係る平成 26 年1月 14 日付有価証券届出書に
おいて訂正が必要な新株予約権の割当先等の記載について、平成 31 年1月9日に訂正届出書を提出及び訂正
開示しました。また、当該訂正届出書の提出に伴い訂正が必要となる平成 26 年1月以降の全ての開示書類に
つきましても、現在、見直し作業を行っており、訂正すべき内容を確定次第、速やかに訂正開示を行う予定
です。
当社は、今回の調査結果を真摯に受け止め、社内調査委員会の提言する再発防止策を踏まえ、コーポレー
ト・ガバナンス体制の強化等を実行してまいります。具体的な内容につきましては改めてお知らせいたしま
す。
なお、本件調査報告書の指摘事項のうち本件新株予約権の発行及びその行使による株式発行の効力につい
ては、最終報告書において、これらの発行のうちいまだ Licheng 社以外の第三者に譲渡されていない株式に
係る部分の効力を無効と解し得る余地はあるものの、その効力を有効とする見解にも合理性があり、この点
につき当社において十分に検討した上でその対応の要否を判断する必要がある旨指摘されていることから、
上記効力の有無につきましては、今後、当社において専門家等とも協議しながら慎重に検討を進め、開示す
べき事項が生じた場合には、速やかにお知らせいたします。
株主、投資家の皆様をはじめとする関係者の皆様には、多大なご迷惑とご心配をお掛けいたしますことを、
深くお詫び申し上げます。
以 上
最 終 報 告 書
株式会社ストリーム
代表取締役社長 松 井 敏 殿
平成 31 年 1 月 9 日
社 内 調 査 委 員 会
委員長 總 山 哲
委 員 小 林 正 樹
同 朝 妻 健
1
当委員会による本件調査につき、下記のとおり報告を行う。
なお、本最終報告書(以下「本報告書」という。)は強制力を有さない当委員会が収
集可能であった資料等によって認定した事実及びそれに基づく判断等について記載
をしたものであり、当委員会が収集した以外の資料等が存在した場合には、本件調査
による事実認定及び判断内容等が変更される可能性があることを留保する。
また、本報告書において用いる略語等は、本報告書において別途定義される場合又
は文脈上別異に解すべきことが明らかな場合を除き、平成 30 年 11 月 27 日付け中間
報告書(以下「中間報告書」という。)に定義される意味を有するものとする。
記
第1 本報告書提出の経緯等
当委員会は、中間調査スコープに限定して調査をした上、平成 30 年 11 月 27
日、中間報告書をストリーム社に提出したが、ストリーム社より、同月 30 日、
新たに調査委員会(以下「新調査委員会」という。
)の委員を追加選任する予定
である、ついては本件調査を中断されたい旨の通知を受けたため、本件調査を中
断していた。
その後、当委員会は、平成 30 年 12 月 19 日、ストリーム社より、新調査委員
会を設置しないこととなった、ついては本件調査を再開し、本調査スコープのう
ち①本件合意に関するストリーム社の当時の役職員の認識の有無及び対応状況、
②本件新株予約権発行に関する役職員の法的責任の有無及びその内容、③本件
新株予約権発行に係るストリーム社の内部統制の状況及びその問題点につき調
査するとともに、④中間報告書第 6 の 3(2)イ記載の「本件新株予約権発行及び
本件新株予約権行使の効力について」につき更なる検討を行い、ストリーム社に
おいて平成 31 年 1 月上旬までには有価証券報告書等の訂正等を行う必要があ
るので、可及的速やかにその結果を報告されたい旨の依頼を受けた。
2
そこで、当委員会としては、ストリーム社からの上記依頼を踏まえ、極めて限
定された調査期間において後記第2に記載した調査を実施し、本日、その調査結
果をまとめた本報告書を提出するものである。
3
第2 本報告書提出までの当委員会が実施した主な調査内容
当委員会が中間報告書提出後、本報告書提出時点までに実施した主な調査内
容は、次のとおりの委員会の開催、関係者からのヒアリングの実施及び取締役会
議事録等関係資料の精査である。
1 委員会の開催
(1) 第 8 回委員会(平成 30 年 11 月 30 日)
(2) 第 9 回委員会(同年 12 月 11 日)
(3) 第 10 回委員会(同月 12 日)
(4) 第 11 回委員会(同月 24 日)
(5) 第 12 回委員会(同月 25 日)
(6) 第 13 回委員会(同月 26 日)
(7) 第 14 回委員会(同月 28 日)
2 関係者に対するヒアリングの実施
(1) a 氏(ストリーム社本件新株予約権発行当時(以下「当時」という)取締役
兼管理本部長)
平成 30 年 12 月 21 日(電話会議)
(2) 小野浩司氏(ストリーム社当時社外取締役(現任))
平成 30 年 12 月 20 日(電話会議)
(3) 緒方政信氏(ストリーム社当時社外取締役(現任))
平成 30 年 12 月 20 日(電話会議)
(4) c 氏(ストリーム社当時社外取締役)
平成 30 年 12 月 20 日(於光和総合法律事務所会議室)
(5) d 氏(ストリーム社当時社外取締役)
平成 30 年 12 月 26 日(於光和総合法律事務所会議室)
(6) 伊藤章寿氏(ストリーム社当時常勤社外監査役(現非常勤社外監査役))
平成 30 年 12 月 21 日(於御宿・長町法律事務所会議室)
4
(7) e 氏(ストリーム社当時社外監査役)
平成 30 年 11 月 28 日(於ストリーム社会議室)
(8) f 氏(ストリーム社当時社外監査役)
平成 30 年 12 月 21 日(於御宿・長町法律事務所会議室)
(9) 小手川大助氏(ストリーム社当時社外監査役(現社外取締役))
平成 30 年 12 月 24 日(於光和総合法律事務所会議室)
(10) 松井敏氏(ストリーム社代表取締役)
平成 30 年 12 月 26 日(於ストリーム社会議室)
(11) 斉向東氏(ストリーム社取締役)
平成 30 年 12 月 25 日(於ストリーム社会議室)
(12) 齊藤勝久氏(ストリーム社取締役)
平成 30 年 12 月 25 日(於ストリーム社会議室)
(13) 橋本博人氏(ストリーム社常勤監査役)
平成 30 年 12 月 25 日(於ストリーム社会議室)
(14) 藤原啓司氏(ストリーム社社外監査役)
平成 30 年 12 月 26 日(於ストリーム社会議室)
(15) 露口洋介氏(ストリーム社社外監査役)
平成 30 年 12 月 25 日(於ストリーム社会議室)
5
第3 当委員会が調査によって認定した事実等
1 本件合意に関するストリーム社の当時の役職員の認識の有無及び対応状況
劉氏は、本件合意の存在について、当時の取締役及び監査役には伝えておらず、
当委員会の調査によっても、劉氏以外の当時の取締役及び監査役が本件合意の
存在を知り又は知り得た事実をうかがわせる証拠は見当たらなかった。
当時のストリーム社従業員のうち、b 氏は、当委員会において確認した限り、
本件合意の前後に、本件合意に関連するメールを 2 回にわたり受信している。
もっとも、同氏は、当委員会のヒアリングに対し、当該メールを受信した記憶が
なく(受信したメールアドレスが自身のメールアドレスであることは認めてい
る。、
) 本件合意の存在を知らないと主張しているところ、当委員会の調査によっ
ても、同氏による当該主張を覆すに足りる証拠は見当たらなかった。そのため、
同氏が本件合意の存在を認識していたとまでは認定できない。
その余の当時のストリーム社従業員が本件合意の存在を知り又は知り得た事
実をうかがわせる証拠は見当たらなかった。
2 本件新株予約権発行に関する劉氏その他の役職員の法的責任の有無及びその
内容
(1) はじめに
裁判例上、株式会社の役員の責任が発生するのは、本事案のようなケース
ではおおむね以下の 2 つの場合である。役員に①法令違反行為があった場合、
②監視義務違反行為があった場合である。
法令違反行為は、個別具体的な法令に違反する行為があった場合で、これ
は役員に裁量の余地はなく、責任が発生する。監視義務違反は、個別具体的
な違法行為を、事前に知り又は知り得た場合には、各役員はその権限を適切
に行使してそれを差し止める努力をする必要があるとするものである。
(2) 劉氏の責任
中間報告書第 6 の 3(2)記載のとおり、本件有価証券届出書等の重要事項に
6
は虚偽記載が存在すると認められるところ、劉氏は、本件合意の当事者であ
り、本件合意の存在を認識しながら上記虚偽記載に及んだと認定することが
できるから、劉氏には金融商品取引法 197 条 1 項 1 号等に違反する法令違反
行為が認められる。
したがって、劉氏には、ストリーム社に対する忠実義務違反(会社法 355
条)、善管注意義務違反(同法 330 条)が認められ、ストリーム社に損害が発
生している場合には、劉氏はストリーム社に対して損害賠償責任を負うこと
になる(同法 423 条 1 項)。
(3) 劉氏以外の当時の取締役の責任
劉氏以外の当時の取締役において、本件合意の存在を知り又は知ることが
できたにもかかわらず本件新株予約権発行に係る取締役会決議(以下「本件
決議」という。)に賛成したとの事実をうかがわせる証拠は見当たらない。
したがって、劉氏以外の当時の取締役につき、ストリーム社に対する忠実
義務違反、善管注意義務違反があったとまでは認定できないものと思料する。
しかし、後記3(3)のとおり、当時の取締役らの本件決議への対応には不相
当な点があったといわざるを得ない。
(4) 当時の監査役の責任
当時の監査役において、本件合意の存在を知り又は知ることができたにも
かかわらず劉氏による本件合意の存在を取締役会に報告しなかったり、本件
決議に反対意見を述べなかったりした事実をうかがわせる証拠は見当たら
ない。
したがって、当時の監査役につき、ストリーム社に対する善管注意義務違
反(会社法 330 条)があったとまでは認定できないものと思料する。
しかし、後記3(4)のとおり、ストリーム社の当時の監査役会の本件決議へ
の対応には不相当な点があったといわざるを得ない。
(5) 従業員の責任
7
b 氏を含め、当時の従業員において、本件合意の存在を知り又は知ることが
できたにもかかわらず劉氏による本件合意の締結や本件決議へ関与した事実
をうかがわせる証拠は見当たらないから、当時の従業員には、ストリーム社
に対する法的責任は認められないものと思料する。
3 本件新株予約権発行に係るストリーム社の内部統制の状況及びその問題点並
びに本件の原因分析
(1) ストリーム社内における劉氏の影響力等
当委員会が関係者に対して実施したヒアリング等の調査結果によると、劉
氏は、ストリーム社の創業者であり、本件新株予約権発行前の時点において
40.20%の株式を保有する筆頭株主かつ代表取締役であって、ストリーム社に
おいて絶大なる発言権、決定権を有しており、平成 29 年 10 月 12 日に代表
取締役を、同月 17 日に取締役をそれぞれ退任するまでは、ストリーム社の経
営方針や役職員の人事等は、劉氏のトップダウンで決定されていたと認めら
れる。
なお、劉氏のストリーム社に対する影響力は、表面上は、劉氏が代表取締
役等を辞任した後はないものとされていたが、当委員会が関係者からヒアリ
ングしたところによると、平成 30 年夏ころまでは、劉氏からストリーム社取
締役に対し、取締役会でのみ開示した情報であって未だ公表されていない情
報に基づく指示や協議が電話等によりなされることがあったとのことである。
このように、ストリーム社においては、ストリーム社の取締役等を通じて、
既にストリーム社の代表取締役等を辞任しており一株主にすぎない劉氏に対
して非公開情報が漏出している事実、及び劉氏が代表取締役等辞任後もスト
リーム社に対して影響力を及ぼそうとしていた事実がそれぞれ認められた。
(2) 取締役会における議論の重要性に対する取締役及び監査役の認識不足
当委員会が実施したヒアリングの結果によると、ストリーム社の取締役会
においては、劉氏が代表取締役であった時代から、劉氏の提案に対してとき
8
に社外取締役から反対意見が出されるなど、活発な議論を阻害するような雰
囲気はなかったとのことである。
しかし、ストリーム社においては、定時の取締役会における決議について
は、取締役及び監査役が実際に出席して議論した上で議決されていたが、臨
時取締役会における決議については、遠方(福岡市)に所在する取締役がい
ることなどもあって、議案の内容にかかわらず、書面決議により議決すると
いう方法が常態化していた。
確かに、会社法上、取締役会決議を書面によって行うことができるとされ
ているが(同法 370 条) 会社の重要な業務執行を決定する権限を有する取締
、
役会が行う決議については、取締役が実際に出席して議論を行い、議論を尽
くした上で議決されるべきものであって、書面による取締役会決議は、あく
までも例外的なものとして、取締役による議論を尽くすまでの必要性のない
形式的な議案の場合に行うべきものであり、会社の重要な業務執行に関係す
る議案に対する議決については、臨時取締役会の場合であっても、書面によ
る取締役会決議により行うことは相当ではないと考えられる。
しかるに、ストリーム社の取締役らの多くは、当委員会のヒアリングに対
し、議案の軽重に関係なく書面決議によることが常態化している現状につい
て疑問視していない旨述べており、取締役会における議論の重要性に対する
認識が十分でない様子が見受けられた。
現に、当委員会の設立を議決した平成 30 年 11 月 9 日の取締役会決議も、
「臨時取締役会であるから」という一事をもって、会社における重大事に関
わる議題であるにもかかわらず、取締役も監査役も特に異議を述べることな
く書面決議で行われたものである。
(3) 本件決議に対するストリーム社の当時の取締役らの対応の問題点
ア 当委員会が調査した結果、本件決議は、取締役らが出席して行われた取締
役会において議決されたものではなく、劉氏の提案により書面決議により議
9
決されたものであることが判明した。
イ 本件新株予約権発行等が行われた経緯は、中間報告書第 6 の 1(1)(2)記載
のとおりであり、当時ストリーム社においては第三者割当増資を実施するこ
とが喫緊の課題となっており、平成 25 年 8 月頃から割当先候補者と交渉を
行っていたところ、同年 11 月末頃に上記交渉が破談となったことから、劉
氏が急きょ探してきた新たな割当先である Licheng 社に対して発行するこ
とになったものである。
そして、当委員会のヒアリングに対し、当時の取締役らは、第三者割当増
資を実施することについては、取締役会で数度にわたり議論して決定したも
のであり、本件決議は、変更となった割当先に対し、既に議論して決定した
第三者割当増資を実施するということを内容とするものであって、平成 26
年 1 月末の決算までに急ぎ実施する必要があることから、臨時取締役会を開
催して書面決議により行ったものであり、本件決議を書面決議で行うことに
ついて違和感はなかった旨供述している。
ウ しかし、本件決議は、本件新株予約権発行等により、主要株主の変動、役
員構成の変更等をもたらし得る極めて重大な資本政策に係る議案について
のものであり、仮に第三者割当増資を行うこと自体については既に取締役会
において議論し決定していたとしても、その割当先についても、その適格性
を含め、取締役会を開催し、取締役らが出席して議論を尽くした上で決定さ
れるべき重大な事項であるというべきであって、当時の取締役らの上記供述
によっても、本件決議を書面により行ったことを正当化できるものではない。
また、当時の取締役らは、当委員会のヒアリングに対し、
「Licheng 社の代
表である張氏が劉氏と同郷あるいは縁戚であって近しい関係にあることか
ら新たな割当先として選定したこと、Licheng 社が新たな割当先として適格
であることなどにつき、劉氏から個別に説明を受けて納得した」と供述して
いるが、仮に劉氏から上記のような説明を受けたとしても、劉氏と張氏との
10
上記関係性や、前割当先候補者との交渉が決裂してからわずか 2 週間程度の
後に突如多額の出資の引受先として Lichen 社が登場してきたという経緯等
に照らし、当時の取締役らとしては、劉氏と Licheng 社又は張氏との間にお
いて利益供与等の不適切な事象が発生していないのか等について、取締役会
の場で劉氏に説明を尽くさせ、取締役らで十分な議論を尽くした上で、割当
先として Licheng 社が適当であるのか否かの判断をすべきであったという
べきである。
エ 確かに、本件合意は、劉氏が当時の取締役らに発覚しないようにして行っ
たものであって、仮に取締役会を開催して劉氏に対して上記説明を尽くさせ
るなどしたとしても、本件合意が発覚しなかった可能性が相応にあることは
否定し難い。
しかしながら、従前より、ストリーム社取締役らにおいて取締役会におけ
る議論の重要性を認識し、重要な業務執行については必ず取締役会において
議論を尽くした上で決定するという風土が醸成されていたのであれば、劉氏
としても、取締役会での取締役らからの質問やそれに対する説明、取締役間
での議論等を通じて本件合意の存在が発覚することをおそれ、本件合意に及
ばなかった可能性もまた否定し難いと思われる。
オ 以上に照らすと、本件決議を書面決議で行うという劉氏の提案に安易に同
意した当時の取締役らの対応には、不相当な点があったと指摘せざるを得な
い。
(4) ストリーム社の監査役会の問題点
当委員会のヒアリングに対し、当時の監査役らの中には、本件決議を書面
決議で行うことについて多少の違和感を覚えた旨供述した監査役もいたが、
この監査役も、上記取締役らと同様、劉氏から個別に Licheng 社について説
明を受けていたことや急ぎ実施する必要があることなどから、結局、本件決
議を書面決議で行うことについて異議を述べなかったと供述している。
11
したがって、当時の監査役会の本件決議への対応についても、上記取締役
らの対応と同様、不相当な点があったと指摘せざるを得ないというべきであ
る。
4 再発防止策
以上の検討を踏まえて、再発防止策を提言する。
(1) 劉氏の影響力排除
ア 前述のとおり、本件合意は、劉氏が取締役らに発覚しないように実行した
ものであり、本件有価証券報告書等の虚偽記載は、劉氏の個人犯罪であると
認められる。
投資家を欺く有価証券報告書等の虚偽記載罪を敢行した劉氏の影響力が
上場会社であるストリーム社に及ぶことは、投資家保護、健全な株式市場の
形成という観点からも、絶対に避けなければならないことである。
イ しかるに、前述のとおり、ストリーム社においては、ストリーム社の取締
役等を通じて、既にストリーム社の代表取締役等を辞任しており一株主にす
ぎない劉氏に対して非公開情報が漏出していたり、劉氏が代表取締役等辞任
後もストリーム社に対して影響力を及ぼそうとしていたりした事実が認めら
れる。
そして、劉氏への情報漏えいへの懸念から、取締役らに必要な情報が適時
に提供されず、これにより取締役会での議論が紛糾し、ストリーム社の経営
方針に悪影響が生じるなどの具体的な弊害が発生してもいる。
ウ したがって、ストリーム社においては、現在も筆頭株主である劉氏に対し
てはあくまでも一株主に対するものとしての限度においてのみ対応すること
とし、会社内部の非公開情報が劉氏に漏えいする事態の防止、劉氏からの一
株主としての矩を超えた干渉の排除、新たな社外取締役の選任などにより、
劉氏の影響力を排除するための方策を講じる必要がある。
(2) 取締役会での議論の重要性の再認識等役職員のガバナンス意識の向上
12
ア 前述のとおり、本件決議は、本来書面決議で行われるべきではない重要な
議案について安易に書面決議で行われたものである。
そして、本件決議が安易に書面決議で行われたことについては、前述のと
おり、ストリーム社の取締役及び監査役において、取締役会が有する職責や
取締役会での議論の重要性についての認識が十分でなく、「臨時取締役会に
おける議決は、取締役全員の出席が難しいから、書面決議で行えばよい」と
いう安直な慣行がはびこっていたことがその背景にあるものと考えられる。
イ そこで、ストリーム社においては、研修等を行うなどして、取締役及び監
査役に対し、取締役及び監査役の職責についての理解を深めさせるとともに、
取締役会での議論の重要性について認識を改めさせ、今後は臨時取締役会決
議であるからといって安易に書面決議の方法によることなく、必要に応じて
テレビ会議や電話会議の方法も併用しながら、取締役会を実際に開催し、取
締役らで議論を尽くすようにしていくべきである。
ウ また、前述のとおり、取締役会で提供された非公開情報が一株主にすぎな
い劉氏に漏えいしている事実が認められ、このような情報漏えいは、取締役
会に関与していた会社内部の者によるものであることが明らかである。
会社の非公開情報が株主に漏えいすることは、会社がインサイダー取引に
加担することにもなりかねないのであるから、厳に禁じられなければならな
い。
したがって、ストリーム社においては、上記のような情報漏えいを防止す
べく、役職員に対し、情報漏えい者の特定・処分やコンプライアンスに関す
る研修の実施を始めとする徹底した対応を採るべきである。
5 本件新株予約権発行及び本件新株予約権行使の効力について
当委員会は、中間報告書第 6 の 3(2)イ(ア)(イ)において、本件新株予約権の発行
及び行使に係る株式のうち第三者に売却されていない分については、本件新株
予約権の発行及び行使が劉氏によるストリーム社取締役会の承認を得ていない
13
利益相反取引に該当し得ることから、当該発行及び行使に係る株式の発行は無
効とも解し得る旨を指摘した。
上記指摘は、中間報告書第 4 に記載したとおり、極めて限定された調査期間
における調査に基づき行ったものであることから、当委員会は、中間報告書提出
後、商法学者からこの点に関する見解を聴取するなど更なる所要の調査を遂げ
た結果、新株発行及び新株予約権発行の無効等をめぐる従前の裁判例の傾向も
踏まえると、本件新株予約権発行及び行使に係る株式のうち第三者に売却され
ていない分について、その発行が無効であると解し得る余地は十分にあるもの
の、これらの割当先が劉氏であることにつきストリーム社取締役会の承認を得
ていないことをもって直ちに当該発行及び行使に係る株式の発行が無効になる
とまでは断じ得ないとの見解にも相応の合理性があるとの結論に至った。
ストリーム社としては、有価証券届出書等の訂正等を行うに当たっては、以上
の点を踏まえ、本件新株予約権発行及び本件新株予約権行使に係る株式の発行
の有効性について十分に検討・判断した上で、適切に対応する必要がある。
6 劉氏代理人弁護士からの回答について
なお、中間報告書提出から 1 か月以上が経過した平成 31 年 1 月 6 日、劉氏代
理人弁護士からストリーム社を通じて当委員会に対して当委員会の照会に対す
る劉氏の回答書が提出されたが、劉氏は、当該回答書において、本投資協議書に
おける「劉海涛」の署名が自身の筆跡に似ていることを認めつつも、特段の根拠
や理由を述べたり、証拠を示したりすることなく「張氏と本件合意をしていな
い」と供述するのみであるから、劉氏の上記供述によっても、当委員会が中間報
告書でした認定は左右されないものと判断した。
以上
14