3010 ポラリスHD 2021-05-14 16:00:00
債務超過解消に向けた取り組みについて [pdf]
2021 年 5 月 14 日
各 位
会 社 名 ポラリス・ホールディングス株式会社
代表者名 代表取締役社長 梅 木 篤 郎
(コード番号 3010 東証第 2 部)
問合せ先 取締役兼最高財務責任者 細 野 敏
(TEL:03-5822-3010)
債務超過解消に向けた取り組みについて
当社は、本日開示いたしました「2021 年 3 月期決算短信〔日本基準〕
(連結)
」に記載のとおり、新型コロナウイル
ス感染症の感染拡大による売上高の大幅な落ち込みにより、親会社株主に帰属する当期純利益△2,101 百万円を計上
したことから、2021 年 3 月期末時点において 784 百万円の債務超過となっております。
つきましては、債務超過解消に向けた取り組みについて、下記のとおりお知らせいたします。
記
1.債務超過の原因について
当社グループでは、ホテル事業をメイン事業として、2021 年 3 月 31 日現在、全国で 24 店舗 4,367 室のホテル
運営を行っております。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大が世界規模で深刻化する以前の 2020 年 3 月期第 3 四半期時点において、
当社グループでは、営業利益 149 百万円、経常利益 60 百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益 166 百万円を
計上しておりましたが、同感染症の感染拡大以降、各国政府による渡航制限や日本政府によるイベントの自粛要
請等により、訪日外国人旅行客及び国内利用客は大幅に減少し、2020 年 3 月期は、営業利益△181 百万円、経常
利益△297 百万円、親会社株主に帰属する当期純利益△191 百万円となりました。2021 年 3 月期におきまして
は、同感染症の世界的な感染拡大は更に深刻化し、日本政府による 2 度の緊急事態宣言の発令や世界各国の主要
都市で行われたロックダウンなどの影響により世界経済は停滞し、特に宿泊業においては、観光庁が公表してい
る宿泊旅行統計調査によると、2020 年において日本人延べ宿泊者数が前年対比 40.3%減、外国人延べ宿泊者数が
前年対比 84.4%減と大きな打撃を受け、当社グループにおきましても売上高は、前期比 45.5%減少いたしまし
た。
このような状況の中で、当社グループでは、各ホテルの賃借料の減額、契約の解除、フランチャイズ契約等の
固定賃料が発生しない契約形態への変更交渉や人材の再配置を含む人件費の削減、運営するホテルの一部休館な
どのコスト削減に最大限取り組みました。更に、国や地方公共団体が公表している各種助成金等の活用や GoTo ト
ラベルキャンペーンへも積極的に参画いたしました。
当社グループでは、上記のような取り組みを行いましたが新型コロナウイルス感染症の感染拡大による売上高
の低下の影響が甚大であった結果、2021 年 3 月期における業績につきましては、売上高 2,972 百万円、営業利益
△1,627 百万円、経常利益△1,685 百万円、親会社株主に帰属する当期純利益△2,101 百万円となり、当社グルー
プの連結純資産は 2021 年 3 月期末時点において、784 百万円の債務超過になっております。
2.債務超過の解消に向けた基本方針
当社は、スターアジアグループと 2018 年 10 月に資本業務提携契約を締結し、スターアジアグループより運用
されるファンドに対して第三者割当による新株の発行を行うとともに、当社グループとスターアジアグループが
両者の強みを活かし協働し、人的・物的リソースを有効活用して持続的かつ安定的に成長することといたしまし
た。2019 年 3 月には 2 回目の第三者割当による新株の発行を経て、スターアジアグループは当社の親会社となり
ました。これまでに当社とスターアジアグループとの取り組みを通じて、2021 年 3 月期では、運営するホテル数
及び部屋数が 19 ホテル、3,109 室から、24 ホテル、4,367 室へと拡大いたしました。また、新たにオープンした
ホテルには、AI や IT 技術を駆使し経営効率の高いホテルを志向する新ブランドホテル「KOKO HOTELS」5 店舗が
あります。
当社は、これまでの各取り組みに加え、以下の施策を実施するとともに、資本増強に向けた各種施策を実施
し、債務超過解消に取り組んでまいります。
3.取組の内容及びスケジュール
(1) 売上の改善に向けた取り組み
本年 2 月 26 日付「新規ホテルオープンのための定期建物賃貸借契約締結に関するお知らせ」及び本年 4 月
27 日付「匿名組合出資及び新規ホテルの運営受託に関するお知らせ」のとおり、当社グループでは新規ホテル
の運営受託案件拡大に注力しており、それに加え、新規販売チャネルの開拓(航空会社との販売に関するタイ
アップ等)
、新規顧客向けベネフィットプログラムへの参画、コロナ禍における社会情勢の変化に対応した販売
プラン(医療従事者向けプランやテレワーク向けプラン等)の造成及び推進、レストラン部門の外注化及び法
人契約の拡大等、売上増加に向けた各種施策を実施することで売上の改善に取り組んでまいります。
(2) 役員報酬の減額
当社の全取締役の役員報酬を本年 4 月より1年間、10%減額し年額 5 百万円削減いたします。
(3) 賃料支払い負担比率の引き下げ(フィービジネスへの注力)
本年 1 月 27 日付「ホテル運営に関する方針についてのお知らせ」及び本年 3 月 31 日付「ベストウェスタン
プラス福岡天神南の購入趣旨及び今後のホテル事業の方針について」のとおり、当社グループでは、ホテル運
営のパフォーマンスに関わらず固定賃料支払いを求められる長期固定賃料型の賃貸借契約の運営店舗を減らす
一方で、ホテル運営パフォーマンスに連動した変動賃料型の賃貸借契約及びホテル運営の対価としてのフィー
収入型の運営委託契約に基づく運営ホテルを増やす方針であります。その結果 2019 年 12 月末時点において、
運営ホテル数と部屋数がそれぞれ 19 ホテル、3,109 室でありましたが、2021 年 3 月末には 24 ホテル、4,367
室へと拡大いたしました。その結果、人件費及び固定賃料負担を含めた一部屋当たりの年間固定費は、2020 年
3 月期で 1,107,032 円だったものが、2021 年 3 月期では 891,389 円へと 19.5%減少いたしました。更に、2021
年 4 月より、既に長期固定賃料型の賃貸借契約にて運営していたベストウェスタンプラス福岡天神南を所有者
(信託受益者)兼運営者(オーナー・オペレーター)として運営することにより、年間 313 百万円の固定賃料
支払債務が免除となったことから、所有にかかるコストを差し引いても年間 178 百万円の現金支出を削減でき
ることとなり、当社グループの損益分岐点の低下を通じて、ホテル需給環境の回復時には大きな利益計上が期
待できる体制へと経営体質の改善を進めております。
当社グループでは、引き続きハイリスク・ハイリターン型の長期固定賃料支払の賃貸借契約タイプの運営か
ら、運営委託契約を中心とした”Fee-For-Service” (サービスの対価としてのフィー)モデルへの移行に注
力してまいります。
(4) 収支改善に向けた取り組み
当社グループにおきましては、2021 年 3 月期におきまして、ホテル建物オーナーとの賃借料の削減交渉、人
件費を含む経費の削減に取り組むとともに、運営するホテルの一部を休館するなど徹底した経費削減を行って
まいりましたが、2022 年 3 月期におきましても、下記を中心に引き続きコスト管理に努めてまいります。
① 本社経費の削減
人件費や勤怠管理業務及び税務業務に関する業務委託費などの本社管理に関わる固定経費について、役員報
酬の減額に加え、年額 15 百万円の経費の削減交渉を行ってまいります。
② ホテル運営のスリム化
ホテル運営における固定費に占める割合の大きい清掃やビルメンテナンスに関して、委託先業者の変更、契
約交渉などにより、年間約 100 百万円の固定費の削減を行ってまいります。
ホテル運営に関わる人件費に関して、シフトの見直し、客室の販売管理業務や営業業務の本社一括管理など
による業務内容の簡素化などを行い人件費の抑制を引き続き行ってまいります。
また、当社グループが運営するホテルに関わるその他の経費を今一度見直し、削減が可能な経費について
は、契約の見直しや契約の解除を行い、経費削減を行ってまいります。
③ 不採算ホテルの営業中止、休館
当社グループが運営するホテルうち、過去、訪日外国人旅行客の利用率が高いホテルを中心に、当面の事業
収支を勘案し、休館などの営業中止による経費削減も行ってまいります。衣浦グランドホテルの運営を本年 5
月より休止しており、ホテル建物オーナーとの交渉により固定賃料年額 16 百万円、その他人件費の削減等と合
わせて年額 109 百万円が削減となります。
(5) 割安ホテル物件への出資
当社では、未曽有のコロナ禍において、一時的にホテル物件の取引市場では買手がほぼ不在となっている状
況で、投資収益率及び競争力の高いホテル物件を割安に購入できる機会が増えているため、今後、ホテル運営
の受託とともに、ホテル物件の取得を推進し、ホテル物件の所有者でありホテル運営者であるオーナーオペレ
ーターモデルへのシフトを行ってまいります。割安ホテル物件への出資により、ホテル需給環境の回復に伴
い、ホテル運営による収益拡大及び将来的な売却益の実現による高い投資リターンを享受することが期待でき
ます。当社では、本年 4 月 27 日に、ベストウェスタンプラス福岡天神南のホテル建物(同物件を対象資産とす
る信託受益権)を取得する特別目的会社に対して匿名組合出資を行っております。本特別目的会社は、当社の
連結子会社となっており、ホテル運営での収益のみならず、不動産価格の上昇局面においては、将来的な売却
益も期待できます。
また、同日付で東京都中央区に所在する新築ホテルの土地・建物を対象資産とする信託受益権を取得する特
別目的会社に対して匿名組合出資を行っております。本ホテルについては、本年 9 月より当社が運営する予定
で、フィービジネスの拡大による売上増加と割安なホテル物件への出資による将来的な売却益の計上が期待で
きます。
(6) 資本性劣後ローンの導入
当社は、当社の子会社である株式会社フィーノホテルズ、株式会社バリュー・ザ・ホテル、株式会社バリュ
ー・ザ・ホテル宮城及び株式会社衣浦グランドホテルにおいて、2020 年 10 月 6 日に、株式会社日本政策金融
公庫より 950 百万円の新型コロナ対策資本性劣後ローンに関する金銭消費賃貸借契約を締結しております。同
資本性劣後ローンは、2040 年 9 月 20 日を返済期日とし、会計上の連結貸借対照表上は長期借入金に含まれる
ものの、金融機関の資産査定上は自己資本とみなすことができるものであります。
(7)資本増強に向けた各種施策の実施
当社では、2020 年 7 月 30 日に 1,500 百万円の転換社債型新株予約権付社債及び調達資金 1,504 百万円の新
株予約権を発行しております。転換社債型新株予約権付社債につきましては、現在までに 600 百万円の転換請
求を受けており、残りの 900 百万円について転換請求があった場合、純資産が同額増加いたします。新株予約
権につきましては、未行使の新株予約権が 1,442 百万円あり、行使された場合、純資産が同額増加いたしま
す。
また、更なる資本増強を目指し、今後も資本増強に向けた各種施策を積極的に検討してまいります。
上記の諸施策の実施を進め、2022 年 3 月末までに債務超過解消を目指してまいります。
2021 年 3 月期の債務超過は、新型コロナウイルス感染症の影響に起因するものであるため、上場廃止基準(債務
超過)に関わる猶予期間が、1 年から 2 年に延長される見込みであります。なお、当該措置については、6 月下旬に
提出する有価証券報告書の内容を株式会社東京証券取引所が確認した上で、正式に決定される予定であります。
なお、連結会計年度の末日時点で債務超過の解消が確認できるまでの間、各四半期に上記の債務超過の解消に向
けた取り組みの進捗状況の開示を行ってまいります。
以 上