2901 J-石垣食品 2021-01-27 15:30:00
東京証券取引所への「改善状況報告書」の提出に関するお知らせ [pdf]

                                                                 2021 年1月 27 日



各   位



                                     会 社 名 石       垣   食   品   株   式    会    社
                                     代 表 者 名 代 表 取 締 役 会 長 石垣 裕義
                                       (コード番号 2901 東証 JASDAQ スタンダード)
                                     問 合 せ 先 経理総務部( 電話 0 3 - 3 2 63 - 4 44 4 )



                東京証券取引所への「改善状況報告書」の提出に関するお知らせ



 当社は、2020 年7月 13 日提出の「改善報告書」につきまして、有価証券上場規程第 503 条第 1 項の 規定に基づき、改善
措置の実施状況及び運用状況を記載した「改善状況報告書」を本日、添付のとおり 提出いたしましたので、お知らせいたします。
 なお、当社の資本政策など会社運営に関わる重要課題の対応に人的工数が割かれている等により、本「改善状況報告書」に記載
した社内規程の一部の見直しが完了しておりません。当社としましては、当該見直しを本年3月末までに完了し、全般的に見直しを
行った結果、追加的に作成が必要と認められた規程については、本年6月までに作成する予定でおります。またこれらについては、
それぞれの実施時期を踏まえ 2021 年4月上旬及び7月上旬までを目途に開示を行い、あらためてお知らせ申し上げる方針でご
ざいます。



 添付書類:改善状況報告書



                                                                            以 上
                 改善状況報告書
                                      2021 年1月 27 日


株式会社東京証券取引所
代表取締役社長 清田 瞭 殿


                                石垣食品株式会社
                                代表取締役会長 石垣 裕義




 2020 年7月 13 日提出の改善報告書について、有価証券上場規程第 503 条第1項の規定
に基づき、改善措置の実施状況及び運用状況を記載した改善状況報告書をここに提出いた
します。
                                                      目次
1.改善報告書の提出経緯 ............................................................................................. 1
  (1) 過年度決算訂正の内容 ...................................................................................... 1
  (2) 過年度決算短信等を訂正するに至った経緯・原因 .......................................... 2
     ① 発覚した経緯 .................................................................................................... 2
     ② 調査により判明した事実の概要等.................................................................... 3
     ③ 不適切な会計処理が行われた背景事情 ............................................................ 9
  (3) 不適正開示の発生の原因の分析 ..................................................................... 10
     ① 当社経営陣及び不適切な会計処理の関係者における、
           適切な会計処理の実行を含めたコンプライアンス意識の欠如 ...................... 10
     ② 当社による本件子会社管理の不備.................................................................. 10
     ③ 本件子会社における経理体制の不備 .............................................................. 11
2.再発防止に向けた改善措置並びにその実施状況及び運用状況等 ......................... 12
  (1) 改善報告書記載の改善措置並びにその実施状況及び運用状況 ...................... 12
     ① 当社代表取締役社長の異動による管理体制の強化
             (3)①、②に対応) ........................................................................... 12
           (1.
     ② 取締役のコンプライアンス意識の徹底、及び取締役並びに経理担当者等
           に対する経理リテラシーの向上に向けた対応
             (3)①、②、③に対応) ................................................................... 13
           (1.
     ③ 本件子会社代表取締役の異動による管理体制の強化
             (3)②、③に対応) ........................................................................... 15
           (1.
     ④ 本件子会社取締役会に対する当社関与の強化
             (3)②、③に対応) ........................................................................... 18
           (1.
                      (3)①、②に対応) ........................... 18
     ⑤ 社内規程の整備、運用の検証(1.
     ⑥ 本件子会社に対する内部監査(業務監査)の有効な実施に向けた改善
             (3)②に対応) .................................................................................. 20
           (1.
     ⑦ 内部監査、監査等委員である取締役及び監査法人との連携強化
             (3)②に対応) .................................................................................. 20
           (1.
                      (3)③に対応)................................... 21
     ⑧ 本件子会社の経理機能の強化(1.
                  (3)①に対応) ................................................. 23
     ⑨ 内部通報制度の整備(1.
     ⑩ 役員報酬の自主返上 ....................................................................................... 24
  (2) 改善措置の実施スケジュール ......................................................................... 25
3.改善措置の実施状況及び運用状況に対する会社の評価 ........................................ 25
1.改善報告書の提出経緯
(1) 過年度決算訂正の内容
  当社は、2020 年4月 10 日付「特別調査委員会の調査報告書受領に関するお知らせ」で
 お知らせした通り、特別調査委員会から同日に「調査報告書」を受領し、同年4月 16 日
 に過年度決算短信等の訂正を行いました。
  訂正した過年度決算短信等及び訂正が業績に及ぼす影響額は、以下の通りです。


【訂正した有価証券報告書】
 第 61 期 有価証券報告書(自 2017 年4月1日 至 2018 年3月 31 日)
 第 62 期 有価証券報告書(自 2018 年4月1日 至 2019 年3月 31 日)


【訂正した四半期報告書】
 第 61 期 第3四半期報告書(自 2017 年 10 月1日 至 2017 年 12 月 31 日)
 第 62 期 第1四半期報告書(自 2018 年4月1日 至 2018 年6月 30 日)
 第 62 期 第2四半期報告書(自 2018 年7月1日 至 2018 年9月 30 日)
 第 62 期 第3四半期報告書(自 2018 年 10 月1日 至 2018 年 12 月 31 日)
 第 63 期 第1四半期報告書(自 2019 年4月1日 至 2019 年6月 30 日)
 第 63 期 第2四半期報告書(自 2019 年7月1日 至 2019 年9月 30 日)


【訂正した決算短信】
 平成30年3月期 決算短信[日本基準]
                   (連結)
 平成31年3月期 決算短信[日本基準]
                   (連結)


【訂正した四半期決算短信】
 平成30年3月期 第3四半期決算短信[日本基準]
                        (連結)
 平成31年3月期 第1四半期決算短信[日本基準]
                        (連結)
 平成31年3月期 第2四半期決算短信[日本基準]
                        (連結)
 平成31年3月期 第3四半期決算短信[日本基準]
                        (連結)
 2020年3月期 第1四半期決算短信[日本基準]
                        (連結)
 2020年3月期 第2四半期決算短信[日本基準]
                        (連結)


【過年度決算短信等の訂正による業績への影響額】                                (単位:千円)
  会計年度             項 目              訂 正 前        訂正後         訂正額
              売上高                     703,795     703,795          -
    第 61 期    営業利益                      7,103   △ 11,675    △ 18,779
(2018 年 3 月期) 経常利益                      5,823   △ 12,956    △ 18,779
  第 3 四半期 親会社株主に帰属する四半期純利益          △ 39,457    △ 39,457           -
              総資産                   1,492,005   1,492,005          -
                              1
              純資産                   119,017       98,676   △   20,340
              売上高                 1,389,490    1,378,472   △   11,018
              営業利益                   16,221    △ 34,106    △   50,327
    第 61 期
              経常利益                   10,896    △ 39,430    △   50,327
(2018 年 3 月期)
              親会社株主に帰属する当期純利益     △ 97,060     △ 97,060             -
     通期
              総資産                 1,541,211    1,578,368       37,156
              純資産                   254,202      254,202            -
              売上高                   662,507      662,507            -
              営業利益                △ 45,030     △ 42,952         2,077
    第 62 期
              経常利益                △ 26,572     △ 24,494         2,077
(2019 年 3 月期)
              親会社株主に帰属する四半期純利益    △ 27,170     △ 25,092         2,077
  第 1 四半期
              総資産                 1,552,815    1,590,822       38,007
              純資産                   315,543      317,621        2,077
              売上高                 1,353,760    1,353,760            -
              営業利益               △ 100,119     △ 94,693         5,425
    第 62 期
              経常利益                △ 85,197     △ 79,772         5,425
(2019 年 3 月期)
              親会社株主に帰属する四半期純利益    △ 86,181     △ 80,756         5,425
  第 2 四半期
              総資産                 1,475,420    1,512,201       36,780
              純資産                   368,042      373,468        5,425
              売上高                 2,043,408    2,043,408            -
              営業利益               △ 133,903    △ 147,906    △   14,002
    第 62 期
              経常利益               △ 121,064    △ 135,067    △   14,002
(2019 年 3 月期)
              親会社株主に帰属する四半期純利益   △ 158,908    △ 172,911    △   14,002
  第 3 四半期
              総資産                 1,527,929    1,563,484       35,554
              純資産                   309,551      295,548   △   14,002
              売上高                 2,721,223    2,721,223            -
              営業利益               △ 247,111    △ 230,223        16,887
    第 62 期
              経常利益               △ 236,095    △ 219,207        16,887
(2019 年 3 月期)
              親会社株主に帰属する当期純利益    △ 274,180    △ 315,195    △   41,015
     通期
              総資産                 1,475,541    1,451,967   △   23,573
              純資産                   201,222      160,207   △   41,015
              売上高                   652,965      652,965            -
              営業利益                △ 61,049     △ 42,766        18,283
    第 63 期
              経常利益                △ 62,524     △ 44,241        18,283
(2020 年 3 月期)
              親会社株主に帰属する四半期純利益    △ 67,334     △ 49,050        18,283
  第 1 四半期
              総資産                 1,315,218    1,292,486   △   22,731
              純資産                   121,422       98,691   △   22,731
              売上高                 1,293,782    1,293,782            -
              営業利益               △ 111,523     △ 92,398        19,125
    第 63 期
              経常利益               △ 115,555     △ 96,429        19,125
(2020 年 3 月期)
              親会社株主に帰属する四半期純利益   △ 120,600    △ 101,475        19,125
  第 2 四半期
              総資産                 1,292,459    1,270,570   △   21,889
              純資産                   124,551      102,661   △   21,889


(2) 過年度決算短信等を訂正するに至った経緯・原因
 ① 発覚した経緯
   当社は、外部からの指摘により、連結子会社である株式会社新日本機能食品(以下「本

                          2
   件子会社」といいます。)に関連して、会計処理や関連当事者注記に関して過去に提出
   した有価証券報告書に誤りがあった可能性(以下「本件疑義」といいます。
                                    )を認識し
   ました。
    その内容は、当社の 2018 年 3 月期連結損益計算書に含まれる本件子会社の損益にお
   いて、売上原価、販売促進費、支払手数料及び運賃などにかかる期間帰属の誤りの可能
   性でありました。
    このため、当社は、2020 年 2 月 10 日以降、経理総務部長を中心として、社外取締役
   である弁護士及び公認会計士が本件疑義解明にかかる検討を開始し、同月 17 日、当社
   取締役会において決議を行い、社内調査委員会を設置しました。
    その後、社内調査委員会による調査の過程で、本件疑義のうち一部について親会社で
   ある当社関係者の指示・関与が考えられる事象が判明したため、当社としては、社内調
   査委員会ではなくより独立性を有した監査等委員である独立社外取締役及び外部専門
   家による特別調査委員会が、本件子会社のみならず連結全体に対しても調査範囲を拡
   大した調査を行うべきとの結論に達したことから、2020 年 3 月 13 日開催の取締役会に
   おいて決議を行い、特別調査委員会を設置し、その後、調査結果として 2020 年4月 10
   日に調査報告書を受領し、前記(1)のとおり過年度決算短信等の訂正を行いました。


  ② 調査により判明した事実の概要等
   特別調査委員会の本調査により判明した事実を踏まえて当社として認識した不適切な
  会計処理の内容等は以下の通りです。


         A. 仕入取引にかかる帰属期間に関する会計処理
         B. 販売促進費にかかる帰属期間に関する会計処理
         C. 荷造運賃にかかる帰属期間に関する会計処理
         D. その他費用にかかる帰属期間に関する会計処理
         E. 関連当事者取引にかかる注記の記載漏れ


A. 仕入取引にかかる帰属期間に関する会計処理
(A) 2018 年 3 月末仕入に係る会計処理の計上期間のずれ(以下「カットオフエラー」とい
   います。(A社からの仕入 15,183 千円)
       )
(実際の仕訳(単位:千円))
① 伝票日付 4/3(入力日付 4/5)   前渡金       16,397   /普通預金 16,397
② 伝票日付 5/3(入力日付 4/11) 仕入         15,183   /買掛金   16,397
                       仮払消費税 1,214
③ 伝票日付 5/3(入力日付 6/26) 買掛金        16,397   /前渡金   16,397
(a) 概要

                             3
 対象取引の実際の入荷は 2018 年 3 月下旬であり同年 3 月末の棚卸資産にも計上されて
いる取引であるため、本来は同月に仕入計上すべきであったものの、同年 5 月に仕入計
上されていたものであり、訂正が必要であると判断し、訂正を行いました。


(b) 事実関係
 当該会計処理については、本件子会社社長と本件子会社の経理担当者との間で、仕入計
上時期を 2018 年 3 月から 4 月にずらすことが意図されていたことが窺えるメールが検出
されたことに加え、当該仕入取引を 3 月度の仕入明細から除外して 4 月度の仕入明細に
移し変える意図を持ってエクセルファイルを加工処理されているような状況が窺われま
した。
 また、上述の仕入先明細エクセルファイルの加工については、監査法人向けに提出する
資料を巡るやり取りのメールで検出され、更に、監査法人による残高確認の確認対象先
である仕入先に対して、本件子会社から虚偽の説明を行うよう指示すると解釈できるメ
ールも検出され、会計監査により当該会計処理が発見されることを回避するために行わ
れていたものであると考えられます。


(B) 2017 年 10 月末仕入カットオフエラー
(B社からの仕入 4,938 千円、C社からの仕入 5,049 千円)
(実際の仕訳(単位:千円))
① 伝票日付 10/31(入力日付 12/10)仕入       4,938 / 買掛金   5,333
                       仮払消費税 395
② 伝票日付 10/31(入力日付 12/10)仕入       5,049 / 買掛金   5,453
                       仮払消費税 403


(C) 2017 年 10 月末仕入カットオフエラー(D社からの仕入 3,331 千円)
  (実際の仕訳(単位:千円))
  ① 伝票日付 11/14(入力日付 11/21) 仕入      3,331 / 買掛金    3,598
                         仮払消費税     267
 (a) 概要
  (B)については、対象取引の実際の入荷は 2017 年 11 月であり同年 10 月末の棚卸資
 産には計上されていない取引であるため、本来は同年 11 月に仕入計上すべきであった
 ものの、後述する要因により同年 10 月に仕入計上されていたものであり、訂正が必要
 であると判断し、訂正を行いました。
  (C)については、対象取引の実際の入荷は 2017 年 10 月であり同年 10 月末の棚卸資
 産にも計上されている取引であるため、本来は同年 10 月に仕入計上すべきであったも
 のの、後述する要因により同年 11 月に仕入計上されていたものであり、訂正が必要で

                             4
    あると判断し、訂正を行いました。


 (b) 事実関係
    特別調査委員会による担当者へのヒアリング等を行いましたが、処理誤りの詳細な原
    因までは究明できませんでした。当時、当社による連結子会社化に際して月次決算の開
    始や様々な会計処理の整理を行っていた時期でもあり、入荷・支払の処理の手続きが従
    来手続きでは間に合わなかった点が多く、かつ通常の経理スタッフとは異なる者による
    入力であったことなどから、処理ミスや何らかの別の取引との混同等が起きてしまった
    可能性があるとのことでありました。
    なお、連結取込期間(2017 年 11 月以降)における本件子会社の損益改善を意図する
    恣意性の有無については、そのような意図を示すメール等の客観的資料は検出されてお
    らず、当社及び本件子会社それぞれの社長指示等の特段の事実は発見されていないこと
    や、利益を増加させる方向とは逆方向の会計処理もなされていることなどからも、当該
    会計処理が意図的に行われたものではないと判断しております。


B. 販売促進費にかかる帰属期間に関する会計処理
(A) 2018 年 3 月末費用カットオフエラー(E社販売手数料)
(実際の仕訳(単位:千円))
 ① 伝票日付 4/2(入力日付 4/6)   販売促進費 12,672 /普通預金 13,686
                        仮払消費税   1,013
※   実際は販売促進費等の手数料控除後ベースで売上が入金される取引であるため、費用
部分のみを抜粋したものです。
 (a) 概要
    対象取引が属する販売手数料の計算期間は 2018 年 3 月度(3 月 13 日~23 日)であり
    E社からの決済も同月内になされて売上も同月に計上されているため、本来は費用も同
    月に計上すべきであったものの、同年 4 月に計上されていたものであり、訂正が必要で
    あると訂正が必要であると判断し、訂正を行いました。


 (b) 事実関係
    まず、本件子会社のE社小売販売にかかる資金の流れですが、E社との窓口となって
    いる本件子会社の子会社(当社の孫会社に相当します。以下、
                               「孫会社」といいます。
                                         )
    の口座に販売促進費等の手数料控除後の売上がE社から入金され、その後数日以内に当
    該孫会社の口座から本件子会社の口座へ資金移動されるフローとなっていました。
    本件子会社では、孫会社への入金時点においては一旦預り金として処理し、それが本
    件子会社に資金移動された時点で販売促進費等を計上していました(以下、この費用計
    上方法を「入金基準」といいます。。
                    )

                           5
  当該会計処理については、本件子会社社長と経理担当者との間における、資金移動タ
 イミングを 2018 年 3 月から 4 月にずらすことが意図されていたことが窺えるメールが
 検出され、E社から孫会社の口座に入金された金額について、本件子会社へ資金移動す
 るタイミングを敢えて期跨ぎの 4 月度(4 月 2 日)に遅らせることで費用計上タイミン
 グを翌連結会計年度としていたことが明らかになりました。


(B) 2019 年 3 月末費用カットオフエラー(E社販売手数料)
(実際の仕訳(単位:千円))
 ① 伝票日付 4/1(入力日付 6/25) 販売促進費 17,441 /普通預金 18,836
                      仮払消費税     1,395
 (a) 概要
  対象取引が属する販売手数料の計算期間は 2019 年 3 月度(3 月 8 日~23 日)である
 ため、本来は同月に費用計上すべきであったものの、同年 4 月に計上されていたもので
 あり、訂正が必要であると判断し、訂正を行いました。


 (b) 事実関係
  当該期の会計処理は後述のとおり、従前の方法(入金基準)から、実際の発生額を日
 割りで各月に按分して費用計上する方法に変更しております。
  本件子会社の経理担当者は、日割り計算を行うために「期跨ぎ」の請求書の処理には
 注意が払われており、実際 2019 年 3 月 22 日~同年 4 月 5 日分の請求書については適切
 に日割り計上の対象であることを認識して処理されていたものの、2019 年 3 月 8 日~
 同月 22 日分の請求書については「期跨ぎ」ではなかったことから日割り計上の対象で
 あることが認識から漏れてしまい、結果として費用計上が翌連結会計年度になってしま
 いました。なお、恣意性の意図を示すメール等の客観的資料は検出されていないことか
 ら、当該会計処理が意図的に行われたものではないと判断しております。
  特別調査委員会は、上記のような各期における販売促進費にかかる複数のエラーが認
 められたところ、そもそもの入金基準が適切であったかどうかを検証することが必要で
 あると判断し、本件子会社における販売促進費の会計処理の変遷を確認しました。
     期間             会計処理                会計処理を採用した根拠
2019 年 2 月まで   入金基準(本件子会社に入金さ       正確性や客観性を重視(入金時
               れた時点で費用計上)           の実額を以て費用計上すること
                                    が適切と判断)
2019 年 3 月~    発生主義(実際の発生額を日割       実際の発生額による客観的な計
 現在            りで各月に按分して費用計上)       上が実務上可能となったため
  このような変遷の過程や根拠を含めて、収益と費用の対応関係を精査した結果、2019
 年 2 月までの会計処理について、現在採用している発生主義による費用計上方法に訂正

                            6
 することが適当であると判断しました。この場合、上記1.(2)③ A 及び B にかかる
 カットオフエラーの訂正も、この発生主義による訂正、具体的には日割りに基づく費用
 の期間配分処理を行うことに包含される形で訂正することがより合理的であると判断
 し、訂正を行いました。


C. 荷造運賃にかかる帰属期間に関する会計処理
2017 年 10 月末費用カットオフエラー(F社荷造運賃)
(実際の仕訳(単位:千円))
 ① 伝票日付 10/31(入力日付 11/27) 荷造運賃 4,629       /未払費用 5,000
                           仮払消費税 371
 ② 伝票日付 11/30(入力日付 11/27) 未払費用 5,000 /普通預金 5,000
 ※ 2017 年 11 月度~2018 年 1 月度(一部)の役務提供分にかかる費用計上無し
 (a) 概要
  対象取引は 2017 年 11 月以降の倉庫役務提供であるため、本来は同年 11 月以降に費
 用計上すべきであったものの、同年 10 月に計上されていたものであるため、訂正が必
 要であると判断し、訂正を行いました。


 (b) 事実関係
  当該会計処理については、当時の当社経理責任者(以下「当社元経理責任者」といい
 ます。
   )と本件子会社社長との間でのメールが検出され、当社元経理責任者が本来は
 2017 年 11 月以降の費用計上が適切であることを認識していたにも関わらず同年 10 月
 度での費用計上を本件子会社へ指示していたこと、及び本件子会社社長においても同様
 の認識を有していたにも関わらず特段の異議を唱えることなく不適切な会計処理を是認
 していたことが明らかになりました。
  また、本件子会社社長と本件子会社取締役との間で、監査法人による期末監査に対応
 するために、本来とは異なる名目を付してバックデートで作成された架空の請求書が存
 在していたこと、監査法人からの質問に対して虚偽の回答を行っていたことも明らかに
 なりました。


D. その他費用にかかる帰属期間に関する会計処理
(A) 2017 年 10 月末支払手数料(社宅家賃)の計上誤り
(実際の仕訳(単位:千円))
 ① 伝票日付 10/31(入力日付 4/13) 支払手数料 1,300        /未払費用    1,300
 ② 伝票日付 12/31(入力日付 4/13) 未払費用      1,300    /支払手数料 1,300
 ③ 伝票日付 12/31(入力日付 4/13)   敷金等     1,281    /普通預金    1,281
 (a) 概要

                            7
  対象取引は社宅に関して入居以降の前払賃料や敷金、礼金など入居時に一般的に求め
 られる支払であり、本来 2017 年 10 月に費用計上すべきでないものの、同月に費用計上
 されていたものであり、計上を取り消す訂正が必要であると判断し、訂正を行いまし
 た。


 (b) 事実関係
  当該会計処理については、当社元経理責任者と本件子会社社長との間でのメールが検
 出され、当社元経理責任者が本来は 12 月以降の費用計上が適切であることを認識して
 いたにも関わらず同年 10 月度での費用計上を指示していたこと、及び本件子会社社長
 においても特段の異議を唱えることなく不適切な会計処理を是認していたことが明らか
 になりました。


  (B) 2017 年 10 月末コーポレートカード利用経費の計上誤り
  (実際の仕訳(単位:千円))
  ① 伝票日付 10/31(入力日付 12/18) 費用(仕入)2,085 /未払費用(買掛金)2,085
    ※利用分が 11 月 1 日以降分の金額のみを集計
  (a) 概要
    コーポレートカード利用取引について、本来 2017 年 11 月に費用計上すべきであっ
   たものの、同年 10 月に費用計上されていたものであり、訂正が必要であると判断
   し、訂正を行いました。


  (b) 事実関係
    コーポレートカード利用取引について、利用期間:2017 年 10 月 20 日~11 月 19
   日、支払:12 月 10 日のカード利用決済分について、通常であれば 11 月に計上してい
   たところ、10 月度利用分も利用額に含まれていたこと等から、10 月度に前倒しで費
   用計上していたことが明らかになりました。
    当該会計処理については、当社元経理責任者による本件子会社の委託先会計事務所
   に対する指示を窺わせるメールが検出され、当社元経理責任者が本来は 11 月以降の
   費用計上が適切であることを認識していたにも関わらず同年 10 月度での費用計上を
   指示していたこと、及び本件子会社社長においても特段の異議を唱えることなく不適
   切な会計処理を是認していたことが明らかになりました。


(C) その他
 その他、商品評価損の計算方法が不適切であったこと及び棚卸資産の計上時期が適切で
なかったことが判明したため、訂正を行いました。なお、いずれの取引も恣意性の意図を
示すメール等の客観的資料は検出されていないことから、当該会計処理が意図的に行われ

                          8
たものではないと判断しております。


E. 関連当事者取引にかかる注記の記載漏れ
 (a)    概要
  当社は、2018 年 1 月に本件子会社と本件子会社社長との間で行われた資金授受(以下
 「本件仮払行為」といいます。
              )について、2018 年 3 月期有価証券報告書における関連
 当事者注記の漏れが判明したため、訂正を行いました。


 (b)    事実関係
       本件仮払行為は、2018 年 1 月 30 日付で本件子会社の銀行口座から 1 億円が引き出
  され、同日付で本件子会社社長の個人口座に入金されたものです。
       当該 1 億円は、本件子会社社長の要望に基づき当社の代表取締役社長もメールでの
  了承のもと、本件子会社から本件子会社社長へ支払われたものです。なお、この支払
  は、子会社における重要な取引事項として、当社の関係会社管理規程上は当社の承認
  (社長決裁による稟議処理)が必要となりますが、こうした手続は踏まれておらず、
  手続面では、不適切であったと言わざるを得ません。
       また、本件子会社では、本件仮払行為の会計処理について、2018 年 3 月 31 日には
  本件子会社株式の譲渡代金により仮払金を精算予定であったこと等の理由から、仮払
  金として処理せず、預金から現金の振替処理としていました。この結果、当社では関
  連当事者取引への記載の必要性が認識されず、開示漏れが生じることとなりました。


 ③ 不適切な会計処理が行われた背景事情
   不適切な会計処理が行われた背景として考えられる事情は下記の通りです。


  A.当社による本件子会社の子会社化
        当社は 2014 年 3 月期以降、2017 年 3 月期まで連結決算において 4 期連続して営業
   損失及び営業キャッシュ・フローのマイナスを計上しており、2018 年 3 月期に営業利
   益又は営業キャッシュ・フローがプラスを計上できない場合は JASDAQ 市場の上場廃
   止基準に抵触し上場廃止が免れない状況でありました。2018 年 3 月期中において当
   社グループの既存の事業だけでは同期における営業利益の計上又は営業キャッシュ・
   フローのプラス化は実現が困難な見通しであったため、M&A により新規事業を取得又
   は営業利益を計上している会社を連結子会社とすることにより、その実現を図ること
   を計画し、2017 年 10 月に本件子会社を子会社としました。


  B.本件子会社社長への特別賞与
        本件子会社が目標利益を達成した場合には本件子会社社長に対して特別賞与を支

                             9
  給する計画でした。


  C.当社による本件子会社に対する利益計上のプレッシャー
   当社の連結損益計算書に取込まれる本件子会社における 2017 年 11 月から 2018 年
  3 月までの 5 か月間の期間として、当社により要求された営業利益の予算は 6200 万
  円(当初 5000 万円)とされていました。この数値や達成の意義などは本件子会社の
  役員のみならず全従業員に周知・共有がなされていたところ、2018 年 3 月下旬におけ
  る本件子会社内部で行われていた営業利益予測結果は約 3700 万円であり要求された
  予算には大きく届かない水準でありました。しかし、特別調査委員会による調査手続
  きにより恣意性が確認された会計処理を含む複数の誤った会計処理の積み重ねによ
  って、最終的な営業利益は約 6700 万円となり予算を達成しました。
   当社は、連結子会社化された当初より本件子会社における利益額のコミットメント
  の進捗をモニタリングしており、これは、親会社である当社が異常なプレッシャーを
  かけていたとまでは言えないと考えられるものの、当社から本件子会社への利益計上
  プレッシャーの存在が、本件子会社における不適切な会計処理による利益計上に繋が
  ったことは否定することができないものと考えています。


(3) 不適正開示の発生の原因の分析
  ① 当社経営陣及び不適切な会計処理の関係者における、適切な会計処理の実行を含め
   たコンプライアンス意識の欠如
    今般の不適切な会計処理では、本件子会社において一部恣意的な費用の月ずれ操
   作が行われていたこと、また、当社元経理責任者から本件子会社による不適切な会
   計処理を容認するような指示がなされていた状況も認められました。
    企業における会計処理が適正に行われるためには、実際にこれを行う経理部門担
   当者が職務遂行のために必要かつ十分な知識を有しているというだけでなく、法令
   遵守に向けた意識を強くもって処理にあたることが必要といえますが、当時の本件
   子会社及び当社元経理責任者においてこれらが不十分でした。
    また、当社においては、関係会社管理規程や稟議規程など社内規程が古いまま適
   切に更新されておらず、運用も上記1.
                    (2)③ E(関連当事者取引にかかる注記の
   記載漏れ)にも記載のとおり、不十分な状態が続いておりました。当社取締役は、
   コンプライアンス意識の低さからこの様な状態を看過しており、規程を遵守する意
   識が薄いと言わざるを得ず、このような社風が不適切な会計処理を生じさせたとも
   言えます。


  ② 当社による本件子会社管理の不備
   A.当社による本件子会社の会計処理に対する実態把握の不備

                      10
  当社では、本件子会社の会計処理に対する当社経理部門による把握や指導が不十
 分でした。当社経理部門では、当時、本件子会社が当社にとって重要な子会社であ
 ることを認識していたにも関わらず本件子会社の経理部門の実態を十分に把握しな
 いまま、本件子会社社長による管理のみで十分と考え、実効性のあるチェックが行
 われていませんでした。
  また、当社は、本件子会社に対して役員の過半数を派遣し、各役員は月に 1 回程
 度開催される取締役会に出席していましたが、本件子会社の経理を含む主要業務が
 行われている岡山事務所へ赴くこともなく、本件子会社の業務活動や会計処理に関
 する実態も十分に把握できていませんでした。この結果、当社からの役員派遣がそ
 の実態を伴ったものとして機能していませんでした。
  加えて、販売促進費については 2019 年3月期においても誤謬に基づく不適切な
 会計処理が行われていたことを踏まえると、当社による管理不備の状況が継続して
 いました。


 B.関係会社管理規程の整備、運用の不備
  上記2.
     (1)①(当社経営陣及び不適切な会計処理の関係者における、適切な会
 計処理の実行を含めたコンプライアンス意識の欠如)に記載のとおり、当社では、
 関係会社管理規程においても、その内容が古いまま更新されておらず、また、当社
 取締役は、当該規程を運用すべきであるといった意識も持たず、上記1.
                                 (2)③ E
 (関連当事者取引にかかる注記の記載漏れ)にも記載のとおり、実際に稟議の手続
 きがされていない等、運用も適切に実施されていませんでした。


 C.本件子会社に対する内部監査の不備
  当社における本件子会社に対する内部監査(業務監査)については、内部監査計
 画・内部監査結果報告書も作成することなく、実質的には機能していませんでした。


③ 本件子会社における経理体制の不備
  本件子会社においては、そもそも取扱商品や取引先が多かったことから請求書の
 処理件数が膨大かつ多数にわたり煩雑で、平時でも受領した請求書の所在が不明に
 なることが多々あるような状況でありました。加えて、本件子会社では、非上場会
 社から上場会社である当社の子会社となることで、会計処理の負担が複雑化したり、
 一時的に増加したりすることが予想され、また、実際にもそのような状況が生じて
 いたにも関わらず、本件子会社社長は当時の人員(経理職員2名、委託先会計事務
 所の担当職員1名、本件子会社社長の計4名で処理・確認)で対応できると判断し、
 人員強化等の対応を行いませんでした。また、当社でも、本件子会社が当社の子会
 社になることにより業務負担が生じ、また、実際にそのような状況が生じているこ

                  11
       とを認識していたにも関わらず、本件子会社社長の判断を拠り所として人員強化等
       の対応を行いませんでした。このことが、本件における会計処理のミスや遅れに繋
       がったと認められます。


2.再発防止に向けた改善措置並びにその実施状況及び運用状況等
(1) 改善報告書記載の改善措置並びにその実施状況及び運用状況
     ① 当社代表取締役社長の異動による管理体制の強化(1.
                               (3)①、②に対応)
       【改善報告書に記載した改善策】
         本年6月の株主総会を以って、当社の代表取締役社長は代表権を持つ会長(以
       下「当社会長」といいます。)に就任し、取締役経理総務部長1が新たに代表権を
       持つ社長(以下「新社長」といいます。)に就任しました。当社会長は、当社が従
       来から営む既存事業(飲料事業、珍味事業、その他事業)に関する営業・製造等
       に関する事業責任者である一方、新社長は、全般を統括するとともに、ガバナン
       ス・コンプライアンスに対する意識が希薄な点が否定できない当社会長に代わっ
       て当社グループ全体に関わるガバナンス・コンプライアンスについても全体を掌
       握し、統括します。なお、新社長は、当社における経理総務部門の職歴が長いも
       のの、今般の不適切な会計処理が主として行われた 2018 年 3 月期には当社に在
       職しておらず、従って不適切な会計処理に対する関与もなく、加えて、他社在職
       経験もあり多様な知見と経験を有しております。
         また、当社は、新社長を中心として今般の改善策を実施するとともに、新社長
       は、当社及び子会社の職員に対して行う朝礼や経理担当者との面談や研修の実施
       等により意識改革を行ってまいります。
      【実施・運用状況】
       (代表取締役の異動)
        改善報告書に記載した改善策の通り、代表取締役の異動を完了しております。


       (朝礼や面談によるコンプライアンス意識の徹底)
        当社では週に1度、本社勤務の職員を対象に朝礼を実施しております。また、工
       場勤務等で朝礼に参加できない職員に対してもメール及び社内に掲示する形で共有
       され、内容が通達されております。
        この朝礼において、代表取締役が異動した理由、不適切会計の発生とその調査状
       況から改善計画の策定内容と実施状況、職員自身や同僚、上司の指示による違法行
       為の防止や法令順守の重要性の説明などコンプライアンス意識の徹底、下記⑤の社


1
    1997 年4月当社入社(2017 年1月退社)
                           。2018 年7月再入社し、2019 年6月取締役に
就任。
                           12
 内規程の整備内容、下記⑨の内部通報制度の整備等について通達しております。
  また、本件子会社においては、本件子会社社長より全社員向けメールで、下記⑤
 の社内規程の整備や下記⑨の内部通報制度の整備等について通達しております。
  更に、当社の経理部では、毎朝、新社長が経理職員2名とミーティングを実施し
 ており、その際、コンプライアンス意識の徹底や業務方針や手続きについて共有が
 行われております。


 (新社長による経理職員に対する面談の実施)
  2021 年1月に新社長が、当社経理職員全員(2名)及び本件子会社経理職員全員
 (3名)を対象とした個別面談を実施し、あらためて本件不適切会計の経緯、コン
 プライアンス意識の徹底及び社内通報制度についての説明を行っております。また、
 現時点で不適切な事態が発生していないかについても聞き取りを行いましたが、問
 題は見受けられませんでした。


② 取締役のコンプライアンス意識の徹底、及び取締役並びに経理担当者等に対する経
 理リテラシーの向上に向けた対応(1.
                  (3)①、②、③に対応)
 【改善報告書に記載した改善策】
  当社は業績の不振が続く中でリストラクチャリングなど規模の縮小や削減と
 いった面にばかり目が行き、コンプライアンス意識の徹底といった方面に目が
 向かない状況が続いていました。そこで、当社及び本件子会社の取締役並びに
 経理担当者に対して日常的にコンプライアンスの意識向上を図るべく外部講師
 等による必要な研修等を年に2回程度継続的に行います。具体的な方法は協議
 検討中ですが、外部主催の研修等に参加する、外部から専門家講師を招き研修
 を行うといった方法で遅くとも本年8月から実施いたします。
  経理担当者に対しては、更に経理リテラシーの向上を目的として、年に1回
 程度の外部主催の研修等への参加に加え、当社の顧問税理士が月次監査に来社
 する都度、会計に関する勉強会を開催することで知見を深めてまいります。
  また、他の部門の職員に対しても、新社長を中心に週 1 回実施される朝礼を
 通じて不適切な会計処理の状況説明や他社事例を説明するなどして、法令順守
 に対する意識づけを図ってまいります。
  加えて、現時点において具体的な確認方法は定まっておりませんが、11 月ま
 でに、グループ各社において、金額的重要性のある支払案件や、重要な契約書
 を確認し、社内規程に従った手続きが行われているかなどを過去に遡って確認
 します。確認した結果、不備・改善点が認められた場合には、必要な対応を 12
 月までに図るものとします。この様な活動を通じて、不適切な行動を容認する
 ような企業風土も改めるとともに、コンプライアンス等に関する意識も高めて

                   13
まいります。
【実施・運用状況】
(コンプライアンス意識の向上を目的とした研修等の実施)
 取締役のコンプライアンスの意識向上を図ることを目的とした研修については、
外部から専門家講師を招く方法を検討いたしましたが、新型コロナウイルス感染拡
大下における実施が困難であることから、インターネット配信形式のコンプライア
ンスに関するセミナーを当社及び本件子会社の全取締役が受講する形式で実施して
おります。
 具体的には、信託銀行が主催し、企業役員を対象として、コンプライアンス経営
の重要性、企業における自浄作用の重要性、役員の職責、役員としての不正・不祥
事防止のための具体的施策を説明する内容のものを受講しております。
 受講は年2回程度を想定しておりましたが、効果の持続性等を考慮して、2020 年
8月、11 月、12 月の定例取締役会及び 11 月の四半期決算取締役会の終了後の計4
回に分散・継続して受講する形式で実施しており、受講者に対して継続的な意識づ
けが行われているものと考えております。
 なお、オンラインで取締役会に参加しているなど受講が困難である取締役は別途
受講していることを口頭で確認しております。ただし、12 月からはその効果を増強
するために、セミナーの受講画面を共有してオンラインでの参加者も同時視聴を行
った上で、受講完了後に全参加者が感想を話し合う機会を設けております。
 取締役のコンプライアンスの意識向上を図ることを目的としたセミナーの受講は、
各取締役も意義を感じており、また1つのセミナーを分散して受講する形式であれ
ば負荷も高くないことから、2021 年1月以降も継続して同様のセミナーの受講を続
けていく予定でおります。
 経理担当者の経理リテラシーの向上を図ることを目的とした研修についても、イ
ンターネット配信形式のセミナー受講を実施しており、目的の達成が図られている
ものと考えております。
 受講した内容は、当社の経理担当者1名においては 2019 年8月、IR支援会社主
催で税理士が講師を務める消費税に関するセミナーを受講して、顧問税理士からの
修正指示等が最も多い消費税の会計処理に関する知見を深めており、本年度は同社
主催で税理士が講師を務める法人税の基礎に関するセミナーを 2020 年8月に受講
することで、損金や益金、交際費等の法人税に関係する処理の知見を深めておりま
す。
 本件子会社の経理担当者1名はオンラインセミナーの専門会社が主催のMBA取
得者が講師を務める決算書の内容の理解力を高めるセミナーを 2020 年 12 月に受講
し、単純な仕訳処理だけの理解から財務諸表への理解を深めております。また、各
セミナーの内容は受講者から他の経理担当者にも共有することにより、部門全体の

                  14
 品質向上を図っております。
  今後も当社及び本件子会社の経理担当者がセミナーを継続して受講することで、
 経理リテラシーの向上を図ってまいります。更に、経理担当者に対してもコンプラ
 イアンス意識の向上を図るべく、インターネット配信形式のコンプライアンスに関
 するセミナーを 2021 年1月に受講しております。
  経理担当者以外の職員に対しても、上記①に記載の通り、週に1回開催される朝
 礼において、コンプライアンスの重要性について周知を行っております。


 (顧問税理士等による経理担当者との勉強会の実施)
  顧問税理士が月次監査時に当社経理担当者と行う勉強会については、月次で実施
 しており、顧問税理士が月次で監査を行う中で発見した計上費目の誤りや消費税等
 の処理誤りについての考察、生じやすい誤りについて説明を受け、経理職員の知見
 を深めております。本件子会社経理担当者も、会計委託先事務所との間で本件子会
 社の帳票や税務申告書をベースとした対話を行っております。


 (金額的重要性のある支払案件及び重要な契約等の確認)
  当社において金額的重要性のある支払案件や重要な契約等について適切な手続き
 が行われているかにつきましては、2020 年 12 月に、2020 年4月から 2020 年 11 月
 末までを対象期間として確認を実施し、適切に対応されており、不備は認められて
 おりません。
  本件子会社において金額的重要性のある支払案件や重要な契約等について適切な
 手続きが行われているかにつきましては、2021 年 1 月に、2020 年 4 月から 2020 年
 11 月までを対象期間として下記③に記載したチェックリストの確認、本件子会社の
 仕訳日記帳の確認及び対象期間に本件子会社が締結した全ての契約書を確認し、金
 額的重要性のある支払案件及び重要な契約等について適切な手続きが確認されてお
 り、不備は認められておりません。


③ 本件子会社代表取締役の異動による管理体制の強化(1.(3)②、③に対応)
 【改善報告書に記載した改善策】
  当社における本件子会社管理体制の強化を目的として、新社長が、本件子会
 社の代表取締役副社長に就任(兼務)します。
  今般の不適切な会計処理に関与した本件子会社社長の退任も検討いたしまし
 たが、現状本件子会社で行われている事業を統括して推進できる人材は創業者
 である本件子会社社長以外になく、また、本件子会社の債務に対する債務保証
 を本件子会社社長から他者に切替えることも困難であるため、本件子会社社長
 を維持したまま、代表者を追加して複数とすることが最善と判断いたしました。

                       15
 従来、当社では、本件子会社の重要な経営課題の決定については月1度の取
締役会で報告が行われるのみでした。本件子会社の重要な経営課題は、基本的
に本件子会社社長により決定・推進が行われていましたが、新社長の本件子会
社の代表取締役副社長就任後は、適宜会議やウェブミーティング、メール等に
より重要な経営課題について進行段階において仔細の共有を促し、経営実態や
業務内容の把握に努めてまいります。また、経理面についても、新社長が月次
試算表の確認など会計処理に関する確認を行うほか、本件子会社社長及び経理
担当者への研修や新社長による面談等により意識改革や問題点の改善を図って
いきます。
【実施・運用状況】
(本件子会社の代表取締役の異動)
 2020 年6月に、当社の新社長が本件子会社の代表取締役副社長に就任(兼務)い
たしております。


(本件子会社の経営実態や業務内容の把握)
 新社長は、本件子会社の代表取締役副社長として就任後、本件子会社社長に対し
て適宜情報の共有を行うよう促すとともに、従来最も開催の少ない時期で3カ月に
1回の開催に留まっていた本件子会社取締役会の開催を毎月定例で行う様にしてお
ります。
 これにより本件子会社に関する情報を共有する機会が増え、また、従来は財務諸
表のみであった取締役会資料に月次予算対比数値その他重要な指標を記載した提出
を求めるようになったこと及び本件子会社の売上状況の報告を日次で受けるように
なったことにより実態を把握することができるようになっております。
 更に、本件子会社社長が従来本件子会社全職員に対して行ってきた営業方針、注
意事項及び課題等を共有するための一斉メールを、新社長を含めた本件子会社取締
役が受信することにしております。これらにより、重要な経営課題等について共有
できることとなっております。
 加えて、当社(新社長)と本件子会社社長及び本件子会社経理職員との間では子
会社チェックリストの策定等を契機としたメールやウェブミーティングの開催によ
ってコミュニケーションの機会が増加し、お互いの情報共有を行いやすい環境にも
なっております。
 また、本件子会社社長は、銀行借入金の継続借入れといった本来であれば取締役
会で共有すべきであるところできていないこともあった重要な事実の共有を行うこ
との必要性等についても強く認識を持つことになっております。
 従来、本件子会社社長が独断的に実行し、または事後報告に留まっていた経営課
題について、検討・発議段階から新社長を含めた本件子会社取締役に共有されるこ

                   16
ととなり、委託事業の内製化といった構想段階である中長期的な経営課題を情報共
有し、本件子会社取締役会でも忌憚のない意見がでるようになるなど、その実効性
が確認されております。


(新社長による本件子会社への経理関与強化)
 2020 年 11 月から、本件不適切会計が発生した原因である誤った会計処理の発生
を防ぐこと及び恣意的な操作等による不適切な会計処理を発見することを目的とし
て、本件子会社自身が本件子会社に関する毎月の月次決算についてのチェックリス
トを作成し、新社長がその内容を確認することといたしました。
 チェックリストの策定にあたりましては、監査法人にも作成検討段階から意見を
求めて作成しております。このチェックリストにおいては大要以下の記載及び対応
を求めております。
 ・月次決算の概況、トピック事項(新規取引、取引停止の状況、貸倒れ等通常と
  異なる取引の発生状況)の報告。
 ・月次残高試算表のモニタリングとして売上高、原価、販売促進費や営業債権・
  仕入債務・棚卸資産の残高や回転期間の状況の報告及びそれらについて前月
  比で大きな変動があった場合にはその説明及び証憑の提出。
 ・売上高や原価、仕入や費用などのうち支払いが一定程度大きなものについて
  その説明及び証憑の提出。
 ・倉庫の入庫データ・社内の受払データ・会計計上した仕入高の相違値の確認及
  び大きな相違があった場合にはその説明及び証憑の提出。
 ・仕入計上額と仕入先発行の請求書の相違値の確認及び大きな相違があった場
  合にはその説明及び証憑の提出。
 ・重要な得意先に対する売上高及び販売促進費の計上時期、会計処理額について、
  整合性の説明及び証憑の提出。
 ・販売促進費以外の費用について、重要な支払の有無の確認及び重要な支払が
  あった場合にはその説明及び証憑の提出。
 ・関連当事者取引の有無の確認及び関連当事者取引があった場合にはその説明
  及び証憑の提出。
 ・決算における在庫評価損の計上実施の内容。
 チェックリストの内容は、監査法人から本件子会社経理の監視強化として十分妥
当であるとのご意見を頂いております。また、監査等委員会を含む取締役会でもそ
の内容が説明され、内容が不十分と言った否定的な意見は得られておりません。新
社長がこのチェックリストを通して月次決算に誤謬等がないか確認を行い、改ざん
や処理誤りのない月次決算品質の向上に努めております。
 チェックリストの作成及び新社長による確認は、2020 年7月及び8月月次決算分

                  17
 については 2020 年 11 月に、2020 年9月及び 10 月分については 2020 年 12 月に、
 2020 年 11 月分については 2021 年1月に、遡って作成が行われた 2020 年4月分に
 ついては 2020 年 12 月に、2020 年5月分及び6月分については 2021 年1月に完了
 しております。


④ 本件子会社取締役会に対する当社関与の強化(1.
                        (3)②、③に対応)
 【改善報告書に記載した改善策】
   本件子会社の取締役会は、本年6月から当社の取締役会と同日に連続して開
 催することにし、当社取締役は本件子会社取締役会にオブザーバーとして参加、
 本件子会社社長は当社取締役会にオブザーバーとして参加することで、当社グ
 ループ内において現在最も重要な事業であるインターネット通信販売事業を担
 う本件子会社について、当社取締役及び本件子会社取締役の職責や管理に対す
 る意識の共有、強化を図り、当社としても本件子会社に対する関与と理解を深
 めます。
【実施・運用状況】
(当社と本件子会社の取締役会の同日連続開催)
  改善報告書に記載した改善策の通り、当社と本件子会社の取締役会を同日に連続
 して開催し、当社取締役の全員は本件子会社取締役会にオブザーバーとして参加し、
 本件子会社社長は当社取締役会にオブザーバーとして参加しております。


(本件子会社の社長が当社取締役会に参加すること及びその効果)
  本件子会社の社長が、当社の取締役会に参加することで上場会社の子会社として
 必要なリテラシーやコンプライアンス、ガバナンス意識が改善されることとなって
 おります。


(当社取締役全員が本件子会社取締役会に参加すること及びその効果)
  当社取締役全員が本件子会社の取締役会に参加することで本件子会社が営むイン
 ターネット通信販売事業の実態及び課題の把握、将来計画及びその状況の把握に加
 え、委託事業の内製化といった中長期的な経営課題も把握することができ、本件子
 会社に関する理解を深めるとともに、それを踏まえて監視機能も強化できることと
 なっております。


⑤ 社内規程の整備、運用の検証(1.
                 (3)①、②に対応)
 【改善報告書に記載した改善策】
   当社は上場維持に最低限度の規模で運営していたところ、近年は業績不振が続
 き、関係会社管理規程を含む社内規程全般についての見直しが疎かとなり、現状

                        18
にそぐわないままとなっていたため、その見直しを本年 9 月までを目途に行いま
す。規程の改訂は取締役会で決議することで経営陣も認識を持つこととし、改訂
内容を社内全体に朝礼等で周知します。その後の運用状況について、本年 12 月
までに新社長が取締役会で報告を行い、検証を行うことにします。
【実施・運用状況】
(社内規程の見直し)
 本件不適正開示に関連する規程であり、会社運営上重要な支払や契約等の管理に
関わる重要な規程である組織規程(職務権限基準表を含む)、りん議規程、内部監査
規程及び関係会社管理規程について、記載されている組織、役職及び権限等につい
て現状に即した内容に修正する等の改訂を 2020 年9月 29 日の取締役会において決
議し、朝礼で全職員に通知いたしております。


(その他規程の見直しについて)
 本件不適正開示に関連する規程の改訂は行われたものの、上記以外の規程につ
いては改訂が終了しておりません。これは改訂の必要がないと考えているのでは
なく、取締役会でも他に改訂が必要な規程が残されている旨は共有されており、そ
の改訂の必要性も認めております。しかしながら、現時点では、資本政策など会社
運営に関わる重要課題が山積する中、そういった政策に人的工数が割かれてしま
っていることに加え、当社の業況に鑑みると新たに適切な人材を採用することも
困難で、規程を改訂する適切な人材が不足していることから、改訂が終了しており
ません。当社としましては、その他の規程(経理関連規程及び人事関連規程等)の
改訂及び日本取引所自主規制法人から指摘を受け新規に作成する必要性が認めら
れた内部者取引及び適時開示に関する規程(又はマニュアル)等の作成については、
本年3月末までに完了する予定でおります。
 また、その他社内規程の充足度について全般的に見直しを行った結果、追加的に
作成が必要と認められた規程については、本年6月までに作成する予定でおりま
す。なお、社内規程の見直し及び作成の結果を開示いたします。


(社内規程の運用状況の確認)
 改訂した組織規程、りん議規程、内部監査規程の運用が適切に行われているかに
ついて、
   2020 年 12 月に会計帳簿の確認による支払状況及び契約書の確認等により、
りん議手続きや決裁者等について適正な運用が行われているかを確認し、2020 年 12
月 25 日の取締役会において問題ない旨の報告が行われております。
 しかし、関係会社管理規程の運用状況の確認については、③で記載のチェックリ
ストの作成と確認に時間を要し、当初計画していた 2020 年 12 月より 2021 年1月
へ遅延いたしました。

                    19
  本件子会社における会計帳簿の確認による支払状況及び契約書の確認等により、
 適正な運用が行われているかを確認し、同年1月 22 日に各取締役及び監査役に問
 題ない旨の報告が行われております。なお、2021 年1月の取締役会は本改善状況報
 告書提出日の翌日である1月 28 日に開催を予定しているため、個別に各取締役及
 び監査役に報告し、問題ない旨の意見を得ております。


⑥ 本件子会社に対する内部監査(業務監査)の有効な実施に向けた改善(1.
                                   (3)②
 に対応)
 【改善報告書に記載した改善策】
  当社の従来の内部監査は、J-SOX 対応が中心で業務監査が不十分でした。今後
 は、J-SOX 対応のみならず、業務監査も実施していきます。内部監査(業務監査)
 は、 (2) (内部監査、
   2.  ⑦      監査等委員である取締役及び監査法人との連携強化)
 にも記載の通り監査等委員である取締役と内部監査担当者が連携を強化して、必
 要な計画・報告形態を策定する形に改善し、有効な実施を行ってまいります。
 【実施・運用状況】
 (内部監査(業務監査)の実施に向けた計画の策定等)
  内部監査、監査等委員である取締役及び監査法人が協議・検討を続けた結果、内
 部監査(業務監査)の実施については、従来は行われてこなかった内部監査計画書
 及び報告書、改善計画等の具体的文書の作成を伴った内部監査(業務監査)の手続
 きは不可避であると考え、監査法人の意見を受けながら 2020 年 12 月の取締役会に
 おいて、監査計画の内容を確定しております。
  また、内部監査(業務監査)においては、2021 年 1 月に本件子会社における再発
 防止策の実施状況について確認をしており、細かな指摘事項はあるものの重大な不
 備はなかった旨の報告が新社長及び監査等委員会に対して報告されております。


⑦ 内部監査、監査等委員である取締役及び監査法人との連携強化(1.
                                (3)②に対
 応)
 【改善報告書に記載した改善策】
  内部監査部門、監査等委員である取締役及び監査法人のディスカッションの機
 会を増やし、その連携を強化することで内部監査の有効性を強化します。
  従来は内部監査部門と監査等委員である取締役との連携は四半期決算取締役会
 時での実施を基本としていましたが、これを月に1度行われる定例の取締役会の
 開催に合わせて行うこととし、課題点の共有及び内部監査結果の共有等を行いま
 す。監査等委員である取締役と監査法人のディスカッションも、従来は監査計画
 の策定時と年次決算に係る監査報告時の年2度を基本としておりましたが、最低
 でも四半期決算レビューを含む年5回を基本とするほか本年6月に就任した監査

                   20
 等委員1名が公認会計士であることから監査計画等の内容を詳細に得て内容の理
 解を深め、意思疎通のしやすい体制を整えることで、連携強化、相互監視により
 有効な監査の実施をできる様に改善いたします。
【実施・運用状況】
(監査等委員会と内部監査部門の連携強化)
  監査等委員会を月に1度以上行われる取締役会とあわせて開催し、監査等委員会
 に内部監査担当者である取締役が参加することで意見交換の機会を増やし、課題の
 共有や理解を深め、連携を図ることが行えているものと考えております。


(監査等委員会と監査法人の連携強化)
  従来は監査計画査定時及び年度決算に係る監査報告時の年2回の実施が基本であ
 った監査等委員会と監査法人とのディスカッションは第1及び第2四半期決算レビ
 ューにおいても行われており、監査等委員である取締役の監査手続きに対する理解
 を深めているほか、相互の意思疎通、連携強化、相互監視が行われております。
  ディスカッションの機会が増えたことにより、監査法人の監査方針に対する監査
 等委員会の理解、監査等委員会から監査法人に対して期待する役割等の意見共有が
 されることで、監査法人、監査等委員会が相互に有効と考える監査手続きの実施が
 行われているものと考えております。また、内部監査担当者は監査等委員会と監査
 法人のディスカッションにも参加し、内容を共有しております。


⑧ 本件子会社の経理機能の強化(1.
                 (3)③に対応)
 【改善報告書に記載した改善策】
  本件子会社の会計業務は、不適切会計処理が行われた当時も含め直近まで、本
 件子会社の経理職員2名、委託先会計事務所の担当職員1名、本件子会社社長の
 計4名で処理・確認が行われており、業務や証憑類の増加に追い付かずミスが生
 じやすい状況となっておりました。業務の習熟や業務の見直し等で改善されては
 いるものの、不適切な会計処理の発生を受けて、本年6月に経理職員を1名(本
 件子会社経理経験者)増員して経理職員を3名とすることで、未処理請求書の放
 置がされない様にチェックするといった形で経理機能をさらに強化することと
 なりました。
  また、委託先職員による業務は、従来は本件子会社職員では対応できない税務
 計算上必要な会計処理の実施や確認等に限られていたところ、費用・収益等の激
 変項目の有無の確認や重要な仕入・費用等にかかるサンプリング・チェックなど、
 従来は行われてこなかったチェックの実施を求めており、本件調査が開始された
 本年2月より開始されております。
  加えて、公認会計士の資格を有するその委託先会計事務所の代表者が当社の監

                   21
査等委員である取締役に就任し、今般の不適切な会計処理を踏まえた当社及び本
件子会社に対する監督の強化を行い、当社及び本件子会社の財務諸表、必要に応
じて総勘定元帳及び証憑等の確認も行い、担当職員への意見を行うことで会計処
理の適正化に努めます。
 また、これらの対策で不足であると考えられる場合には、別途外部の公認会計
士に不適切な会計処理が行われていないか等を確認するといった業務を委託し
て、監視体制を更に強化することも考えられ、それを第2四半期決算の完了する
11 月までに検討いたします。
【実施・運用状況】
(本件子会社の経理体制の強化)
 本件子会社の経理体制につきましては、改善報告書に記載した改善策の通り、支
払や会計処理においてミスや不正の発生を防ぐ体制を構築しております。具体的に
は、2020 年6月に本件子会社の経理職員を1名増員し、3 名体制としております。
また、過去には請求書類の処理済・未処理の混在等が発生しておりましたが、2020
年6月より処理済印を付す手続きを追加して、請求書類について処理済・未処理区
分の混在、それに伴う二重支払や支払の見落とし等の防止を図っております。更に
経理職員1名のみで行っていた請求書の内容について、仕入検収と整合が取れてい
るか、支払うべき金額が適正であるか、仕入計上額との突合といった確認業務につ
いて、別の経理職員2名もその内容を再確認することとしております。支払業務に
ついては本件子会社社長のみが画面確認のみで行っていたところを経理職員が帳票
を出力して確認することといたしております。これらに伴い、支払や会計処理の漏
れといったミスの発生の防止を図っております。


(委託先会計事務所による監視強化及び公認会計士、当社監査等委員である取締役、
委託先会計事務所の代表者による監視強化)
 本件子会社の月次決算及び決算業務を委託している外部会計事務所による監視強
化が、2020 年2月から行われております。具体的には、仕入については、当初、サ
ンプリングによる確認が行われていましたが、損益に対する影響が大きいことに鑑
み、2020 年4月から、全件の請求書確認する方法に変更しております。支払書類等
に対する確認は、請求書や支払証憑の内容確認に留まっていましたが、特に大口で
都度払いの取引先については、会計伝票の有無やその記載内容との突合を行って、
計上漏れや計上誤りの防止を図っております。また、計上時期の処理誤りが続いた
大手ネット通信販売業者への支払手数料については、計上された伝票の対象期間や、
月ずれ、期ずれがないか会計仕訳と証憑を毎月確認することで、処理誤りの防止を
図っております。
 委託先会計事務所の代表者であり、2020 年6月に当社に就任した監査等委員であ

                  22
 る取締役においては、従来は委託先会計事務所の責任者として年に1回の本件子会
 社の財務諸表の監修をするといった関与に留まっていたところ、月次で試算表及び
 財務諸表を確認し、監督の強化に努めております。また、当社の取締役会に当社監
 査等委員である取締役として、また、本件子会社の取締役会に監査役として参加し、
 当社及び本件子会社の月次決算の内容について業績や財務状況及びその構成内容等
 について詳細を把握しております。加えて、監査法人とも定期的に監査法人の監査
 計画とその実施状況や方針を共有することで監査手続きの有効性を向上させており
 ます。なお、当該監査等委員である取締役においては、現時点の確認方法で会計処
 理の適正性を担保できないとまで考えていないことから、総勘定元帳、証憑類まで
 に至る詳細な確認にまでは至っておりませんが、必要があれば、その確認を行うと
 いう方針に変更はないものと考えております。


(当社による経理監視体制の強化)
  上記③に記載の通り、当社の新社長である本件子会社の新副社長が、毎月の月次
 決算に関するチェックリストにより、月次決算に誤謬等がないか確認を行うことで、
 決算品質の向上に努めております。
  また、当社と本件子会社経理担当者が本件不適切会計を受けて連携をより密に行
 うことにし、仕訳に関する細かい内容の事前確認や双方が問題として認識している
 ことを課題として受け止めるなど相互に連携を深めることができるようになったこ
 とから、本件子会社の月次決算の信頼度・完成度が向上しているものと考えており
 ます。


⑨ 内部通報制度の整備(1.
             (3)①に対応)
 【改善報告書に記載した改善策】
  当社にはこれまで内部通報制度がありませんでしたが、本年6月に開催した定
 時株主総会において就任した新任監査等委員である取締役を窓口として、グルー
 プ全社を対象とした内部通報制度を7月までに整備します。また、内部通報制度
 を整備した際には、朝礼やメール等の通知によりグループ全社員に通知します。
【実施・運用状況】
 (内部通報制度の導入と周知)
  改善報告書に記載した改善策の通り、2020 年8月に当社監査等委員である取締役
 を窓口としてグループ全社を対象とした内部通報制度を導入し、当社及び本件子会
 社職員にメールにて通知し、更に当社朝礼でも周知を行うことで、グループ全社員
 に通知いたしております。
  2020 年 12 月 25 日開催の監査等委員会において、内部通報制度及び運用状況に問
 題がない旨協議し、確認を行っております。また、2021 年1月4日の年頭挨拶にお

                    23
 いても、あらためて当社職員に周知を行っており、今後も適切に利用されるよう周
 知を続ける方針でおります。


⑩ 役員報酬の自主返上
 【改善報告書に記載した改善策】
  当社会長及び本件子会社社長から、不適切な会計処理を結果的に発生させてし
 まった事態やその背景・原因を重く受け止め、経営者責任の明確化とともに今後
 のグループ全体の企業風土の改善に資することを理由として、報酬等について下
 記自主返上の申し出がありました。
  会社として取締役会で議論したところ、不適切な会計処理に係る関与者に対す
 る処分として、以下を以って対象者・内容とも相応のものと判断できると結論付
 けました。
   A. 役員報酬の自主返上
     (A) 役員報酬自主返上の内容
       当社会長 報酬月額の30%
       本件子会社社長 報酬月額の30%
     (B) 役員報酬自主返上の期間
       2020 年7月支払分から 12 月支払い分までの6ヶ月間
   B. 役員賞与の自主返上について
    本件子会社が 2018 年3月期に目標利益を達成したことを理由として、
   本件子会社社長に対して支給された特別賞与全額の返納
 【実施・運用状況】
 (役員報酬、役員賞与の自主返上又は減額)
  改善報告書に記載した改善策の通り、役員報酬、役員賞与の自主返納又は減額が
 行われております。




                    24
(2) 改善措置の実施スケジュール
                                  2020 年                    2021 年
   再発防止策の項目
                 6月    7月    8月    9月    10 月   11 月   12 月  1月
 ① 当社代表取締役社長の
                 代表者
   異動による管理体制の
                 異動
   強化
 ② 取締役のコンプライア    取締役の研修等
                         取締役等の研修等の実施(年2回程度)
   ンス意識の徹底、及び取   実施の検討
   締役並びに経理担当者          経理担当者の勉強会(月1回)
   等に対する経理リテラ
   シーの向上に向けた対          過去の社内規程に沿った運用状況等の確認・
   応                   管理強化・運用
 ③ 本件子会社代表取締役
                 代表者
   の異動による管理体制        管理強化・運用
                 異動
   の強化
 ④ 子会社取締役会に対す
                 実施
   る当社関与の強化
 ⑤ 社内規程の整備、運用の   検討・整備            一部運用
   検証                                                  検証
 ⑥ 内部監査(業務監査)の
   有効な実施に向けた改          検討・整備
   善
 ⑦ 内部監査、監査等委員で
   ある取締役及び監査法          運用
   人との連携強化
 ⑧ 本件子会社経理機能の    委託内容強化(実施済)
   強化            経理職員増員
                     監査等委員監督強化
 ⑨ 内部通報制度の整備        検討   整備・運用


3.改善措置の実施状況及び運用状況に対する会社の評価
  当社は、今般の決算短信の訂正等につきまして、株主様、投資家様、お取引先様をはじ
 めとした関係者の皆様に多大なるご迷惑とご心配をおかけしましたことを、あらためて
 深くお詫び申し上げます。
  本件事案は役職員のコンプライアンス意識の欠如や本件子会社自身における管理体制
 の甘さに加え当社における子会社管理体制の不備等が原因であり、上場会社として重大
 な責任があるものと深く反省いたしております。当社といたしましては、この深い反省に
 基づき、前述の通り各種再発防止の取り組みを進めてまいりました。
  その結果、当社といたしましては、取締役会の実効性の向上、子会社を含めた上場会社
 として必要な取締役会の実効性、コンプライアンス意識、ガバナンス意識の向上等の成果
 が着実に現れているものと評価しております。
  本報告書提出時点において実施が完了しなかった社内規程の改訂及び作成状況につい
 ては、それぞれの実施時期を踏まえ 2021 年4月上旬及び7月上旬までを目途に開示を行
 い、あらためてお知らせ申し上げる方針でございます。
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 当社といたしましては、今後とも上場会社としての責任を深く認識し、この様な事案を
繰り返さない様、これまで実施してきた再発防止の取り組みを継続して実施し、定着と改
善を続けていくとともに、会社の持続的な成長と企業価値の向上に励み、株主様、投資家
様、お取引先様をはじめとした関係者の皆様の信頼回復に引き続き努めてまいります。


                                    以   上




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