2721 J-JHD 2020-08-17 16:00:00
東京証券取引所への「改善報告書」の提出に関するお知らせ [pdf]

                                      2020 年8月 17 日
各 位
                      会 社 名     株式会社ジェイホールディングス
                      代表者名      代表取締役社長 眞野     定也
                              (コード:2721 東証ジャスダック)
                      問合せ先      取締役       中山   宏一
                                  (TEL.03-6430-3461)




      東京証券取引所への「改善報告書」の提出に関するお知らせ


 当社は、過年度の決算短信等を訂正した件につきまして、2020 年 7 月 31 日付で株式会社東
京証券取引所より、有価証券上場規程第 502 条第1項第1号に基づき、その経緯及び改善措置
を記載した「改善報告書」の提出が求められておりましたが、本日別添のとおり提出いたしまし
たので、お知らせいたします。


 別添書類:改善報告書


                                                以     上
                   改   善   報   告   書

                                       2020 年 8 月 17 日
株式会社東京証券取引所
代表取締役社長 宮原 幸一郎 殿


                               株式会社ジェイホールディングス
                               代表取締役社長 眞野 定也


 このたびの過年度決算短信及び四半期決算短信、並びに有価証券報告書及び四半期報告
書(以下、「過年度決算短信等」といいます。)の一部訂正の件について、有価証券上場規
程第 502 条第 3 項の規定に基づき、その経緯及び改善措置を記載した改善報告書をここに
提出いたします。




                       1
                                     目次
1.    経緯 .................................................................... 3
  (1)過年度決算訂正の内容................................................... 3
  (2)過年度決算短信等を訂正するに至った経緯 ................................. 7
     ①   不適切な会計処理の発覚と過年度決算短信等を訂正するに至った経緯 ....... 7
     ②   不適切な会計処理等の内容............................................. 8
2.    改善措置 ............................................................... 10
  (1)原因分析 ............................................................. 10
     ①   当社内における一部の者への権限集中と他の取締役らによる牽制の不十分さ 10
     ②   子会社内における単独での取引を可能とする環境 ........................ 11
     ③   不十分な子会社管理体制・運用状況 .................................... 12
  (2)再発防止策(実施済みのものも含む。 ................................... 12
                     )
     ①   投資用不動産事業からの撤退【2.
                        (1)①②③に対応】 ................. 13
     ②   責任の所在の明確化【2.
                    (1)①②③に対応】 ......................... 13
     ③   当社取締役の兼任の解消【2.
                      (1)①に対応】 ......................... 14
     ④   新規事業開始時における体制の整備【2.(1)①②③に対応】 ........... 14
     ⑤   取締役会における事前資料提供の早期化【2(1)①に対応】 ............ 15
     ⑥   コンプライアンス委員会の設置【2.(1)①②③に対応】 ............... 15
     ⑦   監査役監査の実効性のある運用【2.(1)②③に対応】 ................. 16
     ⑧   内部監査室監査の実効性のある運用【2.(1)②③に対応】 ............. 16
     ⑨   内部通報制度の実効性のある運用【2.
                          (1)②③に対応】 ............... 17
     ⑩   当社及び当社子会社役職員を対象とした研修の実施【2.(1)①②③に対応】
         17
     ⑪   改善措置の実施状況の定期的な開示【2.(2)に対応】 ................. 17
  (3)改善措置の実施スケジュール............................................ 20
3.    投資家及び証券市場に与えた影響についての認識 ............................ 20




                                       2
1. 経緯
(1)過年度決算訂正の内容
    当社は、外部からの指摘を契機として、当社の元連結子会社である株式会社シナ
   ジー・コンサルティング(2020 年 5 月 19 日付にて当社が保有していた同社全株式を
   当社元代表取締役に譲渡し、連結から除外しております。以下、
                               「シナジー社」とい
   います。
      )が行った不動産取引の一部に係る売上の計上について不適切な会計処理が
   行われた疑いがあることが発覚いたしました。
    この事実を受け、当社は 2020 年 1 月 17 日付で当社とは利害関係を有しない独立
   した外部専門家である弁護士及び公認会計士で構成される第三者委員会(以下、
                                      「本
   委員会」といいます。)を設置し、事実関係の究明と再発防止策の提言を目的とした
   調査を依頼いたしました。
    その後、2020 年 4 月 28 日付の本委員会調査報告書(以下、
                                     「本報告書」といいま
   す。)において、シナジー社が 2017 年 5 月から 2018 年 9 月の期間(以下、「該当期
   間」といいます。
          )で行った不動産取引の一部について売上の架空計上等による不適
   切な会計処理(以下、「本件不適切会計」といいます。)の事実が判明したとする調
   査報告を受領したことから、当社は 2020 年 6 月 16 日に過年度の決算短信等の訂正
   を行うとともに、同日、過年度の有価証券報告書等の訂正報告書を提出いたしまし
   た。訂正した過年度決算短信等及びこれらの訂正が当社業績に及ぼす影響額につい
   ては以下の通りであります。


【訂正した過年度決算短信等】
 ① 訂正を行った有価証券報告書
   第 26 期 有価証券報告書 (自 2017 年 1 月 1 日 至 2017 年 12 月 31 日)
   第 27 期 有価証券報告書 (自 2018 年 1 月 1 日 至 2018 年 12 月 31 日)


 ② 訂正を行った四半期報告書
   第 26 期 第 2 四半期報告書(自 2017 年 4 月1日 至 2017 年 6 月 30 日)
   第 26 期 第 3 四半期報告書(自 2017 年 7 月1日 至 2017 年 9 月 30 日)
   第 27 期 第 1 四半期報告書(自 2018 年 1 月1日 至 2018 年 3 月 31 日)
   第 27 期 第 2 四半期報告書(自 2018 年 4 月1日 至 2018 年 6 月 30 日)
   第 27 期 第 3 四半期報告書(自 2018 年 7 月1日 至 2018 年 9 月 30 日)
   第 28 期 第 1 四半期報告書(自 2019 年 1 月1日 至 2019 年 3 月 31 日)
   第 28 期 第 2 四半期報告書(自 2019 年 4 月1日 至 2019 年 6 月 30 日)
   第 28 期 第 3 四半期報告書(自 2019 年 7 月1日 至 2019 年 9 月 30 日)


 ③ 訂正を行った決算短信

                            3
 2017 年 12 月期 決算短信 [日本基準]
                        (連結)
 2018 年 12 月期 決算短信 [日本基準]
                        (連結)


④ 訂正を行った四半期決算短信
 2017 年 12 月期 第 2 四半期決算短信 [日本基準]
                               (連結)
 2017 年 12 月期 第 3 四半期決算短信 [日本基準]
                               (連結)
 2018 年 12 月期 第 1 四半期決算短信 [日本基準]
                               (連結)
 2018 年 12 月期 第 2 四半期決算短信 [日本基準]
                               (連結)
 2018 年 12 月期 第 3 四半期決算短信 [日本基準]
                               (連結)
 2019 年 12 月期 第 1 四半期決算短信 [日本基準]
                               (連結)
 2019 年 12 月期 第 2 四半期決算短信 [日本基準]
                               (連結)
 2019 年 12 月期 第 3 四半期決算短信 [日本基準]
                               (連結)




                      4
【過年度決算短信等の訂正による連結業績への影響額】
    過年度決算短信等の訂正による連結財務諸表への影響額は以下の通りであります。
                                                       (単位:百万円)
     期間                 項目     訂正前         訂正後        影響額     変動率
                  売上高              1,983    1,879      △103   △5.2%
                  営業利益               61      △40       △102         -
   第 26 期         経常利益               60      △41       △102         -
 (2017 年 12 月期)   親会社株主に帰属する         73      △48       △121         -
  第 2 四半期         四半期純利益
                  純資産                172         51    △121   △70.5%
                  総資産                314      251      △63    △20.2%
                  売上高              2,744    2,619      △125   △4.6%
                  営業利益               90      △31       △121         -
   第 26 期         経常利益               89      △31       △121         -
 (2017 年 12 月期)   親会社株主に帰属する         93      △39       △132         -
  第 3 四半期         四半期純利益
                  純資産                227         94    △133   △58.3%
                  総資産                385      316      △69    △18.0%
                  売上高              3,864    3,711      △152   △4.0%
                  営業利益               109     △40       △150         -
   第 26 期         経常利益               109     △41       △150         -
 (2017 年 12 月期)   親会社株主に帰属する         110     △88       △199         -
                  四半期純利益
                  純資産                244         45    △199   △81.5%
                  総資産                358      265      △92    △25.8%




                               5
                                                      (単位:百万円)
    期間                 項目     訂正前         訂正後        影響額     変動率
                 売上高                386      323      △62    △16.3%
                 営業利益                4      △57       △62          -
  第 27 期         経常利益                4      △58       △62          -
(2018 年 12 月期)   親会社株主に帰属する          6      △58       △65          -
 第1四半期           四半期純利益
                 純資産                253     △11       △264         -
                 総資産                347      221      △126   △36.3%
                 売上高                969      782      △186   △19.2%
                 営業利益               96      △88       △184         -
  第 27 期         経常利益               95      △88       △184         -
(2018 年 12 月期)   親会社株主に帰属する         85      △90       △175         -
 第2四半期           四半期純利益
                 純資産                460         84    △376   △81.6%
                 総資産                762      549      △213   △28.0%
                 売上高              1,330    1,073      △257   △19.3%
                 営業利益               105    △147       △252         -
  第 27 期         経常利益               102    △150       △252         -
(2018 年 12 月期)   親会社株主に帰属する         90     △152       △242         -
 第3四半期           四半期純利益
                 純資産                465         23    △441   △95.0%
                 総資産                660      416      △244   △36.9%
                 売上高              1,613    1,362      △251   △15.6%
                 営業利益               29     △242       △271         -
  第 27 期         経常利益               25     △246       △271         -
(2018 年 12 月期)   親会社株主に帰属する          0     △253       △253         -
 第4四半期           四半期純利益
                 純資産                561      107      △453   △80.8%
                 総資産                712      510      △202   △28.4%




                              6
                                                       (単位:百万円)
     期間                 項目     訂正前         訂正後        影響額       変動率
                  売上高                276      276           -         -
                  営業利益              △85      △83            1     1.6%
    第 28 期        経常利益              △86      △84            2     1.5%
 (2019 年 12 月期)   親会社株主に帰属する        △86      △85            0     1.0%
  第1四半期           四半期純利益
                  純資産                475         22    △452     △95.3%
                  総資産                576      480      △95      △16.6%
                  売上高                523      523           -         -
                  営業利益             △178     △177            1     0.6%
    第 28 期        経常利益             △182     △181            1     0.6%
 (2019 年 12 月期)   親会社株主に帰属する       △183     △185        △2      △1.2%
  第2四半期           四半期純利益
                  純資産                377     △77       △455           -
                  総資産                706      588      △118     △16.7%
                  売上高              1,083    1,083           -         -
                  営業利益             △233     △237        △3      △1.5%
    第 28 期        経常利益             △243     △247        △3      △1.4%
 (2019 年 12 月期)   親会社株主に帰属する       △245     △252        △6      △2.8%
  第3四半期           四半期純利益
                  純資産                316    △144       △460           -
                  総資産              1,213    1,012      △200     △16.6%


(2)過年度決算短信等を訂正するに至った経緯
      ① 不適切な会計処理の発覚と過年度決算短信等を訂正するに至った経緯
      当社は、外部からの指摘を受けたことを契機として、本件不適切会計の疑義が発
    覚したことから、2019 年 10 月 7 日付で社内調査委員会を設置し、当社内において指
    摘事項に関する調査、検証を行っておりましたが、事実経緯の正確な把握には、外
    部取引先を含めた深度ある客観的な調査が必要であるとの認識に至り、当社とは利
    害関係を有しない独立した外部専門家である弁護士及び公認会計士で構成される本
    委員会を設置し、本委員会に対してシナジー社に対する調査、ならびに本委員会が
    必要と判断した調査を行うことにより、事実関係の解明、原因の分析、及び再発防
    止策の策定を依頼いたしました。本委員会委員の構成は以下の通りであります。
      委員長: 弁 護 士 河邉 義正氏(サン綜合法律事務所)

                               7
 委 員 : 弁 護 士 吉田 秀康氏(阿部・吉田・三瓶法律会計事務所)
 委 員 : 公認会計士 奥山 琢磨氏(奥山琢磨公認会計士事務所)
 その後、本委員会による調査が実施され、当社は 2020 年4月 28 日付にて本報告
書を受領しました。
 本報告書にて本委員会は、本件不適切会計について、「調査対象となる取引を精査
したところ、これらの中には、真正売買契約に全く関与していないもの、仲介手数
料を収受することができない取引に売買契約書等を偽造するなどしたもの、真正売
買を偽るため売買契約及び媒介契約を仮装したもの、見込み計上し事後的に実態と
合致しなくなったもの等が確認された」との認定を行いました。
 当該認定を踏まえ当社では、会計監査人との協議を経てより保守的な見地から過
年度の当社連結財務諸表の見直しを行い、その結果、上記1.(1)に記載の通り、
過年度決算短信等の訂正を行ったものであります。


 ② 不適切な会計処理等の内容
 a.本件不適切会計の内容
 本委員会では、本件不適切会計の原因となったシナジー社による不適切な不動産
取引の実行者を同社代表取締役社長(以下、
                   「A氏」といいます。
                            )と認定した上で、
A氏が実行した不適切な不動産取引を抽出し、登記情報に登録の旧所有者から新所
有者への売買についてシナジー社は全く関与していなかった等の不適切な取引が存
在したことを指摘しています。
 具体的には、シナジー社が該当期間に行った本件不適切会計にかかる入金取引に
関して、経理処理等の社内手続き及び会計監査等において必要となる契約書等の書
類がA氏によって作成ないしは偽造されていました。また、各取引において契約書
等に記載された金額に応当する金額が相手方名義にてシナジー社の銀行預金口座に
適宜入金されていました。
 当社としては本委員会による上記の指摘について特段の異議はなく、その上で、
当社では、過年度決算短信等の訂正を行うにあたり、会計監査人とも協議の上、本
委員会が行った不適切取引に関する指摘に加えて、企業会計上の見地から、シナジ
ー社が行った不動産取引のうち、取引自体は適正に成立し売上計上が容認されるも
のの、その計上時期について訂正を要する(いわゆる「期ずれ取引」
                              )ものに関する
訂正を行っております。
 その結果、訂正の対象となった不動産取引の件数は 47 件であります。


 b.本件不適切会計の関与者の動機、背景
 当社としては、本件不適切会計の関与者は、A氏と当社元代表取締役(以下、「B
氏」といいます。)の 2 名であると認識しております。

                   8
(ⅰ)A氏について
 当社は、A氏による社内調査委員会に対する自白により、A氏が前項記載の 47 物
件の取引について、稟議書の作成、契約書等の作成ないしは偽造、取引の相手方名
義でのシナジー社に対する入金(送金)手続き、その他当社の社内手続き、あるい
は会計監査手続きに要する証憑の提出等を実行したと認定しています。また、社内
調査委員会は、A氏から、本件不適切会計を実行した動機として、営業予算を達成
することにより社内における評価を受けること、あるいは地位を失わないことが理
由であり、二次的には評価を上げることにより報酬の増額等の経済的利益を期待し
ていた旨の供述を得ております。
 なお、当社及びシナジー社からは、該当期間中にA氏に対する役員報酬の増額、
その他経済的利益の提供は実際に行っていなかったため、当社としては、A氏は自
らの立場を失うことへの恐怖心から本件不適切会計を実行するに至ったとの評価を
行っております。
(ⅱ)B氏について
 B氏については、上記の取引において、A氏が当該取引の実在性を仮装するため
に要した金員について、適宜A氏からの要請に応じて交付したと社内調査委員会に
対して証言しているものの、2020 年 4 月 28 日付の本報告書 31 頁においては、
「もっとも、本件問題行動が資金的裏付けを要することなどに徴してA氏の発案の
みによってなされたものか詳らかにしないものの、B氏は、本件調査対象取引につ
き、未決済案件を早期に計上するよう要求したと述べるとともに、事後とはいえ不
適切な事案が存在していたとは思ったものの、特段の手当てもせず結果的に虚偽を
隠蔽することとなってしまったと陳述し、なお、取引先に資金を流したことに伴っ
て生じさせた事象に関し有価証券報告書に虚偽記載をしたことは証券市場に不適切
な企業情報を流したものとして、経営者として申し訳ないことをしたと反省してい
ると供述しているところ、A氏に対し、それ以上に具体的かつ積極的に働きかけて
いないと供述しており、両者間にどのようなやり取りがなされたか証拠上明らかに
はできない。
 いずれにしてもA氏との間にあってシナジー社におけるB氏にかかる取締役の相
互監視義務違反の存在は否定できない。
                 」
と記載されており、早期の売上計上の指示を行ったこと、事後に不適切な取引事案
が存在していたことの認識は示したものの、個々の事案における関与については明
白な認否を行っておりません。
 B氏が当該偽装取引を認識あるいはA氏に対して具体的指示を行っていたことを
裏付ける直接証拠は本委員会による調査や社内調査委員会による調査では発見され
ていないものの、B氏が多額の資金を拠出しているにもかかわらずその資金使途を
把握していなかった、また、シナジー社の取締役として個別具体的な取引について

                     9
   全く関与ないしは関知していなかったなどということは合理的に判断して考えられ
   ないことから、当社としては、B氏による本件不適切会計への一定の認識、あるい
   はA氏に対する指示が存在し、それが今般の不適切会計の発生の一因であったと推
   認しております。


    c.本件不適切会計の実行者以外の関係者等の本件不適切会計に対する認識
   (ⅰ)当社取締役
     本件不適切会計が発覚した時点での当社各取締役(本件不適切会計の実行者を
    除く)の活動内容は以下の通りです。
     C氏(取締役副社長(管理本部長))…管理本部業務全般を管掌、管理本部業務
     のうち人事、労務、法務
     取締役中山宏一(以下、「中山」といいます。)…管理本部業務のうち経理、財
     務、及び子会社管理業務について管掌
     D氏(取締役)…管理本部業務のうち総務、文書管理業務
     E氏(取締役副社長)…IT事業
     本件不適切会計に対する各取締役の認識は、D氏、E氏については、外部から
    の指摘を受けるまで、何らの認識を有しておらず、C氏、中山は、会計監査のた
    めに監査法人とシナジー社の間で契約書等の関連証憑の確認や入出金時における
    社内手続き等の履践は行っていたものの、1.(2)②a.にて記載の通り、本件不
    適切会計にかかる入出金取引については、A氏の作為により外形上の不備がなか
    ったことから、問題を検出するには至りませんでした。


   (ⅱ)当社監査役
     監査役 3 名は、会計監査人及び内部監査部門と連携を図り、取締役会議事録、
    及び関連する稟議書類等の閲覧、確認を行っていたものの、本件不適切会計につ
    いては、1.(2)②a.にて記載の通り、A氏の作為により外形上の不備がなかっ
    たこと、また2.(1)③にて記載の通り、監査役監査が形骸化していたことを理
    由に発覚以前に認識することができませんでした。


2. 改善措置
(1)原因分析
    当社では、本件不適切会計の発生が回避できなかった、あるいは事後においても
   検知できなかった理由として、以下の問題点を認識しております。


    ① 当社内における一部の者への権限集中と他の取締役らによる牽制の不十分さ
    当社の連結業績は、B氏、A氏がそれぞれ当社、シナジー社の代表者に就任以降、

                       10
両名が主導する投資用不動産事業(投資用不動産の販売事業、仲介事業)にその売
上高、利益ともに大きく依存していたこと、また、当社と子会社の役員兼任の解消
を行ったにもかかわらず、B氏もシナジー社における不動産販売及び仲介事業に関
与するにあたり、取引業者や顧客に対して、B氏がシナジー社の取締役であること
が営業活動を容易にするとの判断から、B氏が当社代表取締役とシナジー社取締役
を兼任することを許容したこと、さらに、A氏に関してはB氏が当社の経営に参画
する際にB氏に誘われる形でシナジー社の代表取締役社長に就任した人物であり、
B氏が持つ権限を背景にA氏が活動していたことから、A氏及びB氏に権限が集中
していました。それに伴って、次項の「シナジー社と当社間における情報の隔絶」
などについて、当社管理本部からその改善にかかる意見の申立てを行いにくい等の
雰囲気が当社内にて醸成されていたために、管理担当取締役らによる取引開始の経
緯・取引先(不動産仲介取引の場合は買手や売手)の属性の確認など決裁上必要な
手続きが形骸化し、シナジー社の取引の把握・管理が行き届かないなど、本来子会
社を管理すべき立場にある担当の取締役を含めたその他の取締役による牽制が不十
分になっておりました。
 本件不適切会計は、A氏が、本件不適切会計に利用されたA氏及びB氏が関係す
る法人 3 社の管理をB氏などから任されていたため、当該 3 社の銀行口座の入出金
が可能であり、また、当該 3 社の会社印鑑をシナジー社内でA氏が管理していたた
め、契約書等への押印等が可能であったことから実行されたものであり、加えて、
上記のとおり牽制が不十分であったこともあり、当社では本件不適切会計を発見す
ることができませんでした。


 ② 子会社内における単独での取引を可能とする環境
 当社及びシナジー社以外の子会社に関しては、重要な契約を締結する場合などに
は、関連書類の事前の提出を受けて、相手方が契約書を作成する場合には当該契約
書の可否について管理本部が確認、ないしは法律顧問に確認させ、また当方が契約
書を作成する場合には同様に管理本部ないしは法律顧問が作成しておりました。
 一方、シナジー社に関しては、不動産取引にかかる契約書等について、A氏を主
とするシナジー社の役職員が作成しており、関連書類についても、常時施錠された
シナジー社の事務所スペースに保管されておりました。したがって、管理本部は、
内部管理上、書類等が必要になった場合には、その都度、A氏に電話をするなどし
て必要書類等の入手を行っており、A氏らが書類等の提出をあからさまに拒否した
ことはないものの、当社や他の子会社と比較して、管理本部における証憑等の入手
について網羅性に欠けることが有ったり、入手時期が遅くなったりするなど、シナ
ジー社と当社間での情報の隔絶による内部管理の不備が常在しておりました。
                                  (換言
すれば、シナジー社に関する契約書の作成等についても、管理本部が、上述の通り、

                  11
  他の子会社に対して実施していた関与または管理を実施していれば本件不適切会計
  の発生を未然に回避できた可能性があります。
                      )
   その他、稟議ルール上求めていた、稟議申請経緯(取引実施の経緯・背景等)が
  不動産取引の場合、記載されないことが常態化するなど、不動産取引に係る稟議が
  形骸化しておりました。


   ③ 不十分な子会社管理体制・運用状況
   管理担当取締役らは各子会社の稟議に対するリスク管理の観点からの深度ある確
  認、主要会議への出席や議事録の作成指示、各子会社の業績が上振れ又は未達とな
  った際の追加的な資料や説明の要求等をしておらず、各子会社の業務執行状況を積
  極的に把握しようとしておりませんでした。
   各監査役において危機意識が低下し、最近では常勤監査役については、取締役会、
  監査役会の参加に加えて週 2 日程度の出社にとどまり、非常勤監査役については、
  特段の連絡事項、審議事項が生じた時を除き、取締役会、監査役会への出席のため
  の出社にとどまっていました。このような常勤監査役及び非常勤監査役の出社頻度
  の低下が、監査機能、牽制機能の低下をもたらし、また、業務監査についても十分
  性・実効性を欠くものになったと認識しております。
   その他、コンプライアンス意識及び知識を高めることを目的に一時期実施してい
  た社内研修について、2016 年 4 月より 2017 年 12 月までの期間において月 1 回程度
  の頻度にて実施されていたものが、2016 年 4 月の開始から一定の期間が経過したこ
  とを理由に、2017 年 12 月以降は開催を中断しておりました。


(2)再発防止策(実施済みのものも含む。
                   )
   本件不適切会計の発生に対応する再発防止策の策定について、当社が 2020 年 4 月
  28 日付で受領した本報告書において、本委員会からは以下の指摘、提言がなされて
  おります。


 ・コンプライアンス意識の見直し
   当社では従前から、グループ会社役職員に対して適用されるコンプライアンス・
  マニュアルが制定されコンプライアンス遵守のための規範が明文化されていたにも
  かかわらず、本件不適切会計発生において当該コンプライアンス・マニュアルが抑
  止効果を有さなかった。当社において、コンプライアンス違反を是認する風潮があ
  ったことは否定できない。
   よって、当社グループ役職員は改めて当社コンプライアンス・マニュアルを熟読
  玩味し、自らのこととして認識する必要がある。



                        12
・コーポレートガバナンスの強化
  本件不適切会計が発生したシナジー社は当社グループの一子会社であるとはいえ、
 該当期間において、当社グループは同社にグループ収益の大半を依存していた重要
 な事業体であったにもかかわらず、シナジー社の業務執行に対する親会社役員の関
 心が希薄であった。本件不適切会計発覚を機に親会社グループ会社間において各社
 の経営実態、経営課題を可視化し、健全な企業運営を実現すべきである。


  当社では、上記の指摘、提言を踏まえ、より具体的かつ実効的な再発防止策を講
 ずるべく、新たな再発防止策を策定することにより、以下の改善措置を各項記載の
 実施時期において実施いたします。
                (既に実施済みのものも含みます。
                               )


  ① 投資用不動産事業からの撤退【2.
                   (1)①②③に対応】
  当社は、投資用不動産事業を当社の新たな収益の柱とすべく、2016 年末にB氏や
 A氏らを招聘し、同事業に注力しておりました。そうした中、同事業への牽制等が
 不十分となったことで本件不適切会計を発生させてしまったことから、同事業にお
 いて本件不適切会計と同様の事象が発生することが無いように、当社は 2020 年 5 月
 に同事業からの撤退を決定しております。


  ② 責任の所在の明確化【2.
               (1)①②③に対応】
  当社では、本件不適切会計に関与した当社役員及び本件不適切会計に対して十分
 な牽制機能を果たせなかった当社役員の処分を以下の通り実施しております。なお、
 A氏についてはシナジー社の連結除外に伴い、当社グループとの関係がなくなって
 います。


a.当社元代表取締役 B氏
  2020 年 3 月 30 日付にて代表権を返上、同年 5 月 12 日付で当社の勧告により取締
 役を辞任しております。また 2019 年 12 月分以降の役員報酬については、当社より
 返納を求めた結果、全額返納しております。なお、現時点では、B氏による当社株
 式の保有を通じた当社への影響力を排除するための具体策(B氏の保有株式の買い
 取り等)は決定しておりませんが、その必要性については認識しており、現在まで
 にB氏に対して、口頭にて当該株式の処分を依頼していることに加え、今後、遅滞
 なく具体策の検討及び実施を行います。


b.当社元取締役副社長(管理本部長)C氏
  2020 年 3 月 30 日付当社定時株主総会において再任しておりません。



                      13
c.当社元取締役 D氏
  2020 年 3 月 30 日付当社定時株主総会において再任しておりません。


d.当社元常勤監査役 F氏
  2020 年 3 月 30 日付当社定時株主総会において再任しておりません。


  ③ 当社取締役の兼任の解消【2.
                 (1)①に対応】
  当社代表取締役眞野定也(以下、「眞野」といいます。)は、当初は当社子会社で
 ある株式会社ジェイリードパートナーズ(以下、「ジェイリード社」といいます。)
 の代表取締役のみに就任予定であったところ、本件不適切会計の発生及び当社子会
 社である株式会社アセット・ジーニアス(以下、「アセット社」といいます。)の前
 代表取締役(E氏)の辞任を受け、再発防止策実施前においては、当社、ジェイリ
 ード社、アセット社の代表取締役を兼任しておりました。
  当社では、本件不適切会計の発生原因について一部の者に対する権限の集中によ
 る内部牽制機能の欠如が主たる要因であると認識しており、当該兼任を速やかに解
 消し、眞野が当社子会社の職務執行及び職務執行者に対して牽制機能を果たせるよ
 うにいたします。
  具体的には、2020 年 8 月中を目途にアセット社及びジェイリード社の代表取締役
 の人選を行い、眞野が当該 2 社の代表取締役を辞任することにより兼任状態を解消
 いたします。
  また、下記⑪の通り、取締役の兼任を排除していたにもかかわらず、兼任が生じ
 たことに対して反省し、確実に再発を防止することを目的として、2020 年 8 月中を
 目途に取締役の兼任を禁止するべく子会社管理規程を改定いたします。


  ④ 新規事業開始時における体制の整備【2.(1)①②③に対応】
  当社は、現時点において、具体的な新規事業の開始について決定しておりません
 が、今後新規事業を開始する場合に、新たな不祥事の発生を未然に回避することを
 目的とした体制の整備を実施いたします。
  当社は、当社役員に知見が無い分野での新規事業の開始を考えていません。加え
 て、新規事業を開始しようとする場合には、開始前にコンプライアンス委員会にお
 いて、当該事業における不正リスク、内部統制リスクに関して十分な審議を行い、
 知見を深めます。そのうえで当社とは利害関係を有しない社外の専門家数名に意見
 聴取を行い、当該事業におけるリスクの可視化を図ったうえで最終的な参入判断を
 行います。
  上記の考え方に沿って、2020 年 9 月中を目途に、新規事業の開始に伴い想定され
 る事業リスク及び内部統制リスクを回避することを目的として、承認ルートの追加

                     14
や決裁権限額の見直し、新規事業を管掌する者による当社取締役会に対する事業計
画と実績に関する月次報告と検証・審議の体制等に関する諸規程(取締役会規程、
稟議規程、子会社管理規程などが想定されますがこれらに限定されません。
                                 )の改定
を行い、2020 年 10 月より運用を開始いたします。


 ⑤ 取締役会における事前資料提供の早期化【2(1)①に対応】
 当社の取締役会において、参加者が、取締役会において上程された議案に対して
適切な判断や意見陳述を行えるように、議案に関する資料の充実、及び当該資料提
供の早期化を図ります。これまでは、特に臨時取締役会の開催時において、準備期
間が短いことから当日の資料交付や資料の交付に代えて口頭での説明で済ませるな
どの対応が見られ、必ずしも資料の充実や資料提供の早期化ができておりませんで
した。
 その反省をもとに、具体的には、原則として招集通知発送時(開催 3 日前)に招
集通知に加えて、審議事項に関する資料を参加者に対して配布するようにいたしま
す。本改善措置については、2020 年 7 月より運用を開始しております。


 ⑥ コンプライアンス委員会の設置【2.(1)①②③に対応】
 当社は、本件不適切会計の再発防止、及び新たな不祥事の発生を未然に回避する
ことを目的にコンプライアンス委員会を以下の通り設置いたします。
 構成…監査役(常勤及び非常勤監査役)
                  、当社顧問弁護士、内部監査室長
 開催日…毎月 1 回(定時取締役会と同日、取締役会開催前)
                             、随時開催も可能
 決議要件…過半数による決議
 コンプライアンス委員会は、当社常勤監査役の主宰により、遵法性の観点から、
同日開催の取締役会の決議事項、5 百万円以上の入出金取引、及びそれに類する契約
の締結、並びに今般の改善措置の実施状況に対して遵法性の観点のみならず、内部
統制リスクの見地からも審議を行い、取締役会に対して意見を行います。
 コンプライアンス委員会から発出された意見については、取締役会は合理的な理
由なく排除できない旨、取締役会規程を改定済みであります。さらに、当該意見発
出にもかかわらず、取締役会が決議や取引の実施を行った場合には、コンプライア
ンス委員会は第三者委員会の設置を決定し、取締役会はその決定に従うものといた
します。
 当社では、既に「コンプライアンス委員会規程」を制定し、上述の運営要項を規
定した上で、2020 年 7 月より運用を開始しております。
 なお、当社が 2016 年に設置した内部管理会議は、当社グループ内での内部管理に
関する決定事項や発生事項を周知し共有することを目的としているいわゆる連絡会
議であることに対して、コンプライアンス委員会は審議機関として、取締役会決議

                    15
等の決定事項、重要な契約や取引、内部通報窓口への通報を含む発生事項及び今般
の改善措置の実施状況に関してコンプライアンスの見地から審議、意見の発出を行
い必要に応じて第三者委員会の設置も決定できるという点で目的・役割が異なって
おります。


 ⑦ 監査役監査の実効性のある運用【2.(1)②③に対応】
 2020 年 3 月 30 日付で新たに当社常勤監査役に就任した刈谷龍太(以下、
                                        「刈谷」
といいます。)を中心に監査役監査の実効性のある運用を進めてまいります。
 監査役監査については従前から実施しており、また、再発防止策(前回)におい
ても、監査役の出社頻度を高めることを定めておりましたが、具体的措置について
規定されておらず、時間の経過とともに監査役の危機意識が薄れ、出社頻度も低下
してしまい実施深度の低いものになっていたことが本件不適切会計の発生を回避で
きなかった一因であると認識しております。
 従いまして、2020 年 9 月より、常勤監査役については週 3 日以上、非常勤監査役
については月 4 日以上の出社を確保し、常勤監査役が各監査役の出社状況及び監査
業務の実施状況を記載した報告書を月次で作成することといたします。また、上記
の事項については、時間の経過とともに懈怠が生じることのないよう 2020 年 8 月中
に監査役会規程を改定し明文化いたします。
 また、監査役監査の過程で検出された不正行為やその疑義については、遅滞なく
コンプライアンス委員会においても共有し、必要に応じて第三者委員会の設置や関
係者の処分等を実施いたします。
 さらに、本件不適切会計が、当社の内部統制の不備に起因した会計上の不正が一
因であったことから、より専門性の高い監査体制の構築を目的として人員の入れ替
えを予定しており、2020 年 9 月中に内部統制を含む会計及び監査の専門家である公
認会計士を非常勤監査役として選任することを予定しております。
 加えて、従来、内部監査室においては稟議書、契約書、入出金記録等の書類の監
査を主として行い、当社及び子会社事務所等における実地の業務監査は不十分であ
りました。この反省に基づき、各監査役は内部監査室と連携して、2020 年 9 月より
上記の業務監査を実施いたします。


 ⑧ 内部監査室監査の実効性のある運用【2.(1)②③に対応】
 内部監査室監査の実効性のある運用については、上記⑦に記載の通り、従来の当
社及び当社子会社に対する内部監査が書類監査を主として行い、実地の業務監査が
不十分であったことから、従来の書類の監査に加えて、監査役と連携して当社及び
子会社事務所等における実地の業務監査を実施してまいります。具体的には、2020
年 8 月中に監査計画を策定し、同年 9 月より実施いたします。

                   16
 また、内部監査室監査の過程で検出された不正行為やその疑義については、遅滞
なくコンプライアンス委員会においても共有し、必要に応じて第三者委員会の設置
や関係者の処分等を実施いたします。
 なお、
   当社では独立した専任の内部監査室長 1 名が内部監査を実施しております。
当社の企業規模(当社グループ全役職員 14 名)からすれば、現時点では 1 名による
内部監査について人員数の面で不十分であるとまではいえないと考えておりますが、
今後の当社グループの業容拡大に応じて内部監査室の人員増加を検討してまいりま
す。


 ⑨ 内部通報制度の実効性のある運用【2.
                    (1)②③に対応】
 内部通報制度の実効性ある運用として、常勤監査役である刈谷を内部通報窓口、
当社顧問弁護士である山本浩平を外部通報窓口の担当者として、当該制度の仕組み
及び重要性を当社及び当社子会社職員に対して研修等を通じて周知徹底した上で、
本件にかかる運用が不十分であったこと(全役職員に対するヒアリングについては
年 2 回を目途に実施することとしていましたが、実際は内部通報窓口であったF氏
の都合により、ヒアリング対象を一部役職員に、頻度を年 1 回としていたこと)の
反省をもとに、全役職員に対するヒアリングの頻度を年 2 回へと向上させ、ヒアリ
ングによってコンプライアンスに関する懸念事項が発見された場合は、前述のコン
プライアンス委員会にもその内容を共有するなど、同委員会との連携を強化しつつ
実施してまいります。
 具体的には、内部通報制度により提供された通報情報のうち、当社及び当社子会
社の取締役の職務執行に関する事案については、関係者間で処理することなく、た
だちにコンプライアンス委員会に報告し、審議することとします。内部通報窓口、
及び外部通報窓口の新たな運用及びコンプライアンス委員会との連携については
2020 年 7 月より開始しております。


 ⑩ 当社及び当社子会社役職員を対象とした研修の実施【2.
                            (1)①②③に対応】
 常勤監査役である刈谷は弁護士であることから、刈谷を中心として当社及び当社
子会社役職員を対象としたコンプライアンス及び内部統制等に関する研修を行いま
す。2020 年 7 月に第 1 回研修を既に実施しており、今後、月 1 回程度の頻度にて実
施を継続し、また、下記⑪の通り、研修の実施状況につきましては適時開示いたし
ます。


 ⑪ 改善措置の実施状況の定期的な開示【2.(2)に対応】
 当社では、2015 年 10 月に、内部管理体制の不備を原因として、必要な社内手続き
及び適時開示手続きを経ない入出金取引(借入金の返済のための出金取引、及び新

                        17
たな借入による入金取引)を実行したこと等(以下、
                       「前回の不祥事」といいます。)
が判明し、2015 年 12 月 21 日付で、問題の抜本的な抽出、究明のために当社と利害
関係を有しない外部の専門家を委員とする第三者委員会を設置し、2016 年 2 月 12 日
付で前回の不祥事にかかる問題点の抽出、究明、及び再発防止策の提言を内容とす
る調査報告書を受領しました。
 当社は、当該調査報告書に基づき、前回の不祥事に関する責任の所在の明確化及
び内部管理体制の強化等を目的とする再発防止策を策定し、2016 年 3 月から 6 月ま
での間に順次、運用を開始いたしました(以下、
                     「再発防止策(前回) といいます。。
                               」      )
 具体的には、
      (ア)責任の所在の明確化及び人的原因に対する改善措置として、
                                   (ⅰ)
当社及び子会社の取締役の改選任、(ⅱ)当社取締役の兼任の解消、(ⅲ)当社監査
役の改選任を実施した上で、(ⅳ)社外監査役の出社頻度の向上を図り、(イ)組織
的原因に対する改善措置として、(ⅰ)取締役会及び監査役会の開催頻度を高めるこ
と、(ⅱ)監査役監査及び内部監査の実効性のある運用を図り、(ⅲ)当社グループ
内における内部管理体制の強化を目的として、情報の共有と意思疎通の向上を企図
した内部管理会議を新たに設置いたしました。加えて、
                        (ウ)制度及び制度運用上の
原因に対する改善措置として(ⅰ)諸規程(取締役会規程、稟議規程、職務分掌規
程等)の改正を実施し、(ⅱ)内部通報制度(外部通報窓口の設置を含む)と(ⅲ)
グループ会社役職員を対象とした研修制度を開始した旨を適時開示いたしました。
 しかしながら、再発防止策(前回)のうち、以下の事項については、経営陣の多
くが 2017 年に交代して前回の不祥事に対する危機意識が希薄になったことや、再発
防止策(前回)の運用開始から一定期間が経過したため再発防止策の目的が達成さ
れたと考えたことから、実施を中断又は実施規模を縮小しておりました。具体的な
中断事項及び規模を縮小した事項は以下の通りであります。
(ア)
  (ⅱ)当社取締役の兼任の解消
 再発防止策(前回)においては、当社と当社子会社における取締役の兼任を解消
することとしていましたが、2016 年 12 月から2.
                           (1)①に記載の通り、B氏がシ
ナジー社の取締役を兼任するなど当社取締役による子会社取締役の兼務が開始され
ていました。
(ア)
  (ⅳ)社外監査役の出社頻度の向上
 再発防止策(前回)においては、社外監査役の出社頻度を向上することとしてい
ましたが、2017 年3月頃から、社外監査役の出社頻度が低下していました。
(イ)
  (ⅰ)取締役会及び監査役会の開催頻度を高めること
 再発防止策(前回)においては、取締役会及び監査役会の開催頻度を原則月 2 回
としていましたが、2017 年3月に 2017 年4月以降の取締役会の開催頻度を原則月 1
回とする決定をしており、監査役会の開催頻度も併せて原則月 1 回としておりまし
た。ただし、取締役会は 2017 年 4 月から 12 月に 24 回開催(2017 年1月から 12 月

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は 40 回の開催)し、2018 年 1 月から 12 月に 32 回、2019 年 1 月から 12 月に 35 回
開催しており、一方、監査役会は 2017 年 4 月から 12 月に 10 回開催(2017 年1月か
ら 12 月は 17 回の開催)し、2018 年 1 月から 12 月に 13 回、2019 年 1 月から 12 月
に 13 回の開催にとどまっておりました。
(ウ)
  (ⅱ)内部通報制度(外部通報窓口の設置を含む)
 再発防止策(前回)においては、内部通報制度に伴う従業員に対するヒアリング
を全職員に対して年 2 回実施することとしていましたが、2016 年から、全従業員を
対象とせず、実施頻度が年 1 回にとどまっていました。
(ウ)
  (ⅲ)グループ会社役職員を対象とした研修制度
 再発防止策(前回)においては、月 1 回の頻度にてグループ会社役職員を対象と
した研修を実施することとしていましたが、2017 年 12 月に、当該研修の中断を決定
していました。
 これらの中断等は、いずれも本件不適切会計の発生を回避できなかった理由と直
接的に関係するものではないと認識していますが、改善状況に関する十分な検討・
検証をすることなく、再発防止策(前回)の中断等を行ったことについては中断等
を決定した当時の経営陣の職責意識の欠如を示すものであると考えております。現
経営陣は合理的な理由の無い再発防止策の中断等が起こらないよう、前述2.(2)
の再発防止策(実施済みのものも含む。
                 )に真摯に取り組みます。
 具体的には、今般策定した2.(2)の再発防止策について、合理的な理由の無い
中断等が起こらないよう、改善措置の実施状況について、改善状況報告書の提出ま
での期間に最低限 1 回(11 月頃)、また、改善状況報告書の提出後も、改善報告書の
5 年間の縦覧期間(2020 年 8 月 18 日~2025 年 8 月 17 日)の間、定期的に(初回は
改善状況報告書の提出から半年後、その後は半年毎を目途に)適時開示を実施しま
す。なお、改善措置を中断等する場合は、株主を始めとする当社関係者の皆様に対
して、適時開示を通じて、中断等に至った合理的な理由を丁寧に説明いたします。




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(3)改善措置の実施スケジュール
     2.
      (2)で記載した改善措置の実施スケジュールは以下の表の通りであります。
【改善措置の実施スケジュール】


    改   善 措 置 項 目   3   4    5   6   7   8   9   10   11       12
                    月   月    月   月   月   月   月   月    月        月
① 投資用不動産事業からの撤退              ●   →   →   →   →   →    →    →
② 責任の所在の明確化         ●        ●
③ 当社取締役の兼任の解消                            ●   →   →    →    →
④ 新規事業開始時における体制
                                                 ●    →    →
の整備
⑤ 取締役会における事前資料提
                                     →   →   →   →    →    →
供の早期化
⑥ コンプライアンス委員会の設
                                     →   →   →   →    →    →
置
⑦ 監査役監査の実効性のある運
                                         →   →   →    →    →
用
⑧ 内部監査室監査の実効性のあ
                                             →   →    →    →
る運用
⑨ 内部通報制度の実効性のある
                                     →   →   →   →    →    →
運用
⑩ 当社及び当社子会社役職員を
                                     →   →   →   →    →    →
対象とした研修の実施
⑪ 改善措置の実施状況の定期的
                                                      ●    →
な開示
●は実施、→は運用中であることを指します。


3. 投資家及び証券市場に与えた影響についての認識
     当社は、今般の不適切な会計処理により、過年度決算短信等を訂正するとともに、2019
    年 12 月期の決算発表を遅延させたことにより、株主を始めとする当社関係者の皆様に
    多大なるご迷惑とご心配をお掛けしましたことを深くお詫び申し上げるとともに、上
    場企業としての責務を果たせなかったことにつき、衷心より反省いたしております。
     本委員会からのご指摘、ご提言を踏まえ策定した再発防止策を着実に実施し、内部管
    理体制の強化を図るとともに、業務体制の改善に対して当社グループ一丸となって取
    り組み、信頼の回復と企業価値の向上に努めてまいります。
                                                           以    上
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