2705 J-大戸屋HD 2020-05-25 15:00:00
当社定時株主総会に係る株主提案に対する当社取締役会の反対意見に関するお知らせ [pdf]

                                             2020 年5月 25 日
各   位
                          会 社 名   株式会社大戸屋ホールディングス
                          代表者名    代 表 取 締 役 社 長 窪田 健一
                          (JASDAQ・コード2705)
                          問合せ先    取締役経営企画部長     松岡 彰洋
                          電   話   0422-26-2600




             当社定時株主総会に係る株主提案に対する
             当社取締役会の反対意見に関するお知らせ



 当社は、2020 年4月 14 日付プレスリリース「当社定時株主総会に係る株主提案に関するプレスリリ
ースについてのお知らせ」及び 2020 年4月 16 日付プレスリリース「株主提案に関する書面の受領に関
するお知らせ」においてお知らせいたしましたとおり、当社株主である株式会社コロワイド(以下「コ
ロワイド」といいます。
          )から 2020 年6月下旬開催予定の当社第 37 回定時株主総会(以下「本定時株主
総会」といいます。
        )に係る株主提案(以下「本株主提案」といいます。
                               )を受領しておりましたが、本
日開催の取締役会において、本株主提案について、下記のとおり、反対の意見表明を行う旨を決議いた
しましたので、その詳細をお知らせいたします。
 なお、本反対意見表明を行う旨の取締役会決議は、当社の社外取締役3名を含む取締役全員一致で決
議したものであり、当社の社外監査役も当該決議に異議を述べておりません。また、当社は、本日付プ
レスリリース「取締役及び監査役の選任に関するお知らせ」のとおり、社外取締役候補者6名を含む取
締役候補者 11 名の選任に係る議案(以下「会社提案」といいます。)を本定時株主総会に上程する予定
です。
                            記


 1.本株主提案
    議案     取締役 12 名選任の件
    本株主提案に係る取締役候補者の詳細については、2020 年4月 16 日付プレスリリース「株主提
    案に関する書面の受領に関するお知らせ」をご覧ください。
    なお、本株主提案には、取締役候補者として、会社提案の取締役候補者と重複する当社現任取締
    役5名(代表取締役社長窪田健一、取締役山本匡哉、社外取締役三森教雄、社外取締役池田純、
    社外取締役戸川信義。以下「重複候補者」と総称します。)が含まれておりますが、重複候補者は
    いずれも本株主提案に係る取締役候補者となることについて承諾しておりません。




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2.当社取締役会の意見


当社取締役会は、本株主提案に反対いたします。
※但し、会社提案で選任をお諮りしている重複候補者(当社現任取締役5名)の選任に係る議案を除き
ます。以下同様です。


3.本株主提案に対する反対の理由


  当社は、本日付プレスリリース「中期経営計画の策定に関するお知らせ」のとおり、抜本的な経営
 改革を推し進めるべく、新たに「中期経営計画 -大戸屋の未来を創る-」
                                  (以下「本中期経営計画」と
 いいます。)を策定しております。そして、当社は、現経営陣が策定したこの本中期経営計画を、自ら
 責任をもって着実に実行し、早期に経営改革を図り、当社の成長戦略を推進していくことこそが、当
 社の企業価値及び株主共同の利益の向上の観点から最良の選択肢であると判断しております。
  本株主提案は、コロワイドが、当社株式 19.1%を保有するにすぎないにもかかわらず、本株主提案
 を通じた役員選任により、当社取締役会を実質的に支配しようとして行われるものです。コロワイド
 は、当社取締役会を実質的に支配した上で、当社を子会社化することを目指すとしておりますが、当
 社及び当社株主様にとっての重要な判断材料となる具体的な経営理念・戦略や子会社化の具体的な方
 法・条件等について、適切かつ十分な情報開示は行われておりません。
  その一方、コロワイドは、コロワイドが運営するセントラルキッチンの利用など単純なコスト削減
 に偏った施策を求めており、当社取締役会は、本株主提案が承認可決された場合には、セントラルキ
 ッチンの利用など、コスト削減等に偏った施策によって、コロワイドの経済的利益が追求される一方
 で、当社の企業価値・ブランド価値の源泉である美味しくかつ健康に資する料理を提供するという創
 業以来の経営理念や基本方針を蔑ろにされたり、当社一般株主の皆様の利益に反する方法・条件によ
 って当社がコロワイドの子会社にされるなど、当社の企業価値及び株主共同の利益に反する事態が生
 じるおそれが高いと判断し、下記のとおり、本株主提案に反対いたします。


(1)会社提案が当社の企業価値及び株主共同の利益向上の観点から最良の選択肢であること


   当社の実質創業者である故三森久実は、「健康的で美味しい料理を提供してお客様に喜んでいた
  だきたい」という揺るぎない信念のもとで店舗数を拡大し、業績を伸ばしてまいりました。今日、
  飲食チェーンにおいて当然とされるセントラルキッチンを使うことなく、品質の根幹となる味と栄
  養を重視した各店舗での店内調理にこだわりながら、当社グループが国内 347 店舗、海外8か国進
  出という規模に成長できたのは、株主の皆様からのご支援、当社ブランドを愛していただいている
  お客様、FC 店の皆様、取引先の皆様のご協力、全従業員の努力と研鑽といったステークホルダーか
  らの支えに加え、故三森久実の指名によりその後任として 2013 年に代表取締役社長に就任した窪
  田健一をはじめとする創業者精神を受け継ぐ現体制が一丸となって、経営に励んだ成果であると考
  えております。そして、当社は、今後におきましても、厳選された安全・安心な食材を使い、一食

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一食心を込め店内で調理し、お客様に喜んでいただけるように努めてまいる所存です。
 当社は、美味しく、かつ健康に資する料理の原点は故三森久実がこだわっていた店内調理にある
と確信しており、この提供方針は当社のお客様に対する最大の差別化要因でありますので、今後も
この基本方針を変更することはございません。近時、外食産業においては、効率化とコスト削減は
喫緊の課題となっており、当社もこの点を十分認識した上で、品質の担保を大前提に、サプライチ
ェーンの見直しや調理工程の標準化/加工品導入の推進などの施策に取り組んでおります。しかし
ながら、セントラルキッチン等の効率化施策に過度に依存することは、結果として、料理を楽しん
でいただくお客様を思う目の前のひと手間を失わせ、素材・調理へのこだわりが弱まった画一的な
料理を提供することになり、当社が目指す「世界一美味しいごはん屋さん」というあるべき姿を、
自らの手で蔑ろにしてしまう行為であると考えております。


 当社は、当社の足下の事業環境も踏まえ、抜本的な経営改革を進めるべく、2020 年2月 28 日付
で「経営改善計画(骨子)
           」を策定し、同日以降、順次経営改善のための施策を実行に移してまいり
ましたが、本日付プレスリリース「中期経営計画の策定に関するお知らせ」のとおり、2023 年3月
期を最終計画年度とする本中期経営計画を策定いたしました。本中期経営計画におきましては、実
質創業者である故三森久実の「健康的で美味しい料理を提供してお客様に喜んでいただきたい」と
いう揺るぎない信念はそのままに、当社の最大の差別化要因である美味しさに加え、徹底したお客
様目線で、当社独自の「世界一美味しいごはん屋さん」を目指してまいります。
 このような「大戸屋のありたい姿」を実現するため、当社は、事業及び経営基盤に関わる取り組
み領域を設定し、抜本的な経営改革に取り組みます。
 具体的には、立地や客層で異なるニーズに応じた非画一的なメニュー・空間作りを展開していく
マーケティング戦略の実行、改善見込みの低い直営不採算店舗の整理加速による採算性改善、 出
                                          FC
店において主な課題となっている投資コストを抑え、かつ、ターゲット顧客に訴求可能な出店形態
の推進による出店加速、品質の担保を前提とした調達物流・調理オペレーションを最適化するため
のサプライチェーンの抜本的見直し・調理工程の標準化、海外市場における中長期的な拡大戦略、
経営管理の体制再構築と PDCA 運用の機能強化を実行してまいります。
 当社は、これらの取り組みを着実に進めることにより、経営数値目標として、最終計画年度とな
る 2023 年3月期には連結売上高 28,659 百万円、連結経常利益 960 百万円、ROE5.6%を達成するこ
とを目指してまいります。
 また、当社は、本日付プレスリリース「株主優待制度の拡充に関するお知らせ」のとおり、本中
期経営計画の策定と併せて、本中期経営計画でお示しした当社の新たな取組みを株主の皆様により
積極的に体感していただくことこそが、外食事業における唯一無二の存在として確立することに繋
がると考え、株主優待制度を拡充することといたしました。
 このように、当社取締役会は、当社の企業価値の源泉を改めて認識しつつ、お客様の消費志向・
ニーズの多様化や、総人口の減少・少子高齢化、労働人口の縮小などの事業環境の変化も踏まえ、
本中期経営計画を策定するとともに、更なる経営強化のあり方を熟慮し、かつ、当社のコーポレー
ト・ガバナンスのより一層の充実を目指した結果として、本日付「取締役及び監査役の選任に関す

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 るお知らせ」のとおり、会社提案を本定時株主総会に上程する予定です。
  会社提案をご承認いただいた場合、当社の取締役会の構成は、当社の現任取締役に、社外取締役
 3名を新たに加えた取締役 11 名(うち6名が社外取締役であり、うち5名が独立社外取締役)と
 いう構成になり、過半数を社外取締役が占めることとなります。当社取締役会といたしましては、
 新型コロナウイルスの感染拡大や緊急事態宣言の発令も受け、外食産業を取り巻く事業環境がかつ
 てない厳しい状況となる中において、本中期経営計画を着実に実行して早期に経営改善を図り、当
 社の成長戦略を推進していくためには、コーポレート・ガバナンスのより一層の充実を図りつつ、
 現経営陣が引き続き当社の取締役会を構成する会社提案が、当社の企業価値及び株主共同の利益の
 向上の観点から最良な選択肢であると判断しております。


(2)本株主提案は、当社の企業価値を毀損し、株主共同の利益に反するおそれが高いこと


  ① 本株主提案には、具体的かつ適切な企業価値向上策は一切示されておらず、かえって、本株
   主提案記載の施策を実行した場合には当社の企業価値・ブランド価値を毀損するおそれが高
   いこと


  上記のとおり、当社は、美味しく、かつ健康に資する料理の原点は店内調理にあると確信してお
 り、この提供方針は、飲食チェーン大手各社がセントラルキッチンを使う中で、当社の最大の差別
 化要因であり、当社の企業価値・ブランド価値の源泉であると考えております。当社は、このよう
 な、当社の最大の差別化要因であり強みである美味しさと、効率化を両立させ、当社独自の「世界
 一美味しいごはん屋さん」を目指すべく経営改革を進めております。
  これに対して、コロワイドは、本定時株主総会に係る株主提案書及びコロワイドの 2020 年4月
 14 日付「株式会社大戸屋ホールディングスに対する株主提案に関するお知らせ」(以下「本株主提
 案書等」と総称します。 において、
            )     仕入条件の統一やコロワイドが運営するセントラルキッチンの
 利用をはじめとするコスト削減等の施策を挙げ、シナジー効果を主張しておりますが、コロワイド
 の主張するシナジー効果は、当社の関与のもとで当社の事業に係る具体的な情報に基づく検討や協
 議を経た上で算出されたものではなく、その根拠や実現可能性は全く検証されておりません(なお、
 当社は、コロワイドからの業務提携の打診に対して、守秘義務契約の締結を前提に協議に応じる意
 向を示しておりましたが、コロワイドが守秘義務契約の締結を拒んだことから業務提携に関する具
 体的な協議には至らず、シナジー効果の検証を行うことはできておりません)。
  かえって、当社は、本株主提案が承認可決され、これらのコスト削減に偏った施策が推し進めら
 れた場合には、素材・調理へのこだわりが弱まった画一的な料理を提供することになり、美味しく
 かつ健康に資する料理を提供するという当社の経営理念が蔑ろにされ、当社の企業価値・ブランド
 価値を毀損する可能性が高いと考えております。なお、当社としても、経営改善のためこれまでも
 聖域なく様々な経営施策の可能性を模索する中で、セントラルキッチンの可能性を検討することは
 ありましたが、お客様に支持される主要なメニュー・素材群について、店内調理とセントラルキッ
 チンでの加工品を比較したときに、味、鮮度、食感、栄養価など品質に直結する各要素が明らかに

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低下することが確認されており、本株主提案が可決され、コロワイドのセントラルキッチン利用が
広く推し進められた場合、このような品質低下につながる可能性があり、これまで大戸屋をご支持
いただいているお客様からの評価が低下するなど、深刻な顧客離れにつながり得ると考えられます。
 仕入条件の統一によるコスト低減については、当社は厳選された安全・安心な食材の仕入れにこ
だわっており、コロワイドグループが運営している寿司屋、居酒屋及び焼き肉屋等の業態で利用さ
れている食材とは、品質面で共通性が乏しいことが想定されます。このため、仕入れの共通化は、
かえって食材の品質低下を招き、お客様の喪失につながるリスクがあるものと考えております。
 また、当社は、業務効率化の観点でも過去にセントラルキッチンの導入を検討いたしましたが、
加工賃が発生することからセントラルキッチン導入によるコスト削減効果は不十分なうえに、提供
できる料理の味・品質確保が困難であることが確認されたことから、セントラルキッチンは導入せ
ず、お客様への提供価値に直接的な影響を与えない仕込工程における加工品への切り替えや、付加
価値の高い調理工程における標準化など、「美味しさ」と両立する効率化施策を進めることとして
おります。仮に当社においてコロワイドのセントラルキッチン利用が広く推し進められた場合、コ
ロワイドの全国に設けられた設備の稼働率向上が見込まれるため、コロワイドにとっては大きなメ
リットになることは容易に想像できるものの、当社が長年培ってきた一食一食心を込め店内で調理
し、お客様に美味しい料理を提供するという当社の企業価値・ブランド価値が毀損するおそれが高
く、到底看過できるものではございません。
 このほか、コロワイドは、本株主提案書等において、当社にもたらすシナジー効果として、物流
網の共通化によるコスト低減、新店立地・業態転換候補の共有化、ノウハウの結集も掲げておりま
すが、以下のとおり、これらの施策のいずれについても、当社へのシナジー効果は限定的であり、
これらの施策は、あくまでもコロワイドにとっての利点のみで取りまとめられた施策であると考え
ざるを得ません。
 まず、物流コストの低減は、当社がセントラルキッチンの導入や食材の仕入れの共通化をしない
場合にはその効果は極めて限定的なものにとどまると考えられます。
 また、新店立地・業態転換候補の共有化については、そもそも当社の出店立地条件とコロワイド
グループの出店立地条件に共通性があるかどうかは全く検証されておらず、また、業態転換により、
当社店舗がコロワイドグループの外食ブランドに入れ替わる可能性を示唆するものであり、当社に
とって特段のメリットが発生するものではないと思料しております。
 そして、ノウハウの結集との提案につきましては、運営ノウハウの共有が当社にとってどのよう
に人材確保、店内調理の観点でメリットが発生するか具体性に乏しく、また、後述④のとおり、コ
ロワイドグループ入りした企業の業績が現に悪化している実例等から、コロワイドの経営が当社よ
り優れているとは到底判断できないことなどを鑑みますと、当社にとって同社とのノウハウの共有
化が有益なものであるとは考えられません。加えて、人材確保の先にある店舗人材育成について、
コロワイドはそのノウハウ共有について一切触れておりませんが、当社はお客様に食事を楽しんで
頂く上で店舗人材の育成を非常に重要なものと位置づけており、これまで蓄積してきた育成ノウハ
ウを土台に、更に注力していく所存です。
 このように、本株主提案書等に記載された各施策は、いずれも当社のビジネスを理解した上での

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十分な検証を経たものではなく、当社にとって特段のメリットがある内容ではありません。コロワ
イドが本株主提案書等で記載する各施策は、もっぱら、コロワイドグループのセントラルキッチン
や物流網等の資源の活用等、コロワイド側のみに多くのメリットが発生する一方で、コロワイド側
の経済的利益を追求するこれらの施策が実行された場合、当社の企業価値の源泉が損なわれるおそ
れが高いと言わざるを得ません。
 他方で、本株主提案書等において、コロワイドは、当社の業績回復が困難であるとの一方的な理
解を前提に、経営陣の刷新が必要であると繰り返し述べ、前述のとおりコロワイド都合のコスト削
減に過度に重きを置いた施策を並べるにとどまり、当社の企業価値及び株主共同の利益向上に資す
る具体的な経営戦略は何ら示されておりません。本来、経営陣の刷新を目的とする株主提案におい
ては、具体的な企業価値及び株主共同の利益向上策が示されるべきですが、本株主提案書等におい
てはそのような記載がなく、コロワイド及びコロワイドの提案する当社現任取締役以外の取締役候
補者は、当社の持続的な企業価値及び株主共同の利益向上のため明確な理念も施策も有していない
ものと判断せざるを得ません。
 本株主提案において重複候補者となっている当社現任取締役5名は、本株主提案における取締役
候補者となることについて、事前に何の説明も受けておらず、いずれも本株主提案に係る取締役候
補者となることについて承諾しておりません。そのため、仮に本株主提案に基づき当社の経営陣が
刷新された場合には、経営の継続性が担保されず、当社の経営に無用の混乱をきたすとともに、当
社がこれまで構築してきた、お客様、当社グループ従業員、FC 店の皆様、取引先及び金融機関等を
含めたステークホルダーとの間の信頼関係が損なわれ、その結果、当社の今後の成長が妨げられる
おそれが高いといわざるを得ません。


 ② 本株主提案が可決された場合には、コロワイドのみの経済的利益が追求され、株主の皆様の
   利益が害されることが強く懸念されること


 本株主提案書等には、本株主提案が承認可決された場合には、当社の連結子会社化を検討してい
る旨の記載があります。
 当社は、コロワイドが 2019 年 10 月に当社株式を取得して以降、コロワイドと複数回に亘り面談
を行い、当社として、当社の企業価値向上・株主共同の利益に資する提案は真摯に検討する旨を繰
り返し伝えております。コロワイドは、従前の当社との協議において、当社子会社化を示唆し、そ
の方法として、公開買付けや第三者割当増資に言及した上で、公開買付けでは十分な株式が集まら
ないことへの懸念を示し、その場合には、支配権を取得するために第三者割当増資を行い、過半数
の株式を取得することや第三者割当増資の資金をもって当社による他社の買収資金に充てる可能
性などに言及しました。このため、当社は、コロワイドに対し、当社の子会社化を提案するのであ
れば、当該取引に関する具体的な条件・内容(公開買付けを行う場合にはそのプレミアム水準、第
三者割当増資を行う場合にはその発行価額・増資額・増資の資金使途等、子会社化を行った後の当
社の経営方針等)を正式かつ具体的に提案するように要請しましたが、コロワイドは、当社の度重
なる要請にもかかわらず、当社子会社化の方法や条件を示した正式かつ具体的な提案を行うことを

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頑なに拒んでおります。
 このようなコロワイドのこれまでの対応や言動を踏まえると、仮に本株主提案が可決された場合
には、不十分なプレミアムでの部分的公開買付けや、企業価値向上に資する合理的な資金使途に基
づかない支配権取得を主たる目的とする大幅な希薄化を伴う第三者割当増資等、株主共同の利益に
反する不適切な方法・条件で同社による当社子会社化が一方的に進められることが強く懸念されま
す。さらに、上記①のとおり、コロワイドが主張する施策は、当社においてシナジーを生むどころ
か、当社の企業価値・ブランド価値を毀損するおそれが高いものです。
 本株主提案は、このように、当社の企業価値及び株主共同の利益向上に資する具体的な経営戦略
や、当社の子会社化の方法や具体的条件を十分に開示しないまま、当社の実質的な支配権を獲得し
た上で、当社の企業価値・ブランド価値を毀損し、コロワイドの経済的利益を追求する施策を講じ
たり、当社株主の皆様の利益に反する方法・条件で当社を子会社化したりすることを狙いとするも
のと言わざるを得ません。


 ③ 本株主提案における取締役候補者の独立性・適性には重大な疑義があること


 仮に本株主提案の取締役候補者が承認可決された場合には、上記のとおり当社の企業価値向上・
株主共同の利益に反する施策が実行されるおそれがあるほか、以下のとおり、本株主提案における
取締役候補者の独立性・適性には重大な疑義があり、これらの取締役候補者が当社取締役に選任さ
れた場合には、重大なコーポレート・ガバナンス上の問題が生じるおそれがあります。


ア   社外取締役(重複候補者を除く)の独立性に強い懸念があること
    本株主提案の取締役候補者は、その過半数が社外取締役です。もっとも、これらの社外取締
    役候補者のうち、当社現任社外取締役以外の各社外取締役候補者は、コロワイドが当社の取
    締役会を実質的に支配するために、その選任を提案しているものであり、かつ、上記のとお
    り、本株主提案が、当社の企業価値及び株主共同の利益向上に資する具体的な経営戦略や、
    当社子会社化の手法や具体的条件を十分に開示しないまま当社の実質的な支配権を獲得し、
    当社の企業価値・ブランド価値を毀損し、コロワイドの経済的利益を追求する施策を講じた
    り、当社株主の皆様の利益に反する方法・条件で当社を子会社化したりすることを狙いとす
    るものであるなどの問題があるにもかかわらず、本株主提案における社外取締役候補者とな
    ることを承諾していることからすると、これらの社外取締役候補者が、コロワイドから独立
    した立場で当社株主の皆様の利益を十分に考慮した経営のモニタリング機能を発揮できる
    かについては強い懸念があると言わざるを得ません。
    なお、当社は、本株主提案を踏まえ、これらの社外取締役候補者の資質等を確認するため、
    各社外取締役候補者との面談を求めましたが、コロワイドが、当社が独自に面談するために
    必要な各社外取締役候補者の連絡先の開示を拒んだため、実現しておりません。




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 イ   取締役候補者として適任とはいえないこと
     本株主提案の取締役候補者には、過去当社の取締役を短期間務めた三森智仁氏が含まれてお
     ります。しかしながら、同氏は、2016 年に設置した当社コンプライアンス第三者委員会にお
     いても指摘されているとおり、取締役在任中、経営会議等の社内の重要会議にしばしば無断
     欠席し、取締役会に出席しても発言しないなど、当社取締役としての職務を真摯に遂行して
     いたとは到底言い難く、一方的に当社取締役を辞任したものであり、かかる状況に鑑みれば、
     当社取締役会に有益な提言・助言を頂けるとは到底考えられず、当社取締役候補者として適
     任とはいえません。
     また、本株主提案においては、三森智仁氏の選任理由に創業者精神の承継が掲げられていま
     すが、故三森久実から後任として指名され、2013 年に代表取締役社長に就任した窪田健一
     をはじめとする当社の現経営陣が、長年にわたり当社の実質創業者である故三森久実の薫陶
     を受けて当社の経営理念や業務運営に関する知見を蓄積してきたのに対して、三森智仁氏の
     当社における執務期間が僅か3年程度に過ぎないことや、同氏の取締役在任中の職務執行の
     状況に照らすと、三森智仁氏を当社取締役に選任することで創業者精神が承継されるもので
     はないと考えております。


 ④ 本株主提案者の状況等から、当社が子会社化された場合には経営のリスクが高まると考えら
     れること


 本株主提案者であるコロワイドは、自社公式ホームページにも記載されているとおり、積極的な
M&Aによって事業を拡大してきた会社であると理解しております。仮に当社がコロワイドによっ
て子会社化された場合にどのような状況になる可能性があるかについては、同社が過去に行ったM
&Aの結果を分析し、慎重に検討すべき必要があると考えております。
 例えば、同社が 2014 年 12 月に連結子会社化したカッパ・クリエイト株式会社(以下「カッパ」
といいます。)については、同社による買収後の 2019 年3月期までの約4年間で、連結粗利率は
56.1%から 50.9%へと大幅に低下しており、収益性という観点からは悪化していると考えられま
す。また、ほぼ同期間において、同業他社の株式会社スシローグローバルホールディングス(以下
「スシロー」といいます。
           )やくら寿司株式会社(以下「くら寿司」といいます。)が、それぞれ連
結売上高を 46.2%、29.3%増加させているのに対して、カッパの連結売上高は 13.1%減少してお
り、同業他社がマーケットシェアを伸ばしている反面、カッパはマーケットシェアを落としている
状況にあります。加えて、コロナ禍の影響が出始めた 2020 年3月の全店売上高の対前年同月比は、
スシローの 90.7%、くら寿司の 89.7%に対して、カッパは 76.3%であり、また、コロナ禍の影響
を著しく受けた同年4月は、スシローが 58.0%、くら寿司が 54.7%に対して、カッパは 47.6%と、
いずれも下げ幅が同業2社と比較して大きくなっています。このように、少なくともカッパの事例
においては、コロワイドによる買収がカッパの企業価値を向上させているとは言い難い状況であり、
買収後のカッパの代表取締役社長が僅か5年のうちに4人も入れ代わっていることを鑑みても、客
観的にみて、コロワイドによるM&Aが被買収会社にとって好ましい結果を創出しているとは思わ

                       - 8 -
 れません。
  また、当社は、コロワイドの財務内容につきましても、慎重に分析した上で対応する必要がある
 と考えております。繰り返しになりますが、今後の外食産業はコロナ禍の影響によって収益的には
 非常に厳しい状況が継続するものと予想され、各企業の財務内容の優劣が生き残りを大きく左右す
 る重要な要素になります。
  直近(2020 年3月期)の決算発表内容にて当社とコロワイドを比較すると、連結決算上の自己資
 本比率は当社の 37.2%に対してコロワイドは 10.0%、純有利子負債額は当社の 287 百万円(現預
 金超過)に対して同社は 120,480 百万円(有利子負債超過)となっております。また、コロワイド
 は、直近連結決算で、6,447 百万円の最終赤字を計上し、利益剰余金もマイナスの状況に陥ってお
 ります。さらに、コロワイドの連結貸借対照表上には「のれん」として 71,795 百万円計上されて
 いますが、これは自己資本額 24,958 百万円の約 2.8 倍にあたる高い水準にあります。コロワイド
 の買収した企業は、居酒屋、焼肉、回転ずし、ステーキレストラン、カラオケなど、コロナ禍の影
 響を受け収益性が悪化しやすい業態に偏っており、今後の状況次第では、
                                 「のれん」の減損損失の計
 上で最終損失が一気に自己資本額を上回り、債務超過に陥る可能性も否定できないと考えられます。
 このように、財務健全性の観点から当社がコロワイドより優れていることは明らかです。当社の業
 績は、近時、一時的に悪化しているものの、当社は、これまで実質創業者である故三森久実の理念
 として財務内容の健全性にこだわり、一切の過大な投資等を行わずに堅実な経営をしてきたからこ
 そ、現在の財務内容の健全性が維持されていると考えております。
  仮に、本株主提案が可決された場合には、コロワイドは当社を子会社化する意向を明確にしてい
 る以上、本株主提案についてはその前提も踏まえて検討する必要があるところ、上記M&Aの実績
 や財務内容も踏まえれば、当社がコロワイドの子会社となることで、当社の事業再建が推し進めら
 れ、当社の企業価値向上につながるものとは判断できないと考えております。


 以上のとおり、当社は、現経営陣が、抜本的な経営改革を推し進め、大戸屋の未来を創るために策
定した本中期経営計画を、自ら責任をもって着実に実行し、早期に経営改革を図り、当社の成長戦略
を推進していくことこそが、当社の企業価値及び株主共同の利益の向上の観点から最良な選択肢であ
ると判断しております。仮に本株主提案が可決された場合、当社の経営はコロワイドによる独断的な
経営に委ねられることになります。その場合、当社の企業価値・ブランド価値の源泉である美味しく
かつ健康に資する料理を提供するという創業以来の経営理念や基本方針を蔑ろにするコスト削減に
偏った施策が実行されたり、当社一般株主の皆様の利益に反する方法・条件によって当社がコロワイ
ドの子会社にされるなど、当社の企業価値及び株主共同の利益に反する事態が生じるおそれが高く、
ひいては、当社株主の皆様をはじめ、当社がこれまで構築してきた、お客様、グループ従業員、FC 店
の皆様、取引先及び金融機関等を含めた全てのステークホルダーとの間の信頼関係が損なわれ、当社
の今後の成長が妨げられるおそれが高いといわざるを得ません。
 したがいまして、当社取締役会は本株主提案に反対いたします。




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 なお、末尾ながら付言いたしますと、新型コロナウイルス感染症の広がりを受け、感染拡大防止に
向けてわが国が一丸となって対応している現在の社会情勢において、外食産業の多くが危機的状況を
迎えており、本来であれば全社を挙げて業績の維持、回復に努め、一日も早く株主の皆様にご安心い
ただけるようにすべきところ、法定の権利行使であるとはいえ当社と事前に十分な協議を行うことな
く本株主提案を強行し、当社の実質的な経営支配権の奪取と当社株主の利益に反する方法・条件での
当社の子会社化を画策するコロワイド及びその推薦する候補者が、当社の経営陣となることがふさわ
しいか否かについては、株主の皆様に適切なご判断を賜りたいと存じます。


                                           以上




本書面は、当社取締役会の株主提案に対する意見を一般的に公表するための文書であり、株主の皆様に
対し、当社の定時株主総会における議案につき、当社又は第三者にその議決権の行使を代理させること
を勧誘するものではなく、また、そのような内容のものと解釈されるべきものではありません。




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