2678 アスクル 2020-02-06 15:00:00
(暫定)指名・報酬委員会「報告書」等および独立社外取締役候補者による「抱負文」に関するお知らせ [pdf]

                                               2020 年2月6日
 各   位
                          会 社 名     ア ス ク ル 株 式 会 社
                          代 表 者 名   代 表取締役社 長 CEO 吉 岡 晃
                                    (コード番号:2678 東証一部)
                          問 合 せ 先
                          役職・氏名     執行役員 CFO 玉井        継尋
                                    TEL 03-4330-5130



            (暫定)指名・報酬委員会「報告書」等および
         独立社外取締役候補者による「抱負文」に関するお知らせ

 当社は本日、当社(暫定)指名・報酬委員会より、独立社外取締役候補者の指名基準、指名プロセ
ス等に関する「報告書」を含む下記書類の提供を受けましたため、お知らせいたします。


                               記


(別紙1)2020 年2月6日付 「報告書」
(別紙2)2020 年2月6日付 「アスクルのコーポレートガバナンス上の課題についての基本姿勢」
(別紙3)2020 年2月6日付 「抱負文」   市毛 由美子
(別紙4)2020 年2月6日付 「抱負文」   後藤 玄利
(別紙5)2020 年2月6日付 「抱負文」   髙 巖
(別紙6)2020 年2月6日付 「抱負文」   塚原 一男


                                                       以 上
 別紙1                         2020(令和2)年2⽉6⽇

                    報 告 書

                              アスクル株式会社
                              (暫定)指名・報酬委員会
                               委員⻑     國   廣       正
                               委   員   落   合   誠    ⼀
                               委   員   安   本   隆    晴
                               委   員   吉   岡       晃


Ⅰ.独⽴社外取締役候補者の指名基準と⼈数
1.指名基準
 アスクル株式会社の「(暫定)指名・報酬委員会」(以下「本委員会」)が、9⽉17⽇に
対外公表した独⽴社外取締役の指名基準は、以下のとおりです。
 ・アスクルの企業価値向上のために最適な判断ができること
 ・アスクルの企業理念・⽂化を理解し、共有できること
 ・アスクルの執⾏部からの独⽴性のみならず、⼤株主である Z ホールディングス株式会
  社及びプラス株式会社からの独⽴性が確保されていること
 ・コーポレートガバナンス及び資本市場の公正確保(⼀般株主の権利の尊重を含む)に
  ついての⼗分な⾒識を有すること
 ・ビジネス(ネットビジネスを含む)に対する⼗分な理解を有すること


2.⼈数及び多様性
 アスクルの定款では取締役の定数が10名とされています。従来、独⽴社外取締役は3
名でしたが、独⽴社外取締役が取締役会の議決権の3分の1超であることが望ましいとい
う観点から、本委員会としては、独⽴社外取締役を4名指名することとしました。
 4名の独⽴社外取締役については、その多様性を確保するために、企業経営者2名、法
曹実務家1名、学識経験者1名の指名を⽬指しました。


Ⅱ.指名に⾄るプロセス
 本委員会は、昨年の9⽉16⽇から本年2⽉5⽇までに合計21回の委員会を開催し、
2⽉5⽇、4名の独⽴社外取締役候補者を指名し、アスクル取締役会に答申しました。
 アスクルは、同⽇開催の取締役会において、全員⼀致で、この4名を独⽴社外取締役候
補者として3⽉13⽇開催予定の臨時株主総会の議案とすることを決議しました。
 本委員会は、東京証券取引所の「コーポレートガバナンス・コード」及び経済産業省の
「グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針(グループガイドライン)(以下「グ
                                    」
ループガイドライン」)の趣旨を尊重しつつ候補者指名の業務を⾏いました。
 その経過は以下のとおりです。




                       1
1.ロングリストの作成
 本委員会は、まず約30名の候補者のロングリストを作成しました。ロングリスト作成
時点で、本委員会は先⽅(候補者)の意思確認は⾏っておりません。ロングリストの作成
においては、エグゼクティブサーチ会社の協⼒も得ています。


2.⾯談候補者の選定(ショートリストの作成)
 本委員会は、上記の「指名基準」に基づいて議論を重ね、多様性に配慮しながら、複数
の⾯談候補者を選定し、ショートリストを作成しました。


3.相互⾯談
 本委員会は、ショートリストの候補者について⾯談の打診を⾏い、⾯談実施の了解を得
た候補者との相互⾯談を⾏いました。
 相互⾯談においては、今後のアスクルの企業価値向上、ガバナンス、⼤株主である Z ホ
ールディングス株式会社及びプラス株式会社との関係の在り⽅などについて⼗分な意⾒交
換を⾏いました。
 意⾒交換の結果、本委員会の委員全員の意思と候補者の意思が⼀致した4名を、独⽴社
外取締役候補者として指名することといたしました。


4.候補者相互の意思疎通、経営陣及び⼤株主との対話など
(1)候補者相互の意思疎通
 本委員会は、独⽴社外取締役の相互の意思疎通がガバナンスにとって重要であるとの認
識に基づき、4名の候補者と本委員会とで今後のアスクルのガバナンスの在り⽅などにつ
いての議論を重ねております。
(2)各種の対話
 候補者4名は、本委員会が同席して、アスクル経営陣との対話を⾏いました。さらに、
独⽴社外取締役としての今後の活動を実効的に⾏うためには、アスクルのビジネスを⼗分
に理解することが不可⽋という認識から、アスクルの各種事業の説明を受けております。
 また、候補者4名は、本委員会が同席して、⼤株主であるZホールディングス株式会社
及びプラス株式会社の経営陣と、それぞれ対話を実施し、率直な意⾒交換を⾏いました。
この際、候補者4名は、独⽴社外取締役に選任された際には、経済産業省の「グループガ
イドライン」の趣旨を尊重して業務を遂⾏し、⼤株主との建設的な対話を重視しつつ、⼤
株主から独⽴した⽴場で、アスクル株主全体の共通の中⻑期な利益の向上に資する判断を
⾏う、という意思を表明しています。
 さらに、候補者 4 名は、本委員会が同席して、元独⽴社外取締役の⼾⽥⼀雄⽒及び⻫藤
惇⽒とも対話を⾏っております。


5.取締役会における決議
 以上のプロセスを経て、2⽉5⽇、アスクルの取締役会は、全員⼀致で、この4名を独
⽴社外取締役候補者として臨時株主総会の議案とすることを決議しました。


                    2
Ⅲ.臨時株主総会後の新しい体制について
1.徹底した議論(アスクルモデルを⽬指して)
 本委員会と候補者4名は、後述の「アスクルのコーポレートガバナンス上の課題に対す
る基本姿勢」に記載した問題意識に基づき、臨時株主総会後の新体制についても徹底した
議論を繰り返しています。議論は、今回の⼀連の事態を「災い転じて福となす」精神で、
アスクルの⾝の丈に合った先進的なガバナンスモデル(アスクルモデル)を構築する意思
をもって⾏われています。また、この議論は、臨時株主総会までの間も、引き続き⾏う予
定です。


2.「指名・報酬委員会規程」の改定
 独⽴社外取締役によるガバナンス機能を強化する⽬的で、「指名・報酬委員会規程」改定
の「たたき台」を作成・検討しています。
 具体的には、
➀指名・報酬委員会を、取締役会の常設の諮問・勧告機関とする、
②指名・報酬委員会の構成員を、独⽴社外取締役全員と最⾼経営責任者(CEO)とする、
③指名・報酬委員会は、CEO、取締役、執⾏役員などの選解任を取締役会に答申する、
④指名・報酬委員会は、報酬制度の基本⽅針を策定するとともに、CEO、取締役、執⾏役
員などの個別報酬を答申する、
⑤指名・報酬委員会は、取締役会から諮問を受けた事項以外であっても、適切な経営体制
の構築及び経営の透明性を確保するために必要な事項を勧告できる、
⑥取締役会は、指名・報酬委員会の答申、勧告を尊重する、
⑦指名・報酬委員会は、会社の費⽤で、独⽴した外部の専⾨家(弁護⼠、公認会計⼠、コ
ンサルタントなど)を選任できる、
⑧指名・報酬委員会は、その答申、勧告等を⾏った事項につき、株主総会等において、意
⾒を表明することができる、
などの条項を検討しています。
 臨時株主総会で候補者が選任された時点で速やかに「指名・報酬委員会規程」を改定す
る取締役会決議ができるように、本委員会はこの「たたき台」を事前に現取締役会に提⽰
して検討を求めています。


3.その他
 独⽴社外役員会議(独⽴社外取締役と独⽴社外監査役のみで構成される会議)の責任・
権限の明確化などについて、臨時株主総会終了後、速やかに具体的な対応ができるよう議
論を重ねております。
 また、独⽴社外取締役の執⾏側及び⼤株主からの独⽴性を強化しつつ、在任が⻑期にわ
たることの弊害を防⽌するために、独⽴社外取締役の任期を1年ではなく(たとえば)2
年にする⼀⽅で、在任期間の上限を設けることなども検討されております。


                                       以上


                      3
 別紙2                         2020(令和2)年2⽉6⽇


         アスクルのコーポレートガバナンス上の課題についての基本姿勢


                               アスクル株式会社
                               (暫定)指名・報酬委員会
                                委員⻑     國   廣       正
                                委   員   落   合   誠   ⼀


(基本姿勢)
・アスクルとして、⽇本企業のコーポレートガバナンスにおけるベストプラクティスを⽬
 指す。ただ、ベストプラクティスとは必ずしも「重装備」のガバナンス体制を意味する
 ものではなく、スピーディーかつ実効的に機能するアスクルの⾝の丈に合ったオーダー
 メイドのガバナンス体制を⽬指す。
・今後のガバナンス体制としては、アスクルの企業価値を⾼めるため、経営を監視・牽制
 しつつ(守りのガバナンス)、経営の迅速・果断な決断をサポートできる(攻めのガバナ
 ンス)、アスクル独⾃のガバナンス体制の構築・運⽤を⽬指すべきである。
・今後のアスクルのガバナンス体制の要となっていくのは、今回選任される予定の多様性
 のある 4 名の独⽴社外取締役であり、
                   「攻め」と「守り」の両⾯において、この 4 名が執
 ⾏側と⼗分に連携して活動できるガバナンス体制の構築・運⽤を⽬指すべきである。


(親⼦上場の問題)
・多くの⽇本企業に共通する問題として親⼦上場の問題が注⽬され、2019 年 6 ⽉に公表さ
 れた経産省の「グループガイドライン」でも上場⼦会社のガバナンス体制の在り⽅が⼤
 きく取り上げられている。しかも昨年夏には「ヤフー・アスクル問題」が発⽣し、⼤き
 な注⽬を集めている。したがって、アスクルとしては、親⼦上場の問題を念頭に置いた
 ガバナンス体制を整えることが不可⽋である。
・独⽴社外取締役は、アスクルの企業価値向上のために、⼤株主とも対話を重ねて WIN・
 WIN の関係を追求すべきことになるが、利害対⽴が解消不能な場合(もしあれば)には、
 資本市場(具体的には、アスクル株主全体の共通の中⻑期な利益の向上)に資するもの
 かどうかの⽴場に⽴った判断が求められる。なぜなら、⼤株主の意⾒であれ、少数株主
 の意⾒であれ、それがアスクル株主全体の共通の中⻑期な利益の向上に資さないものは、
 取締役としての善管注意義務 忠実義務の履⾏として、
              ・           ⽀持すべきではないからである。
・取締役は、
     「会社」に対して善管注意義務・忠実義務を負う(会社法330条・355条)。
 換⾔すれば、取締役は、⼤株主あるいは少数株主に対して善管注意義務・忠実義務を負
 うのではなく、あくまでも「会社」
                、すなわち、当該会社の株主全体の共通の中⻑期的な
 利益の向上を図ることに対して義務を負う。取締役は、常にこのことを意識して⾏為す
 べきである。
                                                    以上
    別紙3                              2020 年2月6日
               「抱負文」   市毛   由美子

 アスクル株式会社(以下「アスクル社」といいます。)の社外取締役候補にご指名いただくにあ
たり、同社の暫定指名・報酬委員会、経営陣、および大株主経営陣と面談を行い、私の経験と知見
をもって、貢献できる機会をいただけたことの意義と重みを感じております。以下、私がこの重責
をお受けする心構えを、お示ししたいと存じます。

1 上場子会社等の独立社外役員の立ち位置について
 これまで、複数の上場子会社および支配株主を有する上場会社の独立社外役員を務めてきました
が、その最大のミッションは、一般株主の利益を代弁することであると意識してきました。親子会
社間や企業グループ内の利益相反取引はもとより、グループ内の組織再編、事業再編、役員の指名・
報酬といった場面では、経営陣や親会社・支配株主の意向と一般株主の利益とは、必ずしも一致す
るとは限りません。一般株主の視点が忘れ去られていることや、内容によっては経営陣が口にし難
い雰囲気もあり得るところです。この局面で、独立社外役員は、空気を読まず積極的に意見を言わ
なければなりません。上記の面談を通じて、アスクル社の経営陣及び大株主には、独立社外役員の
意見を「聞く姿勢」をお示しいただいたと理解しております。それでもなお、立場により意見が異
なることがあるかもしれません。その場合には、可能な限り一般株主への情報開示を促進し、意思
決定の透明性を確保することが重要であると考えます。

2 中長期の経営戦略とガバナンス体制について
 CGコードにより、攻めのガバナンスとして取締役会のモニタリング機能の強化、独立社外役員
の指名・報酬への関与が求められています。ここでは、会社の中長期的な経営戦略を機軸に、経営
陣や取締役会の構成、将来の経営人材の要件定義やサクセションプラン等を議論し、最適なガバナ
ンス体制を構築するという手順が必要と考えます。アスクル社の場合、経営ビジョンや戦略の方向
性は示されていますが、経営陣には、一歩進めて、中長期的な視点から、コアビジネスの強みや大
株主とのシナジーを生かしたより具体的かつ持続性ある成長戦略を立案していただきたいたいと
ころです。取締役会では、かかる戦略のモニタリングと同時に、あるべきガバナンス体制を議論し
たいと考えています。

3 経営判断の原則
 取締役会に上程される個々の案件に関し、弁護士として、いわゆる「経営判断の原則」に則った
意思決定プロセスを確認し、意見を述べることを心がけます。経営判断の原則とは、取締役の経営
判断について、①当該判断の前提となった事実認識に不注意な誤りがなく、②判断の内容に著しく
不合理なものがない限り、取締役・監査役の善管注意義務違反または忠実義務違反を認定すべきで
ないとする判例上の法理です。特筆しておきたいのは、①の前提事実の認識においては、想定でき
るあらゆるリスクの抽出と分析が求められ、また、②の合理性判断においては、資本コストや一般
株主の利益をも意識した判断が問われるという点です。喫緊の課題であるロハコ事業に関する経営
判断においても、上記の原則を踏まえた議論が必要になると思われます。その他の日常的な経営判
断も含め、法と経営の狭間にある問題を、しっかりとモニタリングしていきたいと思います。

4 ダイバーシティの推進
 技術革新、少子高齢化と労働人口の激減、環境問題、自然災害の深刻化等、社会の変化を踏まえ
た持続性ある経営判断には、ジェンダーを含めた多様性が必要不可欠です。特に、社内の経営陣に
女性が参画し、その意見が反映されるための環境づくりが重要です。他社の例では、女性社外役員
と女性管理職との「女子会」を企画し、私からは、女性が経営陣に入ることの重要性、それが個人
の自己実現だけではなく、後輩女性のため、会社のため、社会のための貢献であるといった期待を
お伝えし、同時に、管理職女性の置かれている現状や課題などを率直にお聞きしたうえで、取締役
会で報告・提言をしています。アスクル社でも同様に、他社のベストプラクティスなども参考に、
意見を述べていきたいと思います。
 別紙4                                       2020 年2月6日
                   「抱負文」       後藤   玄利

 このたび、アスクル社の新任社外取締役候補に指名されました後藤玄利です。アスクル社にとっ
て非常に重要な時期に選任いただき、大変光栄であるとともに身の引き締まる思いです。
私自身は連続起業家です。  現在は Kotozna 株式会社というインバウンド向け多言語翻訳サービスを
提供するスタートアップを代表として経営しています。以前は、1994 年から 2014 年まで、LOHACO
と同様に日用品や医薬品等の e コマースを行うケンコーコム株式会社     (現在は楽天株式会社の一部)
において立ち上げ以来、代表を務めてきました。
退任して 5 年以上が経ちますが、この時の経験は主に二つの面でアスクル社の社外取締役として貢
献する上で役立ちます。
 一つ目は、業界経験です。ケンコーコムとアスクル社(LOHACO)は良きライバルとして業界をと
もに創り上げてきた間柄であり、その際の業界経験はアスクル社の価値創出に役立ちます。
もう一つは、上場子会社の経営者としての経験です。ケンコーコムは 2012 年より楽天が 51%の株式
を持つ上場子会社となりました。この際に上場子会社のトップとして親会社および株主全体の利害
調整を行った経験は、現在アスクル社が置かれた状況においても活用できます。
今回、社外取締役候補に指名されるにあたり、現在アスクル社が直面する課題に対する私の基本的
なスタンスについて、以下のように表明します。

1.親子上場について
 親子上場は永続性が乏しいものと考えます。最大の理由は、上場子会社単体の部分最適と親会社
グループの全体最適が常に一致するとは限らないためです。しかしながら、既に親子上場している
場合は、親子上場が健全に維持されるか、さもなければ発展的に解消されるよう、しっかり監査・
監督するのが社外取締役の役割だと考えます。私自身は以下のようなスタンスで意思決定に関わり
ます。
 1) 通常の意思決定において
    可能な限り親子のベクトルを合わせるよう取り組むべきです。それにより、シナジー効果を
    得られるので、上場子会社単体の部分最適が親会社グループの全体最適に繋がるよう、自身
    の知見を提供していきます。
 2) 親子の利害が異なる場合
    上場子会社単体の部分最適を親会社グループの全体最適よりも優先させます。少数株主がい
    る以上、親会社への貢献は上場子会社の価値向上を通じて提供することを原則とすべきです。
 3) 親子上場スキームを再編する場合
    戦略上、親子上場スキームの再編が選択肢に上る場合もあり得ます。再編が検討される際は、
    親会社ではなく株主全体の共通の中長期的な利益を代表し、再編プロセスを監査・監督してい
    きます。

2.企業価値向上について
 アスクル社は企業価値向上の余地が大いにあり、社外取締役として企業価値向上に最大限貢献し
ていく所存です。企業価値向上の余地の大きなポイントは 3 つあると考えます。
  1) アスクル社は以下の3つの強みを持っています。
     ‐ 卓越したロジスティックス
     ‐ メーカーと連携したマーチャンダイジング
     ‐ 顧客志向に徹する組織カルチャー




                           1
    これらの強みにフォーカスし、より高い次元で磨き上げることにより競争力を強化できます。
 2) Z ホールディングス(旧ヤフー)社とのシナジーのさらなる追求により、企業価値向上を見
     込めます。e コマースを強化する上で、両社が得意とする機能は補完関係を持ちます。Z ホ
     ールディングスが決済や e コマースの強化を進める中、グループへの貢献とアスクル社の
     企業価値向上の両立が可能です。
 3) アスクル社の主要事業である e コマース事業は BtoB 事業と BtoC 事業に大別できますが、こ
     れらはビジネスポートフォリオ上、異なる位置づけにあります。BtoB 事業は安定的なキャ
     ッシュフローを継続的に生み出している一方、BtoC 事業は高成長しているもののキャッシ
     ュフローはいまだマイナスです。資本市場との対話を通じて、この積極投資の意義への理
     解を深めることも企業価値向上には重要です。

3.独立性について
 私自身及び私が代表を務める Kotozna 株式会社と Z ホールディングス・プラスとの間に資本関係
や、多額の取引はございません。
社外取締役として、アスクル社の企業価値向上に貢献したい所存ですので、      よろしくお願いします。




                         2
 別紙5                                      2020 年2月6日
                    「抱負文」   髙   巖

 今回、アスクル株式会社取締役会において取締役候補者として指名を受けました髙 巖(たかいわお)
と申します。本書面をもって、株主の皆様に、私自身がどのような決意と姿勢でこれに臨もうとしてい
るのか、3点につき、説明させて頂きます。

 まず何はともあれ、第1に、市場の信頼を回復するため、アスクル株式会社のガバナンス強化に努め
たく思っております。昨年 8 月 2 日に開催されました定時株主総会では、前社長の岩田彰一郎取締役及
び 3 名の社外取締役の再任案が否決されましたが、詰まるところ、こうした異常事態は、取締役会にお
ける議論や役員間のコミュニケーションが不足していたこと、またその結果として株主・市場に対する
説明が不足していたことなどから生じたものと感じております。それゆえ、こうした事態を繰り返さな
いため、何が原因であったかを確認した上で、ガバナンスについては、(1)役員間、社外取締役間、代
表取締役・社外取締役間のコミュニケーションをより頻繁かつ率直な形で行い得る体制を整えること、
及び(2)役員選任基準の一層の明確化と指名手続きの透明化を目的として、指名・報酬委員会を抜本的
に改革すること、この2点に着手したく考えております。

 第2は、親子上場が抱える課題に対処するため、「株主全体の共通の中長期的な利益の向上」をこれ
まで以上に強く意識し、取締役会における議論をより活発なものとしたく思っております。本来、支配
株主と少数株主の利益は一致するものであり、かつ取締役会としても、両者の利益が一致するよう、知
恵を出し合い、創意工夫を凝らしていかなければならないと考えております。ただ、支配株主自身が上
場会社である場合、当該上場会社は、自らの株主の利益を最優先に考え行動せざるを得ないため、当該
上場会社からの被支配会社に対する要求や提案は、時として被支配会社の少数株主の利益に反するかの
ように見えてしまうこと、あるいは実質的に少数株主の利益を毀損してしまうことになりかねません。
それゆえ、アスクル株式会社における重要事項の検討・判断にあたっては、「株主全体の共通の利益の
向上」という基本中の基本を肝に据え、取締役としての信認義務を厳格に果たしていきたく考えており
ます。

 第3は、企業価値向上を目的として、アスクル株式会社のより積極・果敢なチャレンジを後押しした
く思っております。アスクルのオンラインを活用したプラットフォームは、私の理解では、いわゆるマ
ーケットプレイス型のプラットフォーム(アマゾンや楽天などのビジネスモデル)とは一線を画してお
ります。その違いから生ずる「強み」「弱み」を、着任後、できるだけ早くかつ正確に理解し、その上
で「強み」についてはこれを最大化するとともに、「弱み」についてはこれを最小化する施策を固めた
く思っております。その際には、過去、私自身が消費者行政に関与してきました経験を生かし(また多
くのデジタル・プラットフォーム事業者が抱えている構造的な課題を意識し)、アスクル・モデルの競
争力強化に貢献したく考えております。事業の差別化を図る上で、消費者・利用者の視点は欠かせない
と思っております。なお、この一連の取り組みの中で、2012 年よりヤフー株式会社と共同で進めてまい
りました LOHACO 事業のあり方についても、中立的・合理的な観点より、具体的な立て直し策を練ってい
きたく考えております。「株主全体の共通の中長期的な利益の向上」がその際の判断基準であることは
言うまでもありません。

以上のような決意と姿勢で、この職務に臨む覚悟でございます。皆様のご理解とご支持を得られれば、
幸甚に存じます。
 別紙6                                         2020 年2月6日
                   「抱負文」    塚原   一男

 この度、アスクルの独立社外取締役候補者として指名されたことを大変光栄に考えています。私
は機械メーカーや化学メーカーの取締役経験はありますが、e コマース分野に関する知識も知見も
ないことから今回のお話をお聞きした際には戸惑いがありました。しかし、暫定指名・報酬委員会
の皆さんから今回のお話の社会的意義をお聞きし理解するとともに委員の方々の後押しを意気に
感じ候補者としてのエントリーをお受けしたところです。
 私が独立社外取締役としてアスクルにおいてやりたいこと並びにやるべきことは2つあると考
えています。

 第1は期間を 3~5 年間とする中期的な経営計画もしくは経営戦略の構築です。ご案内の通り当
社には BtoB 事業と BtoC 事業(ロハコ事業)の二つの大きな事業領域があります。BtoB は当社創業
の事業であり当社売上げの多くの部分を占めていますが、この数年間は売上げの成長に鈍さが見ら
れます。また、黒字を毎年確保してはいるものの、今後は労働賃金の高騰が利益に影響してくる懸
念も考えられます。ロハコ事業は立ち上げから数年経過した現在も依然として赤字であり、当社全
体の利益を大きく損なっているのが現状です。こうした経営状況の中で BtoB 事業については次な
る成長の可能性を模索することや利益率向上を図ること、更には成長と利益率のバランスなどが戦
略構築上検討すべき課題です。また、ロハコ事業は高成長分野ですが、赤字続きであることから早
急な利益改善策の策定が必須です。更に事業を開始してからの期間が短いことも踏まえ、事業基盤
の拡大コスト等を勘案して BtoC 事業に対して経営としてどう向き合うかなど、基本姿勢の再検討
も必要と考えられます。これらの点について毎年の単年度経営計画に関する検討だけでは不十分で
あり、3~5 年間の中期経営計画・経営戦略の策定が求められます。更に場合によっては 5 年を超え
るビジョンの立案が必要になるかもしれません。

 第2は昨年大きく揺らいでしまったガバナンスの再構築であります。昨年当社の主要株主と経営
陣の間に惹起した出来事については上場子会社問題として巷間大きく取り上げられました。この件
について委員会の皆さんから仄聞したところ今回の出来事は上場子会社問題が主要原因というよ
りは、主要株主と経営陣との信頼関係(コミュニケーション)が第一義的な原因と私は理解をして
おります。既に始まっていると聞いていますが、主要株主と経営陣が信頼関係(コミュニケーショ
ン)を早急に築くことが肝要であり、そのためには両者の間でダイアログを頻繁に行うことが求め
られます。このダイアログは前述の中期経営計画やガバナンスの在り方などをテーマに行うことが
望ましいでしょう。またダイアログは主要株主だけではなく、一般株主とも IR の場や株主総会を
通じて進め少数株主の権利や主張に対する配慮があるべきと考えます。話題となっている上場子会
社問題は株主資本主義の論理と上場企業の社会性との間の妥協点・均衡点を探って社会的に議論が
進むものと見ていますが、その動向を注視し必要な対応を当社として考えることが必要です。

 以上が独立社外取締役候補者としての私の抱負でありますが、これらの取組みを通じて当社の中
長期的な企業価値向上のために微力を尽くしたいと考えております。