2678 アスクル 2019-07-25 14:25:00
7月23「アスクル株式会社 独立役員会 記者会見」質疑応答記録について [pdf]

                                                          2019 年7月 25 日
 各   位
                                     会 社 名     ア ス ク ル 株 式 会 社
                                     代 表 者 名   代表取締役社長 CEO 岩田彰一郎
                                               (コード番号:2678 東証一部)
                                     問 合 せ 先
                                     役職・氏名     執行役員 CFO 玉井        継尋
                                               TEL 03-4330-5130




7月 23 日「アスクル株式会社 独立役員会 記者会見」質疑応答記録について

 7月 23 日に開催された、アスクル株式会社 独立役員会 記者会見の質疑応答議事録を、別紙のとお
り当社よりお知らせいたします。


【独立役員会 記者会見 実施概要】
 ■   日時:2019 年 7 月 23 日(火) 14:00~15:15
 ■   会場:ベルサール八重洲 3 階
 ■   登壇者
     アスクル株式会社 独立社外取締役 戸田 一雄
     同             独立社外監査役 安本 隆晴


     (独立役員会アドバイザー)
     日比谷パーク法律事務所 代表弁護士 久保利 英明
     同                 弁護士      松山 遙



                                                                  以上




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         「アスクル株式会社 独立役員会        記者会見」 質疑応答内容
           2019 年 7 月 23 日 14:00~15:15 @ベルサール八重洲
           登壇者:アスクル株式会社 独立社外取締役 戸田 一雄
                 同            独立社外監査役 安本 隆晴
              (独立役員会アドバイザー)
                日比谷パーク法律事務所 代表弁護士 久保利 英明
                 同                  弁護士 松山 遙



Q1:今回の最大の問題点は何か。


A:戸田独立社外取締役
独立役員という形で基本のガバナンスの精神に則って、一生懸命やってきたつもりがこうも簡単に
終わってしまうのか。自分は何のために社外取締役なのか、これを非常に強く思う。
日本でしっかりとガバナンスを定着させる必要があると痛切に思っている。


Q2:親子上場になるとこういうことが起きてしまうことはあり得る。何らかの法的規制、新しい制度
を作るなど枠組みが必要ではないかと思うがその点についてどう思うか。


A:久保利弁護士
・ガバナンスは日本において資本市場を機能させるために非常に重要なファクターである。様々な
ガバナンスコードができ、改訂版ができ、多くの投資家の方々がそれを強くするために企業との
対話を進め、経産省もガイドラインを策定しているが、その射程には親子上場という問題も入って
いる。二重上場のガバナンス上の問題について、世界のマーケットと比較し、日本のマーケットは
合理的といえるか。親子上場の場合、株式の過半数を保有しているから、ということで単純に、自
由にその会社の生殺与奪の権利を握る、ということで本当に上場資格があるのかという問題を提
起している。多層上場、多重上場は一つの会社の成績・資産を二重にも三重にも勘定していくが、
これは果たして会計の議論としても正しいかどうかということ。
・(アスクルが 7 月 23 日に公開した、早稲田大学名誉教授 法学博士 上村達男氏の「法律意見
書」に言及し、)過半数の株式を保有しているから何でもできると考えるのは適切ではない。もしそ
の会社が適切でない行為をとっているとするとこれは濫用的な買収者とみることもできるという意
見。少なくともそのような法規制なりあるいは世界の中でもまれな多層上場という制度をこのまま
維持していいかどうかという問題点をつきつけているのが今回のヤフー対アスクルの事件ではな
いだろうか。
・本当にこれでいいのか、これで一般株主、少数株主は救われるのだろうか、そういう投資構造を
維持していいのかどうか、これが議論されるべき段階に入ってきたと思っている。私自身も JPX
(日本取引所)の社外取締役であり、その意味では私の責任もあるわけだがこれを座視している
わけにはいかない。現実に、こういう多層上場しているアスクルのような会社は上場廃止にすれば
いいのか、そう簡単ではない。しかし一定の規制あるいは本来あるべきガバナンスと著しく乖離す
るようなヤフーのとっている態度、これはやはり指弾をされるべきと思うし一般株主を守るために何
らかの法理論なり法規制なりあるいはこの制度の枠組みを変えることによって、今の行動形態は
問題だというふうに声をあげなければならないと考えている。
今この場で私が親子上場の是非を言うわけにはいかないが、非常に大きな問題を抱えている上場
スタイルであることは間違いがないし、世界中でもこのような上場スタイルは稀にしかありえない。
・そういう中で、株主提案権の行使もしない、どういう形で議決権行使するかわからない、役員の選
任問題についてどういう動議を出されるのかもわからないが、先ほど来戸田さんが言っているよう
な偏頗な流れ、そして適切な時期でないところでこういう問題点が出てくる。大変な欠陥のある上
場システムなのだということ、これは経産省が考えているマーケットの有り方とも乖離しているという
ことは申し上げなければいけないだろう。
・明確な答えが出るわけではないが、私は大変重要な論点を指摘し、そしてこれをいい形で解決を
しなければ、何の罪もない 7000 人の一般株主そして少数株主にその被害が及ぶことになるので
はないか、そう考えると、やはり何らかの形で法的にも救済されるということも考えなければいけな
いし、そういう意味で今非常に重要なご指摘(記者から)をいただいたと思っている。
・その意味でこの事件は決して他人事でもないし、日本のマーケットが単純に多数決でなんでもか
んでも動くのだと考えていいわけでもない、と考えている。この問題についてはみなさんと議論し
ていきたいし、情報交換していきたいと思っている。
A:松山弁護士
・今日本の規制では親子上場が認められている中で、本件の問題点の中で私自身が痛切に感じ
ているのは、支配株主としての義務は何なのか、ということ。親会社=支配株主というのは、自分
の一声でその会社のガバナンスを変えてしまうことができるという力を持っている。日本の資本市
場株主の議決権は当然自分の思うままに行使することが認められている。この社長が業績悪化
の責任がある、と思えば反対票を投じるのは株主の権利であるし、ヤフーもそのように主張してい
る。ただ、自分の議決権行使で上場企業のガバナンスを変えられるという力を持っている以上は
やはり、そこには守るべきルール・マナーがあるべき。
・今回のように株主総会の 1 か月前まで何一つ声をあげず指名・報酬委員会というガバナンスのプ
ロセスがあることを全部承知しながら、一声もあげずに、しかも 1 か月前、招集通知の校了の 1 週
間前に、「トップには辞めてもらう、次のトップは好きに選んでください」という申入れの仕方はさす
がに支配株主としてのルール・マナーの点でいかがなものか。事前に問題提起の声をあげ、独
立役員と議論して決めていく、そのプロセスを守ることが親子上場の中でのガバナンスを守って
いく最低限のマナーである、この点だけはご指摘申し上げておく。


Q3:この一件が起こる前から、親子上場の問題についてアスクルとして、またアスクルの社外取
締役として問題があるという認識を持っていたか。その状況を変える努力をしてきたか。というの
は、大株主が牙をむいたときだけ問題があると。それまで一般の株主からも大株主からもお金を
出してもらっている、という状況をそのままにしているのはどうなのか。


A:戸田独立社外取締役
正直申し上げて、資本市場の最低限のモラルが存在すると過信していた。これが自分の問題で
あって、これをどうにかしないとならない、切羽詰まっている、という認識はなかった。性善説にぶら
下がりすぎていた。大変反省している。
A:安本独立社外監査役
先ほどの戸田さんの「反省している」という点について一言補足する。親子上場になりそうだ、という
ことは、もともと 2012 年に資本業務提携をしたときに、41~42%を持つことになった。ヤフーとアスク
ル共同でやっていこうと始めたビジネスで、有望な個人向け EC 市場で No.1 を目指すということで
始めた。親子上場の問題点があることはわかっていた。資本業務提携契約をする際に、その点の
議論はしていた。


Q4:戦術として、今のアスクルに何ができるのか。8 月 2 日までに、と、8 月 2 日を過ぎたあとの挽
回方法を教えてほしい。


A:久保利弁護士
独立役員会は、業務執行について徹底的にモニタリングを行っていく役割を持った方々をメンバ
ーとする会、我々はそのアドバイザー。株主総会を運営し、岩田社長解任を避けるためにどういう
手があるかは、現実の業務執行を行っている取締役会の問題。もちろん、全取締役が知恵をしぼ
って考えるべきだが、具体的にこういう方策がある、こういう行動をとろうということをアドバイスするの
は、現時点での私どものミッションにはなっていないと思うし、逆にそれをこの席で私どもが申し上
げることは業務執行に対する介入にもなりかねない。トータルとしてこの問題をどう解決するのかに
対してプラスになるかどうかもわからない。申し訳ないが答弁についてはご容赦願いたい。ご質問
の重要性については弁護士としては十分理解している。


Q5:アスクルのコーポレートガバナンス報告書には親会社ナシと書いてあるのに、親子上場して
いるのか不思議、という感想をもった、これは答えなくていい。上村先生のレポートにはヤフーと
プラスは濫用的買収者に準じるものである、と。輿水さん、小澤さん、今泉さんは賠償責任がある、
と。濫用行為に対する事前規制が顕著な事例である、と、顕著なら議決権停止もありうるのでは
ないか。


A:久保利弁護士
議決権を停止するのは業務執行の方々である。ただし、これは任せるということではなく、独立役員
会のメンバーは取締役会の一員であるし、監査役もいるわけなので、当然その中で議論し、しかる
べき方策を考えるというのは役割の中に入っている。
上村先生の意見書は、学者としての考えを述べたもの。この考え方が、裁判所にいって議決権停
止であるとか、何らかの仮処分であるとか、そういうものについて本当に機能するかどうかは再度検
討する必要がある。ただし時間がない。急いでしっかりと研究、検討、対応しないといけない問題。
ただ、ここに全独立役員がいるわけでもないので、持ち帰って議論するなり、岩田社長も含めて検
討し、それに基づく何らかの方針を固める、ということ。
A:安本独立社外監査役
アスクルには会社法上の親会社はない。ヤフーが親会社といっているときは IFRS 上の親会社。連
結財務諸表を作っている。総会に出席した人の中で 43%もっている株主がいればその時点で過
半数をおそらく超えることになる。IFRS が言っているのも半分正しいのでやむを得ない。専門的な
のでこれくらいでご容赦いただきたいがコーポレートガバナンス報告書が間違っているわけではな
い、ということ。


Q6:賠償責任のある 3 人について役員選任議案を修正して外すことも考えられるのではないか、
これを独立役員会として提案するつもりがあるか。


A:戸田独立社外取締役
ヤフーから来ている人を役員から外したらどうか、これは社長が音頭をとって決めることかもしれな
いが、キャビネットがこれでいいか、を考える立場からすると、なるほどなと感じる部分もある。そこで
思ったことは、一昨年までヤフーとアスクルはよかった。本当に一緒にやってよかった。イコールパ
ートナーシップとして、一番いい例だと思うくらいの関係。大きな株主だから、悪く考えて外すという
のはそもそも難しい。よくやってくれて感謝しているという時期があるのは事実。今はうーんというと
ころもある。


Q7:イコールシップパートナーとして良好な関係を築いている時期があったとのことだが、それが
崩れた時期はいつか?なぜ崩れたのかのお考えは?


A:戸田独立社外取締役
いつからおかしくなったのかについては、執行部に聞いてほしい。日常、そういうことをチェックしな
がらやっているわけではないので、正直、分からない。年度が変わる前後に何があったか、いろい
ろとあるのでしょうけども、把握していない。


Q8:独立役員会の意見として、業績悪化・低迷を指摘する声があることは重く受け止めるべきだ
と記述があるが、ここの真意は?プロセスとしてヤフーの行動、資本市場におけるマナー違反と
いう主張は理解した上で、ヤフーとプラスが主張している業績の悪化・低迷の責任について、そ
こはあるとお考えか?


A:戸田独立社外取締役
業績悪化について、業績がものすごく悪化していても悪化だし、期待通りのことができなくても、そ
れは悪化ですし、そういう意味では、どこからどこまでが更迭の対象のものであるというのは、社会
的にもないと思う。だけど、やはり会社は業績がいいに越したことはない。そういう意味では、計画を
立てた者がコンスタントに計画は全うしていく、ということが会社に与えられた使命だと思う。それが
できなければ、反省をし、対策を打っていくというのが、素直なことだと思う。毎回ちょっとみて、これ
はちょっとダメだから責任取ってもらう、というのは実際に経営していてそうはいかない。いろんな周
りの変化もあって、対応がちょっと遅れるということもある。それをしっかりと反省しながらプラスに持
っていくという努力をきっちりどれだけやっているか、ということが必要だと思う。


Q9:上村先生の意見書と、考えは同じか?異なるのであれば、そこはどこか。①プラス・ヤフーか
ら来た役員の方々は取締役として注意義務を怠った。それ以上に悪意に基づいた言動があった。
したがって、損害賠償請求を負う、の部分。②濫用的買収者に Y 社と P 社は準ずるのではない
か、の部分。③ヤフーによる一連の行為が業務資本提携に違反する、の部分。
A:松山弁護士
まず、上村達夫名誉教授の意見と同じかについては、残念ながら、この意見書の背景となった、ど
んな資料に基づいて上村教授がご意見をおっしゃっているのか、正確なところまで存じ上げていな
い。法的な専門的な見解としてどうか、を今現在はっきりとお答えできないということをご容赦いただ
きたい。その意味で、義務違反に該当するかどうかの上村教授のご見解というのは、もし義務違反
に該当するということになれば、私どもが依頼を受けている独立役員の方として、何等かのアクショ
ンを取るべきかどうかという、非常にセンシティブな問題にもなりますので、この点につきましては、
上村先生のご意見も基にしながら、今後独立役員会の中で、独立役員会のすべてのメンバーのご
意見も伺いながら検討して参りたいと思っている。


Q10:売渡請求権の要件を満たす状況にあると考えているか。あるのであれば、将来チャレンジ
を受けた際に、十分跳ねのけられるのか教えてください。なぜ聞くかというと、独立役員会として
は資本提携の解消を推奨している。そうであれば、売渡請求権の行使がキーとなる。しかし、一
定の要件を満たさなければならないわけで、満たしているとお考えなのか。チャレンジを受けても
法的に跳ねのけられるのかお答えいただきたい。


A:松山弁護士
・売渡請求権について、現在、該当するとまでの意見書は、我々としては出していない認識。意見
書で申し上げているのは、今年 1 月からの経緯を拝見するに、独立役員の立場から見た場合、ア
スクルの経営陣とヤフーとの間で信頼関係が損なわれてきてしまっているのではないか。戸田取
締役から、かつてはイコールシップパートナーとしていい時代があったとありましたが、残念ながら、
1 月からの経緯をみると、非常に信頼関係が損なわれている。これが、今後の両社の話し合い・
努力によって、再び元のようなパートナーシップ関係に戻るのかということは、我々が関知できると
ころではないが、現状の状況を客観的に判断するに、業務資本提携契約の目的である、ロハコ
事業の発展に向けて両社が協力していける状況にないのではないか、ということを客観的な事実
としてご意見として申し上げており、その意味で執行部には、ヤフーとの関係性を今一度検討し
直して、交渉してほしいと述べた。
・その中で、カッコして売渡請求権の是非を含めと書いているが、これは業務資本提携契約に基づ
く売渡請求権の解釈というのは、色々な解釈がある。特に業務資本提携契約で、どのくらい株主
の議決権・株主権というのを拘束できるのか、というのは、学者の先生方の間でも様々なご見解が
あり、上村先生のご見解もあれば、その他の学者の先生のご見解も様々であると伺っている。売
渡請求権を行使するかどうかについては、アスクルのもっとも大きな経営判断でもあり、非常に法
律的な解釈も分かれて難しいところであるという中で、独立役員会の側から、これが契約上ヒットし
ているとか、していないとか、そこまで申し上げられる立場ではないというところで、意見書をああ
いう形で書かせていただいた。ただ、客観的にみて、今現在のヤフーとアスクルの経営陣の関係
が、残念ながら業務資本提携契約の大きな目的に向かっているようには思えない、と意見書で述
べさせていただいた。
Q11:今の状態のままでいくとヤフー側としては株主権を行使していると言っている状況。それを
踏まえ、可能性としてヤフーは岩田社長の再任に反対するうえで、戸田さん、安本さんを含め社
外取締役についても反対して、取締役の過半数を入れ替えることも可能だと思うが、法律的に可
能か。入れ替えたうえで TOB して完全子会社化することも可能。究極的にはその可能性も考え
られるが可能か。法律的に可能かどうか伺ったうえで、それを実施したらどうなるか、どう思われる
かお伺いしたい。


A:久保利弁護士
・大変難しい問題だが、可能とは何を意味するか。言うだけ、やるだけやってみるのはたぶん可能
だと思う。それが本当に法的にも有効で何の瑕疵もないと判断されるかどうかは、恐らく裁判所の
判断に委ねられるということになると思う。そういう意味で例えば社外取締役を入れ替えるという投
票行動は可能かもしれないが、それが本当に有効なのかどうかは上村先生の見解も含め一体ど
うなのか。あるいは親子上場とか、親会社なのかどうなのか、プラスとヤフーと合同で約 60%という
話になるが、これは果たして金商法上それでまさに共同歩調をとって行動しているのではないか
ということについての金商法上の瑕疵など、いろいろなことが争点として出てくるのだろう。
・可能なのかというのは、やれないのかというのは多分やることはできるのだろうが、それが有効な
のか議決権行使としてそうなのか、冒頭でも申し上げたようにガバナンスをそこまで毀損したその
行動というのは法的にどう評価されるかということとのセットになっていくと思う。そういう意味で逆
に言うと社外取締役を入替えしないまま TOB に入ってくることもやろうとすれば多分やれるのだろ
う。そういう意味で考えると、色々なことが打ち手としてあるだろうと思うが、それが本当にどういう
結論になるのか、ということについては会社の代表をしてその代理をしているわけではないので、
むしろアドバイザーとしては社外の方々、独立役員の方々は是非そこをクールに見定めてしっか
りと意見を仰っていただく必要がありますとアドバイスはできる。それが有効か無効か裁判所にい
けばこういう結論になりますよ、というのは私共の範疇とはちょっと違うかと思う。
・ただ、上村教授の意見書もそうだが、いろいろな考え方がある。逆に言うとほとんど全うな判例らし
い判例がこの分野についてはない。判例が確定していてこうだというのがないので、ある意味非
常に様々なリスクを背負いながらヤフーさんはそういう行動をとりますかということ、それを経営判
断としてそれを踏まえてでもやるんだ、マーケットを踏みにじっているのではないかというレピュテ
ーションリスクというものを踏まえてでもなおかつやるんだということなら、その先にあるものは結構
荒事が続く話になるのかもしれない。そのときには多分この独立役員会はそれなりにご判断をし
て、特に少数株主、一般株主さんの利益を守るためには何ができるかという観点から、決して岩
田さんを守るとか現執行部を守るという意味ではなくて、そこでどういうことを考えるのか。まさにそ
れが問われているのがこのケースかと思う。
・それは先程来の戸田さんの話にもあったように、我々は何をしていたんだ、この社外取締役って
何の価値があって指名報酬委員会って何のために苦労して色んなことをまとめてきたんだという
思いにみられるように、一般株主さん、少数株主さんにこれでは申し訳ないとなれば、恐らくそう
いう見解に基づいてさらに次の一歩も申し上げることもあるかもしれない。そういう意味では、今日
この場でこうですと確定的に申し上げるわけにはいかない。法的効果については、ますます非常
に不分明なまま現時点は、過ぎざるを得ない。あとはその後どうなりますかというこの一歩踏み出
すかどうするかは、たぶん執行部と独立役員会が議論をしながら考えていく。一般株主さんの立
場も考えながらどういうふうに動くのが一番良いかということを進めていく、こういうことになると思う。
私自身が言えることはなかなか自由に全部言えるわけではなく、アドバイザリーの立場として限界
があるので皆様に申し上げられず申し訳ない。


Q12:ここまでヤフーの話がたくさん出てきたが、プラスのことについてのお考えについてお聞き
したい。特に、これはプラスに聞けという話かもしれないが、プラス側にとってどういう利益があっ
てこれをやっているのか、それについてお二人の考えをお聞かせください。


A:戸田独立社外取締役
プラスをどう考えるかについて。プラスはもともとアスクルを生んだ親会社だが、今こういう状態にな
った。親というのは子供がいろんな状態に、病気であっても色々困っていたら子供のことを考えな
がらやるんじゃないかと思う、生前説かもしれないが。もう少し目の前の益が上がると思われたかも
しれない、聞いたわけではないからわからないが、大きく子供を産んだ一緒の仲間として考えてほ
しかったと思うし、今も思っている。ドライなことで終わってしまったが、今まで一緒にお付き合いし
た中で、残念ながら、親が子を思う気持ちとか兄弟でもいいが、そういうつもりで一緒に考えたという
ようなことは残念だがどう考えても思いつかない。
A:安本独立社外監査役
戸田さんと同じような気持ちでいるが、元々プラスの一事業部としてアスクルは始まり、最初の親な
わけです。彼らの持ち分がどんどん減っていって 11%くらいになったが、それに至る間も非常に心
配し、業績が低迷する中でいろんな意見を取締役会で言われていたし、岩田さんに対してもいろ
んなご意見もずっと言い続けていたのだと思うが、期待値がかなり大きかったのかなと。取締役の
再選を決めたときには自分は否決すると仰ったのを聞いて、非常にガッカリというかショックを受け
たのが正直な気持ち。もう少し広いというか長い目で見ていって欲しかったというのが正直な気持
ち。


Q13:株主総会の延期は法律上可能かと思うが、延期とか延長ということが今回提案されていな
いのは、どういった理由で提案されなかったのかお伺いしたい。


A:久保利弁護士
私共に独立役員会から相談があるわけでもないし、業務執行部の方から話があるわけでもない。
逆に言うと、総会を延期するとどういう意味、メリットがアスクルにあるのかもよくわからない。今の状
態で持ち株関係が幾日かで大きく変動するということも多分ないんだろうと思う。そういう点で率直
に言えば、そのような検討は現段階では私どもではやっていない。業務執行部の方が何を考え、
何をやろうとしているかはわかりません。私の立場でお答えできるのは以上です。
                                            以上