2678 アスクル 2019-07-23 18:20:00
「アスクル株式会社 独立役員会 記者会見」実施のお知らせ、資料について [pdf]

                                                             2019 年7月 23 日
    各   位
                                        会 社 名     ア ス ク ル 株 式 会 社
                                        代 表 者 名   代表取締役社長 CEO 岩田彰一郎
                                                  (コード番号:2678 東証一部)
                                        問 合 せ 先
                                        役職・氏名     執行役員 CFO 玉井        継尋
                                                  TEL 03-4330-5130




「アスクル株式会社 独立役員会 記者会見」実施のお知らせ、資料について


本日 7 月 23 日 14 時より、アスクル株式会社 独立役員会による記者会見が実施されました。
配布資料について、当社よりお知らせいたします。


【独立役員会 記者会見 実施概要】
■   日時:2019 年 7 月 23 日(火) 14:00~15:15
■   会場:ベルサール八重洲 3 階
■   登壇者
    アスクル株式会社 独立社外取締役 戸田 一雄
    同                独立社外監査役 安本 隆晴


    (独立役員会アドバイザー)
    日比谷パーク法律事務所 代表弁護士 久保利 英明
    同                  弁護士    松山 遙
    ■ 出席者数
            約 80 名


【配布資料】
 本リリース添付のとおり


なお、本日の質疑応答内容については入手のうえ、明日改めて発表させていただく予定です。
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 独立役員会
  記者会見

2019年7月23日(火)
    14:00 開始
アスクル株式会社
独立社外取締役         戸田 一雄
独立社外監査役         安本 隆晴

独立役員会アドバイザー(日比谷パーク法律事務所)
代表弁護士           久保利 英明
弁護士             松山 遙
                           1
はじめに


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本件経緯のサマリー
               ステアリング・コミッティ(業務・資本提携契約4.3条)でLOHACO事業再構築プラン(以下、再構築プラン)を審議。
2018年9月~10月    Y社派遣取締役2名が出席し、9月27日、10月26日に開催。

2018年10月~12月   取締役会で再構築プラン審議・策定。Y社派遣取締役2名が出席し、10月10日、11月7日、12月5日に開催。

2018年12月14日    2019年5月期 第2四半期決算発表時に再構築プランを発表し、同日の決算説明会で公に説明。

2019年1月15日     Y社よりアスクルへ、LOHACO事業のY社への譲渡の可否および譲渡可能な場合の各種条件について検討依頼

               独立役員会の意見に基づき、取締役会で検討し、譲渡せずに事業継続することを取締役会で決議。
2019年2月26日     Y社へその旨回答。Y社からは真摯かつ誠実な検討に感謝する旨の返答。

2019年5月8日      指名・報酬委員会で現経営陣が再構築プランを実行することが最良と判断し、次期取締役候補者について決議。

2019年6月5日      取締役会(Y社派遣取締役2名出席)で、指名・報酬委員会が次期取締役候補者について説明。一切の異論なし。

2019年6月27日     Y社川邊社長が法務本部長帯同で来訪し、アスクルの取締役選任プロセスを無視して岩田社長に退陣要求。

               指名・報酬委員会で、小澤取締役による意見陳述も踏まえた上で、5月8日に決議された方針を維持することを決
2019年7月3日      議し取締役会に答申。取締役会で同内容を決議。Y社派遣取締役2名は棄権したが、賛成多数で承認可決。

2019年7月10日     独立役員会からアスクル取締役会へ独立役員会の意見書提出。
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1.独立役員会が本年2月に「LOHACO事業を譲渡する
  タイミングではない」という意見を答申した理由

 LOHACO事業について、Y社も参加するステアリング・コミッティで議論を重ね、
 再構築プランを策定し、2018年12月14日に対外公表したばかりである。


 アスクル経営陣の責務は、対外公表して市場に約束した再構築プランの施
 策を着実に実行し、お客様への約束や少数株主などステークホルダーに対し
 ての責任を全うすることであり、LOHACO譲渡を検討するタイミングではない。




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2.指名・報酬委員会が岩田社長を含む現経営陣の再任という
  意見を答申した理由に対する独立役員会の見解

 LOHACO事業の再構築プランを2018年12月14日に対外公表して
 おり、施策を着実に実行していくためには、再構築プランを立案した
 現経営陣の続投が適切。

 再構築プランの施策の効果が出てきており、現時点で再構築プラン
 の方向性を変更する必要はない。



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3.独立役員会より意見書を提出した理由
 LOHACO譲渡要求、ガバナンスプロセスを無視した水面下での社長
 退陣要求、その間のアスクル経営陣とY社のやりとりから、お互いに
 かなりの不信感が出ており、もはや関係を修復して建設的に意見交
 換・協力していくことは困難な状況と考えざるを得ない。

 このような状況はLOHACO事業、アスクルの企業価値向上のために
 大きなマイナスであり、早急に提携関係の見直しを検討し、Y社と交
 渉すべきであるとの意見を申し上げた。

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4.独立役員会が感じている懸念点①
 Y社による社長退陣要求は上場会社のガバナンスを無視

 アスクルは上場会社であり、社外取締役を選任して指名・報酬委員会を設置
 するなど、透明性の高いガバナンスが求められている。
 また、指名・報酬委員会が所定のプロセスに従って次期取締役候補者の選定
 を議論している。
 Y社は、アスクルの指名プロセスを認識しており、仮に取締役候補者について
 意見があるなら、派遣取締役を通じて指名・報酬委員会にその旨伝えるべき。
 Y社は、指名・報酬委員会での議論が終わった後、株主総会直前になって、
 岩田社長個人に対して辞任を迫るという方法をとった。
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4.独立役員会が感じている懸念点①ー2

 Y社の社長退陣要求には、総会直前になって本人から辞任を申し出させるこ
 とにより、指名・報酬委員会の議論を回避してトップ人事を決めようとする意
 図がうかがえる。
 ⇒今後の事業計画や経営課題を踏まえて次期経営体制を議論してきた指
 名・報酬委員会をないがしろにしており、上場企業のガバナンスを全く無視し
 ている。
 Y社の社長退陣要求は、総会まで1ケ月というタイミングで「トップは辞めろ。
 後任トップは好きに決めろ」と言っている。
 ⇒現場の混乱は必至であり、支配株主として無責任極まりない。
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5.独立役員会が感じている懸念点②
LOHACO事業の譲渡について、支配株主との利益相反取引に求めら
れる透明性が確保されていない
 Y社に、LOHACO譲渡する場合、Y社が競業に該当するビジネスを手掛けてい
 る上、支配株主との利益相反取引であるため、少数株主保護のため、より透
 明性の高いプロセスで譲渡の是非・条件を議論し、対等な関係で交渉をする
 ことが求められる。


 ここに至るまでのY社のやり方(1月にアスクル側から譲渡を提案するよう要
 請、6月末のガバナンス無視の岩田社長退陣要求)は極めて不透明であり、
 支配株主としての立場を利用して圧力をかけようという意図が疑われる。
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6.独立役員会としての意見①
 岩田社長退任の是非
 大株主から経営陣に対して業績悪化・低迷への責任を指摘する声があること
 は重く受け止めるべき。
 とはいえ、指名・報酬委員会で次期取締役候補者について議論・決議した後、
 株主総会直前に「トップを交代せよ」と言われても現場は混乱するだけ。か
 えって企業価値にマイナスになる。
 本年総会では、指名・報酬委員会の決定した取締役候補者(岩田社長を含
 む)を選任し、必要であれば、来年に向けた指名・報酬委員会で、Y社の意見
 も踏まえて十分な時間をかけて議論すべきである。

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7.独立役員会としての意見②
 LOHACO事業の今後
 LOHACO事業の今後については、アスクルの企業価値の向上という観点から
 議論・検討するべき。譲渡した方が、企業価値が上がるのであれば、譲渡も
 選択肢に入れて議論・検討するべきである。


 とはいえ、LOHACO事業については、昨年のステアリング・コミッティでY社も
 参加して再構築プランを議論し、2018年12月に対外公表したばかり(市場
 への約束)。現在、再構築プランの施策を進めているところであり、その効果
 を検証してから、検討するべき。

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8.独立役員会としての意見③
Y社の真の意図がLOHACO事業の譲渡である場合、もしくはY社への譲渡が再び
議論されることがあれば、経済産業省が2019年6月28日に策定した「グループ・
ガバナンス・システムに関する実務指針(グループガイドライン)」の6.1.3「上場子
会社の利益相反構造」に示される競業相手である支配株主Y社との利益相反取
引であることを十分に理解し、極めて透明性の高いプロセスの下、対等な立場で
交渉することが求められており、この実務指針が活きるようにすべきである。


独立役員会としては、その時点のアスクル経営陣が一般株主・少数株主の利益
を考慮して支配株主との交渉に当っているかどうかについて、独立した立場から
厳正に監督していく所存である。
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       質疑応答

ご質問の際には、①所属社名、②お名前をお願いします。

沢山の方のご質問にお答えしたいと考えておりますので、
  ご質問は、お一人2問までとさせていただきます。



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 本日はご来場いただき
誠にありがとうございました。

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補足資料


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補足1
 独立役員会とは
 当社の経営の透明性・公正性を高めるために、当社及び当社グループの事業
 及びコーポレート・ガバナンスに関する事項等について、取締役会の議題に関
 わらず、幅広く自由に意見交換・議論をする独立役員および独立性を有する
 社外役員(社外取締役3名及び社外監査役3名)で構成される任意の機関。
 本年1月にヤフー株式会社(以下、Y社)からLOHACO事業のY社への譲渡を
 検討するよう要求された際、当社取締役会のメンバーから特別利害関係者を
 除いた独立した第三者だけで議論する必要があることから取締役会の諮問
 を受けて本件について真摯に検討した。

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補足2
 再構築プランの内容
 再構築プランについては、昨年12月14日の当社2019年5月期
 第2四半期決算発表で公表。

 ①LOHACOオリジナル商品の開発、メーカーとの協働によるEコマースならではの
  デザイン商品等、独自価値商品の開発強化
 ②メーカーからの販促広告やマーケティングサポートに対する手数料収入
 ③配送料無料となるご注文金額の値上げ等
 ④LOHACO事業の自社配送化の加速
 ⑤第三者からの物流倉庫内業務・配送業務などの受託

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補足3
 Y社からのLOHACO譲渡検討依頼の内容
 譲渡の可否及び譲渡可能な場合には以下の項目について記載し、
 取締役会において議論、意思決定の上、代表者の署名又は押印を
 要求
 ①譲渡対象事業の範囲(資産、負債、人員、権利義務等)
 ②取引ストラクチャーと譲渡持分比率
 ③譲渡対象事業の評価額と前提条件
 ④LOHACの一部持分の継続保有を希望する場合には、本件実行後のLOHACOに
 関する経営方針と経営体制の意向

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補足4
 独立役員会における検討とY社への回答
 独立役員会は、2019年2月に3回にわたり議論した。
 その際、専門家であるX社(社名の公開は不可)にFA業務を委託し、
 X社の報告書を参考に議論した。
 ①LOHACO事業についてはY社も参加するステアリング・コミッティで議論を重ね、
  2018年12月に当社取締役会で審議し、各種施策の実行を開始したばかりである。
 ②独立役員会から、LOHACO事業が目指すEC像を明確に打ち出していくべきとの意見を
  具申し、アスクル取締役会はそれを踏まえて、LOHACO事業を譲渡する意向はない旨を
  Y社に回答した。

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補足5
 指名・報酬委員会での次期取締役候補の検討
アスクルでは、取締役、監査役及び重要な使用人の報酬における基本方針
の策定や株主総会に提出する取締役、監査役の選任及び解任に関する議案
について審議・決定する取締役会の常設諮問機関として、指名・報酬委員会
を設置しており、本年5月8日開催の指名・報酬委員会で現任取締役の再任
を取締役会に答申することを決議した。

①12月に公表した再構築プランの各施策を着実に実行する必要があること。
②LOHACO事業をここまで立ち上げてきた岩田社長以下の現経営陣が一致団結して
 経営に当たっていくのがベストの布陣であること。
③再構築プラン公表から約半年間、着手した施策の効果が出てきていること。
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補足6
 Y社から岩田社長への退陣要求
 株主総会に上程する議案を7月3日開催の取締役会で決定するこ
 とが予定されていたところ、その直前である6月27日に突然、Y社
 社長が来訪して岩田社長と面談。
 岩田社長は、指名・報酬委員会に一任すると回答。

 ①Y社としては株主総会で岩田社長の取締役選任議案が上程された場合には反対する
  ことを決定したと通告。
 ②7月3日の取締役会に岩田社長の取締役選任議案を上程した場合にはY社派遣の
 取締役2名は棄権し、株主総会で反対する旨のプレスリリースを出すことを通告。
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補足7
 指名・報酬委員会での再検討により再任を決議
 7月3日の取締役会の前に指名・報酬委員会を開催し、小澤取締
 役に突然の退陣要求の趣旨を確認したが、(業績と経営の若返りと
 いった抽象的な理由以外に)具体的な説明はなかった。
 ①指名・報酬委員会の検討プロセスを無視して突然退陣要求をする理由・必要性の
  説明がないこと。
 ②総会まで1か月もない現時点から次期社長を選びなおすことが難しく、効果を上げつつ
  あるLOHACO事業に悪影響があること。
 ③再構築プランを着実に実行するためには岩田社長を含む現経営陣が一致団結して
 経営に当たるのがベストの布陣であること。
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補足8 アスクルの取締役選任プロセス




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補足9 独立役員
    戸田 一雄    元 松下電器産業㈱(現パナソニック㈱)代表取締役副社長 兼
   (社外取締役)   松下電工㈱(現パナソニック㈱)取締役

             元 東京大学大学院工学系研究科システム創成学専攻教授を経て
    宮田 秀明    一般社団法人東日本未来都市研究会代表理事
   (社外取締役)   社会システムデザイン㈱代表取締役社長
             東京大学名誉教授
             野村證券㈱(現野村ホールディングス㈱)代表取締役副社長、
     斉藤 惇    ㈱東京証券取引所グループ取締役兼代表執行役社長等を経て、
   (社外取締役)   一般社団法人日本野球機構会長(代表理事)
             KKRジャパンKKR Global Institute シニアフェロー


             安本公認会計士事務所所長
    安本 隆晴    株式会社ファーストリテイリング社外監査役
   (社外監査役)   株式会社リンク・セオリー・ジャパン監査役
             株式会社FRONTEO 社外監査役
             リンジーアドバイス㈱代表取締役社長
    渡辺 林治
             株式会社自重堂社外取締役
   (社外監査役)   株式会社カワチ薬品社外取締役
                                                   24
参考1 上場会社の支配株主の存在と多重上場の構造的問題


                          上場会社A



                              Aが支配株主としてBを支配
                  上場会社B       支配株主Aと、Bの少数株主との間で利益相反の恐れ



                      Aが支配するBが支配株主としてCを支配
          上場会社C       Bを支配するA、Cの支配株主BとCの少数株主との間で利益相反の恐れ


              Aが支配するBがCを支配し、支配株主としてXを支配
  上場会社X       Bを支配するA、Cを支配するB、Xの支配株主CとXの少数株主との間で利益相反の恐れ
              上場会社Xと支配株主Cが競業ビジネスを営む場合には利益相反の恐れがより高くなる


                                                          25
参考2 一般的な株主総会スケジュールとの対比

  6月総会の一般的なスケジュール例            アスクルの総会スケジュール

3月31日   事業年度末             5月20日   事業年度末
                (略)                       (略)
5月20日   ここで退陣要求           6月27日   岩田社長退陣要求
5月26日   決算取締役会(総会議案確定)    7月3日    決算取締役会(総会議案確定)
5月29日   定時総会招集ご通知 校了      7月4日    定時総会招集ご通知 校了
6月10日   定時総会招集ご通知 Web開示   7月16日   定時総会招集ご通知 Web開示
6月11日   定時総会招集ご通知 発送      7月17日   定時総会招集ご通知 発送
6月27日   定時株主総会            8月 2日   定時株主総会
6月27日   決議通知発送            8月 2日   決議通知発送

                                                    26
参考3 社外役員と独立役員の違い


社外役員とは、
 会社法の社外性の要件を満たした社外取締役・社外監査役

独立役員とは、
 東証の定める独立性の基準を満たし、独立役員として届け出てい
 る社外取締役・社外監査役


                                 27