2433 博報堂DY 2019-11-29 15:00:00
2020年3月期 上期 決算説明会資料 質疑応答要旨 [pdf]

                        博報堂 DY ホールディングス
              2020 年 3 月期 上期 連結決算説明会 質疑応答要旨

2019 年 11 月 12 日(火)
当社出席者:
代表取締役会長 CEO 戸田        裕一
代表取締役社長          水島   正幸
取締役専務執行役員        松崎   光正
取締役常務執行役員        西岡   正紀
執行役員             禿河   毅


海外事業の第 2 四半期の業績について。上期半年間でみれば成長しているものの、第 2 四半期だけ
でみると売上総利益・営業利益ともに前年を下回っているが、要因をどのように考えているか。

 海外の売上総利益は、前年(期中に)買収した会社の損益取り込みによる押し上げが第 2 四半期か
ら剥落する状況となっている。加えて、環境が厳しくなる中で得意先予算削減など個別の要因から一
部の拠点が不調となり、第 2 四半期は減速となった。
 のれん償却後営業利益の赤字幅が第 2 四半期で拡大しているのは、のれん償却費が一時的に増加
したため。のれん償却前営業利益は第 2 四半期も黒字をキープしているものの減益となっているが、
これはトップラインの伸びの鈍化に加えて一部拠点での不調、 および利益が出る体制に向けた組織変
革行っていることによる。
 下期については、世界的に景気の先行き不透明感が高まっていることに加え、特にアジアにおいて
中国の経済成長鈍化や香港のデモ、日韓関係の悪化などがあり、売上総利益の伸びは増収を見込むも
のの、上期に比べて減速するリスクがあると考えている。収益面においても厳しい状況が継続するこ
とが見込まれるが、体制改善の取り組みを進め、早期に収益性の改善を目指す。


今回のリクルートホールディングス社の株式売却をはじめ、今後も発生するであろう有価証券の売却
で発生するキャッシュの使い方について、どのように考えているか。

 まず、基本的な考え方として、中期経営計画の 5 年間について、営業キャッシュフローで生み出さ
れたキャッシュは株主への還元を担保したうえで成長投資に使いたいと考えている。    配当については
従来通り安定かつ継続的に実施する方針であり、配当額は資金需要の状況、業績の動向、競争力強化
のための内部留保の3点に配慮して考えている。今回は株主還元や成長投資、財務基盤強化のバラン
スを考えたうえで、配当額を年間で 2 円増加の 30 円としている。リクルートホールディングス社の
株式売却時のリリースでも記載したように、  資金需要への対応と投資余力の拡充の二方向で使ってい
きたい。


説明の中で「8 月以降少し厳しさが緩んだ」とあったが、どのような面から広告市場の変化が発生し
たとみているのか。

 理由は二つある。一つ目は、全体の経済環境の中で 7、8 月には米中や中東の問題等、定性的に危
機的な感覚を社内では持っていたが、国際情勢も落ち着きを見せつつあり、少しそのような危機的状
況を脱しつつあるという感覚である。
 二つ目は、消費税の駆け込み需要が出ることを期待していたが、現実的にはそのような需要が少な
いであろうという予測が夏ごろには見られていたなかで、 一部の業種で期待したほどではないものの
駆け込み需要があったためである。




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広告市場が期初想定よりも厳しくなっている。通期の見通しを変えなかった要因と思考プロセスは何
か。

 今期、国内の広告市場については、期初は約 1.5%の成長を見込んでいたが、上期は特サビではほ
ぼマイナスとなった。しかし、当社独自で算出した結果ではほぼ前年並みだった。これが上期の数字
の捉え方である。
 上期は先行きの不透明感、各得意先や企業マインドの低下、消費税増税前の特需の低さなどからそ
のような数字だったと捉えている。
 市場全体としては、下期は、前年よりはプラスの成長を期待。スポーツイベントやモーターショー
等があるため、市場の押し上げもある。
今まで各企業が消費税を睨みつつ、マーケティング予算を抑制していたが、話を聞くと年末、期末に
向けて出稿を増やす余地があるとも聞いている。そこに期待できるため、下期はプラスの成長を期待
できると考えている。通期だと、国内の広告市場は約 1%増と考えている。
 当社の状況は、 上期は先ほど説明したとおりだが、 直近 10 月の単体月次売上高は 3 社合計でマイ
ナスとなっている。これは、博報堂単体のテレビスポット、マーケティングにおけるプロモーション
が減少しているためである。この原因は、個々の得意先の事情、前年の反動減などであるが、11、
12 月はヒアリングの中で広告の発注を頂ける見通しであり 10 月より好転することを期待している。
 博報堂、大広、読売広告社の 3 社は、シェアアップということで市場全体の伸びを上回る成長の目
途がたっており、収益率の向上の取り組みにも努めている。減少傾向のスポットに関しては、数年前
からテレビ×デジタルのプランニング力の強化に取り組んでいて、競争力を高めており、今後の売上
拡大につながると捉えている。また、多様なバリューチェーンにおけるビジネスの展開に各社取り組
んでいるほか、プロモーションはイベントやデジタルの取り組みで積み重ねていきたい。以上のよう
に目標達成しようと考えている。


インターネットメディアに関して、irep を中心に競合会社対比での好調を強く感じた。どのような要
因でシェア拡大となったのか、可能な範囲で具体的に説明してほしい。下期は上期以上の成長が期待
できるか。

 インターネットメディア市場は、統計によって数字は変わるものの、今後も年平均で二桁の成長が
見込まれ中、当社は市場をアウトパフォームしていると認識している。オールデジタル化の流れの中
でリーディングポジションを保持していくためには、   インターネット広告において高い競争力を持つ
ことは必須であり、グループの総力を挙げて取り組んでいる。
 好調の理由について 3 つに絞って説明する。一つ目は、TOB 後 DAC との一体運営が奏功し、ク
ライアント接点のフロントラインとメディア接点のバックライン双方で実行力・実装力が増すなどグ
ループの成長を支える基盤の構築が進んでいる点。
 二つ目は irep を当社の完全子会社とし、位置付けを格上げしたうえで、HDY グループのリソー
ス、つまりデータ・ツール・ノウハウ・商材・人材を投入し、次世代型デジタルエージェンシーとし
ての競争力が向上した点。
 三つ目はテレビ×デジタルのメディアプランニングの重要性が増すなかで、     いち早くソリューショ
ンを提供し、さらに他のマスメディアやセールスプロモーション、クリエイティブを含めた総合的な
アプローチを行った点。
 既に非常に多くの実績をあげており、   ネット専業を含む多くの競合との競争優位に繋がっていると
考えられる。




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下期のインターネット市場の見方についてはどのように考えているか。

 現状のモメンタムは維持できると考えている。市場の伸びを厳しく見られている会社もあるが、主
要な媒体社のヒアリングでは市場全体としては高いレベルで伸びていると聞いており、その伸長分を
確実に取っていきたい。主要なプラットフォーマーとも密な連携をしており、その点も期待できる。

                                          以上




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