2433 博報堂DY 2021-12-01 12:00:00
2022年3月期 上期 決算説明会 質疑応答要旨 [pdf]

                  博報堂 DY ホールディングス
            2022 年 3 月期 上期 連結決算説明会 質疑応答要旨


                              2021 年 11 月 12 日(金) 15:30~16:30


説明者     :
代表取締役社長        水島 正幸
取締役副社長         矢嶋 弘毅
取締役専務執行役員      西岡 正紀
取締役専務執行役員      江花 昭彦
執行役員           禿河 毅




    売上総利益率について。前年同期からの改善要因は何か。一過性の要因はあるのか。


    上期の売総率は投資事業除きで前年から 1.1%ほど改善をしており、海外が 0.6%、国内が
0.5%の寄与。海外はコンサル業務の比率が高い Kyu の回復が要因。国内は様々な要因があ
る。ベーシックな部分では、グループ各社が報酬設計なども含めて売総率改善のための営業
努力を行ってきたことが功を奏している。また、得意先構成や商品ごとの収益性の多寡の影
響もある。加えて、マーケティング実践領域の仕事を取り込むことを想定して数年前から内
製化の体制整備を進めていたところに、コロナ対応やオリンピック・パラリンピック関連業
務をいただいたことの影響もある。来期以降もマーケティング実践領域の仕事は増えてい
くと想定しており、一時的な改善要因にならないようにやっていくつもりである。




    下期の販管費の方向性について。上期は緊急事態宣言の影響もあり、活動費はそれほど
     使用できなかったと思うが、下期は増加するのか、もしくは新しい活動スタイルが確立
     されたため増加しないと考えているのか。


    活動費に関しては、上期は前年と同水準で推移した。緊急事態宣言が解除されたこともあ
り、費消が進んでいくと想定している。しかし、オンラインミーティングの増加や出張の減
少など働き方が以前とは変化してきており、コロナ禍前までは完全には戻らないと考えて
いる。




    インターネットメディアについて。高い伸長率の背景、今後の持続性、Apple の IDFA
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     利用制限の影響をどう考えているか。


    インターネットメディアは今期も前年比 130%以上の伸びとなった。オールデジタル化の
波が続いており、テレビメディアに匹敵するリーチと効果が見込まれているインターネッ
トメディアに対する広告主の需要は非常に強いものだと考えている。また、コロナ禍により、
ODM やイベントへのマーケティング費用の投下が難しい状況で、インターネットメディア
へのマーケティング予算のシフトが進んだと考えている。
    IDFA や Cookie の規制は日本では現段階では大きな影響はなく、しばらくは成長が続い
ていくと考えている。しかし、特に獲得系のクライアントは費用対効果の低下を懸念すると
想定されるので、将来的には Cookie を使用せずにターゲティングができるようなマーケテ
ィング手法を用いて、規制に対応していく必要があると考えている。




    マーケティング DX の具体事例と今後の成長の見通しを教えてほしい。


    具体的な案件についてはこの場では言及できないため、概略をご説明する。
    従来は、得意先と生活者は広告や販売促進といった間接的な接点でのコミュニケーショ
ンが大半であったが、デジタル化が進む中でオウンドメディアやアプリや EC サイト、コン
タクトセンターなど多様な形での直接的な接点が生まれている。これらの接点において、サ
ービスの認知から購買まで、広範囲かつ一貫したマーケティングを行うことが可能になっ
てきている。得意先がそのような業務を進めているなかで、我々も様々なご相談を受けてい
る。例えば LINE のようなコミュニケーションツールを接点として用いて、お客様のデータ
を貯めていきながら、CM や商品紹介や商品開発を行うことができる。このような一連の活
動をマーケティング DX と呼んでいる。また、マーケティングだけでなくメディアに関して
も DX を進めており、HDY グループ一体での対応体制も整えている。




    コロナ禍において、過去最高益となった背景は何か。働き方の変化によるコストコント
     ロールによるものか、サービスの変化による収益性の改善によるものか。それは持続的
     なものか。


    まず、先ほどの質問に対する回答にもあった大きなトレンドとしての売総率の改善が寄
与している。
    次に、広告需要の回復の取り込みという観点では、コロナ影響の大きかったセクターの得
意先のマーケティング活動への意欲が前年上期と比較すると回復してきたことと、前年よ
り取り組んできたデジタルとアナログを取り交ぜたマーケティングソリューションの開発
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と提案を行ってきたことが上手く合致した。また、人材派遣やコールセンターや内装デザイ
ン会社などマーケティング実践領域の企業を M&A して得意先にビジネスを提案してきた
が、そのようなケイパビリティがコロナ関連業務のニーズに合致しお役に立てたことで、収
益にも貢献した。今後もデジタル化や脱炭素などの様々なテーマに、このようなケイパビリ
ティの拡大で持続的な収益性の向上を目指していく。また、状況の厳しかった前年から行っ
てきた費用構造改革の成果も徐々に現れていると認識している。




    下期は広告市場が活況になると想定される中で、前年同期から減益になる業績予想と
     なっている。保守的な見立てなのか、追加投資によるものか。


    上期における売上総利益の 19 年度比は 8%の伸びであったが、下期は 6%程度の伸びを
想定している。販管費の 19 年度比は、上期で 3%の伸び、下期は二桁近い伸びを想定して
いる。その結果、営業利益は減益予想となっている。
販管費の増加は、戦略費と活動費の増加による。戦略費の投下は期初から予定していた通り、
多くの部分が下期に実現してくると想定している。活動費は 19 年度並みに戻るという前提
で予想に織り込んでいるが、働き方の変化などにより下回る可能性もあると考えている。




    当初の業績予想で触れていた 100 億円規模の戦略投資は今回の業績予想に含まれてい
     るか。AI やコンサル人材など採用競争が厳しいところもあるが、費用を使いきれると
     考えているか。


    業績予想では、戦略投資をほぼ計画通り織り込んでいる。
    内訳として最も大きいのは人材投資であるが、上期のデジタル人材の採用については概
ね予定通りに進んでおり、下期の損益には影響が出る。ただし、一部の職種、コンサルタン
トやデータアナリストは獲得競争が激しく、苦労しながら採用活動を行っている。採用戦略
の見直しなども含めて、下期は巻き返しをはかっていく。




    売上総利益率のオーガニックでの改善要因について。新商材など新しい流れによるも
     のか、従来の延長線上の内製化などによるものか。


    マーケティング実践領域の機能装備および内製化に関しては、グループ全体の収益性の
向上に寄与させていくつもりであるし、上期も成果が出たと認識している。
    メディアの DX に関しては、AaaS が我々の新しい商材であり、得意先や媒体社と成果を
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生み出しながら、収益の獲得を認めていただけるように組み立てていくステージであると
認識している。


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