2433 博報堂DY 2021-05-28 12:00:00
2021年3月期 通期 決算説明会 質疑応答要旨 [pdf]

                    博報堂 DY ホールディングス
               2021 年 3 月期 通期連結決算説明会 質疑応答集


                                2021 年 5 月 14 日(金) 15:30~16:30


説明者:
     代表取締役社長      水島正幸
     取締役副社長       矢島弘毅
     取締役専務執行役員 西岡正紀
     専務執行役員       江花昭彦
     執行役員         禿河毅




    今期の広告市場について、種目別にどのような回復を見込んでいるか。また、市場より
     も高い回復を見込む競争力について教えてほしい。


    今期の広告市場はコロナウイルスの影響を受けた昨年の反動で大きく伸びると予測して
いる。従来から、景気の悪化以上に広告市場の数字は下がり、逆に景気が回復した際はそれ
以上に広告市場の数字が上がる傾向にあり、コロナ影響もこれに沿うと考えている。今年度
の国内経済が名目 GDP で 3,5%程度の回復予測であること対して、広告市場は二桁程度の
成長を見込んでいる。ただしそれでも 19 年度の水準には届かないため、シェアを拡大して
19 年度にキャッチアップしたい。
    種目別ではインターネットメディアの戻りが早く、今期もさらに回復が進む見込み。また、
テレビも昨年末ごろから数字が戻ってきている。一方で外出自粛もありイベントやプロモ
ーション、アウトドアメディアは依然として厳しい状況にある。今後ワクチンの普及ととも
にこれらの種目についても回復すると考えている。
    市場を上回る計画については、数年前から生活者 DMP をベースとしたデジタル化を進
めてきたたことで、昨今の DX 需要に対して素早く対応できていることが要因のひとつだ
と考えている。新たに発足した「HAKUHODO DX_UNITED」によって、DX への対応を
より強く進めたい。


    今期 100 億円規模の先行投資を見込んでいるが、具体的にどういったものか。来期以
     降も同程度の投資を見据えているのか。


    得意先のデジタルトランスフォーメーションにマーケティング DX とメディア DX の両
輪で対応していくことを旗揚げし、その精緻化を進めている。コロナウイルスの影響によっ

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てオールデジタル化が加速し、中期計画において 5 年スパンで考えていた計画を早めてこ
こ1,2年で対応しようと考えている。コスト構造改革も引き続き取り組んでおり、その分
の余力も合わせて 100 億円規模の投資を予定している。第一に人材への投資を、その他、
システム・テクノロジーへの投資、具体的にはデジタル広告運用人材やデータ活用人材の採
用育成、先端テクノロジーの開発を考えている。損益の状況次第だが、今後数年間に渡り、
毎年 100 億円規模の投資を考えている。




    マーケティングとメディアの DX に対応するための体制整備として、国内 M&A につ
     いてどのように考えているか。


    「HAKUHODO DX_UNITED」は博報堂、博報堂 DY メディアパートナーズ、DAC の
現有の組織の結集という形でスタートするが、今後の得意先の DX ニーズから考えると、現
状の 700 人強の体制ではまだまだ足りないと考えている。これに対しては人員の採用・育
成に加え、フロントラインで DX 対応のできる会社の M&A や業務提携、資本提携など、
いろいろな形での対応を検討している。今後ますます DX に関する技術・得意先ニーズが進
化していくため、先進性、専門性を持った企業とのマッチングを図りたい。国内のみならず、
海外にも視野を広げて機能整備をしたいと考えている。


    コロナ禍の影響によりメディアの仕入れは今後どのように変化すると考えているか。
     クライアントのニーズと会社の対応の考え方を教えてほしい。


    これまでのメディアはインターネットも含めて予約型が主だったが、運用型のニーズが
高まってきている。そのため4マス媒体とインターネットというデジタル・非デジタルの分
け方ではなく、予約型・運用型という分け方でメディアを考えている。仕入という言葉は予
約型に対応する概念であり、運用型はメディア効果の成果が基準になる。デジタル広告はす
でに8割が運用型で、テレビもスポットは今後運用型のモデルが求められると考えている。
    デジタル広告の主な得意先業種は情報通信、自動車、金融だったが、今期は食品・トイレ
タリーでも運用型の広告を取り入れている。今後は「AaaS」という概念をもとに、運用型ニ
ーズに合わせたサービスを強化したい。




    今期の販管費の予算について。コロナ対策によって必要になったものとそうでないも
     のに分けて詳細をお聞きしたい。


    今期の計画では、売上総利益で 300 億程度、販管費はそれを若干下回る程度の伸長を予
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定している。前述した先行投資に加えて、2020 年度に 150 億規模で緊急避難的にコスト削
減をした人件費や戦略費についてはトップラインの回復に合わせ 2019 年度水準近くまで回
復させる必要がでてくる。一方でコスト構造改革も進めており、その効果が数十億円規模で
見込まれる。構造改革は現在も検討を続けており、今後はオフィス改革や間接コスト削減、
テクノロジーによる業務改善などを進めたい。


    マーケティング DX に関わる業務について。現状の売上規模と、中長期的に見込んでい
     る規模それぞれお聞きしたい。


    マーケティング DX について現時点で明確な数字を出すことはできないが、収益の多様
化を目指して推進している。メディアではテレビとインターネットの掛け合わせに加えて
オウンドメディアや CRM、D2C など、博報堂、博報堂 DY メディアパートナーズ、DAC
と会社を跨って色々なビジネスが生まれていくと考えている。
    また、グループ会社である博報堂プロダクツの傘下にはコールセンターや人材派遣の機
能があり、EC や D2C のビジネスに対して全体的なマーケティング DX を提案できる。こ
うしたマーケティングの実践領域についても今後機能を増やしていきたい。 今期
「HAKUHODO DX_UNITED」を発足して、グループを横断してどういったビジネスが生
まれるのか、どのようなストーリーを描けるか、挑戦したい。




    インターネット領域の売上について。博報堂、大広、読広各社の成長率に比べてグルー
     プ全体の成長率が半分程度にとどまっているが、主要 3 社以外の成長の鈍化要因と、
     それをふまえた今後の成長について、どのように考えているか。


    総合広告会社は、大規模クライアントが中心で、上期は非常に苦労したが、下期は数字が
順調に戻り、通期でも前年を上回る実績となった。それに対しアイレップの伸びは弱く見え
るが、クライアントに旅行、運輸関係の比率が高く、コロナ禍の影響が大きかった。2021 年
度は提案内容やポートフォリオの改善を進めることで回復し、総合広告会社と合わせグル
ープ全体では二桁以上の成長を見込んでいる。




    「AaaS」について、基本は月極契約でフィーをもらうようなモデルを想定しているの
     か、報酬の形態をお聞きしたい。


    「AaaS」はシステムの名称というよりも運用型広告にシフトするためのひとつのビジョ
ンであり、4 つの収益モデルがある。ひとつはテレビxデジタルもしくは Irep でのデジ・
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テレを通じたマージン取引、次に、デジタルアナリシスやプランニング領域についてはフィ
ー取引になる。また、月極契約に近いものとして、ASP を必要とするクライアントに対し
ては AaaS を ASP 用に作り、提供する。そして最後にデータシステムを作っていく、カス
タマイズしていくモデルがあり、収益モデルを多層化させていくつもりである。まずはテ
レ・デジおよびデジ・テレのマージン取引と、付随するフィー取引を推進したい。


    DX 推進について、kyu はどのように貢献しているのか。


    メディア DX についてはアメリカの Kepler 社が先進的な取り組みをしており、ユーザー
の解析やメディアバイイングについては日本にも転用できると考えている。また Kepler が
買収した会社にはシンガポールに拠点があるので、ASEAN にある博報堂等の各拠点との連
携を進めたい。
    マーケティング DX については昨年 Godfrey Dadich 社を買収したが、今後もデジタル化
したメディアプラットフォームや SNS 領域で、ブランドエクスペリエンスを設計する先進
性のある企業をグループ化していきたい。また従前から力を入れている IDEO でもビジネ
ス設計やサービス開発にはグループで見習うべきところがあり、ナレッジの共有を進めて
いる。kyu 傘下の各社との交流によってシナジーが生まれ、国内でのサービス力が向上する
と考えている。
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