2372 アイロムG 2019-12-09 10:45:00
当社子会社が開発した褐色脂肪様細胞を用いメタボリックシンドローム等に対する細胞治療の実施をすることのお知らせ [pdf]

                                                2019 年 12 月9日
 各   位

                               会 社 名     株式会社アイロムグループ
                               代 表 者 名   代表取締役社長 森 豊隆
                               (コード番号     2372 東証第一部)
                               問 合 せ 先
                               役     職   取締役 社長室担当
                               氏     名   小島 修一
                               電     話   03-3264-3148



        当社子会社が開発した褐色脂肪様細胞を用い
 メタボリックシンドローム等に対する細胞治療の実施をすることのお知らせ

 当社の 100%子会社である株式会社 ID ファーマ(以下、「ID ファーマ」という)は、褐色脂肪
細胞の細胞治療への応用等について研究を進めてまいりました。この度、同社が開発した褐色脂肪
様細胞を用いて、メタボリックシンドロームに代表される代謝異常状態に対する細胞治療の実施に
向けて進めることといたしましたので下記のとおりお知らせいたします。

                           記

1.概要
 ID ファーマは、これまでに国立国際医療研究センターとの共同研究により、褐色脂肪細胞の分化
技術や細胞治療への応用等について研究を進めてまいりましたが、これらの研究の成果に基づき、
臨床(治療)への使用を開始することといたしました。
 この度、提携医療機関である一般社団法人 ICR 附属クリニカルリサーチ東京病院(再生医療等提
供機関、※1)が実施予定の「メタボリックシンドロームに代表される代謝異常状態に対する自己
脂肪組織由来細胞から誘導した褐色脂肪様細胞(※2)を用いた治療」(以下、「本褐色脂肪様細
胞治療」という)において、ID ファーマが開発した褐色脂肪様細胞を患者に投与することで細胞治
療を実施いたします。
 なお、褐色脂肪様細胞治療は、脂肪組織に存在する体性幹細胞を利用し、分化培養を実施するも
のであることから、第二種再生医療等技術に該当するものであり、本褐色脂肪様細胞治療は再生医
療等の安全性の確保等に関する法律(平成 26 年 11 月 25 日施行)に基づき提供されるものであり
ます。

2.褐色脂肪様細胞を用いたメタボリックシンドローム等の治療について
 現在、メタボリックシンドロームの治療方法には、生活習慣の改善(食事療法や運動療法等)や
薬物療法等がありますが、生活習慣の改善は継続することが難しく中断や脱落する方が多い一方で、
薬物療法はメタボリックシンドロームの病態の元である内臓脂肪の蓄積には関与しないため、生活
習慣の改善に勝る治療法がないのが現状です。
 褐色脂肪細胞は、細胞内にミトコンドリアを豊富に含んでおり、ミトコンドリアに特異的に発現
するタンパク質 UCP-1(Uncoupling protein-1)を通してエネルギーを消費し、熱を産生する機能
を有しています。褐色脂肪細胞は、成人においてその数が低下していると考えられているため、外
部から褐色脂肪細胞を補うことにより、内臓脂肪等の減少を促し、メタボリックシンドロームを改
善することが期待されます。
 本褐色脂肪様細胞治療は、自己(再生医療等を受ける方)の脂肪組織から採取した細胞から褐色
脂肪様細胞を誘導し、自己の体内に戻すことにより、エネルギーの消費を高め、肥満等のメタボリ
ックシンドロームの解消を目指します。



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3.第二種再生医療等技術について
 第二種再生医療等技術とは、再生医療等の安全性の確保等に関する法律において定められる再生
医療等技術のことで、自己(再生医療等を受ける方)の細胞を利用し、下記のいずれかに該当する
医療技術のことをいいます。
  ① 培養した幹細胞又は当該細胞に培養その他の加工を施したものを用いる医療技術
  ② 培養した細胞又は当該細胞に培養その他の加工を施したものを用いる医療技術のうち人の
    身体の構造又は機能の再建、修復又は形成を目的とする医療技術
  ③ 細胞の相同利用(※3)ではない医療技術
 第二種再生医療等技術の提供にあたっては、医療機関が提供を行う再生医療等について、特定認
定再生医療等委員会に申請し、審査を受けた上で管轄厚生局の認定を受けます。

参考:提携医療機関(再生医療等提供機関)が申請した再生医療等提供計画の概要
  提供しようとする再 メタボリックシンドロームに代表される代謝異常状態に対する自己脂肪
  生医療等の名称    組織由来細胞から誘導した褐色脂肪様細胞を用いた治療
  再生医療等の対象疾 メタボリックシンドローム等の代謝異常
  患等の名称      メタボリックシンドロームは肥満、脂質代謝異常、高血圧、微量アルブ
             ミン尿、インスリン抵抗性といった個々の病態が蓄積した結果、冠動脈
             疾患、心筋梗塞、脳梗塞等の発症リスクを高める疾患概念であり、内臓
             脂肪の蓄積との関連性が示唆されている

4.今後の見通し
 本褐色脂肪様細胞治療の実施により、安全性および効果を検証し、ID ファーマが保有する褐色脂
肪細胞に関する技術を用いた治療法の確立を推進してまいります。

5.業績に与える影響
 本製造受託による 2020 年3月期の業績予想に変更はありませんが、具体的な受注件数が確定し、
当期の業績予想に変更が生じる場合には、速やかにお知らせいたします。



※1.提携医療機関(再生医療等提供機関)の概要
  名称            一般社団法人 ICR 附属クリニカルリサーチ東京病院
  所在地           東京都新宿区原町 3-87-4 NT ビル 3F
  ウェブサイト        https://www.crht.jp/

※2.治療に用いる褐色脂肪様細胞について
  本褐色脂肪様細胞治療に用いる褐色脂肪様細胞は、再生医療等の安全性の確保等に関する法律の
定めにより、再生医療等提供機関より ID ファーマが細胞培養加工の委託を受け、ID ファーマが保
有する、つくば GMP/CPC(GMP:Good Manufacturing Practice、CPC:細胞培養加工施設/Cell
Processing Center)において、ヒト脂肪組織を原料として製造いたします。

※3.細胞の相同利用について
 相同利用とは、採取した細胞が再生医療等を受ける者の再生医療等の対象となる部位の細胞と同
様の機能を持つ細胞の投与方法をいいます。例えば、腹部から脂肪細胞を採取し、当該細胞から脂
肪組織幹細胞を分離して、乳癌の術後の患部に乳房再建目的で投与することは相同利用に該当し、
脂肪組織由来幹細胞を糖尿病の治療目的で経静脈的に投与することは、脂肪組織の再建を目的とし
ていないため相同利用には該当しません。

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