2372 アイロムG 2019-05-27 17:30:00
2020年3月期の先端医療事業における成長戦略について [pdf]

                                                             2019 年5月 27 日
 各   位

                                    会 社 名     株式会社アイロムグループ
                                    代 表 者 名   代表取締役社長 森 豊隆
                                    (コード番号     2372 東証第一部)
                                    問 合 せ 先
                                    役     職   執行役員
                                    氏     名   小島 修一
                                    電     話   03-3264-3148




         2020 年3月期の先端医療事業における成長戦略について

 当社は、2019 年5月 10 日付「2019 年3月期決算短信〔日本基準〕        (連結)     」の「今後の見通し」
において、当期(2019 年4月1日~2020 年3月 31 日)の業績予想および各事業の見通しを公表い
たしました。その中でも先端医療事業については、大幅な収益の拡大を計画しています。
 これは、既存事業の拡大に加え、中国 Shanghai Cell Therapy Group Co., Ltd.(中国名:上海细胞治
疗集团、以下、 「SHCELL」という)との戦略的パートナーシップを活用した細胞バンク事業の本格
化や、前期より開始している「細胞治療」向けの細胞の製造受託の増加によるものです。
 本日同時に公表しております決算説明会資料とともに、その概要を説明いたします。


                                記


1.細胞バンク事業の本格化に向けた計画について
 ①SHCELL からのバンキング技術の導入
   2019 年4月1日に公表しておりますとおり、当社は、中国において細胞培養加工・保管事業を
 行っている SHCELL と戦略的パートナーシップを提携しております。
   SHCELL は、世界最大規模の細胞培養加工施設と細胞バンクを保有しており、同分野において
 優れた技術と実績を積み重ねています。     当社は、 細胞培養加工 保管に係る SOP
                                    ・       (Standard Operating
 Procedures:業務手順書)等を含む技術・ノウハウを積極的に同社から導入し、細胞バンク事業の
 早期発展を実現します。
   SHCELL の技術を活用し、当社の細胞バンクにおいては、末梢血単核細胞をベースとして保管
 し、顧客ニーズに合わせ、樹状細胞(※1)     、iPS 細胞(※2)
                                    、褐色脂肪細胞(※3)へと培養加
 工し、保管することを予定しております。

 【細胞培養加工・保管を予定している細胞】




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 ②フランチャイズ・システムによる細胞バンク「iCellBank(アイセルバンク)」加盟社拡大
  当社は、2018 年 12 月よりフランチャイズ・システムによる細胞培養加工・保管に関する事業で
 ある「iCellBank」を開始しています。現在、1社目の加盟社とともに、設備整備等の準備を進め
 ておりますが、    複数の自治体、 企業様より引き合いをいただいております。今後も、希望自治体、
 企業様と積極的に交渉を進めることで、加盟社の拡大を図ってまいります。

 ③提携医療機関・医療ツーリズム等との連携による顧客確保
  当社グループは SMO 事業において、2,000 を超える医療機関と提携をしています。細胞治療な
 ど、最先端の医療技術を患者様に提供しているところも多く、当社の細胞バンク事業に興味を持
 っていただいた医療機関を適切に選定し、契約を進めています。
  また、中国をはじめとした海外医療ツーリズムにて、     確かな実績を持つエージェントと契約し、
 訪日観光客等の顧客確保を進めています。これらの取り組みにより、年間約 800 件の細胞バンク
 の実現を目指します。

2.「細胞治療」に係る製造受託の拡大について
 当社は、前期(2018 年4月1日~2019 年3月 31 日)より、医療機関において提供される第三種再
生医療等の「細胞治療」   に用いられる細胞の製造受託を開始しています。     提携医療機関であるクリニ
カルリサーチ東京病院における免疫細胞治療に用いる樹状細胞の製造受託の本格化に加え、SMO 事
業における提携医療機関からの受託による収益の拡大も見込んでいます。

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【用語説明】
※1 樹状細胞
 樹状細胞は血流に乗って全身を回りながらがん細胞等の目印を認識し、その情報をTリンパ球に
伝える司令塔の役目を担っています。患者様の末梢血から分離した単球から分化させた樹状細胞に、
患者様のがん細胞から抽出したがん抗原等を取り込ませ、体内に戻すというがん免疫療法等に用い
られています。

※2.iPS 細胞
 induced pluripotent stem cell (人工多能性幹細胞)のことであり、体細胞に特定の遺伝子を導入するこ
とにより樹立される、ヒト等のあらゆる組織、細胞に分化する能力を持つ幹細胞のことです。

※3.褐色脂肪細胞
 褐色脂肪細胞は哺乳類に存在する 2 種の脂肪細胞のうちの一つです。白色脂肪細胞が主に過剰な
エネルギーを脂肪として蓄積するのに対して、褐色脂肪細胞は脂肪を分解して熱を産生します。褐
色脂肪細胞はげっ歯類などの小型動物に多く存在しますが、ヒトでも新生児期には肩甲骨の間など
に存在し、体を震わせることなく体熱を産生する役割を担っていると考えられています。ヒト成人
にも頚部・鎖骨上部・傍脊椎部などに褐色脂肪細胞は存在しますが、加齢とともにその量は減少し
ます。動物実験から褐色脂肪細胞が肥満防止や代謝改善に効果があることが実証されていますが、
ヒトでも褐色脂肪細胞の減少と代謝障害の発症に逆相関関係があることが示されており、メタボリ
ックシンドロームの治療開発における創薬標的として注目されています。




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