2372 アイロムG 2021-09-13 18:05:00
京都大学iPS細胞研究所(CiRA)とのセンダイウイルスベクターを用いてヒトES細胞/iPS細胞から骨格筋細胞を作製する技術開発の成果の公表に関するお知らせ [pdf]

                                                      2021年9月13日
 各    位

                                    会 社 名 株式会社アイロムグループ
                                    代 表 者 名 代表取締役社長 森 豊隆
                                    (コード番号 2372 東証第一部)
                                    問合せ先
                                    役     職 取締役 社長室担当
                                    氏     名 小島 修一
                                    電     話 03-3264-3148

               京都大学iPS細胞研究所(CiRA)との
     センダイウイルスベクターを用いてヒトES細胞/iPS細胞から
     骨格筋細胞を作製する技術開発の成果の公表に関するお知らせ

  当社の100%子会社である株式会社IDファーマ(以下、「IDファーマ」という)は、京都大学
iPS細胞研究所(CiRA)および理化学研究所との共同研究において、IDファーマの基盤技術で
あるセンダイウイルスベクターを用いて、ヒトES細胞/iPS細胞から骨格筋細胞を迅速に分化誘
導することに成功し、その成果がJournal of Cellular and Molecular MedicineおよびCiRAのニ
ュースリリース(※1)にて公開されましたので、下記のとおりお知らせいたします。

                                記

1.本研究の概要
 ES 細胞/iPS 細胞は、その増殖能と多分化能の特性から、再生医療や疾患研究の重要な資源と
なっており、さまざまな神経筋疾患において障害を受ける骨格筋細胞を ES 細胞/iPS 細胞から分
化誘導する方法の開発が進められています。

 本研究では、温度感受性センダイウイルスベクター(※2)を用いて転写因子 Myod1(※3)
を導入し、ヒト ES 細胞/iPS 細胞から骨格筋細胞を迅速に分化誘導することに成功しました。ま
た、この分化過程において熱ストレスが骨格筋細胞への分化誘導効率と成熟度を促進することも
明らかにしました。

 ES 細胞/iPS 細胞は外来遺伝子の導入がしにくい細胞種ですが、培地中に添加するだけで速や
か、かつ強力に目的の遺伝子を発現させることができるセンダイウイルスベクターを用いること
で、Myod1 の導入を行いました。また、温度感受性センダイウイルスベクターを高温環境培養
により除去する過程で、熱ストレスが中胚葉系への分化および骨格筋細胞の成熟にも促進的に働
くことを見出しました。

 この技術は、ヒト骨格筋細胞の作製を簡便にし、疾患モデル研究の有用な手段となると考えら
れます。今後、さまざまな疾患の患者さんから樹立した iPS 細胞を用いた病態解明および創薬研
究への応用が期待されます。




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2.業績に与える影響
 本件による 2022 年3月期の業績への影響は軽微と見込んでおります。当期の業績予想に変更
が生じる場合には、速やかにお知らせいたします。



※1.CiRA ニュースリリース
 https://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/pressrelease/news/210913-160000.html

※2.温度感受性センダイウイルスベクター
 遺伝子配列に工夫がなされており、高温培養を経ることで細胞内から速やかに除去される性質
をもったセンダイウイルスベクターです。
 センダイウイルスベクターは、遺伝子が標的細胞の核内に侵入せず染色体に組み込まれないと
いう特長を持ち、安全性や効率の面で優れているベクターですが、さらに、温度感受性の変異を
用いることにより、細胞内にセンダイウイルスベクターが残らないように改良し、より安全性や
効率性を高めています。

※3.Myod1
 Myogenic Differentiation 1 の略で、骨格筋の発生過程において重要な働きをする転写因子の
こと。

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