2372 アイロムG 2021-09-02 17:45:00
新規ゲノム編集技術の特許査定に関するお知らせ [pdf]
2021年9月2日
各 位
会 社 名 株式会社アイロムグループ
代 表 者 名 代表取締役社長 森 豊隆
(コード番号 2372 東証第一部)
問 合 せ 先
役 職 取締役 社長室担当
氏 名 小島 修一
電 話 03-3264-3148
新規ゲノム編集技術の特許査定に関するお知らせ
当社は、当社グループが開発した新規ゲノム編集技術について、9月1日付で特許査定を受けま
したので、下記のとおりお知らせいたします。この新規ゲノム編集技術は、当社の100%子会社であ
る 株 式会 社 ID フ ァ ーマ( 以 下、 「 IDフ ァー マ」 と いう ) が販 売し てい る 遺伝 子 改変 キッ ト
「GenoTune®」(※1)で使用しており、CRISPR-Cas9法(※2)の課題を克服する安全なゲノ
ム編集技術です。
記
1.新規ゲノム編集技術について
新規ゲノム編集技術は、CRISPR-Cas9法をはじめとする従来のゲノム編集技術で用いられる染
色体切断ではなく、ドナープラスミド(※3)切断による置換式遺伝子改変という方法(以下、
「置換式遺伝子改変法」という)によりゲノム編集を行います。
染色体切断によるゲノム編集では、染色体に過度な切断を導入してしまう可能性があるという安
全上の課題が指摘されていますが、この置換式遺伝子改変法であれば、安全・精密に標的遺伝子を
改変することができ、染色体の破壊や遺伝子編集操作で使用するベクターが染色体上の意図しない
場所にランダムに挿入されることなどの回避が可能となります。
染色体を切断しないことや切断に用いる酵素が1種類であることなどから、従来のゲノム編集技
術に比べて安全性および汎用性が高いゲノム編集技術です。
なお、この新規ゲノム編集技術は、2019年12月11日付「新規ゲノム編集技術による遺伝子改変キ
ット「GenoTuneTM」販売開始のお知らせ」において開示した遺伝子改変キット「GenoTune®」で
使用しており、ID ファーマが同キットの販売を推進しています。
<新規ゲノム編集技術と従来のゲノム編集技術の比較>
新規ゲノム編集技術 従来のゲノム編集技術
(置換式遺伝子改変法) (CRISPR-Cas9法など)
標的染色体の破壊 稀 高頻度
1種の I-Scel 酵素:あらゆる患者 特異的切断酵素または guideRNA:
切断酵素の汎用性
(変異)に用いることができる 患者(変異)ごとに作成される
1
2.特許査定の内容
名称 標的配列を改変するためのポリヌクレオチドおよびその使用
国際出願番号(出願日) PCT/JP2018/027141 (2018年7月19日)
特許権の存続期間 出願日から 20 年
切断可能部位を含むゲノム断片の両端を、ポジティブ選択マーカー遺伝子
およびネガティブ選択マーカー遺伝子を含むポリヌクレオチドによって連結し
た新規なドナーポリヌクレオチドを提供する。当該ドナーポリヌクレオチドを用
内容 いることにより、標的遺伝子座内に切断を入れることなく、ドナーポリヌクレオ
チドの相同部位に切断を入れることによって、Off-target と呼ばれる標的配
列以外に変異が入る可能性を回避して標的遺伝子のみを改変することが可
能となる。
特許査定が発行された国
日本(2021年9月1日付)
(査定日)
審査中の国 米国、欧州、オーストラリア、カナダ、中国、ニュージーランド
3.業績に与える影響
本件による2022年3月期の業績への影響は軽微と見込んでおります。当期の業績予想に変更が生
じる場合には、速やかにお知らせいたします。
※1.GenoTune の特徴
ヒトゲノムには存在しない特定の短鎖 DNA 配列「I-SceI 認識配列」を、あらかじめ正常型遺伝子
配列を運ぶドナープラスミドに挿入し、遺伝子導入時に、I-SceI 酵素を用いて、ドナープラスミド
上の「I-SceI 認識配列」のみを切断し、正常型遺伝子配列をゲノムに導入する方法であるため、従
来のゲノム編集法でみられるような過度な染色体切断が起こりません。
また、遺伝子修復を目的とする場合、染色体上の変異型遺伝子配列を、正常型に置換することに
よって修復しますが、修復後、ドナープラスミドの骨格部分が染色体に残らないように工夫してい
ます(置換式遺伝子修復法)。I-SceI 酵素は、その遺伝子を ID ファーマの基盤技術であるセンダイ
ウイルスベクターに搭載して発現し、発現後にはセンダイウイルスベクターとともに細胞から消え
ますので細胞内に留まることはありません。
※2.CRISPR-Cas9法
CRISPR-Cas9(clustered regularly interspaced short palindromic repeats / CRISPR
associated proteins9)とは、ゲノム DNA 配列の特定の場所を切断して、ノックアウト等の遺伝
子改変ができる遺伝子編集技術です。同技術はその高効率性から、現在多くの生物種におけるゲノ
ム編集に広く利用されていますが、染色体に過度な切断を導入してしまう可能性があるという安全
上の課題が指摘されています。
※3.ドナープラスミド
プラスミドとは、次世代に遺伝される染色体以外の DNA 分子の総称で、遺伝物質を別の細胞に運
び込むために利用しています。
本ドナープラスミドは、染色体上の変異遺伝子と相同な正常型遺伝子配列をコードしており、こ
の正常配列を染色体上の変異遺伝子と置換あるいは変異遺伝子中に標的挿入するために使用されま
す。
以 上
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