2372 アイロムG 2021-06-16 17:30:00
新型コロナウイルスワクチン開発における変異株に対する高い中和抗体価の確認ができたことに関するお知らせ [pdf]

                                      2021 年6月 16 日
 各   位

                           会 社 名 株式会社アイロムグループ
                           代 表 者 名 代表取締役社長 森 豊隆
                           (コード番号 2372 東証第一部)
                           問合せ先
                           役     職 取締役 社長室担当
                           氏     名 小島 修一
                           電     話 03-3264-3148



      新型コロナウイルスワクチン開発における
変異株に対する高い中和抗体価の確認ができたことに関するお知らせ

 当社の 100%子会社である株式会社 ID ファーマが開発を進めております新型コロナウイルス
ワクチンの非臨床試験において、変異株(イギリス型および南アフリカ型)に対する高い中和抗
体価(中和抗体の量、※1)を確認しましたので下記のとおりお知らせいたします。

                      記

1.中和抗体価の確認について
 当社グループは、2021 年5月 11 日付「新型コロナウイルスのワクチン抗原と投与方法の決定
のお知らせ」にてお知らせしたとおり、より免疫原性が高い候補を見出すことに成功し、経鼻投
与による開発を推進しておりますが、この度、米国の検査機関にて実施した非臨床試験において、
動物に開発中ワクチンを経鼻投与したところ、イギリス型および南アフリカ型の変異株に対する
中和抗体価の顕著な上昇を確認いたしました。

 実施した非臨床試験では、開発中ワクチンの投与による中和抗体価を評価するために、標準モ
デルとして新型コロナウイルスに感染し回復した患者さんの血漿に含まれる中和抗体価(以下、
「回復患者モデル」という。)と比較いたしました。
 回復患者モデルでは、イギリス型に対する中和抗体価は高い値を示したものの、南アフリカ型
に対する中和抗体価は著しく低い値を示しました。
 一方で、当社グループの開発中ワクチンは、イギリス型および南アフリカ型のいずれに対して
も高い中和抗体価を示しました。また、回復患者モデルの中和抗体価よりも高い値を示しており、
開発中ワクチンの投与による有効性を確認しました。

 当社グループでは、ワクチンを経鼻投与することにより粘膜免疫(IgA 抗体)および全身免疫
(IgG 抗体)(※2)の両方を誘導することが可能なワクチンの開発を目指しています。
 今回の試験結果により、ワクチンの経鼻投与によって多様な変異株への効果が期待でき、変異
速度の早いウイルスに対しても有用であるワクチンの開発が進められるものと考えております。




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2.今後の見通し
 本開発による 2022 年3月期の業績への影響について、現在、開発段階にあるため研究開発に
かかる費用が支出として発生いたしますが、これらの費用は当期の業績予想に織り込んでいます。



※1.中和抗体
 ウイルス等の抗原がもっている毒性や感染力などを減退または消失する(中和する)ことがで
きる抗体のことです。

※2.粘膜免疫および全身免疫
  体内にウイルスが入る前に侵入を防ぐのが粘膜免疫です。粘膜免疫は眼・鼻・喉・消化管など
の粘膜組織でウイルスを防ぎます。この時、異物を捕まえてブロックする役割を担っているのが
IgA 抗体です。IgA 抗体は抗原特異性(ある特定の抗原を認識する力)が低いため、ウイルスが
変異(抗原が変異)した場合でも免疫効果が期待できます。
  一方、体内にウイルスが入ってから戦うのが全身免疫です。粘膜免疫を突破し体内に侵入した
ウイルスが細胞に感染するのを防いだり、ウイルスに感染してしまった細胞を攻撃し排除したり
することで、発症予防や重症化予防をすることができます。この全身免疫を担うのが IgG 抗体や
細胞傷害性 T 細胞です。

                                           以 上




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