2372 アイロムG 2021-05-11 15:30:00
新型コロナウイルスのワクチン抗原と投与方法の決定のお知らせ [pdf]

                                       2021 年5月 11 日
 各    位

                            会 社 名 株式会社アイロムグループ
                            代 表 者 名 代表取締役社長 森 豊隆
                            (コード番号 2372 東証第一部)
                            問合せ先
                            役     職 取締役 社長室担当
                            氏     名 小島 修一
                            電     話 03-3264-3148



     新型コロナウイルスのワクチン抗原と投与方法の決定のお知らせ

 当社の 100%子会社である株式会社 ID ファーマ(以下、「ID ファーマ」という)が開発を進
めております新型コロナウイルスワクチンにつきまして、より有効性が高く、変異株にも効果が
期待できるワクチンを開発するために、以下の決定を行いましたのでお知らせいたします。

                       記

1.開発状況について
 海外で開発されたワクチンが我が国でも承認されたこと、変異株による新たな脅威が発生した
ことを踏まえて、これまで、センダイウイルスベクター型ワクチンの非臨床薬理試験において、
複数のワクチン抗原候補について、最適な投与経路の検討も含めて研究を進めてまいりました。
この度、他のワクチン候補より免疫原性が高い候補を見出すことに成功し、同ワクチン候補の経
鼻投与による開発を推進することを決定いたしました。

 これまでに実施した他のワクチン候補での複数の動物実験において、経鼻投与は、各注射によ
る投与(皮下、筋肉、皮内)より高い免疫原性を示しました(全身免疫である IgG 抗体価(※1)
の増加を指標として評価)。また、経鼻投与による動物モデルを用いた攻撃試験(ウイルス曝露
試験、※2)において、病態回復がコントロール群より早いことも確認しております。
 今回、他の候補よりも強力な免疫原性を示すワクチン候補へと変更することで、承認ワクチン
と遜色のない有効性が得られることが、より一層期待されます。また、このワクチンを経鼻投与
することによって、全身免疫の誘導(IgG 抗体価の上昇)に加え、新型コロナウイルスの主要な
侵入経路である鼻咽頭で感染を防御し、野生株から変異株にも幅広い効果が期待できる粘膜免疫
を誘導(IgA 抗体価(※3)の上昇)することができます。

 この経鼻投与ワクチンは、粘膜免疫および全身免疫(※4)の両方を誘導することにより、発
症予防、重症化予防に加えて、新型コロナウイルス感染そのものの予防、予測不能な変異株に対
する効果、初期感染者及び無症状感染者のウイルス排出の低減など、既存の注射ワクチンにはな
い有用性が期待できる、次世代ワクチンとして開発を進めてまいります。




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 併せて、ID ファーマでは、ヒトに経鼻投与するための投与デバイス(医療機器)の選定も進
めています。これらの事項を踏まえ、毒性試験等を経て、2021 年 10 月以降に国内および海外を
含めて臨床試験を開始できるよう準備を進めています。

2.今後の見通し
 本開発による 2022 年3月期の業績への影響について、現在、開発段階にあるため研究開発に
かかる費用が支出として発生いたしますが、これらの費用は当期の業績予想に織り込んでいます。

                                            以 上



※1.IgG 抗体(IgG:Immunoglobulin G/免疫グロブリン G)
 血清中に最も多く含まれる抗体の一種であり、免疫反応の中心的な働きをしている免疫物質で
す。最も長い時間血清中に存在し、ウイルスや病原菌など外敵の細胞への侵入を防ごうと働きま
す。

※2.攻撃試験(ウイルス曝露試験)
 モデル動物などにワクチン候補を投与した後、病原ウイルスを感染させて、感染防御効果をモ
ニターする試験のことです。

※3.IgA 抗体(IgA:Immunoglobulin A/免疫グロブリン A)
 眼・鼻・喉・消化管などの外界と接する粘膜組織において分泌される抗体の一種であり、血液
中にも存在する免疫物質です。多くのウイルスや病原菌の侵入口である粘膜面において、それら
外敵の侵入を防ごうと働きます。

※4.粘膜免疫および全身免疫
 体内にウイルスが入る前に侵入を防ぐのが粘膜免疫です。粘膜免疫は眼・鼻・喉・消化管など
の粘膜組織でウイルスを防ぎます。この時、異物を捕まえてブロックする役割を担っているのが
IgA 抗体です。
  一方、体内にウイルスが入ってから戦うのが全身免疫です。粘膜免疫を突破し体内に侵入した
ウイルスが細胞に感染するのを防いだり、ウイルスに感染してしまった細胞を攻撃し排除するこ
とで、発症予防や重症化予防をすることができます。この全身免疫を担うのが IgG 抗体や細胞傷
害性 T 細胞です。




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