2342 M-トランスG 2020-12-23 15:45:00
当社子会社の医化学創薬株式会社におけるSARS-CoV-2スパイクタンパク質に対する抗体取得および販売に関するお知らせ [pdf]

                                                   2020 年 12 月 23 日
    各 位
                                会 社 名 株式会社トランスジェニック
                                代表者名 代表取締役社長 福 永 健 司
                                     (コード番号 2342 東証マザーズ)
                                問合せ先 取     締   役 船橋            泰
                                     ( 電 話 番 号 03 -6 55 1 -2 6 01 )



                        当社子会社の医化学創薬株式会社における
          SARS-CoV-2 スパイクタンパク質に対する抗体取得および販売に関するお知らせ

 当社子会社の医化学創薬株式会社    (代表取締役社長:八並孝夫、 北海道札幌市、以下、「医化学創薬」
                                                   )
は、新型コロナウイルス(COVID-19)感染症(以下、 「新型コロナウイルス」)に対する簡易検査キット
(イムノクロマト法※1)及び治療用抗体の開発プロジェクトにおいて、開発パイプライン第一弾として
策定した糖ペプチド抗原を使用した免疫試験の結果、スパイクタンパク質に結合する抗体の取得に成功
し、取得抗体群の一部について 2021 年 1 月下旬に販売を開始することを本日決議いたしましたので、
お知らせいたします。

【概要】
   今般の新型コロナウイルスの感染拡大においては、全ての医療機関で迅速に診断可能な PCR 検査の代
替となる簡易診断キット及び治療薬の開発が急務となっています。
   医化学創薬は、新型コロナウイルスの表面にあるスパイクタンパク質※2(人に侵入するためのタンパ
ク)の「糖鎖結合領域」に着目し、当該分子に結合する抗体を取得することで、イムノクロマト法によ
る簡易検査キットや治療薬へと繋げる複数の研究開発プロジェクトに取り組んでいます。
   このスパイクタンパク質は多数の糖鎖修飾を受けた糖タンパク質であり、その変異が生じやすいこと
が報告されています。しかしながら、医化学創薬は、変異を受けにくいと報告されている糖鎖付加部位
※3
   をターゲットとし、独自の糖ペプチド合成技術と抗糖タンパク質抗体取得技術を融合させ、免疫用糖
ペプチドを設計及び合成し、免疫試験を実施した結果、新型コロナウイルスが有する糖鎖とタンパク質
の両構造を同時に認識するユニークな特性を持つ抗体を複数取得することに成功しました。なお、医化
学創薬がターゲットとしている糖鎖付加部位は、先日より英国等で報告されている新型コロナ変異種の
変異箇所には該当せず、当該変異の影響を受けないことが明らかとなっています。

 当社は、創業以来、各種検査用抗体試薬の開発・提供および創薬支援ツールとしての遺伝子改変マウ
スの提供を行うとともに、グループにおいては、治療薬開発に必要な非臨床試験サービスや最新機器を
用いた検査・解析サービスの提供を行っております。
 既に当社子会社のジェネティックラボは、北海道及び札幌市と検査受託契約を締結し、新型コロナウ
イルスの PCR 検査を実施しています。また、当社においても、新型コロナウイルス研究用エクソンヒト
化マウスの開発を進めております。
 医化学創薬は取得した抗体群の評価をトランスジェニックグループの創薬支援機能を活用しながら迅
速に進めるとともに、糖ペプチド免疫原を使用した他の免疫プロジェクトについても継続し、今後新た
に変異が生じたスパイクタンパク質にも結合しうる抗体開発を順次進めてまいります。当該抗体は、診
断薬メーカーや製薬企業における新型コロナウイルスの簡易診断キット開発や治療薬開発に貢献するこ
とを想定しています。

 当社グループは、引き続きグループの知見を集結させ、今般の世界的な新型コロナウイルス感染拡大
抑制に貢献してまいります。
 なお、本件による 2021 年 3 月期の連結業績への影響はございませんが、今後新型コロナウイルスに関
する抗体ライブラリーを拡充させ、収益化を図りグループの業績拡大につなげるよう積極的に取り組ん
でまいります。

◆ご参考

 ※1 イムノクロマト法
    イムノクロマト法は、抗原抗体反応を利用した迅速診断法の一つで、インフルエンザの診断や
    妊娠検査薬に利用されています。

 ※2 スパイクタンパク質
    スパイクタンパク質は、ウイルス粒子の表面に存在するスパイク(突起)状のタンパク質です。
    ウイルスは、自分のスパイクタンパク質に糖鎖を付加させることにより細胞に侵入(感染)し
    ます。

 ※3 スパイクタンパク質の糖鎖付加部位




       スパイクタンパク質の立体構造
       *黒点線丸は糖鎖修飾箇所
       (参考:Cryo-EM structure of the 2019-nCoV spike in the prefusion conformation
           Science 19 Feb 2020)


                                                                                    以上