2342 M-トランスG 2019-03-18 15:00:00
HAINAN JINGANG BIOTECH CO. LTD.との霊長類の遺伝子改変動物作製に関する共同研究契約締結のお知らせ [pdf]

                                                   2019 年 3 月 18 日
各   位
                                   会 社 名 株式会社トランスジェニック
                                   代表者名 代表取締役社長 福 永 健 司
                                       (コード番号 2342 東証マザーズ)
                                   問合せ先 取     締   役 船 橋       泰
                                        ( 電 話 番 号 03-6551-2601)



              HAINAN JINGANG BIOTECH CO. LTD.との
          霊長類の遺伝子改変動物作製に関する共同研究契約締結のお知らせ



 株式会社トランスジェニック(代表取締役社長:福永 健司、福岡市 以下、トランスジェニック)は、
HAINAN JINGANG BIOTECH CO. LTD. (海南金港生物技術股份有限公司)(董事長:李秉湧、中国
海南省 以下、HAINAN JINGANG BIOTECH)※1と霊長類の遺伝子改変動物の作製に関する共同研究
契約を締結しましたので、お知らせ致します。

 当社は、2000 年 4 月に当社 CTO 山村 研一(現国立大学法人熊本大学生命資源研究・支援センター客員
教授)らが開発した「トラップベクター及びこれを用いた遺伝子トラップ法」の技術を導入して以降、遺
伝子改変マウス作製のリーディングカンパニーとして常に最先端の技術を導入し事業展開を行ってまいり
ました。そして、  これまで、 1,800 系統の遺伝子改変マウス作製実績があるほか、
                 約                             豊富な経験をもとに、
                            ※2
近年はゲノム編集 (CRISPR/Cas9) 技術      を中核技術として事業展開しております。
 一方、HAINAN JINGANG BIOTECH は、霊長類の飼育、販売及び動物実験を展開する大規模 CRO
で、敷地面積約 24 ヘクタールに 48 棟の AAALAC(国際実験動物ケア評価認証協会) ※3認証の霊長類飼
育施設を擁し、現在、実験用霊長類の飼育規模が 2 万頭で、年間産出量は約 4,000 頭に達しています。日
本、米国、EU などの国々にも輸出展開しており、当社子会社の株式会社新薬リサーチセンターにおいて
は、現地施設を使用した実験及び技術指導を行っております。

 このたびの HAINAN JINGANG BIOTECH との共同研究は、同社の基幹事業である実験用霊長類の疾
患モデル動物作製において、新たなモデル開発手法として遺伝子改変技術適用の可能性に関する予備検討
を行うものです。具体的には、特定の中枢神経系疾患を有する霊長類モデル作製に関して、当社が有する
ゲノム編集(CRISPR/Cas9)技術が適用可能かを in vitro(試験管レベル)で検証するものです。

 当社及び HAINAN JINGANG BIOTECH は、このたびの共同研究が最終的に目指す霊長類の遺伝子改
変動物の樹立により、齧歯類では実現が困難なヒトに近い認知能力、高次機能障害の再現が期待できるた
め、未だ効果的な治療薬のない中枢神経系疾患に関する研究開発に大きく貢献するものと考えております。

 なお、本共同研究契約締結による 2019 年 3 月期の連結業績への影響はございません。
 当社は、今後も革新的な実験動物の作製技術の研究開発に積極的に貢献してまいります。
【株式会社トランスジェニック取締役 CTO 山村 研一のコメント】
 私達人類は、その生命を守る医学の発達を、これまで多くの実験動物の尊い生命のもとに実現してきま
した。当社がこれまで提供してきた遺伝子改変マウスも多くの研究者の基礎研究に役立ち、医学の発展に
微力ながら貢献してきたものと考えております。
 高齢化社会の進展に伴い、中枢神経系疾患の患者数は飛躍的に増加し、治療薬の開発は急務となってい
ます。しかし、その中枢神経系疾患、例えばアルツハイマー病、の治療薬開発においては、これまでもマ
ウス等の齧歯類による疾患モデル動物を用いた膨大なスケールの非臨床試験が行われています。しかし、
以前に開発されたモデルを用いた非臨床試験段階では有効なデータを得ていたにもかかわらず、臨床試験
の段階では有効性の再現が確保できず、そのほとんどが実用化されないという厳しい現実があります。こ
れは中枢神経系疾患のような高次神経機能障害に対する人の治療薬開発においては、マウスモデルを用い
た非臨床試験に加え、より人に近い動物モデルを用いた非臨床試験で検証することが、より重要であるこ
とを示唆しています。すなわち、中枢神経系・高次神経機能障害の治療薬開発には、より人に近い病態モ
デルの開発を行う必要があると考えております。
 今回の我々の共同研究は、この課題に取り組むための第一歩だと考えています。一方で、霊長類の遺伝
子改変動物の研究及び開発については、アカデミア及び海外では進みつつありますが、倫理問題や様々な
規制等に留意しながら慎重に進めていく必要があると考えています。
 当社は当該研究の進捗に応じて、社会の動向を慎重に見極めつつ、HAINAN JINGANG BIOTECH 及
び各方面の専門家で構成される当社倫理委員会において、当該研究の継続について検討する方針です。

 当社の取組みに関して、皆様のご理解をお願いするとともに、引き続きご支援のほど宜しくお願い申し
上げます。



◆ご参考:
    ※1 HAINAN JINGANG BIOTECH CO. LTD. (海南金港生物技術股份有限公司)
        代 表 者:董 事 長 李秉湧
        設    立:2003 年 8 月
        所 在 地:Nayang Xintan, Fucheng Town, Qiongshan District, Haikou City, Hainan
                 Province, 571100, China.
        資 本 金:1 億 1,100 万元(1,848,150,000 円相当※)
             ※1 人民元を 16.65 円   (2019 年 3 月 15 日現在)として日本円に換算しております。
        事業内容:霊長類実験動物の飼育、販売及び動物実験

      ※2 ゲノム編集技術(CRISPR/Cas9)
         CRISPR/Cas9 システムは、バクテリアで見つかった獲得免疫機構です。近年、効率的な的
         遺伝子組換えゲノム編集技術として広く応用されるようになりました。
         CRISPR/Cas9 システムによる変異導入は特異的で高頻度であり、短期間で効率的に遺伝子
         改変マウスを作製することが可能です。

      ※3 AAALAC International (The Association for Assessment and Accreditation of
         Laboratory Animal Care International/国際実験動物ケア評価認証協会)
         AALAC International は、世界で唯一の国際的な第三者評価機関で、3R(Reduction(使
         用する動物数の削減)         、Replacement(動物を使用しない 実験への置き換え)                  、
         Refinement(動物の苦痛軽減)の原則を踏まえ、科学社会における動物の人道的な取り扱
         いを推進しています。世界中の 900 を超える医薬品およびバイオ技術企業、大学、病院およ
         びその他の研究機関がこの認証を取得しており、                   動物実験及び動物管理が倫理的に実施され
         ていることの実証として認められています。

                                                                       以上