2327 NSSOL 2020-02-06 18:30:00
特別調査委員会の調査結果と業績に与える影響、再発防止策等について [pdf]

                                                  2020 年 2 月 6 日
各    位
                               会社名         日鉄ソリューションズ株式会社
                               代表者名       代表取締役社長     森田 宏之
                                           (コード:2327 東証第一部)
                               問合せ先          総務部長     三輪 和彦
                                              (TEL.03-5117-3214)


         特別調査委員会の調査結果と業績に与える影響、再発防止策等について


    当社は、2019 年 12 月 13 日付「特別調査委員会の設置に関するお知らせ」にて公表しましたと
おり、2019 年 11 月中旬に国税当局による税務調査の過程でその実在性に疑義を示された、当社の
一部の物品仕入販売型取引に関し、その実在性を確認できないとの認識を得たため、当社と利害関
係を有しない外部専門家2名及び当社社外監査役1名(計3名)から構成される特別調査委員会を
設置し、当該事案(以下、
           「本件取引」
                )について調査を進めてまいりました。
    本日、特別調査委員会より「調査報告書」を受領するとともに、業績に与える影響を確定し、あ
わせて再発防止策について、下記の通りお知らせいたします。


    当社は、今回の事態にいたったことを真摯に受け止め、株主をはじめとする関係者の皆様に多大
なご迷惑とご心配をお掛けしましたことを改めて深くお詫び申し上げますとともに、信頼回復に向
けて全力で再発防止に取り組んでまいる所存でございますので、何卒ご理解賜りたくお願い申しあ
げます。


                               記


1. 特別調査委員会について
     (1) 構成
          委員長    三宅   英貴 弁護士       (アンダーソン・毛利・友常法律事務所)
          委員     井上   寅喜 公認会計士(株式会社アカウンティング アドバイザリー)
                                           ・
          委員     樋口   哲朗 公認会計士(当社社外監査役)
     (2) 目的
         ・本件に関する事実関係(類似事象の存否を含む)の確認
         ・本件による当社連結財務諸表等への影響額の確認
         ・本件が生じた原因の分析と再発防止策の提言
         ・その他、特別調査委員会が必要と認めた事項


                               1
  (3) 調査の概要
      2019 年 12 月 13 日から 2020 年 2 月 5 日までの間の調査において、関係資料の精査、関
      係者インタビュー、デジタルフォレンジック調査、取引先への反面調査、従業員アンケ
      ート等を実施しております。


2. 特別調査委員会の調査結果について
   特別調査委員会による調査の結果、
   「本件取引調査の結果、当社が特定取引先との間で行った複数の取引について実在性が認め
    られず、かつ、それらの各取引はエンドユーザーが存在しない状態で当社を含む複数の会
    社が介在する形で複数回にわたって循環を繰り返す一連の商流の一部を構成しており、い
    わゆる架空循環取引と認められた。
    本件架空循環取引は A 社の営業担当であった某氏が主導したもので、当社は、会社として
    あるいは社会公共ソリューション事業部として組織的かつ意図的に関与したものではない
    ことに加え、当社の営業担当者にも実在性のない架空取引あるいは循環取引との認識はな
    く、某氏が主導した本件架空循環取引に巻き込まれたものと認められる。
                                    」
  と報告されました。


3. 業績等に与える影響について
   本件取引調査の結果、2014 年度から 2019 年度上期までの間に、不適切な会計処理が実施され
  ていたと認められた取引について、過年度の財務諸表の訂正を行います。その結果、本件におけ
  る当社連結財務諸表及び財務諸表に与える影響額は、以下の通りです。
                                             (億円未満切捨て)
               【取引件数】    【売上金額】      【売上原価】     【取引利益】
     2019年度      4件      134億円       125億円        9億円
     2018年度      4件      106億円        99億円        6億円
     2017年度      9件      133億円       125億円        8億円
     2016年度      7件        46億円       43億円        2億円
     2015年度      1件         1億円        1億円        0億円
     2014年度      4件         6億円        6億円        0億円
      合 計       29件      429億円       402億円       27億円
   (注 1)上記の取引先は 6 社になります。
   (注 2)上記のほか、2019 年度における受注済みの未処理案件が 4 件ございます。
   なお、当社連結グループにおいて架空循環取引又はこれに類似する取引は、本件以外には検出
  されておりません。


4. 再発防止策について
   当社は、特別調査委員会の調査結果から、物販取引に対するリスク管理体制、業務プロセス、
  モニタリング活動、総括部の牽制機能、営業部門におけるリスク感度等に関する指摘があり、そ
  れらを踏まえた再発防止策に関する提言を真摯に受け止め、本日の取締役会において以下の再
  発防止策を実施することを決定致しました。

                            2
  (1) リスクマネジメントの強化
        ・リスク感度の向上による自律的かつ継続的なリスク管理を実現する取り組みの強化
  (2) 業務プロセスの改善
        ・物販取引におけるリスク管理の強化
        ・同業他社間取引に関する社内ルール運用の厳格化
        ・取引書類作成に関する業務プロセスの改善
  (3) モニタリングその他の改善
       ・物販取引におけるモニタリングの強化
       ・不正調査等の内部監査の高度化
       ・棚卸資産管理規程の改定
  (4) 牽制機能強化と営業の規範意識の向上
       ・各事業部における総括部牽制機能の強化
       ・全社の営業担当が遵守すべき業務プロセスの周知徹底
   一部については既に改善に着手しており、それ以外のものについても 2020 年 3 月末までに成
  案化を図った上で、順次実行に移し、再発防止の徹底に努めてまいります。


5. 今後の対応について(財務関連)
 (1) 過年度の財務諸表の一部訂正について
     過年度の当社連結財務諸表及び財務諸表の一部訂正に伴い、平成 27 年 3 月期~2020 年 3
     月期第 2 四半期における過年度の決算短信等の訂正を本日(2020 年 2 月 6 日)開示致しま
     す。また、同期間における公衆縦覧期間中の過年度の有価証券報告書、四半期報告書 及び
     内部統制報告書の訂正報告書は、2020 年 2 月 14 日に提出する予定です。
 (2) 2020 年 3 月期第 3 四半期決算について
     2020 年 3 月期第 3 四半期決算短信は、本日(2020 年 2 月 6 日)開示致します。
     また、第 40 期(2020 年 3 月期)第 3 四半期報告書は、2020 年 2 月 14 日に提出する予定
     です。


     添付資料:「特別調査委員会の調査結果について」
      なお、本資料では、取引先および社内外の個人名につきましては非公表措置(符号化等を
      含む)を行っております。
                                                         以   上




                                3
添付資料




                                        2020 年 2 月 6 日
                                日鉄ソリューションズ株式会社


               特別調査委員会の調査結果について


特別調査委員会より受領した調査報告書を基に、当社がまとめた本件の概要は次のとおり
である。


第1章    調査の概要
 第1    経緯
      2019 年 11 月中旬、国税当局による税務調査の過程において、当社の一部の物品
   仕入販売型取引に関して循環取引との指摘を受け、その実在性に疑義を示されたこ
   とから、2019 年 12 月 13 日開催の取締役会の決議により、当社と利害関係を有し
   ない外部専門家 2 名及び当社社外監査役 1 名から構成される特別調査委員会(以下
   「調査委員会」という。
             )を設置した(同日、「特別調査委員会の設置に関するお知
   らせ」と題する適時開示)。


 第2    調査の目的・範囲
       ① 本件に関する事実関係(類似事象の存否を含む。)の確認
       ② 本件による当社連結財務諸表への影響額の確認
       ③ 本件が生じた原因の分析と再発防止策の提言
       ④ その他、調査委員会が必要と認めた事項


       調査委員会は、上記①について、国税当局からの指摘を踏まえ、当社の社会公共
   ソリューション事業部(以下「社公事業部」という。)において行われた一定の取
   引、すなわち、A 社、B 社、C 社、D 社、E 社及び F 社(6 社を総称して、以下「特
   定取引先」という。)のいずれかが販売先又は仕入先となっている取引金額 10 百万
   円以上の受注済の取引など実在性に疑義のある取引 69 件を抽出し、その実在性を
   確認する調査(以下「本件取引調査」という。
                       )の対象とした。
       また、本件取引調査の対象となった取引以外の取引については、類似事象の存否
   を確認するための調査(以下「件外調査」という。)の対象とした。




                        4
添付資料



 第3   調査体制等
  1   特別調査委員会の構成


  委員長      三宅   英貴   (弁護士   アンダーソン・毛利・友常法律事務所)
  委   員    井上   寅喜   (公認会計士     株式会社アカウンティング・アドバイザリー)
  委   員    樋口   哲朗   (公認会計士     当社社外監査役)


  2   調査補助者
                所属組織                       外部専門家
                                   池内   宏幸(公認会計士)
株式会社アカウンティング・アドバイザリー
                                   浅海   英孝(公認会計士)
                                   伊東   大幸(弁護士)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所                  髙田   将寛(弁護士)
                                   坂井   瞭平(弁護士)


第2章   調査手続の概要
 第1   調査実施期間
      調査委員会は、2019 年 12 月 13 日に設置され、2020 年 2 月 5 日までの間、調査
  及び調査結果に基づく検討を実施した。


 第2   調査対象期間
      調査委員会の調査実施時点で公衆縦覧中の当社の法定開示書類で最も古い 2015
  年 3 月期有価証券報告書に 2014 年 3 月期の決算数値が比較情報として記載されて
  いることを踏まえ、調査委員会は、2013 年 4 月から 2019 年 10 月までの期間を本
  件取引調査の対象期間として設定した。
      また、件外調査として個別取引の実在性を確認する調査については、進行期であ
  る 2020 年 3 月期及びその前年にあたる 2019 年 3 月期における循環取引の疑義のあ
  る取引を重点的に調査する観点から 2018 年 4 月から 2019 年 10 月までを基本的な
  調査対象期間として設定した。


 第3   調査手続の概要
      調査委員会は、大要、以下の調査手続を実施するとともに、調査委員会の全委員
  が出席した会議による委員会を合計 10 回開催して問題点や調査結果等の検討を行
  った。




                            5
添付資料



 1    関係資料の確認・精査
      調査委員会が確認・精査した主たる関係資料は以下のとおり。
      ①   当社の定款その他の社内規程類
      ②   当社の社内調査委員会及び社内タスクフォース(以下「社内 TF」という。)
          が作成・収集した関連資料一式
      ③   当社の組織図及び社公事業部の管理職社員の推移表
      ④   当社の売上損益データ及び製造原価情報その他の会計データ
      ⑤   実在性に疑義のある取引の決裁資料、証憑類その他の関係資料
      ⑥   2016 年 4 月から 2019 年 10 月までの間の取締役会議事録、経営会議議事録
          及び監査役会議事録並びに内部監査計画・結果報告
      ⑦   2017 年 3 月期以降の有限責任あずさ監査法人(以下「あずさ監査法人」と
          いう。)の監査計画・監査結果報告等


 2    当社の役職員に対するインタビュー
      調査委員会は、調査実施期間において、当社の役職員(元役職員を含む。)その
  他の関係者に対し、面談又はテレビ会議によるインタビューを実施し、実在性に疑
  義のある取引に係る事実関係を確認した(対象者 21 名、延べ 26 回実施)。


 3    メールデータ等の確認・精査
      調査委員会は、当社社内調査委員会が実施したデジタルフォレンジック調査の状
  況を確認して引き継ぐとともに、調査対象データやレビュー対象データを拡大する
  などして追加のデジタルフォレンジック調査を実施した(40,131 件のデータレビ
  ュー等)。
      また、調査委員会は、こうした保全データから抽出したメールデータ等をレビュ
  ーするデジタルフォレンジック調査に加え、特定のインタビュー対象者から本件に
  関連するものとして任意に提出を受けたメールや関連資料の確認・精査も行った。


 4    取引先に対する反面調査
  ⑴    特定取引先との商流確認等
      当社は、社内調査委員会が調査を開始した時期と同時期に循環取引の疑義のある
  一連の取引の調査を開始した特定取引先(複数社)と共同で事実関係を確認するた
  めのコミュニケーションを行い、それを通じて入手した資料・情報を確認するとと
  もに、調査委員会は社内 TF と連携して、特定取引先との間で面談、書面による質
  問・照会、反面調査等を行った。




                            6
添付資料



  ⑵    取引先への取引照会
      調査委員会は、本件取引調査及び件外調査として取引の実在性を検証するため、
  必要と認めた特定の売上先及び仕入先合計 30 社に対して、取引の商流や取引物の
  現物確認の状況等を確認する内容の照会状を発送し、質問に対する回答や証憑類の
  写しを入手する反面調査を実施した。発送した照会状は全件回収し、必要に応じて
  フォローアップの追加確認を実施した。


  ⑶    特定取引先の営業担当の役職員に対するインタビュー等
      調査委員会は、特定取引先(複数社)の営業担当者あるいはその上長の複数名に
  事実関係等を確認するため、各対象者の調査協力の同意を得てインタビュー等を実
  施した。


 5    従業員アンケート
      調査委員会は、類似事象の有無を確認するための件外調査の一環として、当社グ
  ループの従業員合計約 570 名に対し、実在性のない架空取引や複数の取引先間で物
  品やサービス提供が循環する商流の取引への関与等を質問する内容のアンケート調
  査を実施し回答を得た。また、必要に応じてフォローアップの調査を実施した。


 6    業務プロセス上の問題点の検討
      当社の業務プロセス上の問題点の検証と対策の検討を社内 TF に指示し、2020 年
  1 月に社内 TF から検討結果の報告を受け、調査委員会による発生原因の分析や再
  発防止策の提言内容の検討に活用した。


 7    監査法人との情報交換等
      調査委員会は、同委員会の調査結果を踏まえて当社が過年度決算の訂正を行う可
  能性を踏まえ、調査対象期間の当社の財務諸表監査を行ったあずさ監査法人の監査
  チームとの間で、調査委員会の調査の進捗状況の共有等の情報交換を目的とした面
  談を全 6 回にわたって実施した。
      また、調査委員会は、調査対象期間における財務諸表監査の状況等を確認するた
  め、2020 年 1 月に業務執行社員を含むあずさ監査法人の監査チームに対するイン
  タビューを実施した。


 8    特定の営業担当の預金通帳の閲覧等
      調査委員会は、循環取引の疑義がある物品仕入販売型取引の営業担当であった者
  の給与支払口座など同氏名義の銀行口座の預金通帳等を閲覧し、預金取引の状況等
  を確認した。

                        7
添付資料



第3章       本件取引調査の調査結果の概要
    第1    調査委員会が認定した事実関係の概要
          本件取引調査の結果、当社が特定取引先との間で行った複数の取引について実在
        性が認められず、かつ、それらの各取引はエンドユーザーが存在しない状態で当社
        を含む複数の会社が介在する形で複数回にわたって循環を繰り返す一連の商流の一
        部を構成しており、いわゆる架空循環取引と認められた。
          本件架空循環取引は A 社の営業担当であった某氏が主導したもので、当社は、会
        社としてあるいは社公事業部として組織的かつ意図的に関与したものではないこと
        に加え、当社の営業担当者にも実在性のない架空取引あるいは循環取引との認識は
        なく、某氏が主導した本件架空循環取引に巻き込まれたものと認められる。


    第2    本件取引調査で認定した架空循環取引
          調査委員会は、本件取引調査として、特定取引先が関与する取引など実在性に疑
        義のある取引 69 件を抽出し、各取引について、商流の合理性(エンドユーザーの
        有無など)、当社による取引への関与(導入・保守等の付随作業の有無)及び現物
        確認作業の有無の観点から取引の実在性の有無を調査した。
          さらに、特定取引先に対する反面調査により、当社が把握していなかった商流の
        一部を確認した結果、下表記載の 26 件及びその他 4 件の受注済取引合計 30 件は、
        いずれも社公事業部において物品仕入販売型取引(一部取引については期間保守サ
        ービスが含まれている。
                  )として受注処理等が行われているが、取引対象の物品や
        サービスが存在せず、かつ、各取引はエンドユーザーが存在しない状況で商流が循
        環する一連の架空循環取引の一部を構成していることが確認された。
                                                                     (単位:百万円)
取引        受注       売上計上      契約顧客名                       受注金額       発注先    発注金額
                                     最終顧客名      案件名
No.       年月         年月      (売り先)                       (税抜)      (仕入先)   (税抜)
    1    2014/6    2014/12                     情報関連ハー      619               592
                                             ドウェア・ソフト
                                             ウェア一式
    2    2015/6    2015/10                     情報システム       123               115
                                             機器一式他        (122)1             (113)
    3    2016/5    2016/7                      ソフトウェア       575               545
                                             ライセンス一式
    4    2016/9    2016/9                      向けサーバソ        83                79
                                             フトウェア一式
    5    2016/6    2016/11                     向け ドキュメ    1,868             1,605
                                             ントシステム関連                         113
                                             機器一式
    6    2016/10   2016/12                     向け各種ソフ       259                82

1本件取引については期間保守サービスが継続しているため売上が一部未計上となってい
る。
                    8
添付資料



取引     受注       売上計上      契約顧客名                          受注金額      発注先    発注金額
                                  最終顧客名       案件名
No.    年月        年月       (売り先)                          (税抜)     (仕入先)   (税抜)
                                          トウェア一式                             78
                                                                             84
 7    2016/8    2017/3                      向け BI 関連       825              670
                                          ソフトウェア一式                           95
                                                                             15
 8    2017/3    2017/3                      向けソフトウ         532              505
                                          ェアライセンス一
                                          式
 9    2016/12   2017/3                      情報ネットワ         479              120
                                          ーク関連ソフトウ                          335
                                          ェア一式
10    2016/9    2017/4                       向けデータベ         319              303
                                          ースソフトウェア
                                          一式
11    2017/4    2017/5                       向けセキュリ       2,343               80
                                          ティソフトウェア                         2,145
                                          ライセンス等一式
12    2016/11   2017/6                       向け各種ソフ       2,445            2,320
                                          トウェア一式
13    2016/10   2017/6                       向け運用関連         875              830
                                          ソフトウェア一式
14    2017/9    2017/9                       向け サーバ関        298              80
                                          連ソフトウェア一                          202
                                          式
15    2017/9    2017/10                      サーバ OS 等ラ      152               15
                                          イセンス 一式                            130
16    2018/2    2018/3                      向けサーバ関          274              173
                                          連機器一式                               85
17    2018/2    2018/3                      各種ソフトウ        2,345            2,085
                                          ェア一式                               120
18    2017/10   2018/3                      向け各種ソフ        4,300            2,856
                                          トウェア一式                           1,020
                                                                              80
19    2017/10   2018/6                      向けセキュリ        3,395            3,095
                                          ティ関連ソフトウ                            96
                                          ェア等一式
20    2018/4    2018/9                      向けサーバ等        3,375            1,714
                                          機器一式                             1,370
                                                                              54
21    2018/7    2018/10                     向け情報シス          365              140
                                          テム機器一式                             120
                                                                              80
22    2018/9    2018/12                     向けプロダク        3,446            3,273
                                          ト一式
23    2018/11   2019/4                      向け情報シス        4,721            2,817
                                          テム機器一式                           1,212
                                                                             120
                                    9
添付資料



取引         受注    売上計上      契約顧客名                          受注金額      発注先     発注金額
                                    最終顧客名       案件名
No.        年月     年月       (売り先)                          (税抜)     (仕入先)     (税抜)
                                                                                120
                                                                                120
 24    2019/2    2019/5                       各種プロダク       4,525              1,830
                                            ト一式                               1,547
                                                                                681
                                                                                 70
                                                                                 80
 25    2018/9    2019/5                       向けサーバ機       4,050              1,898
                                            器等一式                              1,908
 26    2019/4    2019/6                       向けソフトウ         191                 70
                                            ェアライセンス一                             45
                                            式                                    65
                                              受注金額         42,788 発注金額        40,091
                          合計                  (売上高計上      (42,786) (売上原価計   (40,090)
                                               済み金額)               上済み金額)
上記表のほか、2019 年度における受注済みの未処理案件 4 件が存在する。


      第3    架空循環取引以外の不適切な取引
           本件取引調査の結果、以下の取引については、本件架空循環取引への繋がりまで
       は認定できず、実在性を否定するに足る証拠はないものの、当社に残された証憑類
       からは取引の合理性が十分に確認できず、当時の関係者に対するインタビューによ
       っても取引の内容や合理性が確認できなかった。
           取引の合理性について十分な裏付けが取れなかった以上、本件架空循環取引と同
       様に当社における正常な営業取引とは認め難く、不適切な取引と認められる。


                                                                    (単位:百万円)
NO.             売上計上      契約顧客名                           受注金額      発注先  発注金額
      受注年月                         最終顧客名       案件名
                  年月      (売り先)                           (税抜)     (仕入先) (税抜)
 1    2014/4    2014/4                        情報基盤シス         30                27
                                            テム追加 PC 仕立て
                                            直し式
 2    2014/4    2014/4                        情報基盤シス         40                35
                                            テム 追加物品等③
 3    2014/6    2014/12                       WEB 関連ハード     108               103
                                            ウェア・ソフトウ
                                            ェア一式
                                             受注金額            179 発注金額         165
                                    合計       (売上高計上        (179) (売上原価計     (165)
                                              済み金額)              上済み金額)




                                      10
添付資料



第4章   件外調査の調査結果の概要
 第1    件外調査の調査手続の概要
  1    個別取引調査
       個別取引調査として、当該事案以外に実在性のない同種の架空循環取引が行われ
      ていないかについて、以下の取引を対象に類似事案の有無の調査を行った。


       【調査対象期間】
       調査対象期間については、一般に架空循環取引は一連の取引が途切れることなく
      継続的に行われることによってその目的が達成されるという特性を踏まえ、まず
      2018 年 4 月から 2019 年 10 月までの取引を対象として分析・調査を行い、その結
      果、問題が認められた場合には過年度訂正に必要な期間に遡って調査する方針とし
      た。
       ただし、社公事業部の本件取引調査の対象外の取引については、本件取引調査と
      同様に 2013 年 4 月から 2019 年 10 月までの取引を調査対象期間とした。


       【調査対象取引】
       当社連結グループにおいて自社での開発や製造、付随作業を伴わない直送(=自
      社倉庫を通らない)販売取引、具体的には、①物販の直送取引と②開発の完全外注
      取引を調査対象とした。ただし、いずれも1取引当たり 50 百万円以上のものとし
      た。
       当社連結グループ各社における該当取引の有無については、下表のとおりであ
      る。


                                                     物販直 開発外
                     名称           主要な事業の内容
                                                     送取引 注取引
                日鉄ソリューションズ   業務ソリューション事業、サービスソ
      親会社(当社)                                         ○   ○
                ㈱            リューション事業
                北海道NSソリューシ   ソフトウェア開発、情報システムの運
        連結子会社                                         -   ○
                ョンズ㈱         用・保守等
                東北NSソリューショ   ソフトウェア開発、情報システムの運
        連結子会社                                         -   ○
                ンズ㈱          用・保守等
                ㈱NSソリューション   ソフトウェア開発、情報システムの運
        連結子会社                                         -   ○
                ズ東京          用・保守等
                ㈱NSソリューション   ソフトウェア開発、情報システムの運
        連結子会社                                         -   ○
                ズ中部          用・保守等
                ㈱NSソリューション   ソフトウェア開発、情報システムの運
        連結子会社                                         -   ○
                ズ関西          用・保守等
                ㈱九州NSソリューシ   ソフトウェア開発、情報システムの運
        連結子会社                                         -   ○
                ョンズ          用・保守等
        連結子会社   NSSLCサービス㈱   運用・保守サービス                -   -
                ㈱ネットワークバリュ   ネットワーク・セキュリティ関連製品
        連結子会社                                         ○   ○
                ーコンポネンツ      の販売・保守等

                             11
添付資料



                                                       物販直 開発外
                      名称                主要な事業の内容
                                                       送取引 注取引
               NSフィナンシャルマ
       連結子会社   ネジメントコンサルテ          金融機関向けコンサルテーション等     -   ○
               ィング㈱
               ㈱金融エンジニアリン
       連結子会社                       金融機関向けコンサルテーション等     -   ○
               グ・グループ
               エヌシーアイ総合シス
       連結子会社                       システムソリューション事業等       -   ○
               テム㈱
               日鉄日立システムエン          システムソリューション事業、コンピ
       連結子会社                                            ○   ○
               ジニアリング㈱             ュータ関連機器の販売等
               日鉄軟件(上海)有限公         ソフトウェア開発、情報システムの運
       連結子会社                                            -   ○
               司                   用・保守等
               NS Solutions Asia   ソフトウェア開発、情報システムの運
       連結子会社                                            -   ○
               Pacific Pte. Ltd.   用・保守等
               Thai NS Solutions   ソフトウェア開発、情報システムの運
       連結子会社                                            -   ○
               Co.,Ltd.            用・保守等
               PT. NSSOL SYSTEMS   ソフトウェア開発、情報システムの運
       連結子会社                                            -   ○
               INDONESIA           用・保守等
               PT. SAKURA SYSTEM   ソフトウェア開発、情報システムの運
       連結子会社                                            -   ○
               SOLUTIONS           用・保守等
               NS Solutions USA    ソフトウェア開発、情報システムの運
       連結子会社                                            -   ○
               Corporation         用・保守等
               NS Solutions IT
                                   ソフトウェア開発、情報システムの運
       連結子会社   Consulting Europe                        -   ○
                                   用・保守等
               Ltd.


 2   全般的調査
     全般的調査として、営業担当者及び社公事業部の従業員に対するアンケート調査
  を実施した。


第2   検出事項の概要
     件外調査の結果、当社連結グループにおいて架空循環取引又はこれに類似する取
  引は検出されなかった。




                                   12
添付資料



  第5章   連結財務諸表に対する影響額
   調査委員会の見解等は、以下のとおりである。
   本件架空循環取引は、直送取引の様相を持ちながらも実際には商品の移動を一切
  伴わない実在性を欠いた架空取引である。すなわち、仕入代金として当社より仕入
  先に支払われた代金はその後特定取引先の間を循環し、当社が別取引において売上
  代金として回収した資金も、実質的には当社及び特定取引先の資金が還流してきた
  ものに過ぎないと考えられる。
   よって、会計上は本件架空循環取引に関する売上高、売上原価及びその差額とし
  て計上された取引利益、並びに、売掛金、棚卸資産及び買掛金等は実態を欠くもの
  として消去する必要がある。「第3章第2             本件取引調査で認定した架空循環取
  引」で架空循環取引として認定した取引及び「第3章第3                    架空循環取引以外の不
  適切な取引」に記載した不適切な取引に対し、各会計年度において取り消すべき売
  上高及び売上原価、並びに、売掛金残高、棚卸資産残高及び買掛金残高は以下のと
  おりである。
                     単位:千円(税抜、千円未満切り捨て)
                                   差額
                   売上高    売上原価
                                 (取引利益)
   2015 年 3 月期        643,980         608,776        35,203

   2016 年 3 月期        154,460         145,338         9,121

   2017 年 3 月期      4,658,760       4,364,078       294,681

   2018 年 3 月期     13,390,506      12,562,012       828,494

   2019 年 3 月期     10,620,727       9,981,350       639,377
   2020 年 3 月期
                   13,497,880      12,595,038       902,842
   第 2 四半期(累計)
         合計        42,966,314      40,256,594     2,709,720


                              単位:千円(千円未満切り捨て)

                                  棚卸資産
                  売掛金(税込)                       買掛金(税込)
                                    (税抜)

   2015 年 3 月期末               0      149,593              0

   2016 年 3 月期末               0      119,254              0

   2017 年 3 月期末     1,982,880         82,976       923,400

   2018 年 3 月期末     7,473,441         143,598     1,101,600

   2019 年 3 月期末               0    5,461,210      2,062,800
   2020 年 3 月期
                              0         1,080             0
   第 2 四半期末
                         13
添付資料




   一方、前述のとおり、当社から支出された資金は特定取引先に流れていたと考え
  られることから、会計上、当社における資金の支払・回収に関する資金決済差額
  は、その実態を踏まえ特定取引先に対する債権もしくは債務として認識することが
  妥当である。本件架空循環取引及び「第3章第3                架空循環取引以外の不適切な取
  引」に記載した不適切な取引に関して、各会計年度末における当社の支払額と回収
  額及び資金決済差額の推移は以下のとおりである。これら資金決済差額について
  は、通常の商取引における債権債務ではないため、仮払金・仮受金等の適当な科目
  での計上が考えられる。


                 単位:千円(税込、千円未満切り捨て)

                      仮払金            仮受金

   2015 年 3 月期末                  0     43,351

   2016 年 3 月期末                  0     52,531

   2017 年 3 月期末         690,076              0

   2018 年 3 月期末        5,213,700             0

   2019 年 3 月期末        1,872,117             0
   2020 年 3 月期
                                 0   2,926,627
   第 2 四半期末


   なお、第3章第2記載のその他 4 件の受注済取引については、本件不正取引発覚
  時点で納品未了又は支払期限未到来のため資金決済が未了の状態である。




                            14
添付資料



第6章   発生原因の分析
      本件は、A 社の某氏が主導して他社を巻き込んで架空循環取引を継続し、国税当
  局の調査により発覚した事案であり、当社もまた、従来からの取引先である A 社の
  某氏により架空循環取引に巻き込まれて関与することになったものである。
      国税当局の調査まで本件を発見できなかった主な理由は以下のとおりである。
       ・秘匿性の高い取引先向けの案件であると説明されていたこと
       ・取引実績があり定期的な与信調査において問題ない取引先との取引であった
        こと
       ・社内規程と社内システムで必要となる証憑類は整っていたこと
       ・粗利が一定程度、確保できていたこと
       ・決済、入金はきちんと行われていたこと


      また、調査委員会は、認定した事実を前提に本件の発生原因を分析した結果、当
  社の物販取引に関するリスク管理体制、納品時の現物確認や請求書等の取引書類作
  成に関する業務プロセス、取引の実在性の確認等を目的とした内部監査・モニタリ
  ング活動、商流取引に関する社内ルール(商流取引禁止ルール)の教育・指導、社
  公事業部内の牽制機能やリスク感度等の面について、課題を指摘した。


第7章   再発防止策の提言
      当社が、調査委員会から提言を受けた主な再発防止策は以下のとおりである。


 第1   リスクマネジメントの強化
      本件の架空循環取引の再発防止策としては、業務プロセスやモニタリング活動等
  の改善が有効と考えられるが、より根本的な再発防止策としては、今後、当社が大
  規模な不正・不祥事のリスクを的確に察知し、そのリスクを評価して未然防止・早
  期発見の手立てを的確に行う自律的な取組みを継続する態勢を構築することが重要
  である。


 第2   業務プロセスの見直し
  1   物販取引のリスク管理の見直し
      物販取引のリスクを的確に管理する観点からは、商流取引ではない物販取引につ
  いても、SE(システムエンジニア)の稼働する案件を主たる対象とする、プロジェ
  クト方針会議の審査体制を見直して営業主導の物販取引の受注可否を的確に審査で
  きる体制を構築すべきである。




                       15
添付資料



 2    商流取引禁止ルールの運用の厳格化
     教育研修などにより、改めて商流取引禁止ルールをその目的や趣旨とともに周知
  徹底を図るべきである。


 3    取引書類作成に関する業務プロセス(印章管理等)の改善


第3    モニタリングその他の改善策
 1    商流調査の見直し
     不正リスクの高い物販取引を抽出する基準を再検討して実効性のあるモニタリン
  グを実施すべきである。


 2    内部監査の高度化
     再発防止を徹底するためには、より深度ある手続によるモニタリングを内部監査
  により実施することは検討に値する。


 3    棚卸資産管理規程の見直し
     当社の実情に応じた棚卸資産管理規程の見直しを行うことは検討に値する。


第4    社公事業部における総括部の牽制機能及び営業の規範意識を高める施策
 1    総括部の機能・役割の明確化
      総括部の機能の明確化や各局面で期待される役割の明確化は検討に値する。


 2    業務プロセスのルールとしての文書化・明確化
      営業担当がルールとして遵守すべき業務プロセスを営業担当にも容易に知りえる
     ような形で文書化・明確化し、ルールとしての共通認識と規範意識を醸成すべきで
     ある。


 3    営業担当に対する教育・研修の徹底


                                           以上




                      16