2191 J-テラ 2020-10-12 10:00:00
学校法人慶應義塾と共同研究契約を締結 腫瘍浸潤リンパ球輸注療法のための製造法の効率化を目的とした基礎検討 [pdf]
2020 年 10 月 12 日
各 位
会 社 名 テ ラ 株 式 会 社
代表者名 代 表 取 締 役 社 長 平 智 之
(コード番号: 2191)
問合せ先 執行役員 / 管理本部長 玉 村 陽 一
(電話:03-5937-2111)
慶應義塾大学医学部と共同研究契約を締結
―腫瘍浸潤リンパ球輸注療法のための製造法の効率化を目的とした基礎検討―
当社は、2020 年 9 月 14 日開催の取締役会において、慶應義塾大学医学部(所在地:東京都新宿区)と腫瘍
浸潤リンパ球輸注療法の製造法の効率化を目的とした基礎研究に係る共同研究契約1(以下、
「本契約」
)を締
結することを決議し、10 月 12 日に契約を締結しましたので、お知らせ致します。なお、当社は、本契約に基
づき、関連研究費の負担等を行います。
腫瘍浸潤リンパ球輸注療法(以下、「TIL 療法」 2 は、養子免疫療法とよばれ、米国国立がん研究所の
)
Steven A. Rosenberg 博士によって開発された、がん免疫細胞療法です。現在、期待されているがん免疫療法
は、①免疫チェックポイント阻害薬、②CAR-T 療法、そして、当社が治験を進めている③樹状細胞ワクチン療
法です3。TIL 療法開発の歴史は古く4、本来は、②CAR-T 療法の代わりになるべき免疫療法でしたが、CAR-T 療
法が白血病で承認されたために、世界的な研究開発は CAR-T 療法に焦点が定まっています。CAR-T は遺伝子を
改変した T 細胞である一方、TIL は自分自身の T 細胞であることから CAR-T と比較して副作用をコントロール
しやすい利点があります。また、CAR-T を白血病以外の固形がんに応用するまでにはブレークスルーが必要で
すが、TIL 療法は既にメラノーマ、乳癌、子宮頸癌等の固形がんで臨床試験が行われています5。当社が既に日
米で研究が行われている TIL 療法の開発に着手する背景は以下の通りです。
① TIL 療法は、高い腫瘍縮小効果6を示すため、がん免疫細胞療法の中でも期待されている療法である。
② しかしながら、同療法は、がん組織に浸潤し、患者に特異的ながん抗原をターゲットとしているリンパ
球(以下、TIL)を回収する必要があることから、TIL がない患者には利用できないため、対象となる患
者が限定される。
1
共同研究契約:
「先進医療 B(進行子宮頸癌に対する骨髄非破壊的前処置および低用量 IL-2 を用いた短期培養抗腫瘍リン
パ球輸注療法の第 II 相臨床試験)で作成した腫瘍浸潤リンパ球および製造のために採取した末梢血単核球の特性および安
全性に関する基礎的研究」
2 腫瘍浸潤 T リンパ球輸注療法は、がん組織に浸潤しているリンパ球を抽出し、そのがん組織に対して殺傷能力の高いリ
ンパ球へと誘導し、体内に戻す治療法です。がん組織の中から採取したリンパ球、すなわち腫瘍浸潤 T リンパ球(以下、
「TIL」 )は、すでに抗原提示を受けて活性化しているものが多く、末梢血から採取したリンパ球と比べてがん細胞に特異
的な細胞傷害活性をもつと考えらえています。
3 日経サイエンス別冊 234「最新免疫学 がん治療から神経免疫学まで」 、がん免疫療法3つのアプローチ、 2019 年 8
月 23 日発行
4 2002 年 Science 誌 298 巻 850-854 項. Rosenberg 博士のグループによる発表
5 2016 年 Journal of Clinical Oncology 誌 34 巻 2389-2397 項;2018 年 Nature Medicine 誌 24 巻 724-730 項;2019 年
Clinical Cancer Research 誌 25 巻 1486-1493 項
6子宮頸癌における腫瘍縮小効果(Objective tumor regression)が 28%、悪性黒色腫における完全緩解(Complete
regression)が 24%。 (以下、出所)
Goff S. L.et al.: Journal of Clinical Oncology 2016; 34: 2389-2397
Stevanović S. et al.: Clinical Cancer Research 2019; 25: 1486-143
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③ 同療法は IL-27と呼ばれる医薬品との併用療法であるため時間とコストがかかる。
④ 同療法には他人の血液が必要となる。
⑤ 同療法には他の再生医療等製品と比較して煩雑な作業が必要となる。
⑥ TIL が、がんに抑制されると抗がん効果が著しく低減する。
以上のような状況により、同療法は 1990 年代に開発されたにも関わらず、未だに薬事承認されておりませ
ん。当社と致しましては、同療法の将来性を見込み、上述の課題解決を目的として慶應義塾大学医学部との研
究開発を行う契約を締結した次第です。
TIL の研究開発を進めるには、TIL に関する非臨床試験・安定性試験・純度試験・製品の規格設定のための
試験等、詳細なデータ取得が必要とされます。また、再生医療等製品としての供給体制を拡充するために、製
造法のさらなる効率化が不可欠であり、細胞培養の自動化の検討も開始しなければなりません。本共同研究に
より、以上の課題を解決していく予定です。
当社は、本契約に基づき研究費の負担等を行いますが、2019 年 8 月 27 日付で当社ホームページにて公表及
び 2019 年 9 月 24 日付で適時開示にて公表の「中期経営計画(2019 年~2021 年)
」に基づき、次世代技術の研
究開発を推進し、より優れたがん治療の開発につなげることで、がん患者の皆様への貢献と企業価値の向上を
実現してまいります。
なお、本件が 2020 年 12 月期の連結業績に与える影響は軽微であり、本共同研究の進展について公表すべき
事項が生じた場合には、速やかにそれを開示いたします。
以上
7一般に、細胞が他の細胞に情報を伝えるために使用しているタンパク質をサイトカインと呼んでいます。この中でも白血
球と白血球の間で働いているタンパク質をインターロイキンと呼びますが、IL-2 はインターロイキンの仲間で免疫に関
わっていることから、人工的に製造した IL-2 は、がん免疫療法等に利用されてきました。IL-2 は T 細胞を増やし、元気
にする働きがあることから主に T 細胞を利用している TIL 療法にも併用薬として使用されています。
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