2191 J-テラ 2020-08-18 18:00:00
樹状細胞ワクチン療法の新規がん抗原ペプチドに係る特許が欧州および香港で成立 [pdf]

                                                       2020 年8月 18 日
各 位


                          会 社 名    テ   ラ    株      式       会       社
                          代表者名     代 表 取 締 役 社 長   平           智   之
                                                (コード番号: 2191)
                          問合せ先     執行役員 / 管理本部長    玉   村       陽   一
                                                (電話:03-5937-2111)



       樹状細胞ワクチン療法の新規がん抗原ペプチドに係る特許が欧州および香港で成立



 テラ株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:平 智之)が保有する新規がん抗原ペプチドに係る
特許が、日本と中国に次いで*1、このたび、欧州および香港で成立いたしました。欧州はがんに対する免疫
療法の開発が盛んな地域です。また、香港は中国及び東南アジア等への展開には重要な拠点となります。
 本特許による新規がん抗原ペプチドは樹状細胞ワクチン療法に用いられますが、樹状細胞ワクチン療法自体
は既に世界各国で薬事承認*2されており、免疫チェックポイント阻害薬及び CAR-T 療法に次いで期待されてい
るがん免疫療法*3のひとつです。そして、樹状細胞ワクチン療法には良質な「がん抗原」が必須であり、今
回特許が成立した当社の新規がん抗原ペプチドは、単一のがん種のみならず、複数のがん種の治療に用いるこ
とができます。
 この新規がん抗原ペプチドは、当社が従来から保有するがん抗原ペプチドに係る特許「WT1 抗原性ポリペプ
チド、および該ポリペプチドを含む抗腫瘍剤」※4を用いた、MHC クラス I+MHC クラス II※5拘束性のハイブ
リッドロングペプチド(以下、HK-HELP-WT1)になります。HK-HELP-WT1 は、キラーT 細胞(細胞傷害性 T 細
胞)※6のみを活性化するこれまでのがん抗原ペプチド(MHC クラス I 拘束性ペプチド)とは異なり、ヘルパー
T 細胞※7を効率よく活性化することで、がん特異的キラーT 細胞を増強することができます。ヘルパーT 細胞
とキラーT 細胞を同時に活性化できることから、ヘルパー(H)とキラー(K)の名を取って HK-HELP と命名さ
れました。また、当社プレスリリース 2020 年 8 月 11 日付公表の「ステルスがん抗原」等、次世代の「変異し
たがん抗原」や「がんに隠されたがん抗原」が今後見つかった場合にも、本特許を利用することができ、それ
ぞれ単独のペプチドの効果を増強できることが期待されます。
 また「WT1 ペプチド」は、当社が世界で唯一独占ライセンスを保有しており、がんワクチンの分野で圧倒的
に有効だと考えられているがん抗原です※8。HK-HELP-WT1 の特許は、この WT1 ペプチドをさらに強化する特許
となり、ほぼすべてのがんを治療の対象として含みます。今後は HK-HELP-WT1 を用いた樹状細胞ワクチン療
法の臨床応用を促進し、研究開発を推進することで、ひとりでも多くのがん患者さまに、より効果のある樹状
細胞ワクチンを提供できるよう努めてまいります。
 なお、本件が 2020 年 12 月期の連結業績に与える影響は軽微であり、本技術の進展について公表すべき事項
が生じた場合には、速やかにそれを開示いたします。


*1 日本と中国の成立
  日本の成立:2016 年 9 月 16 日
  中国の成立:2019 年 7 月 19 日




                               1
*2 各国で承認された他社の樹状細胞ワクチン




*3 日経サイエンス別冊 234「最新免疫学 がん治療から神経免疫学まで」
                                    、がん免疫療法3つのアプローチ、
2019 年 8 月 23 日発行


*4
「WT1 抗原性ポリペプチド、及び該ポリペプチドを含む抗腫瘍剤」
 日本特許番号:第 6005305 号
 香港特許番号:1229830
 中国特許番号:ZL201580010582.4
 欧州特許番号:3112378


*5
 MHC とは自己と非自己の細胞を区別する目印であり、主にクラス I とクラス II に分けられます。クラス I は
キラーT 細胞、クラス II はヘルパーT 細胞の分化、増殖、活性化に関与します。HK-HELP-WT1 は、MHC クラス
I+MHC クラス II 拘束性ペプチドを人工的に結合させたアミノ酸44個からなる人工がんペプチドです。


*6
 キラーT 細胞は、樹状細胞等の抗原提示細胞から提示された異物(ウイルス感染細胞やがん細胞)を認識し、
活性化することで異物を攻撃することのできる細胞です。抗原提示細胞により提示される抗原ペプチドを認識
するとともに、ヘルパーT 細胞等からの刺激により活性化され、抗原を提示している異物へ特異的な攻撃を行
います。


*7
 ヘルパーT 細胞は、主に Th1 細胞及び Th2 細胞に分類されます。インターフェロンγやインターロイキン等
の様々なサイトカインを産生し、他の免疫細胞の活性化や機能補助を行います。Th1 細胞は抗原提示細胞やキ
ラーT 細胞に作用して、細胞性免疫を活性化させます。Th2 細胞は抗原提示細胞や B 細胞に作用して、抗体産
生を促進します。


*8
     WT1 は、ほぼすべての固形がん・血液がんに発現していることが明らかにされているがん抗原であり、
2009 年に米国の学会誌(Cheever MA, et al.: Clin Cancer Res 2009; 15: 5323-5337)において、がん治療
に用いる有力な目印の候補の第 1 位として紹介されました。現在、当社が臨床で提供している WT1ペプチド
の特許権者は株式会社癌免疫研究所です。


                                                                          以上




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