2176 J-イナリサーチ 2020-11-18 08:30:00
MHC統御カニクイザルによる不妊治療研究の成果に関するお知らせ [pdf]

                                                 2020 年 11 月 18 日
各   位
                       株   式   会   社   イ   ナ    リ   サ    ー   チ
                       代 表 取 締 役 社 長           中  川  賢    司
                                               (コード番号:2176)
                       問い合わせ先: 執行役員 IR担当     野 竹 文 彦
                       電 話 番 号   0 2 6 5 ( 7 2 ) 6 6 1 6



    MHC 統御カニクイザルによる不妊治療研究の成果に関するお知らせ


 慶應義塾大学医学部、東海大学医学部、滋賀医科大学医学部および株式会社イナリサーチ(以下「当
社」という)による研究グループは、MHC 統御カニクイザルを用いて子宮移植を行い、非ヒト霊長類
動物において世界で初めて子宮移植後の出産に成功いたしましたので、お知らせいたします。
 なお、この成功は 2013 年に国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の研究成果展開事業 研
究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)として開始され、その後 2015 年から国立研究開発法
人日本医療研究開発機構(AMED)に移管された後、医療分野研究成果展開事業 研究成果最適展
開支援プログラム(A-STEP)の支援によって 2017 年まで実施された研究の成果としてもたらさ
れたものであります。

                       記

1.研究の概要および意義
 添付「世界初、非ヒト霊長類動物で子宮移植後の出産に成功」をご参照ください。

2.今後の見通し
 本研究は今後臨床応用され、国内における不妊治療の選択肢を広げることにつながると期待されてい
ます。
 なお、本件が当社の業績に与える影響については現在算定中であります。
                                           以 上
                                                  2020 年 11 月 18 日
各位
                                                 慶應義塾大学医学部
                                                     東海大学医学部
                                                 滋賀医科大学医学部
                                              株式会社 イナリサーチ


      世界初、非ヒト霊長類動物で子宮移植後の出産に成功
               -子宮性不妊患者に希望の光-

 慶應義塾大学医学部産婦人科学(婦人科)教室の木須伊織特任助教、阪埜浩司准教授、青木
大輔教授、同外科学(一般・消化器)教室の尾原秀明准教授、東海大学医学部医学科基礎医学
系分子生命科学の椎名隆教授、滋賀医科大学病理学講座疾患制御病態学部門の伊藤靖教授、滋
賀医科大学動物生命科学研究センター土屋英明博士、株式会社イナリサーチの中川賢司代表取
締役社長らを中心とした研究グループは、カニクイザルを用いて子宮移植を行い、非ヒト霊長
類動物において世界で初めて子宮移植後の出産に成功しました。
           もしくは何らかの原因で子宮を失った 20~30 代の子宮性不妊症
 生まれつき子宮がない、                               (注
1)の女性は国内で約 6 万人存在します。それらの女性は、自らのお腹で妊娠、出産すること
が不可能でしたが、2000 年頃より子宮を移植することで妊娠出産を目指す子宮移植研究が行
われ始めました。これまでラットやヒツジなどの動物での子宮移植後の出産は報告されていた
ものの、ヒトに解剖生理学的に近い非ヒト霊長類動物を用いた子宮移植後の出産は報告されて
いませんでした。
 今回、研究グループは、MHC(Major Histocompatibility Complex; 主要組織適合性複合体)
(注 2)を統御したカニクイザルを用いて、母娘間での子宮移植を想定した動物実験モデルを
作製し、その後、非ヒト霊長類の子宮移植例としては世界で初めて妊娠、出産に成功しました。
 非ヒト霊長類動物での検証は新しい技術の臨床応用を視野に入れた前臨床試験(注 3)とし
て大変有用ですが、カニクイザルはヒトと比べて非常に小さく、術後管理も難しいことから、
子宮移植モデルの作製は困難であると考えられていました。今回、研究グループによるカニク
イザルでの子宮移植の成功により、この動物での子宮移植が技術的に可能であることが証明さ
れ、さらに、そのモデル作製は子宮移植に関わる医学的課題の解明にもつながる大きな成果で
あると言えます。研究グループは、今後、国内初の子宮移植の臨床応用を目指しており、これ
まで妊娠出産が不可能とされていた子宮性不妊女性に福音をもたらすことが大いに期待され
ます。
       2020 年 11 月 18 日
 本研究成果は、                           『Journal of Clinical Medicine』
                       (日本時間) 国際医学雑誌
                             に、
に掲載されました。

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【用語解説】
(注 1)子宮性不妊症:不妊症の中で原因が子宮にある不妊症をさす。生まれつき子宮がない、
     もしくは有しても機能しない、または何らかの原因で子宮を摘出したことによって生
     じた不妊症。
(注 2)MHC(Major Histocompatibility Complex; 主要組織適合性複合体):抗原特異的な
     免疫応答の誘導などの働きを担う細胞膜表面上の糖タンパク質のこと。ドナーとレシ
     ピエント間における MHC 型の一致は、移植片生着のための重要な指標の一つである。
(注 3)前臨床試験:人を対象とする臨床試験の前に行う試験のこと。




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