1959 九電工 2019-10-11 13:30:00
築上町し尿処理施設建設工事に関連する社内処分と再発防止策の具体的な内容について [pdf]

                                     2019年10月11日
各   位
                       上場会社名     株式会社    九電工
                       代表者       代表取締役社長         西村 松次
                       (コード番号    1959)
                       問合せ先責任者   総務部長    恒松 孝二
                      (TEL       092-523-1691)



    築上町し尿処理施設建設工事に関連する社内処分と再発防止策の具体的な内容について



 弊社が2016年7月に落札した築上町し尿処理施設建設工事(以下「本件工事」といい
ます。
  )に関連して、弊社(元)社員1名が公契約関係競売入札妨害及び贈賄を行ったとして、
また弊社社員3名が談合を行ったとして、それぞれ有罪判決を受けました。
 このような事態に至りましたことについて、関係各位に、改めて深くお詫び申し上げます。
    弊社は、今回の事態を厳粛かつ真摯に受け止め、すべての事業活動において法令遵守を
徹底し、皆様からの信頼の回復に努めてまいります。
    つきましては、本件工事に関連して厳正な社内処分を行うとともに、本年6月に
お 知 ら せ しま し た 再発防止策について、具体的な内容を取りまとめましたので、下記の
とおりお知らせいたします。



                        記



Ⅰ.処分について
 1.社員
    ・有罪判決を受けた社員4名については、弊社の就業規則に基づき、1名を懲戒解雇
     とし、残る3名を各5ヶ月又は6ヶ月の懲戒停職(出勤停止)とし、併せて役割資格
     の降格を行いました。
    ・その他本件工事につき、一定の責任を有する社員13名についても、弊社の就業規則に
        基づき、厳正な社内処分を行いました。



 2.取締役及び執行役員
    ・代表取締役社長につき、今後3ヶ月、月額報酬を20%減額としました。
    ・専務執行役員北九州支店長につき、今後3ヶ月、月額報酬を20%減額としました。
    ・執行役員営業本部副本部長につき、今後1ヶ月、月額報酬を20%減額としました。
Ⅱ.再発防止策の具体的内容について


 弊社は、本年4月、再発防止策の骨子として以下の5項目を設定しました。
 1.法令遵守についての徹底的な再教育の実施
 2.クリーンで健全な風土への改革
 3.外注企業への発注スキームの改善
 4.外注企業に対する不正加担や協力拒否の周知
 5.内部及び外部からの通報制度の更なる強化、活用の促進


 上記骨子に基づき、弊社は、本年6月、再発防止策の根幹となる、社長による『不正行為
決別宣言』を行い、「すべての事業活動において、法令遵守を徹底する」ことを掲げ、不正
行為を許さない、不正行為が行えない、不正行為が露見する仕組みの構築に努める旨を宣言
し、再発防止策の概要を開示いたしました。
 今般、その具体的な内容を以下のとおり取りまとめましたので、これを開示するとともに、
今後速やかに実施することといたします。


 1.コンプライアンス意識の醸成
 (1)不正を指摘できる企業風土の構築に向けた社員の意識改革
   ・全社員に向け、社長による「不正行為 決別宣言」を発し、各事業所において周知を
    図る。
   ・「九電工行動憲章」の再周知。
   ・あらゆる機会を通じた役員による「不正行為 決別宣言」の周知徹底。


 (2)コンプライアンス教育の再徹底
 ⅰ)階層別、職務別に、必要とされる法令知識や過去の事例に基づき『教育内容を再構築』
    し、徹底した教育を実施する。
   ・社外講師によるコンプライアンス教育を実施し、受講者が社会通念上の基準を知り、
    九電工グループで水平展開ができるよう教育する。
   ・社内講師においても、社内事例を踏まえ、階層別研修その他必要とされる会議にて
    教育を実施する。


 (3)『営業行動指針』の策定と周知徹底
 ⅰ)すべての営業活動に関して、不正となり得る行為を具体化し、行動指針をもとに、
    適切な対応がとれるよう、営業担当者向けに教育を実施する。
   ・「営業行動指針」及び、
              「営業担当者が行ってはならない具体的行為」を策定。
    営業活動において行ってはならない具体的行為を明確にし、今後、教育計画を作成
    し教育を実施する。
(4)不正行為未然防止のための意識付け
 ⅰ)工事応札に際しての社内書類に「法令遵守捺印欄」などを新設する。
  ・毎年、従業員から取得するコンプライアンス誓約書の内容に、営業行動指針の遵守
   を追加し、営業に携わるすべての社員が法令を遵守することを誓約させる。
  ・営業決裁伺書に法令遵守誓約欄を追加し、担当者が不正な点が無いことを確認し、
   捺印する。


2.社内チェック機能の強化
(1)原価の精査の徹底
 ⅰ)見積原価、受注原価、実行予算などについて、営業・技術が連携して厳格に精査する
   ことにより、不正なコストが入り込む余地を排除する。
 ・見積原価への不明瞭な経費の計上を禁止し、実行予算への反映をできないようにする。
 ・施工検討会を確実に実施する。また、その際にはコンプライアンス上の問題が無いかを
   確認し、施工検討会記録書に記載する。
  ・外注工事における一式見積りを禁止する。


(2)新人事・評価制度の徹底
 ⅰ)適切なローテーションの実施により、不正の温床を作らない。
  ・定期異動時に長期滞留者をピックアップし、確認を行う。事業所長については、
   滞留基準を 5 年として確認・検証を行う。
 ⅱ)多面評価により、多くの目があることを意識させる。
  ・本年度からポスト職に導入済であるが、その運用を徹底する。


(3)業務処理におけるチェック機能の強化
 ⅰ)内部及び自主監査の実施方法の見直しにより、チェック機能を強化する。
  ・社長室による内部監査の強化として、原価発生状況の分析により、支出時期や金額
   に不審な点があるものを抽出し、内部監査時に詳細を確認する。
 ・支店において外注発注業務の抜き打ちチェックを実施し、社長室がその状況を内部
  監査時に確認する。
  ・各部門において、自主監査を強化する。


(4)システムによる検証の強化
 ⅰ)メール内容のチェックなどに、不正行為監視システムの導入を検討する。
  ・メール等、従業員の情報システム利用状況を監視するシステムの導入について、
   費用対効果の検証を含め、短期間のテスト導入を行い、可否を検討する。


3.外注発注スキームの見直し
(1)外注発注での不正が起こらないスキームを徹底的に追求する。
 ⅰ)施工部門と発注部門を分離する。
  ・外注工事の発注部門を支店技術部に設置し、施工部門(営業所)から分離する。
  ・営業所長の外注発注金額権限を減額する。
(2)外注発注額の妥当性について検証の強化
ⅰ)施工検討会を確実に実施し、原価管理を徹底する。
 ・施工検討会を確実に実施する。
 ・施工検討会記録書にコンプライアンス上のチェック項目を追加する。
ⅱ)管理者が発注差異を確認後、承認するなどの新規システムを構築する。
 ・実行予算書のシステム承認を行わないと、外注発注ができないようにする。
 ・外注発注のシステム承認がないと「注文書・請書」の印刷及び工事出来高請求処理が
   できないようにする。


(3)工事発注に対する不正監視機能の強化
ⅰ)事務部門を中心とした工事発注抜き打ちチェックの実施。
  ・支店において外注発注業務の抜き打ちチェックを実施し、社長室がその状況を内部
   監査時に確認する。


4.外注企業への不正防止の徹底
(1)外注企業への不正防止の協力要請
ⅰ)不正加担や協力拒否を要請する。
 ・主要な取引先へ、弊社との適正な取引の徹底についての文書を送付する。
 ・定期的に適正な取引についての要請を文書にて行うような仕組みを検討する。


(2)外注企業との契約書の項目の見直し
ⅰ)工事請負契約書、工事請負約款に記載されている不正防止項目を今後も定期的に
  検証する。


5.通報制度の強化と社内処分の厳格化
(1)通報制度の強化と周知
ⅰ)不正行為を発見した場合、内部通報を義務化することについては、今後の検討課題
  とする。なお、内部通報者の保護を含め、通報しやすい環境・土壌作りに注力する。
 ・コンプライアンス委員会運営規程から「コンプライアンス相談窓口について」を分離
  し、
   「内部通報制度規程」を新設。今後、内容を充実させるとともに、その必要性に
  ついて周知を行っていく。
ⅱ)コンプライアンス窓口の周知を再度徹底する。
 ・社報への掲載を、隔月から毎月とする。
  ・新たに「不正行為決別宣言」及びコンプライアンス相談窓口を記載したカードを
  作成し、全従業員へ配布する。


(2)社内処分の厳格化
ⅰ)賞罰を厳格化し、適用を厳正化する。
 ・2019 年 1 月に改定し、細則を定めた「懲戒処分基準」により、厳格な運用を徹底する。


                                           以上