1954 日工営 2020-12-14 13:30:00
2021年6月期第1四半期報告書および第1四半期決算短信の提出、ならびに2020年6月期有価証券報告書等および決算短信の訂正に関するお知らせ [pdf]
2020 年 12 月 14 日
各 位
会社名 日本工営株式会社
代表者名 代表取締役社長 有元 龍一
(コード 1954 東証第一部)
問合せ先 コーポレートコミュニケーション室長
菅原 茂樹
TEL 03-5276-2454
2021年6月期第1四半期報告書および第1四半期決算短信の提出、
ならびに2020年6月期有価証券報告書等および決算短信の訂正に関するお知らせ
当社は、2020年11月11日付「2021年6月期第1四半期決算発表の延期のお知らせ」のとおり、今
期第1四半期決算ならびに過年度の決算内容の精査を進めてまいりました。
本日、その結果に基づき、2021年6月期第1四半期報告書を関東財務局へ提出および同期決
算短信を公表するとともに、2020年6月期有価証券報告書等の訂正報告書を併せて提出、同期決
算短信の一部を訂正し公表いたしますので、お知らせいたします。
株主および取引先の皆様をはじめ、関係各位には多大なるご心配とご迷惑をおかけいたしまし
たことを深くお詫び申し上げます。
記
1.本日付(2020年12月14日)で提出する報告書等
(1) 四半期報告書
2021年6月期 四半期報告書(自 2020年7月1日 至 2020年9月30日)
(2) 決算短信
2021年6月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
2.本日付(2020年12月14日)で訂正する報告書等
(1) 有価証券報告書の訂正報告書
第76期 有価証券報告書 (自 2019年7月1日 至 2020年6月30日)
(2) 内部統制報告書の訂正報告書
第76期 内部統制報告書 (自 2019年7月1日 至 2020年6月30日)
※ 内部統制報告書の訂正報告書の提出に関しましては、別途「内部統制報告書の訂正
報告書の提出に関するお知らせ」を本日(2020年12月14日)開示いたしますのでご参照
ください。
(3) 決算短信(訂正版)
2020年6月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
3.決算訂正の影響額
【連結財務諸表】 (単位:百万円)
訂正前 訂正後 影響額 影響率
期間 項目
① ② ②-① %
売上高 112,604 112,214 △389 △0.3%
営業利益 5,372 4,590 △781 △14.5%
第76期 経常利益 5,384 4,603 △781 △14.5%
(2020年6月期) 親会社株主に帰属
3,315 2,726 △588 △17.8%
通期 する当期純利益
総資産 130,587 130,215 △371 △0.3%
純資産 60,059 59,470 △588 △1.0%
【個別財務諸表】
訂正前 訂正後 影響額 影響率
期間 項目
① ② ②-① %
売上高 69,821 69,431 △389 △0.6%
営業利益 2,394 1,613 △781 △32.6%
第76期
経常利益 3,917 3,136 △781 △19.9%
(2020年6月期)
当期純利益 3,115 2,526 △588 △18.9%
通期
総資産 106,611 106,240 △371 △0.3%
純資産 54,033 53,444 △588 △1.1%
4.訂正の経緯および理由
(1) 損失の発覚と調査の実施
2020年7月から9月にかけて、当社エネルギー事業統括本部パワー&デジタル事業本部
(電力関連機器の設計・製造・据付工事を担当)において施工中の立軸水力発電の4案件
につき、大幅な原価予算超過の可能性が高いことが判明いたしました。これを受けて、本年
9月中旬に対策本部(本部長:社長、副本部長:エネルギー事業統括本部長、構成員:エネ
ルギー事業統括本部、経営管理本部、内部監査室、技術監査室)を設置し、社内調査を行
った結果、予算超過の4案件における損失金額(売上総利益の赤字金額)は、合計約8億円
に上る見込みとなる可能性が高いことが判明いたしました。また、本年10月下旬では、 2021
年6月期第1四半期決算への影響のみならず、過年度決算の訂正も必要となることが見込ま
れました。
会計への影響も考え、受注から売上に至るプロセスに根本的な問題がなかったか、その
原因や背景を掘り下げて調査を行う必要性があると判断に至り、客観性を確保するため、本
年11月上旬に独立役員である社外監査役(シティユーワ法律事務所弁護士小泉淑子)なら
びに外部の弁護士を構成員(同事務所武田涼子氏、貞弘賢太郎氏)、補助者(当社監査役:
本庄直樹) を加えた外部アドバイザリーチームを設置し、調査を実施いたしました。
調査では、本年11月4日から11月30日までの間に、エネルギー事業統括本部から提出さ
れた資料を精査するとともに、関係者8名へのインタビューを実施し、11月30日に調査報告
書を取りまとめました。なお、調査報告書については営業上のノウハウおよび顧客の特定に
つながる記述が含まれているため、以下に内容を要約してお知らせいたします。
(2) 予算超過案件の実態把握
上記4案件(受注額合計約24億円)のほか、2021年6月期第1四半期末時点で受注済み・
施工中または未着手の立軸水力発電8案件(出力2,000kW~12,000kW級)(受注額合計
約80億円)の予算について、経験のある技術者による精査を実施し、予算超過の有無を詳し
く調査いたしました。
その結果、さらに1案件(受注額約7億円、2021年6月期より作業開始)で予算超過(約1億
円)が確認されましたが、その他の7案件(受注額合計約73億円)は予算の増加は見られるも
のの、損失に至るものは存在しませんでした。
なお、パワー&デジタル事業本部の上記以外の水力発電案件(60件)を確認したところ、
大幅な予算超過はなく、今後、多額の損失が発生する可能性は極めて低いと判断いたしま
した。
(3) 上記実態を生じさせた原因分析
対策本部では会計への影響も考え、予算超過の原因について、受注から売上に至るプロ
セスの根本的な問題や原因および背景を掘り下げて調査を行う必要性があると判断し、外
部アドバイザリーチームの指導のもと慎重な調査を行いました。その結果、過年度に売上計
上した4案件は、作業工程中の技術的課題の解決に時間を要したこと、工程別の予算管理
が適切に行われておらず予算増額(増加額の合計約10億円)の判断が遅延していたことが
判明いたしました。
背景といたしましては、当社は立軸水車・発電機製造・据付工事を含む豊富な実績があり
ますが、2012年の固定価格買取制度前の水力発電案件減少の間、同種案件の実績が乏し
い状況が続いておりました。調査の結果、作業開始当初に作成された原価予算が過小に積
算されたことに気付かず、作業の進捗とともに予算不足を認識したため、予算超過発見の遅
延に至っていることが判明しました。ただし、作業開始当初に作成された予算はその時点で
は最善の見積もりを行っていると認識しており、不当に安価な原価予算作成の意図をうかが
わせる事実はなかったと判断いたしました。
加えて、品質確保や納期遵守のため、社外発注等に頼ることが多くなり、コストが想定より
高く発生していたことも判明しました。予算超過の兆候を見逃していた理由としましては、工
程別の予算管理がなされておらず、総予算のみで管理されていたため、発見が遅延したこと
によります。ただし、予算超過の事実を隠蔽、また発見を遅らせるなどの意図的な行為は確
認されませんでした。
これらは、予算管理体制および生産体制が十分ではなかったことに起因するものと考えて
おります。
(4) 会計処理
本年11月30日、外部アドバイザリーチームの指導・助言を得ながら対策本部がまとめた調
査結果により、進行基準による売上高389百万円が過大に計上されていたこと及び工事損
失引当金396百万円が適時に計上されていなかったことが判明したため、当社が過去に公
表した連結財務諸表について、会計処理等を訂正すべきと判断いたしました。
予算超過が判明した5案件のうち4案件の過年度遡及時期について、確認を行ったとこ
ろ、先行していた案件が、工期終盤を迎え、2020年6月期第4四半期決算から2021年6月期
の開始付近のタイミングで想定外の費用発生が確定したため進捗度が大きく高まり、総予算
の見直しが行われました。その事実を受けて、他の案件も見直しを行いました。
その結果、当社は起こった事象の重要性を鑑み、進行基準計算により売上高の減額、工
事損失引当金の計上が必要と判断のうえ、2020年6月期第4四半期決算を訂正することと
し、売上高を△389百万円、工事損失引当金繰入額396百万円を計上した結果、営業利益・
経常利益を781百万円、当期純利益を588百万円、それぞれ減額しました。
なお、残る1案件は本年11月時点で作業は開始しておらず、予算精査をあらためて行っ
たところ超過が見込まれたため、2021年6月期第1四半期に118百万円の工事損失引当金
を計上すべきことが判明し、計上を行いました。
(5) 会計上の適時性
2020年6月期の後発事象として、適切な対応が取られていない点について、当事案の発
生と認識時期について時系列で確認したところ、本年7月に担当部署で約6億円の大幅な
予算超過の兆候が現れた時点、本年9月中旬に対策本部を組織した時点などで後発事象
として捉え、適時適切に対応すべきでした。
調査を開始した時点では、発生事象および発生時期が不明確、かつ、予算の精査も進
行中であったため、損失額も未確定の状態でした。そのため、まず、予算増加の原因究明と
適切な総予算額の再積算を実施いたしましたが、技術的課題の確認、積算結果の検証等
により多くの時間を要しました。立軸水力発電12案件の予算精査の他、水力発電案件(60
件)についても予算超過の有無の確認が行われた関係で全体の損失額の把握に本年10月
初旬までかかりました。背景として、過去、この規模の損失が発生した経験が無かったため、
増加予算額に対し十分な確認作業が必要との判断がありました。
なお、この時点では2021年6月期第1四半期決算にて全額計上することを想定しておりま
した。
その結果、本年9月下旬の段階では情報に不確かな部分が多く、発生事象に対し、決算
開示への対応の必要性を検討・判断を行う体制が取られていなかったため、決算訂正の検
討に至らず、適切な判断が行われておりませんでした。
5.内部統制の不備とその再発防止策
上記4.訂正の経緯および理由で記載したとおり、当社において、大型立軸水力発電案
件における受注から売上までの予算・原価管理体制が不十分であったこと、期末日の翌日
から有価証券報告書の提出日に至るまでに発生した事象を即座に把握し、事実関係の確
認や対応方針を検討するプロセスが不足していたこと等により、内部統制に不備が生じてい
たと考えております。
以上のことから、当社の内部統制は有効に機能していなかったと判断し、開示すべき重要
な不備に該当すると判断し、2020年6月期の内部統制報告書の評価結果に関する事項を
訂正することといたしました。
外部アドバイザリーチームの指導・助言を得ながら対策本部がまとめた調査結果をふま
え、当社は再発防止を図るため、内部統制の整備、水力発電部門の体制拡充および管理
体制の強化に係る以下の方策を講じます。
(1) 内部統制の整備、改善
① 大型立軸水力発電案件における作業工程別に細分化した予算管理および原
価予想のルール策定
② 大型立軸水力発電案件における工事損失引当金の見積確認方法の改善
③ 期末日の翌日以降、有価証券報告書の提出日に至るまでに発生した事象の
チェック機能の強化および報告体制の整備
(2) 水力発電部門の体制拡充
① 人員の増強
② 入札時見積の精度向上に向けた方策
ア 大型案件の見積設計の徹底
イ 積算システムの刷新
ウ 見積チェックリストの作成
エ 経験ある専門家による見積設計及び見積結果の照査
③ 外注費削減に向けた発注プロセスの改善及び委託先との協業推進
④ 生産体制の強化・効率化に向けた方策の実行
(3) 案件リスクの管理体制の強化
① プロジェクト管理体制の構築、改善
② 技術的課題の早期把握・共有のためのリスクマネジメント会議の開催
③ 予算管理方法の改善徹底
以 上