1925 大和ハウス 2019-04-12 16:30:00
戸建住宅・賃貸共同住宅における建築基準に関する不適合等について [pdf]
2019 年 4 月 12 日
各 位
会 社 名 大和ハウス工業株式会社
(コード番号 1925 東証第一部)
代表者名 代表取締役社長 芳井 敬一
問合せ先 執行役員 広報企画室長 中尾 剛文
電話番号 (06)6342‐1381
戸建住宅・賃貸共同住宅における建築基準に関する不適合等について
当社は、本日、当社ホームページにおいて「戸建住宅・賃貸共同住宅における建築基準に関する不適合
等について」を、別添の通り公表しておりますので、お知らせいたします。
なお、防火に関する安全性が不十分な状況となっている賃貸共同住宅 73 棟についての改修工事等の費
用については約 1 億円を見込んでおります。また、独立基礎の仕様に適合しない戸建住宅・賃貸共同住宅
についての改修工事等の費用につきましては、お客様との協議により変動することが見込まれます。現
時点で業績予想に与える影響は軽微と考えておりますが、業績予想の修正等が発生する場合は速やかに
公表致します。
以 上
2019 年 4 月 12 日
報道関係各位
大和ハウス工業株式会社
代表取締役社長 芳井敬一
大阪市北区梅田 3‐3‐5
戸建住宅・賃貸共同住宅における建築基準に関する不適合等について
このたび、弊社は内部通報により、弊社が建設した戸建住宅・賃貸共同住宅の一部の建物において、
建築基準に関する不適合等を指摘され、社内で調査をしてまいりましたが、その結果が判明いたしました。
弊社は本日(2019 年 4 月 12 日) 下記 2 点を国土交通省へ報告いたしましたので、
、 ご報告いたします。
今後弊社は、国土交通省ならびに特定行政庁及び関係行政機関のご指導の下、お客様へご説明させて
いただき、必要な改修工事を行います。
弊社の建築基準に関する不適合等により、お客様ならびに関係者の皆様には多大なるご迷惑とご心配
をおかけすることとなり、心より深くお詫び申し上げます。
記
1.防火安全性が不十分な恐れ及び柱の仕様の不適合(賃貸共同住宅 200 棟)
建築基準法及び関係条例においては、主要構造部を準耐火構造として建設する場合、主要構造部に
防耐火処置を施さなければなりません。
しかしながら今回、弊社が 2001 年 1 月 31 日から 2010 年 6 月 30 日まで東京都(145 棟)
・神奈川
県(15 棟)
・千葉県(31 棟)
・埼玉県(7 棟) ・群馬県(1 棟)の 6 都県でお引き渡し
・茨城県(1 棟)
し、2 階外部片廊下を支える L 字型の受柱を採用した賃貸共同住宅 200 棟は、弊社の標準仕様と異な
る施工でした。当該 200 棟のうち、主要構造部である柱を準耐火構造とする必要がある 73 棟は、
設計者が、建築基準法・消防法及び関係条例の防火基準に対して、防火安全性が不十分な恐れがある、
弊社の標準仕様とは異なる仕様で設計を行い、そのまま施工してしまいました。
また、弊社の住宅商品は、弊社工場において部材を製造し、建設現場にて施工するため、その多く
は、建築基準法に基づき、予め設計内容について型式適合認定※1 を受け、型式部材等製造者認証※2 を
取得して住宅を供給しております。
型式適合認定を受けている場合、建築確認時の審査が簡略化されますが、建築確認申請を行う建物
の設計内容は型式適合認定を受けた内容に合致するものでなくてはなりません。
しかしながら今回、上記の賃貸共同住宅 200 棟のうち 188 棟は、設計者が、型式適合認定を受けた
仕様を十分確認せず設計し、型式適合認定と異なる仕様で施工してしまいました。
そのため、本来は特定行政庁の建築主事に対して一般的な建築確認申請※3 の手続きを経て、建物を
施工しなければなりませんが、弊社は型式適合認定を受けた仕様と誤認したうえ、一般的に用いられ
る建築確認申請の手続きを省略して建物を施工してしまいました。
※1.プレハブ住宅について「構造耐力、防火、避難」など一連の建築基準に適合することをあらかじめ認定するもの。
※2.型式適合認定を受けた部材等の製造者について、その部材等を適切な品質管理のもと認定型式どおりに製造できる者である
かどうかを審査し、認証するもの。
※3.建築物を建設する際に特定行政庁へ申請する手続きのことで、建築基準法第 6 条に規定されています。
‐1‐
(1)不備の概要
①防火安全性が不十分な恐れ
2001 年 3 月 2 日から 2008 年 12 月 30 日まででお引き渡しした、主要構造部を準耐火構造※4 と
して建設する必要がある 73 棟については、本来、弊社は 2 階外部片廊下を支える受柱について防
耐火処置を施す仕様を標準としておりますが、設計者が、建築基準法・消防法及び関係条例の防火
基準に対して、防火安全性が不十分である恐れがある、弊社の標準仕様とは異なる仕様で設計を行
い、そのまま施工してしまいました。
※4.建築基準法第 27 条、第 62 条および各地域の条例等で求められる防耐火基準による。
②柱の仕様の不適合
2001 年 1 月 31 日から 2008 年 9 月 11 日までにお引き渡しした 188 棟については、本来、型式
適合認定を受けた仕様に合致した鉄骨部材(2 階外部片廊下を支える受柱)を使用しなければなら
ないところ、設計者が、型式適合認定を受けた仕様を十分確認せず、型式適合認定に合致しない鉄
骨部材(2 階外部片廊下を支える L 字型の受柱)を用いて設計し、型式適合認定とは異なる仕様で
施工してしまいました。
なお、当該賃貸共同住宅 200 棟のうち 12 棟については、一般的に用いられる建築確認申請の
手続きを経て、建物を建設しております。
●柱の仕様の不適合の内容
正 誤(下線部分が誤りです)
L 字型受柱(H150 mm×150 mm×7 mm×10 mm)
廊下受柱(□‐75 mm×75 mm×3.2 mm)
L 字型受柱(H125 mm×125 mm×6.5mm×9mm)
廊下受柱(□‐60 mm×60 mm×3.2 mm) L 字型受柱(ф114.3mm×4.5mm)
(別紙「本来の仕様と不適合施工内容」をご参照ください)
■対象棟数の内訳
②柱の仕様の不適合
型式適合認定を受けて 型式適合認定外であると
合 計
いると誤認して建築 して一般的に用いられる
確認申請を行った棟数 建築確認申請を行った棟数
防火安全性が
不十分な恐れ 69 棟 4棟 73 棟※5
①防火
がある棟数
安全性
が 防耐火処置が
119 棟 8棟 127 棟
不十分 必要ない棟数
な恐れ
合 計 188 棟※6 12 棟 200 棟
※5.内訳は、東京都(46 棟)、神奈川県(8 棟)、千葉県(17 棟)、埼玉県(2 棟)。
※6.内訳は、東京都(133 棟)、神奈川県(15 棟)、千葉県(31 棟)
、埼玉県(7 棟) 、茨城県(1 棟)
、群馬県(1 棟)
。
‐2‐
(2)建物の安全性ならびに今後の対応について
当該賃貸共同住宅 200 棟のうち、主要構造部を準耐火構造として建設する必要がある 73 棟につ
いては、弊社の標準仕様と異なり、建築基準法・消防法及び関係条例の防火基準に対して、防火安
全性が不十分な恐れがあると考えております。このため、特定行政庁の指導の下、至急改修工事に
取り掛からせていただくようご相談させていただくとともに、2019 年 4 月中を目処で改修工事を
完了させる予定です。
一方、当該賃貸共同住宅 200 棟のうち、型式適合認定を受けた仕様と異なる柱の施工を行った
建物 188 棟につきましては、弊社が考える構造上不利側の条件となる 3 棟について、第三者機関に
構造安全性を検証いただいた結果、建築基準法が求める必要な構造安全性能が確保されていること
を確認しましたが、引き続き残りの物件についても確認します。
今後弊社は、型式適合認定を受けた仕様と異なる柱の施工を行ったことについて、本日(4 月 12
日)より、特定行政庁の建築主事に対して当該内容をご報告させて頂くとともに、当該物件を所有
されているオーナー様ならびにご入居者様に対しても個別にご説明申し上げ、オーナー様のご意向
を踏まえて必要な対応を行います。
2.独立基礎の仕様の不適合(合計棟数 1,878 棟:戸建住宅 888 棟、賃貸共同住宅 990 棟)
弊社の戸建住宅・賃貸共同住宅は、基礎構造の一部に独立基礎を用いておりますが、弊社が 2000 年
10 月 5 日から 2013 年 2 月 28 日まで、29 都府県でお引き渡しした戸建住宅・賃貸共同住宅の一部の
建物(1,878 棟:このうち住宅性能表示制度※7 を利用した物件 533 棟)に設置した独立基礎の仕様が、
国土交通大臣の型式適合認定を受けた仕様に適合しないことと、その施工方法が 3 パターンあること
を確認しました。
※7.住宅の品質確保の促進等に関する法律に定められた住宅の性能について第三者評価を行う制度。
(別紙「本来の仕様と不適合施工内容」をご参照ください)
(1)不備の概要
①表層改良地盤※8 での独立基礎の仕様の不適合(戸建住宅 731 棟、賃貸共同住宅 845 棟)
表層改良地盤で用いた戸建住宅・賃貸共同住宅の独立基礎について、設計者が、型式適合認定を
受けた仕様(底面から 620mm)を十分確認せず、型式適合認定とは異なる高さ(底面から 725mm
他)の独立基礎を用いて設計し、そのまま施工してしまいました。
※8.軟弱な地盤の土にセメント系固化材を混合攪拌させて固化させる地盤改良工法で地盤の耐力を増加させ不同沈下を防ぎます。
②凍結深度※9 が設定された地域での独立基礎の仕様の不適合(戸建住宅 13 棟、賃貸共同住宅 33 棟)
凍結深度が設定された地域で建設する戸建住宅・賃貸共同住宅について、凍結深度が設定された
地域における型式適合認定は受けておりませんが、設計者が、型式適合認定を受けていると誤認し
たうえ、型式適合認定を受けた仕様(底面から 620mm)を十分確認せず、型式適合認定とは異な
る高さ(底面から 1,500mm 他)の独立基礎を用いて設計し、そのまま施工してしまいました。
※9.寒冷地では地表から下の一定の深さまで凍結するため、特定行政庁が凍結するライン(凍結深度)を設定します。その状況
に応じて凍結しない深さまで基礎を掘り下げます。
③敷地内に高低差がある敷地での独立基礎の仕様の不適合(戸建住宅 144 棟、賃貸共同住宅 112 棟)
敷地内に高低差がある敷地で建設する戸建住宅・賃貸共同住宅について、敷地内に高低差がある
敷地における型式適合認定は受けておりませんが、設計者が、型式適合認定を受けていると誤認し
たうえ、型式適合認定を受けた仕様(底面から 620mm)を十分確認せず、型式適合認定とは異な
る高さ(底面から 725mm 他)の独立基礎を用いて設計し、そのまま施工してしまいました。
‐3‐
●独立基礎の仕様の不適合の内容
正 誤(下線部分が誤りです)
形状:独立基礎の高さ 620mm 形状:独立基礎の高さ 725mm 他
■対象棟数の内訳 ( )は住宅性能評価書を取得した棟数
合 計 戸建住宅 賃貸共同住宅
独立基礎の仕様の不適合
1,878 棟(533 棟) 888 棟(530 棟) 990 棟(3 棟)
■29 都府県別(棟数)
戸建住宅 賃貸共同住宅 合 計
都道府県名
住宅性能評価書を取得 住宅性能評価書を取得 住宅性能評価書を取得
青森県 15 15
岩手県 13 1 21 34 1
宮城県 6 4 6 12 4
福島県 3 3
群馬県 1 1 13 14 1
埼玉県 4 1 1 5 1
千葉県 2 2
東京都 3 2 5
神奈川県 5 3 6 11 3
新潟県 3 28 31
富山県 14 6 121 135 6
石川県 109 17 4 113 17
福井県 77 8 46 123 8
山梨県 12 12
長野県 79 60 5 84 60
岐阜県 38 25 6 44 25
静岡県 7 1 107 114 1
愛知県 377 283 530 2 907 285
三重県 73 63 5 78 63
滋賀県 39 23 1 40 23
京都府 1 1 10 11 1
大阪府 1 19 20
兵庫県 35 32 24 59 32
奈良県 1 1
広島県 1 1
徳島県 1 1 1 1
高知県 1 1
福岡県 1 1 1 1
大分県 1 1
用途別合計 888 530 990 3 1,878 533
‐4‐
(2)建物の安全性ならびに今後の対応について
今回、型式適合認定を受けた仕様に適合しない物件 1,878 棟については、弊社が考える構造上不
利側の条件となる 9 棟について第三者機関に構造安全性を検証いただいた結果、建築基準法が求め
る必要な構造安全性能が確保されていることを確認しましたが、引き続き残りの物件についても
調査します。
今後弊社は、型式適合認定を受けた仕様と異なる独立基礎の施工を行ったことについて、本日(4
月 12 日)より、特定行政庁の建築主事に対して当該内容をご報告させて頂くとともに、当該物件
を所有されているオーナー様ならびにご入居者様に対しても個別にご説明申し上げ、オーナー様の
ご意向を踏まえて必要な対応を行います。
3.再発防止策
弊社は 2014 年 12 月 16 日、2015 年 10 月 30 日にご報告させていただきました「戸建住宅・賃貸
住宅用の防火シャッター雨戸ならびに防火ドア・防火サッシにおける不適合施工」ならびに 2016 年
10 月 18 日にご報告させていただきました「賃貸住宅等における小屋裏界壁パネルの国土交通大臣
認定の仕様に関する不適合」以降、抜本的な是正対策を講じるべく全社をあげて再発防止に取り組ん
でまいりました。
安全性能に直結する技術情報の伝達を監理する社長直轄の仕様監理部を新設(2016 年 4 月設置・
2017 年部に昇格)し、新規仕様ならびに変更仕様に関する技術情報について一元管理、関連部門の
管制を図り、不適合を未然に防止してまいりましたが、今回過去に遡る新たな不適合施工が判明する
こととなりました。
弊社としましては、今回の事態を厳粛に受け止め、原因究明ができ次第、再発防止策を再度ご報告
させていただきます。
弊社は、「安全・安心」の住まいづくりに努めるために、全社をあげて信頼の回復に努めてまいり
ます。
4.改修工事費用について
今回型式適合認定を受けた仕様に適合せず、防火に関する安全性が不十分な状況となっている
賃貸共同住宅 73 棟についての改修工事等の費用につきましては、約 1 億円を見込んでおります。
なお、独立基礎の仕様に適合しない戸建住宅・賃貸共同住宅についての改修工事等の費用につき
ましては、お客様との協議により変動することが見込まれるため、業績予想の修正等が発生する場
合は速やかに公表いたします。
■お問い合わせ窓口
大和ハウス工業株式会社 不適合対策室
電話番号:フリーダイヤル 0120‐032‐661 (受付時間:A.M9:00 ~ P.M6:00 無休)
※受付時間外(P.M6:00 ~ A.M9:00)は「休日・夜間受付対応」が受付し、翌日に不適合
対策室より連絡いたします
以 上
報道関係者のお問合せ先
広報企画室 広報グループ 06(6342)1381
東京広報グループ 03(5214)2112
‐5‐
■別紙「本来の仕様と不適合施工内容」
1.① 防火安全性が不十分なおそれ
■本来の仕様 ■不適合施工
鋼製柱+防耐火処置(型式適合認定での確認申請の場合) 左記仕様との違い:L字柱かつ防耐火処置なし
L字柱+防耐火処置(一般的に用いられる確認申請の場合) 左記仕様との違い:防耐火処置なし
1.② 柱の仕様の不適合
■本来の仕様 ■不適合施工
鋼製柱+防耐火処置(準耐火要求ありの場合) 左記仕様との違い:L字柱かつ防耐火処置なし
鋼製柱+防耐火処置なし(準耐火要求なしの場合) 左記仕様との違い:L字柱
‐6‐
1.①②共通
■本来の仕様 ■不適合施工
本来の柱の位置及び形状のイメージ 不適合施工の柱の位置及び形状のイメージ
(一般的に用いられる確認申請の場合は、右記の位置及び形状も可)
断面形状
断面形状
10mm
9mm 4.5mm
3.2mm 75mm 150mm
114.3m
60mm 7mm 125mm
6.5mm
75mm 150mm
60mm 125mm
本来の柱の形状断面形状 不適合施工の柱の形状断面形状
(一般的に用いられる確認申請の場合は、右記の断面形状も可)
‐7‐
2.独立基礎の仕様の不適合
本来の施工イメージ
不適合施工のイメージ(725mm の場合)
‐8‐