1921 巴 2020-08-07 11:00:00
中期経営計画『TOMOE KEEP on 3』について [pdf]

                                        令和2年8月7日
  各   位
                         会 社 名 株 式 会 社 巴コーポレーション
                         代表者名 代 表 取 締 役 社 長 深 沢 隆
                             (コード番号 1921 東証第 1 部)
                         問合せ先 取締役常務執行役員 三 木 康 裕
                             (TEL 03-3533-5311)




          中期経営計画『TOMOE KEEP on 3』について




 当社は、本日開催の取締役会において、中期経営計画『TOMOE KEEP on 3』について決議
いたしましたので、別紙のとおりお知らせいたします。




                                            以   上
中期経営計画『TOMOE KEEP on 3』
 平成27年度から令和元年度に亘る5年間をターゲットに以下に概要を示す中期経営計画を策定し、計画推進を図って
まいりました。この5年間は、オリンピック需要等に支えられ、事業規模の拡大と安定した完工営利率の確保を図ること
ができました。
 次の3年間で何を目指そうとしているのか、真価を問われるステージとなります。これまでの5年間の反省も踏まえた
新たな計画について報告致します。
 当初、令和2年5月 令和元年度決算に併せて社外発表を予定しておりましたが、突発的に発生した新型コロナウイルス
感染症拡大の業績に及ぼす影響を、開示に値するレベルまで見通せていないとの判断から見送ることと致しました。
 今般、先行きの動向が、不充分ながらも見えてきたと判断されることから、このタイミングで社外発表することと致し
ました。




                        令和2年8月7日
                  株式会社 巴コーポレーション
〔1〕中期経営計画『TOMOE NEXT-5』の総括

〔2〕中期経営計画『TOMOE KEEP on 3』の策定
  〔2-1〕中期経営計画『TOMOE KEEP on 3』のコンセプト、基本方針
  〔2-2〕企業目標(継続)
  〔2-3〕企業方針 
  〔2-4〕中期経営計画『TOMOE KEEP on 3』の概要
  〔2-5〕セグメント別基本戦略
  〔2-6〕技術開発
  〔2-7〕人材獲得 
  〔2-8〕人材育成
  〔2-9〕利益還元、社会貢献 




                                        1
〔1〕中期経営計画『TOMOE NEXT-5』の総括
  以下に、数値計画をはじめとする各計画目標に対する、現段階での進捗状況に基づく総括結果を示します。

       (1)数値計画(完工レベル)                                                                                     (単位:億円)
                        1年目                    2年目                     3年目                  4年目                      5年目              中期経営計画
                  平成27年度実績              平成28年度実績                 平成29年度実績           平成30年度実績                     令和元年度実績            『TOMOE NEXT-5』
                 完工高         営業利益       完工高        営業利益         完工高     営業利益        完工高       営業利益        完工高         営業利益              完工高       営業利益
 鉄構建設事業           255    12.4 4.9%       247       14.8 6.0%     296   20.0 6.8%     281     17.3 6.2%         297   17.4 5.9%           300     12.0 4.0%
 不動産事業             32    14.4 44.4%       28       12.7 45.0%     38   16.0 42.2%     45     14.7 32.5%         20    8.8 44.2%           20     10.0 50.0%
  合 計             287    26.8 9.3%       275       27.5 10.0%    334   36.0 10.8%    326     32.0 9.8%         317   26.2 8.3%           320     22.0 6.9%
                ⇒不動産を含む全社完工高は、5年間平均308億円と計画やや未達(達成率96.3%)でありますが、
                 完工営利は29.6億円(営利率9.6%)となり、計画を大幅達成(達成率135%)することができました。



                 【完 工 高】                                                                    【完工営利】
     (億円)                                          鉄構建設事業       不動産          (億円)                                            鉄構建設事業       不動産
     400                                                                     40
                                                                                                          36.0
     350                        334        326                   320         35
                                                       317                                                            32.0
            287                 38                      20        20
     300                275                45                                30     26.8       27.5
            32                                                                                            16.0                    26.2
                        28
     250                                                                     25                                       14.7                     22.0
                                                                                               12.7                               8.8
     200                                                                     20      14.4
                                                                                                                                               10.0
     150                        296        281         297       300         15
            255         247
     100                                                                     10                           20.0
                                                                                                                      17.3        17.4
                                                                                               14.8
      50                                                                      5      12.4                                                      12.0

       0                                                                      0                       0
            1           2           3          4      5年目        中経                   1         2          3           4       5年目             中経



                                                                                                                              2
           (2)その他の指標
                              1年目             2年目             3年目             4年目                  5年目
                         平成27年度実績          平成28年度実績         平成29年度実績        平成30年度実績           令和元年度実績
  全社完工営業利益率(%)               9.3              10.0             10.8              9.8               8.3
      ROE(%)                 9.0              10.3             10.6             10.2               6.5
    自己資本比率(%)               46.1              52.5             56.7             57.1              71.4
     配当金(円/株)                7.0               8.0              8.0             10.0              10.0
     配当性向(%)                13.1              12.5             10.8             12.8              19.6

           ROE(Return On Equity、自己資本利益率):自己資本(純資産)に対してどれだけの利益が生み出されたのかを示す指標
           自己資本比率:総資本(資本+借入)のうち、どの程度が自己資本(資本)で占められているかを示す指標
           配当性向:純利益(税引後利益)の中から、配当金をどのくらい支払っているかを示す指標



           【全社完工営業利益率とROE】                                   【自己資本比率と配当性向】
     (%)                         全社完工営業利益率     ROE     (%)                            自己資本比率       配当性向

 12.0                                                80.0
                  10.3    10.8                                                                      71.4
                                    10.2
            9.3                                      70.0
 10.0                                                                                   57.1
                          10.6                8.3                              56.7
                  10.0              9.8              60.0            52.5
  8.0       9.0                                               46.1
                                                     50.0

  6.0                                                40.0
                                             6.5
                                                     30.0
  4.0                                                                                               19.6
                                                     20.0     13.1   12.5               12.8
                                                                               10.8
  2.0
                                                     10.0
  0.0                                                 0.0
            1      2      3          4       5年目               1       2        3        4         5年目



                                                                                               3
1) 鉄構建設事業は、恒常的に完工高300億円、営業利益12億円(4.0%)以上を確保できる体制を構築する。
      ⇒最終令和元年度においては、完工高は計画ほぼ達成、完工営利は計画達成することができた。
       ・完工高は、5年間平均で275億円となり、計画達成とはならなかった(達成率91.6%)。
       ・完工営利額は、5年間平均で16.3億円(5.9%)となり、安定して計画を上回ることができた(達成率136%)。

    ① 建設においては、顧客堅持、新規客先開拓、EMC(電波暗室・電磁シールド)事業拡大より、恒常的な生産体制を構築する。
      ⇒ここ2年間は、以下の影響により、計画未達成となっている。
       ・日米貿易戦争の煽りを受けた形での大型電子部品工場案件の期ズレが大きく影響している。

    ② 鉄構においては、鉄構エンジニアリング事業の強化により、周辺事業領域の拡大を図る。
      ⇒オリンピック施設建設に向けた建設好景気の風に乗る形で安定した展開ができた。

2) 不動産事業は、完工高20億円、営業利益10億円(50.0%)と、現行不動産賃貸のビジネスモデルを堅持する。
   状況に応じた販売用不動産の運用展開により、利益の上積みを図る。
      ⇒販売用不動産売却を含め、計画通り展開できた。




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〔2〕中期経営計画『TOMOE KEEP on 3』の策定
 〔2-1〕中期経営計画『TOMOE KEEP on 3』のコンセプト、基本方針

    (1)ターゲット
  3年後にあたる令和4年度の完工業績をターゲットに策定します。


    (2)計画されている大型案件、プロジェクト
  東京オリンピック・パラリンピック開催決定から、建設業界では仕事が増え、建設ラッシュが進んでいましたが、今は端境期を迎えていま
 す。このような状況下、今後を展望するに、「オリンピック景気が終われば、とたんに建設バブルも崩壊するのではないか」という不安を耳
 にしますが、「オリンピック後も建設業界の仕事は豊富にある」と言われています。
  今後も続く大きなプロジェクト、あるいは設備投資計画としては、
    ①東京首都圏における、大規模再開発案件のラッシュ 
    ②国土強靭化、老朽化に伴うインフラの整備
    ③土地区画整備に伴うマンション、住宅の建設 
    ④2022年迄の銀座線全駅のリニューアル化計画
    ⑤2025年の大阪万博に向けインフラ需要の増大
    ⑥2027年開業予定のリニア中央新幹線プロジェクト
    ⑦2030年の札幌冬季オリンピック開催、それに向けた北海道新幹線の札幌延伸、札幌駅周辺の再開発
    ⑧日本にカジノを新設するIRリゾート構想の具現化
    ⑨大阪湾岸道路西伸部、下関・北九州道路の建設
  当社が手掛けてきたエネルギー関連の投資計画としては、
    ⑩海上風力発電プラントの建設推進
    ⑪東北電力発注送電鉄塔出羽幹線の建設
 等を挙げることができます。




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   (3)想定される阻害要因、市場動向予測
    (3-1)人手不足等の影響
 上記のように、建設業界は引き続き堅調に推移するものの、建設業界の人材不足はこれからも続くと思われます。政府の進める「働き方改革」
の中の時間外労働の抑制も、更に人材不足に拍車をかけると考えられます。
 建設会社が生き残っていくには、
    ①若者が働きやすい環境を作る
    ②ICT導入等による生産性の向上
が求められることになります。

    (3-2)米中貿易戦争等、国際情勢の影響
 昨今の取り巻く経営環境を概観するに、国際情勢は、グローバル経済に陰りが見えてきている状況下、米中貿易戦争等のように、従来の流
れの中では予測不能なことが頻発する不透明な状況が続くと思われます。一方、国内情勢は、国際情勢の煽りを受ける形でダイナミズムを失
いつつあり、何らかの形で、建設業、引いては当社事業に影響を及ぼすことが懸念されます。『TOMOE NEXT-5』の後半においても、
特に建設においては痛手を受けており、鉄骨・立体においても、需要量は457万tと、500万tを割り込む形となり、伸び悩んでいます。

    (3-3)取り扱い製品毎の市場環境変化の影響
 建設業界は、令和元年度下期から2年度にかけて端境期と呼ばれる、工事量が落ち込む停滞期を迎えており、次の段階への移行時期が見通
せていません。当社の建設事業、あるいは鉄構事業の立体・鉄骨製品においても、同様な状況にあります。
 鋼橋においては、令和元年度の発注量は15万t割れと、平成30年度の2/3レベルの状況にあり、先には大型案件の出件が予定されています
が、繋ぎ期間は先行き不透明と言わざるをえない状況にあります。
 送電用鉄塔の発注は、平均すると年5万tレベルであると推測されますが、電力分社化、国をあげての託送料金値下げ要望のなか、採算確
保という点においては苦しい状況が続くものと思われ、「鉄塔事業継続の危機」を迎えているといっても過言ではありません。

    (3-4)新型コロナウイルスの影響
 正に直面しているコロナ危機は、第二次世界大戦以来の国難と言われています。①人・モノの動きの世界的な遮断、②国内の経済活動抑制、
③国際金融市場の不安定化の影響等で、収束時期にもよりますが、多額となる日本経済の損失額が見込まれています。
 また、収束後においても、リーマンショックに例を見るように、経済回復には多くの時間を要することとなります。


                                                       6
 新型コロナウイルスの感染拡大による国の緊急事態宣言を受けた本年度4月~5月においては、建設工事を一時中断する動きが出始めて、
緊急事態宣言が出た地域の全ての工事を対象に、一時中断を発注者と協議する動きがありました。
 協議内容は、一時中断による工期への影響や竣工遅れによる損害の負担などが考えられます。例えば、使用機材はリースが多く、中止期間
でも多額の費用が発生します。もう一つの問題は、工事下請け業者に対する補償の問題です。
 6月からは、概ね建設工事は、コロナ警戒態勢を敷きつつ、徐々に動き出しましたが、直近においては、予定されていた工事案件が中止、
中断、延期などに追い込まれる等、生産計画が寸断される事態を招いています。また、主要顧客のデベロッパーや製造業の投資意欲が消えれ
ば、中長期のマイナス影響も拡がってきます。
 更には、新型コロナウイルス収束後における、インフラの進行、世界分断に伴うサプライチェーンの見直し、デジタルトランスフォーメー
ションの加速度的浸透(オンライン決済、リモートワーク等)等への的確な対応が求められることになります。
 新型コロナウイルスは、働き方改革を含め、ここ数年続いてきたゼネコンバブルに転機をもたらそうとしています。いずれにしろ、新型
コロナウイルスの収束時期にもよりますが、当面の業績悪化は避けられそうもありません。


   (4)経営軸の設定
 このような環境下、当社としては、今後の経営の軸として、
   ①利益(プロフィット)の軸    ②技術(テクノロジー)の軸     ③持続可能性(サステナビリティー)の軸
の三軸を設定します。

    (4-1)利益の軸
 利益の軸においては、先ずは現有事業の事業継続に向けた取り組みに注力します。変革期を迎えている各事業において、①営業戦略の見直
し、強化、懸案の②受注前事前検討の充実、③コストダウン推進、④採算回復力の向上を図ります。
 なお、製品毎に、事業環境が異なることから、建設事業のEMC、鉄構事業の鉄塔、橋梁においては、組織の横の連携強化を目的として新し
く設けたユニットを中心に、従来の縦組織では機能しにくいソリューション業務を主体とした戦略を構築、実行するものとします。
 続いて、利益が上げられない事業からの撤退、あるいは外部との連携強化で、効率を上げるという作戦を採ります。更には、現段階におい
ては、検討の域を出ていないM&Aにも、人材育成も含め積極的にチャレンジします。
 計画値としては、受注環境を踏まえ、完工高は『TOMOE NEXT-5』を下回る設定とするものの、利益額は同額、利益率を高くする、すな
わち、『高付加価値付けによる利益率アップ』に注力した設定とします。ちなみに、ROEは、10.0%を目標とします。




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    (4-2)技術の軸
 技術の軸においては、従来形の『事業開発、技術開発の強化・推進』を継続して進めてまいります。併せて、今後の改革の中心となる
『AI』、『IOT』、『ICT』あるいは、『BIM』、『CIM』等の活用推進、試験設備の拠点集約等、リアルとバーチャルの融合に
も積極的に取り組み、従来の延長線上での業務運営を改める、『変革』にチャレンジします。

    (4-3)持続可能性の軸
 持続可能性の軸においては、世の中で注目されている『ESG』、『SDGs』、『CSR』について、できることから臆せずに取り組む
こととします。


   (5)基本方針
 巴コーポレーションは、鉄構事業を祖業に、大正6年の創業以来、「『技術立社』を標榜し、「信頼と安心の技術」により、お客様の信頼
を頂く」ことにより、築きあげた有形無形の資産を強みに、建設、不動産と事業の拡大、多角化を進め、永きに亘り、企業経営を継続してま
いりました。
 巴コーポレーションにおいては、今まで相変わらずに、①『技術立社』を堅持しつつ、②『企業体質の改善・強化』、③『事業領域の
拡大、新規事業の創出』、④『グループ総力の結集』を基本戦略とし、⑤『企業価値の向上』を図るべく、愚直かつ真摯に取り組んで
まいりました。
 昨今の取り巻く経営環境を概観するに、経済先進国の成長力鈍化、IT革命等による産業構造の変化に加えて、少子高齢化の到来、お客様ニ
ーズの多様化などに対し、今まで以上に、迅速かつ適切な対応が引き続き求められています。本業である鉄構、建設事業においては、先行き
の仕事量は豊富にあると言われている中、技術者、技能者不足が顕在化しており、東京オリンピック以降の需要落ち込みが懸念されています。
 このような厳しい状況下に、さらに、第二次世界大戦以来といわれる新型コロナウイルスの影響が重畳されることになります。
 更には、この新型コロナウイルスの収束後には、大きな社会構造の変化が生ずることが想定されることから、今回策定の経営計画に基づく
事業運営により、ベースとなるところの⑥事業継続性の確保を図ると共に、「従来の延長線上には未来はない」との思いの下、デジタル
トランスフォーメーションの適用拡大、あるいは働き方改革等、⑦『変革』にチャレンジしていかなければなりません。
 今後、巴コーポレーションにおいては、本中期経営計画を『次のステージに繋ぐ、架け橋の3年』と位置付け、『TOMOE KEEP on 3』
と命名し、策定、運用展開を図っていくこととします。
 なお、『KEEP on』には、令和元年度後半から2年度にかけての建設業における端境期の影響で、あるいは新型コロナウイルスの影響で
業績が悪化するものの、令和4年度までには持ち直すであろうとの見方に立ち、都合8年間で見た場合の『事業継続性の確保』、今後3年間
におけるコスト競争力向上等による『緩んだ箍を締め直し』の思いを籠めています。


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 〔2-2〕企業目標(継続)            (注記)下記解説文は、会社が公表している文面に、一部変更を加えたものです。


                                       解          説
 わたしたちは                 巴コーポレーションとその社員であるわたしたちは、
 都市の                    人々が交流し生活するところ(コミュニティー)の
                        〔外〕鉄塔や橋梁の建設を通じて都市と都市を結びつける
 内外をネットワークする
                        また、〔内〕オフィスビルや工場、体育施設などの建物の建設を通じて
                        都市で生活する人々を結びつける
 あらゆる建設活動によって           当社が現在行っている、あるいは今後拡大していこうとしている事業活動によって、
 人々のパーソナルネットワークを        人々が豊かな生活を送るための便利な都市機能の
 拡大します                  拡大を図り、社会に貢献します


 〔2-3〕企業方針 

     (1)経営方針
   新たな基本方針に沿った形で、『事業継続性の確保』、『変革にチャレンジ』を加えました。
      基本戦略         ⇒       経営方針への展開       ⇒            経 営 方 針            
 ①『技術立社』
                       「信頼と安心の技術」
 ⑥『事業継続性の確保』                                  1.「創造力を発揮」し、「信頼と安心の技術」で
 ②『企業体質の改善・強化』                                  社会に貢献する。
                       「創造力を発揮」
 ⑦『変革にチャレンジ』
 ③『事業領域の拡大、新規事業の創出』    「時代を先取りした積極的な経営」       2.「組織の総力を結集」し、「時代を先取りした
 ④『グループ総力の結集』          「組織の総力を結集」               積極的な経営」を展開 する。
                                              3.人を大切にし、明るく「活気あふれる企業」を
 ⑤『企業価値の向上』            「活気あふれる企業」
                                                構築する。




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     (2)品質方針(継続)
     1.品質第一に徹し、お客様の信頼と満足を得る良心的な製品をつくる。


     (3)環境方針(継続)
     1.環境関連の法令、条例、協定などを遵守し、更に自主管理基準を設定し、地球環境の調和、並びに汚染予防に努める。
     2.事業活動において産業廃棄物の減量、省エネルギー、省資源及びグリーン購入に取り組む。
     3.建設副産物の発生を抑制し、地球環境の保全に努める。
     4.工場現場で重機等から発生する騒音、振動を低減し、地域住民との共生に努める。
     5.技術的、経済的に可能な範囲で、環境目的、環境目標を定めて、継続的改善に取り組む。
     6.社員に対し必要な教育・訓練を行い、環境保全意識が高く、なすべき行動がとれる人材に育成する。


     (4)ESGについて
   ESGとは、企業経営や成長において、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)といった観点からの配慮が
  必要という考え方のことであり、前述の環境方針に、〔2-9〕で詳述する利益還元・社会貢献に、下記の企業統治を加えた形での成案
  化を検討します。

      (4-1)企業統治
   経営の透明性、健全性を高め、企業価値向上を意識した経営を推進していく。
    1.コンプライアンス基本方針を順守する。
    2.内部統制基本方針の管理を徹底する。
    3.新型コロナウイルス対応等の反省を踏まえ、事業継続のためのBCP(Business Continuity Planning:事業継続計画)を強化する。
    4.リスクマネジメントの徹底
    5.社外取締役の見直し等、経営の透明性を高める。
    6.女性活躍の推進を図る。




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         (5)その他 
   CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)については、利益を追求するだけでなく、組織活動が社会へ与える影響に
  責任を持ち、ステークホルダー(顧客、従業員、株主、取引先、地域、社会等)からの要求に対して適切な意思決定をする等の責任を果た
  していきます。
   SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)方針については、①貧困、飢餓の解決、教育等の社会目標、②気候
  変動、エネルギー、生物多様性等の環境目標、③雇用、インフラ、生産と消費等の経済目標に加え、④不平等の解決、ジェンダーの平等、
  平和等の17の目標に対して、出来ることから行っていきます。



 〔2-4〕中期経営計画『TOMOE KEEP on 3』の概要

         (1)数値計画(完工レベル)                   (単位:億円)

                      TOMOE KEEP on 3 TOMOE NEXT-5

                      完工高    営業利益         完工高    営業利益
             鉄構建設事業    270   12.0 4.4%     300   12.0 4.0%
              不動産事業     20   10.0 50.0%     20   10.0 50.0%
               合 計     290   22.0 7.6%     320   22.0 6.9%

     ⇒   完工高290億円、営業利益22億円(7.6%)を、令和4年度(令和5年/3月期)の目標値として設定する。
     ① 鉄構建設事業は、恒常的に完工高270億円、営業利益12億円(4.4%)以上を確保できる体制を構築する。
         ・ 鉄構建設事業としては、前計画に対して減収となるものの、営業利益は同額、営業利益率はアップとなる。
     ② 不動産事業は、完工高20億円、営業利益10億円(50.0%)と、現行不動産賃貸のビジネスモデルを堅持する。




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     (2)基本戦略 『技術立社』を標榜し、下記基本戦略にのっとり、『企業価値の向上』を図る。
      (2-1)『企業(=鉄構建設事業)体質の改善・強化』
    ① 「信頼と安心の技術」(お客様の要望を満足させる技術力、品質の提供)によるお客様からの信頼度向上
        ・ 無形資産の一つである有力顧客に対して、更なる信頼度向上に努め、そのために必要とされる管理体制強化を図る。
    ② 「設計技術力、工法提案力を活かした自社設計織り込み・優位受注」の強化
        ・ 技術立社を拠り所としたビジネスモデルを堅持する。
    ③ 『技術立社』の根幹となる技術力の向上
        ・ 次世代を担う力量を備えた技術者を育てる。
        ・ 技能継承を確実に行い、生産技術力の堅持を図る。
    ④ 「コスト競争力の向上」:プロジェクト管理力強化、変動費削減、生産性向上、機械化・自動化・省力化設備・ソフト導入等々 
        ・ 生き残り戦略のキーポイントとなる、計画的コスト競争力のアップを図る。 

      (2-2)『事業領域の拡大、新規事業の創出』
    ① 現有鉄構建設事業に軸足を置き、シナジーを活かす形で、周辺事業領域の拡大を図る。
    ② 長期的展望に立ち、身の丈に合った新たな柱となる事業を創出する。
    ③ 外部人材を登用した開発営業部を設け、新たな視点から、商権の拡大を図る。

      (2-3)『グループ総力の結集』
    ① グループ関係会社との連携強化を図り、事業領域の拡大に繋げる。
    ② 生産子会社との一体化運営の更なる強化を図る。
    ③ 鉄構建設事業、不動産事業の更なる連携強化により、戦略的かつ効率的経営を推進する。




                                                        12
 〔2-5〕セグメント別基本戦略

     (1)鉄構建設事業       計画値:完工高270億円、営業利益12億円(4.4%)
     (1-1)建設
            1)自社設計による責任施工を基本に、品質および会社信頼度で、お客様満足度の確保を図る。
     基本戦略   2)新規客先を開拓し、幅広い客先からの安定した受注体制を構築する。
            3)EMC事業(EMCユニット)の体制強化を図り、建設第二の柱としての育成を図る。

   一般建設分野:
   ① 顧客堅持、新規客先開拓を基本に、セグメント毎の計画的営業展開により、必要生産量の確保を図る。
   ② 収益安定性、施工効率性の観点から、建設場所、規模、構造形式、用途等について、絞り込みを行う。
   ③ 客先及び品質要望を満足させることのできる設計・施工技術力の具備、強化を図る。

   EMC事業分野(EMCユニット):
   ① 大型案件に対する技術開発と営業戦略のリンクを図り、優位受注を目論む。
   ② 営業、技術、設計、工事一体となった運営により、中規模案件に対する、コスト競争力の向上を図る。
   ③ 特殊技術者の確保、育成を図る。




                                                          13
       (1-2)鉄構
             1)技術および品質信頼度をベースとした営業活動展開により、優位受注、受注時利益の確保を図る。
             2)競合他社と伍するレベルのコスト競争力の具備を図る。
      基本戦略
             3)ユニット組織の活用等、製品別の運営強化を図る。
             4)エンジニアリング事業展開強化等により、生産能力に見合った範囲で、事業領域の拡大を図る。

   送電用鉄塔分野(鉄塔ユニット):
   ① 『鉄塔技術の巴』の看板堅持、密接な営業展開、コストダウン等により、送電鉄塔の商権回復を図る。
       ・ 鉄塔エンジニアリング部門(鉄塔設計、鉄塔技術、環境調査)においては、技術立社の原点に立ち返り、技術提案向上、新
         規技術の的確な提案力、素早い対応力により、業界第一人者の地位を堅持する。
       ・ 山形鋼鉄塔用自動現寸ソフト(TOPS)のバージョンアップを図り、上流工作図・現寸工程の処理能力、仮組省力化等の
         製作技術、コスト競争力において、トップランナーの地位を目指す。
   ② 合金めっき、粉体塗装に関する提携技術のビジネスモデルへの展開を図る。
   ③ 培ってきた画像劣化診断システム等保有技術を活用し、送電鉄塔保全・補修分野における新しいビジネスモデルを展開する。

   建築鉄塔分野(鉄塔ユニット):
   ① 『鉄塔技術の巴』の看板活用、併せて的確な営業展開により、放送、通信、排煙脱硫鉄塔の積極的受注を図る。
   ② 実績データに基づき、様々な製作仕様、施工条件の異なる鉄塔の採算管理システムの構築、対応力強化を図る。

   橋梁分野(橋梁ユニット):
   ① 営業情報収集、技術提案力・積算力のアップ、高工事評価点獲得等、新橋受注に向けた活動の継続展開を図る。
       ・ 地道に技術提案力強化、工事評価点アップに努める。
       ・ 受注橋梁の高工事評価点獲得、表彰により、企業点のアップを図り、次の受注に繋げるサイクルを再構築する。
       ・ 当社に見合った、保全事業に関するビジネスモデルを構築する。
   ② 受注した橋梁のコストダウンを、プロジェクトを設置する等計画的に行い、次に活かすPDCAサイクルを廻す。

   鉄骨分野:
   ① 首都圏・駅再開発鉄骨、環境・エネルギー関連鉄骨の情報力拡大により、円滑な生産調整を図る。



                                                          14
   大空間構造(立体構造)分野:
   ① 設計技術力、施工計画力の向上を図り、『立体構造技術の巴』の看板を堅持する。
       ・ 設計技術力に関する優位性の維持が難しい時代において、継続した技術開発提案を行う。
       ・ 総合エンジニアの育成に向け、キャリアアッププログラムを策定し、推進を図る。
   ② 独自ビジネスモデルである「自社製品設計採用」の拡充、強化を図る。
   ③ 設計技術力、施工計画力を活用し、生産能力、バランスを考慮した立体構造営業の積極的展開を図る。
   ④ 三次元製作データとカメラ画像データを組み合わせたAR技術を駆使した製品検査方法の積極的活用を図る。


        (1-3)鉄構建設事業領域の拡大
   ①   外注生産を活用したビジネスモデルである、『鉄構エンジニアリング業』の推進を図る。
   ②   リフトアップ工法、スライド工法等の特殊建方技術等を梃に、鉄構製品建方に関する業域の拡大を図る。
   ③   制振デバイスを活用する等、保有技術を活用した形で、橋梁保全・補修事業のビジネスモデルを構築する。
   ④   防災・減災に関する土木鉄構分野への参入を図る。


     (2)不動産事業        計画値:完工高20億円、営業利益10億円(50.0%)
               1)営業利益確保の下支えの役割を担う。
        基本戦略
               2)保有不動産価値の向上を図る。

   ① 保有不動産の集約等、大型不動産への転換による価値向上


 〔2-6〕技術開発

        基本戦略   1)『技術立社』の根幹である技術開発力の継続強化を図る。

   ① 時代を一歩先取りした、次のフェイズにおいて有効な営業ツールとなる技術開発の積極的推進
   ② AI、IoT、ICT、BIM、CIMの積極的活用等による生産効率の向上
   ③ 試験設備の集約による開発拠点の整備



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 〔2-7〕人材獲得 

       基本戦略   1)事前に対策を的確に打ち、人的問題により、事業継続に支障を来さないようにする。

  ① 有能な人材、必要となる人材の積極的獲得による事業の安定的継続


  
 〔2-8〕人材育成

       基本戦略   1)『企業は人なり』を実践する。

  ① 時代の流れを的確に読み取り、強い統率力を発揮できる次世代経営者の育成
  ② 常に夢を持って果敢に挑戦する、躍動感溢れる管理職の育成
  ③ 技術、技能、専門知識の強化によるプロフェッショナルの育成


  〔2-9〕利益還元、社会貢献 

       基本戦略   1)株主様、会社、従業員の三位一体、共栄精神の継承

  ①   株主様:安定した配当を継続し、安心して当社への投資を継続頂く。
  ②   会 社:自己資本の充実を図り、次の百年に繋がる頑強な経営基盤を構築する。
  ③   従業員:可能な限りの利益還元を実施し、モチベーションアップに繋げる。
  ④   協力業者:共存共栄の関係の構築を推進する。
  ⑤   地元地域:事業所が立地する地域社会に貢献する活動を展開する。
  ⑥   (公財)野澤一郎育英会を通じた社会貢献を継続的に実施する。




                                                         16
   本資料に記載されている業績予想等の数値は、現在入手している情報及び合理的であると
  判断した前提に基づいており、実際の業績等はさまざまな要因により大きく異なる可能性が
  あります。従いまして、本資料のみに依拠して投資判断されますことはお控えくださいます
  ようお願い致します。本資料利用の結果生じたいかなる損害についても、当社は一切責任を
  負いません。