1898 世紀東急 2020-05-11 15:30:00
株主提案に対する当社取締役会意見に関するお知らせ [pdf]

                                                 2020 年 5 月 11 日
  各      位


                                会 社 名     世紀東急工業株式会社
                                代表者名      取締役社長 平          喜 一
                                (コード番号 1898       東証第1部)
                                問合せ先      総務人事部長     江 藤 研 一
                                T E L     0 3 - 3 4 3 4 - 3 3 4 5




             株主提案に対する当社取締役会意見に関するお知らせ



 当社は、2020 年 4 月 27 日に公表いたしましたとおり、2020 年 6 月 23 日開催予定の第 71 回
定時株主総会における議案について株主提案を行う旨の書面を受領いたしましたが、本日開催の
当社取締役会において、本株主提案について反対することを決議いたしましたので、下記の
とおりお知らせいたします。



                            記


Ⅰ.提案株主
      株主名:INTERTRUST TRUSTEES (CAYMAN)LIMITED
         SOLELY IN ITS CAPACITY AS TRUSTEE
          OF JAPAN-UPおよび株式会社ストラテジックキャピタル
Ⅱ.本株主提案の内容
  1.議題
      (1)資本コストの開示に係る定款変更の件
      (2)剰余金を処分する件


  2.議案の内容
      別紙「本株主提案の内容」に記載のとおりです。
      なお、別紙「本株主提案の内容」は、提案株主から提出された本株主提案書面の該当
      記載を原文のまま掲載したものであります。
Ⅲ.本株主提案に対する当社取締役会の意見


 「提案1.資本コストの開示に係る定款変更の件」
   (1)当社取締役会の意見
     取締役会としては、本株主提案に反対いたします。


   (2)反対の理由
     当社は、当社の企業理念である『豊かな地域社会づくりに貢献する生活基盤創造企
    業』として、健全な存続と持続的成長を実現し、中長期的な企業価値の向上を図るこ
    とを目指しており、資本収益性に関しても、短期的に高い数値を追求するのではなく、
    継続的な投資と財務の健全性をバランスよく両立させ、中長期的に安定的に資本コス
    トを上回る経済的価値を生み出すことが重要であると考えております。
     かかる考え方を経営に反映させるため、当社では、従前より、中期経営計画の策定、
    重要な投資判断等における参考として資本コストの把握に努めており、現行の「中期
    経営計画(2018-2020 年度)」最終年度におけるROEについては、本計画策定時に外
    部機関の助言も得ながら試算した当社の株主資本コストを上回る 11.7%(2019 年 5 月
    9 日修正後)を計画値として定め、公表いたしております。
     なお、株主提案は、コーポレートガバナンスに関する報告書において、同報告書提
    出日から遡る 1 か月以内において当社が把握する加重平均資本コストを、その算定根
    拠とともに開示する旨について、定款の章及び条文を新設することを求めるものです
    が、当社といたしましては、本提案の内容は定款で定めるのになじむものではなく、
    また、資本コストの開示については、株主様や投資家との対話の内容なども踏まえつ
    つ、公表の是非、時期、方法等を含め、取締役会において慎重に検討したうえで、決
    定すべき事項であると考えております。
     したがいまして、定款に本議案のような規定を設けることは適切ではないと判断い
    たします。


    (注)
      「資本コストを意識した経営」に関する当社の考え方につきましては、当社ウェ
       ブサイトにも掲載しておりますので、あわせてご覧いただきますようお願い申
       し上げます。
「提案2.剰余金の処分の件」
 (1)当社取締役会の意見
    取締役会としては、本株主提案に反対いたします。


 (2)反対の理由
    当社は、当社の企業理念である『豊かな地域社会づくりに貢献する生活基盤創造企
   業』として、健全な存続と持続的成長を実現し、中長期的に企業価値を向上させるこ
   とが、株主様をはじめとするステークホルダーの利益に資するものと考えております。
    道路建設業界におきましては、ここ数年の間は堅調な建設需要が見込まれる一方、
   中長期的には、将来における建設投資の不透明感、資機材の需給・価格動向、少子高
   齢化による社会構造の変化など、多くの懸念材料が存在しております。当社が中長期
   的に安定的・継続的に収益を確保していくためには、こうした環境の変化に対する十
   分な備えと迅速・柔軟かつ的確な対応が必要不可欠であると認識しており、これらを
   踏まえ、現行の「中期経営計画(2018-2020 年度)
                              」においては、投資計画・資本政策・
   株主還元にかかる考え方について、次のとおり定め、公表いたしております。


    ≪当面の考え方≫
     ・将来の持続的成長を実現するためには、継続的・戦略的な設備投資・技術開発等
      が不可欠。当面は、環境負荷低減や生産性向上に向けた事業資産の質的な転換期
      にあり、計画的に年額 20~30 億円程度の設備投資を継続。
     ・同時に、2020 年以降における不透明な事業環境を見据え、自己資本の充実も
      重要な課題と認識。
     ・したがって、当面は、資本効率とのバランスにも配慮しながら、総還元性向 30%
      程度を目安とした安定的な株主還元を継続しつつ、競争力ある事業資産の形成と
      財務健全性の維持・向上に努める。
     ・当面予定される設備投資計画の実施状況、資本水準を鑑み、継続的に株主還元の
      充実について検討する。



    当社は道路舗装工事を中心とする建設事業と舗装資材の製造販売事業を主要な事業
   内容としておりますが、当社が中長期にわたり事業を継続し、安定的に利益を確保し
   ていくためには、アスファルト合材工場をはじめとする製造設備や施工用機械、技術
   開発、人材育成などに対する計画的かつ継続的な投資を欠かすことができません。
    また、2020 年3月 31 日現在の連結貸借対照表におきまして現預金から有利子負債
   を控除した額は 133 億 96 百万円となりましたが、当社としては、事業投資を最優先に
   しながらも、売上高2か月分程度の健全な手元流動性を維持すべきであると考えてお
   ります。
 過去には、急速な建設市場の縮小等により、業績が著しく低迷した時期がありまし
たが、この先においても、こうした事業環境の変化が憂慮されるほか、自然災害など
様々なリスクについても想定する必要があり、特に、社会資本整備の一端を担う企業
として、自然災害発生時には、復旧活動への迅速な対応が期待されていることからも、
これらのリスクを考慮した財務健全性の確保は、当社の存在意義、社会的信用の側面
からも極めて重要な課題であると捉えております。
 このように、当社が健全な存続と持続的成長を実現し、中長期的な企業価値の向上
を図るためには、継続的な投資と財務健全性の確保が不可欠であると認識しており、
当社の資本政策においては、資本効率、株主還元とのバランスにも配慮しつつ、必要
な株主資本の保持に努めることを、基本的な考え方としております。
 また、利益の配分につきましては、持続的成長に向けた経営基盤の強化および収益
力の維持・向上を図りつつ、当期の業績、財務内容、今後の経営環境等を総合的に勘
案しながら、安定的・継続的な株主還元の実施に努めることを基本方針としており、
前記のとおり、現行の「中期経営計画(2018-2020 年度)」においては、株主還元策に
ついての考え方を「総還元性向 30%程度を目安とした安定的・継続的な株主還元」と
定め、公表いたしております。
 これらの方針に基づき、会社提案の「剰余金の処分の件」においては、2020 年3月
期の期末配当金を1株当たり 47 円とさせていただく予定であり、
                               配当性向は 30.8%、
連結の総還元性向は 30.5%となります。
 一方で、2020 年3月期における当期純利益の全額を配当することを内容とする株主
提案については、将来における経営環境の変化や継続的な事業投資の必要性を顧慮し
ない、短期的な視点に立脚したものであり、結果として、株主の皆様の利益を毀損す
るおそれもあるものと考えております。
 したがいまして、当社が健全な存続と持続的成長を実現し、中長期的な企業価値向
上を図る観点からは、本株主提案にかかる剰余金の処分を行うことは適切ではないと
判断いたします。


                                        以   上
(別紙.「本株主提案の内容」)
 ※提案株主から提出された本株主提案書面の該当記載を原文のまま掲載しております。



第1 提案する議題
 1.資本コストの開示に係る定款変更の件
 2.剰余金を処分する件


第2 提案の内容
 1.資本コストの開示に係る定款変更の件
    現行の定款に以下の章及び条文を新設する。
   第7章   資本コスト
   第42条     当会社は、当会社が東京証券取引所に提出するコーポレートガバナンスに関する報告
            書(以下「CG報告書」という。)において、CG報告書提出日から遡る1か月以内
            において当会社が把握する加重平均資本コストを、その算定根拠とともに開示するも
            のとする。


 2.剰余金を処分する件
   (1)配当財産の種類
      金銭
   (2)配当財産の割り当てに関する事項及びその総額
          143円から、第71回定時株主総会において可決された当社取締役会が提案した剰余金
         処分に係る議案(以下「会社側利益処分案」という。
                                )に基づく普通株式1株当たり配当金
         額(以下「会社提案配当金額」という。)を控除した普通株式1株当たり配当金額を、会社
         提案配当金額に加えて配当する。
          第71期1株当たり当期純利益金額から小数点以下を切り捨てた金額(以下「実績EPS」
         という。
            )が143円と異なる場合は冒頭の143円を実績EPSに読み替える。
          なお、配当総額は、上記の普通株式1株当たりの配当金額に、当社の第71回定時株
         主総会の議決権の基準日現在の配当の対象となる株式数を乗じた額となる。
   (3)剰余金の配当が効力を生じる日
          当社の第71回定時株主総会の開催日の翌日
          なお、本議案は、第71回定時株主総会に会社側利益処分案が提案された場合、同提
         案とは独立かつ同提案と両立するものとして、追加で提案するものである。


第3 提案の理由
 1.資本コストの開示に係る定款変更の件
    当社の株価は、解散価値を下回る水準まで下落した。これは、業績動向が不安視されていること
   に加え、低い配当性向を継続して自己資本をさらに積み増す当社の資本政策により、将来の自己資
   本利益率(以下「ROE」という。)の低下が見込まれること、及び、当社の独占禁止法に違反す
   る行為について、公正取引委員会から度重なる排除措置命令や課徴金納付命令の処分を継続的に受
   けた結果、投資家が当社の株式保有にはリスクを伴うとの認識を抱くこととなり、そのような認識
   の反映として、投資家の求めるリターンの水準(株主資本コスト)がROEを超える水準にまで高
   まっていることなどが主因だと考えられる。
    東京証券取引所の有価証券上場規程別添の「コーポレートガバナンス・コード」
                                       (以下「コード」
   という。
      )において、
           「経営戦略や経営計画の策定・公表に当たっては、自社の資本コストを的確に
   把握した上で、収益計画や資本政策の基本的な方針を示すとともに、収益力・資本効率等に関する
  目標を提示し、その実現のために、事業ポートフォリオの見直しや、設備投資・研究開発投資・人
  材投資等を含む経営資源の配分等に関し具体的に何を実行するのかについて、株主に分かりやすい
  言葉・論理で明確に説明を行うべきである」として、経営陣が自社の資本コストを的確に把握する
  ことを求めている(コードの「原則5-2.経営戦略や経営計画の策定・公表」。当社経営陣にお
                                      )
  いても、当社の株主資本コストを踏まえた加重平均資本コストを的確に把握したうえで事業計画や
  資本政策等を立案・検証することが求められているというべきである。また、加重平均資本コスト
  が開示されることにより、当社経営陣と株主を含む投資家との間で、共通の尺度に基づく対話も可
  能となる。このように資本コストを開示することによって、当社株式の市場における低い評価の改
  善を目指すことができると考える。
   しかしながら、昨年の資本コスト開示に係る株主提案について、当社取締役会は「中長期的に安
  定的に資本コストを上回る経済的価値を生み出すことが重要であると考えております。」としなが
  らも、「資本コストの数値そのものを開示することよりも、資本コストを経営陣が意識して、その
  考え方を経営に反映させていくことが重要であると認識しております。「資本コストの開示に関し
                                  」
  ては定款で一律に定めるものではなく(略)取締役会において慎重に検討したうえで、決定すべき
  であると考えております。」と主張し、提案に反対した。そして、その後、資本コストの開示に関
  して当社は何らのアクションもしていない。経営に重要なものと自覚している経営の目標となる数
  値を何故開示しないのか、非常に理解に苦しむところである。経営の目標数値として重要なもので
  あるとの自覚があるのであれば、開示してしかるべきである。


2.剰余金を処分する件
   「第2   提案の内容   2.剰余金を処分する件」に記載の143円とは、2020年4月16日
  現在最新の当社予想1株当たり当期純利益の金額である。本件は、会社提案の1株当たり配当金が
  いくらであっても、当期純利益全てを配当すること、つまり、配当性向100%を企図した提案で
  ある。
   当社の自己資本比率は2019年3月末現在で44.5%である。2016年3月末に当社の自
  己資本比率は36.9%に上昇し、1992年3月末の32.3%を24年ぶりに更新しており、
  2019年3月末はそれよりも大幅に高い水準となった。さらに、当社は2018年5月に発表し
  た中期経営計画において、自己資本を2017年3月末から3年間で40%以上積み上げる数値目
  標を策定している。このままでは、低水準の配当性向の影響からさらに自己資本が積み上がること
  から、将来的にROEは低下していく可能性が高い。
   当社は、これ以上自己資本を増加させてもROEは減少するだけである。余剰資金を株主に還元
  することが、株主価値を高め、ひいては株価の向上につながるので、剰余金の配当を大幅に増額す
  べきである。
   なお、当社は、2019年12月末現在で、現預金約174億円を保有しており、有利子負債は
  8億円に過ぎない。現預金から有利子負債を控除した額(以下「ネットキャッシュ」という。)は
  約166億円であり、2016年3月末のネットキャッシュは約60億円であったことに鑑みると、
  ネットキャッシュは大きく増加している。今回提案する剰余金の処分案を実行しても、その配当総
  額は当期純利益の範囲内であることから、当社のネットキャッシュ及び自己資本の水準を大きく変
  えるものではなく、当社の財務状態は良好なままである。



  上記提案の詳細な説明は、https://proposal-for-seikitokyu-
 from-sc-2020.com/又は株式会社ストラテジックキャピタルのホームページ右上の
 特設サイトリンクhttps://stracap.jp/を参照されたい。


                                                以上