1898 世紀東急 2019-05-09 13:00:00
株主提案に対する当社取締役会意見に関するお知らせ [pdf]

                                                  2019 年 5 月 9 日
  各     位


                                会 社 名     世紀東急工業株式会社
                                代表者名      取締役社長 平          喜 一
                                (コード番号 1898       東証第1部)
                                問合せ先      総務人事部長     江 藤 研 一
                                T E L     0 3 - 3 4 3 4 - 3 3 4 5




            株主提案に対する当社取締役会意見に関するお知らせ



 当社は、2019 年 4 月 26 日に公表いたしましたとおり、2019 年 6 月 21 日開催予定の第 70 回
定時株主総会における議案について株主提案を行う旨の書面を受領いたしましたが、本日開催の
当社取締役会において、本株主提案について反対することを決議いたしましたので、下記の
とおりお知らせいたします。



                            記


Ⅰ.提案株主
  株主名:インタートラスト トラスティーズ(ケイマン)リミテッド ソールリー イン
        イッツ キャパシティー アズ トラスティー オブ ジャパン アップ および
        株式会社ストラテジックキャピタル


Ⅱ.本株主提案の内容
  1.議題
   (1)資本コストの開示に係る定款変更の件
   (2)剰余金を処分する件
   (3)不祥事における第三者委員会の設置に係る定款変更の件


  2.議案の内容
      別紙「本株主提案の内容」に記載のとおりです。
      なお、別紙「本株主提案の内容」は、提案株主から提出された本株主提案書面の該当
   記載を原文のまま掲載したものであります。
Ⅲ.本株主提案に対する当社取締役会の意見


 「提案1.資本コストの開示に係る定款変更の件」
   (1)当社取締役会の意見
      取締役会としては、本株主提案に反対いたします。


   (2)反対の理由
      当社は、当社の企業理念である『豊かな地域社会づくりに貢献する生活基盤創造企
     業』として、健全な存続と持続的成長を実現し、中長期的な企業価値の向上を図るこ
     とを目指しており、資本収益性に関しても、短期的に高い数値を追求するのではなく、
     継続的な投資と財務の健全性をバランスよく両立させ、中長期的に安定的に資本コス
     トを上回る経済的価値を生み出すことが重要であると考えております。


      当社では、2013 年度までの約 20 年間、財務改善に徹底して取り組んできました。
     この結果、優先株式の処理を含め、一定の財務体質改善は進んだと考えております。
     一方、投資を抑制した結果、既存事業資産の競争力は徐々に低下しつつあり、製品の
     品質改善、製造効率の向上、環境負荷低減等に向けた設備投資の推進が喫緊の課題と
     なっております。
      現行の「中期経営計画(2018-2020 年度)」では、持続的成長に向け、2018 年度から
     の 3 ヶ年累計で 100 億円超の投資を計画しています。中心は、アスファルト合材工場
     の更新など、本業を支える資産の質的向上が対象となりますが、海外進出やM&Aな
     ど、将来の成長を見据えた分野にも 30%程度を振り向ける計画です。


      当社では資本コストを把握した上で中期経営計画を策定しており、かかる考え方に
     ついては、業務執行における重要な投資判断等においても活用しております。
      本計画最終年度のROEについては、11.7%(中期経営計画の修正(2019 年 5 月 9
     日)後)を目標としており、本計画策定時に外部機関の助言も得ながら試算した当社
     の資本コストを上回る水準と想定しております。


      当社としては、コーポレートガバナンスと資本コストの関係においては、資本コス
     トの数値そのものを開示することよりも、資本コストを経営陣が意識し、その考え方
     を経営に反映させていくことが重要であると認識しております。コーポレートガバナ
     ンス・コードにおいても、自社の資本コストを的確に把握した上で方針を示すべきと
     されており、こうした観点からも、資本コストの開示に関しては定款で一律に定める
     のではなく、株主様や投資家との対話の内容なども踏まえつつ、公表の是非、時期、
     方法等を含め、取締役会において慎重に検討したうえで、決定すべきであると考えて
     おります。
      したがいまして、定款に本議案のような規定を設けることは適切ではないと判断い
     たします。
「提案2.剰余金の処分の件」
  (1)当社取締役会の意見
     取締役会としては、本株主提案に反対いたします。


  (2)反対の理由
     当社は、当社の企業理念である『豊かな地域社会づくりに貢献する生活基盤創造企
    業』として、健全な存続と持続的成長を実現し、中長期的に企業価値を向上させるこ
    とが、株主様をはじめとするステークホルダーの利益に資するものと考えております。


     道路建設業界におきましては、ここ数年の間は堅調な建設需要が見込まれる一方、
   中長期的には、2020 年の東京オリンピック・パラリンピック以降における建設投資の
   不透明感、資機材の需給・価格動向、少子高齢化による社会構造の変化など、多くの
   懸念材料が存在しております。当社が中長期的に安定的・継続的に収益を確保してい
   くためには、こうした環境の変化に対する十分な備えと迅速・柔軟かつ的確な対応が
   必要不可欠であると認識しており、これらを踏まえ、現行の「中期経営計画(2018-2020
   年度)」においては、投資計画・資本政策・株主還元にかかる考え方について、次のと
   おり定め、公表いたしております。



    ≪当面の考え方≫
     ・将来の持続的成長を実現するためには、継続的・戦略的な設備投資・技術開発等
      が不可欠。当面は、環境負荷低減や生産性向上に向けた事業資産の質的な転換期
      にあり、計画的に年額 20~30 億円程度の設備投資を継続。
     ・同時に、2020 年以降における不透明な事業環境を見据え、自己資本の充実も
      重要な課題と認識。
     ・したがって、当面は、資本効率とのバランスにも配慮しながら、総還元性向 30%
      程度を目安とした安定的な株主還元を継続しつつ、競争力ある事業資産の形成と
      財務健全性の維持・向上に努める。
     ・当面予定される設備投資計画の実施状況、資本水準を鑑み、継続的に株主還元の
      充実について検討する。



     当社は道路舗装工事を中心とする建設事業と舗装資材の製造販売事業を主要な事業
    内容としておりますが、当社が中長期にわたり事業を継続し、安定的に利益を確保し
    ていくためには、アスファルト合材工場をはじめとする製造設備や施工用機械、技術
    開発、人材育成などに対する計画的かつ継続的な投資を欠かすことができません。
     また、現預金については、事業投資を最優先にしながらも、売上高 2 か月分程度の
    健全な手元流動性を維持すべきであると考えております。
 過去には、急速な建設市場の縮小等により、業績が著しく低迷した時期がありまし
たが、2020 年以降においても、こうした事業環境の変化が憂慮されるほか、自然災害
など様々なリスクについても想定する必要があり、特に、社会資本整備の一端を担う
企業として、自然災害発生時には、復旧活動への迅速な対応が期待されていることか
らも、これらのリスクを考慮した財務健全性の確保は、当社の存在意義、社会的信用
の側面からも極めて重要な課題であると捉えております。


 このように、当社が健全な存続と持続的成長を実現し、中長期的な企業価値の向上
を図るためには、継続的な投資と財務健全性の確保が不可欠であると認識しており、
当社の資本政策においては、資本効率、株主還元とのバランスにも配慮しつつ、必要
な株主資本の保持に努めることを、基本的な考え方としております。
 また、利益の配分につきましては、持続的成長に向けた経営基盤の強化および収益
力の維持・向上を図りつつ、当期の業績、財務内容、今後の経営環境等を総合的に勘
案しながら、安定的・継続的な株主還元の実施に努めることを基本方針としており、
前記のとおり、現行の「中期経営計画(2018-2020 年度)」においては、株主還元策に
ついての考え方を「総還元性向 30%程度を目安とした安定的・継続的な株主還元」と
定め、公表いたしております。


 これらの方針に基づき、本年の定時株主総会において会社から提案する剰余金の処
分にかかる議案では、2019 年 3 月期の期末配当金を前回予想から1株当たり 2 円増配
の 27 円とさせていただく予定であり、連結配当性向は 31.3%となります。


 一方で、2019 年 3 月期における当期純利益の全額を配当することを内容とする株主
提案については、将来における経営環境の変化や継続的な事業投資の必要性を顧慮し
ない、短期的な視点に立脚したものであり、結果として、株主の皆様の利益を毀損す
るおそれもあるものと考えております。
 したがいまして、当社が健全な存続と持続的成長を実現し、中長期的な企業価値向
上を図る観点からは、本株主提案にかかる剰余金の処分を行うことは適切ではないと
判断いたします。
「提案3.不祥事における第三者委員会の設置に係る定款変更の件」
  (1)当社取締役会の意見
      取締役会としては、本株主提案に反対いたします。


  (2)反対の理由
     既に公表のとおり、当社は 2015 年 1 月に、東日本高速道路株式会社東北支社が発注
    する東日本大震災に係る舗装災害復旧工事の入札に関し独占禁止法違反行為があった
    として公正取引委員会の立入検査を受け、以降、複数件の独占禁止法違反行為が発覚
    し、公正取引委員会および国土交通省より処分を受けるに至り、また、現在も、アス
    ファルト合材の販売価格決定に関する独占禁止法違反行為の疑いにより、公正取引委
    員会による調査が継続して行われております。
     関係者の皆様には、大変なご迷惑とご心配をおかけしており、重ねてお詫び申し上
    げます。


     当社は、こうした事態を受け、2016 年 3 月に取締役会において違法行為の徹底排除
    についてあらためて決議するとともに、外部専門家による助言、協力を得ながら再発
    防止策を策定・公表しており、早期の信頼回復に向けて、現在も継続して、教育・研
    修、内部監査、モニタリングなど各種施策に取り組んでおります。
     なお、再発防止策策定の時期と、独占禁止法違反行為による調査開始・処分確定の
    時期が、一部で前後しておりますが、一連の独占禁止法違反行為につきましては、現
    在調査が継続中の事案も含め、いずれも上記の 2015 年 1 月に受けた立入検査の日まで
    に終了していたものであり、本立入検査後および再発防止策の策定後におきましては、
    違反行為の存在は確認されておりません。
     このように、当社としては、現在取り組んでおります再発防止策につきましては有
    効に機能しているものと判断しておりますが、一方で、再発防止策の策定後に、アス
    ファルト合材の販売価格決定にかかる 2015 年 1 月以前の独占禁止法違反行為に関し立
    入検査を受けるなど、本再発防止策の策定時における前提とは異なる状況が存在して
    いたことが公正取引委員会の調査により明らかになったことから、現在調査継続中の
    事案に係る調査結果が確定次第、あらためて当社において外部の識者を中心とする調
    査委員会を設置し、原因の究明、再発防止策の評価・検討を行うことを予定しており
    ます。


     上記のとおり、当社といたしましても、不祥事の際には根本的な原因を解明し、実
    効性の高い再発防止策を講じることが極めて重要であると認識しております。
     もっとも、内部統制システムの整備・運用は取締役会および経営陣が果たすべき責
    務であり、第三者委員会の設置を含めた不祥事の再発防止に向けた取り組みに関して
    は、定款で一律に定めるのに必ずしもなじむものではなく、取締役会において慎重に
    検討したうえで、機動的かつ柔軟に実行されるべきものであると考えております。
     したがいまして、定款に本議案のような規定を設けることは適切ではないと判断い
    たします。
                                            以   上
(ご参考.2015年1⽉以降に調査を受けた独占禁⽌法違反⾏為について)


 (参考)一連の独占禁⽌法違反⾏為にかかる時系列の整理[表]
              NEXCO(東北)⼯事⼊札 NEXCO(関東)⼯事⼊札              東京都等⼯事⼊札                合材価格カルテル
              東⽇本⾼速道路株式会社東       東⽇本⾼速道路株式会社関        東京都等が発注する舗装⼯         全国において販売するアス
              北⽀社が発注する東⽇本⼤       東⽀社が発注する東⽇本⼤        事の入札に関し、独占禁止         ファルト合材の販売価格の
              震災に係る舗装災害復旧⼯       震災に係る舗装災害復旧⼯        法違反⾏為があったとして、        決定に関し、独占禁止法違
  事案の概要       事の入札に関し、独占禁止       事の入札に関し、独占禁止        公正取引委員会の調査を受         反⾏為があったとして、公
              法違反⾏為があったとして、      法違反⾏為があったとして、       けた。                  正取引委員会の調査を受け
              公正取引委員会による調査       公正取引委員会による調査                             た。
              を受けた。              を受けた。

                                                     [東京都]
                                                     2011年12⽉15⽇以降、
                                                                          2011年3⽉頃以降、
 独占禁⽌法違反                                             2015年1⽉27⽇まで。
                                                                          2015年1⽉27⽇まで。
  ⾏為が存在                                              [東京港埠頭株式会社]
         2011年7⽉中旬以降、            2011年7⽉12⽇以降、                            (現在も調査継続中につき、
 していた時期                                              2012年1⽉26⽇以降、
         2011年9⽉20⽇まで。           2011年11⽉29⽇まで。                           意⾒聴取通知書の排除措置
(公正取引委員会                                             2015年1⽉27⽇まで。
                                                                          命令書(案)の内容に基づ
 の調査結果)                                              [成田国際空港株式会社]
                                                                          き記載。)
                                                     2011年9⽉30⽇以降、
                                                     2015年1⽉27⽇まで。

公正取引委員会の        2015年1⽉29日           2016年3⽉24日           2016年8⽉2日             2017年2⽉28日
⽴⼊検査(初回)
公正取引委員会に 2016年9⽉6⽇               2016年9⽉21⽇          2018年3⽉28⽇
よる処分(命令) 排除措置命令                  排除措置命令              [東京港埠頭株式会社]                  調査継続中
   の決定   (課徴⾦納付命令免除)             (課徴⾦納付命令なし)         課徴⾦納付命令(50%減額)

                       営業停止処分                        営業停止処分
                       ・2016年12⽉2⽇から                 ・2018年6⽉22⽇から
                        2017年1⽉15⽇                    2018年7⽉21⽇
上記処分の決定に               ・全国における舗装⼯事業                  ・全国における舗装⼯事業
 伴う⾏政処分                 に関する営業のうち公共                   に関する営業のうち公共
                        ⼯事に係るもの                       ⼯事⼜は⺠間⼯事に係る
                                                      もの

                                                                           持続的成⻑へのチャレンジ          1




 1引き続き、全社をあげて、早期の信頼回復に努めてまいります。

 (参考)一連の独占禁⽌法違反⾏為にかかる時系列の整理[図]

      事   案        2011年     2012年   2013年   2014年   2015年   2016年     2017年     2018年   2019年
                     違反⾏為認定期間            2015年1⽉29日⽴⼊検査      2016年3⽉25日
 東日本⾼速道路株式会社       2011年7⽉中旬以降、         ★独占禁⽌法違反⾏為を認識         取締役会決議
 東北⽀社発注⼯事の⼊札       2011年9⽉20日まで。                                                   2016年9⽉6日
    に関する件                                                                         排除措置命令受領
                                                                                  課徴⾦納付命令免除


 東日本⾼速道路株式会社       2011年7⽉12日以降、             2015年3⽉24日                            2016年9⽉21日
 関東⽀社発注⼯事の⼊札       2011年11⽉29日まで。               ⽴⼊検査                              排除措置命令受領
    に関する件                                                                         課徴⾦納付命令なし
                                                                再
                                                                発
                                                                防   2016年8⽉2日      2018年3⽉28日
                   2011年12⽉15日以降、
           東京都                                                        ⽴⼊検査        課徴⾦納付命令免除
           発注⼯事
                   2015年1⽉27日まで。                                ⽌
                                                                策
                                                                    2016年8⽉2日      2018年3⽉28日
 東京都等   東京港埠頭      2012年1⽉26日以降、                                      ⽴⼊検査        課徴⾦納付命令受領
発注⼯事の⼊札 株式会社       2015年1⽉27日まで。                               策
 に関する件   発注⼯事                                                 ・定
                                                               公    2016年8⽉2日      2018年3⽉28日
          成田国際空港   2011年9⽉30日以降、
           株式会社    2015年1⽉27日まで。
                                                               表      ⽴⼊検査        課徴⾦納付命令免除
           発注⼯事

                                                                    2017年2⽉28日     2019年3⽉6日
                     2011年3⽉頃以降、                                       ⽴⼊検査       意⾒聴取通知書受領
  合材価格カルテルの件        2015年1⽉27日まで。



 ※「合材価格カルテルの件」の違反⾏為認定期間は、現在も調査継続中につき、意⾒聴取通知書の排除措置命令書(案)の内容に基づき記載。
                                                                           持続的成⻑へのチャレンジ          2
(別紙.「本株主提案の内容」)
 ※提案株主から提出された本株主提案書面の該当記載を原文のまま掲載しております。



第1   提案する議題
 1.資本コストの開示に係る定款変更の件
 2.剰余金を処分する件
 3.不祥事における第三者委員会の設置に係る定款変更の件


第2   提案の内容
 1.資本コストの開示に係る定款変更の件
     現行の定款に以下の章及び条文を新設する。
     第7章 資本コスト
     第42条     当会社は、当会社が金融商品取引所に提出するコーポレートガバナンスに関する報告
              書(以下「CG報告書」という。)において、CG報告書提出日から遡る1か月以内
              において当会社が把握する加重平均資本コストを、その算定根拠とともに開示するも
              のとする。


 2.剰余金を処分する件
     (1)配当財産の種類
        金銭
     (2)配当財産の割り当てに関する事項及びその総額
            74円から、第70回定時株主総会において可決された当社取締役会が提案した剰余金処
        分に係る議案(以下「会社側利益処分案」という。)に基づく普通株式1株当たり配当金額
        (以下「会社提案配当金額」という。)を控除した普通株式1株当たり配当金額を、会社提
        案配当金額に加えて配当する。
            第70期1株当たり当期純利益金額から小数点以下を切り捨てた金額(以下「実績EPS」
        という。)が74円と異なる場合は冒頭の74円を実績EPSに読み替える。
            なお、配当総額は、上記の普通株式1株当たりの配当金額に2019年3月31日現在の
        配当の対象となる株式数を乗じた額となる。
     (3)剰余金の配当が効力を生じる日
            2019年6月に開催される第70回当社定時株主総会の開催日の翌日
            なお、本議案は、第70回定時株主総会に会社側利益処分案が提案された場合、同提案と
        は独立かつ同提案と両立するものとして、追加で提案するものである。


 3.不祥事における第三者委員会の設置に係る定款変更の件
      現行の定款に以下の章及び条文を新設するとともに、定款の最後尾に第43条から第45条の適
     用範囲に関する後記の附則第1条を設ける。
      なお、上記の議案1の「資本コストの開示に係る定款変更の件」が可決されなかった場合は、章
     番号については、第8章ではなく第7章とし、条数については、第43条以降の条数を1条ずつ繰
     り上げることとする。
     第8章    第三者委員会
     第43条    当会社において、犯罪行為、法令違反、社会的非難を招くような不正・不適切な行為
             であって、投資者の投資判断に重要な影響を及ぼすもの(以下「不祥事」という。)
             が発生した場合及び発生が疑われる場合は、取締役会の諮問委員会として、日本弁護
             士連合会が2010年7月15日付で発表した「企業等不祥事における第三者委員会
             ガイドライン」に次条の定め以外は準拠した委員会(以下「第三者委員会」という。
                                                  )
             を設置する。
     第44条    第三者委員会の委員は、第三者委員会が設置される都度、当会社の社外取締役と社外
             監査役の合議で選任されるものとする。
            ② 第三者委員会は、3名以上で構成されるものとする。
            ③ 第三者委員会の委員には、当会社の本店所在地の弁護士会から推薦された候補者のな
              かから1名以上を選任しなければならない。
     第45条    第三者委員会は、取締役会の諮問を受けて次の各号の事項について調査又は審議を行
             い、取締役会に答申するものとする。
             1.不祥事に関する事実認定
             2.不祥事に関する原因分析および法的責任の所在の認定
             3.不祥事に関する再発防止策
             4.その他、不祥事に関する事項で取締役会から諮問されるもの
     附則第1条    第43条から第45条の規定は2019年3月6日に当会社が公正取引委員会から
             受領した「排除措置命令書(案)および課徴金納付命令書(案)に関する意見聴取通
             知書」に係る事案及び本定款の変更が可決された日以降に発覚した事案に適用する。


第3   提案の理由
 1.資本コストの開示に係る定款変更の件
      当社の株価は、解散価値を下回る水準まで下落した。これは、業績動向が不安視されていること
     に加え、低い配当性向を継続して自己資本をさらに積み増す当社の資本政策により、将来の自己資
     本利益率(以下「ROE」という。)の低下が見込まれること、及び、公正取引委員会から独占禁
     止法に違反する行為があるとの指摘を複数回受けた結果、投資家が当社の株式保有にはリスクを伴
     うとの認識を抱くこととなり、そのような認識の反映として、投資家の求めるリターンの水準(株
     主資本コスト)がROEを超える水準にまで高まっていることなどが主因だと考えられる。
      東京証券取引所の有価証券上場規程別添の「コーポレートガバナンス・コード」
                                         (以下「コード」
     という。)において、
              「経営戦略や経営計画の策定・公表に当たっては、自社の資本コストを的確に
     把握した上で、収益計画や資本政策の基本的な方針を示すとともに、収益力・資本効率等に関する
     目標を提示し、その実現のために、事業ポートフォリオの見直しや、設備投資・研究開発投資・人
     材投資等を含む経営資源の配分等に関し具体的に何を実行するのかについて、株主に分かりやすい
     言葉・論理で明確に説明を行うべきである」として、経営陣が自社の資本コストを的確に把握する
     ことを求めている(コードの「原則5-2.経営戦略や経営計画の策定・公表」。当社経営陣におい
                                         )
     ても、当社の株主資本コストを踏まえた加重平均資本コストを的確に把握したうえで事業計画や資
     本政策等を立案・検証することが求められているというべきである。また、加重平均資本コストが
     開示されることにより、当社経営陣と株主を含む投資家との間で、共通の尺度に基づく対話も可能
     となる。このように資本コストを開示することによって、当社株式の市場における低い評価の改善
     を目指すことができると考える。
2.剰余金を処分する件
      「第2 提案の内容 2.剰余金を処分する件」に記載の74円とは、2019年4月18日現
  在最新の当社予想1株当たり当期純利益の金額である。本件は、会社提案の1株当たり配当金がい
  くらであっても、当期純利益全てを配当すること、つまり、配当性向100%を企図した提案であ
  る。
      当社の自己資本比率は2018年3月末現在で38.9%である。2016年3月末に当社の自
  己資本比率は36.9%に上昇し、1992年3月末の32.3%を24年ぶりに更新しており、
  2018年3月末はそれよりも高い水準となった。さらに、当社は2018年5月に発表した中期
  経営計画において、自己資本を2017年3月末から3年間で40%以上積み上げる数値目標を策
  定している。また、当社の2018年11月の決算説明会における説明によれば、2021年3月
  期までは税務上の繰越欠損金の影響でROEに嵩上げ効果があるとのことであるが、それ以降は、
  嵩上げされていたプラス効果が剥落することとなる。前期の通り、低水準の配当性向の影響からさ
  らに資本が積み上がることから、将来的にROEは低下していくこととなる。
      当社は、これ以上自己資本を増加させてもROEは減少するだけである。余剰資金を株主に還元
  することが、株主価値を高め、ひいては株価の向上につながるので、剰余金の配当を大幅に増額す
  べきである。
      なお、当社は、2018年12月末現在で、現預金約146億円を保有しており、有利子負債は
  約25億円に過ぎない。これら現金類似資産の合計は約121億円(以下「ネットキャッシュ」と
  いう。)であり、2016年3月末のネットキャッシュは約60億円であったことに鑑みると、ネ
  ットキャッシュは大きく増加している。2019年3月6日に当社が公正取引委員会から受領した
  「排除措置命令書(案)および課徴金納付命令書(案)に関する意見聴取通知書」においては、課
  徴金の額が約43億円と想定されているところ、これを2018年12月末現在のネットキャッシ
  ュから控除した金額は約78億円となり、2016年3月期から2018年3月期までの3年平均
  ネットキャッシュの約80億円にほぼ相当する。また、課徴金43億円を勘案した2019年3月
  期の当社予想当期純利益は30億円である。したがって、43億円の課徴金納付を勘案し、今回提
  案する剰余金の処分案を実行しても、その配当総額は当期純利益の範囲内であることから、当社の
  ネットキャッシュ及び自己資本の水準を大きく変えるものではなく、当社の財務状態は良好なまま
  である。


3.不祥事における第三者委員会の設置に係る定款変更の件
      2019年3月7日、当社は、全国において販売するアスファルト合材の販売価格の決定に関し、
  独占禁止法違反の疑いがあるとして、同月6日に公正取引委員会から、排除措置命令書(案)及び
  課徴金納付命令書(案)に関する意見聴取通知書を受領したことを公表した。
      同月7日、当社はさらに、本件に係る課徴金は当社が2018年3月期に引当済の約30億円か
  ら約13億円増加して約43億円に上ることが見込まれる旨も公表した。
      当社は、以前にも、独占禁止法違反の行為があったとして、以下の通り様々な処分等を受けてい
  る。


  ①   2016年9月6日、東日本高速道路株式会社東北支社が発注する東日本大震災に係る舗装災
      害復旧工事の入札に関し、独占禁止法に違反する行為があったとして、公正取引委員会より排
      除措置命令を受けた。
 ②   2016年9月21日、東日本高速道路株式会社関東支社が発注する東日本大震災に係る舗装
     災害復旧工事の入札に関し、独占禁止法に違反する行為があったとして、公正取引委員会より
     排除措置命令を受けた。
 ③    2016年11月17日、上記①と②の排除措置命令を受けたことに伴い、国土交通省より、
     「全国における舗装工事業に関する営業のうち、公共工事に係るもの」について45日間の営
     業停止処分を受けた。
 ④   2018年3月28日、過年度における東京港埠頭株式会社が発注する舗装工事の入札に関し、
     独占禁止法に違反する行為があったとして、公正取引委員会から28百万円の課徴金納付命令
     を受けた。
 ⑤   2018年6月7日、上記④と東京都及び成田国際空港株式会社が発注する舗装工事の入札に
     係る独占禁止法違反行為と合わせ、国土交通省より「全国における舗装工事業に関する営業の
     うち、公共工事又は民間工事に係るもの」について30日間の営業停止処分を受けた。


     当社は、上記の①の談合に係る事案に係る公正取引委員会の立入検査を受けて、2016年3月
 25日に再発防止策を公表したが、その半年後にアスファルト合材の価格カルテルの疑いで立入検
 査を受けた。このように、当社の再発防止策には実効性が伴っていなかったため、今般のアスファ
 ルト合材の価格カルテルについて、事前に公正取引委員会に自主申告して課徴金を免れることがで
 きず、約43億円もの巨額の課徴金を支払わねばならない事態に陥り、株主価値が毀損されること
 となった。
     実効性がないことが明らかとなった再発防止策のもとで、独占禁止法違反の再発リスクを放置す
 るのではなく、日本弁護士連合会が策定したガイドラインに準拠した第三者委員会を設置し、専門
 家の助力を得て、新たな再発防止策を策定するべきである。そして、前記の通り、株主資本コスト
 がROEを超える水準にまで高まった主因は、独占禁止法違反によって当社株式の保有に関するリ
 スクが増大したことなどであり、実効性のある再発防止策を策定して株主資本コストの低下を図り、
 株主価値の向上を目指すべきである。
     さらに、今後の万一の場合に備え、独占禁止法に限らず何等かの法令違反行為等が起きたときに
 は、速やかに第三者委員会を設置して具体的な再発防止策に繋げることができるよう、定款を変更
 するものである。


 上記提案の詳細な説明は、https://proposal-for-seikitokyu-
from-sc.com/又は株式会社ストラテジックキャピタルのホームページ右上の特設サイト
リンクhttps://stracap.jp/を参照されたい。


                                               以上