1898 世紀東急 2021-05-12 11:30:00
株主提案に対する当社取締役会意見に関するお知らせ [pdf]

                                                 2021 年 5 月 12 日
  各      位


                                 会 社 名    世紀東急工業株式会社
                                 代表者名     取締役社長 平          喜 一
                                 (コード番号 1898      東証第1部)
                                 問合せ先     総務人事部長     江 藤 研 一
                                 T E L    0 3 - 6 6 7 2 - 9 2 4 5




             株主提案に対する当社取締役会意見に関するお知らせ



 当社は、2021 年 4 月 28 日に公表いたしましたとおり、2021 年 6 月 23 日開催予定の第 72 回
定時株主総会における議案について株主提案を行う旨の書面を受領いたしましたが、本日開催の
当社取締役会において、本株主提案について反対することを決議いたしましたので、下記の
とおりお知らせいたします。



                             記


Ⅰ.提案株主
   株主名:INTERTRUST       TRUSTEES    (CAYMAN)LIMITED
         SOLELY   IN   ITS   CAPACITY    AS   TRUSTEE
         OF   JAPAN-UPおよび株式会社ストラテジックキャピタル
Ⅱ.本株主提案の内容
  1.議題
   (1)資本コストの開示に係る定款変更の件
   (2)剰余金の処分の件


  2.議案の内容
      別紙「本株主提案の内容」に記載のとおりです。
      なお、別紙「本株主提案の内容」は、提案株主から提出された本株主提案書面の該当
   記載を原文のまま掲載したものであります。
Ⅲ.本株主提案に対する当社取締役会の意見


 「提案1.資本コストの開示に係る定款変更の件」
   (1)当社取締役会の意見
      取締役会としては、本株主提案に反対いたします。


   (2)反対の理由
      当社は、当社の企業理念である『豊かな地域社会づくりに貢献する生活基盤創造企
     業』として、健全な存続と持続的成長を実現し、中長期的な企業価値の向上を図るこ
     とを目指しております。このため、資本収益性に関しても、短期的に高い数値を追求
     するよりも、継続的な投資と財務の健全性をバランスよく両立させ、中長期かつ安定
     的に資本コストを上回る経済的価値を生み出すことが重要であると考えております。
      かかる考え方を経営に反映させるため、当社では、従前より、中期経営計画の策定、
    重要な投資判断等における参考として資本コストの把握に努めており、また、2022 年
    3月期を初年度とする「中期経営計画(2021-2023 年度)」においては、株主様や投資
    家の皆様と積み重ねてきた対話の内容も踏まえ、継続的に正のエクイティ・スプレッ
    ド維持を目指す方向性を明示するとともに、その前提として当社が認識する株主資本
    コストの推計値について公表いたしております。
     なお、株主提案は、コーポレートガバナンスに関する報告書において、同報告書提
    出日から遡る1か月以内において当社が把握する加重平均資本コストを、その算定根
    拠とともに開示する旨について、定款の章及び条文を新設することを求めるものです
    が、当社といたしましては、本提案の内容は定款で定めるのになじむものではなく、
    また、株主様や投資家の皆様との対話の内容なども踏まえつつ、既に「中期経営計画
    (2021-2023 年度)」において一定の開示をおこなっておりますが、資本コストの開示
    については、公表の是非、時期、方法等を含め、取締役会において慎重に検討したう
    えで、決定すべき事項であると考えております。
     したがいまして、定款に本議案のような規定を設けることは適切ではないと判断い
    たします。


    (注)
      「資本コストを意識した経営」に関する当社の考え方につきましては、当社ウェ
        ブサイトにも掲載しておりますので、あわせてご覧いただきますようお願い申
        し上げます。
「提案2.剰余金の処分の件」
  (1)当社取締役会の意見
     取締役会としては、本株主提案に反対いたします。


  (2)反対の理由
     当社は、当社の企業理念である『豊かな地域社会づくりに貢献する生活基盤創造企
    業』として、健全な存続と持続的成長を実現し、中長期的に企業価値の向上を図るた
    めには、継続的な投資と財務健全性の確保が不可欠であると認識しております。この
    ため、当社の資本政策においては、資本効率、株主還元とのバランスにも配慮しつつ、
   必要な株主資本の保持に努めることを、基本的な考え方としております。
     また、利益の配分につきましては、持続的成長に向けた経営基盤の強化および収益
   力の維持・向上を図りつつ、当期の業績、財務内容、今後の経営環境等を総合的に勘
   案しながら、安定的・継続的な株主還元の実施に努めることを基本方針としており、
   2021 年3月期を最終年度とする「中期経営計画(2018-2020 年度)
                                        」においては、「総
   還元性向 30%程度を目安とした安定的・継続的な株主還元」という方針を定め、取り
   組んでまいりました。
     これらの方針に基づき、会社提案の「剰余金の処分の件」においては、2021 年3月
   期の期末配当金を1株当たり 43 円(総還元性向 33.5%)とさせていただく予定です。
     なお、2022 年3月期を初年度とする「中期経営計画(2021-2023 年度) においては、
                                             」
   株主還元策についての考え方を「配当性向 30%程度・総還元性向 50%以上を目標とし
   た安定的・継続的な株主還元」とあらためており、さらなる株主還元の充実を図って
   まいります。
     また、本日公表いたしましたとおり、上記の方針等に基づき、「中期経営計画
   (2018-2020 年度)」期間中の経営成績や財政状態の改善状況を勘案し、株主還元の拡
   充および資本効率の向上等を目的として、2021 年度中に総額 25 億円または 350 万株
   を上限とする自己株式の取得を予定いたしております。


     一方で、2021 年3月期における当期純利益の全額を配当することを内容とする株主
   提案については、将来における経営環境の変化や継続的な事業投資の必要性を顧慮し
   ない、短期的な視点に立脚したものであり、結果として、株主の皆様の利益を毀損す
   るおそれもあるものと考えております。
     したがいまして、当社が健全な存続と持続的成長を実現し、中長期的な企業価値向
   上を図る観点からは、本株主提案にかかる剰余金の処分を行うことは適切ではないと
   判断いたします。


                                                以   上
(別紙.「本株主提案の内容」)
 ※提案株主から提出された本株主提案書面の該当記載を原文のまま掲載しております。



第1   提案する議題
 1.資本コストの開示に係る定款変更の件
 2.剰余金の処分の件


第2   提案の内容
 1.資本コストの開示に係る定款変更の件
     現行の定款に以下の章及び条文を新設する。
     第7章 資本コスト
     第42条     当会社は、当会社が東京証券取引所に提出するコーポレートガバナンスに関する報告
              書(以下「CG報告書」という。)において、CG報告書提出日から遡る1か月以内
              において当会社が把握する加重平均資本コストを、その算定根拠とともに開示するも
              のとする。


 2.剰余金の処分の件
     (1)配当財産の種類
        金銭
     (2)配当財産の割り当てに関する事項及びその総額
            143円から、第72回定時株主総会において可決された当社取締役会が提案した剰余金
        処分に係る議案(以下「会社側利益処分案」という。)に基づく普通株式1株当たり配当金
        額(以下「会社提案配当金額」という。)を控除した普通株式1株当たり配当金額を、会社
        提案配当金額に加えて配当する。
            第72期1株当たり当期純利益金額から小数点以下を切り捨てた金額(以下「実績EPS」
        という。)が143円と異なる場合は冒頭の143円を実績EPSに読み替える。
            なお、配当総額は、上記の普通株式1株当たりの配当金額に、当社の第72回定時株
        主総会の議決権の基準日現在の配当の対象となる株式数を乗じた額となる。
     (3)剰余金の配当が効力を生じる日
            当社の第72回定時株主総会の開催日の翌日
            なお、本議案は、第72回定時株主総会に会社側利益処分案が提案された場合、同提
        案とは独立かつ同提案と両立するものとして、追加で提案するものである。


第3   提案の理由
 1.資本コストの開示に係る定款変更の件
      当社の株価は、解散価値程度でしか評価されていないが、当社の2020年3月期の税務上の繰
     越欠損金の影響及び特別損益を除いたROEは12.2%、そして、同様に税務上の繰越欠損金の
     影響及び特別損益を除いて算定した2021年3月期予想ROEは14.1%と高水準である。
      一方、当社取締役会は、昨年の定時総会において提案株主が提案した資本コスト開示に係る株主
     提案に対する反対意見において、
                   「ROEについては(略)株主資本コストを上回る11.7%(2
     019年5月9日修正後)を計画値として定め、公表いたしております。」と主張しており、当社
     の株主資本コストは11.7%よりも低いことを表明している。したがって、冒頭にて算定したR
     OEもまた、当社取締役会の想定する株主資本コストを上回っていることとなる。
   それにもかかわらず、当社の株価は解散価値程度でしか評価されていないこととなるが、その理
  由は、株式市場が想定している株主資本コストが、当社取締役会が想定している自社の株主資本コ
  ストよりも高いことにあると考えられる。すなわち、取締役会は、自社の株主資本コストを的確に
  把握していない可能性が高いと考えられる。
   当社は、低い配当性向を継続して自己資本をさらに積み増す資本政策により、将来のROEの低
  下が見込まれることに加え、当社の度重なる独占禁止法に違反する行為について、公正取引委員会
  からは排除措置命令や課徴金納付命令の処分、国土交通省からは営業停止処分、更にNEXCO東
  日本等からは指名停止措置等の処分を継続的に受けた結果、投資家が当社の株式保有にはリスクを
  伴うとの認識を抱くこととなり、当社の業績動向は株式市場から不安視されている。そのような市
  場の認識の反映として、株主資本コストがROEと同程度の水準にまで高まっているにもかかわら
  ず、当社取締役会がこれらの問題点を認識していないため、当社取締役会の想定する株主資本コス
  トと株式市場が想定する株主資本コストとの間に乖離が生じているものと考えられる。
   東京証券取引所の有価証券上場規程別添の「コーポレートガバナンス・コード」 「原則5-2.
                                       の
  経営戦略や経営計画の策定・公表」では、経営陣が自社の資本コストを的確に把握することを求め
  ている。当社経営陣においても、当社の株主資本コストを踏まえた加重平均資本コストを的確に把
  握したうえで事業計画や資本政策等を立案・検証することが求められているというべきである。ま
  た、加重平均資本コストが開示されることにより、当社経営陣と株主を含む投資家との間で、共通
  の尺度に基づく対話も可能となる。このように資本コストを開示することによって、当社株式の市
  場における低い評価の改善を目指すことができると考える。
   しかしながら、昨年の資本コスト開示に係る株主提案について、当社取締役会は「中長期的に安
  定的に資本コストを上回る経済的価値を生み出すことが重要であると考えております。」としなが
  らも、「資本コストの開示については、株主様や投資家との対話の内容なども踏まえつつ(略)取
  締役会において慎重に検討したうえで、決定すべき事項であると考えております。」と主張し、提
  案に反対した。そして、その後、資本コストの開示に関して当社は何らのアクションもしていない。
  冒頭のように当社取締役会が的確に自社の株主資本コストを認識していない疑いがあるのになぜ
  放置しているのか、非常に理解に苦しむところである。そもそも、経営の目標数値として重要なも
  のであるとの自覚があるのであれば、開示してしかるべきである。


2.剰余金の処分の件
   「第2 提案の内容 2.剰余金の処分の件」に記載の143円とは、2021年4月23日現
  在最新の当社予想1株当たり当期純利益の金額である。本件は、会社提案の1株当たり配当金がい
  くらであっても、当期純利益全てを配当金とすることを企図した提案であるが、単に2021年3
  月期の配当として143円の配当金を求めているのではなく、後記のように、今後の中長期的な資
  本政策として、配当性向100%を継続的に採用していただくことに期待した提案である。
   当社の自己資本比率は2020年3月末現在で49.1%である。2016年3月末に当社の自
  己資本比率は36.9%に上昇し、1992年3月末の32.3%を24年ぶりに更新しており、
  2020年3月末はそれよりも大幅に高い水準となった。さらに、当社は2018年5月に発表し
  た中期経営計画(以下「本中計」という。)において、自己資本を2017年3月末から3年間で
  40%以上積み上げる数値目標を策定している。弊社はこのような資本政策は株主価値を毀損させ
  るだけだと考え、有利子負債を増やすこと、すなわちレバレッジを高めることにより、ROEを高
  め、株主価値を向上させる施策の実行を、当社に対して再三にわたり要望している。本中計が対象
  とする期間は2021年3月期までであるが、本中計と同様の資本政策が2022年3月期以降も
  継続すれば、低水準の配当性向の影響からさらに自己資本が積み上がり、レバレッジは低下するこ
  とから、将来的にROEは低下していく可能性が高い。
  当社は、これ以上自己資本を増加させてもROEは減少するだけである。余剰資金を株主に還元
 することが、株主価値を高め、ひいては株価の向上につながるので、剰余金の配当を大幅に増額す
 べきである。そして、第72期だけではなく、それ以降も当社の資本政策として配当性向100%
 を採用することで、中長期的にも当社が自己資本を積み上げないことを明らかにしていただきたい。
  なお、当社は、2020年12月末現在で、現預金約191億円を保有しており、有利子負債は
 約51億円に過ぎない。現預金から有利子負債を控除した額(以下「ネットキャッシュ」という。)
 は約140億円であり、2016年3月末のネットキャッシュは約60億円であったことに鑑みる
 と、ネットキャッシュは大きく増加している。今回提案する剰余金の処分案を実行しても、その配
 当総額は当期純利益の範囲内であることから、当社のネットキャッシュ及び自己資本の水準を大き
 く変えるものではなく、当社の財務状態は良好なままである。


 上記提案の詳細な説明は、2021年4月28日以降、https://proposal-fo
r-seikitokyu-from-sc-2021.com/又は株式会社ストラテジックキャ
ピタルのホームページ右上の特設サイトリンクhttps://stracap.jp/を参照され
たい。なお、提案書において記載する会社数値は、全て連結計算書類に基づいている。


                                           以上