1720 東急建設 2020-11-09 15:30:00
ビジョン2030・長期経営計画策定に向けた基本的な考え方について [pdf]
2020 年 11 月 9 日
各 位
上場会社名 東 急 建 設 株 式 会 社
代表者 代表取締役社長 寺田 光宏
(コード番号 1720)
問合せ先責任者 経 営 企 画 部 長 小西 雅和
(TEL 03-5466-5008)
ビジョン 2030・長期経営計画策定に向けた基本的な考え方について
当社では、2000 年に定めた企業理念のもと、10 年毎にビジョンを策定しており、現在、
現行のビジョン 2020、
「Shinka(深化×進化=真価)し続けるゼネコン-東急建設」を受け
継ぐ 2030 年に向けた新たなビジョン(ビジョン 2030)を策定しています。
また今期は中期経営計画 2018-2020(現中計)の最終期であり、これまで3年毎に策定し
てきた中期経営計画に替え、ビジョン 2030 と同時にその達成に向けた 10 年間の長期経営
計画の策定を進めているところです。
ビジョン 2030・長期経営計画は 2021 年 5 月に公表する予定ですが、現状においてコロ
ナ禍による環境変化なども含めて将来に対する不確実性がより高まり、当社の業績見通し
にも影響を与えていることから、これらの現段階における検討状況を踏まえた当社の「基本
的な考え方」について、下記の通りお知らせいたします。
記
1.現状認識と対応について
本日公表した、
「業績予想の修正に関するお知らせ」の通り、2021 年3月期の通期見通
しを下方修正することといたしました。今期の業績悪化は、渋谷駅周辺の再開発工事を含
む大型工事の一巡という当社固有の事情に加え、コロナ禍など事業環境への悪影響によ
るものですが、今期の受注見通しにつきましては、大型物流倉庫など、コロナ禍において
も比較的引き合いが堅調な分野もあることから、前期比 68%増とした期初の予想を維持
し、次期以降の業績回復に努めてまいります。
またこうした状況を踏まえ、手元資金や株価水準等を総合的に勘案し、資本効率の向上
を図るため、本日公表した「自己株式取得に係る事項の決定に関するお知らせ」の通り、
自己株式の取得を進めることといたしました。
当社では現在、中期経営計画 2018-2020(現中計)およびこれと同時に定めた「2026 年
1
のありたい姿」を実行中ですが、上記の通り環境が大きく変化していることから、策定中
のビジョン 2030・長期経営計画により、その考え方を一新することといたします。また
今後、2021 年 5 月の公表までの過程においても、本「基本的な考え方」に沿って順次施
策を具体化しながら、状況に応じた果断な意思決定を行ってまいります。本日公表した自
己株式取得についても、最適資本構成の追求を前提として、資本コストと資本効率性との
スプレッドの最大化を図るとともに、「中長期の業績目標」と整合性の取れた「財務・資
本政策」を定めるとした本「基本的な考え方」に基づき実施するものです。
2.将来環境の認識について
当社は、ビジョン 2030・長期経営計画の策定に際し、足元の環境変化だけを捉えるの
ではなく、将来に向けての不確実性の高まりを強く意識し、シナリオプランニング(将来
起こり得る複数のシナリオを描き、戦略を導き出す手法)を実施しています。
シナリオ検討においては、まず国内人口の減少や先行き不透明な市場環境の継続、デジ
タル技術の建設市場への浸透加速、あるいは気候変動やそれによる大規模自然災害の増
加など、ほぼ想定可能な環境変化を認識・定義しました。その上で、国内外のマクロ環境
と国内建設市場の2つの側面から、当社に影響が大きく不確実性の高い要素を抽出し、
「分散型社会/都市集中型社会」「サステナビリティ重視社会(SDGs など環境・社会課
、
題解決への取組みが根づく社会)/経済性重視社会(経済・企業利益が優先される社会)」
の2軸に整理し、4つの象限によりシナリオ化しています。
これらの中から当社がメインシナリオとしたのは下表右下、
「環境配慮型の都市モデル
が築かれる未来・ビジネスモデルの転換が求められる未来」です。そこでは、気候変動の
影響によりグローバルで多発する大規模自然災害や、コロナ禍のような生活のあり様を
変化させるような出来事を社会全体がより深刻に受け止めるようになります。そしてそ
のことにより、国連が定めた持続可能な開発目標である SDGs や、それを企業が経済的
価値を生み出す活動と結びつける役割を果たす ESG 投資の重要性が増し、個人や企業の
持続可能性に対する意識の高まりが人々の働き方にも変化をもたらし、地方への分散も
一定程度進む中で、環境や防災・減災などをより強く意識した都市モデルが築かれていき
ます。
このような中、建設市場では、デジタル技術の進化により BIM/CIM がバリューチェー
ンを繋ぐプラットフォームとなることで、新たな価値提供の可能性が生まれビジネスチ
ャンスが創出されることになります。またこれにより異業種の参入機会も増加すること
から、ビジネスモデルは大きな転換を迫られることになると考えています。
当社ではこのようなシナリオを戦略検討の中心に据えつつ、他のシナリオが進行して
いく可能性までを含めて俯瞰的に捉えることで、不確実性がより高まる将来に向けた戦
略を策定しています。
2
3.基本的な考え方(企業価値創造ストーリー)
当社では、下図および「4.参考」にお示ししている通り、当社の成り立ちと企業理念
から導かれたパーパス(存在理念)や組織や行動における共通の価値観(経営理念・行動
理念)、そしてビジョン 2020 により培ってきた Shinka(深化×進化=真価)が、将来に
向けた持続的な企業価値創造における最も重要な基盤であると考えています。
この考え方を踏まえた上で、シナリオプランニングにおけるメインシナリオ、 「環境配
慮型の都市モデルが築かれる未来・ビジネスモデルの転換が求められる未来」に基づき、
より重要性が増す SDGs を事業機会と捉えた上で、当社のケイパビリティーとの適合性
を検討し、3つの提供価値「①脱炭素、②廃棄物ゼロ、③防災・減災」を軸とした戦略に
より、当社独自の企業価値創造ストーリーを描くこととしました。
ビジョン 2030・長期経営計画では、これらを軸に「人材」と「デジタル技術」を競争
優位の源泉として、 社会課題の解決とそれを通じた経済的価値の創出、 さらには事業活動
全体を通じてのステークホルダー(お客様、協力会社、社員・家族、株主、そして社会)
への還元を強く意識したサステナブル経営を実践してまいります。
3
(1)何をゴールとするか
・人材とデジタル技術を競争優位の源泉として、土木・建築・国際・不動産などの各事
業のシナジーを創出し、3つの提供価値で業界内の独自のポジションとしての「東急
建設ブランド」を確立し、財務・非財務両面での企業価値の最大化を目指す。
(2)どこで戦うか
・土木・建築事業では、特に3つの提供価値への感度・関心が強い既存のお客様層を核
に、新規の市場・お客様を含めて開拓・深耕し、川上・川下領域へも積極展開する。
・国際事業では、国内での鉄道工事や東急沿線の都市開発で培ってきた当社の強みによ
り、東南・南アジアを中心とした新興国の ODA による鉄道・交通インフラや TOD
(公共交通指向型都市開発)に取組み、進出国の社会基盤整備とサステナブルな街づ
くりに貢献し積極的な事業成長を果たす。
・不動産事業では、3つの提供価値を軸に SDGs 達成に向けたマーケット需要や「環
境・安全・健康分野」への感度・関心が高いお客様を取り込み、建設事業とのシナジ
ーを最大限活用した不動産バリューアッド(物件の価値を最大化し収益性を高める)
を武器に独自性のある取組みを展開する。
・加えて、再生可能エネルギーなど3つの提供価値の拡大に寄与し得る領域や、競争優
位の源泉とするデジタル技術活用の領域で順次積極的に新規事業を展開する。
(3)どう勝ち抜くか
・SBT 認定の取得や TCFD への賛同などを通じたサステナブルな社会の実現へ向けた
取組みと、3つの提供価値を軸とした戦略の具体化により、
「東急建設ブランド」を
市場に浸透させ、その価値を高める。
・BIM/CIM によるデジタルプラットフォームの構築と建設事業における業務変革を、
競合他社を圧倒するスピードで進め、お客様への提供価値とバリューチェーン上の
生産性を業界トップクラスに引き上げる。
・ZEB 技術やデジタルプラットフォームを活用した新たな価値提供と事業モデルの創
出に継続投資し、オープンイノベーションや事業間シナジーの発揮により、その実現
力と実績で差別化する。
(4)新たにどんな能力を備えるか
・BIM/CIM をプラットフォームとした請負業のビジネスモデル変革に挑戦する
・3つの提供価値に対するお客様の認知度向上に必要な営業・マーケティング力を確立
する。
・既存事業の業務・人材変革を推進し得る” DX 推進機能“を確立する。
・3つの提供価値の拡大に寄与し得る領域や競争優位の源泉とするデジタル技術活用
の領域で新規事業を産み出し続ける“新規事業継続創出機能”を確立する。
・上記2機能を支えるシブヤの“地の利”も生かした“オープンイノベーション機能”を強
化する。
4
(5)どんなマネジメントシステムが必要か
・2030 年に向けた変革を確実にやり切るためのコーポレート・ガバナンスのあり方を
追求する。
・経営者の意思決定と各事業の業務執行を支えるコーポレート組織を変革し、成果実現
に繋げるためのマネジメントシステムを確立する。
・3年毎の中期経営計画に替わる、ビジョン 2030 とその達成に向けた 10 年間の長期
経営計画と短期の実行計画に基づくマネジメントサイクルを導入する。
・事業リスクも踏まえた最適資本構成の追求を前提として、資本コストと資本効率性
(ROE、ROIC など)とのスプレッドの最大化を図る。
・上記に基づき、整合性の取れた「中長期の業績目標(成長性)
」と「財務・資本政策
(株主還元方針を含む)
」を定める。
4.参考
(1)当社の成り立ち
当社は社会課題を解決するために生まれた会社です。歴史を辿れば終戦後すぐに、焦土
と化した首都東京の復興のために東京急行電鉄(現東急)内に設置された「臨時戦後復興
委員会」にその起源はあります。これにより 1946 年に前身の東京建設工業が設立され、
東急不動産との合併を経て 1959 年に東急建設が誕生しました。それ以来、
「東京の急激
な人口膨張」という社会課題を大きな事業機会と捉えた東急グループの一員として、多摩
田園都市の開発(鉄道敷設、宅地開発等のまちづくり)の一翼を担い、身の丈を超える数々
の難工事を手掛けて事業の礎を築き、日本全国から海外まで事業を展開、1980 年代後半
には準大手ゼネコンの一角を占める企業にまで成長しました。
そして 2000 年、バブル期の過剰投資による経営危機から再建計画を策定。その際に
1982 年に定めた社是「東急建設は豊かな人間環境づくりを通じて社会に貢献し生きがい
ある社員集団として常に発展する」を受け継ぎ新たに企業理念を定めました。当社の企業
理念は、存在理念(存在意義)と、経営と人材が共有する価値観(経営理念・行動理念)
により構成されています。
当社はこの企業理念に基づき、2011 年にビジョン 2020「Shinka(深化×進化=真価)
し続けるゼネコン-東急建設」を掲げ、東日本大震災からの復興や激化する自然災害など
に備えるための国土強靭化、そして国内外それぞれの地域における建物や構造物の建設
を手掛けることや、新たな事業領域への挑戦を通じて社会課題の解決に全力で取り組み、
企業価値を向上させてまいりました。
(2)ビジョン 2020 の総括
「Shinka(深化×進化=真価)し続けるゼネコン-東急建設」
深化:本業である請負業の力を高める。
進化:請負以外の新たな事業領域にも挑戦し成果を上げる。
真価:真の価値あるゼネコンとして、社会に貢献し続けていく。
5
①深化:本業である請負業の力を高める
当社では 2012 年度以降、3年×3回の中期経営計画によりビジョン達成に向けた取
組みを進めてきました。本業である請負業では、震災復興事業や東京オリンピック・パ
ラリンピック開催に向けた施設整備をはじめとして、国内外で数々の大型工事や難工
事を手掛け、着実な成果を上げてきました。何より渋谷駅周辺の再開発事業への取組み
は、当社にとって創業以来の象徴とも言える大きな意義のある実績となりました。JR、
東京メトロ、東急の各路線や百貨店などの商業施設、そして国内有数の乗降者数がある
渋谷駅の歩行者動線、さらには地下を流れる渋谷川まで、それらはすべて止めることが
できないものとして工程・施工計画を組み、安全に配慮して工事は進められました。対
応するためには土木工事と建築工事が錯綜する中で完全な連携を取ることも求められ
ます。業界内では「土木と建築は別会社」と言われることもありますが、当社では強み
であるチームワークを如何なく発揮し、無事に工事を進めることができました。こうし
た超大型プロジェクトによる数々の成果は、当社の施工マネジメント力をさらに向上
させることに繋がり、間違いなくビジョンに掲げた「深化」に繋がっていると自負して
います。
②進化:請負以外の新たな事業領域にも挑戦し成果を上げる
新たな事業領域への挑戦としては、コンセッション事業、不動産事業およびパプリカ
事業への取組みを進めてきました。
コンセッション事業では、東急株式会社との連携の下で国内空港民営化事業に取組
み、既に運営がスタートしている仙台空港運営事業に加え、2020 年 9 月 11 日に優先
交渉権者選定の公表があった広島空港運営事業にも出資者として参画しています。ま
たこの他にも、日本初の下水道コンセッション事業である浜松市公共施設等(西遠処理
区)運営事業に出資者として参画するなどの成果を上げています。
不動産事業では、建築主体のゼネコンである当社のノウハウにより、築古物件をリノ
ベーションにより価値を高め、安定した収益を生み出す賃貸収益物件として運用を進
めているほか、東急グループの強みを活かして共同で物件取得を進め将来の大型再開
発への参画機会を確保するなど、建設事業とのシナジーを発揮することを主眼とした
取組みを行っています。
パプリカ事業は、ビジョン 2020 策定後に新たに始めた事業です。食品安全、労働環
境、環境保全に配慮した「持続的な生産活動」を実践する企業に与えられる
GLOBALG.A.P.認証を取得しており、地元茨城県美浦村での雇用創出にも貢献しつつ、
効率の良い生産システムで質の高いパプリカを生産・販売しています。当社の存在理念
(パーパス)である安心で快適な生活環境づくりを通じて社会課題の解決を目指す当
社において、建設周辺領域以外への初めてのチャレンジとして取組んでいます。
③真価:真の価値あるゼネコンとして、社会に貢献し続けていく
当社はビジョン 2020 による深化と進化を受け継ぐビジョン 2030 を掲げ、これから
も社会課題の解決において真価を発揮することで、企業価値を向上させてまいります。
以 上
6