1716 第一カッター 2021-10-29 18:00:00
財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備に関するお知らせ [pdf]

                                                         2021 年 10 月 29 日
各   位
                                  会 社 名   第一カッター興業株式会社
                                  代表者名    代 表 取 締 社 長 高 橋 正 光
                                          (コード:1716       東証第 1 部)
                                  問合せ先    管 理 本 部 長         安 達 昌 史
                                          (TEL.   0467-85-3939)




            財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備に関するお知らせ

 当社は、金融商品取引法第 24 条の4の4第1項に基づき、2021 年 10 月 29 日付で関東財務局に提出いたしました
2021 年6月期の内部統制報告書において、開示すべき重要な不備があり、当社の財務報告に係る内部統制は有効でな
い旨記載いたしましたので、下記の通りお知らせいたします。




                              記


1.開示すべき重要な不備の内容
 当社は、2021 年 8 月 5 日に当社連結子会社である㈱光明工事の従業員からの内部通報により、一部の役員及び従業
員が本来の使途とは異なる経費精算等を行い、不正に資金を流用していた疑いがあることを認識しました。
 そこで、2021 年 8 月 6 日付の当社取締役会において、より専門的で中立・公正な調査等を実施するために、外部
専門家等により構成される第三者委員会の設置を決議し、事実の解明及び原因の究明に着手しました。2021 年 10 月
8 日、第三者委員会から調査報告書を受領し、上記不正な資金流用等があったとの報告を受けました。                   第三者調
査委員会により認定された不適切な会計処理が生じた原因は、以下のとおり、㈱光明工事の元代表取締役を含む経営
トップの信頼性ある財務報告に対する意識やコンプライアンスに対する意識の欠如に端を発するものでありますが、
当社による管理・監督が機能しなかったことによるものと認識しております。
 a.光明工事に関する主な原因
(1)土木建設業界の旧弊、裏金づくりの目的
受注のために、発注担当者に対するキックバック、費用の肩代わりなど、表に出せない資金が必要といった、旧態依
然とした土木建設業界の悪弊に光明工事が浸かっていたこと。
(2)創業者の影響力
光明工事では創業者の影響力が強く、上場会社である当社の子会社となった後も、創業者の影響力が依然として色濃
く残っており、社内の牽制が機能しない体質があったこと。
(3)組織的な不備
光明工事の創業者の身内が長期にわたって事務長を務め、管理業務を統括しており、創業者と事務長が家族経営的に
会社の資金を自らの財布のごとく事実上管理する状況が長期にわたり継続してきたこと。
b.当社に関する主な原因
(1)光明工事の特殊性
 光明工事は、当社が進出できていなかった関西、中国、四国地方における営業を担う営業上重要な子会社であり、
かつ質の高い水中工事を担うことができる国内屈指の会社であったことに加え、強いリーダーシップや影響力を背景
に同社を実質的に支配する創業者に対して、当社による管理・監督が機能しにくい状況にあったこと。
(2)不十分な管理・監督体制
①派遣取締役、監査役の不十分な職務執行
 光明工事には、当社から取締役 2 名及び常勤監査役 1 名を派遣し、取締役会での多数を確保するとともに、派遣役
員を毎月の取締役会に出席させ、監査役には現金を確認させるなどの管理体制を採ってきたものの、派遣された各役
員は、同社のずさんな管理体制に対して、寛容な態度で臨んでおり、管理・監督のためのそれぞれの機能を果たして
こなかった。
②管理部門等の不十分な体制
 当社は、法務部門を設置せず、法的問題に対応する法務担当は兼任で賄っている。また、内部監査室は 1 名で運用
しており、業務の一部を外部に委託するなどの体制を採っている。上場会社の管理部門や内部監査室の体制としては
不十分であり、また、内部監査での検出事項などの情報は代表取締役に報告するのみで、特に社外役員に対する情報
経路が十分に整備されてない状況にある。
また、業務監査の具体的なチェック項目が規定されておらず、業務監査に対する対応が実態として十分に運用されて
こなかった。
③不十分な内部通報制度
 当社は、内部通報制度の一環として「目安箱」をサイボウズ上に設置することで、グループの全構成員からハラス
メント相談などを申告できるようにしているが、「目安箱」に寄せられたメッセージについて、報告経路などの取扱
ルールが明文化されていないこと、外部通報窓口が設けられていないなど、内部通報制度が適切に運用され、リスク
の管理、発見、調査、是正に向けた取組みに対して有効に機能する仕組みが十分に整備されていない。
④現場の重視とコンプライアンス意識の低さ
 当社が現場を重視する経営を行ってきたことが、相対的にコンプライアンスへの意識を低下させる要因となってい
ることは否定できず、このことは、一部の監査役にも及んでいる。
⑤当社役員の光明工事に対する寛容さ
 第三者委員会の調査結果報告書では、光明工事に派遣されていない当社役員についても、今回の発覚以前に、本件
に係る情報を入手していたものの、取締役会への報告、実態調査の指示には至らなかったことも指摘されている。光
明工事の重要性や特殊性からの寛容さもあったものの、しかるべき役職者が、しかるべき行動をとる体制、仕組みの
脆弱さは否定できない。


 第三者委員会の調査結果報告書や当社の内部調査の結果を踏まえれば、光明工事の重要性や特殊性により、当社の
同社に対する管理・監督が十分に機能しなかったことに加え、当社の管理機能の脆弱性、コンプライアンス意識の低
さ、全社的な内部統制における情報伝達やモニタリング機能の実効性ある仕組みの不足などが、今回の不正の早期発
見、調査、是正を遅らせた要因であると認識しております。


以上の第三者委員会や当社における評価結果を踏まえ、当社は、当社及び光明工事の財務報告に係る内部統制のう
ち、全社的な内部統制の統制環境、情報伝達及びモニタリングに不備が存在するものと判断いたしました。
2.事業年度末までに是正できなかった理由
 上記事実は当事業年度末日以後に発覚したため、当該開示すべき重要な不備を当事業年度末日までに是正すること
ができませんでした。


3.開示するべき重要な不備の是正方針
 当社は、財務報告に係る内部統制の重要性を認識しており、これらの開示すべき重要な不備を是正するために、第
三者委員会からの指摘・提言も踏まえ、以下の再発防止策を実行し適正な内部統制の整備及び運用を図ってまいりま
す。


     ①.コンプライアンスを真ん中に置く企業文化を創る
     ②. 役員・従業員のガバナンス・コンプライアンスに対する意識改革のための教育
     ③. 取締役会のあり方の見直し
     ④. コンプライアンス体制の強化
     ⑤. グループ全体のガバナンスシステムの構築
     ⑥. 内部通報制度の充実化
     ⑦. グループ全体の内部監査、監査役監査、監査人による会計監査の連携強化および実効性確保
     ⑧. コンプライアンス重視の人事
     ⑨. 社内コミュニケーションの改善




4.財務諸表に与える影響
 開示すべき重要な不備に起因する必要な修正事項は、すべて財務諸表に反映しております。




5.財務諸表の監査報告における監査意見
 無限定適正意見であります。




                                                    以 上