1711 SDSHD 2019-02-14 17:03:00
改善計画・状況報告書(原因の総括と再発防止策の進捗状況)について [pdf]

                                     2019 年2月 14 日


各 位


                            株式会社省電舎ホールディングス
                                代表取締役社長 西島 修
                                (コード 1711 東証 2 部)
                      問い合わせ先: 取締役管理本部長 田中 圭
                                   (03-6821-0004)




      改善計画・状況報告書(原因の総括と再発防止策の進捗状況)について




Ⅰ.はじめに
 当社は、2018 年8月 31 日発表「特設注意市場銘柄の指定及び上場契約違約金の徴求に
ついてのお知らせ」にてお知らせいたしましたとおり、東京証券取引所より当社の内部管
理体制について改善の必要性が高いと認められたために、2018 年9月1日付で「特設注意
市場銘柄」に指定されました。
 当社は、この事態を深く反省し、2018 年7月 11 日発表「第三者委員会の調査報告書受
領に関するお知らせ」における第三者委員会の調査結果及び再発防止のための提言を基
に、今般の不適切会計の原因分析を行い、改善策を取り纏めましたのでお知らせいたしま
す。なお、特設注意市場銘柄への指定から本改善計画の開示まで 5 ヶ月以上も要した主た
る理由は、
    「Ⅲ.特設注意市場銘柄指定後に判明した問題点」において記載のとおり、当
社代表取締役社長が保有していた当社株式に係る貸株取引について、その全容を解明する
のに 3 ヶ月以上の期間を要したためですが、当社の問題意識の不足が当該調査の長期化に
つながったものと認識しており、結果として、本改善計画の開示が遅れましたことに関し
ましても深く反省しております。
 株主の皆様をはじめ、関係者の皆様に多大なご迷惑とご心配をお掛けしましたが、引き
続き格別のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。
Ⅱ.原因分析
  当社は、特設注意市場銘柄指定に関する具体的な原因について以下のとおりと考えて
います。なお、特設注意市場銘柄指定の原因となった過年度決算訂正の概要及び第三者調
査委員会による調査結果については、2018 年 8 月 10 日付開示「平成 30 年 3 月期有価証
券報告書及び過年度の有価証券報告書等の訂正報告書の提出並びに過年度決算短信等の
訂正に関するお知らせ」及び 2018 年 7 月 11 日付開示「第三者委員会の調査報告書受領に
関するお知らせ」をご参照ください。
 1.当社グループにおける経理体制の不備
 (1)役員体制の問題
    2014 年3月期末の役員体制は、当社の事業子会社である(株)省電舎(以下「省電
   舎」という)の代表取締役が、当社グループの経理責任者である当社経営管理部担
   当役員兼部長を兼務する形になっていました。このため、省電舎の代表取締役の判
   断を第三者が客観的に監視・牽制する体制ではありませんでした。
    2015 年3月期の組織改編で経営管理部担当役員が交代となり、形式的には上記兼
   務は解消したものの、省電舎の代表取締役の直属の部下であった者が経営管理部長
   であったことから、省電舎の代表取締役が当社グループの経理・会計に対して容易
   に指示を出すことができる状況は継続していました。
    2016 年3月期の組織変更で、経営管理部長が当社の取締役となり、省電舎の代表
   取締役、取締役経営管理部長の連携により当社グループの経理・会計業務を操作す
   る体制は更に強固なものとなりました。
    このように 2015 年、2016 年に新たな取締役を社内から選定し、組織再編を行っ
   たにも関わらず、実質的に省電舎の代表取締役が当社グループの経理・会計業務を
   支配する体制が改善されず、長期間にわたってガバナンスが機能しない状況が継続
   していました。その原因は、以下のとおりと考えられます。
    ① 当社グループの事業子会社の代表取締役が、当社グループの経理責任者を兼
         務することに問題意識を持っていなかったこと
    ② 当社グループの組織体制の構築における役員体制について、社外取締役、社
         外監査役への事前相談を行うことなく、取締役選任議案を取締役会に付議し、
         当該決議を行っていたこと
    ③ 従前の上下関係が継続することで取締役として本来発揮すべき牽制機能を発
         揮することが出来なかったこと


 (2)慢性的な人員不足
    管理本部、経営管理部とも人員不足の状況が継続し、管理本部長、経営管理部長
   を補佐すべき幹部従業員、その下で実務を行う従業員とも不足していました。
    このように、組織運営上必要な人員が不足していたことが、レポートラインの脆
  弱化更には職務分掌の形骸化につながり、結果として牽制機能が欠如した組織体制
  による業務運営が続いたことで、長期かつ継続的に経理・会計上の不適切行為が行
  われる環境を醸成していたものと思われます。


(3)会計知識の欠如
   当社では、社内に会計業務に関する豊富な実務経験、十分な会計知識を持つ人材
  が存在しておらず、担当者による勘定科目の適用違い等のミスが発生しても、上長
  の段階でも、社内監査等においても全てのミスを発見し訂正することができる環境
  が整っていませんでした。


 2.役員・従業員間における牽制機能の不備
   当社グループにおいては、経理処理を当社経営管理部が担当しています。業務フ
  ローにおける一般的な経理処理のプロセスとしては、営業担当の依頼を受けて経営
  管理部において処理するという流れとなります。経営管理部では、担当者が書類を
  起案し、それを本部長が決裁する(必要に応じて社長決裁)など、複数の担当者・
  決裁者がその役割に応じて、相互にチェック機能を発揮することで不適切な処理を
  防止することができるという仕組みになっているはずでしたが、相互チェック(牽
  制)機能に不備が生じており、十分に機能していませんでした。その原因として、
  以下の点が挙げられます。
(1)省電舎の代表取締役と管理部門担当役員の兼任
  「1.
    (1)
      」に記載のとおり、省電舎の代表取締役が当社経営管理部の担当役員
 を兼任しているなど、役員体制に問題があり、その結果、牽制機能が機能していま
 せんでした。


(2)牽制機能を発揮するための体制不備
  「1.
    (2)
      」に記載のとおり、人員が不足し、複数の役職を兼務している状況が
 続いていたため、レポートラインにおいて相互にチェック機能(牽制機能)を発揮
 する体制にありませんでした。


(3)稟議手続きの形骸化
   稟議決裁関連規程では、決裁者が起案者となることを禁じる旨を明確に定めてい
  ませんでした。そのため、社長が営業活動を行った新規案件の稟議書を、当該案件
  担当者が社長の指示を受けて起案し、社長が承認を行うなど、新規案件の提案を行
  う者とその承認するものが実質的に分離されておらず、稟議手続は形骸化しており、
  役員・従業員間の牽制機能の発揮を妨げていました。
3.コンプライアンス意識の欠如
(1)役員におけるコンプライアンス意識の欠如
   当社グループは、業績不振が長期化しており、資金繰りについても厳しい状況が
  続いていたため、資金調達及びこれを実現するための黒字化が当社グループの最優
  先課題でした。このような状況において、
                    「上記最優先課題の実現のためであれば原
  価付替や架空売上計上を行うこともやむなし」という一部の取締役の判断から今回
  の不適切行為が始まりました。
   他の取締役についても、異議を述べることなく黙認または全く関知しておらず、
  効果的な牽制機能の構築についての問題意識もなかったため、今回の不適切行為を
  防止するに至りませんでした。
   また、監査役についても、当社の効果的な牽制機能の構築について全く問題意識
  がなく監査役本来の役割に対する十分な認識も持たず、また組織的な監査役監査を
  実施しておらず、その監査は実効的なものではなく、不適切行為の発見、防止には
  至りませんでした。


(2)従業員におけるコンプライアンス意識の欠如
   上記(1)のとおり、今回の不適切行為は取締役から始まりました。本来、従業
  員を指導する立場の役員が、コンプライアンスを軽視し、表面的な業績の糊塗に走
  り、これに協力することが、従業員の役割であるかのように振舞っていました。当
  然、従業員に対するコンプライアンスの指導は行われず、社内の価値観が誤った方
  向へ向かい、コンプライアンス軽視の風潮が社内に醸成されてしまいました。この
  ため、従業員においても、コンプライアンスに関する規範意識が鈍磨し、原価付替
  や架空売上計上などについて違和感を抱くことはなく、原価付替の依頼に関するメ
  ールのやり取りに参加した場合でも異議を述べることなく黙認するなど、原価付替
  等の不適切行為を容認する社内風土すらある状況でした。


(3)内部通報制度とその意義が十分に告知されていなかったこと
   外部通報窓口、匿名、通報者の不利益処分禁止等を定めた内部通報運用規程は存
  在していたものの、従業員に対してこの制度の存在、意義を積極的に告知すること
  をしていなかったため、従業員において、不適切行為に疑念を持った者がいたとし
  ても、それを行動に移すことに意識が向かわなかった可能性があると思われます。
  このように、内部通報制度の告知が不十分であった点も、従業員のコンプライアン
  ス意識の醸成の妨げになりました。
(4)取引先との癒着関係
   営業担当者が単独で取引先とコミュニケーションを取る傾向にありました。この
  ため、発注者と受注者という継続的な取引関係に基づく担当者間同士の個人的な友
  好関係・協力関係が、取引先企業に対する原価付替や架空売上計上への協力を要請
  しやすい状況を作り出しており、また取引先企業においてもかかる要請を受忍せざ
  るを得ない状況を作り出していました。


4.社内規程の不備及び不適切な運用
(1)経理処理に関するルール及び細則の未整備
   経理業務全般を規律するための社内規程は、原価管理、売上計上などのルールが
  不明確であり、担当取締役らが、個人的な判断により都合の良い経理処理を行う
  等、内部監査等でルールを逸脱していることについて指摘される状況にありません
  でした。


(2)社内規程と実際の業務フローとの乖離
   経理業務全般を規律するための社内規程は、実際の業務との乖離があり、単なる
  ミスを超えた、経理会計上の不適切な行為についても、仕組みとして防止できる機
  能が整っていませんでした。


(3)社内規程を軽視ないし無視する社内風土
   社内全体が社内規程や業務マニュアルを軽視ないし無視するという不適切な運用
  がなされていました。
   これは、当社代表取締役社長を筆頭に取締役及び監査役がコンプライアンスに対
  する関心が非常に低く、コンプライアンスに関する規程も存在せず、社内規程や業
  務マニュアルが適切に整備されているかどうかの調査や検討を取締役会等で議論さ
  れることもなく、社内規程や業務マニュアルについて不適切な運用がなされても大
  きな問題ではないという社内風土が醸成されていたことによるものと考えられま
  す。


5.内部統制の整備・運用に係る重要な不備
(1)全般統制の不備
   上記のほか以下のような内部統制の不備が認められました。
  ① 営業報告や営業日報の不存在に起因する上長による管理体制の不備
  ② 見積書や取引先の選定基準に関するチェック体制の不備
  ③ 取締役会議事録等の作成体制の不備(省電舎)
  ④ バックアップデータの管理体制の不備
(2)多数の業務処理統制の不備
  ① 工事進行基準における対象の業務プロセスの不備
  a. 受注登録(変更を含む)に関する業務プロセス
     工事進行中における受注先変更について、当該変更に伴う登録抹消等の情報
   が販売管理システムに適切に反映されていませんでした
  b. 実行予算の策定手続及び承認手続に関する業務プロセス
     取締役会等での承認手続きに関して記録が残されていませんでした
  c. 予算実績管理及び工事原価総額の見積りの見直しに関する業務プロセス
     予算実績管理及び工事原価総額の見積りの見直しに当たって必要となる情報
   を担当部署の部門長が現場担当者、施計・見積担当者より適時かつ網羅的に情
   報収集出来ていませんでした
  d. 適切な工事原価総額の見積りが困難となる可能性のある契約に関する業務プ
     ロセス
     このような契約に関して業務プロセスが整備されていませんでした
  e. 原価比例法の基礎となる発生した工事原価に関する業務プロセス
     各案件の工事原価に関する工事原価管理表の更新が随時更新されず、四半期
   ベースでの更新作業の確認となり、工期の遅れや見込の変動についての最新の
   情報を収集することが出来ませんでした
  f. 原価比例法を用いた決算日における工事進捗度の算定に関する業務プロセス
     適切な業務プロセスが整備されていませんでした
  ② 有価証券評価プロセスの不備
     投資有価証券や子会社株式の勘定科目について、整備状況評価資料が整備さ
   れておらず当該プロセスの評価ができていませんでした。


6.(株)エールケンフォーにおける内部統制の不備
 当社の事業子会社である(株)エールケンフォー(以下「AK4」という)については、
今回の不適切行為が行われた場ではないものの、第三者委員会の調査報告書において
内部統制の不備を指摘されています。この点について、以下の(1)のとおり AK4 を連
結子会社化した特殊な経緯を背景として、
                  (2)及び(3)に記載した内部統制の不備
を招いたと考えております。
(1)当社グループの連結会社となった経緯
   2016 年 10 月6日開催の取締役会において、簡易株式交換により AK4 の持株会社
  であるエールを完全子会社化することで、AK4 を連結子会社化することを決議し、
  2016 年 10 月 27 日付で手続きを完了しました。
   AK4 を連結子会社とした理由は、以下のものでしたが、これらに加えて、好調に推
  移していた AK4 の業績を当社グループの連結決算に組み込むことで、当社の株式価
  値向上が早期に実現することを期待していたという背景もありました。
  ・ 当時、AK4 は、太陽光発電関連と省エネルギー商材の開発と販売で、業績を伸ば
    しており、AK4 開発による太陽光関連設備、あるいは省エネルギー関連商材に
    は、需要拡大の可能性があること
  ・ 再生エネルギー事業における AK4 の実績・技術、省エネルギー事業における開
    発力を当社グループ内に内製化することは、当社グループの今後の成長に大き
    く寄与すると考えられること
   また、当社の持株比率は、以下の理由から 51%とすることにしました。
  ・ 主たる目的が連結子会社化であったこと
  ・ AK4 は、当社創業者で当社の取締役である AK4 代表取締役が設立した法人であ
    り、連結子会社化以降も同社株式の 49%を継続保有することから、当社と AK4
    代表取締役が協力することで、当社が完全子会社化するまでもなく、同社のガ
    バナンス、内部統制は有効に機能すると判断したこと
  ・ 簡易株式交換による手続きを前提とした場合、株式交換による新株発行株式数
    には上限があり、本件による発行株式数がその上限に近かったこと


(2)全般統制の不備
   連結子会社化した当初は、当社と AK4 代表取締役が協力することで、当社が完全
  子会社化するまでもなく、同社のガバナンス、内部統制は有効に機能すると判断し
  ていましたが、その後有効なガバナンス体制が整備されなかった結果、以下のよう
  な具体的問題が生じていました。
   ① 役員報酬の問題(親族の取り扱い)
     AK4 の役員構成は、AK4 代表取締役以下、全員が AK4 代表取締役の親族などで
    占められており、この状態が 2018 年 10 月まで継続していました。今般の調査
    により、親会社としても、勤務実態が乏しい AK4 代表取締役の親族を役員に据
    え、役員報酬を支払い続けていたことを看過していたことが明らかになりまし
    た。
   ② 中古自動車輸出入事業
     AK4 が運営している中古自動車輸出入事業は、 代表取締役の親族である取
                            AK4
    締役が担当していますが、以下のような問題点が存在しており、当該事業の取
    り扱いについて早急に検討する必要があるものと認識しています。
    ・ 当社グループ、同社の主要事業との関連性が乏しく、当社グループの経営
      方針(事業方針)に合致しない
    ・ 当該事業における取引先に AK4 取締役の配偶者が関与しており、関連当事
      者取引に該当することが懸念される
   ③ 社内規程の不備
     当社の規程に準ずる社内規程が存在するものの、当該規程や業務マニュアル
    は適切に運用されていませんでした。


   AK4 において有効なガバナンス体制が整備されなかったのは、以下の原因がある
  と認識しています。
  ・ AK4 代表取締役のコンプライアンス意識の欠如
  ・ AK4 代表取締役が当社の創業者かつ筆頭株主であるため、当社取締役による AK4
    の経営への十分な牽制に至らなかったこと
  ・ 人員不足の常態化
  ・ 情報共有、コミュニケーションの不足(AK4 内及び当社と AK4 間)


(3)内部統制の整備運用の不備
   AK4 の内部統制に関しては、連結子会社後に省電舎に準ずるレベルの規程を作成
  するなど、会計監査人による内部統制評価への対応という形で整備され、その適切
  な運用が望まれていました。しかし運用実態は、以下のような問題が多く見られ内
  部統制の整備・運用に重大な不備がありました。
   ① 案件において個々の発注に係る支払名目が最終的には契約書等で一定の形式
    は整うものの支払時点では不明確である場合があること
   ② 取引先との債権債務において客観的には不明瞭な相殺処理が行われる場合が
    あること
   ③ 個人間の信用ベースで取引先から短期的な資金融通を受ける場合があること
   ④ AK 代表取締役を含む親族である役員からの借入について契約書が不整備であ
    り、かつ決裁もなされていないこと
   ⑤ 勤務実態が乏しい AK4 代表取締役の親族を役員に据え、役員報酬を支払い続
    けていたこと


7.親会社としての子会社管理体制の不備
(1)省電舎
  ① 役員体制の問題
   子会社の代表取締役が当社管理部門の担当取締役を兼務する、子会社の代表取締
  役の強い影響下にある部下が当社管理部門の管掌役員、及び部門長を兼務するとい
  う組織体制であったという人事面の問題が、子会社管理における阻害要因となった
  と認識しています。このような管理体制では、親会社による子会社への牽制機能が
  著しく損なわれていました。
  ② 情報共有の不足
    当社グループでは、以下のような原因により省電舎における案件進捗などの情報
  を担当者、あるいは一部の上長のみが有し、子会社内でさえ共有されないケースが
  ありました。このような状況では、親会社である当社にも情報共有がなされず、子
  会社管理における阻害要因となったと認識しています。
    a. 実効性、透明性があり、役職員のコミュニケーションが図れる会議等の運営、
         議事録の管理が出来ていなかったこと
    b. プロジェクト進捗の管理がシステム的にできていなかったこと
    c. 当社グループにおける営業管理の会議で、問題がある案件についての議論は
         避け、闊達な議論が行われず、議事録の作成もほとんど行われていなかったこ
         と
    d. 社内で進捗しているプロジェクトとその進捗を一覧できるような管理体制が
         構築できておらず、案件の管理ができる体制が構築されていなかったこと
  ③ 子会社に対する業務監査の未実施
    内部監査室に専任の内部監査室長が存在しておらず、子会社に対する有効な業務
  監査も行われていませんでした。


(2)AK4
  ① AK4 を子会社化する際の当社の検討不足
    当社は、AK4 子会社化にあたって、アスカ監査法人〈住所:東京都港区西新橋二丁
  目7番4号、代表社員:田中 大丸〉に財務諸表、内部管理制度の整備状況の調査を
  依頼し、2016 年8月 31 日付で調査報告書を受領しております。当該調査報告書で
  は、AK4 の会計上、内部統制上の対応すべき指摘事項が示されておりましたが、当社
  は、子会社化後に当該指摘事項の解消を進めることが可能と判断し、AK4 の子会社
  化を決定しました。
    しかしながら、 子会社化後の当社持株比率が 51%に止まることを踏まえると、
           AK4
  子会社後の役員構成、事業運営体制については、完全子会社化の場合以上に、詳細
  な協議・検討をしておくべきでした。ところが、当時は、当社の創業者、筆頭株主
  である AK4 代表取締役に対する過度の遠慮と信頼から当該協議・検討が不足してお
  り、このことが子会社後においても AK4 の役員全員が AK 代表取締役の親族であった
  り、当社グループの主要事業との関連性が乏しい中古自動車輸出入事業に対する精
  査の不足に繋がっただけではなく、上記調査報告書指摘事項の解消が実現しなかっ
  たことの大きな要因であると認識しております。
  ② AK4 代表取締役に対する当社取締役会の牽制機能不全
    上記のとおり、AK4 代表取締役は、当社の創業者、筆頭株主であり、当時の取締役
  会の構成メンバーにも影響力を有していました。これに加えて、AK4 の子会社化の
  主たる目的が当社株式価値の向上であり、当社からの働きかけにより子会社化され
  た経緯を踏まえると、当社取締役会のメンバーは、当社取締役の一員に過ぎない AK4
  の代表取締役に対して遠慮があり、本来発揮されるべき子会社への牽制機能を果た
  すのが困難な状況でした。
  ③ AK4 に対する管理本部、内部監査室の管理機能不全
   6.(2)のような状況では、取締役会はもとより管理本部、内部監査室も、AK4
  代表取締役による指示や使用経費等に対して、確認、意見を述べるなど本来発揮す
  べき機能を果たすことはできませんでした。


8.内部監査の問題
 内部監査は、以下の原因により有効に機能していませんでした。
(1)専門の内部監査部門の不在
   内部監査を実施する内部監査室は、2017 年6月の株主総会前に設置されたもの
  であり、それまでは独立した内部監査部門は設置されず、主に経営管理部長や管理
  本部長が内部監査部門の役割を兼務しており、専門の内部監査室の人材が不在でし
  た。


(2)内部監査の独立性
   内部監査業務は、内部監査担当者に求められる独立性が十分に確保できていない
  状態でした。


(3)監査役会、会計監査人との連携不足
   内部監査に係る調査等において、特に監査役会及び会計監査人との連携が取れな
  かったことが、内部監査を有効にできなかった要因の一つです(10.会計監査人と
  の連携不足で詳述)
          。


(4)社内規程の遵守状況に関するモニタリングの未実施
   社内規程の遵守状況に関するモニタリングは、全く実施されていませんでした。


(5)内部監査部門からの改善点のフィードバック
   内部監査を通じて発見された改善点を是正するための仕組みがなく、適切な形で
  社内の役職員にフィードバックされることもありませんでした。


9.監査役監査の問題
 監査役及び監査役会においては以下のような問題があり、不適切行為について未然
に防止あるいは事後に監査における指摘事項等とすることによりその後の不適切行為
に係る案件の発生を防止する、といった対応ができませんでした。
(1)取引や業務について調査を行っていない
   必要な業務についての調査を行わず、本来の役割を十分果たしていませんでし
  た。業務監査についても、案件担当者から工事進捗度や利益額等の数値面等につい
  て報告を受ける程度で、自ら個々の取引や業務の適切性の調査等を行うことはして
  いませんでした。
   また、2017 年の株主総会前に内部監査室が設置され、同年の内部監査によって、
  第三者委員会の調査報告書にも記載されていましたインドネシア案件についての指
  摘があった際にも、監査法人による財務諸表監査を受けていることもあり、適切な
  会計処理から大きく逸脱するようなことはないと考え、独自の視点からの監査役監
  査を行っていませんでした。


(2)監査役の監査役本来の役割に対する認識不足
   監査役が本来の役割に対する十分な認識を持たず、経営者の経営上の相談相手と
  しての立場であるという認識が強く、取締役会を監視、牽制するどころか、取締役
  の立場を保護することを本来の業務であると認識していました。こういった意識の
  欠如により、組織的な監査役監査を実施しておらず、実効的なものではありません
  でした。


10.会計監査人との連携不足
 会計監査人と決算時の監査期間においてのみやり取りをしていたため、会計監査人
との事前協議が必要とされる会計処理であっても、事後的に監査を受けるのみでした。
仮に一連の原価付替や架空売上計上にかかる案件について、案件の経緯、概要等を会計
監査人に事前相談していれば、今回の不適切会計を防止できた可能性があったものと
認識しています。
 監査役及び監査役会も、会計監査人との情報共有を、決算時にのみ行っており、決算
策定過程の問題については、決算時の指摘事項を聞くのみで、連携及び対応ができてい
ませんでした。
 また、2018 年 8 月に専任の内部監査室長が選任されるまでの間は、会計監査人との
連携は、管理部門が行っていましたが、会計監査人からの指摘事項を真摯に受け止める
ことなく、改善活動はされず、実質的に会計監査人と内部監査室の連携は機能していま
せんでした。


11.過去の不適正開示に係る改善策の未実施
 当社は、2015 年 4 月3日付「第三者割当による第1回無担保転換社債型新株予約権
付社債及び第5回新株予約権の発行に関するお知らせ」において、調達資金の具体的
な使途であるバイオガス・プラントを貸与して行う IPP 事業のスキーム説明に関する
  誤記載及び取引先から基本合意契約解除の申し入れがあった事実の未記載により不適
  正開示を招いたことについて、2015 年7月 15 日に日本取引所自主規制法人に対して
  提出した経緯書の中で以下の問題点を認識していました。
 (1)営業案件の進捗、問題点等の状況に関する報告体制が整備されていなかったこと


 (2) 資金調達という機密性の高い案件を進めるに当たり、代表取締役及び担当取締
   役、経営管理部責任者の3名のみで開示資料等の作成・確認を行っていたこと


 (3)当社のリスク管理体制が、各部門の業務担当者がリスクの懸念がある事象が発生
   した場合、そのリスク懸念事象を各部門会議の中で報告し、当該部門会議において
   リスク懸念事象を検討、対応策を検討した上で、全社的なリスクとしてとらえるべ
   きリスクであると判断された場合、当社代表取締役社長を委員長とするリスク管理
   委員会に上程、リスクを識別し、当該リスクを発生時の影響の大きさと発生確率か
   ら評価し、その評価からリスクの予防と発生時の対応策の検討を行うことがされて
   なかったこと
    特に重大な問題として認識していたのが、当社における社風としての情報共有の
   不備でした。
    当社はそれらを解決するために、部内での情報を共有するための定例の部門会議
   と、他部門との情報共有を行うため各本部長が出席する本部長会議を月に1回以上
   行うこと、当社グループの事業推進上、特に重要と考えられる案件については当社
   代表取締役社長が臨時に招集するプロジェクト管理委員会、営業開発会議により当
   該案件の進捗状況を含めた情報を代表取締役及び取締役へ報告すること、またリス
   ク管理体制に関しても、正しくリスク管理委員会内においてリスクを評価、対応策
   を検討するような運営を行うこと、だと考えていました。
    しかしながら、
          「内部統制の整備・運用に係る重要な不備」でも記載したとお
   り、当社における業績が芳しくなく、取締役及び監査役がリスク管理に対する認識
   が不十分であり、リスク管理委員会が行われていなかったこと、また情報共有のた
   めのプロジェクト管理委員会、営業開発会議についても適正な運営及びそれに対す
   るフィードバックがなされていなかったこと、具体的には、プロジェクト管理委員
   会、営業開発会議、リスク管理委員会の議事録が存在しないこと、上記会議に参加
   するメンバーが確定されていないこと、上記会議を運営するための要綱等のマニュ
   アルがないこと等により、この度の不適切会計を防げなかったことの原因の一つを
   構成したものと思われます。


Ⅲ.特設注意市場銘柄指定後に判明した問題点
 当社は、2018 年9月 1 日付で株式会社東京証券取引所より特設注意市場銘柄に指定さ
れ、株主を始め関係者の皆様の信頼を回復すべく、内部管理体制の整備・強化に全力を
尽くすべき状況でありながら、2018 年 11 月 14 日に 2018 年3月期有価証券報告書におけ
る大株主の状況において、当社代表取締役社長が第2位株主と記載していましたが、貸
与した株式への支配力が曖昧であったことが判明し、保有株式をゼロに訂正する事態を
招いてしまいました。


1.大株主の状況に関する訂正報告書提出の経緯
(1)資金調達を目的とした貸株取引の実行
    当社代表取締役社長は、2017 年9月頃に省電舎、AK4 の資金需要に対応する必要
   が生じていたため、自らが保有していた当社株式(当社代表取締役社長の個人資産
   会社の保有分を含む)を使用して資金調達を行うこととし、経営企画室長とともに
   経営コンサルタントの A 氏(以下「A 氏」という)に相談しました。
    一方で、当社代表取締役社長は、上記当社株式を使用しての具体的な資金調達方
   法については、経営企画室長に一任しており、当社代表取締役社長保有の当社株式
   を経営企画室長に貸株しておりました(以下、当社代表取締役社長の経営企画室長
   に対する貸株を「代表者貸株」という)
                    。
    その後、経営企画室長は資金調達につき、A 氏より、資金力のある投資家から、代
   表者貸株を担保として金銭を借り入れるというスキームを提案され、A 氏と経営企
   画室長が当社代表取締役社長の借入の連帯保証人にもなっていることや AK4 代表取
   締役個人の資金調達を A 氏が手掛けていたことから、A 氏を信頼しその提案を採択
   し実行しました(以下、本件の資金調達全体を称して「本件貸株取引」という)
                                      。


 (2)大株主の状況への不適切な記載及び訂正
    本件貸株取引が行われた結果、2018 年3月末時点の株主名簿に当社代表取締役社
   長の記載はなく、当社は株主名簿の状況を認識していたものの、株主名簿管理人と
   協議の上、2018 年5月に貸株契約を延長し、当社及び当社代表取締役社長とも期限
   延長後の貸株契約の期日である 2018 年 11 月6日までには当該株式が当社代表取締
   役社長に返還されると認識していたことから、当社代表取締役社長は株主であると
   判断のもと、2018 年3月期有価証券報告書の大株主の状況においても当社代表取締
   役社長が 20 万株を保有している旨を記載しました。
    しかし、2018 年8月以降、本件貸株取引の全容についての調査を進めていく中で、
   当社代表取締役社長の本件株式に対しての支配力が既に失われていたこと、貸与し
   た株式が当社代表取締役社長に返却される見込みがないことが明らかになり、2018
   年3月末時点においても当社代表取締役社長は本件株式に対しての支配力が曖昧で
   あり、実質的な株主でなくなっていたと認定するのが妥当との判断に至ったことか
  ら、2018 年 11 月 14 日付で有価証券報告書における大株主の状況の記載を訂正する
  訂正報告書を提出しました。


2.大株主の状況の訂正及びその原因となった貸株取引に係る原因分析
 本件貸株取引によって 2018 年 3 月期有価証券報告書の訂正に至った原因は以下のと
おりです。
(1) 重要な資金調達に関する検討・統制の不足
  ① 資金調達の事前検討プロセスの不備
   職務権限規程及び職務権限基準表によれば、資金調達(借入)は、少額であって
  も取締役会で決議を行うこととなっており、本件は個人所有の株式を利用していた
  ものの、当初から当社の資金調達の可能性が存在していた以上、取締役会による検
  討等を事前に行うべきでした。
   また、当社代表取締役社長の資金調達が実現した場合、その資金は当社代表取締
  役社長個人から当社に貸し付けられると想定され、それは当社代表取締役社長との
  関連当事者取引となることから、当社代表取締役社長の資金調達が実現する前の段
  階であっても、当該取引の妥当性、合理性について取締役会における事前審議が必
  要であり、その一環として本件貸株取引の全容を把握する必要がありました。
   しかし、本件貸株取引はそのような手続きを経ていませんでした。
   その原因は、職務権限規程及び職務権限基準表の規定が曖昧で取締役会に付議す
  べき前段階の行動、すなわち資金調達の為の事前交渉等のプロセスが明確になって
  いなかったことと考えています。
  ② 資金調達段階における不備
   経営企画室長と投資家間の取引においては、貸付先のコンプライアンス確認を十
  分に行っていなかった、取引当日証券会社に行った際に取引の相手先が変更になっ
  た、取引を中止すべき状況にもかかわらず取引を行った等の問題点が存在し、その
  結果想定していた資金調達が実現できませんでした。
   また、上記の問題等は経営企画室長から取締役会及び当社代表取締役社長に報告
  されていませんでした。
   その原因は、貸株取引への理解不足(貸株取引とは、保有する株式を担保として
  金銭を借り入れるスキームであり、貸株契約を締結し株式を貸付けた場合、一定の
  資金を受領するはずであるにも関わらず、経営企画室長、当社代表取締役社長とも
  金銭を受領しなかったことについて、違和感を抱かず、懐疑的な確認を行わなかっ
  たこと)、及び社内報告基準・検討体制の不備(当社規程において貸株取引について
  想定していなかったため、社内報告、あるいは事前検討についてのルールが未整備
  であったこと)にあったと考えております。
 (2) 当社株式管理体制の不備
    有価証券報告書に誤った記載を行った直接の原因として、当社の貸株取引につい
   ての理解が不十分であったこと及び本件貸株取引の全容を把握できていなかったこ
   とが挙げられると考えております。
    加えて、当社代表取締役社長が大量保有報告書を提出した時点(2017 年 10 月中
   旬) 当社代表取締役社長が実質的株主であると判断した有価証券報告書の作成過程
     、
   等において、本件貸株取引の全容調査を開始すべき契機があったにもかかわらず、
   日本取引所自主規制法人から指摘されるまで調査を実施しなかったため、有価証券
   報告書の訂正までに長期間を要してしまったと考えております。


Ⅳ.再発防止に向けた改善措置
 1.当社グループにおける経理体制の整備(原因分析「1.当社グループにおける経理
   体制の不備」に対応する改善策)
 (1)営業担当取締役が経理の責任者を兼ねる体制の解消
   ① 有効な牽制機能を維持する組織構築
    現在の当社グループの組織体制は、問題のあった当社管理部門を管掌する取締役
   管理本部長と事業子会社である省電舎の代表取締役(当社代表取締役副社長)は別
   の人物であり、営業担当取締役が経理の責任者を兼ねるという体制は解消済みです。
   今後は 2019 年2月までに組織規程を改定し、下記のような不適切な兼務が起こらな
   いよう牽制の効いた組織体制を構築・維持するよう努めます。
    a. 財務と経理の非分離
    b. 管理監督職(課長職以上)の部を超えた横の兼任
    c. 責任者不在の部署
    d. 1人部署
   ② 取締役の役割と責任についての再確認
    取締役会の直属機関である内部管理体制強化委員会(後述13.参照)について、
   2018 年 12 月 27 日開催の取締役会で
                          「内部管理体制強化委員会運営要綱」を決議し、
   大株主である取締役、当社代表取締役社長を含む全ての役員が、当社グループの経
   営全般におけるリスクの抽出及び分析並びにコンプライアンスの管理等内部管理体
   制強化のための重要な役割を担っており、その中心となるのが委員長である管理部
   門担当取締役である旨を改めて確認しました。今後は、役員向けコンプライアンス
   研修(後述3.(2)参照)を継続的に行い意識改革及び知識の向上に努めます。
   ③ 取締役の選任プロセスの整備
    今後、社内取締役候補を選任する際は、社外役員との事前面談を実施し、候補者
   としての適性を判断するプロセスを取締役会規程において設定します。
    現任の管理部門担当取締役は、就任の際に上記プロセスを経ておりませんが、過
  去の職歴において管理部門の業務経験が豊富であり、業務全般に関する知見も有し
  ています。先のⅢ2.(2)に記載のとおり貸株取引について適切な対応を講じなか
  った点について、今後監査等委員を中心とする責任追及委員会で議論されるべきで
  すが、現時点においては社外監査等委員から取締役としての適性については問題な
  いとの見解を付されています。従って、上場企業の管理部門担当取締役に求められ
  る資質も十分に備えているものと判断しています。
  ④ 管理部門担当取締役の牽制機能を発揮するための体制整備
   2018 年 10 月に新設した内部管理体制強化委員会委員長を管理部門担当取締役と
  することにより、当社代表取締役社長及び大株主である取締役に対して牽制機能を
  果たす役割と責任を明確にしました。また、取締役会や内部管理体制強化委員会を
  通じて社外役員との連携を一層強化することで牽制機能をより実効的なものとする
  とともに、2019 年 2 月末までに、
                     組織規程及び職務分掌規程並びに職務権限規程を、
  実際の組織体制と整合するように整備し、同様の事象が再発しないルールを策定し
  た上で、当該ルールの遵守を徹底します。


(2)人員の採用
   2018 年9月に管理本部で正社員1名を採用するとともに、2019 年1月より、同じ
  く管理本部への派遣社員の 1 名を採用しました。また、2018 年 10 月度より公認会
  計士事務所と実務支援を含んだ業務委託契約を締結し、経理部門の強化を実現して
  います。
   既存の人員と上記の補強を合わせることで、組織運営上最低限必要なレポートラ
  インの確保ができたものと認識していますが、より一層の管理体制の強化を図るべ
  く、採用活動を行っています。今後も組織規程等の基準に照らして、2019 年 4 月ま
  でに 3 名程の採用を予定しており、不適切な兼務や所要人員の不足という事態に陥
  らぬよう人事管理を徹底します。


(3)会計知識のレベルアップ
   2018 年 10 月度より公認会計士事務所と業務委託契約を締結し、経理部門が行っ
  た会計処理の確認だけではなく、会計業務から有価証券報告書等の作成に至るまで
  の業務を委託し、2019 年 3 月期第 2 四半期決算より実施しています。
   当該公認会計士事務所には、当社経理担当者への指導に加えて、当社取締役管理
  本部長、経理責任者、経理担当者、開示業務担当者への開示業務に関する研修を 2019
  年 3 月から四半期に1度のペースで依頼しており、これらの実施により、当社グル
  ープ全般の会計業務がレベルアップするだけではなく、当該会計事務所が作成した
  成果物について、当社にて確認 検証できる体制が確保できるものと考えています。
                ・
2.役員・従業員間における牽制機能の強化(原因分析「2.役員・従業員間における
  牽制機能に不備」に対応する改善策)
 2019 年 2 月末までに、組織規程、業務分掌規程、職務権限規程、稟議規程等組織関
連規程の確認・整備を行い、上場会社として継続的かつ内部牽制の効いた経営活動を遂
行するという観点から、以下を実行します。
(1)事業を遂行するために必要な人員確保と牽制の効いた組織体制の構築
  ① 人員の確保による部門責任者の兼任解消
   グループ会社間の管理のために必要な役員の兼任を除き、部門責任者の兼任を解
  消しています。今後、兼任する必要がある場合には、経営会議及び内部管理体制強
  化委員会の意見を付した上で、取締役会の決議をもって決定します。
  ② 承認ルートの重複解消
   決裁者が起案者となる稟議申請が実施できない新たな稟議フローを 2018 年 10 月
  より運用しています。なお、稟議規程を当該運用にあわせて 2019 年 2 月末までに改
  定します。


3.コンプライアンス意識の強化(原因分析「3.コンプライアンス意識の欠如」に対
  応する改善策)
 第一に、経営陣が今回の不適切行為の発生原因を正しく理解し、これまで役職員にお
いてコンプライアンス意識や知識が著しく欠如していたことを反省した上で、コンプ
ライアンスを徹底した経営を行うことを宣言することが必須と認識していることから、
2018 年 8 月 3 日、8 月 10 日に全社員向けのメールで、さらに 2018 年 10 月1日、第 31
期下半期のスタートにおいて、当社代表取締役社長より全社員に対してコンプライア
ンス意識向上並びに今後の研修等の重要性を伝えたうえで、下記の施策を実施します。
(1)コンプライアンス・関連法令・上場規則等に関する社員研修の実施
   2018 年 11 月 5 日を初回として大手上場企業において社内研修の講師を務めてい
  た方によるコンプライアンス研修を実施するとともに、2018 年 12 月7日には日本
  取引所自主規制法人コンプライアンス研修センターによるコンプライアンス研修も
  開催しています。加えて、e ラーニングによる継続的な従業員研修も導入します。


(2)役員向けコンプライアンス研修の実施
   役員は、従業員とは異なる法律上の責任を負っており、会社法に定められた取締
  役の法的責任を再確認し、それにふさわしいコンプライアンス行動が求められます。
  また、取締役には取締役会の一員としての責任だけでなく、取締役個人としての責
  任があります。他の取締役がどうであろうと、自らの信念に基づいて、自立的に責
  任を果たしきることが求められます。
   そのため、役員に関しては、上記社員研修に加えて、2019 年 2 月を初回として年
  2 回を目安に、以下をテーマとする外部有識者を講師とするコンプライアンス研修
  を実施します。
  ① 取締役の法的責任の知識(会社法、金融商品取引法など)
  ② 当社グループの事業に関連する重要法令の知識
  ③ 全社的リスクマネジメントの知識
  ④ 内部監査や内部通報制度などの重要な社内制度の知識(とくに構築面)


(3)取引先との癒着関係が発生しないような体制の構築
   取引先との癒着関係を排除するために、2018 年 10 月より重要、重点的な取引先
  について、取引先データシートの作成、整備を行うことで、上長が当該取引先をカ
  バーする体制を導入し、各取引に関する監視・監督機能を強化します。また、取引
  先と協議を行い、不適切行為に今後一切応じないよう要請しました。


(4)内部通報制度の告知
   内部通報制度についての説明会を 2019 年3月に開催し、合わせて外部通報窓口の
  案内も配布し、内部通報制度の告知を徹底します。


4.社内規程の精査及び整備・運用管理の徹底(原因分析「4.社内規程の不備及び不
  適切な運用」に対応する改善策)
(1)社内規程の精査及び整備
   今回の不適切会計の事象において発覚した原価付替や架空売上計上との関係にお
  いて、稟議規程、経理規程、外部業者等の起用の決定基準に関する規程、販売管理
  規程、組織規程、業務分掌規程、職務権限規程、リスク・コンプライアンス規程、
  取締役会規程、関連会社管理規程、内部監査規程、情報システム管理規程の見直し
  は早期に実施すべきであることから、2019 年2月 21 日開催予定の取締役会で上記
  規程等の改定を決議する予定です。
   その他の社内規程については、内部監査室が整備状況及び内容を精査し、実際の
  業務フローとの適合性についてチェックを 2019 年3月上旬までに実施する予定で
  す。その後、2019 年3月末までに管理本部が規程等の改定、あるいは新設を検討し
  たうえで、取締役会に上程し、社内規程を整備する予定です。
  その後、改定又は新設後の規程の運用状況を内部監査室の実地監査により継続的
  に確認することで、運用の徹底を図る予定です。


(2)社内規程を軽視ないし無視する社内風土の改善
   上記(1)のとおり社内規程及び細則を整備し、運用を徹底することで、社内規
  程を軽視ないし無視する社内風土を改善します。加えて、当社代表取締役社長をは
  じめとした経営陣を律する行動規範を新設し、経営陣の更なる意識改善を進めるこ
  とで、社内風土の改善に繋げる予定です。


5.内部統制の整備・運用に係る重要な不備の解消(原因分析「5.内部統制の整備・
  運用に係る重要な不備」に対応する改善策)
(1)全般統制の不備の解消
  ① 営業報告や営業日報のルールの策定
   営業報告や営業日報の提出がされていませんでしたので、2018 年 10 月から営業
  会議等での報告及び上長への書類提出を義務付ける運用を開始しました。販売管理
  規程を上記運用にあわせるよう 2019 年 2 月末までに改定する予定です。
  ② 見積書や取引先の選定基準の策定
   見積書の作成や取引先の選定についての明確なルールが策定されていなかったた
  め、それらに関連する業務マニュアルを 2019 年 2 月末までに策定する予定です。
  ③ 取締役会議事録等の作成体制の整備(省電舎)
   現在は取締役会議事録を作成する運用となっていますが、取締役会議事録等の作
  成についての明確なルールが存在しておりませんので、2019 年 2 月末までに「取締
  役会規程」を改定し、適切な運用に努めます。
  ④ バックアップデータの管理体制の強化
   「情報システム管理規程」等の規程類が存在しておりませんので、2019 年 2 月末
  までに策定し、規程に従った運用状況を内部監査室で確認したうえで追加対応の必
  要性を検討していく予定です。


(2)多数の業務処理統制の不備の解消
  ① 工事進行基準における業務プロセスの見直し
   工事進行基準適用範囲の決定における内部統制機能の強化を図るべく、経理規程
  の改定及び以下のプロセスに係る業務マニュアルの改定を 2019 年2月末までに行
  う予定です。
   a.受注登録(変更を含む)に関する業務プロセスの改善
   b.実行予算の策定手続及び承認手続に関する業務プロセスの改善
   c.予算実績管理及び工事原価総額の見積りの見直しに関する業務プロセスの改
     善
   d.適切な工事原価総額の見積りが困難となる可能性のある契約に関する業務プ
     ロセスの改善
   e.原価比例法の基礎となる発生した工事原価に関する業務プロセスの改善
   f.関連のない他の工事契約に係る認識の単位との間の工事原価の振替及び付替
     の防止に関する業務プロセスの改善
  ② 有価証券評価プロセスの改善
   有価証券評価プロセスについては、明確なルールが策定されていなかったため、
  2019 年 3 月末までに策定し、運用を開始する予定です。


6.AK4 の内部統制の整備(原因分析「6.AK4 における内部統制の不備」に対応する改
  善策)
(1)全般統制の不備の解消
  ① 役員報酬の決定プロセスの整備
   2018 年 10 月より AK4 の取締役の半数が当社から派遣されており、監査役も当社
  取締役管理本部長が務める体制としたことから、当社の同意がない限り、役員報酬
  を決定できない状況となっています。今後の AK4 の役員報酬については、その業績、
  財務状況などを鑑みて検討を行った上で、毎年、適正な金額を決定することとしま
  す。
   なお、勤務実態が乏しい AK4 代表取締役の親族である役員に対する役員報酬は
  2018 年 11 月より支払を行っておりません。
  ② 中古自動車輸出入事業の取り扱い
   当該事業が当社グループ、及び同社の主要事業との関連性が乏しいこと、当該事
  業における取引先に AK4 担当取締役の親族が関与しており、関連当事者取引への該
  当が懸念されることなどを踏まえて、当社は、当該事業の継続の可否について検討
  し、2019 年 3 月末までに決定する予定です。当該事業を継続する場合は、当社管理
  本部と内部監査室が連携の上、社内規程等を遵守した事業運営の管理を徹底します。
  ③ 規程の整備及び運用
   当社内部監査室が 2019 年2月末までに AK4 の社内規程の整備状況、内容及び運用
  状況を精査し、その結果を当社管理本部に報告する予定です。
   当社管理本部は、内部監査室の報告をうけて AK4 に対して、規程等の改定、ある
  いは新設を指示し、2019 年3月末までに規程及び細則を整備するとともに、その後
  の運用状況について管理本部が継続的に確認する予定です。
  ④ AK4 代表取締役のコンプライアンス意識の向上
   AK4 代表取締役は当社の取締役でもあるため、3.
                           (1)
                             (2)に記載の改善策を実
  施することで、コンプライアンス意識の向上を図ります。
  ⑤ AK4 の経営へ牽制機能の発揮及び情報収集体制の整備
   2018 年 10 月より AK4 の取締役の半数を当社から派遣し、監査役も当社取締役管
  理本部長が務める体制とすることで、AK4 の経営に対して当社の牽制機能が発揮で
  きき、必要な情報を収集できる体制を確保しました。
  ⑥ 人員不足の解消
   当社管理本部が主体となって求人を行っていますが、現時点において人員不足の
  解消は実現しておりません。今後も、当社が主体となり、人員計画を策定し、人員
  確保に取り組みます。


(2)内部統制の整備運用
   以下のプロセスを 2019 年2月末までに整備し、運用を開始する予定です。
  ① 支払ルールの策定及び運用の徹底
   案件における個々の発注に係る支払名目が整わない限りは支払を行わないことと
  し、当社管理本部が主体となって支払を管理するプロセスとします。
  ② 資金融通に関するルールの策定
   役員との金銭の貸借については、必要性、相当性、条件の妥当性を内部管理体制
  強化委員会にて事前審議した上で、当社取締役会における承認が必要なものとし、
  仮に貸借を実行する場合は、当社管理本部が主体となって、契約を行うプロセスと
  します。


7.子会社管理体制の整備・強化(原因分析「7.親会社としての子会社管理体制の不
  備」に対応する改善策)
 2017 年8月1日付で、関係会社管理規程を新設しましたが、規程に準拠した子会社
管理及び運用に問題があったため、2019 年 2 月末までに関連会社管理規程を改定し、
適切な運用を行います。なお、子会社各社の個別の対応については以下のとおりです。
(1)省電舎
  ① 役員体制の整備
   1.(1)に記載のとおり事業子会社の営業担当取締役が当社グループの経理の責
  任者を兼ねる体制は解消済みであり、今後も重要な役職者の不適切な兼務の再発を
  防止すべく、2019 年2月末までに、組織規程及び職務分掌規程並びに職務権限規程
  を整備し、その内容に沿った運用を徹底します。
  ② 内部監査室長の専任化による子会社監査の徹底
   当社は、2018 年9月 27 日開催の取締役会において、内部監査室業務に従事する
  内部監査室長の専任化(2018 年8月1日付にて就任済み)を決議しました。その中
  で子会社監査を毎月1回以上実施することとしました。
  ③ 情報共有の強化
   2018 年8月より「改善プロジェクト会議」を週 1 回開催しています。当該会議で
  は、省電舎内の情報共有を図るとともに、管理面から営業面までの 6 項目(1.役員
  従業員の意識改革 2.中間管理層の再構築 3.コンプライアンス体制の抜本的な見直
  し 4.取引先対応の改善 5.実行予算の策定・管理の改善 6.適正な子会社・孫会社管
  理)に渡って課題を設定し、解決に向けての協議・検討を行っており、その内容に
  ついては記録に残しています。当該会議には当社経営企画室長、内部監査室長も出
   席しているため、当社による省電舎に関する定期的かつタイムリーな情報入手がで
   きる体制となっています。
     また、2018 年 10 月より営業担当者に対して週報の作成・提出を義務付けたこと
   で、工事の進捗遅れ、予実の乖離などネガティブな情報についても、より早いタイ
   ミングでの入手が可能となっており、改善プロジェクト会議で適時適切な協議・検
   討が行えることを担保しています。


 (2)AK4
   ① 役員構成の是正
     当時の当社の取締役のメンバーは AK4 代表取締役の部下であり、当社の創業者で
   あり筆頭株主でもある AK4 代表取締役に対して遠慮があり、本来発揮されるべき子
   会社への牽制機能を果たすことが出来ませんでしたが、現在の当社の取締役のメン
   バーは監査等委員をはじめ AK4 代表取締役とは独立したメンバーで構成されており、
   現時点における AK4 の役員構成も、取締役4名のうち2名が当社からの派遣により
   半数を占め、監査役も当社取締役管理本部長が就任しています。このため、当社が
   同社株式の 51%を保有していることと相俟って、同社が重要な意思決定を行なうに
   あたっては、必ず当社の同意が必要という状態が確立されています。
   ② 管理本部による管理・情報入手の強化
     2018 年1月から AK4 での重要な発注等支払は、当社管理本部の承認が必須である
   稟議フローが運用されていますが、規程が整備されていませんでした。今後は、規
   程の改定を行い適切な管理運用を行います。
     また、毎週、AK4 代表取締役と管理本部の間で打ち合わせを行うとともに、別途、
   同社管理部門の担当者とも打ち合わせを行い、営業活動の動向、資金繰りなどにつ
   いて詳細なヒアリングを行うなど、経営トップと現場の双方から情報入手していま
   す。
   ③ 内部監査室による子会社監査の徹底
     2019 年2月までに内部監査室が当事業年度にかかる業務監査を実施し、問題点等
   について管理本部に報告する予定です。管理本部では、内部監査室の報告をうけて、
   2019 年3月までに改善策を検討し実施させるよう管理します。


8.内部監査体制の整備・強化(原因分析「8.内部監査の問題」に対応する改善策)
   内部監査を以下のとおり整備します。
 (1)専門の内部監査部門の設置
     2018 年8月の組織改編において、当社は、内部監査に関する知識と経験を有する
   人材を専任の内部監査室長として確保した上で、第三者的な立場から、公平妥当な
   内部監査が行われるよう組織を構築しました。現在、内部監査室は2名在籍で豊富
  な経験値がある選任の担当者を配置しています。


(2)内部監査部門からの改善点のフィードバック
   内部監査室長は、内部管理体制強化委員会にオブザーバーとして参加し、監査等
  委員と懸念事項や社内状況及び営業状況について相互の情報共有を行うとともに、
  取締役会への出席を義務付け、2018 年9月度の定時取締役会から、業務監査や J-
  SOX 評価で得た課題や新たに設置した「内部管理体制強化委員会」の進捗状況を継
  続的な報告事項としています。また、以下の業務を行うことで改善点を是正するた
  めのフィードバックを役職員に対して行う予定です。
  ① 統制環境、リスクの評価と対応、統制活動などの基本的要素で構成される全社統
   制のチェックリストに基づき、取締役会や監査役会の議事録の参照や関係者への
   ヒアリング
  ② 各部門が作成した業務フロー図及び RCM 又は業務記述書等に基づき、実務の作業
   に対してポイントなる作業(キーコントロール)の証跡確認等を行い、業務の整
   備評価及び運用評価
  ③ 全社統制のチェックリストや業務フロー図等について、内部監査室による確認だ
   けでなく、会計監査人にも運用評価を実施する前に全社統制のチェックリストや
   業務フロー図に記載された統制の整備状況についての確認
  ④ 監査後に改善した方が良いと思われる内容が監査法人又は内部監査室から指摘
   された場合、各部門で対処方法を検討・修正


(3)監査等委員会、会計監査人との連携
   内部監査室は、内部監査規程を見直し、内部監査の結果を当社代表取締役社長に
  報告した後、経営会議、取締役会、監査等委員会へ報告を行います。また、内部監
  査において指摘する問題点に対して管理本部が改善策を策定し、経営会議、取締役
  会、監査等委員会及び子会社の会議(省電舎の改善プロジェクト会議及び AK4 の取
  締役会)で確認します。さらに内部監査実施時に、その改善策の実行を確認し、そ
  の結果を経営会議、取締役会、監査等委員会へ報告します。
   また、会計監査人からの四半期決算の監査上の指摘事項について、管理本部、監
  査等委員会とともに確認し、内部監査の指摘事項と同様のプロセスで改善策を策定・
  実行します。


(4)社内規程の順守状況についてのモニタリング
   内部監査室は、社内規程を見直したのち、取締役会議事録等でその改定内容を確
  認し、さらに社内告知が適切になされていることを確認します。また、年間を通し
  て実施される内部監査時に、社内規程の順守状況について、面談によるヒアリング
  及び書面の視認、現場調査によって確認し、内部監査報告書として当社代表取締役
  社長へ提出し、その後、経営会議、取締役会、監査等委員会へ報告を行います。


9.監査役監査体制の整備・強化(原因分析「9.監査役監査の問題」に対応する改善
  策)
(1)監査等委員の本来の役割に対する認識の徹底
   2018 年6月開催の定時株主総会において定款変更を行い、監査役設置会社を廃止
  し監査等委員会設置会社に移行し、監査等委員である社外取締役として、弁護士、
  公認会計士、上場企業における監査役経験者の3氏を選任し、人員体制を一新しま
  した。
   監査等委員の3氏は、今回の不適切行為に関する原因全般について理解を進めて
  おり、当社グループが内部管理体制の強化を進めていく上で、監査等委員の本来の
  役割についても十分に認識しています。このため、外部専門家による第三者的な視
  点から、監査・監督機能の強化によるコーポレートガバナンスの充実を図り、法務・
  会計コンプライアンスに関する積極的な指導・監督を実現することで、取締役会に
  おける業務報告をより充実させるとともに、牽制の効いた実効性のある取締役会へ
  の改善が進むものと考えられます。


(2)取引や業務についての調査体制の整備・強化
   監査等委員による業務監査は、従前より深く業務執行の意思決定プロセスのモニ
  タリングを行うなど実効的な監査体制を確立することを目的として、経営会議議事
  録を毎回送付し、社内の課題を常に理解できる状況を担保しています。選定監査等
  委員は、当社代表取締役社長、管理部門、内部監査室、会計監査人とも適宜ヒアリ
  ングあるいは面談を重ね、必要に応じて社内調査を行い、内部監査室からの報告及
  び懸案事項のみならず社内動向、営業活動等についても独自に情報を受領できる状
  況にしています。
   会計監査については、内部監査室からの報告を受け、財務プロセスの適切な運用
  を確認します。
   加えて、内部管理体制強化委員会には最低でも一人の監査等委員が参加すること
  で、内部管理体制の改善・強化の進捗状況、経営リスク、コンプライアンスの管理
  状況などをタイムリーに確認するとともに、内部監査室、会計監査人との定例会議
  を開催するなど連携を強化することで、取引や業務についての調査体制の整備・強
  化も確実に進んでいるものと考えます。


(3)社外役員への情報提供の充実
   社外取締役の助言機能や監督機能を十分に発揮するため、取締役会の付議事項を、
  可能な限りメール送信などによる関連資料の事前提供を徹底します。また、当社グ
  ループの業務執行全般において、報告すべき事案が発生した場合、管理本部担当取
  締役が都度情報を集約し、速やかに社外取締役に対して報告することを徹底します。
  併せて、取締役会運営に関する規程において、社外取締役の役割(特に意思決定に
  係る牽制機能)を明記します。


10.会計監査人との連携(原因分析「10.会計監査人との連携不足」に対応する改善策)
 管理本部は、2018 年 12 月より毎月1回を目安として、会計監査人と定期打ち合わせ
を開催し、その場において、当社グループ全般の状況を報告するとともに、会計処理に
関して検討が必要とされる案件があれば、問題点を共有の上、会計処理方針を決定する
こととしました。加えて、当該打ち合わせに関しましては、議事録を作成し、当社、会
計監査人の双方が確認の上、共有することとしています。
 また、監査等委員、内部監査室も、2019 年2月より四半期ごとに会計監査人と定例
会議を開催し、懸念事項や監査結果などを共有し、議事録も残すことで、三様監査の連
携強化を図ります。


11.情報共有の徹底及び開示体制の強化(原因分析「11.過去の不適正開示に係る改善
  策が実施されていなかったこと」に対応する改善策)
(1)報告体制の整備
   2018 年 10 月より各部署内での情報を共有するための週1回の定例部門会議と他
  部門との情報共有を行うため各本部長が出席する本部長会議を月に1回以上行って
  います。
   また、当社グループの事業推進上、決裁権限基準表に照らして該当する案件につ
  いては「経営会議」及び「内部管理体制強化委員会」において協議し、正しくリス
  クを評価し検討するような運営を行っています。各会議に参加するメンバーを明確
  にし、議事録を正確に保存する運用を行っていますが、各会議に関する要綱等のマ
  ニュアルは未整備であるため、2019 年3月末までに整備した上で、適切な運営を行
  います。


(2)経営会議の設置
   経営会議は、グループ全体の事業戦略及び財務戦略の策定や内部統制などの管理
  体制の構築を目的に、代表取締役社長、代表取締役副社長、管理本部担当取締役、
  経営企画室長、省電舎商業施設部担当取締役、省エネ・環境ソリューション本部長
  で構成される会議体であり、2018 年9月 26 日より開催しています。経営会議では、
  「常勤取締役の活動報告」「1 か月間の稟議申請及び各自の承認否認についての説
             、
  明及び議論」「随時における予実状況の報告と重要な案件の状況報告」「グループ内
  で生じているリスクの確認、報告」、
                  「子会社の情報交換」を毎回の議題としており、
  役員・幹部職員のコミュニケーションを図り、相互の活動を牽制する場としていま
  す。また、内部管理体制について重要な議題については、内部管理体制強化委員会
  への報告事項とし、議事録を監査等委員会に報告することで、業務実態とリスクを
  共有しています。


(3)改善プロジェクト会議の設置
   改善プロジェクト会議は、営業管理、受注管理等、営業の現場でのオペレーショ
  ンにおいて適切な管理体制を構築することを目的に、省電舎代表取締役社長(当社
  代表取締役副社長)
          、社長室、顧問及び当社経営企画室長、内部監査室長で構成され
  る会議体であり、2018 年8月 29 日を初回として週1回開催しています。改善プロ
  ジェクト会議では、営業担当者のコンプライアンス意識の向上のため、2018 年 11 月
  5 日から上場企業において企業研修の経験がある改善プロジェクト会議メンバーを
  講師とする「営業マンのためのコンプライアンス基礎知識」等の研修を実施してい
  ます。


(4)開示体制の強化
   適時開示体制については、当社の適時開示に関する特性リスクを分析し内部管理
  体制強化員会で検討を行った上で、適時開示に関する当社の方針等を 2019 年2月末
  までに決定し、速やかに開示します。なお、適時開示業務にかかる知識向上を目的
  として、管理本部の責任者及び開示に係る担当者は、東京証券取引所が開催する適
  時開示セミナーに各人の知識・経験に応じて年間計画を編成して参加します。セミ
  ナーに参加した者は、その内容について代表取締役を含め開示担当者で情報を共有
  し、適時開示の体制強化に努めます。


12.重要な資金調達時における意思決定プロセスの強化及び当社株式取扱の厳正化(原
  因分析「Ⅲ.特設注意市場銘柄指定後に判明した問題点」に対応する改善策)
(1)株式及び資金調達に関する社内規程類の整備
   今回の事案を教訓に役職員の意識向上に加え、社内規程類(マニュアル、細則等
  を含む)を充実させ、その運用を徹底することが必要不可欠です。その中でも「株
  式」の取り扱いを規定している「内部者取引管理規程」については、平成 30 年 11
  月 21 日開催の定時取締役会において「貸株」
                        「質権設定」
                             「担保設定」についても適
  用できるよう改定しました。
   また、資金調達における社内規程に関しては、現在の職務分掌規程では、経営企
  画室において策定及び実行となっていますが、今回の事案を踏まえて 2018 年 12 月
  27 日開催の臨時取締役会で、今後の資金調達は管掌部門を管理本部とする旨の決議
  を行いました。また、資金調達プロセスのマニュアルや細則等を 2019 年2月末まで
  に整備する予定です。細則等の概要は、以下の段階における意思決定プロセスの必
  要事項の統一、情報管理の徹底、適時開示の順守とします。
  ① 初期段階におけるプロセス
   a. 当初は当社代表取締役社長を含む少数の担当者(管理本部担当役員含む)で
    資金調達先の選定及び調達方法を検討し、情報管理を行うこと
   b. 資金使途に関する検討を行うこと
   c. 外部の専門家(弁護士または公認会計士)をアドバイザーとして入れること
   d. 資金調達先の反社チェックは優先して行うこと(詳細は(2)反社チェック
    の徹底 参照)
   e. 守秘義務契約締結を徹底すること
  ② 中期段階におけるプロセス
   a. 関係官庁とのリレーションを適切に行う
   b. 情報管理をより厳格にし、オープンスペースからの連絡等は控える
   c. 監査等委員会によって、現段階までのプロセスを精査する
  ③ 最終段階におけるプロセス
   a. 取締役会への付議
   b. 適時開示ルールにのっとった開示
  ④ 事後的な確認プロセス
   a. 資金調達が完了したことの確認及び資金充当状況の確認
   b. 前 a による確認結果の取締役会への報告


(2)反社チェックの徹底
  ① 取引開始時の検討の徹底
   反社会的勢力排除体制の強化を目的として、2019 年2月末までに以下の規程等を
  新設し、取引行為、契約行為等新規取引を行う場合、全ての相手先に関して、役職
  員によるインターネット検索(無料)及び管理本部による信用調査(有料)を実施
  します。
   また、既存取引先に関しましては、年に1回を目途に管理本部による信用調査を
  行うこととします。
   a. 反社会的勢力対策規程
   b. 反社会的勢力対応マニュアル
   第三者割当増資の引受先選定など重要性が高い案件については、引受先が、反社
  会的勢力でないこと、反社会的勢力と関与がないこと等について、外部の第三者機
  関に調査を依頼し、反社チェックを徹底いたします。
   また、全ての契約書に関して、暴排条項を適用することとし、当該条項の適用漏
  れがないように徹底いたします。
  ② 反社会的勢力の疑いがあった場合の対応
   上記①の取り組みを厳格に運用することにより、反社会的勢力等との取引は未然
  に防止できるものと考えておりますが、取引先が反社会的勢力等である旨の疑いが
  生じた場合におきましては、当該取引先との取引の可否について、取引金額の多寡
  に関わらず内部管理体制強化委員会にて事前審議を行った上で取締役会に上程し、
  方針を決定することといたします。


(3)当社株式管理の徹底
   今回の事案を踏まえ、当社グループ役員が保有する株式の取り扱いは、管理本部
  が主体となり、以下を徹底します。
  ① 役員保有株式の状況について、毎月、管理本部が証券会社・支店・株数・その他
   状況を明記した記録を更新し、売買、質権設定、貸株、その他の状況も確認する
   こととします。
  ② 貸株、質権設定といった取引等を行う場合は、株式の譲渡及び取得と同様に、事
   前に管理本部への届出書の提出報告を義務付けることとし、相対取引の場合の貸
   株・質権設定・譲渡相手については、必ず反社チェックのレポートを提出するこ
   とを指導します。


(4)弁護士との顧問契約
   今回の事案を踏まえ、証券関連(株式事務)に詳しい弁護士事務所と契約をし、
  専門性を高めると同時に、様々なリスクに対応します。また役職員向けに株式関連
  の研修を継続的に行い、知識の向上に努めます。


13.内部管理体制強化委員会の新設(新規施策)
 当社では取締役会の直属機関として、2018 年 10 月 22 日の定時取締役会にて「内部
管理体制強化委員会」の設置を決議し、2018 年 11 月 28 日に初回内部管理体制強化委
員会を開催しました。
 内部管理体制強化委員会は以下を目的として設置されたものであり、当該委員会に
て審議された内容は取締役会に書面にて報告します。
(1)特設注意市場銘柄解除に向けた内部管理体制の改善・強化にかかる諸施策の進捗
  状況及び結果内容の確認・取締役会への報告


(2)経営リスク及びコンプライアンスの管理状況に関する確認・取締役会への報告
 当社では、取締役会の3日前を目安に経営会議を開催し、当社グループの経営全般
についての情報を共有・把握し、問題点、課題の解決に向けて協議・検討するととも
  に、取締役会付議事項についての事前検討を行っています。
   内部管理体制強化委員会は、定時としましては取締役会の1週間前を目安に開催し
  上記経営会議の課題のうち内部管理体制の改善・強化、経営リスク、コンプライアン
  スの管理状況の確認にフォーカスすることで、経営会議、取締役会における審議の健
  全性を担保するための重要なプロセスという位置付けになります。併せて、必要に応
  じて臨時にて開催し、特に特設注意市場銘柄指定解除に向けた再発防止策の進捗状況
  の管理を徹底します。
   内部管理体制強化委員会の構成員としては、経営判断を伴わず内部管理体制強化に
  特化するという当該委員会の性格を鑑みて、取締役管理本部長を委員長とし、代表取
  締役副社長(子会社の社長=営業部門のトップという位置付けでの参加となりま
  す。、経営企画室長に加えて、外部の有識者を委員に招聘するとともに、当該委員会
    )
  にかかる規程を整備し、議事録を残し、当該委員会の有効性を担保します。
   加えて、内部監査におけるタイムリーな情報共有という観点から、監査等委員、内
  部監査室長が毎回オブザーバーとして参加します。
   なお、2018 年 12 月 27 日開催の取締役会で「内部管理体制強化委員会運営要綱」の
  新設を決議しています。上記のとおり、当該委員会の設置の主な目的は、特設注意市
  場銘柄解除に向けた内部管理体制の改善・強化ですが、特設注意市場銘柄指定解除後
  も一定期間において、強化された内部管理体制への監視を目的として、当該委員会の
  継続を検討しています。


 14.外部コンサルタントの選任(新規施策)
   今後の内部管理体制の強化に関して、外部の目を入れることで、より網羅的かつ効率
  的な取り組みを行うことを目的として、2018 年9月 27 日開催の取締役会で宝印刷株式
  会社(実働は、同社連結子会社である株式会社タスク)とコンサルティング契約を締結
  することを決議し、同年 10 月1日付で当該契約を締結しました。
   株式会社タスクは、過去特設注意市場銘柄に指定された会社に対するコンサルティ
  ング実績が豊富であり、当社は、限られた期間においてより具体的かつ実効的な支援が
  得られるものと判断し、当該契約の相手先に選定しました。当該契約における具体的な
  業務内容は、以下のとおりです。
 (1)特設注意市場銘柄指定となった事象にかかる原因分析及び再発防止策に関するア
    ドバイザリー業務
 (2)
   「内部管理体制確認書」の作成支援業務


Ⅴ.責任の明確化について
 当社では、今回の事態及び影響を厳粛に受け止め、上場企業として重大な責任があるこ
とを深く反省しています。今後については、2014 年3月期から 2016 年3月期までのホー
ルディングスの取締役及び監査役に対して関与の度合いに基づき、監査等委員を中心とし
た責任追及委員会(仮称)からの責任追及案をもとに 2019 年 2 月 21 日の取締役会で決定
します。また、上記Ⅱ.7(2)①に記載の AK4 子会社化の際の検討不足、並びに、Ⅲ.
に記載の大株主の状況の訂正に関する責任についても監査等委員を中心とした責任追及
委員会(仮称)で経営体制の変更の検討を含め協議・検討します。


Ⅵ.再発防止策に向けた体制整備及び改善スケジュール
 1.体制
   以下のとおり体制を整備します。
    今後の組織図(別紙1)
 2.スケジュール
   「Ⅲ.再発防止に向けた改善措置」の主なスケジュールは別紙2のとおりです。
   なお、今後のスケジュール及び改善策に大幅な変更があった場合は、速やかに開示し
  ます。


                                            以   上
【別紙1】組織図

                                株主総会
2019/1/31

                                                        監査等委員会
                                                                 山田(社外)、原口(社外)、佐塚(社外)

                                省電舎HD取締役会
            西島、橋口、田中、中村                         山田(社外)、原口(社外)、佐塚(社外)

                                                代表取締役社長  西島
                                                代表取締役副社長 橋口
                                         社長                          経営会議


                                            管理部門担当役員 田中
                     経営企画室              管理本部            内部監査室


                                                                       内部管理体制強化委員会

                      省電舎担当役員 橋口*                                                AK4担当役員 中村*

                               省電舎取締役会                                                    エール
              橋口*、松原、荘村                         監査役 田中*



                                   社長                                                エールケンフォー取締役会
                                                代表取締役 橋口*            中村*、近野、熊澤                        監査役 田中*


                                               社長室                                        社長
                                                                    代表取締役 中村*


                                                                                         業務推進部

    商業施設部                 省エネ・環境ソリューション本部            大阪事業所




                    営業部                 エンジニアリング部
                                                                                 *省電舎HD取締役が子会社役員を兼務
【別紙2】改善措置実施スケジュール

                           :計画・整備
                           :実施・運用
                                                    2018年              2019年
                                                9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月
1.当社グループにおける経理体制の整備
 1)営業担当取締役が経理の責任者   ① 有効な牽制機能を維持する組織構築
   を兼ねる体制の解消        ② 取締役の役割と責任についての再確認
                    ③ 取締役の選任プロセスの整備
                        管理部門担当取締役の牽制機能
                    ④
                        を発揮するための体制整備

 2)人員の採用

 3)会社知識のレベルアップ

2.役員・従業員間における牽制機能の強化
 人員確保と牽制の効いた        ① 人員の確保による部門責任者の兼任解消
 組織体制の構築            ② 承認ルートの重複解消
3.コンプライアンス意識の強化
                    ① コンプライアンスに関する社員研修の実施
                    ② 役員向けコンプライアンス研修の実施
                    ③ 取引先との癒着関係が発生しないような体制の構築
                    ④ 内部通報制度の告知
4.社内規程の精査及び整備・運用管理の徹底
                    ① 社内規程の精査及び整備
5.内部統制の整備・運用に係る重要な不備の解消
1)全般統制の不備の解消        ① 営業報告や営業日報のルールの策定
                    ② 見積書や取引先の選定基準の策定
                    ③ 取締役会議事録等の作成体制の整備(省電舎)
                    ④ バックアップデータの管理体制の強化
2)多数の業務処理統制の不備の解消   ① 工事進行基準における業務プロセスの見直し
                    ② 有価証券評価プロセスの改善
6.AK4の内部統制の整備
1)全社統制の不備の解消        ① 役員報酬の決定プロセスの整備
                    ② 中古自動車輸出入事業の取り扱い
                    ③ 規程の整備及び運用
                    ④ AK4代表取締役のコンプライアンス意識の向上
                    ⑤ 経営へ牽制機能の発揮及び情報収集体制の整備
                    ⑥ 人員不足の解消
2)内部統制の整備運用         ① 支払ルールの策定及び運用の徹底
                    ② 資金融通に関するルールの策定
7.子会社管理体制の整備・強化
1)省電舎               ① 役員体制の整備
                    ② 内部監査室長の専任化による子会社監査の徹底
                    ③ 情報共有の強化
2)AK4               ① 役員構成の是正
                    ② 管理本部による管理・情報入手の強化
                    ③ 内部監査室による子会社監査の徹底
8.内部監査体制の整備・強化
                    ① 専門の内部監査部門の設置
                    ② 内部監査部門からの改善点のフィードバック
                    ③ 監査等委員会、会計監査人との連携
                    ④ 社内規程の順守状況についてのモニタリング
9.監査役監査体制の整備・強化
                    ① 監査等委員の役割に対する認識の徹底
                    ② 取引や業務についての調査体制の整備・強化
                    ③ 社外役員への情報提供の充実
10.会計監査人との連携
11.情報共有の徹底及び開示体制の強化
                    ① 報告体制の整備
                    ② 経営会議の設置
                    ③ 改善プロジェクト会議の設置
                    ④ 開示体制の強化
12.資金調達時及び株式取扱に関する機能強化
                    ① 資金調達に関する社内規程類の整備
                    ② 当社株式管理に関する社内規程の整備
                    ③ 弁護士との顧問契約
13.内部管理体制強化委員会の新設
14.外部コンサルタントの選任
                        特注指定となった原因分析及び
                    ①
                        再発防止に関するアドバザリー業務

                    ② 「内部管理体制確認書」の作成支援業務