1662 石油資源 2021-05-13 14:00:00
2050年カーボンニュートラル社会の実現に向けた「JAPEX2050」の策定について [pdf]

                                                                 2021 年 5 月 13 日
各位
                                         会社名      石油資源開発株式会社
                                         代表者名     代表取締役社長             藤田 昌宏
                                         コード番号    1662(東証第一部)
                                         問合先責任者 コーポレートコミュニケーション室長 朝井        卓
                                         電話番号     03-6268-7110



         2050 年カーボンニュートラル社会の実現に向けた「JAPEX2050」の策定について



    石油資源開発株式会社(JAPEX、 「当社」 は、
                     以下  ) 政府が掲げる「2050 年カーボンニュートラル社会の実現」
を踏まえた、当社の総合エネルギー企業としての方向性を示す「JAPEX2050~カーボンニュートラル社会の実
現に向けて~」
      (以下「JAPEX2050」
                   )を策定しましたので、お知らせします。


    エネルギーの安定供給を使命とする当社は、長年の主力事業である石油・天然ガスの E&P(Exploration and
Production:探鉱・開発・生産)と供給に加え、脱炭素社会実現への世界的な要請を踏まえた、
                                               「総合エネルギー
企業」としての成長に向けた事業構造の変革に取り組んでいます。これまで、二酸化炭素(CO2)の回収・貯留
技術の実用化を目指す実証試験への参加や、再生可能エネルギー事業体制の強化、当社が筆頭で参画する天然ガ
ス発電所の運転開始、環境負荷の低い天然ガスへの燃料転換などを進めてきました。


    「JAPEX2050」は、世界的な 2050 年の CO2 実質排出量ゼロ(ネットゼロ)達成のために、当社が果たすべ
き責務と取り組む課題をあらためて整理し、今後の自社対応ならびに事業展開の方向性をより明確に示したもの
です。当社は、
      「JAPEX2050」を着実に進めることで、カーボンニュートラル社会におけるエネルギー安定供給
の新たな可能性を追求しながら、総合エネルギー企業としてさらなる成長を目指してまいります。


    「JAPEX2050」の概要は以下のとおりです。また詳細については、添付資料を参照ください。



「JAPEX2050~カーボンニュートラル社会の実現に向けて~」概要


【GHG 排出削減目標】

    自社操業の排出量(Scope1+Scope2)の「2050 年ネットゼロ」達成
        第 1 段階として、当社操業の CO2 排出原単位を 2030 年度までに、2019 年度比で 40%削減します。

    自社サプライチェーン排出量(Scope3)の削減に寄与する事業領域の強化
        CO2 実質排出量削減を目指し、新たな技術の確立や環境負荷の低いエネルギー供給で貢献します。




                                Page 1 / 2
【カーボンニュートラル社会実現に向け注力する取り組み】

1.   CO2 圧入・貯留技術を核としたネットゼロ達成へ貢献する分野の事業化
        国内トップランナーとして、CCS(Carbon dioxide Capture and Storage:CO2 の回収・貯留)/CCUS
         (Carbon dioxide Capture, Utilization, and Storage:CO2 の回収・有効活用・貯留)の早期の実用化
         と事業化を目指します。
            実施候補地点(深部塩水層*)の調査・選定、圧入坑井の掘削、貯留した CO2 のモニタリングなど
             で、石油・天然ガス E&P で培った当社の強みを最大限に活用
            分離・回収された CO2 の輸送に関しては、天然ガス・LNG(液化天然ガス)供給に関する経験や
             知見を活用し貢献
        CCS/CCUS との連携が期待できる、カーボンニュートラルに関する協業や参入を目指します。
            BECCS(Bio-energy with Carbon Capture and Storage:CCS 付きバイオマス発電)
                                                                           、CCS 付き
             天然ガス火力発電所などを想定
            ブルー水素や、メタネーションなどカーボンリサイクル分野への参入を視野

2.   再生可能エネルギープロジェクトの参画拡大
        従来事業の知見や経験を活かしながら、当社が参画する再生可能エネルギープロジェクトの拡大を目指
         していきます。
            特に、天然ガス発電の経験を活用できるバイオマスや、E&P の知見との親和性が高い洋上風力を
             中心に、候補案件の拡大を含む事業化検討を推進

3.   石油・天然ガスの安定供給
        石油・天然ガスは今後も世界の主要なエネルギーの一つであるという認識のもと、当社はその需要に引
         き続き応えていきます。
        「石油・天然ガスからの完全な脱却」ではなく、CCS/CCUS など脱炭素技術の併用による「カーボン
         ニュートラル社会」の実現を、総合エネルギー企業として目指していきます。
            天然ガス開発プロジェクトへの参画と、参画プロジェクトへの CCS/CCUS 導入検討
            石炭や重油からの燃料転換需要に対応する、天然ガス・LNG の多様な供給方式の横展開


                                                                              以上



注)
* 深部塩水層とは、飲料に適さない古海水(塩水)を含んだ地下深部の砂岩層などのこと。石油・天然ガスの貯留層と比較し地理的
 分布が広く、CO2 貯留の可能性が期待される。




・添付資料:
     「JAPEX2050~総合エネルギー企業としてのカーボンニュートラル社会の実現に向けて~」




                                       Page 2 / 2
                 参考




                                                                              2021.05.13



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   「JAPEX2050」策定の背景




                                    ~~
         カーボンニュートラル社会の実現に向けたJAPEXとしての責務と役割の再整理
    「エネルギーの安定供給」を使命とするJAPEXのこれまでの取り組み
    長年国内外で石油・天然ガスE&P*と環境負荷の低い天然ガスの供給を推進
                                                                               * Exploration and Production、石油・天然ガスの探鉱・開発・生産



     1955年                                        国内油ガス田開発生産/海外E&Pプロジェクト参画
     JAPEX創業                                        国内天然ガス供給ネットワーク構築・運用                                                        2020年10月
                                                                                                                               日本政府の
                                                     2018年5月                  天然ガス発電開始/再エネ専従組織設置                                目標宣言
                                                    長期ビジョン                     新規事業推進部・環境事業推進部設置

    環境負荷の低い電力や環境配慮型事業創出による「総合エネルギー企業」への成長

                       2050年までに温室効果ガスネット排出量ゼロ(ネットゼロ)達成を目指す



      2021年5月「JAPEX2050~カーボンニュートラル社会の実現に向けて~」策定

    現在の取り組みを再整理し、カーボンニュートラル社会で果たす責務と注力分野を明確化
    2050年ネットゼロへ貢献する「総合エネルギー企業」として新たな可能性を追求


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   「JAPEX2050」の概要

                        2050年時点の達成目標と、JAPEXとして貢献を目指す分野を明示

                                 GHG排出削減目標                                              ネットゼロ社会実現へ貢献する分野
                                        Scope1+2                                                 CCS/CCUS
              2030年度に自社操業のCO2排出量原単位を                                                    CCS/CCUS技術の実用化・事業化
               2019年度比で40%削減                                                             ブルー水素・メタネーションやCCS付き天然ガ
              2050年に自社操業のネットゼロ達成                                                         ス発電など、CCS/CCUS周辺分野への参入


                                            Scope3                                            再生可能エネルギー
              自社サプライチェーンの2050年ネットゼロ達                                                    BECCS(CCS/CCUSと組み合わせネガティブ
               成に貢献する、新たな技術の確立や、環境負荷                                                      エミッションを実現するバイオマス発電)
               の低いエネルギーの供給推進                                                             E&Pの経験・知見を活用できる洋上風力



                                                                              石油・天然ガスの安定供給

                                    天然ガス利用促進                                                 鉱区権益取得・開発
              他の化石燃料からの燃料転換需要へ対応                                                       石油・天然ガスは今後も主要なエネルギーと認識
              今後の多様なLNG需要への対応強化                                                        引き続き鉱区権益の取得と開発生産に注力




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   CCS/CCUSとは

          CO2を分離・回収し、地下へ圧入・貯留による実質排出量削減を実現する技術
                                CCS(Carbon dioxide Capture and Storage):CO2の分離・回収・貯留
                       CCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization, and Storage):CO2の分離・回収・有効活用・貯留


     2050年ネットゼロ達成に向け、国内外で実用化に向けた検証や実証が進む
     日本では北海道・苫小牧の政府実証試験など、大規模CO2地下貯留技術の検証が進む
                JAPEXは日本CCS調査株式会社の筆頭株主として、苫小牧CCS実証試験に参画中

                             発電所・                                             分離されたCO2を貯留先までパイプラインなどで輸送         坑井から
                             工場などで                                                                               地下へ
                             大気放散前                                                                               圧入し
           CCS               に回収                                                                                  貯留
            の
           流れ

                                        CO2分離・回収                                       CO2輸送              CO2圧入・貯留

                                    CO2分離プラントの設置                                  CO2輸送パイプライン敷設        CO2貯留に適した場所の選定
       必要要素                                                                                                圧入用坑井の掘削
                                                                                                      圧入・貯留状況のモニタリング



                 CCS/CCUSはE&Pとの親和性が高く、JAPEXの強みが発揮できる分野

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   CCS/CCUSにおける当社の強みと新たな可能性

                   国内におけるトップランナーとして、CCS/CCUSの早期実現を目指す
                陸上/海上からの地下調査(物理探査)                                            陸上から海底下に向けての坑井掘削             坑井管理・モニタリング




                        CCS/CCUSの実施候補地点選定と、CO2圧入・貯留・モニタリングの実施
                       地下調査、掘削、モニタリングなど実現に必要な技術要素を、自社グループで完結できる技術力
                       これまでの国内探査・探鉱で得た、深部塩水層*(CO2貯留が期待できる地層)に関するデータの活用




    CO2分離・回収                                                CO2輸送                        CO2有効活用        CO2圧入・貯留


                     分離・回収されたCO2の輸送                                                      カーボンニュートラル分野への協業・参入
            天然ガス・LNGの輸送供給経験を活かした、                                                         天然ガス・バイオマス発電へのCCS/CCUS適用
             CO2輸送インフラの確立                                                                  ブルー水素・メタネーション関連への参入も視野
                                                                                                      【ブルー水素】         【メタネーション】
                                                                                         自社電力事業       天然ガスを               水素(H2)と

                                                                                                                H2
                                       高圧ガスパイプラインや                                       のみならず                               CO2で
                                                                                                      分解し製造
                                        内航船輸送などを含む                                       天然ガス発電所や     &分解後に          メタン メタンを
                                                                                         バイオマス発電も視野   CO2を回収                  生成

    注) *深部塩水層とは、飲料に適さない古海水(塩水)を含んだ地下深部の砂岩層などのこと。石油・天然ガスの貯留層と比較し地理的分布が広く、CO2貯留の可能性が期待される。


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   環境負荷の低いエネルギー需要への対応

                             再生可能エネルギーと天然ガスへの需要拡大に対する対応強化

                                                           再生可能エネルギープロジェクトへの参画
            従来事業の経験や知見との親和性が高いバイオマス・洋上風力を中心に、候補案件の拡大を含む事業化検討を推進

                                      バイオマス発電                                                                          洋上風力発電
         天然ガス発電プロジェクトの経験を活用                                                                        石油・天然ガスE&Pの経験を活用
          • 発電所建設の工程管理                                                                             • 洋上プラットフォームの操業・管理
          • 燃料LNGの調達 など                                                                            • 着床式設備設置箇所の地下情報把握



                   +                      CCUS/CCS
                                          との連携方針
                                                                      バイオマス発電はBECCS*も検討
                                                                          * Bioenergy with Carbon Capture and Storage:CCS付きバイオマス発電




                                                                環境負荷の低い天然ガス需要への対応
              今後も一定の需要が続く想定にもとづく、燃料転換を含む需要拡大と、天然ガス開発生産やLNG調達に取り組む

                                 天然ガス需要の開拓                                                                      天然ガス生産・安定供給
         石炭・重油からの燃料転換需要への対応                                                                        海外権益の獲得、国内の新規/追加開発
          • 発電所、大規模事業場などの需要家対応                                                                      柔軟で競争力のあるLNG調達
          • 海外を含むLNGの多様な供給方式の横展開                                                                    • カーボンフリーLNGの調達も検討



                    +                     CCUS・CCS
                                          との連携方針
                                                                      天然ガス発電所へのCCS/CCUS適用検討
                                                                      ブルー水素・メタネーション関連への参入も視野



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   2050年に向けて目指す事業イメージ

        CCS/CCUSを核とする事業サイクルで、カーボンニュートラル社会実現へ貢献

              お客様:さまざまなエネルギーの活用とCCS/CCUSにより、CO2ネットゼロを達成

              石油・天然ガス                                                         水素                    電力            再生可能エネルギー

                                                                                                                  バイオマス      洋上風力
                                                                                                 天然ガス発電                       発電
                                                                                                                    発電
     天然ガス                                ブルー水素製造                              拡大・協業・参入を
     燃料転換                                                                       目指す分野            CCS付き           BECCS
       促進                                                                                       天然ガス発電           (CCS付き発電)




                                       CO2                                    CO2輸送         カーボン                          CO2
                                                                                                         CO2輸送
                                     回収・分離                                                  リサイクル                       圧入・貯留
                                      実施地点                                    メタネーション       実施地点                         実施地点

                           発電所・大規模プラントなどから                                              カーボンリサイクル製品の             CCUS(原油/ガス増進回収)と
                             大気への放散前に回収                                                   原料として活用                  CCSによる地下圧入・貯留



                                                                                            石油・天然ガスE&P(開発生産)・供給
      JAPEXとして特に強みのある分野                                                               新規鉱区権益の取得・自社操業でのCO2排出量原単位削減努力を含む



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   2050年に向けたロードマップ

         第1段階=2030年にScope1+2排出原単位削減と、CCS/CCUS実現を目指す

         GHG排出量
                                          Scope1+2排出量原単位の2019年度比40%削減                                 2050年ネットゼロ達成
          削減目標

                                          自社国内油ガス田CCS/CCUS実施検討
              CCS/
                                                                                             国内CCS/CCUS事業化
              CCUS
                                          国内深部塩水層*CCS/CCUS適地調査・実施検討


                                          カーボンリサイクル事業検討・実証                                カーボンリサイクル関連の事業化
                                                                                           (自社and/or他社への原料供給などでの連携)
            その他
          ネットゼロ                           再生可能エネルギー電源追加・供給拡大
           貢献分野                                                                               CCS付き発電 (天然ガス発電・BECCS)
                                          天然ガス発電電力安定供給


                                          天然ガス・LNG活用促進+カーボンニュートラルLNG供給対応
          石油・ガス
           安定供給
                                          海外新規権益獲得(天然ガス志向&CCUSを含む)&需要に応える開発生産の継続


                                   2021年                                          2030年             2040年             2050年
        注) *深部塩水層とは、飲料に適さない古海水(塩水)を含んだ地下深部の砂岩層などのこと。石油・天然ガスの貯留層と比較し地理的分布が広く、CO2貯留の可能性が期待される。



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